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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】物品移載装置及び荷取位置検出装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 59/02 20060101AFI20220613BHJP
   B25J 13/08 20060101ALI20220613BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20220613BHJP
   G06T 7/521 20170101ALI20220613BHJP
【FI】
B65G59/02 Z
B25J13/08 A
G01B11/00 H
G01B11/00 Z
G06T7/521
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018035493
(22)【出願日】2018-02-28
(65)【公開番号】P2019151421
(43)【公開日】2019-09-12
【審査請求日】2021-01-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】大窪 悟
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 孝昌
(72)【発明者】
【氏名】加藤 慎佑
【審査官】中田 誠二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-047681(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0138121(US,A1)
【文献】特開2003-172605(JP,A)
【文献】特開2005-323330(JP,A)
【文献】特開平07-053054(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014016069(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65G 59/00-59/12
B25J 13/08
G01B 11/00
G06T 7/521
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品が段積みされてなる物品群を含む荷役エリアを、段積方向と交差する交差方向に出射するレーザ光によって前記段積方向にスキャンして前記物品群のうち最上段の物品の高さ位置を検出する高さ検出部と、
前記物品を吸着又は挟持により把持可能な把持部を有するアームを備えたロボットと、
前記ロボットの前記把持部又は前記アームに設けられた撮像部と、
前記物品群における前記高さ検出部により検出された前記高さ位置の部分に少なくとも焦点の合う撮像位置に前記ロボットにより位置制御された前記撮像部が前記物品群の上面の一部を撮像した画像に基づき、最上段の物品の前記段積方向と交差する面内における位置を検出する位置検出部と、を備え、
前記高さ検出部は、前記荷役エリアを前記段積方向と交差する面内で複数分割した検出エリア毎に前記最上段の前記物品を検出することで前記高さ位置を検出し、
前記ロボットは、前記高さ検出部が前記最上段の前記物品を検出した前記検出エリアを撮像可能な前記撮像位置へ前記撮像部を移動させることによって、前記位置検出部に前記最上段の前記物品の前記面内における位置を検出させるとともに、前記位置検出部が検出した位置にある前記最上段の前記物品を荷取りすることを特徴とする物品移載装置。
【請求項2】
前記ロボットに位置制御された前記撮像部は、少なくとも前記位置検出部が前記最上段の物品を検出するまでは、前記物品群の上面における前記交差方向に位置の異なる複数の撮像エリアを撮像し、
前記位置検出部は、前記撮像部が撮像した画像を基に最上段の前記物品の位置及び角度を検出し、
前記ロボットは、前記位置検出部が検出した前記位置にある最上段の前記物品を、前記位置検出部が検出した前記角度に前記把持部の角度を合わせて荷取りすることを特徴とする請求項1に記載の物品移載装置。
【請求項3】
複数の前記撮像エリアのうち前記交差方向に隣合う2つは、一部重複することを特徴とする請求項2に記載の物品移載装置。
【請求項4】
前記位置検出部は、前記画像に基づき物品を検出した場合、前記物品の前記画像上の面積を求め、当該面積が閾値よりも大きい物品を前記ロボットが荷取対象とするべき最上段の物品とすることを特徴とする請求項2又は3に記載の物品移載装置。
【請求項5】
物品が段積みされてなる物品群を含む荷役エリアを、段積方向と交差する交差方向に出射するレーザ光によって前記段積方向にスキャンして前記物品群のうち最上段の物品の高さ位置を検出する高さ検出部と、
前記物品を吸着又は挟持により把持可能な把持部を有するアームを備えたロボットの前記アーム又は前記把持部に設けられた撮像部と、
前記物品群における前記高さ検出部により検出された前記高さ位置の部分に少なくとも焦点の合う撮像位置に前記ロボットにより位置制御された前記撮像部が、前記物品群の上面の一部を撮像した画像を基に前記ロボットが荷取対象とする最上段の物品の前記段積方向と交差する面内における位置を検出する位置検出部と、を備え
前記高さ検出部は、前記荷役エリアを前記段積方向と交差する面内で複数分割した検出エリア毎に前記最上段の前記物品を検出することで前記高さ位置を検出し、
前記撮像部は、前記ロボットにより位置制御されることによって、前記高さ検出部が前記最上段の前記物品を検出した前記検出エリアを撮像可能な前記撮像位置へ移動することを特徴とする荷取位置検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品を撮像するカメラ等の撮像部と、物品を荷取りする移載作業を行うロボットとを備えた物品移載装置及び荷取位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1~3には、パレット上に段積みされた物品群から、ロボットが物品を1つずつ吸着または挟持によって把持して移載する移載作業を行う物品移載装置が開示されている。これらの物品移載装置は、パレット上の物品群の上面を撮像するカメラを有する。カメラは、パレット上の物品群の上面全体を撮像するために、高所に配置されている。カメラが撮像した画像を基に物品の積付パターン(特許文献1)や物品の位置及び傾き(特許文献2)、最上段の物品の高さ(特許文献3)を検出する。なお、カメラで物品群の上面全体を撮像する方式の他、光干渉を利用して物品群の上面までの距離や上面の凹凸を計測する方式も知られているが、他の方式においても、物品群の上面全体を計測対象とするため、計測装置は高所に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-53054号公報
