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特許7086375生体内での存続性及び治療活性及びその増殖のためのNKT細胞サブセット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】生体内での存続性及び治療活性及びその増殖のためのNKT細胞サブセット
(51)【国際特許分類】
   C12N 5/0783 20100101AFI20220613BHJP
   A61K 35/17 20150101ALI20220613BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20220613BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20220613BHJP
   A61P 37/04 20060101ALI20220613BHJP
   C12N 5/10 20060101ALN20220613BHJP
   C12N 15/63 20060101ALN20220613BHJP
【FI】
C12N5/0783
A61K35/17 A
A61K48/00
A61P35/00
A61P37/04
C12N5/10
C12N15/63 Z
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2017555308
(86)(22)【出願日】2016-04-21
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2018-06-28
(86)【国際出願番号】 US2016028693
(87)【国際公開番号】W WO2016172372
(87)【国際公開日】2016-10-27
【審査請求日】2019-04-11
(31)【優先権主張番号】62/151,690
(32)【優先日】2015-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/309,525
(32)【優先日】2016-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】391058060
【氏名又は名称】ベイラー カレッジ オブ メディスン
【氏名又は名称原語表記】BAYLOR COLLEGE OF MEDICINE
(74)【代理人】
【識別番号】110001656
【氏名又は名称】特許業務法人谷川国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】メテリッサ,レオニド エス.
(72)【発明者】
【氏名】コートニー,アミー エヌ.
(72)【発明者】
【氏名】ティアン,ゲングエン
【審査官】中山 基志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0255363(US,A1)
【文献】国際公開第2015/051247(WO,A1)
【文献】Cytotherapy, 2014, 16, pp.1419-1430
【文献】J Immunol, 2007, 178, pp.2827-2834
【文献】Immunity, 2014, 41, pp.116-126
【文献】J Immunother., 2012, 35(9), pp.689-701
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N1/00-7/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
免疫療法で使用するためのI型ナチュラルキラーT(NKT)細胞を調製する方法であって、
培養していないヒト末梢血単核細胞(PBMCs)からヒトNKT細胞を単離してNKT細胞が選択された細胞分画(NKT選択細胞分画)とNKTが枯渇した細胞分画を生成する工程と、
前記NKT選択細胞分画をIL-21、IL-2及び刺激作用因子に曝露することで、I型NKT細胞の集団のCD62L陽性NKT細胞を増殖させる工程を含み、
増殖された前記NKT選択細胞分画中の細胞の過半数がCD62L陽性である、前記方法。
【請求項2】
前記NKT選択細胞分画又は増殖された前記NKT選択細胞分画がCD62L陽性NKT細胞について選別される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記NKT細胞をCD62L陽性NKT細胞と特異的に結合する1以上の基材に曝露することで前記NKT細胞が選別される請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記基材がCD62L陽性に特異的な抗体を含む請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記NKT細胞が磁気分離によって選別される請求項2~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記NKT細胞が、1以上のキメラ抗原受容体、T細胞受容体、1以上のサイトカイン、1以上のサイトカイン受容体、1以上のキメラサイトカイン受容体、またはそれらの組み合わせを発現するように操作される、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記刺激作用因子が、αガラクトシルセラミド(αGalCer)でパルスした放射線照射したPBMCs、αGalCerでパルスした抗原提示細胞(APCs)、T細胞レセプターに対するアゴニスト抗体又はリガンド、αGalCerが結合したヒト組換えCD1D、及びCD1D発現抗原提示細胞から成る群より選ばれる、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
(a)IL-7、IL-15、IL-12、TNFα、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる1以上のサイトカイン、
(b)共刺激受容体を標的とする1以上のアゴニスト抗体、または
(c)CD1dの発現を含み、且つ1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドの発現を含む抗原提示細胞
から成る群より選ばれる共刺激作用因子に暴露することをさらに含む請求項1~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
前記アゴニスト抗体又はT細胞レセプターに対するリガンドが、抗CD3 OKT3抗体又は6B11モノクローナル抗体である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
前記αGalCerでパルスした放射線照射したPBMCsが、自己PBMCsである、請求項7~9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記CD1D発現抗原提示細胞がRamos細胞である、請求項7~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
前記基材がビーズ、プレートまたはゲルである請求項3~11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記抗原提示細胞に1以上のポリヌクレオチドが形質導入され、1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを発現する請求項7~12のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記共刺激受容体がCD28、OX40、4-1BB、ICOS、CD40、CD30、CD27、またはそれらの組み合わせである請求項8~13のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記共刺激受容体の前記リガンドが、CD80、CD86、OX40L、4-1BBL、ICOSリガンド、CD154、CD30L、またはそれらの組み合わせである請求項8~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記NKT細胞がマーカーのリンパ球エンハンサ因子1(LEF1)陽性である請求項1~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記増殖されたNKT選択細胞分画が1以上の以下の、キメラ抗原受容体、T細胞受容体、サイトカイン、サイトカイン受容体、キメラサイトカイン受容体、またはそれらの組み合わせ、特にキメラ抗原受容体またはT細胞受容体、を発現するように操作される、請求項8~16のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
記操作がT細胞受容体を含む請求項17に記載の方法。
【請求項19】
記操作がキメラ抗原受容体を含む請求項17に記載の方法。
【請求項20】
1以上の共刺激作用因子に前記集団を曝露した後1、2、3、4、5または日以内に、前記I型NKT細胞が遺伝子操作される請求項17に記載の方法。
【請求項21】
請求項1~20のいずれか1項に記載の方法によって得られるCD62L陽性I型ナチュラルキラーT(NKT)細胞の集団。
【請求項22】
免疫療法における使用のための請求項21に記載の前記I型NKT細胞の集団。
【請求項23】
前記免疫療法が癌治療のためのものである請求項22に記載の前記I型NKT細胞の集団。
【請求項24】
前記癌が、乳癌、前立腺癌、肺癌、結腸癌、頭頚部の癌、皮膚癌、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌、腎臓癌、胃癌、小腸の癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管の癌、食道癌、唾液腺の癌、甲状腺の癌、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、膠芽細胞腫、および造血系悪性腫瘍から成る群から選択される、請求項23に記載の前記I型NKT細胞の集団。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、双方ともその出願が全体として参照によって本明細書に組み入れられる2015年4月23日に出願された米国仮特許出願番号62/151,690及び2016年3月17に出願された米国仮特許出願番号62/309,525に対して優先権を主張する。
【0002】
連邦が支援した研究または開発に関する声明
本発明は国立衛生研究所によって授与されたRO1CA116548及びP50CA126752のもとで政府の支援によって行われた。政府は本発明に特定の権利を有する。
【0003】
発明の分野
本開示の実施形態は、細胞生物学、分子生物学、免疫学、及び少なくとも癌医学を含む医学の少なくとも分野を包含する。
【背景技術】
【0004】
I型のNKT細胞(NKT)は、インバリアントTCRα鎖Vα24-Jα18を発現し、単形性のHLAクラスI様分子CD1dによって提示される自己または微生物に由来する糖脂質に反応する自然リンパ球の進化上保存されたサブセットである(Porcelliら.(1993);Lantz及びBendelac,1994;Bendelacら,1995;Kimら,2015)。腫瘍免疫及び免疫療法にとってのNKTの潜在的な重要性は、マウスにおける癌の複数のモデル及び癌患者の初期の臨床試験において実証されている(McEwen-Smithら,2015;Dhodapkar,2009;Exley及びNakayama,2011;Motohashiら,2011;Yamasaki,2011;Taniguchiら,2015)。T細胞とは対照的にNKTは効果的に腫瘍部位に動き、CD1d+腫瘍細胞の直接殺傷、腫瘍支援性のマクロファージの阻害、またはNK細胞のトランス活性化を介して抗腫瘍応答に介在することができる(Metelitsa,2011)。幾つかの研究は、腫瘍浸潤性または循環性のNKTの数と多様な腫瘍型の患者における改善された疾患転帰との間での強い明らかな関連を示している(Dhodapkar,2009;Metelitsaら,2004;Tachibanaら,2005;Mollingら,2007;Carianiら,2012;Carianiら,2012)。逆に、腫瘍の進行には、NKT細胞の数もしくは機能的な活性の低下(16)、または悪性腫瘍細胞でのCD1dの発現の下方調節が伴うことが多い(Dhodapkarら,2003)。これらの腫瘍逃避メカニズムに対抗するために、初代ヒトNKTを生体外で臨床規模まで増殖させ、キメラ抗原受容体(CAR)のトランスジェニック発現を介し、腫瘍細胞に対してその細胞傷害性を向け直す方法が開発された(Heczeyら,2014)。CAR T細胞臨床試験で報告された所見(Kalos及びJune,2013;Dottiら,2014)に類似して、異種腫瘍モデルにおける抗腫瘍有効性とCAR NKT細胞の産物の生体内での存続性との間に強い相関がある(Heczeyら,2014)。しかしながら、ヒトNKTの生体外での増殖及びそれに続く生体内での存続性を支配するメカニズムは大部分未知のままであり、NKT細胞に基づく癌免疫療法の合理的な設計を妨げている。
【0005】
最近の世界的な転写のプロファイリング試験は、NKTは、T細胞及びNK細胞と特性を共有するが、リンパ球のはっきり異なる集団であることを実証した(Cohenら,2013)。マウスでは、最近の概説にて要約されているように(Kimら,2015;Contantinides及びBendelac,2013)、NKTの発生プログラム及び機能的な分化が最近の10年間でかなり広範に特徴付けられている。マウスのNKTの幾つかの重要な特徴もヒトの対応部分で確認されている。マウス及びヒトの双方にて、NKTはCD4+CD8+(二重陽性、DP)胸腺細胞の段階でT細胞から分岐する。胸腺上皮細胞によって正の選択をされるT細胞とは異なって、NKTはCD1dを発現するDP胸腺細胞によって選択される(Gapinら,2001)。正の選択の直後での前骨髄性白血病亜鉛フィンガー転写因子(PLZF)の発現によってNKTの胸腺内での増殖及びエフェクター/メモリー様の分化が可能になる(Savageら,2008)。末梢NKTは寿命の長いリンパ球であり、その胸腺後の維持はIL-15が介在する緩慢な恒常的増殖に大部分依存する(Matsudaら,2002;Baevら,2004)。ヒト末梢血では、NKTはCD4の発現:CD4+及びCD4-(ほとんどCD8/CD4二重陰性、DN)に基づいて2つの主要な機能的サブセットに分けられる(Leeら,2002)。CD4+サブセットは新生児NKTで高度に濃縮され、成人ではCD4-サブセットに比べて恒常的な分裂をほとんど受けない(Baevら,2004)ということは、CD4+NKTは特定の条件下では養子導入した治療用NKTの長期存続性に寄与し得ることを示唆している。しかしながら、たとえば、αガラクトシルセラミド(αGalCer)による抗原刺激に応答したヒトNKTの生体外での増殖は類似の数のCD4+及びDNのNKTを生じる(28)。NKTはまたCD161及び次いでCD56の発現の獲得によってNK様の系列分化も示す。T細胞におけると同様に、CD56の発現は最終分化及び増殖能の喪失に関連する(Lozaら,2002)。
