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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】製品1,3-ブチレングリコール
(51)【国際特許分類】
   C07C 31/20 20060101AFI20220610BHJP
   C07C 29/74 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
C07C31/20 B
C07C29/74
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2021094284
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2021-06-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】312004880
【氏名又は名称】KHネオケム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】白村 隆
(72)【発明者】
【氏名】金田 純
【審査官】高橋 直子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-042214(JP,A)
【文献】特開2021-038189(JP,A)
【文献】米国特許第08445733(US,B1)
【文献】特表2020-512351(JP,A)
【文献】特開2001-288131(JP,A)
【文献】特開2001-213828(JP,A)
【文献】国際公開第00/007969(WO,A1)
【文献】特開平08-021829(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07C 31/20
C07C 29/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記試料調製実施後の下記条件下におけるHPLC分析において、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンの相対保持時間を1.0としたときに、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が1000以下であり、
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークに該当する成分として炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体を含む、製品1,3-ブチレングリコール。

[試料調製]
2,4-ジニトロフェニルヒドラジンカートリッジにアセトニトリル5mLを加えて2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを抽出した溶液1000μLと、0.2mol/L塩酸100μLを、製品1,3-ブチレングリコール0.05gに加えて45℃で2時間反応を行う。

[HPLC分析の条件]
測定試料:前記試料調製によって得られる反応液を、HPLCにて使用する移動相で2mLに希釈した溶液を測定試料とする。
検出器:UV-Vis検出器
検出波長:369nm
分析カラム:パルミットアミドプロピル基修飾のシリカゲル(粒子径5μm、内径×長さ=4.6mm×25cm、ポアサイズ100Å、表面被覆率2.7μmol/m 2 、表面積450m 2 /g、金属不純物5ppm未満、カーボン含量19.5%)を固定相としたカラム
分析条件:カラム温度 40℃
移動相:アセトニトリル/蒸留水=50/50(vol比)
移動相流量:0.4mL/min
試料注入量:20μL
【請求項2】
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が800以下である、請求項1記載の製品1,3-ブチレングリコール。
【請求項3】
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が500以下である、請求項1記載の製品1,3-ブチレングリコール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂の原料、界面活性剤の原料、溶媒、不凍液、化粧品原料等として有用な製品1,3-ブチレングリコールに関する。
【背景技術】
【0002】
1,3-ブチレングリコールは、沸点208℃の粘調な無色透明、低臭の液体で、化学的安定性に優れる。このため、1,3-ブチレングリコールは、各種の合成樹脂、界面活性剤の原料として用いられる。また、1,3-ブチレングリコールは、その優れた吸湿特性、低揮発性、低毒性を活かして化粧品、吸湿剤、高沸点溶剤、不凍液の材料としても利用されている。特に近年、化粧品業界では毒性及び刺激性の低い1,3-ブチレングリコールが保湿剤として優れた性質を有するため、その需要を大きく伸ばしている。
【0003】
