(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-09
(45)【発行日】2022-06-17
(54)【発明の名称】光起電デバイス用の金属酸窒化物バック接点層
(51)【国際特許分類】
H01L 31/073 20120101AFI20220610BHJP
H01L 31/0224 20060101ALI20220610BHJP
【FI】
H01L31/06 420
H01L31/04 260
(21)【出願番号】P 2021546240
(86)(22)【出願日】2020-02-06
(86)【国際出願番号】 US2020016944
(87)【国際公開番号】W WO2020163562
(87)【国際公開日】2020-08-13
【審査請求日】2021-10-07
(32)【優先日】2019-02-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510328032
【氏名又は名称】ファースト・ソーラー・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100104374
【氏名又は名称】野矢 宏彰
(72)【発明者】
【氏名】ジン,チャーンミン
(72)【発明者】
【氏名】サンカー,ビジャイ・カルティク
【審査官】桂城 厚
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/157106(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/056295(WO,A1)
【文献】特表2010-533985(JP,A)
【文献】特表2009-542008(JP,A)
【文献】特表2016-517182(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0156828(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 31/00-31/119
H01L 31/18-31/20
H01L 51/42-51/48
H02S 10/00-10/40
H02S 30/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カドミウムとテルルとを含む吸収層(160)、
アルミニウムを含む層(276)によって形成される表面を有する導電層(190)、および
前記吸収層(160)と前記導電層(190)との間のバック接点(180)
を含む光起電デバイス(100、200)であって、
前記バック接点(180)は、第1の表面(182)および第2の表面(184)を有し、かつ前記バック接点の第1の表面(182)と前記バック接点の第2の表面(184)との間で画定される厚さを有し、
前記バック接点の第2の表面(184)が、前記導電層(190)の表面に接し、
前記バック接点(180)が、
金属酸窒化物材料を含む層(210)、および
前記金属酸窒化物材料を含む層(210)と前記バック接点(180)の第1の表面(182)との間に位置する、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層(220、230)
を含
み、
前記バック接点が、金属窒化物材料を含む層(250)を含み、
前記金属窒化物材料を含む層(250)が、前記金属酸窒化物材料を含む層(210)よりも前記バック接点(180)の第2の表面(184)の近くに位置し、そして
前記金属窒化物材料が、30%~70%の金属の濃度および70%~30%の窒素の濃度を有する、
上記光起電デバイス(100、200)。
【請求項2】
前記金属酸窒化物材料が、IV族遷移金属、V族遷移金属、又はVI族遷移金属を含む、請求項1に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項3】
前記金属酸窒化物材料が、50%未満の酸素を含む、請求項1または2に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項4】
前記金属酸窒化物材料が、50%未満の窒素を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項5】
前記バック接点(180)が、前記金属酸窒化物材料を含む層(210)と、前記亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層(220、230)との間に配置された高純度金属層(240)を含み、
前記高純度金属層(240)が、少なくとも80%の金属を含む、
請求項1~4のいずれか一項に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項6】
前記高純度金属層(240)の金属がチタンである、請求項5に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項7】
前記高純度金属層(240)の厚さが、前記金属酸窒化物材料を含む層(210)の厚さより薄い、請求項5又は6に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項8】
前記金属窒化物材料の金属が、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル、又はジルコニウムである、請求項
1~7のいずれか一項に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項9】
前記金属窒化物材料を含む層(250)の厚さの前記金属酸窒化物材料を含む層(210)の厚さに対する比が、少なくとも2:1である、請求項
1~8のいずれか一項に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項10】
前記バック接点(180)の第2の表面(184)が、前記金属窒化物材料を含む層(250)によって形成される、請求項
1~9のいずれか一項に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項11】
前記バック接点(180)が、金属窒化物材料を含む第2の層(270)を含み、
前記金属窒化物材料を含む第2の層(270)が、前記金属酸窒化物材料を含む層(210)に隣接する、
請求項
10に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項12】
前記バック接点(180)が、金属酸窒化物材料を含む第2の層(260)を含み、
前記金属酸窒化物材料を含む第2の層(260)が、前記金属酸窒化物材料を含む層(210)と前記亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層(220、230)との間に位置する、請求項1~
11のいずれか一項に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項13】
前記金属酸窒化物材料を含む層(210)および前記金属酸窒化物材料を含む第2の層(260)が、異なる金属から形成される、請求項
12に記載の光起電デバイス(100、200)。
【請求項14】
前記導電層(190)が、クロムを含む層(278)によって形成される第2の表面(194)を有する、請求項1~
13のいずれか一項に記載の光起電デバイス(100、200)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]本出願は、参照により本明細書に組み込まれる、2019年2月6日に出願された米国特許出願第62/801,965号の優先権を主張するものである。
[0002]本明細書は全般的に、1つ又は複数の金属バック接点層を有する光起電デバイス、より詳細には、1つ又は複数の金属酸窒化物バック接点層を有する光起電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
[0003]光起電デバイスは、光起電力効果を示す半導体材料を使用して光を直流電流に変換することによって電力を発生させる。ある種の半導体材料は、製造が困難な場合がある。例えば、バック接点の層に与えられる特定のドーパントは、バック接点を通って且つバック接点全体にわたって拡散することができ、光起電デバイスの動作不能又は不安定性につながり得る。
【0003】