【0006】
ナイーブからセントラルメモリーへ、それからエフェクターメモリーへ、それから最終エフェクター細胞までの十分に確立された発生階層を有する末梢T細胞(Sallustoら,2004)とは対照的に、NKTはナイーブ状態のない「活性化された/メモリー」の表現型を持つ細胞として広く記載されている(D’Andreaら,2000;Kronenberg及びGapin,2002)。臍帯血では、NKTの大半はCD4+であり、即効型エフェクター機能のないCD62L及びCCR7と共にCD45ROを同時発現するので、セントラルメモリーCD4T細胞に類似する(Baevら,2004;D’Andreaら,2000;Egerら,2006)。成人の末梢血では、NKTはCD4+及びCD4-のサブセットに均等に分けられる(個体間の有意な変異性があるにもかかわらず)。成人NKTは、メモリーのマーカーを変化して発現し、サイトカイン産生や細胞傷害性のような即効型エフェクター機能を有するので「メモリー」状態と「エフェクター」状態の間での明瞭な境界を欠いている(Baevら,2004;Egerら,2006)。高齢者でさえ成人NKTの大半はCD28を発現し(DelaRosaら,2002)、最終分化したTエフェクター細胞からそれらを区別している(Okadaら,2008)。
【0007】
最近の報告は、CD62L+セントラルメモリーT細胞は幹細胞の特性及び細胞療法製品にて優れた治療活性を有することを明らかにしている(Graefら,2014;Wangら,2012;Sommermeyerら,2015)。NKTにおけるCD62Lの発現の機能的な意義は未知のままである。本開示では、CD62L+サブセットはNKT細胞の生体外での増殖及び生体内での存続性に必要とされる。重要なことに、CD19に特異的なCAR(CAR.CD19)を発現するように操作した場合、NSGマウスにおけるB細胞リンパ腫モデルではCD62L-ではなくCD62L+のCAR.CD19NKTが持続する腫瘍退行を生じた。CD62L+NKTは特定の共刺激リガンドが提供されると生体外増殖の間、維持され得る。この知識によって、たとえば、癌患者にて優れた治療活性を持つNKT及びCAR-NKTを生成するのに使用することができる共刺激性の人工の抗原提示細胞(aAPC)を操作することができる。
【発明の概要】
【0008】
本開示の方法及び組成物はそれを必要とする個体のための免疫療法に関する。一部の実施形態では、個体は、破壊のために、たとえば、癌のような特定の抗原保有細胞を標的とする治療法を必要とする。本開示は一般に、臨床的に有用な量と有効性のNKT細胞を生成する方法の改善に基づく免疫療法のためのNKT細胞の使用を提供する。
【0009】
本開示の実施形態は、優れた生体内の存続性及び抗腫瘍活性を有するCD62L+NKT細胞を提供する。本開示の実施形態は、NKT細胞を治療応用で使用することができるようにNKT細胞の効果的な増殖を可能にする。本開示のNKTはCD62Lの発現に関連する向上した生存及び増殖を有する。CD62Lの発現はNKT細胞に存在し、NKT細胞の同時刺激のゆえに細胞にて維持される。本開示の実施形態は、CD62Lの発現を維持するための方法によるNKT細胞の同時刺激を含む。NKT細胞は、たとえば、1以上のサイトカイン(少なくともIL-21を含む)、共刺激受容体に結合する1以上のアゴニスト抗体、及び/またはCD1dと、たとえば、1以上の共刺激受容体のリガンドを発現する人工の抗原提示細胞への曝露の際のような、1以上の方法を用いた同時刺激に曝露される。従って、具体的な実施形態では、効果的な癌免疫療法のためにCD62Lが濃縮されたNKTの生成のための人工の抗原提示細胞を利用することができる。
【0010】
一実施形態では、CD62L陽性NKT細胞のためにNKT細胞の集団を濃縮する工程を含む免疫療法での使用のためのナチュラルキラーT(NKT)細胞を調製する方法がある。具体的な実施形態では、CD62L陽性NKT細胞は、T細胞受容体の刺激及び共刺激受容体及び/またはサイトカインによる同時刺激によって活性化される。場合によっては、方法はさらに、治療を必要とする個体に治療上有効な量の細胞を送達する工程を含む。特定の態様では、細胞は、1以上のキメラ抗原受容体、T細胞受容体、1以上のサイトカイン、1以上のサイトカイン受容体、1以上のキメラサイトカイン受容体、またはそれらの組み合わせを発現するように操作される。
【0011】
特定の実施形態では、(a)CD62L陽性NKT細胞のためにNKT細胞の集団を濃縮するまたはCD62L陽性NKT細胞について濃縮されているNKT細胞の集団を得る工程と、(b)治療上有効な量のCD62L陽性NKT細胞を個体に提供する工程とを含む、免疫療法を用いて病状について個体を治療する方法がある。
【0012】
実施形態では、CD62+NKT細胞とCD62-NKT細胞の集団混合物を1以上の共刺激作用因子に曝露して同時刺激されたCD62+NKT細胞について濃縮し、CD62+NKT細胞を作出することによってその集団混合物からCD62+NKT細胞を増殖させる工程と、治療上有効な量の同時刺激されたCD62+NKT細胞を個体に提供する工程とを含む、免疫療法を用いて病状について個体を治療する方法がある。具体的な実施形態では、刺激作用因子及び共刺激作用因子は、(a)1以上のサイトカイン;(b)T細胞受容体のためのアゴニスト抗体またはリガンド(たとえば、OKT3mAb、6B11mAbまたは結合したアルファ-ガラクトシルセラミドのようなアゴニスト糖脂質を伴った組換えヒトCD1d)及び共刺激受容体を標的とする1以上のアゴニスト抗体を含む基材;または(c)CD1dの発現を含み、且つ1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドの発現を含む抗原提示細胞を含む。特定の実施形態では、サイトカインは、IL-21、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、TNFアルファ及びそれらの組み合わせから成る群から選択される。基材はビーズ、プレートまたはゲルであってもよい。具体的な実施形態では、抗原提示細胞は、1以上のポリヌクレオチドで形質導入されて1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを発現する。共刺激受容体は、CD28、OX40、4-1BB、ICOS、CD40、CD30、CD27、またはそれらの組み合わせであってもよい。共刺激受容体のリガンドは、CD80、CD86、OX40L、4-1BBL、ICOSリガンド、CD154、CD30L、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0013】
特定の実施形態では、本開示によって包含されるNKT細胞は、遺伝子操作を含む。具体的な態様では、遺伝子操作は細胞に、癌細胞における抗原のターゲティングのような癌細胞ターゲティング活性を提供する。遺伝子操作はT細胞受容体及び/またはキメラ抗原受容体を含んでもよい。場合によっては、NKT細胞は、集団を1以上の共刺激作用因子に曝露させた後に遺伝子操作される。NKT細胞は、1以上の共刺激作用因子への集団の曝露の後、1、2、3、4、5、6日以上以内に遺伝子操作されてもよい。
【0014】
特定の実施形態では、NKT細胞の集団を同時刺激してNKT細胞の少なくとも一部でCD62Lの発現を維持する工程を含む、免疫療法のためのNKT細胞を作出する方法がある。場合によっては、方法はさらに、それを必要とする個体に治療上有効な量のNKT細胞を提供する工程を含む。
【0015】
一実施形態では、意図的にCD62L+NKT細胞を濃縮するまたは保持するように設計された1以上の共刺激作用因子にCD62L+NKT細胞の予備選別した集団またはCD62L+NKT細胞とCD62L-NKT細胞の混合集団を曝露する工程を含む、免疫療法のためのNKT細胞を作出する方法がある。場合によっては、方法はさらに、混合集団を得る工程を含む。具体的な実施形態では、混合集団は濃縮された集団が送達されるであろう個体に由来する。特定の態様では、混合集団は濃縮された集団が送達されるであろう個体とは異なる個体に由来する。混合集団は寄託物に由来してもよいし、または商業的に入手してもよい。
【0016】
一実施形態では、CD1dを発現し、且つ1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを発現している非天然の細胞を含む物質の組成物がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1A】(1A~1D)初代NKTの試験管内での抗原刺激後の培養におけるCD62L+サブセットの蓄積を示す図である。(1A)新たに単離したPBMC(0日目)に由来する及びαGalCerで刺激し、培養にて試験管内で増殖させた後12日目の初代NKTにてFACSによってCD62Lの発現を調べた。(1B)個々のドナー(n=10)に由来する一次刺激(1Aにおけるような)の後、示した間隔でのNKTにおけるCD62L発現の動態。(1C)NKT細胞表面上のPD-1、TIM-3及びLAG-3の発現を0日目と12日目にFACSによって測定した。4人のドナーのうち1人の代表的な図(上のパネル)またはドナーすべてのMFIの平均値±SD(下のパネル)。(1D)一次刺激後12日目にて、NKTをCD62L+とCD62L-のサブセットに磁気で選別し、その後、ヒト免疫学パネルv2及びnCounter解析システムを用いてRNAを単離し、遺伝子発現を解析した。ヒートマップは、0.02未満のp値で遺伝子のlog2倍の変化(CD62+/CD62L-)及び2を超える平均倍数変化を示している。データは6人のNKT細胞のドナーから生成した(12対の試料)。
図1B】同上。
図1C-1】同上。
図1C-2】同上。
図1C-3】同上。
図1D】同上。
【0018】
図2A】(2A~2E)CD62L+及びCD62L-のNKTの機能的な性状分析を示す図である。(2A)ルシフェラーゼを形質導入したCD1d+DAOY細胞をPBS(対照)またはαGalCerで一晩パルスし、その後、磁気で選別したCD62L+またはCD62L-のNKTと共に共培養した。ルシフェラーゼ強度をプレートリーダーで測定することによって4時間後、細胞傷害性を分析した。左の図はNKTサブセット間で細胞傷害性に差異のない3人のドナーの代表である。右の図はNKTサブセット間で細胞傷害性に有意な差異がある3人のドナーの代表である。(2B)3人のドナーに由来するNKTによる3回の独立した実験におけるルミネックスアッセイによってαGalCerで刺激したCD62L+またはCD62L-のNKTの24時間上清にてIFNγ及びIL-4の濃度を測定した。(2C)CFSEで標識したNKTを選別後のFACSによって確認されたようにCD62L+及びCD62L-のサブセットに磁気で選別し(上のパネル)、αGalCerでパルスした放射線照射のAPCによって刺激した。刺激の3日後、CFSE陽性事象に対してゲートをかけた後、FACSによってNKTにてアネキシンV及び7-AADについての染色を解析した。結果は調べた5人のドナーの代表に由来する(真ん中のパネル)。対応する棒グラフ(下のパネル)は3日目におけるアネキシンV+NKTの百分率の平均値±SDを示す(N=5)。(2D)CFSE希釈によって測定されたように、刺激後6日目にて細胞増殖を評価した。結果は調べた5人のドナーの代表に由来し(上のパネル)、5人のドナーすべてのCFSEのMFIの平均値±SDである(下のパネル)。(2E)NKT細胞の刺激後、示した時間間隔で総細胞計数を行った。示されるのは代表的ドナーの生細胞の平均値±SD(上のパネル)または刺激後6日目で調べた5人のドナーそれぞれの倍数変化である。***P<0.001、対応するt検定。
図2B】同上。
図2C-1】同上。
図2C-2】同上。
図2D-1】同上。
図2D-2】同上。
図2E】同上。
【0019】
図3A】(3A~3D)CD62L+NKTは優れた生体内の存続性及び抗腫瘍活性を有することを示す図である。(3A)ルシフェラーゼを形質導入したNKTをCD62L+及びCD62L-のサブセットに選別し、NSGマウスに注射した。生物発光画像法によってNKT細胞の生体内存続性をモニターした。(3B)CD62L+またはCD62L-のNKTの注射後示した日数での生物発光の光子計数の平均値±SD(P=0.008、対応のあるt検定)。(3C)各マウスに2×10個のルシフェラーゼを形質導入したDaudiリンパ腫細胞のi.v.注射(0日目)、その後、IL-2(1000U/マウス)または対照としてPBSを伴った10個のCAR.CD19を形質導入したNKTのi.v.注射(4日目)を与えた。週に1回、生物発光画像法を用いて腫瘍の増殖をモニターした。(3D)Kaplan-Meier法によって生存確率を解析した(群当たり10匹のマウス)。次いで対数ランク検定を用いて生存における差異を比較した。
図3B】同上。
図3C】同上。
図3D】同上。
【0020】
図4A】(4A~4D)同時刺激はCD62L+NKTを維持し、枯渇を阻むことを示す図である。(4A)NKTをCD62L+及びCD62L-のサブセットに選別し、αGalCerで刺激し、刺激の前及び3日後にFACSによって4-1BB及びOX40の発現について調べた。示したのは4人のドナーの代表に由来する図である。(4B)示したアゴニストmAbで被覆したプレートにてCD62L+NKTを刺激した。示したのは、0日目と比較した刺激後7日目のNKT細胞の絶対数における倍数変化の平均値±SD(N=4)である。P<0.001、一元配置ANOVA。(4C)CD62L+NKTをBと同様に刺激し、7日目にアイソタイプ対照(灰色)に対比したCD62Lの発現(黒色)について解析した。示したのは、代表的なオーバーレイヒストグラム(上のパネル)及びCD62L+細胞の百分率の平均値±SD、N=4である。(4D)CD62L+NKTをBと同様に刺激し、12日目にアイソタイプ対照(灰色)に対比したPD-1の発現(黒色)について解析した。示したのは、代表的なオーバーレイヒストグラム(上のパネル)及びPD-1+細胞の百分率の平均値±SDである。**または***P<0.01または0.001、一元配置ANOVA。