【文献】特開平8-118274号公報
【文献】特開2003-172605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1~3に記載の物品移載装置では、カメラ等を含む計測装置が物品群の上面全体を計測できる高所に配置されるため、物品移載装置の高さ方向の設置スペースが非常に高くなるという課題がある。よって、物品移載装置を天井の比較的低い工場等には設置できない。また、物品移載装置を工場に設置できても、カメラ等の計測装置のメンテナンス作業が高所作業となり面倒である。このため、高さ方向の設置スペースが低く済む物品移載装置が要望されている。
【0005】
本発明の目的は、物品移載装置の高さ方向の設置スペースを低くできる物品移載装置及び荷取位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。上記課題を解決する物品移載装置は、複数の物品が段積みされてなる物品群を含む荷役エリアを、段積方向と交差する交差方向に出射するレーザ光によって前記段積方向にスキャンして前記物品群のうち最上段の物品の高さ位置を検出する高さ検出部と、前記物品を吸着又は挟持により把持可能な把持部を有するアームを備えたロボットと、前記ロボットの前記把持部又は前記アームに設けられた撮像部と、前記物品群における前記高さ検出部により検出された前記高さ位置の部分に少なくとも焦点の合う撮像位置に前記ロボットにより位置制御された前記撮像部が前記物品群の上面の一部を撮像した画像に基づき、最上段の物品の前記交差方向における位置を検出する位置検出部と、を備え、前記ロボットは、前記位置検出部が検出した最上段の前記物品を荷取りする。なお、物品群を含む荷役エリアとは、物品群の全体を完全に含んでいることに限定されず、物品群を段積方向と平行な方向から見た平面視で最外周の物品については少なくとも一部を含んでいればよい。
【0007】
この構成によれば、高さ検出部は、荷役エリアに対しその側方からレーザ光を照射することで段積方向にスキャンすることで最上段の物品の高さ位置(つまり物品群の高さ位置)を検出できる。また、ロボットのアーム又は把持部に設けられた撮像部は、物品群における検出された高さ位置の部分に焦点の合う撮像位置にロボットにより位置制御されるため、撮像部を撮像位置に移動させる際にアーム又は把持部が物品群に衝突する事態を回避できる。また、撮像部が撮像した物品群の上面の一部の画像を基に最上段の物品の交差方向の位置を検出できるので、把持部によって荷取対象となる最上段の物品を荷取りできる。よって、物品移載装置の高さ方向の設置スペースを低くできる。
【0008】
上記物品移載装置では、前記ロボットに位置制御された前記撮像部は、少なくとも前記位置検出部が前記最上段の物品を検出するまでは、前記物品群の上面における前記交差方向に位置の異なる複数の撮像エリアを撮像し、前記位置検出部は、前記撮像部が撮像した画像を基に最上段の前記物品の位置及び角度を検出し、前記ロボットは、前記位置検出部が検出した前記位置にある最上段の前記物品を、前記位置検出部が検出した前記角度に前記把持部の角度を合わせて荷取りすることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、撮像部は、少なくとも位置検出部が最上段の物品を検出するまでは、物品群の上面における交差方向に位置の異なる複数の撮像エリアを撮像する。このため、最上段の物品を検出して荷取対象の物品を決定できるうえ、その荷取対象の物品の位置及び角度(向き)を検出できる。よって、荷取対象の物品が傾いて置かれていてもその傾きに合わせた適切な角度(向き)で把持部によって物品を荷取りできる。
【0010】
上記物品移載装置では、複数の前記撮像エリアのうち前記交差方向に隣合う2つは、一部重複することが好ましい。
この構成によれば、隣合う2つの撮像エリアは一部重複するので、最上段の1つの物品が一方の撮像エリアに一部のみ撮像されても、一部重複するその隣の他方の撮像エリアには全体が撮像される頻度が増す。例えば一部重複しない撮像エリアでは、物品が2つの撮像エリアに跨って撮像されることに起因して物品の位置及び向きを検出不能な頻度が増す。これに対して、隣合うもの同士で一部重複する撮像エリアなので、隣同士の2つの撮像エリアのうち一方の撮像エリアには物品が全て撮像される。
【0011】
上記物品移載装置では、前記位置検出部は、前記画像に基づき物品を検出した場合、前記物品の前記画像上の面積を求め、当該面積が閾値よりも大きい物品を前記ロボットが荷取対象とするべき最上段の物品とすることが好ましい。
【0012】
この構成によれば、最上段よりも下に位置する下段の物品を、間違って荷取りすることを防止できる。
上記物品移載装置では、前記高さ検出部は、前記荷役エリアを複数の検出エリアに分けてスキャンし、複数の前記検出エリアのうち最上段の物品を検出した検出エリアに対応する撮像位置へ前記撮像部を移動させることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、高さ検出部により荷役エリアのうち最上段の物品が位置する領域を特定できる。例えば、撮像部が最上段の位置を上方から交差方向に位置を変えて順番に撮像する過程で、なるべく早めに最上段の物品を検出できる。このため、移載作業効率が高まる。
【0014】
上記課題を解決する物品移載装置用の荷取位置検出装置において、物品が段積みされてなる物品群を含む荷役エリアを、段積方向と交差する交差方向に出射するレーザ光によって前記段積方向にスキャンして前記物品群のうち最上段の物品の高さ位置を検出する高さ検出部と、前記物品を吸着又は挟持により把持可能な把持部を有するアームを備えたロボットの前記アーム又は前記把持部に設けられた撮像部と、前記物品群における前記高さ検出部により検出された前記高さ位置の部分に少なくとも焦点の合う撮像位置に前記ロボットにより位置制御された前記撮像部が、前記物品群の上面の一部を撮像した画像を基に前記ロボットが荷取対象とする最上段の物品の前記交差方向における位置を検出する位置検出部と、を備える。
【0015】
この構成によれば、荷取位置検出装置を設けることにより、物品移載装置と同様の効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、物品移載装置の高さ方向の設置スペースを低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】一実施形態における物品移載装置を示す模式側面図。
