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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】風呂給湯装置
(51)【国際特許分類】
   F24H 15/196 20220101AFI20220613BHJP
【FI】
F24H15/196 301W
F24H15/196 301M
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018120148
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020003091
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【弁理士】
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】水川 洸一
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-008777(JP,A)
【文献】特開2013-231563(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0286727(US,A1)
【文献】特開2001-263700(JP,A)
【文献】特開2005-291755(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 15/196
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭の給湯栓及び浴槽に給湯可能に配管接続され、外部装置と通信接続可能に構成された制御手段を備えた風呂給湯装置において、
前記外部装置は、通信網に通信接続されて複数種類の浴槽に関する浴槽データを収集したデータベースを備えたサーバと、画像撮影可能で且つ前記通信網に通信接続可能な携帯用端末を含み、
前記制御手段は、前記携帯用端末で撮影した前記家庭の浴槽の画像に対応する前記データベース中の浴槽データを前記外部装置から受信し、この受信した浴槽データに基づいて試運転を行うことを特徴とする風呂給湯装置。
【請求項2】
前記外部装置から受信する浴槽データは浴槽の仕様データであり、
前記制御手段は、前記仕様データに基づいて浴槽の水位に対応する給湯量を算出して試運転を行うことを特徴とする請求項1に記載の風呂給湯装置。
【請求項3】
前記外部装置から受信する浴槽データは浴槽の型式データであり、
前記制御手段は、複数の浴槽の型式データ及び仕様データを予め記憶し、受信した型式データに対応する浴槽の仕様データに基づいて浴槽の水位に対応する給湯量を算出して試運転を行うことを特徴とする請求項1に記載の風呂給湯装置。
【請求項4】
前記外部装置から受信する浴槽データは、浴槽の寸法及び形状に基づいて作成された試運転シーケンスであることを特徴とする請求項1に記載の風呂給湯装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽に湯水を供給して試運転を行う風呂給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、家庭には給湯栓や浴槽等に給湯する風呂給湯装置が設置されている。住宅の新築や改装によって新規に導入された風呂給湯装置は、設置完了後に動作確認のための試運転を行う。風呂給湯装置は、浴槽に所望の水位の湯張りを自動的に行う機能を搭載しているものが多く、試運転時に給湯量と水位の関係を確認している。
【0003】
風呂給湯装置に配管接続される浴槽は、形状、大きさ、製造者等が異なる複数の浴槽の中から選択されるので、風呂給湯装置と浴槽の組み合わせの数は膨大である。そのため、風呂給湯装置の試運転において、風呂給湯装置に配管接続された浴槽の形状や大きさを調べて給湯量と水位の関係を設定するために、少量ずつ湯水を供給して水位を確認することを繰り返し行っている。
【0004】