[0004]したがって、光起電デバイスで使用するための代替のバック接点層の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0004】
[0005]本明細書中で提供される実施形態は、改善されたバック接点を有する光起電デバイスに関する。本明細書に記載の実施形態によって提供されるこれらのおよび追加の特徴は、図面と併せて以下の詳細な説明を考慮して、より完全に理解されるであろう。
【0005】
[0006]図面中に記載される実施形態は、事実上例証的且つ例示的であり、特許請求の範囲によって規定される主題を限定することを意図しない。以下の例示的実施形態の詳細な説明は、以下の図面(類似の構造は、類似の数値で示される)と併せて読むと理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】[0007]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態による光起電デバイスの横断面図を概略的に示す。
【
図2】[0008]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態による基板を概略的に示す。
【
図3】[0009]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態による光起電デバイスの横断面図を概略的に示す。
【
図4】[0010]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるバック接点を概略的に示す。
【
図5】[0010]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるバック接点を概略的に示す。
【
図6】[0010]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるバック接点を概略的に示す。
【
図7】[0010]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるバック接点を概略的に示す。
【
図8】[0010]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるバック接点を概略的に示す。
【
図9】[0011]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態による導電層を概略的に示す。
【
図10】[0012]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるバック接点を形成するためのフローチャートを示す。
【
図11】[0013]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるデバイスと比較した比較例の試験結果を示す。
【
図12】[0014]本明細書中に図示および記載の1つ又は複数の実施形態によるデバイスと比較した比較例の試験結果を示す。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[0015]金属窒化物バック接点を有する光起電デバイスの実施形態が、本明細書中に提供される。光起電デバイスおよび光起電デバイスを形成するための方法のさまざまな実施形態は、本明細書中でより詳細に説明される。
【0008】
[0016]ここで
図1を参照して、光起電デバイス100の実施形態が概略的に示される。光起電デバイス100は、受光し、光を電気信号に変換するよう構成することができ、例えば、光子は光から吸収されて、光起電力効果を介して電気信号に変換され得る。これに応じて、光起電デバイス100は、例えば太陽などの光源に曝露されるように構成されたエネルギー側102を画定することができる。また、光起電デバイス100は、例えば、複数の材料層などによって、エネルギー側102からオフセットされる反対側104も画定することができる。用語「光」は、これらに限定されないが、電磁スペクトルの紫外(UV)部、赤外(IR)部および可視部の波長などの電磁スペクトルのさまざまな波長を指すことができる。「太陽光」は、本明細書中で用いられる場合、太陽によって放出される光を指す。光起電デバイス100は、エネルギー側102と反対側104との間に配置された複数の層を含むことができる。本明細書中で用いられる場合、用語「層」は、表面上に設けられた材料の厚さを指す。各層は、表面の全ての又はいずれかの部分を覆うことができる。
【0009】
[0017]
図1および
図2をひとまとめに参照して、光起電デバイス100の層は、光の光起電デバイス100中への透過を促進するように構成された基板110を含むことができる。基板110は、光起電デバイス100のエネルギー側102に配置されていてもよい。基板110は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面112と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面114と、を有することができる。1つ又は複数の材料層は、基板110の第1の表面112と第2の表面114との間に配置されていてもよい。
【0010】
[0018]基板110は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面122と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面124と、を有する透明層120を含み得る。一部の実施形態では、透明層120の第2の表面124は、基板110の第2の表面114を形成することができる。透明層120は、例えばガラスなどの実質的に透明な材料から形成することができる。好適なガラスとしては、ソーダ石灰ガラス、又は還元鉄分を有するいずれかのガラスを挙げることができる。透明層120は、一部の実施形態では約250nm~約1,300nm、又は他の実施形態では約250nm~約950nmを含めた、いずれの好適な透過率を有し得る。透明層120は、例えば、一実施形態では約50%超、別の実施形態では約60%超、更に別の実施形態では約70%超、更なる実施形態では約80%超、又は別の更なる実施形態では約85%超を含めた、いずれの好適な透過率も有し得る。一実施形態において、透明層120は、約90%以上の透過率を有するガラスから形成され得る。任意に、基板110は、透明層120の第1の表面122に適用されたコーティング126を含むことができる。コーティング126は、光と相互作用するように又は基板110の耐久性を改善するように構成され得、これらに限定されないが、反射防止コーティング、汚れ防止コーティング、又はこれらの組合せなどがある。
【0011】
[0019]再度、
図1を参照して、光起電デバイス100は、劣化又は層間剥離をもたらし得る基板110からの混入物(例えば、ナトリウム)の拡散を緩和するように構成されている障壁層130を含むことができる。障壁層130は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面132と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面134と、を有し得る。一部の実施形態では、障壁層130は、基板110に隣接して設けられ得る。例えば、障壁層130の第1の表面132は、基板100の第2の表面114上に設けられていてもよい。語句「に隣接する」は、本明細書中で用いられる場合、2つの層が接触して配置され、少なくとも層の一部の間に何らかの介在材料を有さないことを意味する。
【0012】
[0020]一般的に、障壁層130は、実質的に透明で、熱的に安定的であり、ピンホールの数が少なく、高いナトリウム遮断能力を有し、良好な付着性を有し得る。或いは又は加えて、障壁層130は、光に色抑制を適用するように構成されていてもよい。障壁層130は、これらに限定されないが、酸化スズ、二酸化ケイ素、アルミニウムドープ酸化ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、又は酸化アルミニウムなどを含めた好適な材料の1つ又は複数の層を含むことができる。障壁層130は、第1の表面132および第2の表面134によって制限されたいずれかの好適な厚さ(例えば、一実施形態では約100Å超、別の実施形態では約150Å超、又は更なる実施形態では約200Å未満を含む)を有し得る。
【0013】
[0021]更に