図2】高さ検出装置および物品群を示す模式斜視図。
図3】吸着ヘッドとカメラを示す模式斜視図。
図4】レーザスキャナの検出エリアを説明する模式平面図。
図5】移載装置の電気的構成を示すブロック図。
図6】荷役エリアにおける複数の撮像エリアを示す模式平面図。
図7】撮像エリアを説明する模式平面図。
図8】撮像エリアの画像を用いた最上段の物品の検出処理を説明する模式平面図。
図9】移載制御ルーチンを示すフローチャート。
図10】変更例におけるレーザスキャナの検出エリアを説明する模式平面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、物品移載装置に係る一実施形態を、図面を参照して説明する。なお、図1図2において、物品移載装置10が移載対象とする物品Cが複数段に段積みされたパレットPの積載面(パレットPの面)を規定する2つの方向をそれぞれX方向、Y方向とし、X方向及びY方向と交差し重力方向と平行な方向を高さ方向Zとする。また、高さ方向Zは、物品Cが段積みされる方向でもあるため、段積方向Zともいう。また、高さ方向Z(段積方向Z)と交差(例えば直交)する方向(交差方向)を水平方向という。水平方向は、X方向とY方向との二方向と平行な面である水平面と平行な方向である。
【0019】
図1に示すように、物品移載装置10(以下、単に「移載装置10」ともいう。)は、パレットPと、パレットP上に複数の物品Cが段積みされた物品群CGとからなる荷役対象物CBに対して、物品Cを1つずつ把持してコンベヤ12に運んで置く移載作業(段ばらし作業)を行う。移載装置10は、物品群CGを構成する最上段の物品Cの高さ位置を検出する高さ検出部の一例としての高さ検出装置20と、物品群CGから1つずつ物品Cを把持してコンベヤ12へ移載する移載作業を行うロボット30とを備える。荷役対象物CBは、搬送コンベヤまたは電動荷役車両(いずれも図示略)により、図1に示すロボット30の作業範囲内の所定位置に載置される。
【0020】
高さ検出装置20は、昇降機構21と、昇降機構21により高さ方向Zに移動(昇降)可能に支持されたレーザスキャナ22とを備える。レーザスキャナ22は、レーザ光LZを出射可能な出力機能と、レーザ光LZが出射経路の途中で物体に反射したレーザ光LZを受光する受光機能とを有する検出部23を備える。レーザスキャナ22は、検出部23がレーザ光LZを段積方向Zと直交する水平方向に出射可能な姿勢に保持された状態で昇降機構21により昇降する。昇降機構21は、高さ方向Zに延びる所定長さを有するレール24と、レーザスキャナ22をレール24に沿って高さ方向Zに昇降させる動力源となるモータ26とを備える。レーザスキャナ22は、物品群CGを側方からレーザ光LZで段積方向Zにスキャンして最上段の物品Cの高さ位置を検出する。すなわち、高さ検出装置20は、ロボット30が物品群CGから1つの物品Cを荷取りする際に荷取対象とする最上段の物品Cの高さ位置を検出する。
【0021】
図1に示すように、ロボット30は、床面に設置された台部31と、台部31に対して鉛直軸を中心に回転可能な回転台32と、回転台32に支持された多関節のアーム33と、アーム33の先端部に支持された把持部の一例としての吸着ヘッド34とを備えた多関節式の産業ロボットである。ロボット30は、パレットP上の物品群CGのうち最上段の物品Cを吸着ヘッド34で吸着により把持し、その把持した物品Cをコンベヤ12上の所定位置(荷置位置)に載置する移載作業(段ばらし作業)を行う。
【0022】
アーム33は、台部31上に配設された動力源35の動力により回転台32と共に軸回転する。また、アーム33は、角度変更可能に連結された複数のアーム部33A~33Cを有する。駆動機構36は、例えば電動モータ又は電動シリンダ等の不図示の動力源を含む。複数のアーム部33A~33Cは、駆動機構36が駆動されることにより駆動リンク36A~36Cを介して角度調整される。吸着ヘッド34は、アーム33の先端部にモータ37を動力源とする回転部38を介して回転可能な状態で支持されている。
【0023】
図1に示すように、吸着ヘッド34は、台部31及び回転台32を経由してアーム33に沿ってその内部または外部を通る配管と接続され、その配管を含む空気圧回路の負圧源と接続されている。吸着ヘッド34は、配管の途中に位置する不図示の電磁式の開閉弁がロボットコントローラ52により開閉制御されることで、物品Cの吸着と解放とが可能である。本実施形態では、吸着ヘッド34には撮像部の一例としてのカメラ45が組み付けられている。ロボット30は、カメラ45をレーザスキャナ22が検出した高さ位置に焦点が合う撮像位置に移動させ、カメラ45によって物品群CGの上面の一部を撮像する。なお、物品群CGの高さはレーザスキャナ22が検出するため、カメラ45は物品群CGの上面全体を撮像できる必要はなく、物品群CGの上面の一部を撮像する。
【0024】
次に、図2を参照して、高さ検出装置20について詳細に説明する。高さ検出装置20を構成する昇降機構21は、前述のレール24とモータ26と、モータ26の動力を伝達してレーザスキャナ22を昇降させる動力伝達機構25とを備える。動力伝達機構25は、例えばベルト式、ワイヤ式およびボールネジ式のうちの1つで構成される。レーザスキャナ22は、モータ26の動力が動力伝達機構25を介して伝達されることでレール24に沿って高さ方向Zに移動する。なお、昇降機構21は、電動シリンダまたは空圧シリンダを動力源とするシリンダ駆動方式でもよい。
【0025】
図2に示すように、レーザスキャナ22は、物品Cが段積みされた物品群CGを含む荷役エリアSAに対して水平方向(交差方向)にレーザ光LZを出射しながら、荷役エリアSAを段積方向Zにスキャン(走査)して、最上段の物品C1の高さ位置を検出する。なお、以下では、図2に示すように、物品群CGを構成する物品Cのうち最上段の物品を「C1」、最上段よりも1段低い上から2段目の物品を「C2」と記し区別する場合がある。
【0026】
図2に示すように、荷役エリアSAは、パレットP上に物品Cが最高段数まで段積みされた際の物品群CGの配置エリアに相当する。荷役エリアSAの高さは、パレットPのサイズ、物品Cの品番、サイズ、段数および積付パターン等の荷役情報に基づき求められる。物品Cの品番や段数等を含む荷役情報に基づき取得される荷役エリアSAの高さに所定のマージン距離を加えた高さ位置をレーザスキャナ22の検出開始位置Hsとする。最上段の物品C1の高さ位置を検出するときは、レーザスキャナ22は、検出部23からレーザ光LZを水平方向に荷役エリアSAを横断する扇状に出射しながら、検出開始位置Hsから所定速度で下降することで、荷役エリアSAを段積方向Zにスキャンする。
【0027】
