(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】曲げられたコネクタを製造する方法、曲げられたコネクタおよびセンサ
(51)【国際特許分類】
B29C 45/14 20060101AFI20220610BHJP
B29C 33/12 20060101ALI20220610BHJP
H01R 43/00 20060101ALI20220610BHJP
H01R 43/24 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
B29C45/14
B29C33/12
H01R43/00 B
H01R43/24
(21)【出願番号】P 2021523410
(86)(22)【出願日】2019-10-23
(86)【国際出願番号】 EP2019078828
(87)【国際公開番号】W WO2020089001
(87)【国際公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】102018218629.4
(32)【優先日】2018-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390023711
【氏名又は名称】ローベルト ボツシユ ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
【住所又は居所原語表記】Stuttgart, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヴェラー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ブラインリンガー
(72)【発明者】
【氏名】フレデリック クーザン
【審査官】関口 貴夫
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-175853(JP,A)
【文献】特表2009-508126(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016210532(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C 45/00-45/84
H01R 24/00、43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
射出成形によってプラスチック材料により取り囲まれたバスバーセット(200)を備えた曲げられたコネクタ(102)を製造する方法であって、
前記バスバーセット(200)を予備製造するために、基準平面(206)内で相並んで位置する、少なくとも絶縁距離(204)により互いに離間した、分離ウェブ(304)を介して一時的に互いに結合されている少なくとも2つのバスバー(202)を導電性の平坦材料から切り出し、前記バスバー(202)が、基準方向(208)に配向された始端領域(210)と、横方向(214)に配向された終端領域(216)と、前記基準方向(208)から前記横方向(214)へのカーブ形の移行領域(218)と、曲げ領域(222)とをそれぞれ備えていて、前記バスバー(202)の前記曲げ領域(222)が、1つの共通の曲げ線(220)に配向されていて、該曲げ線(220)が、前記基準方向(208)に対して所定の曲げ線角度(226)で配向されており、
前記バスバー(202)を、第1の射出成形工具を使用しながら、非導電性のプラスチック材料から成る少なくとも1つのブリッジ(308)で結合し、
前記分離ウェブ(304)を切断し、
曲げ工具を使用しながら、前記バスバー(202)を前記曲げ領域(222)において変形加工し、前記バスバー(202)の前記終端領域(216)を、前記曲げ線(220)において、前記基準平面(206)から出るように折曲げ角度(212)だけ折り曲げ、
前記予備製造されたバスバーセット(200)を、第2の射出成形工具を使用しながら、前記始端領域(210)と前記終端領域(216)との間で、射出成形により非導電性のプラスチック材料から成るケーシング(110)によって取り囲む、方法。
【請求項2】
複数のバスバーセット(200)のための前記バスバー(202)を、規則的なパターンとして前記平坦材料から切り出し、前記分離ウェブ(304)を介して前記パターンの縁部領域(306)に結合されたままにし、前記平坦材料を、前記縁部領域(306)をもって前記第1の射出成形工具に搬送し、前記バスバーセット(200)を前記分離ウェブ(304)の切断時に前記パターンから個別化する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記ブリッジ(308)を前記ケーシング(110)と同一のプラスチック材料から製造する、請求項1または2記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、射出成形によってプラスチック材料により取り囲まれたバスバーセットを備えた曲げられたコネクタを製造する方法と、射出成形によってプラスチック材料により取り囲まれたバスバーセットを備えた曲げられたコネクタと、曲げられたコネクタを備えたセンサとに関する。