図1を参照して、光起電デバイス100は、電気接点を設けて、光起電デバイス100によって発生する電荷担体を輸送するように構成される透明導電性酸化物(TCO)層140を含むことができる。TCO層140は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面142と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面144と、を有し得る。一部の実施形態において、TCO層140は、障壁層130に隣接して設けられていてもよい。例えば、TCO層140の第1の表面142は、障壁層130の第2の表面134上に設けられていてもよい。一般的に、TCO層140は、実質的に透明で、広バンドギャップを有するn型半導体材料の1つ又は複数の層から形成することができる。具体的には、広バンドギャップは、光の光子のエネルギーと比較して大きなエネルギー値を有することができ、不要な吸光を緩和できる。TCO層140は、これらに限定されないが、酸化スズ、フッ素ドープ酸化スズ(例えば、F:SnO、F:SnO
2又はF:SnO
x)、酸化インジウムスズ、又はスズ酸カドミウムなどを含めた好適な材料の1つ又は複数の層を含むことができる。
【0014】
[0022]光起電デバイス100は、TCO層140といずれかの隣接する半導体層との間に絶縁層を設けるように構成されている緩衝層150を含むことができる。緩衝層150は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面152と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面154と、を有することができる。一部の実施形態において、緩衝層150は、TCO層140に隣接して設けられていてもよい。例えば、緩衝層150の第1の表面152は、TCO層140の第2の表面144上に設けられていてもよい。緩衝層140は、TCO層140より高い抵抗率を有する材料(これらに限定されないが、真性酸化スズ(SnO、SnO2又はSnOx)、酸化マグネシウム(MgO)、酸化亜鉛マグネシウム(例えば、Zn1-xMgxO)、二酸化ケイ素(SiO2)、酸化マンガン(MnOx)、窒化ケイ素(SiNx)又はこれらのいずれかの組合せなどを含む)を含んでいてもよい。
【0015】
[0023]光起電デバイス100は、別の層と協同して、光起電デバイス100内にpn接合を形成するように構成されている吸収層160を含むことができる。これに応じて、光の吸収光子は、電子正孔対を解放し、担体流動を発生させることができ、電力を生み出すことができる。吸収層160は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面162と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面164と、を有し得る。吸収層160の厚さは、第1の表面162および第2の表面164間で画定され得る。吸収層160の厚さは、約0.5μm~約10μm、例えば、一実施形態では約1μm~約7μm、又は別の実施形態では約1.5μm~約4μmなどであってもよい。
【0016】
[0024]本明細書に記載の実施形態によれば、吸収層160は、過剰の正電荷担体、すなわち正孔又はアクセプタを有するp型半導体材料から形成することができる。吸収層160は、II~VI族半導体などのいずれかの好適なp型半導体材料を含むことができる。具体例としては、これらに限定されないが、カドミウム、テルル、セレン、又はこれらのいずれかの組合せを含む半導体材料が挙げられる。好適な例としては、これらに限定されないが、カドミウム、セレンおよびテルルの3成分(例えば、CdSexTe1-x)、又はカドミウム、セレン、テルル、および1個若しくは複数の添加元素を含む化合物が挙げられる。
【0017】
[0025]吸収層160がテルルおよびカドミウムを含む実施形態において、テルルの原子百分率は、約25原子百分率以上、約50原子百分率以下、例えば、一実施形態では約30原子百分率超、約50原子百分率未満、更なる実施形態では約40原子百分率超、約50原子百分率未満、又は更に別の実施形態では約47原子百分率超、約50原子百分率未満などであってもよい。或いは又は加えて、吸収層160中のテルルの原子百分率は、約45原子百分率超、例えば一実施形態では約49%超などであってもよい。本明細書に記載の原子百分率は、吸収層160の全体を表し、吸収層160内の特定の位置における材料の原子百分率は、吸収層160の全組成と比較して厚さに応じて変動し得ることに留意されたい。
【0018】
[0026]吸収層160がセレンおよびテルルを含む実施形態において、吸収層160中のセレンの原子百分率は、約0原子百分率超、約25原子百分率以下、例えば、一実施形態では約1原子百分率超、約20原子百分率未満、別の実施形態では約1原子百分率超、約15原子百分率未満、又は更なる実施形態では約1原子百分率超、約8原子百分率未満であってもよい。テルル、セレン、又は両方の濃度は、吸収層160の厚さを通して変動し得ることに留意されたい。例えば、吸収層160が、xのモル分率のセレンおよび1-xのモル分率のテルルを含む化合物(SexTe1-x)を含むとき、xは吸収層160中で、吸収層160の第1の表面162からの距離に応じて変動し得る。
【0019】
[0027]更に
図1を参照して、吸収層160は、電荷担体の濃度を操作するように構成されているドーパントでドープすることができる。一部の実施形態において、吸収層160は、例えば、1つ若しくは複数のI族ドーパント、1つ若しくは複数のV族ドーパント、又はこれらの組合せなどのドーパントでドープされていてもよい。吸収層160中のドーパントの総密度は制御できる。或いは又は加えて、ドーパントの量は、吸収層160の第1の表面162からの距離に応じて変動し得る。
【0020】
[0028]本明細書で提供される実施形態によれば、過剰の負電荷担体、すなわち電子又はドナーを有する光起電デバイス100部分に十分近くに吸収層160を設けることによってpn接合を形成することができる。一部の実施形態において、吸収層160は、n型半導体材料に隣接して設けられていてもよい。或いは、1つ又は複数の介在層は、吸収層160とn型半導体材料との間に設けられていてもよい。一部の実施形態において、吸収層160は、緩衝層150に隣接して設けられていてもよい。例えば、吸収層160の第1の表面162は、緩衝層150の第2の表面154上に設けられていてもよい。
【0021】
[0029]ここで
図3を参照して、一部の実施形態では、光起電デバイス200は、n型半導体材料を含む窓層170を含むことができる。窓層170とは別に、光起電デバイス200は、光起電デバイス100(
図1)と実質的に同様の層構造を有していてもよい。吸収層160は、窓層170に隣接して形成され得る。窓層170は、光起電デバイス200のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面172と、光起電デバイス200の反対側104に実質的に面した第2の表面174と、を有し得る。一部の実施形態において、窓層170は、吸収層160とTCO層140との間に位置していてもよい。一実施形態において、窓層170は、吸収層160と緩衝層150との間に位置していてもよい。窓層170は、例えば、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化カドミウム亜鉛、酸化亜鉛マグネシウム、又はこれらのいずれかの組合せを含めたいずれの好適な材料も含むことができる。
【0022】
[0030]再度、
図1および
図3を参照して、光起電デバイス100、200は、ドーパントの不要な変化を緩和し、吸収層160に電気接点を設けるように構成されたバック接点180を含むことができる。バック接点180は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面182と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面184と、を有し得る。バック接点180の厚さは、第1の表面182と第2の表面184との間で画定され得る。バック接点180の厚さは、約5nm~約220nm、例えば一実施形態では約10nm~約200nm、又は一実施形態では約10nm~約150nmなどであってもよい。基板110と吸収層160との間(両方を含む)の複数の層は、吸収体スタック109、209と呼ばれ得る。バック接点180は、吸収体スタック109、209の上に配置され得る。
【0023】