図2に一例として示す荷役エリアSAは、移載装置10が移載作業の対象とする荷役対象物CBのうち想定される最高高さかつ最大パレットのときの最大荷役エリアSAmaxである。図2に示すように、レーザスキャナ22は、最低位置Hminから、最大荷役エリアSAmaxのときの検出開始位置Hsでもある最高位置Hmaxまでの高さ範囲HAで移動可能である。検出開始位置Hsは、その時々の荷役エリアSAの高さに所定マージン距離を加えることで求められる。このため、レーザスキャナ22は、図2に示す最大荷役エリアSAmaxの水平断面を含む扇状の領域にレーザ光LZを照射しながら、検出開始位置Hsから下降して段積方向Zにスキャンすることによって、どのサイズの荷役エリアSAに対しても、実際の段数が最高段数と異なっても、最上段の物品C1の高さ位置を検出できる。ここで、最低位置Hminは、例えば床面から10~30cmの範囲内の高さ位置であり、最高位置Hmaxは、例えば床面から150~250cmの範囲内の高さ位置である。
【0028】
図4に示すように、高さ検出装置20は、最大荷役エリアSAmaxを水平面で切断したときの切断面、つまり最大荷役エリアSAmaxを水平面で輪切りにした面領域を検出エリアDAに設定する。但し、検出エリアDAは、最大荷役エリアSAmaxの外周に対してパレットPやパレットP上の物品Cの位置ずれを考慮して、所定距離(例えば1~20cmの範囲内の値)だけ外側に広くしたエリアとして設定される。高さ検出装置20には、検出エリアDAの複数(例えば3つ)の頂点の座標(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3)が予め設定され、これらの座標データに基づいて検出エリアDAを設定する。
【0029】
図4に示すように、検出部23はレーザ光LZを出射する水平面内の角度をミラー(図示略)の角度で変更して扇状のレーザ光出射領域LAにレーザ光LZを出射する。図4に示す例では、レーザ光出射領域LAは、最大荷役エリアSAmaxが内接する領域に設定されるが、レーザスキャナ22がレーザ光LZを出射可能な最大角度(例えば150~200度の範囲内の値)の扇状の領域に設定してもよい。レーザスキャナ22は、扇状のレーザ光出射領域LAにレーザ光LZを出射しながら検出開始位置Hsから段積方向Zに下降することで、荷役エリアSAを段積方向Zにスキャンする。レーザスキャナ22は、検出エリアDA内の物体を検出対象とする。図4に示す検出エリアDAは、最大荷役エリアSAmax未満の荷役エリアSAを包含するため、最大荷役エリアSAmax以下のどのサイズの荷役エリアSAに対しても、最上段の物品C1の高さ検出が可能である。なお、荷役エリアSAのサイズに応じて検出エリアDAを変更してもよい。例えば、物品Cの品番等の荷役情報から、この荷役情報と紐付けされた検出エリアDAの座標(X1,Y1),(X2,Y2),(X3,Y3)を取得し、荷役エリアSA毎に検出エリアDAを設定してもよい。また、扇状のレーザ光出射領域LAをそのまま検出エリアとしてもよい。
【0030】
レーザスキャナ22は、検出部23から一定周期で断続的にパルス状のレーザ光LZを出射し、物体に反射した反射レーザ光を検出部23で受光する。レーザスキャナ22は、検出部23が受光した物体からの反射レーザ光により、物体までの距離と、物体の方位とを計測し、その距離と方位とに基づき検出エリアDA内の物体であるか否かを判定する。検出エリアDA内の物体であれば、レーザスキャナ22は、物体が検出された旨の検出信号を出力する。なお、ロボット30が物品群CGに対して荷取作業を行う際に吸着ヘッド34及びアーム33の一部が荷役エリアSAに入る期間では、レーザスキャナ22による高さ検出処理が一時的に停止される。
【0031】
ところで、最大段数まで物品Cが積載されていない物品群CGであったり、作業者が物品群CGから幾つかの物品Cを取り除いたり、反対に作業者が幾つかの物品Cを物品群CGに載せたりする場合がある。このため、物品の品番等に応じた最大段数が仮に既知であっても、移載作業時の実際の段数は把握できない。この場合、ロボット30が荷取作業を行うときに吸着ヘッド34又はアーム33が物品群CGに衝突する虞がある。これを回避するため、吸着ヘッド34を荷役エリアSAの外側を通る迂回経路で移動させる方法をとることも可能ではあるが、この場合、移載作業のサイクルタイムが長くなり作業効率が大幅に低下する。また、従来技術で述べた撮像方式又は光干渉方式の計測装置を有する従来の高さ検出装置を備える移載装置であると、移載装置の設置スペースが非常に高くなる。この場合、天井の低い工場には移載装置を設置できないうえ、仮に移載装置を設置できても計測装置のメンテナンス作業が面倒な高所作業となる。
【0032】
そこで、本実施形態の移載装置10は、物品群CGを構成する最上段の物品C1の高さ位置を、物品群CGに対して側方からレーザ光LZを出射するレーザスキャナ22が検出する。このため、移載装置10の高さ方向Zの設置スペースは、ロボット30の移載作業に必要な可動エリアの高さ寸法で決まる。よって、移載装置10の高さ方向Zの設置スペースが低く済み、天井の低い工場でも移載装置10を十分設置できる。
【0033】
図3に示すように、吸着ヘッド34は、ヘッド本体41と、ヘッド本体41の下面に2列に並んで突設された複数の吸着パッド42とを有する。また、カメラ45は、吸着ヘッド34を構成するヘッド本体41において2列の吸着パッド42の列間となる位置に組み付けられている。吸着ヘッド34が物品Cを把持するときの水平姿勢にあるとき、カメラ45は吸着ヘッド34の真下に位置する物品Cを含むエリアの画像を撮像可能である。このため、カメラ45が撮像した画像の中に荷取対象とするべき最上段の物品C1が見つかったとき、吸着ヘッド34がその物品C1を把持するまでの移動距離が相対的に短く済む。また、カメラ45は、吸着パッド42よりもヘッド本体41側へ少し奥まった位置に配置されている。このため、吸着パッド42が物品Cを吸着した状態においてカメラ45は物品Cと干渉しない。
【0034】
また、図3に示すカメラ45は、所定の焦点距離と焦点深度とを有する。レーザスキャナ22が検出した最上段の物品C1の高さ位置よりもカメラ45の焦点距離FLだけ上方の高さ位置が、カメラ45の撮像位置とされる。このため、ロボット30のアーム33により撮像位置に配置されたカメラ45が物品群CGの上面の一部を撮像した画像では、最上段の物品C1に焦点が合う。つまり、カメラ45により撮像される画像は、最上段の物品C1に焦点が合い、最上段より1段低い下段の物品C2には基本的に焦点が合わない。但し、物品Cの高さ寸法が短い場合、最上段の物品C1とともに1段低い下段の物品C2に焦点が合う場合もある。本実施形態では、カメラ45が撮像した画像の中から最上段の物品C1を検出する検出処理が行われる。この検出処理では、最上段の物品C1と1段低い下段の物品C2とが区別される。この検出処理の詳細については後述する。
