(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】知的財産管理装置、知的財産管理方法及び知的財産管理プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/18 20120101AFI20220613BHJP
【FI】
G06Q50/18 310
(21)【出願番号】P 2022002816
(22)【出願日】2022-01-12
【審査請求日】2022-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517274039
【氏名又は名称】株式会社Toreru
(74)【代理人】
【識別番号】110002701
【氏名又は名称】特許業務法人Toreru
(74)【代理人】
【識別番号】100188525
【氏名又は名称】宮崎 超史
(74)【代理人】
【識別番号】100090527
【氏名又は名称】舘野 千惠子
(74)【代理人】
【識別番号】100198661
【氏名又は名称】久保寺 利光
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 超史
【審査官】新里 太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-133861(JP,A)
【文献】特開2006-209422(JP,A)
【文献】特開2004-280784(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
知的財産の案件を管理する知的財産管理装置であって、
前記案件を記憶した記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会部と、
前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知部と、
前記検知部により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知部と、を有
し、
前記照会部は、登記された対象者の登記上の住所及び/又は名称を取得することを特徴とする知的財産管理装置。
【請求項2】
前記記憶手段は、前記対象者の法人番号を有しており、
前記照会部は、前記法人番号を前記キー情報として用いて前記外部に照会を行うことを特徴とする請求項1に記載の知的財産管理装置。
【請求項3】
前記対象者は、法人であることを特徴とする請求項1又は2に記載の知的財産管理装置。
【請求項4】
前記外部は、国税庁又は経済産業省のサイトであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の知的財産管理装置。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶される案件は、特許、実用新案、意匠又は商標に関する権利を取得するのための出願又は取得した権利に関する情報に基づいて作成されていることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の知的財産管理装置。
【請求項6】
前記照会部は、前記出願が特許庁に係属している案件の対象者及び/又は前記取得した権利が満了前である案件の対象者について外部に照会を行うことを特徴とする請求項5に記載の知的財産管理装置。
【請求項7】
前記通知部は、前記対象者に対して、登録情報の変更の手続きを特許庁に対して行うことを促す旨の通知を行うことを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の知的財産管理装置。
【請求項8】
前記検知部により相違の有無が検知された場合、特許庁に対して前記対象者の住所及び/又は名称の変更の手続きを行うための書類を作成する書類作成部を有することを特徴とする請求項1~7のいずれかに記載の知的財産管理装置。
【請求項9】
コンピュータが行う知的財産の案件を管理する知的財産管理方法であって、
前記案件を記憶する記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会工程と、
前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知工程と、
前記検知工程により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知工程と、を含
み、
前記照会工程は、登記された対象者の登録上の住所及び/又は名称を取得することを特徴とする知的財産管理方法。
【請求項10】
コンピュータに、知的財産の案件を管理する処理を実行させる知的財産管理プログラムであって、
前記案件を記憶する記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会処理と、
前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知処理と、
前記検知処理により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知処理と、を実行させ
、
前記照会処理は、登記された対象者の登録上の住所及び/又は名称を取得することを特徴とする知的財産管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、知的財産管理装置、知的財産管理方法及び知的財産管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、知的財産権の重要度がますます高まっており、非常に多くの者が知的財産権を取得するための出願を行っている。従前より、知的財産権を取得するための出願についての情報や知的財産権についての情報を管理する技術が提案されている。