特許文献1には、臭気の少ない1,3-ブチレングリコールが開示されており、臭気の少ない1,3-ブチレングリコールを得る方法として、粗1,3-ブチレングリコールを、水及び有機溶媒と混合し、水層と有機層に相分離させた後、1,3-ブチレングリコールを含む水層を得る工程を含む1,3-ブチレングリコールの製造方法が開示されている。同文献の製造方法では、抽剤として使用される有機溶媒として、ケトン類が良いとされ、メチルイソブチルケトンがより好ましいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2003-96006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された方法では完全に臭気を無くすことは難しく、そのうえ長期保存していると経時変化により微臭が発生してくるという問題がある。
また、化粧品分野において1,3-ブチレングリコールを使用する際には、皮膚に直接塗布するが、特許文献1に記載された方法で得られる1,3-ブチレングリコールは、皮膚感作性が十分に低減できていないという問題もある。
【0006】
上記事情に鑑み、本発明は、無臭かつ経時による臭気が発生しないことに加えて、皮膚感作性も低減した、製品1,3-ブチレングリコールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは鋭意検討した結果、1,3-ブチレングリコール中に含まれる特定の不純物の濃度を一定以下に抑えることにより、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成させた。
【0008】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
下記試料調製実施後の下記条件下におけるHPLC分析において、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンの相対保持時間を1.0としたときに、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が1000以下であり、
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークに該当する成分として炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体を含む、製品1,3-ブチレングリコール。

[試料調製]
2,4-ジニトロフェニルヒドラジンカートリッジ(InertSep mini AERO DNPH、GL Sciences Inc.)にアセトニトリル5mLを加えて2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを抽出した溶液1000μLと、0.2mol/L塩酸100μLを、製品1,3-ブチレングリコール0.05gに加えて45℃で2時間反応を行う。

[HPLC分析の条件]
測定試料:前記試料調製によって得られる反応液を、HPLCにて使用する移動相で2mLに希釈した溶液を測定試料とする。
検出器:UV-Vis検出器
検出波長:369nm
分析カラム:Merck社製SUPELCO(登録商標) Ascentis(登録商標) RP-Amide(粒子径5μm、内径×長さ=4.6mm×25cm)
分析条件:カラム温度 40℃
移動相:アセトニトリル/蒸留水=50/50(vol比)
移動相流量:0.4mL/min
試料注入量:20μL

[2]
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が800以下である、上記[1]記載の製品1,3-ブチレングリコール。
[3]
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が500以下である、上記[1]記載の製品1,3-ブチレングリコール。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、無臭かつ経時による臭気が発生しないことに加えて、皮膚感作性も低減した、製品1,3-ブチレングリコールを提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。本発明は、以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施できる。
なお、本実施形態においては、最終製品である1,3-ブチレングリコールを「製品1,3-ブチレングリコール」、原料としての1,3-ブチレングリコールを「粗1,3-ブチレングリコール」とも言う。
【0011】
本実施形態に係る製品1,3-ブチレングリコールは、下記試料調製実施後の下記条件下におけるHPLC分析において、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンの相対保持時間を1.0としたときに、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が1000以下であり、
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークに該当する成分として炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体を含む、製品1,3-ブチレングリコールである。