【0035】
次に、図5を参照して移載装置10の電気的構成について説明する。図5に示すように、移載装置10は、操作盤50と、プログラマブルロジックコントローラ51(以下、PLC51ともいう。)と、ロボットコントローラ52と、カメラコントローラ53とを備える。なお、操作盤50とPLC51とを1つのユニットとした構成、PLC51とロボットコントローラ52とを1つのユニットとした構成、ロボットコントローラ52とカメラコントローラ53とを1つのユニットとした構成などでもよい。
【0036】
操作盤50は、作業者(オペレータ)が移載装置10に必要な各種の設定情報の入力操作及び移載装置10に移載作業の指示を与えるための入力操作に用いられる。操作盤50には、パレットサイズ、物品の段数、物品の品番、サイズ、積付パターン等の荷役情報が入力される。操作盤50は、作業者の入力操作による作業開始指示を受け付けると、PLC51に対して作業開始指示信号を出力する。
【0037】
PLC51は、ロボットコントローラ52と通信可能に接続されている。また、ロボットコントローラ52はカメラコントローラ53と通信可能に接続されている。PLC51は、操作盤50から作業開始指示信号を受信すると、ロボットコントローラ52に対してロボット30による移載作業を物品単位で指示する。ロボットコントローラ52はロボット30と電気的に接続されており、PLC51からの指令に従ってロボット30を制御し、ロボット30に物品群CGの最上段から物品Cを1つずつコンベヤ12上へ移載する移載動作を行わせる。
【0038】
PLC51は、高さ検出装置20を構成するレーザスキャナ22とモータ26とを制御すると共に、レーザスキャナ22から検出信号を受信する。PLC51は、モータ26の制御に用いる回転位置信号またはモータ26から取得したエンコーダ信号からレーザスキャナ22の高さ位置を把握しており、レーザスキャナ22から検出信号を受信した際のレーザスキャナ22の高さ位置から最上段の物品C1の高さ位置を示す高さデータを取得する。PLC51は、高さデータをロボットコントローラ52に出力する。高さデータは、カメラ45の撮像位置を決めるために用いられる。また、PLC51は、ロボットコントローラ52に制御データ送ることで、ロボット30の制御を一動作単位で指令する。
【0039】
ロボットコントローラ52は、PLC51からの制御データに従ってロボット30を一動作ずつ制御する。ロボットコントローラ52は、動力源35及びモータ37(いずれも図1を参照)を駆動制御してアーム33及び吸着ヘッド34を位置制御する。ロボットコントローラ52は、まずカメラ45を高さデータに応じた撮像位置に配置し、カメラ45が撮像位置に配置されると、カメラコントローラ53に対して撮像指令信号を出力する。
【0040】
カメラコントローラ53は、ロボットコントローラ52から撮像指令信号を入力すると、カメラ45に撮像動作を行わせる。カメラコントローラ53は、カメラ45が撮像した画像を基に、画像の中から吸着ヘッド34が荷取対象とすべき最上段の物品C1を探索し、探索で見つけた最上段の物品C1を荷取対象とし、その荷取対象の物品C1の位置および姿勢角(向き)を求める。カメラコントローラ53は、荷取対象の物品C1の位置および角度のデータ(目標位置データ)をロボットコントローラ52に出力する。ロボットコントローラ52は、制御データに従ってアーム33及び吸着ヘッド34を位置制御し、荷取対象の物品Cに関する位置・角度のデータに基づき吸着ヘッド34の位置及び向きを制御し、荷取りすべき物品Cを吸着ヘッド34で吸着し、その吸着した物品Cを指示されたコンベヤ12の所定位置に荷置きする。このとき、ロボットコントローラ52は、電磁弁の開閉を制御して、吸着ヘッド34が物品Cを吸着するための吸着動作と、物品Cを解放するための解放動作とを制御する。
【0041】
また、図5に示すPLC51、ロボットコントローラ52及びカメラコントローラ53は、それぞれの制御を司るコンピュータを個別に備える。PLC51、ロボットコントローラ52及びカメラコントローラ53は、それぞれのコンピュータが各種の制御を行ううえで実行するプログラムを記憶する記憶部51M,52M,53Mを備える。各コンピュータが記憶部51M,52M,53Mに記憶されたプログラムを実行する。これにより、移載装置10は、高さ検出装置20による高さ検出処理と、ロボット30がカメラ45を用いて撮像した画像から荷取対象の物品Cの位置および角度(姿勢角)を検出する物品検出処理と、検出した荷取対象の物品Cの移載作業をロボット30に行わせる移載制御とを行う。
【0042】
図9にフローチャートで示される制御プログラムは、各記憶部51M,52M,53Mに記憶されたプログラムを統合したもので、移載装置10は、図9に示されるフローチャートに従って移載制御を行う。すなわち、図9は、PLC51の制御、ロボットコントローラ52の制御およびカメラコントローラ53の制御を、1つのフローチャートにまとめたものである。なお、本実施形態では、物品移載装置10のうちロボット30を除く部分により荷取位置検出装置が構成される。すなわち、荷取位置検出装置は、高さ検出装置20と、ロボット30の吸着ヘッド34に取り付けられたカメラ45と、カメラ45が撮像した画像を基に荷取対象の物品C1の位置を検出するカメラコントローラ53とにより構成される。
【0043】
図6は、カメラ45の撮影順を示す。カメラ45は最上段の物品C1よりも焦点距離だけ上方に位置する撮像位置から物品群CGの上面の一部を撮像する。カメラ45の焦点距離は、例えば30~100cmの範囲内の値である。このため、撮像位置は最上段の物品C1からさほど上方に離れていないため、物品群CGの上面全体を撮像エリアPA内に収めることはできない。このため、カメラ45は、撮像した画像を用いて行われる物品検出処理において、画像中に最上段の物品C1が見つかるまで、撮像位置を水平方向に順番に移動することで、複数の位置の異なる撮像エリアPAを順番に撮像する。
【0044】
図6に示す例では、カメラ45の撮像エリアPAを、縦横3つずつの計9つの撮像エリアPA1~PA9を設定する。すなわち、荷役エリアSAの上面全体を撮像するために、X方向とY方向にそれぞれ3つずつの計9つの撮像エリアPA1~PA9に分割して撮像する。カメラ45を移動させて9つの撮像エリアPA1~PA9を、図6に一点鎖線の矢印で示す順番に移動させることで、荷役エリアSAの全体を撮像する。9つの撮像エリアPA1~PA9は、X方向に隣合う2つの撮像エリアがX方向に一部重複し、かつY方向に隣合う2つの撮像エリアがY方向に一部重複するように設定されている。
【0045】