図4B】同上。
図4C-1】同上。
図4C-2】同上。
図4C-3】同上。
図4D-1】同上。
図4D-2】同上。
図4D-3】同上。
【0021】
図5A】(5A~5E)新たに単離した、及び試験管内で増殖させたNKTの表現型解析を示す図である。(5A)新たに単離した臍帯血単核細胞(CBMC)における初代NKT(CD3+Vα24-Jα18+のサブセットにゲートをかけた)にてFACSによってCD4及びCD62Lの発現を調べた。図は5人のCBMCドナーの代表に由来する。(5B)αGalCerによる刺激及び試験管内での増殖の前(0日目)及び12日後にAのようにゲートをかけた後、初代NKTにてCD4及びCD62Lの発現を調べた。図は10人のPBMCドナーの代表に由来する。(5C)αGalCerによる刺激及び試験管内での増殖の前(0日目)及び12日後にAのようにゲートをかけた後、初代NKTにおけるCD62Lの発現との関係でのCCR7、CD27及びCD28の発現。図は6人のPBMCドナーの代表に由来する。(5D)αGalCerによる刺激及び試験管内での増殖の12日後におけるCD62Lの発現との関係でのCD161、CD56及びIL7Rαの発現。図は3人のPBMCドナーの代表に由来する。(5E)αGalCerによる刺激及び試験管内での増殖の後12日目にて細胞内フローサイトメトリーを用いて、CD62Lの発現との関係でのPLZF、LEF1及びGATA3の発現ならびにLEF1及びGATA3の同時発現を解析した。図は4人のPBMCドナーの代表に由来する。
図5B】同上。
図5C】同上。
図5D】同上。
図5E-1】同上。
図5E-2】同上。
【0022】
図6A-1】(6A~6B)aGalCerでパルスし、放射線照射したPBMCに対比してCD3/CD28アゴニストmAbによって増殖させた後のNKT細胞の純度及び絶対数の比較を示す図である。NKTは4人のPBMCから単離した。その半分はaGalCerでパルスし、放射線照射した自己PBMCを用いて刺激し、別の半分はCD3/CD28mAbを被覆したプレートで刺激した。双方の場合、細胞は隔日でIL-2(200U/ml)を加えた培養で増殖させた。12日目に培養物を解析した。(6A)NKT細胞の純度はCD3及びiTCRαを発現している細胞の百分率としてフローサイトメトリーによって決定した。(6B)NKT細胞の絶対細胞計数は3つ組にてトリパンブルー排除アッセイを用いて実施した。*P<0.05、データは対応のあるt検定を用いてLog(2)変換の後解析した。
図6A-2】同上。
図6B】同上。
【0023】
図7A】(7A~7B)CAR.CD19で形質導入したNKT細胞を示す図である。(7A)CAR.CD19構築物の模式図。(7B)NKTを自己PBMC(40Gyで照射した)で再刺激した。再刺激後3日目に、24穴の非組織培養プレートをレトロネクチンで被覆し、洗浄の後、CAR.CD19を含有する1mlのレトロウイルス上清で植菌した。次いでウイルス上清を取り除き、完全培地と200U/mlのrhIL-2のウェルにNKTを加えた。次いでNKTをCD62L+及びCD62L-のサブセットに磁気で選別し、形質導入後12日目のFACSによる2D3mAb染色によってCAR.CD19の表面発現を解析した。示したのは、3回の独立した実験の代表に由来するFACSの図である。
図7B】同上。
【0024】
図8A】(8A~8B)静止状態の及び活性化されたNKT上での共刺激受容体の発現を示す図である。(8A)静止状態のNKT(一次刺激の12日後)及びαGalCerによる再刺激の3日後のNKTにおけるCD4に関連したOX40及び4-1BBの発現のFACS解析。図は6人のPBMCドナーの代表に由来する。(8B)αGalCerによるNKT細胞の再刺激3日後でのCD4に関連したOX40及び4-1BBの発現について、磁気で選別したCD62L+及びCD62L-のNKTを解析した。図は4人のPBMCドナーの代表に由来する。
図8B】同上。
【0025】
図9】低濃度及び高濃度のプレートに結合したOKT3mAbを用いたNKT細胞の増殖の比較を示す図である。試験管内で増殖させ、休止しているNKTを、20ng/mlまたは1μg/mlの抗CD3であるOKT3mABで単独にて、または500ng/mlの抗CD28であるCD28.2mAbと共に刺激した。細胞は、隔日でIL-2(200U/ml)を加えた培養で増殖させた。12日目に3つ組でトリパンブルー排除アッセイを用いてNKT細胞の絶対細胞計数を実施し、0日目での投入数に分けた。データはM±SD、N=4である。**P=0.01、対応のあるt検定。
【0026】
図10-1】IL-21は初代増殖の間にCD62L+NKT細胞の頻度を増やすことを示す図である。
図10-2】同上。
図10-3】同上。
【0027】
図11-1】IL-21は二次増殖の間にCD62L+NKT細胞の頻度を増やすことを実証する図である。
図11-2】同上。
図11-3】同上。
【0028】
図12-1】例としてRamos細胞上でのCD1d及び共刺激分子の発現を示す図である。
図12-2】同上。
【0029】
図13-1】Ramos細胞は高レベルのCD62Lの発現を伴う初代NKTを増殖させることができることを示す図である。
図13-2】同上。
図13-3】同上。
【0030】
図14】Ramos細胞は、CD62Lの発現の有意な保持を伴った二次刺激の際NKTを増殖させることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
本出願は2015年4月23日に出願された62/151,690を参照によって本明細書に組み入れる。
【0032】
本明細書で使用されるとき、「a」または「an」は1以上を意味してもよい。クレームにて本明細書で使用されるとき、単語「comprising」と併せて使用される場合、単語「a」または「an」は1または1超を意味してもよい。本明細書で使用されるとき、「別の」は少なくとも第2以上を意味してもよい。具体的な実施形態では、本発明の態様は、たとえば、本発明の1以上の配列から「本質的に成って」もよくまたは「成って」もよい。本発明の一部の実施形態は、本発明の1以上の要素、方法工程及び/または方法から成ってもよく、または本質的に成ってもよい。本明細書に記載されている任意の方法または組成物は、本明細書に記載されている他の方法または組成物に関連して実施され得ることが熟考される。本出願の範囲は、本明細書に記載されている過程、機械、製造、物質の組成、手段、方法及び工程の特定の実施形態に限定されるとは意図されない。
【0033】
I.一般的な実施形態
本開示は、NKT細胞が十分なレベルまで増殖し、生体内にて十分なレベルで持続して治療効果を達成することができるので免疫療法での使用に好適なNKT細胞を提供する。本開示のNKT細胞は、少なくともある程度それらが高い治療適用性を有するようにするCD62Lを発現し、その発現を維持するように操作される。NKT細胞におけるCD62Lの発現のそのような維持は、1以上の共刺激作用因子への曝露の際を含む同時刺激の際に少なくともある程度生じる。
【0034】
II.NKT細胞及びその同時刺激
特定の実施形態では、NKT細胞は、細胞がCD62Lの発現を維持できるようにする1以上の共刺激作用因子への曝露に続いて向上した試験官内の増殖及び生体内での存続性を有するので、NKT細胞は治療応用で有用である。1以上の共刺激作用因子は任意の種類のものでもよいが、具体的な実施形態では、それらは、1以上のサイトカイン;(b)共刺激受容体を標的とする1以上のアゴニスト抗体を含む基材(たとえば、ビーズ、プレート等);及び/または(c)CD1dの発現を含み、且つ1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドの発現を含む抗原提示細胞のような細胞を含む。NKT細胞がサイトカインに曝露される場合では、サイトカインは好適な種類のものであってもよいが、具体的な場合では、サイトカインはIL-21、IL-2、IL-7、IL-15、IL-12、IL-18、TNFアルファまたはそれらの組み合わせである。具体的な実施形態では、CD62L+NKT細胞はIL-2の存在下での培養の際、IL-21を発現し、IL-21はCD62Lの発現を保持する。
【0035】
NKT細胞が、共刺激受容体を免疫的に認識するアゴニスト抗体(少なくとも場合によっては、モノクローナルである)である1以上の共刺激作用因子に曝露される場合、受容体は共刺激受容体であってもよい。しかしながら、具体的な実施形態では、受容体は、たとえば、CD28、4-1BB、OX-40、ICOS、CD2、CD27、CD30、GITR、TIM1、LFA1、ICAM1、またはHVEMである。細胞の集団、たとえば、NKT細胞の集団が抗体に十分に曝露されるようにする基材に抗体を付着させてもよい。抗体は商業的に入手してもよく、贈与として得てもよく、または当該技術で標準の手段によって製造されてもよい。
【0036】
NKT細胞が、治療上有効な量の、抗原提示細胞活性を有する細胞、たとえば、人工的な抗原提示細胞(たとえば、抗原提示細胞活性を持つ非天然の細胞)に曝露される場合、細胞は1以上のポリヌクレオチドで形質導入されて1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを発現してもよい。細胞はそれが1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを発現する限り、任意の種類のものであってもよいが、少なくとも場合によっては、細胞はCD1dも発現する。細胞は特定の実施形態では、抗原提示細胞である。具体的な場合、CD1dを発現し、及び/または1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを発現する細胞は天然に存在し、本明細書に包含される方法で使用されてもよい。他の場合では、天然にCD1dを発現せず、及び/または1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを天然に発現しない細胞は形質導入されて各成分を発現し、本明細書に包含される方法で使用される。共刺激受容体のリガンドは任意の種類のものであってもよいが、具体的な実施形態では、リガンドはCD80、CD86、4-1BBL、OX40L、ICOSL、CD30L、GITRL、TIM4、LIGHT、等である。抗原提示細胞活性を有する細胞が1以上のポリヌクレオチドで形質導入される場合、ポリヌクレオチドは、ウイルスベクターまたは非ウイルスベクター(たとえば、プラスミド)を含むベクターに含まれてもよい。ウイルスベクターにはレトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター等が挙げられる。ベクターは抗原提示細胞活性を有する細胞での発現のための好適な調節要素を含むであろう。場合によっては、抗原提示細胞活性を有する細胞に形質導入されるポリヌクレオチドは、たとえば、2つの共刺激受容体リガンドをコードするような2以上のコーディング領域をコードする。そのような場合、別々のコーディング領域が同じ調節要素によって調節されてもよいし、調節されなくてもよい。
【0037】
NKT細胞におけるCD62Lの発現がNKT細胞の同時刺激のゆえに持続されている実施形態では、所望のNKT細胞を調製する工程に一般的な順序があってもよいし、またはなくてもよい。特定の実施形態では、NKT細胞は選別(たとえば、磁気ビーズまたはFACSの選別)によって適当な供給源(たとえば、血液(末梢血、臍帯血等を含む))から得られ、細胞の混合された集団で存在する。これに続いて、NKT細胞は、T細胞受容体に対するアゴニスト抗体もしくはリガンド(たとえば、OKT3mAb、6B11mAbまたはアルファ-ガラクトシルセラミドのような結合したアゴニスト糖脂質を伴った組換えヒトCD1d)を含有する基材、またはCD1d及びアルファ-ガラクトシルセラミドのような結合したアゴニスト糖脂質を発現している抗原提示細胞を用いてTCRの刺激を介して活性化される。TCRで活性化されたNKT細胞を同時刺激に曝露して同時刺激の非存在下で生じるよりも高いレベルのCD62L+NKT細胞を集団から作出してもよい。一部の実施形態では、それを必要とする個体への送達に先立って、且つ1以上の共刺激作用因子への曝露に続いて、NKT細胞は、組換え手段によって操作されて1以上の特徴を組み込む、たとえば、NKT細胞を治療用にする1以上の治療剤または治療実体を発現する。特定の実施形態では、細胞は遺伝子操作されて、抗原保有細胞を標的とする能力を細胞に提供する。具体的な実施形態では、操作は、1以上のキメラ抗原受容体及び/またはT細胞受容体のいずれか、または対象とする特定の抗原を標的とするそれらを発現するようにNKT細胞に形質導入することである。具体的な実施形態では、抗原は腫瘍抗原である。
【0038】
個体における病状の治療に利用されるNKT細胞は、それが投与される個体を起源としてもよいし、それらは別の個体を起源としてもよいし、またはそれらは細胞寄託から得られてもよい。NKT細胞は具体的な実施形態では、1型のNKT細胞である。
【0039】
NKT細胞は個体への送達に先立って選別されてもよいし、または選別されなくてもよい。具体的な実施形態では、CD62L陽性NKT細胞はCD62L陰性NKT細胞から選別されないが、代わりの実施形態では、それらは選別されてもよい。たとえば、それらがCD2Lを発現しているかどうかに基づいて細胞が選別されない場合、細胞が物理的分離によって選別されなければ、それらはCD62L発現の維持を生じる細胞の同時刺激を用いて濃縮することができる。
【0040】
ほとんどの場合、特定の表現型に基づいて細胞は選別されないが、細胞を選別する一部の場合では、たとえば、細胞を特異的に結合することができる1以上の基材への曝露の際に所望の細胞を回収することによって、所望の細胞の濃縮を可能にする方法によってそれらをそのようにしてもよい。たとえば、基材(たとえば、ビーズ、粒子、プレート、ゲルマトリクス等)上の抗体を用いた所望の細胞の分離を利用してもよく、その際、抗体は細胞を直接または間接的に結合してもよい。具体的な実施形態では、磁気分離が採用されてもよい。