【0003】
特許文献1では、知的財産権の内容及び/又は知的財産権を取得するための出願の内容を含む第1の保存部と、第1の保存部に基づいて作成される第2の保存部とを用いて知的財産に関する案件を管理する知的財産管理装置が開示されている。特許文献1によれば、知的財産に関する案件を管理する際、情報を保存部に入力する手間を省くことができ、情報の入力ミスや入力漏れに起因する手続きの漏れや不備を防止することができるとしている。
【0004】
特許文献2では、電気通信回線を通じて知的財産権の登録と監視と利用許諾とを一括して行う知的財産権管理システムが開示されている。特許文献2によれば、人的処理をできるだけ省力化し知的財産権が公開されてデータベース化され、電気通信回線を通じて知的財産権の登録と監視と利用許諾とを一括して行うことが可能になるとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2021-128543号公報
【文献】特開2001-282947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来技術においては、出願人や権利者の住所や名称等に変更があった場合に、管理システムがその変更を把握できる仕組みが不十分であり、特許庁に対して変更の手続きが行われない、もしくは変更があってから長期間経過した後に変更の手続きが行われるという事態が生じていた。また従来技術では、出願人や権利者の住所や名称等に変更があった場合、出願人や権利者からシステム管理者等に変更があった旨を知らせ、システム管理者等がその変更をデータベースに登録するという流れになる。そのため、出願人、権利者、システム管理者等の手間が生じるだけでなく、伝達ミス、認識の齟齬、操作ミスなどにより、出願や権利の内容を正しい情報にできない場合が生じていた。
【0007】
そこで、本発明は、管理の手間を省くことができ、出願や権利の内容を正しい情報に維持できる知的財産管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の知的財産管理装置は、知的財産の案件を管理する知的財産管理装置であって、前記案件を記憶した記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会部と、前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知部と、前記検知部により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知部と、を有し、前記照会部は、登記された対象者の登記上の住所及び/又は名称を取得することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管理の手間を省くことができ、出願や権利の内容を正しい情報に維持できる知的財産管理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の知的財産管理装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る知的財産管理装置、知的財産管理方法及び知的財産管理プログラムについて図面を参照しながら説明する。なお、本発明は以下に示す実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、修正、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
【0012】
本発明の知的財産管理装置は、知的財産の案件を管理する知的財産管理装置であって、前記案件を記憶した記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会部と、前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知部と、前記検知部により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知部と、を有することを特徴とする。
【0013】
本発明の一実施形態について説明する。
図1は、本実施形態の知的財産管理装置を説明するための図である。
図1では、知的財産管理装置10、記憶手段31、ユーザー40、端末41、外部80が図示されている。なお、図中の矢印はデータの流れや指示等を模式的に示している。
【0014】
ユーザー40としては、特に制限されるものではなく、例えば法人、個人、団体など適宜使用が可能であり、国、企業、特許事務所、その他の事務所等が挙げられる。ユーザーとしているが、使用者、管理者、利用者、対象者、受領者などと称してもよい。以下の説明では、ユーザーと対象者を区別なくともに用いている。また、端末41としては、PC、スマートフォン、タブレット等が挙げられる。
【0015】
本実施形態の知的財産管理装置10は、照会部11、検知部12、通知部13、書類作成部14を有している。本実施形態の知的財産管理装置10は、このような構成に限られるものではなく、適宜変更することができるものであり、ここでは他の実施形態を含む構成として説明している。また、照会部11、検知部12、通知部13、書類作成部14は分散されていてもよい。
【0016】
本実施形態の知的財産管理装置10は、例えばCPU、RAM、ROM、HDD、IF等を有し、必要に応じてその他の部品等を有する。