【0002】
先行技術
導電性の導体路は、射出成形によって非導電性のプラスチック材料により取り囲むことができ、これにより導体路の位置ならびに導体路間の絶縁距離を固定することができる。
【0003】
発明の開示
この背景から、本明細書において紹介されるアプローチにより、独立請求項に記載の形式の射出成形によってプラスチック材料により取り囲まれたバスバーセットを備えた曲げられたコネクタを製造する方法と、射出成形によってプラスチック材料により取り囲まれたバスバーセットを備えた曲げられたコネクタと、最終的には、曲げられたコネクタを備えたセンサとが提案される。本明細書において提案されたアプローチの有利な変化形および改良形は、明細書から明らかであり、従属請求項に記載されている。
【0004】
発明の利点
本発明の実施形態は、有利な形式で、個別の曲げ工程により、2つの空間方向で交差した接続領域を有するコネクタのためのバスバーを提供することを可能にする。
【0005】
射出成形によってプラスチック材料により取り囲まれたバスバーセットを備えた曲げられたコネクタを製造する方法であって、
バスバーセットを予備製造するために、基準平面内で相並んで位置する、少なくとも絶縁距離により互いに離間した、分離ウェブを介して一時的に互いに結合されている少なくとも2つのバスバーを導電性の平坦材料から切り出し、バスバーが、基準方向に配向された始端領域と、横方向に配向された終端領域と、基準方向から横方向へのカーブ形の移行領域と、曲げ領域とをそれぞれ備えていて、バスバーの曲げ領域が、1つの共通の曲げ線に配向されていて、該曲げ線が、基準方向に対して所定の曲げ線角度で配向されており、
バスバーを、第1の射出成形工具を使用しながら、非導電性のプラスチック材料から成る少なくとも1つのブリッジで結合し、
分離ウェブを切断し、
曲げ工具を使用しながら、バスバーを曲げ領域において変形加工し、バスバーの終端領域を、曲げ線において、基準平面から出るように折曲げ角度だけ折り曲げ、
予備製造されたバスバーセットを、第2の射出成形工具を使用しながら、始端領域と終端領域との間で、射出成形により非導電性のプラスチック材料から成るケーシングによって取り囲む、方法が提案される。
【0006】
さらに、射出成形によってプラスチック材料により取り囲まれた、予備製造されたバスバーセットを備えた曲げられたコネクタであって、バスバーセットが、導電性の平坦材料から成る、少なくとも絶縁距離により互いに離間した、相並んで位置する少なくとも2つのバスバーを有していて、バスバーが、基準平面内で基準方向に配向された始端領域と、基準平面から出るように折曲げ角度だけ折り曲げられ、横方向に配向された終端領域と、基準方向から横方向へのカーブ形の移行領域と、曲げ線に配向された曲げ領域とをそれぞれ有していて、曲げ線が、基準方向に対して曲げ線角度で配向されていて、バスバーセットが、始端領域と終端領域との間で、射出成形により非導電性のプラスチック材料から成るケーシングにより取り囲まれている、曲げられたコネクタが提案される。
【0007】
さらに、上述のアプローチによるコネクタを備えたセンサであって、センサのセンサ電子機器が、始端領域に結合されていて、バスバーの終端領域が、センサの曲げられた電気的な接続部を形成する、センサが提案される。
【0008】
本発明の実施形態に対する発想は、特に、以下に記載の思想および知識に基づくものと見なすことができる。
【0009】
バスバーセットとは、相並んで配置されていて、実質的に同一の経過を辿るバスバーの束であると理解することができる。バスバーセットの複数のバスバーは、1つの共通の作業ステップにおいて製造される。複数のバスバーセットを相並んで同一の作業ステップにおいて製造することもできる。導電性の平坦材料は、金属製の薄板であってよい。平坦材料は、切出しのため1枚ずつ、または帯材として供給することができる。切出しは、たとえばレーザ切断または打抜きにより行うことができる。
【0010】
第1の射出成形工具は、射出成形によってプラスチック材料により取り囲むことが可能であるバスバーセット毎に、ブリッジを一次成形するための少なくとも1つの金型中空室を有していてよい。射出成形工具内で、1つの作業ステップにおいて、複数のバスバーセットを射出成形によってプラスチック材料により取り囲むこともできる。射出成形工具は、バスバーのための切欠きを有していてもよい。バスバーは、切欠きによりぴったりと取り囲むことができ、これにより金型中空室をプラスチック材料の漏れに対して密閉することができる。
【0011】