【0041】
III.NKT細胞の遺伝子操作
特定の実施形態では、それを必要とする個体への送達に先立ってNKT細胞は遺伝子操作される。NKT細胞は普通、TCR刺激及び同時刺激の後に操作され;特定の実施形態では、遺伝子操作は刺激後1、2、3、4、5日以上以内に発生する(且つこれは、使用される形質導入の種類に左右されてもよく;たとえば、レトロウイルスベクターではそれは2日以内である)。
【0042】
NKT細胞の遺伝子操作はヒトの手によって発生することができ、特定の実施形態では、遺伝子操作は、細胞が1以上の癌細胞、たとえば、特定の抗原を発現している癌細胞を特異的に標的とすることができるようにする。具体的な実施形態では、操作はNKT細胞に特定の癌細胞のための特定の非天然の受容体を提供する。受容体は任意の種類のものであってもよいが、具体的な実施形態では、受容体は、たとえば、T細胞受容体またはキメラ抗原受容体である。場合によっては、キメラ抗原受容体は、CD19、CD22、CD30、GD2、GPC3、CSPG4、HER2、CEA、メソテリン等のためのものである。
【0043】
腫瘍DNAの配列決定によって明らかにされた変異していない腫瘍関連抗原(たとえば、サバイビン、MYCN、NY-ESO1、MAGE、PRAME、WT1、等)または患者に特異的な変異した腫瘍抗原に由来するMHC/ペプチド複合体に対するT細胞受容体。
【0044】
場合によっては、NKT細胞はCARを発現するように操作される。腫瘍に向けられたキメラ抗原受容体(CAR)を発現させるためのNKT細胞の遺伝子操作は、タンパク質/抗原の処理及び提示における異常によるものである腫瘍免疫逃避機構を迂回する抗腫瘍エフェクター細胞を生じることができる。さらに、トランスジェニック受容体はタンパク質由来ではない腫瘍関連抗原に向けることができる。本開示の特定の実施形態では、少なくともCARを含むように操作されているNKT細胞がある。具体的な態様では、特定のNKT細胞は2以上のCARの発現を含む。
【0045】
本開示は、CARと呼ばれる(キメラT細胞受容体またはキメラ免疫受容体とも呼ばれてもよい)人工的なT細胞受容体を発現しているNKT細胞を含む。本開示の実施形態では、それは癌抗原に特異的である。CARは一般に細胞外ドメインと膜貫通ドメインと細胞内ドメインとを含んでもよい。それは、具体的な実施形態では、第1世代、第2世代または第3世代であってもよい。
【0046】
特定の場合では、NKT細胞は、キメラであり、非天然であり、ヒトの手によって少なくともある程度操作され、対象とする特定の癌抗原に向けられるCARを含む。特定の場合では、操作されたCARは1、2、3、4以上の成分を有し、一部の実施形態では、1以上の成分が癌抗原を含む癌細胞へのNKT細胞のターゲティングまたは結合を促す。具体的な実施形態では、CARは、癌抗原に対する抗体、細胞質シグナル伝達ドメインの一部または全部、及び/または1以上の共刺激分子、たとえば、共刺激分子の細胞内ドメインの一部または全部を含む。具体的な実施形態では、抗体は単鎖可変断片(scFv)である。特定の態様では、抗体は、たとえば、対象とする抗原を発現している癌細胞の細胞表面における癌抗原に向けられる。特定の実施形態では、たとえば、T細胞受容体ζ鎖に由来するもののような細胞質シグナル伝達ドメインは、キメラ受容体の標的抗原との結合に続いてNKT細胞の増殖及びエフェクター機能のための刺激シグナルを生じるために、キメラ受容体の少なくとも一部として採用される。例には、たとえば、CD27、Cd28、4-1BB及びOX40のような共刺激分子に由来する細胞内ドメインまたはたとえば、IL7及びIL15のようなサイトカイン受容体のシグナル伝達成分が挙げられることになるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、共刺激分子を採用して抗原結合の後CARによって生じるNKT細胞の活性化、増殖、及び細胞傷害性を高める。具体的な実施形態では、共刺激分子はCD28、OX40、及び4-1BBである。
【0047】
一般に、CARの細胞外ドメインは、シグナルペプチドと、抗原認識ドメインと、抗原認識ドメインを膜貫通ドメインに連結するスペーサーとを包含する。抗原認識ドメインは一般に特定の癌抗原に特異的な単鎖可変断片(scFv)を含むであろう。しかしながら、同一細胞に2以上のCARがある場合、第2のCARは別の特定の抗原に特異的なscFvを含んでもよい。癌抗原の例には、たとえば、黒色腫関連抗原(MAGE)、黒色腫の優先的に発現される抗原(PRAME)、CD19、CD20、CD22、κ-軽鎖、CD30、CD33、CD123、CD38、CD138、ROR1、ErbB2、ErbB3/4、EGFrvIII、癌胎児性抗原、EGP2、EGP40、HER2、メソテリン、TAG72、PSMA、NKG2Dリガンド、B7-H6、IL-13受容体a2、MUC1、MUC16、CA9、GD2、GD3、HMW-MAA、CD171、ルイスY、G250/CAIX、HLA-AI MAGE A1、HLA-A2 NY-ESO-1、PSC1、葉酸受容体-a、CD44v6、CD44v7/8、8H9、NCAM、VEGF受容体、5T4、胎児AchR、NKG2Dリガンド、またはCD44v6のいずれか1つが挙げられる。
【0048】
細胞外ドメインのためのヒンジ領域の例には、免疫グロブリンのCH2CH3領域、IgG1に由来するヒンジ領域、及びCD3の一部が挙げられる。場合によっては、膜貫通領域はCD28であるけれども、それは任意の種類のものであってもよい。
【0049】
一般に、本開示のCARの細胞内ドメインは、抗原認識後の細胞及び受容体のクラスターにおけるシグナル伝達に利用される。最も一般に使用される細胞内ドメイン成分は、3つのITAMを含有し、且つ抗原が結合した後、T細胞に活性化シグナルを伝達するCD3ゼータである。一部の実施形態では、CD28、4-1BB及び/またはOX40との組み合わせでのCD3ゼータのような追加の共刺激性のシグナル伝達が利用される。
【0050】
IV.細胞全般
本開示の細胞は、1以上の共刺激作用因子によって同時刺激されているCD62L陽性NKT細胞と同様にそれ自体抗原提示細胞である特定の共刺激作用因子(抗原提示細胞活性を有する非天然の細胞と呼ばれてもよい)の双方を含む。一部の実施形態では、CD1dを発現している非天然の細胞であり、且つ1以上の共刺激受容体の1以上のリガンドを発現している人工的な抗原提示細胞である、物質の組成物がある。
【0051】
本明細書で使用されるとき、用語「細胞」、「細胞株」及び「細胞培養物」は相互交換可能に使用されてもよい。これらの用語はすべて、任意の及び全てのその後の世代であるその子孫も含む。故意のまたは故意ではない突然変異のために子孫すべてが同一であるわけではない可能性があることが理解される。異種の核酸配列を発現している文脈では、「宿主細胞」は、原核細胞または真核細胞を指すことができ、それには、ベクターを複製することができる及び/またはベクターによってコードされる異種遺伝子を発現させることができる形質転換可能な生物が挙げられる。宿主細胞はベクターのためのレシピエントとして使用することができ、使用されている。宿主細胞は、「形質移入」されてもよくまたは「形質転換」されてもよく、それはそれによって外来性の核酸が宿主細胞に形質移入されてもよく、または導入されてもよい過程を指す。形質転換された細胞は初代の対象細胞及び子孫を含む。本明細書で使用されるとき、用語「操作された」及び「組換えの」細胞または宿主細胞は、外来性の核酸配列、たとえば、ベクターがその中に導入されている細胞を指すように意図される。従って、組換え細胞は組換えで導入された核酸を含有していない天然に存在する細胞から区別できる。
【0052】
特定の実施形態では、RNAまたはタンパク性の配列は同一宿主細胞にて他の選択されたRNAまたはタンパク性と同時発現させてもよいことが熟考される。同時発現は、宿主細胞に2以上の異なる組換えベクターで同時形質移入することによって達成されてもよい。或いは、RNAについて複数の異なるコーディング領域を含むように単一の組換えベクターを構築してもよく、次いで単一ベクターで形質移入された宿主細胞にてそれを発現させてもよい。
【0053】
一部のベクターは、原核細胞及び真核細胞の双方でそれが複製され及び/または発現されるようにする制御配列を採用してもよい。当業者はさらに、上述の宿主細胞のすべてをインキュベートしてそれらを維持し、ベクターの複製を可能にする条件を理解することになる。理解され、知られるのはまた、ベクターの大規模生産と同様にベクターによってコードされる核酸及びその同族のポリペプチド、タンパク質またはペプチドの製造を可能にする技法及び条件である。
【0054】
ベクターまたはベクターに組み込むDNAの組換え操作における操作のために原核細胞が採用されてもよいけれども、本開示で使用される細胞は、哺乳類を含む真核細胞である。細胞は特にヒトであるが、対象とする動物、特に各動物での使用のための、たとえば、ウマ、ウシ、ネズミ、ヒツジ、イヌ、ネコ等のような家畜に関連することができる。
【0055】
細胞は、たとえば、細胞を受け取っている個体との関係で、自己細胞、同系細胞、同種細胞、及びさらに場合によっては、異種細胞であることができる。細胞は、主要組織適合性複合体)「MHC」)の特性を変えることによって、β-ミクログロブリンを不活化して機能的なクラスIのMHC分子の形成を妨げることによって、クラスII分子の不活化、1以上のMHC分子の発現を提供すること、細胞傷害活性に関連する遺伝子の発現を高めるまたは阻害することによって細胞傷害性能を高めるまたは不活化すること等によって操作されてもよい。
【0056】
CARをコードする発現ベクターを1以上のDNA分子または構築物として細胞に導入することができ、その際、構築物を含有する宿主細胞の選択を可能にする少なくとも1つのマーカーがあってもよい。構築物は従来の方法で調製することができ、その際、遺伝子及び調節領域は単離されてもよく、適宜、制限または配列決定、または他の手段によってライゲーションされてもよく、適当なクローニング宿主にクローニングされてもよく、解析されてもよい。特に、PCRを用いて、機能単位の全部または一部を含む個々の断片を単離してもよく、その際、適宜、「プライマー修復」、ライゲーション、試験管内変異誘発を用いて1以上の突然変異が導入されてもよい。いったん完成され、適当な配列を有することが実証された構築物は次いで従来の手段によってCTLに導入されてもよい。細胞への感染または形質導入のために、構築物は、レトロウイルスベクターを含むアデノウイルス、アデノ関連ウイルス(AAV)または単純性ヘルペスウイルス(HSV)等のような複製しない不完全ウイルスゲノムに組み込まれてもよいし、パッケージされてもよい。構築物には所望であれば形質移入のためのウイルス配列が含まれてもよい。或いは、構築物は、融合、エレクトロポレーション、遺伝子銃、形質移入、リポフェクチン等によって導入されてもよい。宿主細胞は、構築物の導入の前に培養にて増殖させ、増やしてもよく、その後、構築物の導入及び構築物の組込みのための適当な処理が行われる。次いで細胞を増やし、構築物に存在するマーカーによってスクリーニングする。上手く使用されてもよい種々のマーカーにはhprt、ネオマイシン耐性、チミジンキナーゼ、ハイグロマイシン耐性等が挙げられる。
【0057】
多くの状況で、人は操作された細胞を殺傷できることを望んでもよく、その際、人は治療を終了することを望み、その存在後の細胞の非存在が対象であるまたは他の事象である研究では細胞は腫瘍性になる。この目的で、人は、人が制御された条件下で操作された細胞を殺傷することができる特定の遺伝子産物の発現を提供することができる。カスパーゼ9のような自殺遺伝子産物はそのような産物の例である。
【0058】
実例として、癌患者または癌に感受性の患者または癌を有することが疑われる患者は以下のように治療されてもよい。本明細書に記載されているような操作された細胞が患者に投与され、長期間保持されてもよい。個体は細胞の1回以上の投与を受けてもよい。細胞は操作され、それを必要とする個体に提供されることになる。
【0059】
V.ポリヌクレオチド
本開示はまた、本明細書で定義されているような抗原特異的なCARをコードする核酸配列を含む組成物及び該核酸配列を抱えている細胞も包含する。核酸配列は特定の態様では組換え核酸配列であり、合成であってもよい。それはPNA(ペプチド核酸)と同様にDNA、RNAを含んでもよく、それはそれらのハイブリッドであってもよい。
【0060】
さらに、核酸分子が、たとえば、チオエステル結合及び/またはヌクレオチド類似体を含有してもよいことがさらなる目的で想定される。操作は、細胞にてエンドヌクレアーゼ及び/またはエキソヌクレアーゼに対する核酸分子の安定化に有用であってもよい。核酸分子は、細胞にて前記核酸分子の転写を可能にするキメラ遺伝子を含む適当なベクターによって転写されてもよい。この点で、そのようなポリヌクレオチドは「遺伝子ターゲティング」または「遺伝子治療」のアプローチに使用することができることも理解されるべきである。別の実施形態では、核酸分子は標識される。核酸の検出のための方法は当該技術で周知であり、たとえば、サザンブロット及びノーザンブロット、PCRまたはプライマー伸長である。この実施形態は、遺伝子療法のアプローチの間での上述の核酸分子の上手く行った導入を検証するためのスクリーニング方法で有用であってもよい。
【0061】
核酸分子は前述の核酸分子のいずれかを単独でまたは組み合わせで含む、組換えで作出されたキメラ核酸分子であってもよい。具体的な態様では、核酸分子はベクターの一部である。
【0062】
従って、本開示はまた、本開示に記載されている核酸分子を含むベクターを含む組成物にも関する。
【0063】
多数の好適なベクターが分子生物学の当業者に既知であり、その選択は所望の機能に左右され、それらにはプラスミド、コスミド、ウイルス、バクテリオファージ、及び遺伝子操作で従来使用されている他のベクターが挙げられる。当業者に周知の方法を用いて種々のプラスミド及びベクターを構築することができる。たとえば、Sambrookら.(1989)及びAusubel,Current Protocols in Molecular Biology,Green Publishing Associates and Wiley Interscience,N.Y.(1989),(1994)に記載されている技法を参照のこと。或いは、本開示のポリヌクレオチド及びベクターは標的細胞への送達のためにリポソームに再構成することができる。クローニングベクターを用いてDNAの個々の配列を単離してもよい。特定のポリペプチドの発現が求められる発現ベクターに関連する配列を移すことができる。典型的なクローニングベクターには、pBluescript SK、pGEM、pUC9、pBR322及びpGBT9が挙げられる。典型的な発現ベクターには、pTRE、pCAL-n-EK、pESP-1、pOP13CATが挙げられる。