[0031]一部の実施形態において、バック接点180は、吸収層160に隣接して設けられてよい。例えば、バック接点180の第1の表面182は、吸収層160の第2の表面164の上に設けられていてもよい。一部の実施形態において、バック接点180は、I、II、VI族由来の材料の2成分又は3成分の組合せを含むことができる。例えば、バック接点180は、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらの組合せを含有する1つ又は複数の層を含むことができる。一部の実施形態において、バック接点の1つ又は複数の層は、例えば、1つ又は複数のI族ドーパントなどのドーパントでドープされていてもよい。或いは又は加えて、バック接点180は、金属窒化物材料、例えばMoNx(xが0<x<1の範囲内のN組成を有する)、TiNy(yが0<y<1.1の範囲内のN組成を有する)、WNz(zが0<z<1.1の範囲内のN組成を有する)、TaNi(iが0<i<1.1の範囲内のN組成を有する)、又はZrNj(jが0<j<1.1の範囲内のN組成を有する)などを含有する1つ又は複数の層を含むことができる。一般的に、金属窒化物材料は、実質的に酸化を含まず、すなわち、金属窒化物材料は、約1%未満の酸素(原子%)、例えば、約0.5%未満などの酸素を含む。或いは又は加えて、バック接点180は、金属酸窒化物材料、例えば、チタン酸窒化物、タングステン酸窒化物、ジルコニウム酸窒化物、又はタンタル酸窒化物などを含有する1つ又は複数の層を含むことができる。一部の実施形態において、チタン酸窒化物は、TiOaNb(aが0<a<1.0の範囲内のO組成およびbが0<b<1.1の範囲内のN2組成を有する)として規定され得る。一部の実施形態において、タングステン酸窒化物は、WOcNd(cが0<c<1.0の範囲内のO組成およびdが0<d<1.1の範囲内のN2組成を有する)として規定され得る。
【0024】
[0032]
図1、
図3および
図4をまとめて参照して、バック接点180は、複数の層202を含むことができる。バック接点180の複数の層202は、金属酸窒化物材料を含む層210を含むことができる。一部の実施形態において、層210は、金属酸窒化物材料からなってよい。一部の実施形態において、金属酸窒化物材料の少なくとも一部は、例えば、チタン又はタングステンなどのIV族、V族、又はVI族遷移金属で構成されていてもよい。金属酸窒化物材料は、約70%未満の遷移金属(原子%)で構成されていてもよく、例えば、一実施形態では約25%~約60%の金属酸窒化物材料が該遷移金属であってもよく、又は別の実施形態では約30%~約50%の金属酸窒化物材料が該遷移金属であってもよい。金属酸窒化物材料は、約50%未満の酸素(原子%)で構成されていてもよく、例えば、一実施形態では約5%~約40%の金属酸窒化物材料が酸素であってもよく、又は別の実施形態では約10%~約25%の金属酸窒化物材料が酸素であってもよい。金属酸窒化物材料は、約50%未満の窒素(原子%)で構成されていてもよく、例えば、一実施形態では約10%~約45%の金属酸窒化物材料が窒素であってもよく、又は別の実施形態では約25%~約40%の金属酸窒化物材料が窒素であってもよい。
【0025】
[0033]層210は、光起電デバイス100、200のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面212と、光起電デバイス100、200の反対側104に実質的に面した第2の表面214と、を有し得る。一部の実施形態において、層210の第2の表面214は、バック接点180の第2の表面184であってもよい。層210の厚さは、第1の表面212と第2の表面214との間で画定され得る。金属酸窒化物材料を含む層210の厚さは、約1nm~約20nm、例えば、一実施形態では約2nm~約20nm、別の実施形態では約3nm~約20nm、更なる実施形態では約1nm~約5nm、又は更なる実施形態では約5nm~約10nmなどであってもよい。
【0026】
[0034]バック接点180の複数の層202は、金属酸窒化物材料を含む層210とバック接点180の第1の表面182との間に、亜鉛、カドミウム、テルル、又は組合せを含有する1つ又は複数の層を含んでもよい。例えば、バック接点180の複数の層202は、金属酸窒化物材料を含む層210とバック接点180の第1の表面182との間に亜鉛およびテルルを含有する1つ又は複数の層を含むことができる。一部の実施形態において、バック接点180の複数の層202は、金属酸窒化物材料を含む層210とバック接点180の第1の表面182との間に配置された第1の層220および第2の層230を含むことができる。バック接点180の第1の層220は、バック接点180の第1の表面182に配置されていてもよい。これに応じて、第1の層220は、吸収層160に隣接して設けられていてもよい。一部の実施形態において、バック接点180の第1の表面182は、第1の層220の第1の表面222であってもよい。第1の層220は、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面224を有していてもよい。バック接点180の第1の層220は、カドミウム、亜鉛、およびテルルの3成分を含むことができる。一部の実施形態において、第1の層220は、カドミウム、亜鉛、およびテルルの3成分からなってもよい。
【0027】
[0035]第2の層230は、金属酸窒化物材料を含む層210とバック接点180の第1の層220との間に配置されていてもよい。第2の層230の厚さは、第1の表面232と第2の表面234との間で画定されていてもよい。一部の実施形態において、第2の層230は、第1の層220と金属酸窒化物材料を含む層210とに隣接して設けられていてもよい。これに応じて、第2の層230の第1の表面232は、第1の層220の第2の表面224と接していてもよく、第2の層230の第2の表面234は、層210の第1の表面212と接していてもよい。バック接点180の第1の層230は、ドーパント(例えば、銅、銀、又は両方)でドープされていてもよい、亜鉛およびテルルの2成分を含むことができる。一部の実施形態において、第2の層230は、亜鉛およびテルルのドープされた2成分からなってもよい。
【0028】
[0036]
図1、
図3および
図5をまとめて参照して、バック接点180は、複数の層204を含むことができる。バック接点180の複数の層204は、高濃度(原子%)のIV族遷移金属、V族遷移金属、又はVI族遷移金属を含む高純度金属層240を含むことができ、例えば、約80%超の高純度金属層240は、一実施形態では選択された遷移金属で構成されていてもよく、又は一実施形態では約90%超の高純度金属層240は、選択された遷移金属で構成されていてもよい。一部の実施形態において、高純度金属層240は、高濃度のチタンを含むことができる。ある例では、高純度金属層は、チタンから本質的になる。ある例では、高純度金属層は、チタン、タングステン、タンタル、ジルコニウム、又はこれらの組合せから本質的になる。
【0029】
[0037]高純度金属層240は、光起電デバイス100、200のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面242と、光起電デバイス100、200の反対側104に実質的に面した第2の表面242と、を有し得る。高純度金属層240の厚さは、第1の表面242と第2の表面244との間で画定され得る。高純度金属層240の厚さは、約1nm~約5nmであってもよい。或いは又は加えて、高純度金属層240の厚さは、金属酸窒化物材料を含む層210の厚さに満たなくてもよい。一部の実施形態において、金属酸窒化物材料を含む層210の厚さと高純度金属層240の厚さとの比は、少なくとも約2:1であり得る。
【0030】
[0038]高純度金属層240は、金属酸窒化物材料を含む層210よりバック接点180の第1の表面182の近くに位置してよい。一部の実施形態において、高純度金属層240は、金属酸窒化物材料を含む層210と、亜鉛およびテルルを含有する1つ又は複数の層との間に配置してもよい。例えば、高純度金属層240は、金属酸窒化物材料を含む層210に隣接していてもよい。これに応じて、高純度金属層240の第2の表面244は、金属酸窒化物材料を含む層210の第1の表面212と接してもよい。或いは又は加えて、高純度金属層240は、バック接点180の第2の層230に隣接してもよく、すなわち、高純度金属層240の第1の表面242は、第2の層230の第2の表面234と接してもよい。
【0031】
[0039]
図1、
図3および