この湯水供給と水位確認の繰り返しによって試運転に要する時間が長くなっており、時間短縮の要求がある。この試運転の時間短縮のために、例えば特許文献1のように、風呂給湯装置の試運転において三角測量法を利用して所定の水位に対応する浴槽の容積を算出する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-8777号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1では、三角測量法のために浴槽を異なる位置、角度から複数回撮影する必要があるので、試運転の実質的な時間短縮幅が小さく、改善の余地があった。本発明の目的は、試運転の時間を短縮することができる風呂給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1の発明は、家庭の給湯栓及び浴槽に給湯可能に配管接続され、外部装置と通信接続可能に構成された制御手段を備えた風呂給湯装置において、前記外部装置は、通信網に通信接続されて複数種類の浴槽に関する浴槽データを収集したデータベースを備えたサーバと、画像撮影可能で且つ前記通信網に通信接続可能な携帯用端末を含み、前記制御手段は、前記携帯用端末で撮影した前記家庭の浴槽の画像に対応する前記データベース中の浴槽データを前記外部装置から受信し、この受信した浴槽データに基づいて試運転を行うことを特徴としている。
【0008】
上記構成によれば、風呂給湯装置の試運転の際に、携帯用端末で撮影した家庭の浴槽の画像に基づいてサーバのデータベースから選択された家庭の浴槽に対応する浴槽データを制御手段が受信し、受信した浴槽データに基づいて制御手段が風呂給湯装置の試運転を行う。従って、風呂給湯装置が配管接続された家庭の浴槽に対応する試運転を行うことができるので、試運転の時間を短縮することができる。
【0009】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記外部装置から受信する浴槽データは浴槽の仕様データであり、前記制御手段は、前記仕様データに基づいて浴槽の水位に対応する給湯量を算出して試運転を行うことを特徴としている。
【0010】
上記構成によれば、受信した仕様データに基づいて浴槽の水位に対応する給湯量を算出し、算出した給湯量の湯水を浴槽に供給して試運転を行う。従って、家庭に設置された浴槽に対応する試運転を行うことができるので、試運転の時間を短縮することができる。
【0011】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記外部装置から受信する浴槽データは浴槽の型式データであり、前記制御手段は、複数の浴槽の型式データ及び仕様データを予め記憶し、受信した型式データに対応する浴槽の仕様データに基づいて浴槽の水位に対応する給湯量を算出して試運転を行うことを特徴としている。
【0012】
上記構成によれば、風呂給湯装置が予め記憶した複数の浴槽に関するデータのうち、受信した浴槽の型式データに対応する浴槽の仕様データを用いて浴槽の水位に対応する給湯量を算出し、試運転を行う。従って、家庭に設置された浴槽に対応する試運転を行うことができるので、試運転の時間を短縮することができる。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記外部装置から受信する浴槽データは、浴槽の寸法及び形状に基づいて作成された試運転シーケンスであることを特徴としている。
【0014】
上記構成によれば、浴槽の寸法及び形状に基づいて適切な給湯量と水位の関係を算定して作成された試運転シーケンスに基づいて試運転を行う。従って、家庭に設置された浴槽に対応する試運転を行うことができるので、試運転の時間を短縮することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明の風呂給湯装置によれば、試運転の時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施例1に係る風呂給湯装置の接続構成を示す図である。
図2】風呂給湯装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図3】風呂給湯装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図4】風呂給湯装置の制御部の構成を示すブロック図である。
図5】従来の風呂給湯装置の試運転シーケンスを示すフローチャートである。
図6】試運転時の浴槽の水位を示す図である。
図7】実施例1に係る浴槽データ取得のフローチャートである。
図8】実施例1に係る風呂給湯装置の試運転シーケンスを示すフローチャートである。
図9】実施例3に係る風呂給湯装置の試運転シーケンスを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について実施例に基づいて説明する。
【実施例1】
【0018】
最初に、図1に基づいて風呂給湯装置1について説明する。