【0017】
端末41と知的財産管理装置10との通信方法は、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。インターネット等を介して通信してもよいし、有線や無線で通信してもよい。
【0018】
<記憶手段>
記憶手段31は、知的財産の案件を記憶している。記憶手段31に記憶される案件は、例えば、特許、実用新案、意匠又は商標に関する権利を取得するための出願又は取得した権利に関する情報に基づいて作成されている。
【0019】
なお、以下、特許、実用新案、意匠又は商標に関する権利を取得するための出願を単に出願と称することがある。また、特許、実用新案、意匠又は商標に関する権利を単に権利と称することがある。
【0020】
記憶手段31に記憶される案件が有する項目としては、例えば、出願日、登録日、更新登録日、出願番号、登録番号、法人番号、識別番号、出願人又は権利者の氏名又は名称、出願人又は権利者の住所又は居所等が挙げられる。これらの中でも、法人番号、出願人又は権利者の名称、出願人又は権利者の住所を有していることが好ましい。
【0021】
記憶手段31は、知的財産管理装置10が有していてもよいし、知的財産管理装置10の外部に設けられていてもよい。例えばクラウド上に設けられていてもよい。知的財産管理装置10と記憶手段31との通信手段は、特に制限されるものではなく、適宜変更することができる。インターネット等を介して通信してもよいし、有線や無線で通信してもよい。また、記憶手段31は1つであってもよいし、複数からなるものであってもよい。
【0022】
記憶手段31に記憶される情報は、例えば出願を行う際に作成されるが、これに限られるものではない。知的財産権を取得した後に作成されてもよいし、出願の前に作成されてもよい。記憶手段31に記憶される情報は、例えば出願人や権利者から提供される情報に基づいて作成されるが、これに限られるものではない。例えば特許庁が公開する情報に基づいて作成されてもよい。
【0023】
<照会部>
照会部11は、案件の登録情報を記憶する記憶手段に記憶された対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、外部に登録された対象者の住所及び/又は名称を取得する。なお、外部に登録された対象者の住所は、所在地などと称されてもよく、外部に登録された対象者の名称は、商号などと称されてもよい。
【0024】
外部80としては、制限されるものではなく適宜選択することができ、例えば国税庁又は経済産業省のサイト(ウェブページ)が挙げられる。ここではサイトとしているが、これに限られず、アプリケーション、サービス、データベースなどであってもよい。外部としては、例えば法人番号システムWeb-API、gBizINFOなどが挙げられる。
【0025】
例えば法人番号システムWeb-APIを利用することで、国税庁により公開される情報を取得することができる。国税庁は法人について登記情報を公開しており、上記の法人番号システムを用いることで登記された情報を取得できる。
【0026】
外部80に対しては、例えばインターネット等の通信網を経由してアクセスすることができる。外部80は、ウェブページなどと称してもよく、インターネット等を経由してアクセス可能な情報を保有している領域などということができる。
【0027】
キー情報としては、適宜選択することができ、例えば、法人番号、対象者の名称、対象者の住所等が挙げられる。また、これらを単独でキー情報にしてもよいし、これらを組み合わせてキー情報にしてもよい。外部の仕様に応じて、適宜選択することができる。
【0028】
キー情報は、法人番号であることが特に好ましい。記憶手段31は対象者の法人番号を有し、照会部11は、記憶手段31に記憶された法人番号をキー情報として用いて外部に照会を行うことが好ましい。これにより、例えば国税庁に登記された対象者の住所及び/又は名称を取得することができる。
【0029】
その他にも例えば、対象者の住所が変更されたことを把握できる構成であれば、キー情報に対象者の名称を用いてもよい。なお、上記キー情報とあるのは、外部に照会を行うために用いる情報であって、記憶手段31のキー情報であるとは限らない。例えば、法人番号をキー情報として用いて照会を行う場合であっても、記憶手段31には、法人番号が設定されていない案件(対象者)が存在していてもよい。
【0030】
照会部11は、出願が特許庁に係属している案件の対象者及び/又は取得した権利が満了前である案件の対象者について外部に照会を行うことが好ましい。このように、外部に照会を行う対象者を絞ることで、不要な処理を減らすことができ、処理の負担を軽減できる。特に制限されるものではないが、出願が特許庁に係属している案件としては、例えば、出願の取り下げがなされていない案件、出願審査請求の期限が徒過していない案件、意見書や補正書を提出する期限が徒過していない案件、拒絶査定不服審判の請求の期限が徒過していない案件等が挙げられる。
【0031】
その他にも例えば記憶手段31における全ての者としてもよい。また、照会が行われる対象者としては、法人とすることが好ましい。例えば国税庁が公開するデータベースに照会することで法人についての情報を取得することができる。照会が行われる対象者としては、法人であり、かつ、出願が特許庁に係属している案件の対象者及び/又は取得した権利が満了前である案件の対象者について外部に照会を行うことが特に好ましい。
【0032】
照会部11が照会を行うタイミングとしては、適宜選択することができ、定期的に照会を行うようにしてもよいし、不定期的に照会を行うようにしてもよい。定期的に照会を行う場合、登録情報の変更の有無を遅滞なく検知することができ、例えば出願や権利の内容を遅滞なく正しい情報に維持することができる。