分離ウェブは、同様に打抜きまたはレーザ切断により切断することができる。落とされた分離ウェブは再利用することができる。折曲げのために、曲げエッジに設けられた曲げ線を曲げることができる。曲げ領域は、規定された曲げ半径で曲げることができる。分離ウェブの切断は、折曲げにより1つの共通の作業ステップにおいて行うことができる。
【0012】
第2の射出成形工具は、ブリッジ用の収容部を有していてよい。バスバーセットは、ブリッジを介して第2の射出成形工具内で配向することができる。
【0013】
複数のバスバーセットのための複数のバスバーは、規則的なパターンとして平坦材料から切り出すことができる。バスバーセットは、分離ウェブを介して、パターンの縁部領域に結合されたままであってよい。平坦材料は、縁部領域をもって第1の射出成形工具内に搬送することができる。バスバーセットは、分離ウェブの切断時に、パターンから個別化することができる。パターンは、特に帯材から切り出すことができる。縁部領域により、バスバーセットを搬送し、配向することができる。
【0014】
ブリッジは、ケーシングと同一のプラスチック材料から製造することができる。ブリッジは、ケーシングに吸収されてよい。したがって良好な結合部を達成することができる。
【0015】
終端領域は、曲げ線に対して側方にずらされて平行に配置されていてよい。これにより、終端領域は、折曲げ時に曲げ線を中心として回転することができ、折曲げ後に曲げ平面に対して対称的に配向されていてよい。横方向は、製造公差の範囲内で、曲げ方向に対して曲げ線角度で配向されていてよい。曲げ線角度は、必要に応じて自由に選択することができる。
【0016】
複数のバスバーは、少なくとも1つのオフセット領域をそれぞれ有していてよい。オフセット領域は、始端領域と曲げ領域との間に配置されていてよい。代替的または補足的に、オフセット領域は、移行領域と終端領域との間に配置されていてよい。オフセット領域により、隣接する2つの領域の平行移動を達成することができる。オフセット領域により、特に2つのオフセット領域により、コネクタをコンパクトに形成することができる。
【0017】
始端領域および/または終端領域は、差込ピンとして成形されていてよく、テーパ形に延びていてよい。始端領域および/または終端領域は、ケーシングから少なくとも部分的に突出している。テーパ形の構成により、差込ピンを対応する対向部材内に良好に導入することができる。
【0018】
ケーシングは、始端領域および/または終端領域の領域において管状に、バスバーの端部を越えて延長されていてよい。ケーシングの延長部は、始端領域および/または終端領域のための保護部として役立つことができる。付加的には、延長部は、コネクタの対向部材をガイドするためのガイド面を有していてよい。同様に、少なくとも1つのロックエレメントが延長部に設けられていてよく、これにより、対向部材を挿入された位置においてロックすることができる。
【0019】
ケーシングは、構造構成部材にコネクタを取り付けるための取付けエレメントを有していてよい。取付けエレメントは、たとえば取付けアイであってよい。取付けアイは、側方でケーシングから突出していてよい。構造構成部材は、たとえばホイールサスペンションの一部であってよい。
【0020】
本発明の可能な特徴および利点のいくつかが、種々異なる実施形態に関連して本明細書に記載されていることに留意されたい。当業者であれば、本発明の別の実施形態に到達するために、方法、コネクタ、およびセンサの特徴を適切な形式で組み合わせ、適合させ、または交換することができることを認識するであろう。
【0021】
以下に本発明の実施形態を、添付の図面に関連して説明する。図面も説明も、本発明を制限するものとして解釈すべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】1つの実施例によるセンサを示す図である。
【
図1b】コネクタのための従来のバスバーセットの製造工程を示す図である。
【
図2】1つの実施例によるコネクタの断面図である。
【
図3】1つの実施例によるバスバーセットを予備製造するための複数の製造中間状況を示す図である。
【0023】
図面は単に概略的であり、正しい縮尺で示されていない。同一の参照符号は、複数の図面において同一の特徴または同様に作用する特徴を示している。
【0024】
本発明の実施形態
図1aは、1つの実施例によるセンサ100の図を示している。センサ100は、本実施例では、車両のホイール用のホイールスピードセンサである。センサ100は、本実施例では、複数の個別部材から構成されている。コネクタ102は、センサ100のセンサ電子機器のための支持体104に結合されている。車両のホイールサスペンションの領域における限られた構造空間に基づいて、センサ100は、曲げられた形状を有している。この形状では、コネクタ102は、センサ電子機器のための、支持体の主延在方向に配向された接続部と、この主延在方向に対して横方向に配向された、センサ100の電気的な接続部としての差込ソケット106とを有している。
【0025】