風呂給湯装置1は、例えば燃料の燃焼熱により湯水を加熱する瞬間式給湯器であり、浴槽2及び給湯栓等(図示略)に給湯可能に配管接続されている。この風呂給湯装置1は、供給された上水を加熱部3で加熱した湯水と上水を混合弁4で混合することにより温度調整し、温度調整した湯水を給湯栓等に給湯するための給湯通路5と、給湯通路5から分岐して浴槽2に供給するための湯張り通路6を有する。また、浴槽2の湯水を加熱部3に送り、加熱部3で加熱して湯張り通路6を介して浴槽2に戻す追焚通路7を有する。浴槽2には、湯張り通路6及び追焚通路7を浴槽2に接続するための循環アダプタ2aが配設されている。
【0019】
給湯通路5には給湯流量センサ5aや図示外の給湯温度センサ等が配設されている。給湯通路5から分岐した湯張り通路6は、追焚通路7に接続されている。湯張り通路6を開閉する開閉弁6aは、浴槽2に湯水を供給する際に開放され、これ以外のときは閉止される。追焚通路7には浴槽2の湯水を加熱部3に供給するためのポンプ7aと、その湯水の流れを検出する水流スイッチ7bが配設されている。これらの各種センサ、混合弁4、開閉弁6a、ポンプ7a、加熱部3等は、制御部8(制御手段)に通信可能に接続されている。制御部8は、例えば図2に示すように、CPU8aと、DRAM等で構成されたメモリ8bと、フラッシュメモリ等で構成された記憶装置8cと、通信インタフェース8d等を備え、各種センサの検出値等に基づいて試運転や給湯、湯張り、追焚等の各運転を制御するプログラムを実行する。
【0020】
図1に示すように、制御部8には操作端末9が通信可能に接続され、この操作端末9から給湯運転における給湯設定温度、湯張り運転や追焚運転における浴槽設定温度等の温度設定や湯張り運転における浴槽2の水位の設定等を行う。また、操作端末9の操作によって試運転や湯張り運転、追焚運転等を実行させる。操作端末9は、制御部8との通信接続の他に、外部装置10や通信網11に通信接続可能な通信手段9aを備えている。通信網11は例えばインターネット回線であり、通信手段9aは有線又は無線の公知の通信装置である。
【0021】
次に、外部装置10について説明する。
外部装置10は、施工者が持ち運び可能な携帯用端末12(例えば、汎用又は専用のタブレットPCやスマートフォン等)と、通信網11に接続されたサーバ13を含み、風呂給湯装置1の施工時やメンテナンス時に風呂給湯装置1の操作端末9に通信接続される。
【0022】
図3に示すように携帯用端末12は、CPU12aと、DRAM等で構成されたメモリ12bと、フラッシュメモリ等で構成された記憶装置12cと、画像撮影可能なカメラ12dと、タッチ操作可能な表示装置12eと、通信網11に通信接続する機能及び操作端末9に通信接続する機能を備えた通信手段12f等を備えている。そして携帯用端末12には、カメラ12dによる家庭の浴槽2の撮影を補助し、撮影した画像データをサーバ13に通信網11を介して送信し、サーバ13から浴槽2に対応する浴槽データを受信して操作端末9に送信する機能を提供する端末用プログラムが導入されている。
【0023】
携帯用端末12は、撮影時に撮影すべき浴槽2の部位等を表示装置12eに案内表示して撮影を補助し、撮影した浴槽2の画像データを自動的に又は表示装置12eからの操作によってサーバ13に送信する。送信する浴槽2の画像データは、撮影すべき部位として少なくとも循環アダプタ2aと浴槽2の排水口2bを含む浴槽2の全体を撮影した画像データである。そして、サーバ13が送信した浴槽データを受信してメモリ12b又は記憶装置12cに記憶し、操作端末9に通信接続してその受信した浴槽データを操作端末9に送信する。
【0024】
図4に示すように、サーバ13は、CPU13aと、DRAM等で構成されたメモリ13bと、フラッシュメモリや磁気ディスク等で構成された記憶装置13cと、通信網11に通信接続する通信手段13d等を備えたコンピュータである。サーバ13には、例えば通信網11を利用して複数種類の浴槽データを収集して構成したデータベースを記憶装置13cに記憶し、携帯用端末12から送信された浴槽2の画像データに対応する浴槽データを選択して送信する機能を提供するデータベースプログラムが導入されている。
【0025】
データベースには、浴槽データとして浴槽の型式データ、画像データ、浴槽の寸法や形状等の仕様データ等が含まれている。データベースプログラムは、携帯用端末12から送信された浴槽2の画像データとデータベースの浴槽の画像データを比較して、浴槽2に対応する浴槽データを選択する。そしてこの選択した浴槽データを、浴槽2の画像データを送信した携帯用端末12に送信する。尚、操作端末9が通信網11に接続されている場合には、携帯用端末12から浴槽2の画像データと共に操作端末9のIPアドレスをサーバ13に送信し、サーバ13は携帯用端末12を介さずに対応する浴槽データを操作端末9に送信するようにしてもよい。