【0033】
照会部11は、例えば、あらかじめ設定された時間間隔で照会を行うようにしてもよい。この場合、照会部11は定期的に照会を行うといえる。前記時間間隔としては、特に制限されるものではなく、適宜選択することが可能であり、例えば、毎日、毎週、毎月行うことが挙げられる。このように、照会部11があらかじめ設定された時間間隔で照会を行うことにより、照会の実行漏れを防止できる。
【0034】
不定期的に照会を行う場合の例としては、特に制限されるものではないが、例えば、対象者が記憶手段31の登録情報を閲覧した場合などが挙げられる。その他にも、記憶手段31の登録情報に変更が生じた場合などが挙げられる。
【0035】
照会部11の処理における好ましい一例としては、法人番号をキー情報として国税庁が公開する情報を取得する。これにより、照会部11は法人の名称(商号)や住所を取得することができ、後述の検知部12が取得された対象者の名称や住所について、記憶手段31が有する対象者の名称や住所に相違がないかを検知することができる。
【0036】
<検知部>
検知部12は、記憶手段31に記憶された対象者の住所及び/又は名称と、外部に登録された対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する。これにより、対象者の住所や名称について変更の有無を検知することができ、変更があった対象者に出願や権利の情報を正しくするための案内を通知することができる。
【0037】
検知部12が検知するのは、対象者の住所及び名称の少なくとも一方であるが、対象者の住所及び名称の両方について変更の有無を検知することが好ましい。この場合、変更の有無の漏れを防止できる。
【0038】
検知部12が検知を行うタイミングとしては、適宜選択することができる。照会部11が照会した直後であってもよいし、照会した後、所定の時間が経過した後であってもよいし、定められた時間であってもよい。
【0039】
なお、対象者の住所には、郵便番号を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよいが、含んでいることが好ましい。
【0040】
<通知部>
通知部13は、検知部12により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を対象者に通知する。相違がある旨の通知内容としては、特に制限されるものではなく、適宜選択することができる。文章であってもよいし、「○○に変更あり」といった表示でもよいし、記号などであってもよい。ユーザーが、住所や名称に相違がある旨を理解することができればよい。
【0041】
通知部13は、対象者に対して、登録情報の変更の手続きを特許庁に対して行うことを促す旨の通知を行うことが好ましい。これにより、特許庁に対して手続きを行うことを対象者に思い起こさせることができ、手続きの漏れを防止できる。また、特許庁への手続きが住所を変更してから長期間行われないことを防止できる。
【0042】
特に、知的財産の知識に乏しい者にとっては、特許庁に対して手続きを行うことを認識していない場合が多い。そのため、このように通知を行うことで、手続きを促す旨の通知を行うことで手続きの漏れを防止できる。手続きは対象者が行ってもよいし、代理の者が行ってもよい。
【0043】
通知部13が通知する内容としては、上記の他にも、例えば住所や名称等に変更があった場合に、知的財産に関してどのようなことを行うかを説明することが挙げられる。特に、知的財産の知識に乏しい者にとっては、どのようなことを行えばよいのか不明である場合が多く、説明を通知することで利便性の向上につながる。また、変更があった者からの問い合わせに対応する手間を省くことができる。
【0044】
通知部13が通知する内容としては、上記の他にも、適宜選択することができる。例えば、出願番号、登録番号、出願日、更新日、出願人、権利者、権利満了日、手続き期限日、その他知的財産に関する情報等を通知してもよい。知的財産に関する情報としては、例えば、発明、実用新案、意匠又は商標の内容が挙げられる。
【0045】
通知部13の通知方法としては、適宜選択することができる。例えば、ユーザー40の端末41から通知画面を閲覧できるようにしてもよいし、ユーザー40の端末41に直接メッセージを送信するようにしてもよいし、任意のアドレスにメールを送信するようにしてもよいし、API(アプリケーションインターフェース)に送信してもよい。この他にも例えば、push通知を行うようにしてもよい。
【0046】
また、
図2に示すように、知的財産管理装置10が他の装置20に通知を行い、他の装置20を介してユーザー40に通知するようにしてもよい。この場合、他の装置20から端末41にデータを送信する場合に限られず、端末41が起因となって他の装置20からデータを取得するようにしてもよい。なお、本実施形態において、他の装置20に検索結果を送信することは、通知部13が通知することに含まれる。
【0047】
通知の一例について、
図3を用いて説明する。
図3は、通知画面の一例を示す図であり、例えばユーザー40の端末41から閲覧できる画面である。ただし、本実施形態はこれに限られず、図示するものと同様の内容をメールで送信してもよい。
【0048】
図示する例では、住所が変更されていることを対象者に知らせている。ここでは、変更前の住所と変更後の住所を通知しているが、これに限られるものではない。変更前の住所は記憶手段31に記憶された情報であり、変更後の住所は外部に照会して取得した情報である。