センサ100は、ホイールサスペンションにおける取り付けのための取付けエレメント108をさらに有している。この取付けエレメントは、コネクタ102と、支持体104との間の接続部の高さに配置されている。取付けエレメント108は、この実施例では、取付けアイとして形成されている。取付けアイの取付け方向は、支持体104の主延在方向に対してほぼ平行に配向されている。
【0026】
1つの実施例では、コネクタ102と支持体104とは、一体的に形成されている。コネクタ102と支持体104とは、1つの共通のケーシング110内に構成されている。この場合、センサ電子機器は、センサの製造時に、プラスチック射出成形によりプラスチック材料により密に取り囲まれるか、または射出成形プロセス後にケーシング110の閉鎖可能な切欠き内に配置され、射出成形によってケーシング110により取り囲まれたバスバーに結合されてよい。
【0027】
1つの実施形態では、ケーシング110は、差込ソケットを形成するために管状に形成されている。差込ソケットの内室では、バスバーは、損傷および接触に対して保護されている。バスバーは、本実施例では、ケーシング110により覆い隠されている。ケーシング110は、バスバーを越えて延びている。
【0028】
図1bは、コネクタ102用の従来の電気的な接触ピン112の製造工程の図が示されている。従来の接触ピン112は、切り出され、曲げられ、捩られる。従来の接触ピン112は、たとえば従来のセンサ100内に組み込むことができる。接触ピン112は、平坦な金属薄板から切り出される。切り出された接触ピン112は、主に1方向に延びる形状を有している。切出し後に、接触ピン112は、予備射出成形によりプラスチック材料によって取り囲まれる。接触ピン112の1つの端部毎に、曲げ箇所114において平面から出るように折り曲げられる。次いで、接触ピン112は、捻り領域116において螺旋状に互いに捩られ、これにより、折り曲げられた端部を横方向に配向することができる。この際に、この捻りは、完全に再現可能ではなく、これにより加工してコネクタ102を形成することが困難になってしまう。
【0029】
図2は、1つの実施例によるコネクタ102の断面図を示している。コネクタ102は、
図1に図示されたコネクタにほぼ一致する。コネクタ102は、射出成形によりケーシング110によって取り囲まれた、予備製造された新規のバスバーセット200を有している。バスバーセット200は、導電性の平坦材料もしくは帯材から成る、相並んで位置する少なくとも2つのバスバー202を有している。これらのバスバー202は、少なくとも所定の絶縁距離204により互いに離間している。これらのバスバー202は、基準平面206内で基準方向208に配向された始端領域210と、折曲げ角度212だけ基準平面206から出るように折り曲げられ、横方向214に配向された終端領域216と、基準方向208から横方向214へのカーブ形の移行領域218と、曲げ線220に配向された曲げ領域222とをそれぞれ有している。
【0030】
曲げ領域222は、始端領域210と移行領域218との間に配置されている。基準方向208は、本実施例では、中心線224により始端領域210間に図示されている。始端領域210は、互いに対して平行に配向されている。終端領域216も、互いに対して平行に配向されている。始端領域210と終端領域216とは、部分的にケーシング110から突き出ている。
【0031】
曲げ線220は、基準方向208に対して曲げ線角度226で配向されている。曲げ線220は、中心線224と、曲げ線角度226を形成しながら交差する。終端領域216と移行領域218とは、折曲げ角度212で基準平面206に対して横方向に延びる折曲げ平面228内に位置している。折曲げ平面228と基準平面206とは、曲げ線220で交差する。曲げ線220において、中心線224の延長部が折曲げ角度212だけ折り曲げられ、引き続き折曲げ平面228で延びる。横方向214は、本実施例では、別の中心線230により、終端領域216間に図示されている。この別の中心線230の延長部は、中心線224の延長部と、横方向角度232で交差する。本実施例では、横方向角度232は、曲げ線角度226に一致する。つまり、横方向214に延びる別の中心線230は、折曲げ平面228内で曲げ線220に対して平行に位置している。
【0032】
バスバーセット200は、始端領域210と終端領域216との間で、射出成形により非導電性のプラスチック材料から成るケーシング110によって取り囲まれている。始端領域210と終端領域216とは、部分的に露出していて、ケーシング110から突出している。
【0033】
図3は、1つの実施例によるバスバーセット200を予備製造するための複数の製造中間状況の図を示している。このバスバーセット200は、
図2に示したバスバーセットに実質的に一致する。ケーシングを製造するための射出成形前の製造中間状況が図示されている。
図2に示した図面とは異なり、終端領域216は、始端領域210よりも、互いに対して大きな距離204を有している。