【0026】
次に、風呂給湯装置1の試運転について説明する。
浴槽2は、その大きさや形状等が異なる様々な仕様のものの中から、設置される浴室の大きさ等に応じて選択されて設置されるので、湯張り運転において設定された水位まで湯張りするために、予め適切な水位湯量設定(水位と給湯量の関係の設定)をしておくことが必要である。この水位湯量設定は、風呂給湯装置1の試運転で行われる。
【0027】
浴槽2の水位(浴槽2の底面から水面までの距離)は、循環アダプタ2a近傍の追焚通路7に配設された圧力センサ7cによって検出される。圧力センサ7cの検知圧力は浴槽2の水位に比例し、制御部8はその検知圧力と水位の関係を示すマップ等を有して浴槽2の水位を正確に取得する。
【0028】
ここで風呂給湯装置1において、従来の試運転シーケンスについて図5のフローチャート及び図6に基づいて説明する。図5のSi(i=1,2,…)はステップを表す。
最初にS1において、風呂給湯装置1の施工者は、操作端末9から給湯設定温度、燃料の種類や単価等の設定を行うと共に浴槽2の排水口2bを閉塞し、操作端末9を操作して試運転を開始させる。
【0029】
次にS2において、風呂給湯装置1から湯張り通路6を介して浴槽2に所定量A1(例えば10L)の湯水を供給した後、追焚通路7のポンプ7aを駆動し、浴槽2の湯水が追焚通路7を流通して浴槽2に戻る循環が可能であるか否か判定する。浴槽2に水位湯量設定の妨げとなる湯水が無かったことや湯張り通路6の詰まり等の不具合が無いことを確認するステップであり、追焚通路7の水流スイッチ7bによって浴槽2の湯水の循環を検出する。湯水の供給量は、給湯流量センサ5aの検知流量とその検知期間から求められる。判定がNo、即ち循環が検出されなかった場合にポンプ7aを停止してS3に進む。一方、判定がYes、即ち循環が検出された場合には、適切な水位湯量設定ができないのでポンプ7aを停止してS20に進み、S20において試運転のエラーを施工者に報知して終了する。
【0030】
次にS3において、浴槽2に湯水を所定量A2(例えば60L)供給してS4に進む。そしてS4において、ポンプ7aを駆動して浴槽2の湯水を循環可能か否か判定する。判定がNoの場合はポンプ7aを停止してS5に進み、S5において浴槽2に所定量A3(例えば20L)の湯水を供給してS6に進み、S6において所定量A3の供給回数nをカウントしてS4に戻る。循環可能になるまで所定量A3の供給が繰り返される。尚、供給回数nは試運転開始時にゼロに設定される。
【0031】
S4の判定がYesの場合はS7に進み、S7において、浴槽2に湯水を所定量A4(例えば10L)供給してS8に進む。そしてS8において、ポンプ7aを駆動して浴槽2の湯水の循環を再度確認してポンプ7aを停止し、S9に進む。そしてS9において、現状の水位を、水位湯量設定を適切に行うための基準水位H1として設定してS10に進む。
【0032】
次にS10において、浴槽2に所定量A5(例えば40L)の湯水を供給してS11に進み、S11において現状の水位を中間水位H2に設定してS12に進む。そしてS12において、中間水位H2から目標水位H3にするために必要な湯水の供給量A6を算出してS13に進む。目標水位H3は、試運転における追焚運転等他の運転確認用の予め設定されている水位である。基準水位H1と中間水位H2と所定量A5の関係から水位湯量設定がなされ、この水位湯量設定に基づいて中間水位H2から目標水位H3にするために必要な湯水の供給量A6を算出している。
【0033】
次にS13において、算出した供給量A6の湯水を浴槽2に供給してS14に進む。そしてS14において、現在水位が所定の判定基準値(例えば目標水位H3-10mm)以上であるか否か判定する。一般的に浴槽は、その内壁が傾斜しており、上方ほど開口面積(水面の面積)が大きくなる形状に形成されているので、この形状による湯水の供給量と水位の非線形的関係による誤差を許容するように判定基準値を設定している。判定がNoの場合はS15に進み、S15において浴槽2に所定量A7(例えば2L)の湯水を供給してS16に進み、S16において所定量A7の湯水の供給回数mをカウントしてS14に戻る。判定基準値以上となるまで所定量A7の湯水の供給が繰り返される。尚、供給回数mは試運転開始時にゼロに設定される。
【0034】
S14の判定がYesの場合は、S17に進み、現在水位を運転確認水位H4に設定してS18に進む。運転確認水位H4は、試運転終了後の通常の湯張り運転の標準水位になり、この水位を基準に湯水の供給量を調整する。そしてS18において追焚運転や浴槽2に湯水を一定量追加するたし湯運転等、他の運転の確認を行ってS19に進む。