【0064】
具体的な実施形態では、本明細書で定義されている抗原特異的なCARをコードする核酸配列に操作可能に連結された調節配列である核酸配列を含むベクターがある。そのような調節配列(制御要素)は熟練者には既知であり、それらにはプロモータ、スプライスカセット、翻訳開始コドン、ベクターに挿入物を導入するための翻訳及び挿入の部位が挙げられてもよい。具体的な実施形態では、核酸は真核細胞または原核細胞での発現を可能にする前記発現制御配列に操作可能に連結される。
【0065】
ベクターは、本明細書で定義されているような抗原特異的なCARをコードする核酸分子を含む発現ベクターであることが想定される。具体的な態様では、ベクターは、たとえば、レンチウイルスベクターのようなウイルスベクターである。レンチウイルスベクターは、たとえば、Clontech(Mountain View,CA)またはGeneCopoeia(Rockville,MD)を含めて市販されている。
【0066】
用語「調節配列」はそれらがライゲーションされるコーディング配列の発現を達成するのに必要であるDNA配列を指す。そのような制御配列の性質は宿主生物に応じて異なる。原核生物では、制御配列には一般にプロモータ、リボソーム結合部位及びターミネータが挙げられる。真核生物では、一般に制御配列にはプロモータ、ターミネータ、及び一部の例では、エンハンサ、トランスアクチベータまたは転写因子が挙げられる。用語「制御配列」は、最小でも、その存在が発現に必要である成分すべてを含むように意図され、追加の有利な成分も含んでもよい。
【0067】
用語「操作可能に連結される」は、そのように記載されている成分が意図される方法でそれらが機能するのを可能にする関係にある並置を指す。コーディング配列に「操作可能に連結される」制御配列は、制御配列に適合する条件下でコーディング配列の発現が達成されるような方法でライゲーションされる。制御配列がプロモータである場合、二本鎖核酸が好ましくは使用されることは当業者にとって明白である。
【0068】
従って、引用されているベクターは特定の実施形態では、発現ベクターである。「発現ベクター」は選択された宿主を形質転換するのに使用することができ、選択された宿主にてコーディング配列の発現を提供する構築物である。発現ベクターは、たとえば、クローニングベクター、バイナリベクターまたは組込みベクターであることができる。発現は、核酸分子の好ましくは翻訳可能なmRNAへの転写を含む。原核細胞及び/または真核細胞にて発現を保証する調節要素は当業者に周知である。真核細胞の場合、それらは通常、転写の開始を保証するプロモータならびに任意で、転写の終結及び転写物の安定化を保証するポリAシグナルを含む。原核宿主細胞にて発現を可能にする考えられる調節要素は、たとえば、大腸菌ではP、lac、trpまたはtacプロモータを含み、真核宿主細胞にて発現を可能にする調節要素の例は、酵母におけるAOX1もしくはGAL1プロモータ、または哺乳類及び他の動物の細胞におけるCMV-、SV40-、RSV-プロモータ(ラウス肉腫ウイルス)、CMV-エンハンサ、SV40-エンハンサ、またはグロビンイントロンである。
【0069】
たとえば、調節要素のような転写の開始に関与する側にある要素はまた、ポリヌクレオチドの下流のたとえば、SV40-ポリ-A部位またはtk-ポリ-A部位のような転写終結シグナルも含んでもよい。さらに、使用される発現系に応じて、ポリヌクレオチドを細胞性の区画に向けることができる、またはそれを培地に分泌することができるリーダー配列を引用されている核酸配列のコーディング配列に加えてもよく、それは当該技術で周知である。リーダー配列は、翻訳開始及び終結の配列を伴う適当な相で作られ、好ましくはリーダー配列は細胞周辺腔または細胞外の培地への翻訳されたタンパク質またはその一部の分泌を指図することができる。任意で、異種配列は、所望の特徴、たとえば、発現された組換え産物の安定化または簡略化された精製を付与するN末端特定ペプチドを含む融合タンパク質をコードすることができる。:上記を参照のこと。この文脈では、たとえば、Okayama-Berg cDNA発現ベクターpcDV1(Pharmacia)、pEF-Neo、pCDM8、pRc/CMV、pcDNA1、pcDNA3(Invitrogen)、pEF-DHFR及びpEF-ADA、(Raumら.Cancer Immunol Immunother(2001),50(3)、141-150)またはpSPORT1(GIBCO BRL)のような好適な発現ベクターが当該技術で知られている。
【0070】
一部の実施形態では、発現制御配列は、真核宿主細胞を形質転換するまたはそれに形質移入することができるベクターにおける真核プロモータ系であるが、原核宿主の制御配列も使用されてもよい。ベクターが適当な宿主にいったん組み込まれると、ヌクレオチド配列の高レベルの発現に好適な条件下で宿主が維持され、所望のように、本開示のポリペプチドの回収及び精製が続いてもよい。特定の実施形態では、1以上のコード可能な配列が低酸素環境に応答性である発現制御配列によって調節される。
【0071】
追加の調節要素には転写エンハンサと同様に翻訳エンハンサが挙げられてもよい。有利なことに、本開示の上述のベクターは選択可能な及び/またはスコア化できるマーカーを含む。形質転換された細胞の選択に有用な選択可能なマーカー遺伝子は当業者に周知であり、たとえば、メソトレキセートに対する耐性を付与するdhfr(Reiss,Plant Physiol.(Life-Sci.Adv.)13(1994),143-149)、アミノグリコシドであるネオマイシン、カナマイシン及びパロマイシンに対する耐性を付与するnpt(Herrera-Estrella,EMBO J.2(1983),987-995)ならびにハイグロマイシンに対する耐性を付与するhygro(Marsh,Gene,32(1984),481-485)についての選択の基礎として代謝拮抗物質耐性を含む。追加の選択可能な遺伝子、すなわち、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用するようにするtrpB;細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用するようにするhisD(Hartman,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,85(1988),8047);細胞がマンノースを利用するようにするマンノース-6-リン酸イソメラーゼ(WO94/20627)及びオルニチン脱炭酸酵素阻害剤である2-(ジフルオロメチル)-DL-オルニチン、DFMOに対する耐性を付与するODC(オルニチン脱炭酸酵素)(McConlogue,1987,In:Current Communications in Molecular Biology,Cold Spring Harbor Laboratory ed)またはブラスチシジンSに対する耐性を付与するAspergillus terreusに由来するデアミナーゼ(Tamura,Biosci.Biotechnol.Biochem.59(1995),2336-2338)が記載されている。
【0072】
有用なスコア化できるマーカーも当業者に既知であり、市販されている。有利なことに、前記マーカーは、ルシフェラーゼ(Giacomin,Pl.Sci.116(1996),59-72;Scikantha,J.Bact.178(1996),121)、緑色蛍光タンパク質(Gerdes,FEBS Lett.389(1996),44-47)またはβ-グルクロニダーゼ(Jefferson,EMBO J.6(1987),3901-3907)をコードする遺伝子である。この実施形態は引用されているベクターを含有する細胞、組織及び生物の簡単な且つ迅速なスクリーニングに特に有用である。
【0073】
上述のように、引用されている核酸分子は細胞にて単独でまたはベクターの一部として使用されて細胞にてコードされたポリペプチドを発現することができる。特異的なCAR構築物のいずれか1つをコードするDNA配列を含有する核酸分子またはベクターは次に対象とするポリペプチドを産生する細胞に導入される。引用されている核酸分子及びベクターは、細胞への直接導入のために、またはリポソームもしくはウイルスベクター(たとえば、アデノウイルス、レトロウイルス)を介した導入のために設計されてもよい。
【0074】
上記によれば、本開示は、本明細書で定義されている抗原特異的なCARのポリペプチド配列をコードする核酸分子を含む遺伝子操作において従来使用されているベクター、特にプラスミド、コスミド、ウイルス及びバクテリオファージを動かす方法に関する。好ましくは、前記ベクターは発現ベクター及び/または遺伝子導入またはターゲティングベクターである。たとえば、レトロウイルス、ワクシニアウイルス、アデノ関連ウイルス、ヘルペスウイルス、またはウシパピローマウイルスのようなウイルスに由来する発現ベクターを引用されているポリヌクレオチドまたはベクターの標的化された細胞集団への送達に使用してもよい。当業者に周知である方法を用いて組換えベクターを構築することができる;たとえば、Sambrookら.(loc cit),Ausubel(1989,loc cit.)または他の標準の教科書に記載されている技法を参照のこと。或いは、引用されている核酸分子及びベクターは標的細胞への送達のためにリポソームに再構成することができる。本開示の核酸分子を含有するベクターを周知の方法によって宿主細胞に移すことができるが、それは細胞宿主の種類に応じて異なる。たとえば、塩化カルシウム形質移入が原核細胞には一般的に利用されるのに対して他の細胞宿主にはリン酸カルシウム処理またはエレクトロポレーションが使用されてもよい;Smbrook、上記を参照のこと。
【0075】
XII.医薬組成物
本開示によれば、用語「医薬組成物」は個体に投与するための組成物を指す。本開示の特定の態様では、医薬組成物は複数のNKT細胞を含む。好まれる実施形態では、医薬組成物は、非経口、経皮、腔内、動脈内、クモ膜下もしくは静脈内の投与、または癌への直接注入のための組成物を含む。前記医薬組成物は点滴または注射を介して個体に投与されることが特に想定される。好適な組成物の投与は、様々な方法によって、たとえば、静脈内、皮下、腹腔内、筋肉内、局所または皮内の投与によって達成されてもよい。
【0076】
本開示の医薬組成物はさらに薬学上許容できるキャリアを含む。好適な医薬キャリアの例は当該技術で周知であり、それには、リン酸緩衝化生理食塩水溶液、水、油/水エマルションのようなエマルション、種々の種類の湿潤剤、無菌溶液等が挙げられる。そのようなキャリアを含む組成物は周知の従来の方法によって製剤化することができる。これらの医薬組成物を好適な用量で対象に投与することができる。
【0077】
投与計画は主治医及び臨床因子によって決定されるであろう。医療技術で周知のように、1人の患者に対する投与量は、患者のサイズ、体表面積、年齢、投与される特定の化合物、性別、投与の時間及び経路、全身状態、及び現在投与されている他の薬剤を含む多数の因子に左右される。定期評価によって進行をモニターすることができる。CARで操作されたNKTが静脈内点滴を介して投与されてもよい。用量は1×10/m~2×10/mの範囲であることができ、具体的な態様では、10個までの細胞を利用してもよい。
【0078】
本開示の組成物は局所でまたは全身性に投与されてもよい。投与は一般に非経口、たとえば、静脈内であろう;DNAはまた、たとえば、内部もしくは外部の標的部位への遺伝子銃送達によって、または動脈内の部位へのカテーテルによって直接標的部位に投与されてもよい。好まれる実施形態では、医薬組成物は皮下に投与され、一層さらに好まれる実施形態では、静脈内に投与される。非経口投与のための製剤には無菌の水性または非水性の溶液、懸濁液及びエマルションが含まれる。非水性溶媒の例は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、たとえば、オリーブ油のような植物油、及びたとえば、オレイン酸エチルのような注射用の有機エステルである。水性キャリアには、生理食塩水及び緩衝液媒体を含む水、アルコール性/水性溶液、エマルションまたは懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルには、塩化ナトリウム溶液、リンガーのデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸加リンガー液または固定油が挙げられる。静脈内ビヒクルには、流体及び栄養物の補充液、電解質補充液(たとえば、リンガーのデキストロースに基づくもの)等が挙げられる。たとえば、抗菌剤、抗酸化剤、キレート剤、不活性気体等のような保存剤及び他の添加剤も存在してもよい。加えて、本開示の医薬組成物は、タンパク性のキャリア等、たとえば、好ましくはヒト起源の血清アルブミンまたは免疫グロブリンを含んでもよい。本開示の医薬組成物は、CAR構築物またはそれをコードする核酸分子またはベクター(本開示に記載されているような)に加えて、医薬組成物の用途に応じてさらに生物学的に活性のある作用因子を含んでもよいことが想定される。
【0079】
XII.NKT細胞の治療上の使用
実例として、癌患者または癌に感受性の患者または癌を有することが疑われる患者は本明細書に記載されているように治療されてもよい。本明細書に記載されているように操作されたNKT細胞を個体に投与し、長期間保持してもよい。個体は1回以上の細胞の投与を受けてもよい。一部の実施形態では、遺伝子操作された細胞を被包して免疫認識を阻害し、腫瘍の部位に配置する。
【0080】
種々の実施形態では、腫瘍性疾患のような癌性疾患の予防、治療または改善に発現構築物、それを含むベクター、宿主細胞及び/または医薬組成物を使用する。特定の実施形態では、本開示の医薬組成物は、たとえば、固形腫瘍を有する癌を含む癌を予防する、改善する及び/または治療することにおいて特に有用であってもよい。
【0081】