図2に示した図面に対して付加的に、バスバー202は、始端領域210と終端領域216との間でオフセット領域300,302を有している。第1のオフセット領域300は、始端領域210と曲げ領域222との間に配置されている。第2のオフセット領域302は、移行領域218と終端領域216との間に配置されている。
【0034】
第1のオフセット領域300により、曲げ領域222と移行領域218とは、第1のオフセット量だけ中心線224に対して側方にずらされて配置されている。第1のオフセット量により、終端領域216は、始端領域210のより近傍に配置されている。バスバーセット200は、これによりコンパクトに形成されていてよい。第2のオフセット領域302により、移行領域218は、第2のオフセット量だけ別の中心線230から側方に配置されている。第2のオフセット量は、バスバー202毎に種々異なる大きさであり、これにより比較的大きな距離204が生じる。第2のオフセット領域302により、別の中心線230は、製造公差の範囲内で両曲げ領域222を通る曲げ線220に対して同軸的に配向されている。折曲げ後に、終端領域216のうちの一方の終端領域216は、所定の距離で基準平面の上に位置する一方、他方の終端領域216は、同じ距離で基準平面の下に位置する。
【0035】
曲げ線角度226は、本実施例では90°よりも大きい。特に、曲げ線角度226は、92.5°である。曲げ線角度226は、種々異なる組込み状況を網羅するために変更することができる。
【0036】
第1の製造中間状況では、バスバーが金属薄板から切り出されるが、未だに金属薄板から成る分離ウェブ304を介して、この金属薄板の縁部領域306に、かつバスバー同士で結合されている。切出し時に、側方の凹設部310がバスバー202から切り取られ、これによりプラスチック材料から成るブリッジ308との形状結合を可能にすることができる。終端領域216は、コネクタの差込ピンとして形成されていて、テーパ形に延びて形成されている。
【0037】
第2の製造中間状況では、バスバー202は、引き続き分離ウェブ304を介して、縁部領域306に、かつバスバー202同士で結合されている。第1の射出成形工具を使用しながら、非導電性のプラスチック材料から成るブリッジ308が凹設部310の領域において一体的に射出成形されている。プラスチック材料が凹設部310を満たすので、バスバーセット200をプラスチック材料により取り囲むように射出成形する時に、バスバー202とブリッジ308との間で形状結合が形成されている。第1のブリッジ308は、始端領域210と第1のオフセット領域300との間で一体的に射出成形されている。第2のブリッジ308は、終端領域216と第2のオフセット領域302との間で一体的に射出成形されている。
【0038】
第3の製造中間状況では、分離ウェブ304が分離されている。バスバーセット200は、今、縁部領域306にもはや結合されていない。同様に、バスバー202も、もはや互いに導電性に結合されていない。ブリッジ308は、バスバー202間の機械的な結合とおよび距離204とを確保する。
【0039】
第4の製造ステップでは、曲げ領域が変形され、終端領域216、第2のオフセット領域302および移行領域218が、引き続き基準平面内に配置されている第1のオフセット領域300および始端領域210に対して、折曲げ角度だけ折り曲げられている。終端領域216、第2のオフセット領域302および移行領域218は、今、折曲げ平面228内に配置されている。
【0040】
後続の製造ステップにおいて、バスバーセット200は、第2の射出成形工具内に嵌め込まれ、ケーシングが一体的に射出成形される。バスバー202が、ケーシングのために、ブリッジ308のためのプラスチック材料と同一のプラスチック材料で取り囲まれるように射出成形が行われる場合、ブリッジ308のプラスチック材料を、少なくとも部分的に溶融させることができ、射出されたプラスチック材料と混合させることができる。異なるプラスチック材料が使用される場合、ブリッジ308の溶融温度が、混合が行われるか否かを決定する。
【0041】
1つの実施例では、第1の製造中間状況を達成するために、バスバーセット200が、連続材料もしくはロール材料から打ち抜かれる。バスバーセット200と縁部領域306とは、その際に規則的なパターンを形成する。このパターン内に、同一の多数のバスバーセット200が相並んで配置されている。打抜き時に、取扱い幾何学構造部312を縁部領域306において打ち抜くことができる。取扱い幾何学構造部312を使用しながら、連続材料を加工ステップから加工ステップへと搬送することができ、使用される工具内で位置調整することができる。分離ウェブ304の分離により、バスバーセット200が個別化される。
【0042】
最後に、「有している」「含んでいる」等の用語は、別のエレメントまたはステップを排除するものではなく、「この(ein, eine)」という用語は、複数を排除しないことに留意されたい。請求項における符号は、制限するものと見なすことはできない。