【0035】
次にS19において、試運転の結果を反映する設定データを記憶(保存)して試運転を終了する。この設定データには、水位湯量設定、運転確認水位H4(標準水位)に対応する湯水の供給量(A1+A2+A3×n+A4+A5+A6+A7×m)、風呂給湯装置1に供給される燃料の種類や単価等の施工者が操作端末9から入力するデータ等が含まれている。
【0036】
上記のような風呂給湯装置1の試運転シーケンスでは、様々な仕様の浴槽に対応可能なように浴槽2の湯水供給と水位確認を繰り返し行って、水位湯量設定を行っている。そして水位湯量設定に基づいて算出した湯水量を浴槽に供給し、水位湯量設定が正しく行われたことを確認しているので、試運転にある程度の時間を要する。そこで、試運転によらずに浴槽2の給湯量と水位の関係が分かれば、試運転の時間を短縮することができるので、本発明の風呂給湯装置1は設置された浴槽2の浴槽データを取得して試運転を行う。この浴槽データの取得について、図7のフローチャートに基づいて説明する。図中のSi(i=21,22,…)はステップを表す。
【0037】
S21において、家庭に設置された浴槽2を携帯用端末12で撮影してS22に進む。次にS22において、撮影した浴槽2の画像データを携帯用端末12からサーバ13に送信してS23に進む。次にS23において、サーバ13は、データベースに記憶している複数の浴槽の画像データと携帯用端末12が送信した浴槽2の画像データを比較して、浴槽2に対応する浴槽データを選択してS24に進む。次にS24において、選択した浴槽データをサーバ13から携帯用端末12に送信してS25に進む。そしてS25において、携帯用端末12を風呂給湯装置1の操作端末9に通信接続して、サーバ13から送信された浴槽データを風呂給湯装置1の制御部8に送信して終了する。
【0038】
浴槽データには浴槽2の寸法や形状等の仕様データが含まれており、この浴槽データを利用して試運転を簡素化して行うことができる。この簡素化した試運転について、図6及び図8のフローチャートに基づいて説明する。図8のSi(i=31,32,…)はステップを表す。
【0039】
S31において、操作端末9を操作して試運転を開始させてS32に進む。次にS32において、風呂給湯装置1から湯張り通路6を介して浴槽2に所定量A1の湯水を供給した後、追焚通路7のポンプ7aを駆動し、浴槽2の湯水が追焚通路7を流通して浴槽2に戻る循環が可能であるか否か判定する。判定がNoの場合はポンプ7aを停止してS33に進む。判定がYesの場合は適切な給湯量と水位の関係の設定ができないのでポンプ7aを停止してS42に進み、S42において試運転のエラー発生を施工者に報知して終了する。
【0040】
次にS33において、浴槽データに基づいて給湯量と水位の関係を算定しS34に進む。そしてS34において、算定した給湯量と水位の関係に基づいて既に供給された所定量A1の湯水に追加供給して基準水位H1になる給湯量を算出し、算出した給湯量の湯水を浴槽2に供給してS35に進む。
【0041】
次にS35において、ポンプ7aを駆動して浴槽2の湯水が追焚通路7を流通して浴槽2に戻る循環が可能であるか否か判定する。循環ができず判定がNoの場合は、正しい浴槽データを受信していない、又は風呂給湯装置1と浴槽2の配管接続に何らかの不具合が発生している等の理由で適切な試運転ができないので、ポンプ7aを停止してS42に進み、S42において試運転のエラー発生を施工者に報知して終了する。循環可能で判定がYesの場合は、ポンプ7aを停止してS36に進む。
【0042】
次にS36において、現状の水位を基準水位H1として記憶してS37に進む。次にS37において、S33で算定した給湯量と水位の関係に基づいて、既に供給された湯水に追加供給して目標水位H3になる給湯量を算出し、算出した給湯量の湯水を浴槽2に供給してS38に進む。
【0043】
次にS38において、現在水位と目標水位H3の差が所定の基準範囲内(例えば±5mm以内)であるか否か判定する。判定がNo、即ち正しい浴槽データを受信していない等何らかの不具合が発生している虞がある場合にはS42に進む。判定がYesの場合はS39に進み、S39において現在水位をこの風呂給湯装置1の運転確認水位H4(標準水位)に設定してS40に進む。
【0044】
次にS40において追焚やたし湯等、他の運転の確認を行ってS41に進み、S41において試運転の結果を反映する設定データを記憶して試運転を終了する。このように、浴槽データに含まれる浴槽の仕様データに基づいて算定した給湯量と水位の関係を利用することにより、湯水供給と水位確認の繰り返しを減らして試運転の時間を短縮している。また、上記のような風呂給湯装置1と外部装置10で構成した試運転システムであれば、携帯用端末12から送信する画像データは、撮影すべき部位を含んだ浴槽2の全体の画像データなので撮影が容易になり、施工者の負担も軽減される。