ここで、炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体は、1,3-ブチレングリコールに含まれる炭素数4~6のカルボニル化合物またはそのアセタール化合物を2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(以下、「DNPH」とも言う。)により誘導化した化合物であり、後述する特定条件でのHPLC分析において、当該誘導体のピークはDNPHのピークの相対保持時間を1.0としたとき、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れる。
【0012】
本実施形態におけるHPLC分析の測定条件は以下のとおりである。

[試料調製]
2,4-ジニトロフェニルヒドラジンカートリッジ(InertSep mini AERO DNPH、GL Sciences Inc.)にアセトニトリル5mLを加えて2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを抽出した溶液1000μLと、0.2mol/L塩酸100μLを、製品1,3-ブチレングリコール0.05gに加えて45℃で2時間反応を行う。

[HPLC分析の条件]
測定試料:前記試料調製によって得られる反応液を、HPLCにて使用する移動相で2mLに希釈した溶液を測定試料とする。
検出器:UV-Vis検出器
検出波長:369nm
分析カラム:Merck社製SUPELCO(登録商標) Ascentis(登録商標) RP-Amide(粒子径5μm、内径×長さ=4.6mm×25cm)
分析条件:カラム温度 40℃
移動相:アセトニトリル/蒸留水=50/50(vol比)
移動相流量:0.4mL/min
試料注入量:20μL
【0013】
上記HPLC分析では、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンのピークの相対保持時間を1.0としたときの相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの紫外分光光度計による369nmでの吸光度の面積値を測定する。本実施形態の製品1,3-ブチレングリコールは、上記HPLC分析において、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンの相対保持時間を1.0としたときに、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和(以下、「ピーク面積値の和」とも言う。)が1000以下である。上記ピーク面積値の和が1000以下であることにより、臭気の発生や皮膚感作性が低減される。
【0014】
上記ピーク面積値の和は、本発明の効果がより顕著となる観点から、好ましくは800以下、より好ましくは500以下、さらに好ましくは400以下である。上記ピーク面積値の和の下限は特に限定されないが、製造コストの観点から、例えば、1以上であってもよく、10以上であってもよい。
【0015】
本実施形態の製品1,3-ブチレングリコールは、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークに該当する成分として炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体を含む。炭素数4~6のカルボニル化合物としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルビニルケトン、クロトンアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、メチルプロピルケトン、メチルイソプロピルケトン、ジエチルケトン、2-ヘキサノン、6-ヘキセン-2-オン、メチルイソブチルケトン、エチルプロピルケトン、エチルイソプロピルケトン、1-ヘキサナールなどが挙げられる。本実施形態の製品1,3-ブチレングリコールは、不純物としての炭素数4~6のカルボニル化合物が少ないことが好ましい。
【0016】
[炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体の確認方法]
上記HPLC分析において、炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体の相対保持時間は、例えば、市販されている東京化成工業(株)製のメチルビニルケトン、東京化成工業(株)製のクロトンアルデヒド、富士フイルム和光純薬(株)製の2-ヘキサノンを、KHネオケム(株)製1,3-ブチレングリコールで希釈した溶液0.05gに、0.2mol/L塩酸100μLと、DNPHカートリッジ(InertSep mini AERO DNPH、GL Sciences Inc.)にアセトニトリル5mLを加えて抽出した溶液1000μLとを加えて、45℃で2時間反応を行い、得られた反応液をHPLCにて使用する移動相で2mLに希釈した溶液を上記条件のHPLC分析にて20μL注入して測定することによって、検出されるメチルビニルケトン、クロトンアルデヒド、あるいは2-ヘキサノンのジニトロフェニルヒドラジン誘導体のピークの相対保持時間を確認することができる。