例えば図7に示すように、Y方向に隣合う2つの撮像エリアPAn-1,PAnは、Y方向に一部重複している。このため、図7に二点鎖線で示す1つの撮像エリアPAn-1において、隣の撮像エリアPAnと跨って物品Cの一部しか撮像されなくても、次の撮像エリアPAnの画像にはその物品Cの全体が含まれる。この点は、X方向に隣合う2つの撮像エリアについても同様である。
【0046】
カメラコントローラ53は、カメラ45が撮像した撮像エリアPAの画像を用いて、その画像中で荷取対象とすべき最上段の物品C1を探す物品検出処理(探索処理)を行う。カメラコントローラ53は、物品検出処理において荷取対象の物品C1が見つかれば、その時点でカメラ45による撮像を終了する。一方、荷取対象の物品C1が見つからなければ、ロボットコントローラ52はアーム33を制御してカメラ45を次の撮像位置へ移動し、カメラコントローラ53は次の撮像位置でカメラ45が撮像した画像を用いて物品検出処理を行う。そして、荷取対象の物品Cが見つかるまで、カメラ45の移動、撮像および物品検出処理を順次繰り返す。
【0047】
次に図8を参照して、カメラコントローラ53が行う物品検出処理について説明する。カメラコントローラ53は、カメラ45がn番目(但し、n=1,2,…,9)の第n撮像エリアPAnの画像を撮像すると、この第n撮像エリアPAnの画像に画像処理(例えばエッジ強調処理)を施す。カメラコントローラ53は、画像処理後の画像に対してエッジ検出処理を行って画像上の物品Cの領域を検出する。カメラコントローラ53は、画像上で検出した物品Cの領域の面積を求め、面積が閾値を超えた物品を最上段の物品C1として検出する。例えば、図8において最上段の物品C1は同図にハッチングで示した面積Saが閾値を超えるが、図8において最上段よりも1段低い下段の物品C2は同図にハッチングで示した面積Sbが閾値以下となる。このため、下段の物品C2は仮に焦点が合って撮像されて画像上で物品Cとして検出されても、その面積Sbが閾値以下となり、最上段の物品C1と認識されない。カメラコントローラ53は、最上段の物品C1が、1つだけ検出された場合はその1つを荷取対象に決定し、複数検出された場合はそのうち所定のルールで選択した1つを荷取対象に決定する。所定のルールとは、例えば、吸着ヘッド34に最も近い物品C1、最初に検出した物品C1、隣接する物品C1の数が少なく吸着ヘッド34が把持し易い物品C1のうちいずれかである。
【0048】
更にカメラコントローラ53は、荷取対象の物品C1について位置および姿勢角(向き)を検出する。物品C1の位置は、例えば中心位置(x,y)を算出するが、物品C1の矩形領域の対角二点の座標を算出してもよい。また、物品C1の姿勢角θは、Y方向に対する物品C1の傾斜角を算出する。カメラコントローラ53は、荷取対象の物品C1の位置(x,y)および姿勢角θのデータをロボットコントローラ52へ出力する。なお、複数の物品C1を検出した場合、他の物品C1についても位置(x,y)および姿勢角θのデータを取得し、記憶部53Mに記憶する。
【0049】
ロボットコントローラ52は、カメラコントローラ53から入力した物品の位置(x,y)および姿勢角θのデータを基に、吸着ヘッド34の角度を荷取対象の物品Cの姿勢角θに合わせ、吸着ヘッド34を物品Cに押し当てる。ロボットコントローラ52は、吸着ヘッド34が荷取位置への移動を終えるまでに開閉弁を制御して吸着パッド42に負圧が及ぶ状態とし、この状態で吸着ヘッド34を物品Cに押し当てることで物品Cを吸着する。ロボットコントローラ52は、アーム33を制御して指示されたコンベヤ12の所定位置に物品Cを載置する。
【0050】
次に移載装置10の作用を説明する。移載装置10は、PLC51とロボットコントローラ52とカメラコントローラ53とにより制御される。作業者は、操作盤50を操作し、移載作業開始の指示を与える。操作盤50は、移載作業開始の指示を受け付けると,PLC51に移載作業を指示する。PLC51は、操作盤50から移載作業開始の指示を受け付けると、記憶部51Mからプログラムを読み出して実行し、高さ検出装置20にレーザスキャナ22の制御を指示し、ロボットコントローラ52に対してロボット30の制御およびカメラ45の制御を指示する。また、ロボットコントローラ52は、PLC51から制御の指示を受け付けると、記憶部52Mからプログラムを読み出して実行する。ロボットコントローラ52は、ロボット30を制御する他、カメラコントローラ53に対してカメラ45の制御を指示する。カメラコントローラ53は、カメラ45の制御の指示を受け付けると、記憶部53Mから読み出したプログラムを実行し、カメラ45の撮像および撮像画像に基づく物品検出処理を行う。なお、図9のフローチャートで示される制御内容は、PLC51の制御、ロボットコントローラ52の制御およびカメラコントローラ53の制御を、1つの処理にまとめたものである。
【0051】
図1に示すように、コンベヤまたは電動車両により荷役対象物CBは、ロボット30の作業領域内の図1に示す所定位置に載置される。レーザスキャナ22は、物品Cの品番等の荷役情報から取得される荷役エリアSAの高さに応じた検出開始位置Hsに移動して待機する。検出開始位置Hsは、荷役エリアSAの最高段数に応じた最上面高さよりも所定距離だけ高い位置である。
【0052】
まずステップS11では、最上段の物品C1の高さを検出する。PLC51は、移載作業開始に当たって、高さ検出装置20にレーザスキャナ22による最上段の物品の検出処理を指令する。レーザスキャナ22は検出開始位置Hsからモータ26の駆動によりレール24に沿って一定速度で下降する。この下降過程で、レーザスキャナ22は、検出部23からのレーザ光LZの出射方向を水平面内で変更しながら検出エリアDAを段積方向Zにスキャン(走査)する。つまり、レーザスキャナ22は、水平面内において荷役エリアSAを含む扇状のレーザ光出射領域LAにレーザ光LZを照射しながら下降することで、荷役エリアSAを段積方向Zにスキャンする。レーザスキャナ22は、扇状のレーザ光出射領域LA内の物体に反射した反射レーザ光を検出部23で受光し、その受光結果に基づいて物体までの距離および物体の方位を計測し、その物体が検出エリアDA内に位置するか否かを判定することで、検出エリアDA内の物品を検出する処理を行う。レーザスキャナ22は、検出開始位置Hsからの下降を開始して最初に最上段の物品C1を検出する。PLC51は、モータ26の回転を検出する不図示のエンコーダからの信号に基づいてレーザスキャナ22のスキャン位置を把握しており、レーザスキャナ22が最上段の物品C1を検出した時のスキャン位置を最上段の物品C1の高さ位置として検出する。PLC51は、レーザスキャナ22が最上段の物品C1を検出すると、モータ26を駆動停止させることによりレーザスキャナ22の下降を停止させる。PLC51は、レーザスキャナ22が検出した最上段の物品C1の高さ位置(最上段高さ)を示す高さデータと共に、ロボットコントローラ52に撮像制御を指示する制御データを送信する。