【実施例2】
【0045】
実施例1を部分的に変更して、サーバ13から送信される浴槽データが浴槽の型式データである例を説明する。実施例1と共通する部分は同じ符号を付して説明を省略する。
サーバ13から送信される浴槽データは、浴槽の型式データである。風呂給湯装置1の制御部8は、複数の浴槽の型式データとそれらに対応する浴槽の寸法や形状等の仕様データを予め記憶装置8cに記憶している。これら複数の浴槽の型式データ及び仕様データは、風呂給湯装置1の製造時に記憶させるが、例えば施工時に携帯用端末12によって更新してもよい。
【0046】
制御部8は、受信した浴槽の型式データに対応する浴槽の仕様データに基づいて、浴槽の給湯量と水位の関係を算定して試運転を行う(図8のS33参照)。風呂給湯装置1が予め記憶した浴槽の仕様データに基づいて算定した給湯量と水位の関係を利用することにより、湯水供給と水位確認の繰り返しを減らして試運転の時間の短縮をしている。
【実施例3】
【0047】
実施例1を部分的に変更した他の例を説明する。実施例1と共通する部分は同じ符号を付して説明を省略する。
サーバ13には、データベースに含まれる複数の浴槽に対して、それらの仕様データに含まれる寸法及び形状に基づいて夫々に適した試運転シーケンスを作成するための試運転シーケンス作成プログラムが導入されている。データベースには、各浴槽に対して試運転シーケンス作成プログラムによって作成された試運転シーケンスが記憶されており、サーバ13から送信される浴槽データは、例えば図9に示すような試運転シーケンスである。
【0048】
この試運転シーケンスには、既にサーバ13が仕様データに基づいて算定した浴槽の給湯量と水位の関係が含まれているので、給湯量と水位の関係を算定するステップ(図8のS33)を省略したこと以外は図8の試運転シーケンスと共通である。サーバ13が算定した給湯量と水位の関係を利用することにより、湯水供給と水位確認の繰り返しを減らして試運転の時間の短縮をしている。尚、浴槽2に対応する浴槽データ選択時に試運転シーケンスを作成して送信してもよく、試運転シーケンスには算定した給湯量と水位の関係に基づいて算出された給湯量が含まれていてもよい。
【0049】
次に、本発明の風呂給湯装置1の作用、効果について説明する。
風呂給湯装置1の試運転の際には、携帯用端末12で撮影した家庭の浴槽2の画像データに基づいて、サーバ13のデータベースから選択された浴槽2に対応する浴槽データを風呂給湯装置1が受信する。そして、この受信した浴槽データに基づいて風呂給湯装置1の試運転を行う。従って、風呂給湯装置1が配管接続された浴槽2に対応する試運転を行うことができるので、試運転に要する時間を短縮することができる。
【0050】
風呂給湯装置1は、受信した仕様データに基づいて浴槽2の水位に対応する給湯量を算出し、算出した給湯量の湯水を浴槽2に供給して試運転を行う。従って、家庭に設置された浴槽2に対応する試運転を行うことができるので、試運転の時間を短縮することができる。
【0051】
また、風呂給湯装置1は、浴槽2の給湯量と水位の関係が既に算出された試運転シーケンスを受信し、この試運転シーケンスに基づいて試運転を行うことができる。従って、家庭に設置された浴槽2に対応する試運転を行うことができるので、試運転の時間を短縮することができる。
【0052】
携帯用端末12からサーバ13に送信される浴槽2の画像データは動画データであってもよく、データベースプログラムが動画データから抽出した画像に基づき浴槽2に対応する浴槽データを選択するようにしてもよい。また、風呂給湯装置1は、ヒートポンプ熱源機等を利用して貯湯した湯水を給湯する貯湯式の給湯器でもよい。その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく上記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態を包含するものである。
【符号の説明】
【0053】
1 :風呂給湯装置
2 :浴槽
2a :循環アダプタ
2b :排水口
8 :制御部(制御手段)
9 :操作端末
9a :通信手段
10 :外部装置
11 :通信網
12 :携帯用端末
12d :カメラ
12f :通信手段
13 :サーバ
13d :通信手段
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9