【0017】
本実施形態の製品1,3-ブチレングリコールにおいて、下記条件でのガスクロマトグラフィー分析における1,3-ブチレングリコールのピークの面積率は特に限定されないが、要求される製品品質に応じて、例えば、99.6%以上であることが好ましく、より好ましくは99.7%以上、さらに好ましくは99.8%以上、特に好ましくは99.9%以上である。なお、ピークの「面積率」とは、チャートに現れる全てのピークの面積の和に対する特定のピークの面積の割合を意味するものである。また、全てのピークとは、1,3-ブチレングリコールのピークの相対保持時間を1.0としたとき、相対保持時間が2.2まで分析を継続して停止した場合に現れるピークの全てを意味する。上記ピークの面積率が上記範囲にあることにより、臭気の発生や皮膚感作性がより一層低減される傾向がある。
【0018】
本実施形態におけるガスクロマトグラフィー分析の測定条件は以下のとおりである。

[ガスクロマトグラフィー分析の条件]
分析装置:Agilent Technologies社製 7890B ガスクロマトグラフィーSystem
分析カラム:Agilent Technologies社製 DB-WAX (長さ30m×内径0.25mm×膜厚0.25μm)
昇温条件:5℃/分で80℃から230℃まで昇温した後、230℃で10分間保持
試料導入温度:250℃
キャリアガス:窒素
カラムのガス流量:0.5mL/分
検出器及び検出温度:水素炎イオン化検出器(FID)、250℃
コントロールモード:コンスタントフロー
スプリット比:50:1
試料注入条件:1μL
【0019】
[皮膚感作性試験]
本実施形態における製品1,3-ブチレングリコールは、皮膚感作性が低減されたものである。ここで皮膚感作性とは、皮膚接触後にアレルギー反応を引き起こすことをいう。皮膚感作性の評価には、通常、実験動物が使用されてきたが、動物福祉の観点から2015年にOECDガイドラインTG442Cでin Chemico試験であるペプチド結合性試験(DPRA)が代替試験として採択されており、本実施形態においても、DPRAを準用した試験により皮膚感作性を評価する。より詳細には、後述する実際例に記載された方法に従って皮膚感作性を評価する。
【0020】
[製品1,3-ブチレングリコールの製造方法]
(原料)
本実施形態における製品1,3-ブチレングリコールを製造する際に原料として使用される粗1,3-ブチレングリコールとしては、特に限定されることはないが、例えば、臭気を感じる1,3-ブチレングリコール又は経時的に臭気が増加する1,3-ブチレングリコール等が挙げられる。あるいは、皮膚感作性を有する1,3-ブチレングリコール等も挙げられる。
【0021】
原料としての粗1,3-ブチレングリコールとしては、上述した特定条件下のガスクロマトグラフィー分析における1,3-ブチレングリコールのピークの面積率が、製品1,3-ブチレングリコールに含まれる不純物量の低減の観点から、99.5%以上であることが好ましく、より好ましくは99.6%以上、さらに好ましくは99.7%以上である。
【0022】
原料としての粗1,3-ブチレングリコールの製造方法は、特には限定されないが、例えば、公知の方法(特公平3-80139号公報、特開平7-258129号公報等参照)により、粗1,3-ブチレングリコールを製造することができる。また、アセトアルドールの液相水素還元法により製造されたもの、1,3-ブチレンオキサイドの加水分解法により製造されたもの、又は微生物や菌類を用いた発酵法により製造されたもの、これらの混合物など、いずれのものを用いてもよい。中でも、本発明の効果がより顕著となる傾向にあるため、アセトアルドールの液相水素還元法によって得られた反応生成物を用いることが好ましい。アセトアルドールの液相水素還元法においては、臭気原因物質と考えられるアセトアルデヒド、ブチルアルデヒド、クロトンアルデヒド、メチルビニルケトン等の低沸点化合物やこれらの縮合物、あるいはこれらと1,3-ブチレングリコールとのアセタール、これらとエタノールとのアセタールなどが副生し、これらは蒸留によっても完全に取り除くことが難しい。上記臭気原因物質とは、そのもの自体が臭気源であるものや、経時変化、加熱処理、化学処理等により臭気物質となるもの等が含まれる。
【0023】
また、アセトアルドールの水素還元法によって得られる反応生成物から副生成物であるエタノールなどのアルコール類、塩、水分等を除去した後のものを用いてもよい。これらの成分を除去する方法としては限定されず、蒸留、吸着等の方法を用いることができる。
【0024】
また、アセトアルドールの水素還元法によって得られる反応生成物から副生成物であるエタノールなどを蒸留により除いたものや、エタノールを除去した後の留分にさらに1つ以上の公知精製工程、例えば、アルカリ金属化合物(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)を添加して加熱処理する工程(特許第4559625号公報等参照)等を施したものを粗1,3-ブチレングリコールとして用いてもよい。また、粗1,3-ブチレングリコールは、市販品として入手することも可能である。