図6をまとめて参照して、バック接点180は、複数の層206を含むことができる。バック接点180の複数の層206は、金属の濃度(原子%)が約30%~約70%であり、窒素の濃度(原子%)が約70%~約30%である金属窒化物材料を含む層250を含むことができる。好適な金属としては、これらに限定されないが、モリブデン、チタン、およびタングステンが挙げられる。一部の実施形態において、層250は、金属窒化物からなってよい。金属窒化物を含む層250は、光起電デバイス100、200のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面252と、光起電デバイス100、200の反対側104に実質的に面した第2の表面254と、を有し得る。金属窒化物を含む層250の厚さは、第1の表面252と第2の表面254との間で画定され得る。金属窒化物を含む層250の厚さは、約2nm~約20nmであってもよい。或いは又は加えて、金属窒化物を含む層250の厚さは、金属酸窒化物材料を含む層210の厚さより厚くてもよい。一部の実施形態において、金属窒化物を含む層250の厚さと、金属酸窒化物材料を含む層210の厚さとの比は、少なくとも約2:1、例えば、一部の実施形態では少なくとも約3:1などであり得る。
【0032】
[0040]金属窒化物を含む層250は、金属酸窒化物材料を含む層210よりバック接点180の第2の表面184の近くに位置してもよい。一部の実施形態において、金属窒化物を含む層250は、金属酸窒化物材料を含む層210に隣接してもよい。これに応じて、金属酸窒化物材料を含む層210の第2の表面214は、金属窒化物を含む層250の第1の表面252と接してもよい。或いは又は加えて、金属窒化物を含む層250の第2の表面254は、バック接点180の第2の表面184であってもよい。
【0033】
[0041]
図1、
図3および
図7をまとめて参照して、バック接点180は、複数の層208を含むことができる。バック接点180の複数の層208は、金属酸窒化物材料を含む第2の層260を含むことができる。金属酸窒化物材料を含む第2の層260は、金属酸窒化物材料を含む層210に実質的に類似していてもよい。一部の実施形態において、金属酸窒化物材料を含む層210と、金属酸窒化物材料を含む第2の層260は、異なる金属から形成することができる。一部の実施形態において、層210はTiO
aN
bを含むことができ、第2の層260はWO
cN
dを含むことができる。或いは、層210はWO
cN
dを含むことができ、第2の層260はTiO
aN
bを含むことができる。
【0034】
[0042]金属酸窒化物材料を含む第2の層260は、金属酸窒化物材料を含む層210よりバック接点180の第1の表面182の近くに位置してもよい。金属酸窒化物材料を含む第2の層260は、光起電デバイス100、200のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面262と、光起電デバイス100、200の反対側104に実質的に面した第2の表面264と、を有し得る。一部の実施形態において、金属酸窒化物を含む層260は、金属酸窒化物材料を含む層210に隣接してもよい。これに応じて、金属酸窒化物材料を含む第2の層260の第2の表面264は、金属酸窒化物材料を含む層210と接してもよい。或いは又は加えて、金属酸窒化物材料を含む第2の層260は、金属酸窒化物材料を含む層210と亜鉛およびテルルを含有する1つ又は複数の層との間に位置してもよい。一部の実施形態において、金属酸窒化物材料を含む第2の層260は、亜鉛およびテルルを含有する1つ又は複数の層に隣接してもよい。例えば、第2の層260の第1の表面262は、バック接点180の第2の層230の第2の表面234と接してもよい。
【0035】
[0043]
図1、
図3および
図8をまとめて参照して、バック接点180は、複数の層209を含むことができる。バック接点180の複数の層209は、金属窒化物材料を含む第2の層270を含むことができる。金属窒化物材料を含む第2の層270は、光起電デバイス100、200のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面272と、光起電デバイス100、200の反対側104に実質的に面した第2の表面274と、を有し得る。金属窒化物材料を含む第2の層270は、金属窒化物材料を含む層250と実質的に類似していてもよい。一部の実施形態において、金属窒化物材料を含む層250と、金属窒化物材料を含む第2の層270は、異なる金属から形成することができる。或いは、金属窒化物材料を含む層250と、金属窒化物材料を含む第2の層270は、同じ材料から形成することができる。
【0036】
[0044]金属窒化物材料を含む第2の層270は、金属酸窒化物材料を含む層210よりバック接点180の第1の表面182の近くに位置してもよい。一部の実施形態において、金属窒化物を含む第2の層270は、金属酸窒化物材料を含む層210に隣接してもよい。これに応じて、金属酸窒化物材料を含む第2の層270の第2の表面274は、金属酸窒化物材料を含む層210の第1の表面212と接してもよい。或いは又は加えて、金属窒化物材料を含む第2の層270は、金属酸窒化物材料を含む層210と、亜鉛およびテルルを含有する1つ又は複数の層との間に位置してもよい。一部の実施形態において、金属窒化物材料を含む第2の層270は、亜鉛およびテルルを含有する1つ又は複数の層に隣接してもよい。例えば、第2の層270の第1の表面272は、バック接点180の第2の層230の第2の表面234に接してもよい。
【0037】
[0045]
図1、
図3および
図9をまとめて参照して、光起電デバイス100、200は、吸収層160との電気接点を設けるように構成されている導電層190を含むことができる。導電層190は、光起電デバイス100のエネルギー側102に実質的に面した第1の表面192と、光起電デバイス100の反対側104に実質的に面した第2の表面194と、を有し得る。一部の実施形態において、導電層190は、バック接点180に隣接して設けてもよい。例えば、導電層190の第1の表面192は、バック接点180の第2の表面184上に設けられていてもよい。導電層190は、例えば、銀、ニッケル、銅、アルミニウム、チタン、パラジウム、クロム、モリブデン、金、又はこれらの合金の1つ又は複数の層などのいずれかの好適な導電性材料も含むことができる。一部の実施形態において、導電層190の第1の表面192は、例えば、少なくとも約90%のアルミニウム(原子%)(例えば、少なくとも約95%のアルミニウム)を含む層などのアルミニウムを含む層276によって形成することができる。或いは又は加えて、導電層190の第2の表面194は、クロムを含む層278によって形成することができる。
【0038】
[0046]光起電デバイス100は、基板110と協働して、光起電デバイス100の筐体を形成するように構成されている背部サポート196を含むことができる。背部サポート196は、光起電デバイス100の反対側102に配置されていてもよい。例えば、背部サポート196は、導電層190の上に形成されてよい。背部サポート196は、例えば、ガラス(例えば、ソーダ石灰ガラス)を含めたいずれの好適な材料も含むことができる。
【0039】
[0047]光起電デバイス100、200および本明細書に記載のデバイスの層は、製造プロセスによって形成され得る。層は、これらに限定されないが、スパッタリング、蒸気輸送蒸着法(VTD)、パルスレーザー堆積法(PLD)、化学蒸着法(CVD)、電気化学堆積法(ECD)、蒸着法、および/又は原子層堆積法(ALD)を含めた1つ又は複数の蒸着プロセスによって形成し得る。
【0040】
[0048]光起電構造の製造方法は、基板上に層を逐次的に形成することを含んでよい。TCO層は、ガラスなどの基板層上に形成してよい。任意に、緩衝層、窓層、および/又は界面層を基板(予め適用したTCO層の上を含む)の上に堆積させてもよい。吸収層を、任意の界面層、任意のn型窓層、任意の緩衝層、TCO層、および基板を含めた基板の上に堆積させることができる。基板と吸収層との間(基板と吸収層を含む)の複数の層は、吸収体スタックと呼ばれ得る。吸収体スタックは、バック接点層を適用する前に、例えば、加熱、活性化、および/又はパッシベーションによって処理してよい。1つ又は複数の層を蒸着させて、バック接点層の上に導電層を形成する。背部サポートが導電層の上に形成され得る。製造プロセス中、選択された層を通してスクライブラインが形成され得る。
【0041】