【0053】
ステップS12では、初期処理を行い、n=1を設定する。すなわち、ロボットコントローラ52は、PLC51から撮像制御の指示を受け付けると、初期処理を行う(n=1)。
【0054】
ステップS13では、カメラを最上段の高さに応じた第n撮像位置に移動させて撮像エリアの画像を取得する。すなわち、ロボットコントローラ52は、PLC51から受信した高さデータに基づき、最上段の物品C1の高さ位置に焦点の合うカメラ45の撮像高さzhを計算し、第n撮像位置(xn,yn,zh)を取得する。ここで、(xn,yn)は、図6に示す撮像エリアPAn(但し、添字nは、n=1,2,…,9)のX-Y平面上の座標である。ロボットコントローラ52は、ロボット30のアーム33等を駆動させてカメラ45を位置制御することで、カメラ45を第n撮像位置に配置する。ロボットコントローラ52は、カメラ45を第n撮像位置に配置すると、カメラコントローラ53へ撮像指令信号を出力する。カメラコントローラ53は撮像指令信号に従ってカメラ45を撮像動作させる。この結果、カメラ45は、物品群CGの上面の一部である1番目の撮像エリアPA1を撮像し、カメラコントローラ53は最上段の物品C1に焦点の合った撮像エリアPA1の画像を取得する。
【0055】
ステップS14では、画像を用いて最上段の物品C1の検出処理を実行する。すなわち、カメラコントローラ53は、カメラ45から取得した画像を用いて最上段の物品C1を検出する検出処理を行う。カメラコントローラ53は、画像に画像処理を施し後の画像上でエッジ検出等の手法により物品Cを検出し、物品Cが検出されれば、画像上における物品Cの面積を求め、面積が閾値を超えるか否かを判定する。面積が閾値を超えれば、最上段の物品C1と判定し、面積が閾値以下であれば最上段の物品C1ではない判定する。このため、最上段より1段低い下段の物品C2にも焦点が合った画像であっても、下段の物品C2が最上段の物品C1として検出されることはない。
【0056】
ステップS15では、最上段の物品があるか否かを判断する。すなわち、カメラコントローラ53は、撮像エリアPAn内に検出された最上段の物品C1があるか否かを判断する。最上段の物品C1がない場合はステップS16に進み、最上段の物品C1がある場合はステップS17に進む。
【0057】
ステップS16では、nをインクリメントする(n=n+1)。すなわち、ロボットコントローラ52は、n値をインクリメントすることで、カメラ45の次の第n撮像位置を設定する。この場合、ロボットコントローラ52は、インクリメント後のn値に従って、ロボット30のアーム33等を駆動させてカメラ45を次の第n撮像位置に移動させ、カメラコントローラ53が次の第n撮像位置に配置されたカメラ45に撮像動作させることで、次の撮像エリアの画像を取得する(S13)。
【0058】
そして、次の撮像エリアの画像を用いて最上段の物品C1の検出処理を実行し(S14)、最上段の物品が検出されない場合(S15で否定判定)、再びnをインクリメントし(S16)、更に次の第n撮像位置へカメラ45を移動させてカメラ45が撮像動作されることで次の第n撮像エリアの画像を取得する。こうして最上段の物品C1が検出されるまで、所定の順番にカメラ45の撮像位置を変更する度にカメラ45によって撮像エリアPAnの画像を取得し、その取得した画像を用いた最上段の物品C1の検出処理を実行する。そして、第n撮像エリアPAnの画像において最上段の物品C1が検出されると(S15で肯定判定)、ステップS17に進む。
【0059】
ステップS17では、荷取対象となる最上段の物品C1の位置および姿勢角(向き)を算出する。すなわち、カメラコントローラ53は、画像において荷取対象である最上段の物品C1の位置および姿勢角を検出する。カメラコントローラ53は、図8に示すように、物品C1の位置として例えば中心座標(x、y)を算出し、さらに物品C1の姿勢角θを算出する。詳しくは、カメラコントローラ53は、画像系の座標上で物品C1の位置座標を算出し、この物品C1の位置座標と、カメラ45の実座標系の位置座標とに基づき、物品C1の実座標系の位置(x,y)を取得する。カメラコントローラ53は、物品C1の位置(x、y)および姿勢角θのデータを、ロボットコントローラ52へ出力する。なお、吸着ヘッド34に替え、ハンドで物品Cを挟持して把持する場合は、X-Y平面における物品C1の対角の位置座標を求めるとよい。
【0060】
ステップS18では、荷取動作を行う。すなわち、ロボットコントローラ52は、位置(x,y)および姿勢角θのデータに基づきロボット30のアーム33等を駆動し、吸着ヘッド34を荷取対象の物品C1の姿勢角(向き)に合わせた姿勢角(向き)に姿勢制御しつつ、位置(x、y)にある荷取対象の物品C1の上面に吸着ヘッド34を押し当てて物品Cを吸着させる。ロボットコントローラ52は、PLC51から荷取位置から荷置位置まで物品C1を移載する指令を受信すると、その指令に従ってロボット30を制御して吸着ヘッド34に吸着した物品C1を、荷取位置からコンベヤ12上の所定位置(荷置位置)まで運んで吸着ヘッド34から解放することで、物品C1をコンベヤ12上に所定の向きに載置する。
【0061】
ステップS19では、最上段の荷取作業を完了したか否かを判断する。レーザスキャナ22は、ロボット30の一部が荷役エリアSA内にないときに最上段の物品の有無を検出し、最上段の物品がすべて無くなると、最上段の荷取作業を完了したと判断する。最上段の荷取作業を完了していなければ、つまり最上段に物品C1がまだ残っていれば、ステップS15に戻る。なお、ステップS19の判断は、カメラ45が撮像エリアのすべてを撮像したn枚の画像のすべてで最上段の物品が無いことをもって行ってもよい。
【0062】
ステップS19から戻ったステップS15では、先の最上段の物品検出処理(S14)で複数の最上段の物品C1を検出していれば、ロボットコントローラ52は最上段の物品C1ありと判断するので(S15で肯定判定)、先に検出した最上段の物品のうちの残りから1つを荷取対象に選択する。そして、荷取対象である最上段の物品C1の位置および姿勢角を算出し(S17)、荷取動作を行う(S18)。一方、ステップS15において、最上段の物品なしと判断した場合(S15で否定判定)、nをインクリメントした後(S16)、ステップS13に戻り、カメラを第n撮像位置へ移動させ、次の第n撮像エリアの画像を撮像する。そして、第n撮像エリアの画像を用いて最上段の物品C1の検出処理を行い(S14)、最上段の物品C1があれば(S15で肯定判定)、最上段の物品C1のうち1つを荷取対象に選択する。さらに、その荷取対象の物品C1の位置および姿勢角を算出し(S17)、その物品の荷取動作を行う(S18)。