本明細書で使用されるとき、「治療」または「治療すること」には、疾患または病的状態の症状または病状に対して有益なまたは望ましい効果が含まれ、治療される疾患または状態、たとえば、癌の1以上の測定可能なマーカーにおける最低限の低下でさえ含まれてもよい。治療には任意で、疾患もしくは状態の症状の軽減もしくは改善、または疾患もしくは状態の進行の遅延が関与することができる。「治療」は疾患または状態、またはその関連する症状の完全な撲滅または治癒を必ずしも示さない。
【0082】
本明細書で使用されるとき、「予防する」及びたとえば、「予防された」、「予防すること」等のような類似の単語は、疾患または状態、たとえば、癌の発生または再発の可能性を予防する、抑制するまたは低減するアプローチを示す。それはまた、疾患または状態の発症または再発を遅延させること、または疾患または状態の症状の発生または再発を遅延させることも指す。本明細書で使用されるとき、「予防」及び類似の単語は、疾患または状態の発症または再発に先立って疾患または状態の強度、影響、症状及び/または負荷を減らすことも含む。
【0083】
特定の実施形態では、本開示は、単独でまたは別の治療法との併用で、少なくとも一部の態様では、薬学上許容できるキャリアまたは賦形剤と一緒に投与することができる発現構築物、核酸分子及び/またはベクターを抱えている細胞をある程度熟考する。特定の実施形態では、細胞の投与に先立って、前記核酸分子またはベクターを細胞のゲノムに安定して組み込ませてもよい。具体的な実施形態では、特定の細胞または組織に特異的であり、前記細胞にて持続するウイルスベクターが使用されてもよい。好適な医薬キャリア及び賦形剤は当該技術で周知である。本開示に従って調製された組成物は上記で特定された疾患の予防または治療または遅延に使用することができる。
【0084】
さらに、本開示は、それを必要とする対象に、本明細書で熟考されるような及び/または本明細書で熟考されるような工程によって製造されるような抗原認識部分の分子及び化学療法耐性分子、それをコードする核酸配列、それをコードするベクターを抱えている有効量の細胞を投与する工程を含む、癌性(腫瘍性を含む)疾患の予防、治療または改善の方法に関する。
【0085】
例となる操作された免疫細胞の組成物の投与についての考えられる適応は、乳腺、前立腺、肺及び結腸の癌または上皮性の癌/癌腫、たとえば、MM、乳癌、結腸癌、前立腺癌、頭頚部の癌、皮膚癌、泌尿/生殖路の癌、たとえば、卵巣癌、子宮内膜癌、子宮頸癌及び腎臓癌、肺癌、胃癌、小腸の癌、肝臓癌、膵臓癌、胆嚢癌、胆管の癌、食道癌、唾液腺の癌及び甲状腺の癌、神経芽細胞腫、髄芽細胞腫、膠芽細胞腫、造血系悪性腫瘍等を含む腫瘍性疾患を含む癌性疾患である。細胞の組成物の投与についての例となる適応は、たとえば、特定の抗原を発現している悪性腫瘍を含む癌性疾患である。加えて、それには、他の腫瘍抗原を異常に発現している悪性腫瘍が含まれ、それらも標的とされてもよい。本開示の組成物の投与は、たとえば、最小限の残存疾患、初期の癌、進行癌、及び/または転移癌及び/または難治性癌を含むあらゆるステージ及び種類の癌に有用である。
【0086】
本開示はさらに、免疫細胞を介して作用する他の化合物、たとえば、二重特異性抗体構築物、標的化された毒素または他の化合物との同時投与プロトコールを包含する。本発明の化合物の同時投与のための臨床投薬計画は、他の成分の投与と同時の、その前の及び/またはその後の同時投与を包含してもよい。特定の併用療法には、化学療法、放射線、手術、ホルモン療法、または他の種類の免疫療法が挙げられる。
【0087】
実施形態は、本明細書に記載されているような1以上のNKT細胞、本明細書に記載されているような核酸配列、本明細書に記載されているようなベクター、及び/または本明細書に記載されているような宿主を含むキットに関する。本開示のキットは上記の本明細書に記載されているような医薬組成物を単独で、または薬物療法もしくは介入を必要とする個体に投与されるさらなる薬物との併用で含むことも熟考される。
【0088】
構築物で操作されているNKT細胞は次いで選択的条件下で培養にて増殖させ、構築物を有するとして選択されている細胞を次いで増やし、たとえば、宿主細胞における構築物の存在を判定するためのポリメラーゼ鎖反応を用いて解析してもよい。操作された宿主細胞がいったん特定されると、次いでそれらは、計画されたように、たとえば、培養で増やすようにまたは宿主生物に導入されるように使用されてもよい。
【0089】
細胞の性質に応じて、多種多様な方法で細胞を宿主生物、たとえば、哺乳類に導入してもよい。代わりの実施形態では、細胞が癌に進行するまたは癌に進行するように操作されるが、具体的な実施形態では、細胞は腫瘍の部位に導入されてもよい。採用される細胞の数は、多数の状況、導入の目的、細胞の寿命、使用されるプロトコール、たとえば、投与の数、増殖する細胞の能力、組換え構築物の安定性等に左右されるであろう。細胞は分散物として適用されてもよく、一般に対象とする部位にまたはその近傍に注入される。細胞は生理的に許容できる培地に入れてもよい。
【0090】
DNAの導入はあらゆる場合で組込みを生じる必要はない。一部の状況では、導入されたDNAの一時的な維持が十分であってもよい。このように、人は短期の効果を有してもよく、その際、細胞は宿主に導入されてもよく、次いで所定の時間の後、たとえば、細胞が特定の部位にホーミングすることができた後、刺激されてもよい。
【0091】
細胞は所望のように投与されてもよい。所望の応答に応じて、投与の方法、細胞の寿命、存在する細胞の数、種々のプロトコールが採用されてもよい。投与の数は少なくともある程度上記に記載されている因子に左右されるであろう。
【0092】
系は、多数の変数、たとえば、リガンドに対する細胞性の応答、発現の効率、及び適宜、分泌のレベル、発現産物の活性、時間及び状況によって変化してもよい患者の特定のニーズ、細胞の喪失の結果としての細胞性の活性の喪失の速度、または個々の細胞の発現活性、等に依存することが十分に理解されるべきである。従って、各個々の患者については、全体としての集団に投与することができる普遍的な細胞があったとしても、各患者は個体にとって適正な投与量についてモニターされることになることが予想され、患者をモニターするそのような実践は当該技術で日常的である。
【0093】
VI.本開示のキット
本明細書に記載されている組成物のいずれかがキットに含まれてもよい。非限定例では、細胞または細胞を操作する試薬がキットに含まれてもよい。特定の実施形態では、NKT細胞またはNKT細胞を含む細胞の集団がキットに含まれてもよい。そのようなキットは細胞の操作用の1以上の試薬を有してもよいし、または有さなくてもよい。そのような試薬には、たとえば、小分子、タンパク質、核酸、抗体、緩衝液、プライマー、ヌクレオチド、塩及び/またはそれらの組み合わせが挙げられる。1以上のサイトカインをコードするヌクレオチドまたはサイトカイン自体がキットに含まれてもよい。サイトカインまたはアゴニストモノクローナル抗体を含む抗体のようなタンパク質がキットに含まれてもよい。抗体を含む基材または裸の基材自体がキットに含まれてもよく、一部の実施形態では、抗体保有の基材を生成する試薬がキットに含まれる。基材はビーズまたはプレートを含む任意の種類のものであってもよい。抗原提示細胞活性を含む細胞またはそれを生成する試薬がキットに含まれてもよい。それを生成する試薬を含む、キメラ抗原受容体またはT細胞受容体をコードするヌクレオチドがキットに含まれてもよい。
【0094】
特定の態様では、キットは本開示の細胞療法及び別の癌療法を含む。場合によっては、細胞療法の実施形態に加えて、キットはまた、たとえば、化学療法、ホルモン療法、及び免疫療法のような第2の癌療法も含む。キットは個体のために特定の癌に対して誂えられてもよく、個体のための各第2の癌療法を含んでもよい。
【0095】
キットは、本発明の好適に等分された組成物を含んでもよい。キットの成分は水性媒体または凍結乾燥された形態にて包装されてもよい。キットの容器手段には一般に、その中に成分が入れられてもよい、好ましくはその中で成分が好適に等分される、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ビン、注射器または他の容器手段が挙げられるであろう。キットに1を超える成分がある場合、キットはまた一般に、追加の成分が別々に入れられてもよい第2の、第3の、または他の追加の容器も含有してもよい。しかしながら、成分の種々の組み合わせが1つのバイアルに含まれてもよい。本発明のキットはまた通常、商業販売のために厳重な管理下で組成物を含有するための手段及び他の試薬容器も含むであろう。そのような容器には、その中で所望のバイアルが保持される射出成形または吹き込み成形の容器が挙げられてもよい。
【0096】
キットの成分が1及び/または1以上の溶液にて提供される場合、液体は水溶液であり、無菌の水溶液が特に好まれる。その場合、容器手段はそれ自体、それから製剤が身体の感染領域に適用されてもよい、動物に注射されてもよい、及び/または、キットの他の成分に適用されてもよい、及び/またはそれと混合されてもよい注射器、ピペット及び/または装置のようなその他であってもよい。しかしながら、キットの成分は乾燥粉末として提供されてもよい。試薬及び/または成分が乾燥粉末として提供される場合、粉末は好適な溶媒の添加によって再構成することができる。溶媒はまた、別の容器手段で提供されてもよいが想定される。
【実施例
【0097】
以下の実施例を含んで本発明の好まれる実施形態を実証する。後に続く実施例で開示されている技法は、本発明の実践で上手く機能することが本発明者らによって発見された技法を表すので、その実践のための好ましい様式を構成すると見なすことができることが当業者によって十分に理解されるべきである。しかしながら、当業者は、本発明の観点から、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、開示されている具体的な実施形態にて多数の変更を行うことができ、それでもやはり、同様のまたは類似の結果を得ることができることを十分に理解すべきである。
実施例1
生体内の存続性に関与するNKT細胞サブセットの特定及び治療活性及び培養でのこのサブセットの増殖に必要とされる条件を定義すること
【0098】
インバリアントナチュラルキラー細胞(NKT)の養子導入は、癌、自己免疫疾患及び他の疾患の免疫療法のための有望な治療法として開発されている。NKT細胞の頻度はヒト末梢血では低いので、そのような治療法は、その長寿と機能を保存しながら初代NKTの生体外での大量の増殖を要する。しかしながら、生体内または生体外いずれかでのNKTの維持に関与する細胞性及び分子のメカニズムは大部分未知のままである。ここで、初代ヒトNKTの試験管内での抗原で誘導した増殖が、そのサブセットの当初の頻度にかかわらず、調べた5人すべてにおいてCD62L陽性のサブセットの進行性の蓄積に関連することが明らかにされている。NKTのCD62L陽性及びCD62L陰性のサブセットへの磁気選別に続いて、TCRの刺激に応答してCD62L陽性細胞のみが生き残り、増殖したのに対してCD62L陰性細胞の約90%は3日以内にアポトーシスを受けた。さらに、NSGマウスへの養子導入の後、CD62L陽性NKTはCD62L陰性のものよりも5倍長く持続した。重要なことに、CD62L陽性NKTは、異種リンパ腫モデルにてはるかに高い治療活性及びマウスの有意に長い生存を有した。CD62L陽性細胞を増殖させることは、それらがTCR単独で、または共刺激受容体と共に活性化されるとそれぞれ、CD62Lの発現を下方調節した、または維持した。特に、CD3、CD28及び/または4-1BBに対するアゴニストmAbの特定の組み合わせは、その増殖の最大速度及びその後の生体内での存続性に関連する試験管内で刺激されたNKTにおける安定なCD62Lの発現を可能にする。従って、結果は、細胞療法への応用のためのその有効な生体外増殖に活用することができるヒトNKTにおける以前予想されなかった機能的な階層を明らかにしている。
【0099】
従って、本明細書で特定されているのは、高い増殖能及び優れた治療活性を持つヒトNKT細胞のマーカーとしてのCD62Lである。高い治療活性を持つNKT細胞産物の生成に有用である生体外での増殖の間にNKT上でのCD62Lの下方調節を防ぐ試験管内での刺激条件が実証された。
実施例2
CD62L+NKT細胞は優れた生体内での存続性及び抗腫瘍活性を有する
【0100】
CD62L+細胞は、初代NKTの抗原刺激の際に培養にて蓄積する。成人末梢血におけるヒトNKTの表現型を臍帯血におけるそれと比較した以前の研究は、新生児におけるはるかに高い比率のCD4+及びCD62L+NKTを認めた(Baevら,2004;D’Andreaら,2000;Egerら,2006))(図5A)。臍帯血におけるCD4+CD62L+NKTの優勢は、CD4または/及びCD62Lの発現が、優れた発生能を有し、治療応用のためのNKTの生体外での増殖を支え得るNKTのサブセットを指し示すことを示唆している。この実施形態を調べるために、末梢血から単離した直後及びαGalCerによる刺激後の培養における様々な時間間隔で初代NKTにて免疫表現型検査を行ったが、それは、CD3/CD28の刺激に基づくT細胞増殖のプロトコールの使用に比べて高い頻度と絶対数のNKTを一貫して生じた(図6)。新たに単離されたNKTにおけるCD62Lの発現の顕著な個体間変動にもかかわらず、新たに単離されたNKTにおける33.63%±27.62%から培養12日目における69.92%±10.57%までのNKTのCD62L+分画の著しい蓄積があった(P<0.001、図1A、1B)。CD62Lは培養の前後の双方でCD4+NKT上でさらに頻繁に発現されていたが、CD62L+細胞の蓄積はCD4+NKTの優先的な増殖によっては説明できなかった。実際、12日間の培養の終了時、CD62L+、CD4+及びCD62L+CD4+NKTの頻度はそれぞれ3.9±1.8、1.9±0.7及び3.8±1.9倍増えた。これらの結果に一致して、0日目に比べて12日目ではCD62L+CD4-のサブセットの濃縮があった(図5B)。NKTのさらなる多重パラメータの性状分析は、CD62Lは培養前CCR7と同時発現されることが多いが、CCR7の発現は培養中次第に失われることを示した(図5C)。培養前、ほぼすべてのNKTがCD27及びCD28の双方を発現していた。CD62Lの状況にかかわらず、CD27は培養の12日目までにNKTのほぼ半分で下方調節された一方で、CD28の発現はそのままだった(図5C)。
【0101】