[0049]前駆体層および処理を適用して、ドーパントを導入でき、且つ/又は特定の最終層組成物および構造を実現できる。層の堆積は、堆積して層を形成した後にアニーリング工程又は加熱工程を要する1つ又は複数の前駆体層の堆積を含み得る。例として、吸収層が1つ又は複数の前駆体層から形成される実施形態において、第1の前駆体層、例えば、セレン化カドミウム(CdSe)は、基板構造の上に堆積され、後続して第2の前駆体層、例えば、テルル化カドミウム(CdTe)が第1の前駆体層の上に堆積される。次いで、堆積された前駆体層をアニーリングして所望の最終層組成、例えば、カドミウムセレンテルル合金(CdSeTe)を形成する。アニーリング工程は、CdSeTe層を通してSeの相互拡散を引き起こす。
【0042】
[0050]活性化プロセスは、蒸着層上で実施され得る。例として、吸収体の活性化工程を用いて、活性化p型吸収層を形成することができる。吸収体の活性化工程は、塩素を含有する材料の半導体材料層への導入、例えば、浴液、噴霧液、又は蒸気としての塩化カドミウム(CdCl2)と、昇温での吸収体スタックの関連するアニーリングと、を含むことができる。例えば、CdCl2が使用される場合、CdCl2は、水溶液として、吸収層の上に適用することができる。或いは、アニーリング工程中、吸収層の表面の上にCdCl2蒸気を連続的に流すことによって吸収層をCdCl2でアニーリングすることができる。代替の塩素ドープ材料、例えばMnCl2、MgCl2、NH4Cl、ZnCl2、又はTeCl4なども使用することができる。例示的なアニーリングは、約350℃~475℃の温度で、90分以下の全持続時間の間、60分以下の浸漬時間で実施することができる。
【0043】
[0051]多段階の活性化工程を用いてもよい。半導体粒成長、塩素拡散、硫黄および/又はセレンの層内への相互拡散などの多段階の活性化工程中の所望の各活性化機構で、異なる熱活性化エネルギーを使用して所望の層特性を実現することができる。
【0044】
[0052]ある例では、吸収体の活性化工程に後続して、洗浄およびパッシベーション工程が行われ、その後、バック接点を形成する複数の層の逐次堆積が後続する。
[0053]
図4~8を参照しながら、ここで
図10に目を向けると、バック接点180を形成するための方法例900が示される。吸収体スタックが設けられる(901)。任意に、吸収体スタックは不動態化され得る(902)。バック接点180を形成する複数の層(202、204、206、208)が堆積される。バック接点を形成するための方法例において、第1の層220は、吸収体スタック109、209の上に堆積される(220)。第2の層230は、第1の層220の上に堆積される。任意に、1つ又は複数の選択された層240、260、270は、第2の層の上に堆積される(940、960、970)。選択された層は、高純度金属層、第2の金属酸窒化物層、又は第2の金属窒化物層のうちの1つ以上を含んでよい。材料を堆積し(910)、第1の金属酸窒化物を含む層210を形成する。金属窒化物を任意に含んでよい層250は、層210の上に堆積される。バック接点180の第2の表面184は、任意の層250が存在する場合、層250の第2の表面254、又は層250および工程950が省かれる場合、金属酸窒化物を含む層210の第2の表面214のいずれかに相当する。バック接点を含む複数の層を含めた層スタックを、任意に加熱処理してもよい。スクライブを施してもよい。導電性材料の1つ又は複数の層が、バック接点180の第2の表面184の上に堆積し(990)、導電層190を形成する。
【0045】
[0054]
図11~
図12は、比較例と比較したデバイス例の試験結果を示す。プロセス例において、DCマグネトロン反応性スパッタリングプロセスを用いて金属窒化物層を形成した。処理圧力は2~15mTorrで変動し、温度は室温から200℃程度までを範囲とし、N
2%は14程度~70%であり、プロセス流量は、N
2では200~1000sccmで変動し、ガス混合物は主にAr+N
2(金属窒化物)又はAr+O
2+N
2(金属酸窒化物)である。AlおよびCrの導電層は、Arのみを使用するDCマグネトロンスパッタリングを用いて堆積される。
【0046】
[0055]
図11は、y軸に沿って増加する効率を示し、x軸に沿って11個の列を示し、各列はデバイスのセットに対応する。左側の2つの列は比較例である。2セットの比較例:比較例Aおよび比較例Bを示す。比較例は、ZnTe:Cu/MoN
xバック接点を含むバック接点を有する。比較例の右側の9つの列は、本発明の実施形態によるデバイスのセットを示し、異なる列の間で金属窒化物層の厚さおよび窒素含有量が比較される。これらのデバイス例において、MoN
x層は存在しない。デバイス例は、厚さが40、60、70又は80オングストローム(4.0、6.0、7.0又は8.0nm)の窒化チタン層を用いて調製した。比較例は、厚さ50オングストローム(5.0nm)を有するMoN
x層を含み、TiN
x層がなかった。デバイス例は、33%~50%のN
2%の範囲内で選択された点で調製した。比較例は、33%~50%のN
2%の範囲内で調製した。デバイス例および比較例は、温度および圧力の条件を含めた同様の堆積条件下で調製した。
【0047】
[0056]
図12は、y軸に沿って増加する効率を示し、x軸に沿ったデバイスのグループ化を示す。比較例は中央と左側のセットであり、デバイス例は右側のグループに示す。図示のとおり、デバイス例は、比較例より高い効率を実証した。
【0048】
[0057]本発明の実施形態において、バック接点は複数の層を含む。ある例では、複数の層は、カドミウム、テルル、および亜鉛の合金を含む、また銅および/又は銀などのドーパントを任意に含んでよいCdZnTe層であって、吸収体スタックに隣接して配置されたCdZnTe層;CdZnTe層に隣接して配置され、銅および/又は銀でドープされたテルル化亜鉛を含むZnTe層;チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、又はジルコニウム(Zr)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む金属酸窒化物層であって、ZnTe層に隣接して配置された金属酸窒化物層;並びにチタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、又はジルコニウム(Zr)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、金属酸窒化物層に隣接して配置された金属窒化物層を含む。導電層は、バック接点の上に、且つ金属窒化物層に隣接して配置されてよい。デバイス例において金属窒化物は窒化チタンを含み、酸窒化物はチタン酸窒化物を含む。
【0049】
[0058]本発明の実施形態において、バック接点は複数の層を含む。ある例では、複数の層は、任意に銅および/又は銀でドープされていてよい、カドミウム、テルル、および亜鉛の合金を含み、吸収体スタックに隣接して配置されたCdZnTe層;CdZnTe層に隣接して配置され、銅および/又は銀で任意にドープされていてよい、テルル化亜鉛を含むZnTe層;チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、又はジルコニウム(Zr)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む高純度金属層であって、ZnTe層に隣接して配置された高純度金属層;金属酸窒化物層および/又は金属窒化物層を含む裏面層であって、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、又はモリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含み、高純度金属層に隣接して配置された裏面層;並びに裏面層に隣接して配置された導電層を含む。デバイス例において、高純度金属層はチタンを含み、裏面層はモリブデンおよび/又はチタンを含む。
【0050】