【0049】
また、ここで示す例では、対象者に対して、住所の変更の手続きを特許庁に対して行うことを促す旨の通知を行っている。図示する例では、住所変更が行われていないようであれば、特許庁に対して住所変更の手続きを行うことを促す旨の文章を表示している。これにより、特許庁に対して手続きを行うことを対象者に思い起こさせることができ、手続きの漏れを防止できる。また、特許庁への手続きが住所を変更してから長期間行われないことを防止できる。
【0050】
特に、知的財産の知識に乏しい者にとっては、特許庁に対して手続きを行うことを認識していない場合が多い。そのため、本例によれば、手続きを促す旨の通知を行うことで手続きの漏れを防止できる。手続きは対象者が行ってもよいし、代理の者が行ってもよい。
【0051】
図示する例では、手続きの説明を閲覧できる画面を表示するためのボタン51を設けている。ボタン51を押下することで、ユーザー40は住所の変更があった場合に、どのようなことを行えばよいかを知ることができる。
【0052】
通知の他の例について、
図4を用いて説明する。
図4は、通知画面の他の例を示す図であり、
図3と同様の図である。ここで示す例では、対象者の名称が変更されていることを対象者に知らせている。
【0053】
また、ここで示す例では、対象者に対して、名称の変更の手続きを特許庁に対して行うことを促す旨の通知を行っている。図示する例では、名称変更が行われていないようであれば、特許庁に対して名称変更の手続きを行うことを促す旨の文章を表示している。これにより、特許庁に対して手続きを行うことを対象者に思い起こさせることができ、手続きの漏れを防止できる。また、特許庁への手続きが名称を変更してから長期間行われないことを防止できる。
【0054】
本実施形態によれば、記憶手段31が保有する案件の対象者(ユーザー)について、登記上の住所や名称に変更があれば、相違を検知して、住所や名称の変更の案内や知的財産に関する手続きの案内を自動で通知することができる。そのため、本実施形態によれば、管理の手間を省くことができ、出願や権利の内容を正しい情報に維持することができる。
【0055】
従来技術では、出願人や権利者の住所や名称に変更があった場合、出願人や権利者からシステム管理者等に変更があった旨を知らせ、システム管理者等がその変更をデータベースに登録する必要がある。そのため、出願人、権利者、システム管理者等の手間が生じていたが、本実施形態によればこのような手間を省くことができる。また、本実施形態によれば、出願人や権利者による伝達ミス、認識の齟齬、システム管理者等の操作ミスなどを防ぐことができ、出願や権利の内容を正しい情報にしやすくなる。また、本実施形態によれば、遅滞なく変更の手続きを行うことができる。
【0056】
<書類作成部>
本実施形態の知的財産管理装置は、書類作成部14を有していてもよい。書類作成部14は、検知部12により相違の有無が検知された場合、特許庁に対して対象者の住所及び/又は名称の変更の手続きを行うための書類を作成する。このように書類を作成することで、ユーザーの利便性が向上する。
【0057】
<知的財産管理方法>
本発明によれば、上述のように、コンピュータが行う知的財産管理方法が提供される。
本発明の知的財産管理方法は、コンピュータが行う知的財産の案件を管理する知的財産管理方法であって、
前記案件を記憶する記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会工程と、
前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知工程と、
前記検知工程により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知工程と、を含むことを特徴とする。
【0058】
<知的財産管理プログラム>
本発明によれば、上述のように、知的財産管理プログラムが提供される。
本発明の知的財産管理プログラムは、コンピュータに、知的財産の案件を管理する処理を実行させる知的財産管理プログラムであって、
前記案件を記憶する記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会処理と、
前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知処理と、
前記検知処理により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知処理と、を実行させることを特徴とする。
【符号の説明】
【0059】
10 知的財産管理装置
11 照会部
12 検知部
13 通知部
14 書類作成部
31 記憶手段
40 ユーザー
41 端末
50a、50b 通知画面
51 ボタン
80 外部
【要約】
【課題】管理の手間を省くことができ、出願や権利の内容を正しい情報に維持できる知的財産管理装置を提供する。
【解決手段】知的財産の案件を管理する知的財産管理装置10であって、前記案件を記憶した記憶手段における対象者のキー情報を用いて外部に照会を行い、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称を取得する照会部11と、前記記憶手段に記憶された前記対象者の住所及び/又は名称と、前記外部に登録された前記対象者の住所及び/又は名称とを比較し、相違の有無を検知する検知部12と、前記検知部により相違の有無が検知された場合、相違がある旨を前記対象者に通知する通知部13と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1