CD62L-細胞は高レベルのCD161及びCD56(NK様の分化)を発現したが、低レベルのIL-7Rαを発現した(図5D)。新たに単離されたNKTはCD62L+またはCD62L-のサブセットのいずれかで枯渇マーカー(PD-1、LAG-3または6TIM-3)を稀にしか発現しなかった一方で、NKT細胞培養の12日目ではCD62L-サブセットはPD-1及びTIM3を優先的に発現していた(P=0.0043、0.0184、図5C)。さらに、12日目に選別したCD62L+及びCD62L-NKTの免疫関連遺伝子の発現解析(nCounter(登録商標)プラットフォーム)は、CD62L+NKTにおけるT細胞の生存/メモリーに関連する遺伝子(たとえば、LEF1、S 1PR1、IL-7Rα、IL21R)及びCD62L-NKTにおける枯渇/最終分化に関連する遺伝子(PD-1、LAG-3、TIM-3、CD244、CD161、CD56、図1D)のmRNAの上方調節を明らかにした。転写因子であるリンパ球エンハンサ因子1(LEF1)はCD62L-NKTに比べてCD62L+にて過剰発現された最上位の免疫関連遺伝子だった、細胞内フローサイトメトリー解析は、CD62L+NKTが均一にLEF1を発現したのに対してCD62L-細胞の主要分画はLEF1陰性だったことを明らかにした。LEF1は最近、GATA3遺伝子発現の転写活性化を部分的に介してマウスNKT細胞の前駆細胞の増殖に介在することが示された(Carrら、2015)ので、LEF1及びCD62Lのレベルに関連してヒトNKTにてGATA3タンパク質のレベルを解析した。GATA3の発現はヒトNKTにてLEF1及びCD62Lの発現に強く相関した(図5E)。興味深いことに、CD62L+及びCD62L-NKTはNKT細胞の機能的分化の転写主要調節因子であるPLZFを同じレベルで発現した(Cohenら、2013)。従って、CD62L+サブセットは初代NKTの抗原刺激の際に培養にて優勢に蓄積し、CD62L発現の喪失は、NK様の最終分化、枯渇、及び増殖性転写調節因子の下方調節に関連する。
【0102】
CD62L+NKTは数的増殖が可能であるTh-0-様細胞である。次に、NKTを初代培養からCD62L+とCD62L-のサブセットに磁気で選別し、その機能的特性を調べた。図2Aは、標的細胞をαGalCerでパルスした場合、CD1d+DAOY髄芽細胞腫に対して、双方のサブセットは同等に細胞傷害性であった(6人のドナーのうち3人)、またはCD62L-NKTの方がCD62L+NKTよりも細胞傷害性であった(6人のドナーのうち3人)ことを明らかにしている。αGalCerで刺激したNKTにおけるサイトカイン産生の解析は、CD62L-サブセットに比べてCD62L+によるはるかに高いレベルのIFNγ及びIL-4双方の産生を明らかにした(P<0.001、図2B)。CD62L+細胞はTh-0-様の極性化を示す(IFNγとIL-4の均衡のとれた産生、末梢血NKTの全集団の典型である)のに対して、CD62L-細胞の極性化プロファイルは各サイトカインの低い絶対量のために明瞭には決定することができなかった。nCounter解析によって判定されたようにCD62L-サブセットにおけるIL-23RmRNA発現の強い上方調節(図1D、潜在的なTh17の極性化)にもかかわらず、FACSによるNKTの細胞表面におけるIL-23Rタンパク質の発現もELISAによるTCR刺激の際のIL-17の産生も検出されなかった。
【0103】
試験管内増殖の間でのCD62L+NKTの蓄積が抗原刺激に応答したその優先的な生き残りまたは増殖のせいかどうかを調べるために、選別した細胞をαGalCerでパルスした抗原提示細胞によって刺激した後、その細胞死及び増殖の比率を測定した。刺激後3日目で、CD62L+及びCD62L-のそれぞれ31%±21%及び74%±7.5%がアポトーシスを受けた(図2C)。6日目にCFSE希釈によって測定されたようにCD62L-サブセットに対比してCD62L+サブセットでははるかに大きな比率の増殖があった(図2D)。さらに、CD62L-群で生き残り、増殖した細胞の大半がCD62Lを発現したということは、これらの細胞が元々のCD62L-分画におけるCD62L+細胞の小さなサブセットの子孫だったことを示唆している。これらの結果に一致して、選別したCD62L+とCD62L-のNKTのIL-2単独と共にまたはTCR刺激を伴った6日間の培養後に生成されたNKTの数には著しい差異があった。実際、図2E(上のパネル)はCD62L+細胞がIL-2単独で、またはTCR刺激を伴ってそれぞれ2.5倍及び8倍の数的増殖を受けたことを示している。対照的にCD62L-NKTはいずれの条件でも増殖できなかった。抗原刺激に応答したNKT細胞の増殖の程度はドナーごとに異なるけれども、調べた5人のドナーすべてにおいてCD62L-サブセットはNKT細胞の増殖にほとんどまたは全く寄与しなかった(図2E、下のパネル)。従って、CD62L+NKTは抗原刺激に応答して生き残り、増殖し、且つ培養におけるNKT細胞の数的増殖に関与する。
【0104】
CD62L+サブセットはNKTの生体内での存続性及び治療活性に関与する。養子導入されたNKTの生体内での存続性におけるCD62L+サブセットの役割を判定するために、ホタルルシフェラーゼをNKTに形質導入し、それらをCD62L+とCD62L-のサブセットに磁気で選別した。次いで本発明者らは選別した細胞をNSGマウスに養子導入した。縦生物発光画像法によって、CD62L-細胞からのシグナルが2日まで検出できるのに対してCD62L+細胞は10日目まで検出可能なままであることが実証された(P<0.001、図3A、B)。次に、リンパ腫のためのCAR再指向免疫療法のモデルにてCD62L+及びCD62L-のNKT細胞サブセットの生体内治療能を比較した。4-1BBの共刺激性細胞内ドメインを含有するCD19に特異的なCAR(CAR.CD19、図7)をNKTに形質導入し、その後CD62L+及びCD62L-のサブセットに選別した。NOD/SCID/IL2Rγ(ヌル)(NSG)マウスにルシフェラーゼを形質導入したCD19+Daudiリンパ腫細胞をi.v.注射し、4日後、CD62L+またはCD62L-のCAR.CD19NKT細胞を受け取る2群にマウスを分けた。CD62L+及びCD62L-のCAR.CD19NKTは双方とも未処理の対照に比べて処理された動物の生存を延長した(P<0.001)。重要なことに、CD62L+CAR.NKTだけが生存する9匹の処理された動物のうち7匹で持続した腫瘍の退行を誘導し、そのうち5匹は少なくとも3ヵ月間腫瘍がなかった。対照的に、CD62L-CAR.NKTで処理した10匹のマウスはすべて腫瘍の進行に屈服した(P<0.001、図3C、D)。従って、CD62L+NKTはCD62L-NKTに比べて延長した生体の存続性及び優れた治療能を有する。
【0105】
同時刺激はCD62L+NKTを維持し、枯渇を防ぐ。同時刺激はNKTの活性化、生き残り及び増殖にて役割を担うという証拠が増えている(van den Heuvelら、2011)。休止しているNKTはCD28を発現している(図5C)一方で、それらは4-1BB及びOX40のような後期共刺激受容体をほとんどまたは全く発現していない(図8A)。しかしながら、αGalCerでパルスした自己PBMCによるNKTの刺激は、NKTすべてにおける4-1BBの、及びCD4+NKTにおけるOX40の迅速な誘導を生じた(図8A)。TCR刺激の最初の24~48時間以内にCD62Lは一時的に下方調節される(データは示さず)ので、刺激に先立って選別したCD62L+及びCD62L-のNKTにて4-1BB及びOX40の発現の動態を解析した。CD62L+及びCD62L-のNKTの71.13%±18.66%及び51.98%±18.83%が刺激後72時間以内にOX40を上方調節する(P=0.0072、図4A)ことが見いだされた。同様に、刺激されたCD62L+NKTはCD62L-NKTに比べて高レベルの4-1BBを発現した(P=0.011、図4A)。OX40はCD62L+またはCD62L-NKTのいずれかのCD4+サブセットで優先的に上方調節され他に対して、4-1BBはNKTすべてで上方調節された(図8B)。
【0106】
次に、同時刺激が試験管内で増殖させたNKTの枯渇に対抗し得るのかどうかを検討した。抗CD3アゴニストmAbであるOKT3を単独で、またはCD28、4-1BBもしくはその双方との組み合わせで被覆したプレート上でCD62L+を選別したNKTを刺激した。本発明者らがアゴニスト活性を持つ抗OX40mAbを入手できなかったので、これらの設定ではOX40は調べなかった。先ず、抗CD28、抗4-1BBまたはその双方による同時刺激は、20ng/mlでの抗CD3単独での刺激に比べて7日以内での培養にて生成されたNKTの数を増やした(P<0.001、図4B)。同時刺激の非存在下では、20ng/mlから1μg/mlまでのOKT3の濃度の上昇は生成されるNKTの数に影響を与えなかった一方で、同時刺激は、それを低濃度のOKT3と組み合わせた場合のみNKT細胞の数の上昇に有効だった(図9)。重要なことに、OKT3単独による刺激後7日目でNKTの半分未満がCD62Lについて陽性だった。抗CD28、抗4-1BBまたは抗4-1BBmAbを伴った抗CD28の添加はそれぞれNKTの58%±7.1%(P=0.026)、73%±9.2%(P=0.0036)、及び73%±6.1%(P=0.0002)にてCD62L発現の保持を生じた(図4C)。CD62L発現の保持と協調して、共刺激性のシグナルを提供されたNKTは有意に少ないPD-1を発現した(P<0.05、図4D)。従って、抗原刺激の間での共刺激受容体の結合は増殖しているNKTにおけるCD62Lの発現を支え、その枯渇を妨げる。
【0107】
本開示の特定の実施形態の意義
【0108】
ヒトNKT-細胞生物学の知識における決定的なギャップは有効なNKT細胞に基づく癌免疫療法の開発を減速してきた。有効なNKT細胞に基づく細胞療法及び遺伝子療法への応用にとって必須の要件である、NKT細胞の生体外での数的な増殖及びその後の生体内での存続性は末梢血NKTのCD62L+のサブセットに依存する。反復するTCR刺激に応答してCD62L+NKTのみが生き残り、増殖する一方で、CD62L-細胞は早期の枯渇及び細胞死を経験する。NKTの連続的な刺激はCD62L発現の喪失に関連するが、TCR刺激の間での共刺激受容体の活性化はこの過程に対抗することができる。具体的には、本発明者らは、CD86、4-1BBL及びOX40L分子の独特の組み合わせ、ならびにCD62Lの発現を最大限保護して高度に効率的な臨床規模のNKT細胞の増殖を可能にするaAPC表面上での同時発現のレベルを実験的に決定した。特定の実施形態では、本開示によって包含されるようなaAPCを用いて生成されたCAR-NKTは、長期の生体内存続性、ならびにリンパ腫及び神経芽細胞腫(癌の種類の例)の生体内モデルに対する優れた治療活性を示す。
【0109】
CD62L+サブセットは生体外での抗原刺激の際のNKTの数的増殖に関与する。以下の知見が上記の結論を支持する:(i)初代NKT細胞の刺激の後、CD62L+細胞の分画が劇的に増加する、(ii)選別されたCD62L-細胞の大半がアポトーシスを受けるのに対して選別されたCD62L+細胞は同一の刺激に応答して増殖する;(iii)CD62L-NKTは、新たに単離されたPBMCにて最終分化の兆候(CD161及びCD56の発現)を示し、且つPD-1及びTIM-3の発現の顕著な上方調節及びサイトカインを産生する能力の低下によって証拠付けられるように、試験管内での刺激の際、枯渇の表現型を迅速に獲得する。類似の特徴がT細胞の治療用産物で観察される場合、それらは癌患者に養子導入された後の存続性または客観的な応答のその後の欠如に関連する(Gattinoniら,2005;Klebanoffら,2005)。
【0110】
増殖しているNKTは最終的にはCD62Lの発現を下方調節し、試験管内での培養の間に枯渇の表現型を獲得する。この所見は、CD62L+NKTの頻度が臍帯血に比べて成人末梢血で低いので、ヒト末梢血NKTの個体発生を反映していると思われる(Egerら,2006;Der Vlietら,2000)。報告の1つでは、臍帯血NKTはCD62Lを発現しないことが見いだされた(D’Andreaら,2000)。その報告とその他の間での及び現在の結果による矛盾の理由は、特定の実施形態では、技術的である。M.Constantinidesらは末梢血における高レベルのCD62Lを伴ったCD1d拘束性のT細胞の非常に稀なナイーブ様の集団を特定した(Constantinidesら、2011)。しかしながら、これらの細胞は、従来のNKTに比べてインバリアントVα24鎖を発現しておらず、低レベルのPLZF発現を有する。本試験のCD62L+及びCD62L-のNKTは双方とも同等に高レベルのPLZFを発現していた。
【0111】
CD62Lは末梢のNKT細胞及びT細胞の長期維持に関与する細胞の共通するマーカーを表してもよい。P.Graefらは、CD62L+セントラルメモリーT細胞は幹細胞の特性を持つこと;それらはエフェクター/メモリー及びエフェクターT細胞を生じる一方でそれ自体増殖できることを明らかにした(Graefら、2014)。ごく最近公開された研究では、D.Sommermeyerらは、ナイーブ及びセントラルメモリーのサブセットから生成されたヒトCAR.CD19を発現しているCD8またはCD4T細胞はエフェクターメモリーのサブセットから生成されたものに比べてRajiリンパ腫異種移植片に対してさらに有効であることを実証した(Sommermeyerら、2015)。著者らはまた、最も強力なCD4+とCD8+CARを発現しているサブセットを組み合わせることが生体内で相乗的な抗腫瘍活性を生じることも見いだした。NKTの活性化は、マウスモデル及びヒトの臨床試験にてNK細胞及びCD8T細胞のトランス活性化をもたらすことが示されている(Dhodapkarら,2009;Vivierら,2012)ので、CAR NKTのCARを発現しているリンパ球の他の定義されたサブセットとの組み合わせは有用な治療戦略であってもよい。
【0112】