[0059]本発明の実施形態において、バック接点は、複数の層を含む。ある例では、複数の層は、任意にカドミウムと合金されていてよく、任意に銅および/又は銀でドープされていてよい、テルルおよび亜鉛の合金を含む少なくとも1つの表面層であって、吸収体スタックに隣接して配置された少なくとも1つの表面層;チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、又はジルコニウム(Zr)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む高純度金属層であって、少なくとも1つの表面層の上に配置される高純度金属層;金属酸窒化物層および/又は金属窒化物層を含む裏面層であって、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、又はモリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む、高純度金属層の上に配置された裏面層;並びに裏面層に隣接して配置された導電層を含む。デバイス例において、高純度金属層はチタンを含み、裏面層はモリブデンおよび/又はチタンを含む。
【0051】
[0060]本発明の実施形態において、バック接点は、複数の層を含む。ある例では、複数の層は、銅および/又は銀で任意にドープされてよい、カドミウム、テルル、および亜鉛の合金を含み、吸収体スタックの上に配置されたCdZnTe層;CdZnTe層の上に配置された、銅および/又は銀で任意にドープされていてよい、テルル化亜鉛を含むZnTe層;チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、および/又はクロム(Cr)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含む金属酸窒化物層であって、ZnTe層の上に配置された金属酸窒化物層;チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、および/又はクロム(Cr)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含み、金属酸窒化物層に隣接して配置された、金属窒化物層;チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)、および/又はモリブデン(Mo)からなる群から選択される少なくとも1種の遷移金属を含み、金属酸窒化物層とZnTe層との間におよびそれらに隣接して配置された第2の金属窒化物層を含む。導電層は、バック接点の金属窒化物層の上に配置されてよい。ある例では、導電層は、アルミニウムおよびクロムを含む複数の層を含んでもよい。デバイス例において、金属窒化物は窒化チタンを含み、第2の金属窒化物は窒化チタンを含み、酸窒化物はチタン酸窒化物を含む。
【0052】
[0061]本発明の実施形態において、バック接点は、複数の層を含む。ある例では、複数の層は、任意にカドミウムと合金されていてよく、任意に銅および/又は銀でドープされていてよい、テルルおよび亜鉛の合金を含む少なくとも1つの前面層であって、カドミウム、テルル、およびセレンを有する吸収層を含む吸収体スタックの上に配置された少なくとも1つの前面層;並びに金属酸窒化物層および/又は金属窒化物層を含む裏面層であって、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、又はジルコニウム(Zr)からなる群の少なくとも1種の遷移金属を含む、少なくとも1つの前面層の上に配置された裏面層を含む。導電層は、バック接点の裏面層の上に配置されていてもよい。デバイス例において、裏面層は、窒化チタンおよび/又はチタン酸窒化物を含み、デバイスはモリブデンを含まない。
【0053】
[0062]方法例において、バック接点の少なくとも1つの層は、蒸気輸送蒸着法(VTD)によって、蒸着経路に沿って運ばれた基板スタック上に堆積される。前駆体物質を加熱して、キャリアガスによって基板に誘導される蒸気を形成する。
【0054】
[0063]方法例において、バック接点は、VTD工程およびスパッタリングによって形成される。ある実施形態では、カドミウム、テルル、および亜鉛の合金はVTDによって堆積され、窒化物および/又は酸窒化物の層は、反応性マグネトロンスパッタリングによって堆積される。
【0055】
[0064]ある例では、金属窒化物材料の金属は、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル、および/又はジルコニウムを含む。
[0065]ある例では、金属窒化物材料の金属は、チタン、タングステン、タンタル、又はジルコニウムのうちの少なくとも1つを含む。
【0056】
[0066]本発明の実施形態において、吸収体スタックは、カドミウムおよびテルルを含むp型吸収層を含む。
[0067]ある例では、吸収体スタックは、カドミウム、テルル、およびセレンを含むp型吸収層を含む。
【0057】
[0068]ある例では、バック接点は、吸収体スタックと導電層との間にあり、これらに隣接している。
[0069]ある例では、導電層は、クロムを含む少なくとも1つの層に隣接するアルミニウムを含む少なくとも1つの層を含む。
【0058】
[0070]ある例では、金属酸窒化物材料は、30%~70%のIV族遷移金属、V族遷移金属、又はVI族遷移金属を含み、金属酸窒化物材料は、1%~15%の酸素を含む。
[0071]ある例では、金属酸窒化物材料は、30%~50%の窒素、2%~8%の酸素、および42%~68%の、チタン(Ti)、タングステン(W)、タンタル(Ta)、ジルコニウム(Zr)からなる群から選択される少なくとも1種の金属を含む。
【0059】
[0072]ある例では、光起電デバイスは、モリブデン(Mo)を含まない。
[0073]ある例では、金属酸窒化物層は、チタン酸窒化物から本質的になる。一部の実施形態において、チタン酸窒化物材料を含む層は、25%未満の酸素を含む。一部の実施形態において、チタン酸窒化物材料を含む層は、2%~15%の酸素を含む。一部の実施形態において、チタン酸窒化物材料を含む層は、0.5nm~5.0nmの範囲の厚さを有する。
【0060】
[0074]ある例では、金属酸窒化物層は、タングステン酸窒化物から本質的になる。一部の実施形態において、タングステン酸窒化物材料を含む層は、25%未満の酸素を含む。一部の実施形態において、タングステン酸窒化物材料を含む層は、1%~20%の酸素を含む。一部の実施形態において、タングステン酸窒化物材料を含む層は、0.5nm~5.0nmの範囲の厚さを有する。
【0061】
[0075]ある例では、金属酸窒化物層は、タンタル酸窒化物から本質的になる。
[0076]ある例では、金属酸窒化物層は、ジルコニウム酸窒化物から本質的になる。
[0077]ある例では、バック接点は、第2の金属酸窒化物層に隣接する第1の金属酸窒化物層を含み、第1の金属酸窒化物層はタングステンを含み、第2の金属酸窒化物層はチタンを含む。
【0062】
[0078]ある例では、金属酸窒化物層は、1%~50%の酸素を含む。
[0079]ある例では、金属酸窒化物材料は、50%未満の窒素を含む。
[0080]ある例では、バック接点は、高純度金属層を含む。一部の実施形態において、高純度金属層は、1nm~5nmの厚さを有する。一部の実施形態において、高純度金属層は、85%~100%又は95%~100%の単一金属元素の組成物を含む。一部の実施形態において、高純度金属層は、85%~100%又は95%~100%の金属元素の合金の組成物を含む。一部の実施形態において、高純度金属層はチタンから本質的になる。
【0063】
[0081]ある例では、金属酸窒化物材料を含む層は1nm~20nmの厚さを有し、バック接点の厚さは5nm~220nmである。
[0082]別の態様において、光起電デバイスは、吸収体スタック;アルミニウムを含む層によって形成される表面を有する導電層;並びに第1の表面、第2の表面、およびバック接点の第1の表面とバック接点の第2の表面との間で画定される厚さを有するバック接点を含み、バック接点の第1の表面は、吸収体スタックのp型吸収層に隣接し;バック接点の第2の表面は、導電層の表面に接し;バック接点は、金属酸窒化物材料を含む層と、金属酸窒化物材料を含む層とバック接点の第1の表面との間に位置する亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層と、を含む。
【0064】
[0083]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、IV族遷移金属、V族遷移金属、又はVI族遷移金属を含む。
[0084]一部の実施形態において、金属窒化物材料および/又は金属酸窒化物材料は、モリブデンを除いたIV族遷移金属、V族遷移金属、又はVI族遷移金属を含む。
【0065】
[0085]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、約70%未満のIV族遷移金属、V族遷移金属、又はVI族遷移金属を含む。