【0025】
本実施形態における製品1,3-ブチレングリコールの製造方法としては、特に限定されず、例えば、粗1,3-ブチレングリコールを加熱処理する工程(加熱処理工程)と、加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコールを水及び有機溶媒と混合し、水層と有機層に相分離させた後、1,3-ブチレングリコールを含む水層を得る工程(抽出工程)と、前記1,3-ブチレングリコールを含む水層から水を留去する工程(脱水蒸留工程)と、前記水を留去した後の1,3-ブチレングリコールから低沸点成分を留去する工程(脱低沸蒸留工程)と、を含む方法を用いることができる。以下、各工程について説明する。
【0026】
(加熱処理工程)
本実施形態の製品1,3-ブチレングリコールの製造方法における加熱処理工程は、粗1,3-ブチレングリコールを加熱処理する工程である。粗1,3-ブチレングリコールを加熱処理することにより、1,3-ブチレングリコールとの相溶性の高い炭素数4~6のカルボニル化合物などの高極性の不純物の加熱分解が進行し、中極性の脱水縮合物やアセタール化合物となるため、その後の抽出工程において効率的に除去されると推測される。但し、本発明のメカニズムは上記に限定されることはない。
【0027】
加熱処理工程における加熱時間としては、特に限定されないが、好ましくは20分~9時間、より好ましくは1~6時間、さらに好ましくは1~3時間である。加熱時間が20分以上であると、高極性の不純物の加熱分解が十分に進む傾向にあり、9時間以下であると、加熱処理にかかるコストの増大を抑制することができる傾向にある。
【0028】
加熱処理工程における加熱温度としては、特に限定されないが、好ましくは120~200℃、より好ましくは130~170℃、さらに好ましくは140~160℃である。加熱温度が120℃以上であると、高極性の不純物の加熱分解が十分に進む傾向にあり、200℃以下であると、1,3-ブチレングリコールの加熱分解反応が抑制され、不純物が低減する傾向にある。
【0029】
加熱処理工程における加熱処理装置としては特に限定されず、例えば、連続式管型、回分式槽型、連続式槽型等の加熱処理装置が挙げられ、回分式を用いる場合は、撹拌効率の観点から、特に回分式槽型が好ましい。
【0030】
(抽出工程)
本実施形態の製品1,3-ブチレングリコールの製造方法における抽出工程は、加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコールを水及び有機溶媒と混合し、水層と有機層に相分離させた後、1,3-ブチレングリコールを含む水層を得る工程である。ここで、有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の環状脂肪族炭化水素類、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素類、ジエチルエーテル、ジブチルエーテル等のエーテル類、塩化メチレン、クロロホルム等の有機塩素化物類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、メチルイソブチルケトン等のケトン類等があげられ、中でも不純物除去の観点からケトン類あるいは環状脂肪族炭化水素が好ましく、メチルイソブチルケトンあるいはメチルシクロヘキサンがより好ましい。これらの有機溶媒は単独で用いてもよいし、2種以上を選択して任意の比で混合して用いてもよい。有機溶媒の使用量は、加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコール100質量部に対して、抽出効率の観点から、10~300質量部であることが好ましく、20~200質量部であることがより好ましい。
【0031】
水の使用量は、加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコール100質量部に対して、抽出効率の観点から、20~400質量部であることが好ましく、40~200質量部であることがより好ましい。加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコールに水及び有機溶媒を添加する順番については、特に限定されない。加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコールに水及び有機溶媒を混合する温度は、特に限定されないが、抽出効率の観点から、5~80℃の間の温度であることが好ましく、10~50℃の間の温度であることがより好ましい。
【0032】
加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコールと、水及び有機溶媒との混合は、例えば、回分式又は連続式等で実施することができる。回分式で実施する場合、例えば、混合槽に加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコール、水及び有機溶媒を入れ、好ましくは10秒~2時間撹拌した後、好ましくは1分~2時間静置して相分離し、1,3-ブチレングリコールを含む水層を得る形態等が挙げられる。得られた1,3-ブチレングリコールを含む水層に対して、さらに有機溶媒を加え攪拌し、相分離した後、1,3-ブチレングリコールを含む水層を得る操作を繰り返してもよく、繰り返す回数としては、1~3回が好ましい。この場合、添加する有機溶媒の使用量は、1回当たり、加熱処理後の粗1,3-ブチレングリコール100質量部に対して、10~300質量部であることが好ましい。