LEF1及びIL-7RαはCD62L-NKTに比べてCD62L+で最も過剰発現した免疫関連遺伝子だった。最近の報告では、Carrらは、CD127の直接的な転写活性化及びc-myc遺伝子の発現を介したその胸腺の発生のステージ2の間にマウスのVα14インバリアント(iNKT)細胞の増殖におけるLEF1の独特の機能を明らかにした(Carrら、2015)。ヒトNKTにおけるLEF1とGATA3の調和した発現の所見に一致して、これらの研究者らはまた、LEF1が転写因子GATA3を上方調節し、それは、iNKT2細胞におけるIL-4の産生と同様にiNKT1細胞におけるIL-4とINFγの二重産生に必要とされる。後者の細胞は、CD62L+細胞が優先的にGATA3を発現し、高レベルの双方のサイトカインを産生することが見いだされたヒト末梢血NKTに密接に類似する。マウスのNKTによるCarrらの研究及びヒトNKTによる結果を受け入れて、具体的な実施形態では、LEF1はNKT細胞の発生の早期段階で決定的な役割を担い、その数及び機能を制御する。ヒトNKTのCD62L+サブセットにおける高レベルのLEF1の発現及びCD62L-サブセットにおけるその喪失は、保存された増殖能を持つあまり分化していないCD62L+NKTと、増殖し、サイトカインを産生する能力を損なった最終分化したCD62L-NKT細胞に向いたTh-0-様サイトカインのプロファイルに由来する直線的な進行のモデルに一致する。
【0113】
同時刺激はマウスのモデルにおけるNKTの発生、活性化、及び機能的応答にて決定的な役割を担うという証拠が増えている(van den Heuvelら,2011;Uldrichら,2005)。しかしながら、ヒトNKTにおける共刺激受容体の発現に関することはほとんど知られていない。本開示では、本発明者らは、ヒトT細胞にて顕著な生存促進性の特性を有する共刺激受容体のセット:CD28、4-1BB及びOX40に着目した(Acutoら,2003;Kroczekら,2004;Redmondら,2009)。先ず、新たに単離したヒトNKTがCD28を発現し(34)、それらがCD27を同時発現することを示し、それによって、保存された機能的潜在力を持つメモリーT細胞の分化の相当する段階に類似する(Okadaら、2008)ことを確認した。本開示は、ヒトNKTにて4-1BB及びOX40のベースライン及び刺激後の動態を特徴付ける最初のものである。双方の受容体は新たに単離されたNKTでは検出できないが、TCRの刺激に続いて誘導される。T細胞と同様に(Croftら、2010)、ヒトNKTはCD4+サブセットにてOX40を優先的に上方調節した。NKTの大半は4-1BBも上方調節したが、それはT細胞のCD8+サブセットで優先的に上方調節される(Lynch、2008)。重要なことに、個々の共刺激受容体の同時刺激はCD62L発現の喪失を阻害し、NKTを枯渇から救済することができた。CD28及び4-1BBが同時に活性化されると、CD62L+NKTの維持に対して相加効果があった。
実施例3
方法及び材料の実施例
【0114】
細胞株及び培養条件
Daudi、Raji、DAOY、Ramos及び293Tの細胞はATCCから購入した。Daudi、Raji、及びRamosの細胞はRPMIで培養したのに対してDAOY及び293Tの細胞はIMDM(Invitrogen)で維持した。双方の種類の培地は10%FBS(Hyclone)、2mMのGlutaMAX-1(Gibco-BRL)によって補完した。
【0115】
NKT細胞の単離、形質導入、増殖及び選別
臍帯血のNKT細胞を分析するために、MD Anderson癌センター及びBaylor College of Medicineの施設内倫理委員会によって認可されたプロトコールに従って、MD Anderson癌センター臍帯血バンクから得た廃棄される臍帯血単位を使用した。健常ドナー(少なくとも18歳)のPBMCは、Gulf Coast地域血液センターから購入したバフィーコートから勾配遠心分離によって単離した。NKTは抗iNKTマイクロビーズ(Miltenyi Biotec)によって精製した。陰性PBMC分画を放射線照射(40Gy)して、等分した。100ng/mLのαGalCer(Kyowa Hakko Kirin)でパルスした自己PBMCのアリコートによってNKTを刺激した。組換えIL-2(200U/ml,National Cancer Institute Frederick)を隔日で完全RPMI(HyClone RPMI1640,10%の熱非働化ウシ胎児血清及び2mMのGlutamax)に添加した。NKTを10日間増殖させ、次いで自己PBMC(40Gyで照射した)または指示した場合APCとしてのRamos細胞(100Gyで照射した)によって再刺激した。再刺激の3日後、24穴の非組織培養プレートをレトロネクチン(Takara Bio)で被覆し、洗浄後、CAR.CD19を含有する1mlのレトロウイルス上清によって植菌し、4600Gで60分間遠心した。次いで、ウイルス上清を取り除き、刺激したNKTを完全培地及び200U/mlのrhIL-2でのウェルに加えた。48時間後、細胞をプレートから取り出し、洗浄し、10個/mlの濃度で200U/mlのIL-2を伴った完全RPMIに再浮遊させ、連続した増殖のためにプレートに播いた。トリパンブルー(Life technologies)計数によってNKT細胞の数を決定した。指示された場合、NKTまたはCAR-NKTをCD62L-PEmAb(GREG-56,BD Biosciences)と抗PEマイクロビーズ(Miltenyi)によって標識し、その後、製造元の指示書に従ってCD62L+及びCD62L-のサブセットに磁気で選別した。選別した細胞の表現型をFACSによって決定した。
【0116】
レトロウイルス構築物及びレトロウイルスの産生
CAR.CD19及びCAR.GD2の構築物は、以前記載された(Heczeyら,2014;Puleら,2005)ように作製され、それらは、IgG1のヒンジ領域に由来する短いスペーサーを介してCD8αに由来する膜貫通ドメインに接続されたCD19に特異的な抗体FMC-63またはGD2に特異的な抗体14G2aに由来するscFvとその後のζ鎖に融合された4-1BBのシグナル伝達細胞内ドメイン配列を含有した。レトロウイルス上清は、キメラ抗原を含有するプラスミドの組み合わせによる293T細胞の形質移入によって産生されたが、以前記載された(Veraら,2006)ようにRDFプラスミドはRD114のエンベロープをコードし、PegPam3プラスミドはMoMLVのgag-polをコードした。
【0117】
増殖及びアポトーシスのアッセイ
NKTをCFSE(Invitrogen)で標識し、αGalCerでパルスしたPBMCによって、または20ng/mlの抗CD3(OKT3)を単独で、もしくは0.5μg/mlの抗CD28(CD28.2)及び/または1.5μg/mlの抗4-1BB(h41BB-M127)(BD Biosciences)との組み合わせで被覆したプレートによって刺激した。フローサイトメトリーを用いてCFSEの希釈を測定することによって3日目及び6日目に細胞増殖を調べた。加えて、アネキシン-V及び7-AAD(BD Biosciences)による染色とその後のフローサイトメトリーによって3日目に早期及び後期段階のアポトーシスを測定した。
【0118】
多重サイトカインアッセイ
APCまたはアゴニスト抗体被覆のプレート(クローン6B11、BD Biosciences)によってNKTを24時間刺激した。上清を回収し、製造元の指示書に従ってLuminex(登録商標)アッセイを用いてヒトサイトカイン/ケモカインアッセイキット(Millipore)によって解析した。
【0119】
フローサイトメトリー
以下に対する以下のmAb:HLA-C EMR8-5、CD1d CD1d42、CD86 2331、4-1BBL C65-485、OX40L ik-1、CD3 OKT、Vα24-Jα18 6B11、CD4 SK3、CD62L DREG-56、CD134 ACT35、CD137 4B4-1、PD-1 EH12.1、GATA3 L50-823(BD Biosciences)、LAG-3ポリクローナル、TIM-3 344823(R&D System)、及びウサギ抗LEF1 EP2030YmAb(ABCAM)を用いて免疫表現型検査を行った。BDまたはR&Dが提案した蛍光色素及びアイソタイプが一致したAbを陰性対照として用いた。NKT上でのCAR.CD19の発現は、抗Id(クローン136.20.1)CD19-CAR特異的なmAb(Torikaiら、2013)及びヤギ抗マウスIgG(BD Biosciences)を用いて測定した。BD FACSDivaソフトウエアv.6.0及びFlowJo7.2.5(Tree Star)を用いたLSR-II5レーザーフローサイトメトリー(BD Biosciences)で解析を行った。
【0120】
試験管内での細胞傷害性アッセイ
以前記載された(Liuら、2013)ように4時間のルシフェラーゼアッセイを用いて親NKT及びCAR.CD19 NKTのDAOYまたはRaji細胞に対する細胞傷害性を評価した。
【0121】
遺伝子発現の解析
TRIzol試薬(Qiagen)を用いて全RNAを回収した。nCounter解析システムを用いたBCMゲノム及びRNAプロファイリングコアにて免疫学パネルv.2(NanoString)を用いて遺伝子発現の解析を行った。nSolver2.0ソフトウエア(NanoString)を用いてデータを解析した。
【0122】
生体内の実験
NSGマウスのコロニーは元々Jackson Laboratoryから入手し、BCM動物管理施設で維持されていた。ルシフェラーゼを形質導入したRajiリンパ腫細胞を2×10個i.v.注射することによって腫瘍の増殖を開始させた。3日目に4~8×10個のCAR-NKTで処理し、その後、3日ごとにIL-2(1000U/マウス)のi.p.注射を行った。生物発光画像法(Small Animal Imaging Core facility,Texas Children’s Hospital)によって週に2回腫瘍増殖を評価した。生体内での存続性の実験については、レトロウイルス構築物を用いてCAR.CD19とルシフェラーゼをNKTに同時形質導入し、それを腫瘍のないマウスまたは担腫瘍マウスにi.v.注射し、生物発光画像法を用いて週2回モニターした。動物実験はIACUCが認可したプロトコールに従って実施した。
【0123】
統計データ
試験管内及び生体内の実験については、本発明者らは、対応のある両側t検定を用いて2群の連続変数を評価し、Bonferroniの事後検定と共に一元配置ANOVAを用いて2を超える群の連続変数を評価した。Kaplan/Meier法及びログランク(Mantel-Cox)検定によって生存を解析して群の対を比較した。GraphPad(商標)Prism5.0(GraphPadソフトウエア)を用いて統計データを計算した。p値が0.05未満であれば、差異を有意と見なした。
【0124】
試験の認可
MD Anderson癌センター(H-16320)及びBaylor College of Medicine(H-20911)における施設内倫理委員会によって認可されたプロトコールに従ってMD Anderson癌センター臍帯血バンクから臍帯血単位を得た。プロトコールH-16320に加わるのに先立って参加女性すべてから文書でのインフォームドコンセントを受け取った。臨床使用に好適ではない(普通少ない細胞数のために)臍帯血単位は廃棄したか、またはBaylor College of MedicineにおけるプロトコールH-20911のもとでの研究目的に使用した。動物実験は、Baylor College of Medicineの施設内動物管理委員会によって認可されたプロトコールAN-5194に従って実施した。
実施例4
NKT細胞に対するIL-21の効果
【0125】
この実施例は、細胞をIL-21に曝露した際、IL-21はNKT細胞に対して有益な効果を有することを実証する。図10は、初代増殖の間にIL-21がCD62L+NKT細胞の頻度を増やすことを示している。3人のドナーからNKT細胞を単離し、aGalCerを負荷したPBMCとIL-2(100U/ml)またはIL-21(10ng/ml)を伴ったIL-2とによって12日間刺激した。NKTを回収し、CD62Lについて染色し、その後FACS解析を行った。図11は、二次増殖の間にIL-21がCD62L+NKT細胞の頻度を増やすことを明らかにしている。初代増殖(図10)に続いて3人のドナーに由来するNKTをaGalCerを負荷したPBMCとIL-2(100U/ml)またはIL-21(10ng/ml)を伴ったIL-2とによって12日間再刺激した。NKTを回収し、CD62Lについて染色し、その後FACS解析を行った。図12は、Ramos細胞上でのCD1d及び共刺激分子の発現を示している。RamosB細胞リンパ腫細胞はATCCから入手し、相当するmAb及びIgG対照を用いてCD1d、CD86、4-1BBL、及びOX40LについてFACSによって解析した。Ramos細胞は高レベルのCD62L発現を伴った初代NKTを増殖させることができる(図13)。3人のドナーからNKTを単離し、IL-2を含有する培地にてaGalCerを負荷したRamos細胞(2×10個/ウェル)によって10日間刺激した。NKTを回収し、数を数え、CD3、6B11及びCD62Lについて染色した。最終的に図14では、Ramos細胞は二次刺激の際、CD62L発現を有意に保持してNKTを増殖させることが示されている。PBMCによる初代増殖(図10のような)に続いて、NKT(1×10-/ウェル)を、IL-2を含有する培地にてaGalCerを負荷したRamos細胞(2×10個/ウェル)によって10日間再刺激した。NKTを回収し、数を数え、CD3、6B11及びCD62Lについて染色した。
参考文献
【0126】
本明細書で言及されている特許及び出版物はすべて本発明が関係する当該技術における当業者のレベルを示す。特許及び出版物はすべて、各個々の出版物が具体的に且つ個々に参照によって組み入れられるように指示されたかのようにと同じ程度にその全体が参照によって本明細書に組み入れられる。
【0127】
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図1A
図1B
図1C-1】
図1C-2】
図1C-3】
図1D
図2A
図2B
図2C-1】
図2C-2】
図2D-1】
図2D-2】
図2E
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図4C-1】
図4C-2】
図4C-3】
図4D-1】
図4D-2】
図4D-3】
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E-1】
図5E-2】
図6A-1】
図6A-2】
図6B
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10-1】
図10-2】
図10-3】
図11-1】
図11-2】
図11-3】
図12-1】
図12-2】
図13-1】
図13-2】
図13-3】
図14