[0086]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、チタン酸窒化物である。
【0066】
[0087]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、タングステン酸窒化物である。
[0088]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、タンタル酸窒化物である。
[0089]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、ジルコニウム酸窒化物である。
【0067】
[0090]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、50%未満の酸素を含む。
[0091]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料は、50%未満の窒素を含む。
[0092]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料を含む層は、1nm~20nmの厚さを有する。
【0068】
[0093]一部の実施形態において、バック接点の厚さは、5nm~220nmである。
[0094]一部の実施形態において、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層は、カドミウム、亜鉛、およびテルルの3成分を含む第1の層、並びに亜鉛およびテルルの2成分を含む第2の層を含み;亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層の第1の層は、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層の第2の層よりバック接点の第1の表面の近くに位置する。
【0069】
[0095]ある例では、亜鉛およびテルルの2成分は、銅、銀、又は両方でドープされている。
[0096]一部の実施形態において、バック接点は、金属酸窒化物材料を含む層と亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層との間に配置された高純度金属層を含み;高純度金属層は、少なくとも80%の金属を含む。
【0070】
[0097]ある例では、高純度金属層の金属はチタンである。
[0098]一部の実施形態において、高純度金属層の厚さは、金属酸窒化物材料を含む層の厚さより薄い。
【0071】
[0099]一部の実施形態において、バック接点は、金属窒化物材料を含む層を含み;金属窒化物材料を含む層は、金属酸窒化物材料を含む層よりバック接点の第2の表面の近くに位置し;金属窒化物材料は、30%~70%の金属の濃度および70%~30%の窒素の濃度を有する。
【0072】
[00100]一部の実施形態において、金属窒化物材料の金属は、モリブデン、チタン、タングステン、タンタル、又はジルコニウムである。
[00101]一部の実施形態において、金属窒化物材料を含む層の厚さと金属酸窒化物材料を含む層の厚さとの比は、少なくとも2:1である。
【0073】
[00102]一部の実施形態において、バック接点の第2の表面は、金属窒化物材料を含む層によって形成される。
[00103]一部の実施形態において、バック接点は、金属窒化物材料を含む第2の層を含み;金属窒化物材料を含む第2の層は、金属酸窒化物材料を含む層に隣接する。
【0074】
[00104]一部の実施形態において、バック接点は、金属酸窒化物材料を含む第2の層を含み;金属酸窒化物材料を含む第2の層は、金属酸窒化物材料を含む層と、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層との間に位置する。
【0075】
[00105]一部の実施形態において、金属酸窒化物材料を含む層と、金属酸窒化物材料を含む第2の層と、は異なる金属酸窒化物から形成される。
[00106]一部の実施形態において、導電層は、クロムを含む層によって形成される第2の表面を有する。
【0076】
[00107]一部の実施形態において、光起電デバイスは、カドミウムおよびテルルを含む吸収層を含み、バック接点の第1の表面は、吸収層に隣接する。
[00108]別の態様において、光起電デバイスは、カドミウムおよびテルルを含む吸収層;並びに第1の表面、第2の表面、およびバック接点の第1の表面とバック接点の第2の表面との間で画定される厚さを有するバック接点を含み、バック接点の第1の表面は、吸収層に接し、バック接点は、金属酸窒化物材料を含む層と、金属酸窒化物材料を含む層とバック接点の第1の表面との間に位置する、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含有する1つ又は複数の層と、を含む。
【0077】
[00109]一部の実施形態において、光起電デバイスは、アルミニウムを含む層によって形成される表面を有する導電層を含み、バック接点の第2の表面は、導電層の表面に接する。
【0078】
[00110]ここで、本開示の実施形態が、金属酸窒化物の1つ又は複数の層を含むバック接点を提供することを理解すべきである。本明細書で提供されるバック接点は、高いオーム接点に対する低い電気抵抗率、高い仕事関数、および熱安定性を示す。これに応じて、本明細書に記載のバック接点は、CdTeを含む吸収体フィルムに低い障壁接触を形成することができる。本明細書で提供される金属酸窒化物の1つ又は複数の層を含むバック接点は、光起電デバイスのバック接点から金属酸窒化物の1つ又は複数の層を排除した実質的に類似の光起電デバイスと比較して改善された太陽電気変換効率を実証した光起電デバイスに含まれていた。高い効率は、改善された光起電デバイスパラメータ(例えば、より高い短絡回路電流、より高いフィルファクター、より高い開回路電圧、より低い開回路抵抗率)と関連していた。
【0079】
[00111]本明細書で提供される実施形態によれば、光起電デバイスは、導電層およびバック接点を含むことができる。導電層は、アルミニウムを含む層によって形成される表面を有していてもよい。バック接点は、第1の表面、第2の表面、およびバック接点の第1の表面とバック接点の第2の表面との間で画定される厚さを有し得る。バック接点の第2の表面は、導電層の表面と接していてもよい。バック接点は、金属酸窒化物材料を含む層と、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含む1つ又は複数の層と、を含むことができる。亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含む1つ又は複数の層は、金属酸窒化物材料を含む層とバック接点の第1の表面との間に位置してよい。
【0080】
[00112]本明細書で提供される実施形態によれば、光起電デバイスは、吸収層およびバック接点を含むことができる。吸収層は、カドミウムおよびテルルを含むことができる。バック接点は、第1の表面、第2の表面、およびバック接点の第1の表面とバック接点の第2の表面との間で画定される厚さを有し得る。バック接点の第1の表面は、吸収層に接していてもよい。バック接点は、金属酸窒化物材料を含む層と、亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含む1つ又は複数の層と、を含むことができる。亜鉛、カドミウム、テルル、又はこれらのいずれかの組合せを含む1つ又は複数の層は、金属酸窒化物材料を含む層とバック接点の第1の表面との間に位置してよい。
【0081】
[00113]用語「実質的に」および「約」は、本明細書において、いずれかの定量比較、値、測定、又は他の表現に起因し得る不確実性の固有の度合いを表すために利用され得る。これらの用語はまた、本明細書において、問題の主題の基本機能に変化をもたらさずに定量的表現を規定の基準から変動させ得る度合いを表すためにも利用される。
【0082】
[00114]本明細書において、特定の実施形態を例示し、記載してきたが、特許請求の範囲の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、さまざまな他の変更および修正を行うことができることを理解すべきである。更に、特許請求の範囲の主題のさまざまな態様を本明細書中に記載してきたが、そのような態様は、組合せて利用する必要はない。したがって、添付の特許請求の範囲が、特許請求の範囲の主題の範囲内にある、そのような変更および修正の全てを包含することが意図される。