【0033】
連続式で実施する場合の装置としては、一般に連続抽出等に用いられる装置、例えば、ミキサーとセトラの組み合わせ、スプレー塔、充填塔、棚段塔等が使用できるが、特に、理論段数が3段以上の充填塔又は棚段塔を用いることが好ましい。
【0034】
(脱水蒸留工程)
本実施形態の製品1,3-ブチレングリコールの製造方法における脱水蒸留工程は、抽出工程で得た1,3-ブチレングリコールを含む水層から水を留去する工程である。脱水蒸留工程において用いる蒸留装置としては、例えば、多孔板塔、泡鐘塔、充填塔等が挙げられるが、中でも、理論段数が7~40段の充填塔が好ましい。蒸留塔は、1塔でもよいし、2塔以上のものを用いてもよい。蒸留の条件としては、蒸留塔の塔頂部の圧力が5~20kPaであることが好ましく、蒸留塔の塔底部の温度が120~160℃であることが好ましく、135~155℃であることがより好ましい。脱水蒸留工程の具体的な態様としては、例えば、1,3-ブチレングリコールを含む水層を蒸留塔の塔頂より連続的に供給し、塔頂より水を多く含む留分を連続的に抜き出すと同時に、塔底より1,3-ブチレングリコールを連続的に抜き出す方法等が挙げられる。
【0035】
(脱低沸蒸留工程)
本実施形態の1,3-ブチレングリコールの製造方法における脱低沸蒸留工程は、脱水蒸留工程で得た1,3-ブチレングリコールから低沸点成分を留去する工程である。脱低沸蒸留工程において用いる蒸留装置としては、例えば、多孔板塔、泡鐘塔、充填塔等が挙げられるが、中でも、理論段数が7~40段の充填塔が好ましい。蒸留塔は、1塔でもよいし、2塔以上のものを用いてもよい。蒸留の条件としては、蒸留塔の塔頂部の圧力が1~20kPaであることが好ましく、蒸留塔の塔底部の温度が100~160℃であることが好ましく、110~140℃であることがより好ましい。脱低沸蒸留工程の具体的な態様としては、例えば、1,3-ブチレングリコールを蒸留塔の塔頂より連続的に供給し、塔頂より低沸点分を多く含む留分を連続的に抜き出すと同時に、塔底より1,3-ブチレングリコールを連続的に抜き出す方法等が挙げられる。
【実施例
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。原料となる粗1,3-ブチレングリコールとしては、KHネオケム(株)製1,3-ブチレングリコール(製品名:1,3-ブチレングリコール)を用いた。また、各種分析及び評価は、以下に従って行った。
【0037】
[HPLC分析]
以下の条件で、製品1,3-ブチレングリコールのHPLC分析を行った。
(HPLC分析の条件)
試料調製:2,4-ジニトロフェニルヒドラジンカートリッジ(InertSep mini AERO DNPH、GL Sciences Inc.)にアセトニトリル5mLを加えて2,4-ジニトロフェニルヒドラジンを抽出した溶液1000μLと、0.2mol/L塩酸100μLを、1,3-ブチレングリコール0.05gに加えて45℃で2時間反応を行った。当該反応液をHPLCにて使用する移動相で2mLに希釈した溶液を測定試料とした。
分析装置:Agilent Technologies社製 Agilent 1200Series
検出器:Agilent Technologies社製 Agilent 1200Series UV-Vis検出器 G1314B
検出波長:369nm
分析カラム:Merck社製SUPELCO(登録商標) Ascentis(登録商標)RP-Amide(粒子径5μm、内径×長さ=4.6mm×25cm)
分析条件:カラム温度40℃
移動相:アセトニトリル/蒸留水=50/50(vol比)
移動相流量:0.4mL/min
試料注入条件:20μL
なお、Merck社製SUPELCO(登録商標) Ascentis(登録商標)RP-Amideは、パルミットアミドプロピル基修飾のシリカゲル(粒子径5μm、内径×長さ=4.6mm×25cm、ポアサイズ100Å、表面被覆率2.7μmol/m 2 、表面積450m 2 /g、金属不純物5ppm未満、カーボン含量19.5%)を固定相としたカラムである。
【0038】
上述の方法で調製した試料の測定では、炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体のピークを紫外分光光度計による369nmでの吸光度を測定した。なお、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンのピークの相対保持時間を1.0としたとき、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークを炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体のピークとした。
【0039】
[ガスクロマトグラフィー分析]
以下の条件で、対象となる製品1,3-ブチレングリコールのガスクロマトグラフィー分析を行った。
[ガスクロマトグラフィー分析の条件]
分析装置:Agilent Technologies社製 7890B ガスクロマトグラフィーSystem
分析カラム:Agilent Technologies社製 DB-WAX (長さ30m×内径0.25mm×膜厚0.25μm)
昇温条件:5℃/分で80℃から230℃まで昇温した後、230℃で10分間保持
試料導入温度:250℃
キャリアガス:窒素
カラムのガス流量:0.5mL/分
検出器及び検出温度:水素炎イオン化検出器(FID)、250℃
コントロールモード:コンスタントフロー
スプリット比:50:1
試料注入条件:1μL
【0040】
[臭気試験]
実施例及び比較例で得られた1,3-ブチレングリコールについて、以下の2通りの方法に従って臭気の評価を行った。
(臭気試験の条件)
1,3-ブチレングリコールの10重量%水溶液10gを20mLの広口ガラス瓶に入れてふたを閉め、室温で1分間激しく撹拌した。ふたを開けて臭気を嗅ぎ、標準臭気サンプルと比較して、試料の臭気レベルを決定した。評価人数は7名とし、各人の評価結果の平均点を算出し評点とした。
(におい戻り試験の条件)
1,3-ブチレングリコールの10重量%水溶液10gを20mLの広口ガラス瓶に入れてふたを閉め、50℃で3日間、加熱した。その後、室温まで冷却し、1分間激しく撹拌した。ふたを開けて臭気を嗅ぎ、標準臭気サンプルと比較して、試料の臭気レベルを決定した。評価人数は7名とし、各人の評価結果の平均点を算出し評点とした。なお、上記試験のことをにおい戻り試験と呼称する。
(評価)
KHネオケム(株)製1,3-ブチレングリコールの10重量%水溶液を臭気の標準臭気サンプルとし、サンプルの評点を5とした。臭気を感じない場合を評点1とし、その間を以下に従って評点2~4とした。
1:臭気を感じない
2:微かに臭気を感じる
3:弱い臭気を感じる
4:臭気を感じる
5:明瞭に臭気を感じる
【0041】
[皮膚感作性試験]
実施例1~2および比較例1で得られた1,3-ブチレングリコールについて、以下の方法に従って皮膚感作性の評価を行った。
[皮膚感作性試験の条件]
スクラム社製DPRA用システイン含有ペプチド15mgと、0.05Mリン酸緩衝液30mLとを混合し、当該ペプチドを0.667mM含有する0.05Mリン酸緩衝液溶液(以下、ペプチド溶液)を調製した。ペプチド溶液を調製してから1時間経過後、3つのHPLC用褐色サンプル瓶のそれぞれに、ペプチド溶液750μLと、アセトニトリル250μLとを入れ、基準溶液を3つ調製した。基準溶液を調製してから2時間経過後、別のHPLC用褐色サンプル瓶に、ペプチド溶液750μLと、アセトニトリル200μLと、1,3-ブチレングリコール50μLとを入れ検体溶液を調製した(検体溶液1)。さらに基準溶液を調製してから4時間経過後および6時間経過後に、同様の操作で検体溶液を調製した(検体溶液2および検体溶液3)。3つの基準溶液と検体溶液(検体溶液1、検体溶液2、検体溶液3)のそれぞれについて、各溶液を調製してから72±2時間経過後にHPLC分析による測定を行い、基準溶液と検体溶液のペプチドのピーク高さの3回平均値をそれぞれ算出した。算出した3回平均値より、下記式(1)を用いてペプチド減少率を算出した。

ペプチド減少率(%)=(検体溶液のペプチドのピーク高さの3回平均値/基準溶液のペプチドのピーク高さの3回平均値)×100 (1)

上記のペプチド溶液調製からHPLC分析による測定までの操作を合計3回実施し、算出したペプチド減少率の3回平均値を評価結果とした。また、本試験は再現性の観点から、比較する製品1,3-ブチレングリコールの検体を同日に試験した。

(皮膚感作性試験におけるHPLC分析の条件)
分析装置:Agilent Technologies社製 Agilent 1260 InfinityII
検出器:Agilent Technologies社製 Agilent 1260 InfinityII UV-Vis検出器 G7114A
検出波長:220nm
分析カラム:Agilent Technologies社製 Zorbax SB-C-18(粒子径3.5μm、内径×長さ=2.1mm×10mm)
カラム温度:30℃
測定時間:20min
移動相:
A 0.1体積%トリフルオロ酢酸水溶液
B 0.085体積%トリフルオロ酢酸アセトニトリル溶液
グラジエント:
A/B=90/10~75/25(10min)
A/B=75/25~10/90(1min)
A/B=10/90(2min)
A/B=10/90~90/10(0.5min)
A/B=90/10(6.5min)
移動相流量:0.35mL/min
試料注入条件:5μL
【0042】
[実施例1]
(加熱処理工程)
KHネオケム(株)製1,3-ブチレングリコール100gを三口フラスコに仕込み、オイルバス温度160℃で1時間、加熱処理を施した。
【0043】
(抽出工程)
次に加熱処理工程後の1,3-ブチレングリコール98g、水100g、メチルシクロヘキサン100gを500mLセパラブルフラスコに仕込み、温度を10℃とし回転数500回転/分で10分間撹拌後、5分間静置し、水層と有機層に相分離した。分離した水層にさらにメチルシクロヘキサン100gを加え、同様の操作を2回繰り返した。
【0044】
(脱水蒸留工程)
次に抽出工程後の水層をナスフラスコに仕込み、オイルバス温度150℃、8kPaで30分間、脱水濃縮し、1,3-ブチレングリコールを93g得た。
【0045】
(脱低沸蒸留工程)
脱水濃縮後の1,3-ブチレングリコールを20cmのビグリュー分留装置を取り付けた蒸留装置で、オイルバス温度120℃、1.2kPaで脱低沸蒸留を行い、蒸留装置塔頂から仕込み液量に対し、重量率2%分の留出液を留去した。その結果、製品1,3-ブチレングリコール87gを得た。
【0046】
得られた製品1,3-ブチレングリコールについて、上述の測定条件に従ってHPLC分析を行った結果、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和は453であった。また、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークに該当する成分として、炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体を含むことを上述の確認方法により確認した。
上述の測定条件に従ってGC分析を行った結果、1,3-ブチレングリコールのピークの面積率は99.71%であった。
製品1,3-ブチレングリコールについて臭気試験を行ったところ、臭気の評点は1、におい戻りの評点は2であった。また、皮膚感作性試験を行ったところ、ペプチド減少率3回平均値は6.6%であった。製品1,3-ブチレングリコールに関するこれらの結果を表1に示す。
【0047】
[実施例2]
抽出工程の抽剤をメチルイソブチルケトンとし、加熱処理工程の温度を140℃としたこと以外は実施例1と同様に行った。得られた製品1,3-ブチレングリコールについて、上述の測定条件に従ってHPLC分析を行った結果、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和は104であった。また、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークに該当する成分として、炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体を含むことを上述の確認方法により確認した。
上述の測定条件に従ってGC分析を行った結果、1,3-ブチレングリコールのピークの面積率は99.87%であった。
製品1,3-ブチレングリコールについて臭気試験を行ったところ、臭気の評点は1、におい戻りの評点は1であった。また、皮膚感作性試験を行ったところ、ペプチド減少率3回平均値は6.2%であった。製品1,3-ブチレングリコールに関するこれらの結果を表1に示す。
【0048】
[比較例1]
加水処理工程と脱低沸蒸留工程を実施せず、抽出工程の抽剤をメチルイソブチルケトンとしたこと以外は実施例1と同様に行った。以下、詳細を示す。
【0049】
(抽出工程)
KHネオケム(株)製1,3-ブチレングリコール100g、水100g、メチルイソブチルケトン100gを500mLセパラブルフラスコに仕込み、温度10℃とし回転数500回転/分で10分間撹拌後、5分間静置し、水層と有機層に相分離した。分離した水層にさらにメチルイソブチルケトン100gを加え、同様の操作を2回繰り返した。
【0050】
(脱水蒸留工程)
次に抽出工程で得られた水層をナスフラスコに仕込み、オイルバス温度150℃、8kPaで30分間、脱水濃縮し、1,3-ブチレングリコール79gを得た。
【0051】
脱水蒸留工程で得られた1,3-ブチレングリコールについて、上述の測定条件に従ってHPLC分析を行った結果、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和は1382であった。
得られた1,3-ブチレングリコールについて臭気試験を行ったところ、臭気の評点は3、におい戻りの評点は4であった。また、皮膚感作性試験を行ったところ、ペプチド減少率3回平均値は8.7%であった。1,3-ブチレングリコールに関するこれらの結果を表1に示す。
【0052】
【表1】
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明の1,3-ブチレングリコールは、合成樹脂の原料、界面活性剤の原料、溶媒、不凍液、化粧品原料等としての産業上利用可能性を有する。
【要約】
【課題】 無臭かつ経時による臭気が発生しないことに加えて、皮膚感作性も低減した、製品1,3-ブチレングリコールを提供すること。
【解決手段】 特定の試料調製実施後の特定条件下におけるHPLC分析において、2,4-ジニトロフェニルヒドラジンの相対保持時間を1.0としたときに、相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークの吸光度の面積値の和が1000以下であり、
前記相対保持時間が4.4~12.0の範囲に現れるピークに該当する成分として炭素数4~6のカルボニル化合物のジニトロフェニルヒドラジン誘導体を含む、製品1,3-ブチレングリコール。
【選択図】なし