【0063】
以下、同様に最上段の残りの物品C1を順次移載し、最上段の物品C1を全て移載し終わると(S19で肯定判定)、レーザスキャナ22が最上段の物品C1を検出しなくなるので、移載制御ルーチンを一旦終了し、再びステップS11からの処理を開始する。レーザスキャナ22を前回のルーチンで最上段の物品C1を検出した位置を新たな検出開始位置Hsとして、S11~S19の処理を繰り返す。最上段の物品C1の移載作業をすべて完了する度に、レーザスキャナ22による最上段の物品C1の高さ位置の検出(S11)、物品群CGの上面の一部の撮像(S13)、最上段の物品C1の検出(S14)、物品C1の位置・姿勢角の算出(S17)、および荷取動作(S18)を順次行う。こうしてパレットP上の物品群CGの全ての物品Cの移載作業を終了する。そして、空のパレットPが搬出され、次の荷役対象物CBがロボット30の作業範囲内の所定位置に載置される。
【0064】
なお、レーザスキャナ22は、最上段の物品C1を検出した後(S11)、その最上段よりも1段上側の位置で一時的に待機してもよい。すなわち、レーザスキャナ22は、最上段の物品C1の高さ位置を検出して高さデータを出力した後、スキャンしながら上昇し物品C1を検出しない高さ位置で停止する。この場合、例えば、移載装置10の運転停止中に、作業者が最上段の物品C1の上に物品Cを載せたとしても、その載せた物品Cはレーザスキャナ22に検出されるので、その検出された物品Cを最上段の物品C1として優先して荷取りすることができる。
【0065】
以上詳述したように本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)物品移載装置10は、複数の物品Cが段積みされてなる物品群CGを含む荷役エリアSAを、段積方向Zと交差する交差方向に出射するレーザ光によって段積方向Zにスキャンして物品群CGのうち最上段の物品C1の高さ位置を検出する高さ検出装置20を備える。また、物品移載装置10は、物品Cを吸着により把持可能な吸着ヘッド34(把持部の一例)を有するアーム33を備えたロボット30と、吸着ヘッド34に設けられたカメラ45とを備える。カメラコントローラ53(位置検出部の一例)は、物品群CGにおける高さ検出装置20により検出された高さ位置の部分に焦点の合う撮像位置にロボット30の位置制御により配置されたカメラ45(撮像部の一例)が物品群CGの上面の一部を撮像した画像に基づき、最上段の物品C1の水平方向における位置を検出する。ロボット30は、カメラコントローラ53が検出した最上段の物品C1を荷取りする。よって、高さ検出装置20は、荷役エリアSAをその側方からレーザ光を照射して段積方向Zにスキャンすることで最上段の物品C1を検出する構成のため、物品移載装置10の高さ方向Zにおける設置スペースを短くできる。このため、天井の低い工場でも物品移載装置10を設置できるうえ、レーザスキャナ22のメンテナンス作業が高所作業の必要もなく簡単に済む。また、ロボット30の吸着ヘッド34に設けられたカメラ45は、物品群CGにおける検出された高さ位置の部分に焦点の合う第n撮像位置にロボット30により位置制御される。このため、カメラ45を撮像位置に移動させる際にアーム33又は吸着ヘッド34が物品群CGに衝突することを低減できる。また、カメラ45が撮像した物品群CGの上面の一部の画像を基に最上段の物品C1の交差方向における位置を検出できるので、吸着ヘッド34は最上段の物品C1を荷取りできる。
【0066】
(2)ロボット30に位置制御されたカメラ45は、少なくともカメラコントローラ53が最上段の物品C1を検出するまでは、物品群CGの上面における交差方向に位置の異なる複数の撮像エリアPAを撮像し、カメラコントローラ53は、カメラ45が撮像した画像を基に最上段の物品C1の位置及び姿勢角(向き)を検出する。ロボット30は、カメラコントローラ53が検出した位置にある最上段の物品C1を、検出した姿勢角に吸着ヘッド34の角度を合わせて荷取りする。よって、カメラ45は、少なくともカメラコントローラ53が最上段の物品C1を検出するまでは、物品群CGの上面における交差方向に位置の異なる複数の撮像エリアPAnを撮像する。このため、最上段の物品C1を検出して荷取対象の物品を決定できるうえ、その荷取対象の物品C1の位置及び姿勢角(向き)を検出できる。よって、荷取対象の物品C1が傾いて置かれていてもその傾きに合わせた適切な角度(向き)で吸着ヘッド34によって物品C1を荷取りでき、しかも移載先のコンベヤ12に適切な向きに荷置きできる。
【0067】
(3)複数の撮像エリアPAのうち交差方向に隣合う2つは、一部重複する。よって、隣合う2つの撮像エリアPAは一部重複するので、最上段の1つの物品Cが一方の撮像エリアPAに一部のみ撮像されても、一部重複するその隣の他方の撮像エリアPAには全体が撮像される頻度が増す。例えば一部重複しない撮像エリアPAでは、物品Cが2つの撮像エリアPAに跨って撮像されることに起因して物品Cの位置及び向きを検出不能な頻度が増す。これに対して、隣合うもの同士で一部重複する撮像エリアPAなので、隣同士の2つの撮像エリアPAのうち一方の撮像エリアPAには物品Cが全て撮像される。
【0068】
(4)カメラコントローラ53(位置検出部の一例)は、画像に基づき物品Cを検出した場合、物品Cの画像上の面積を求め、面積が閾値よりも大きい物品Cをロボット30が荷取対象とするべき最上段の物品C1とする。よって、最上段よりも下に位置する下段の物品Cを、間違って荷取りすることを防止できる。
【0069】
(5)荷取位置検出装置は、物品Cが段積みされてなる物品群CGを含む荷役エリアSAを、段積方向と交差する交差方向に照射するレーザ光LZによって段積方向Zにスキャンして、物品群CGのうち最上段の物品C1の高さ位置を検出する高さ検出装置20を備える。また、荷取位置検出装置は、物品Cを吸着によって把持する吸着ヘッド34を有するアーム33を備えたロボット30の吸着ヘッド34に設けられたカメラ45を備える。さらに荷取位置検出装置は、物品群CGにおける高さ検出装置20により検出された高さ位置の部分に焦点の合う撮像位置にロボット30により位置制御されたカメラ45により物品群CGの上面の一部を撮像し、その撮像画像を基にロボット30が荷取対象とする物品C1の交差方向における位置を検出するカメラコントローラ53を備える。よって、ロボット30を備える移載装置において荷取位置検出装置を設けることにより、移載装置10を構築し、上記(1)~(4)の効果を同様に得ることができる。
【0070】
前記実施形態は、上記に限定されず、以下のように変更してもよい。
図10に示すように、検出エリアDAを複数に分割した分割検出エリアDA1~DA7毎に最上段の物品C1の有無を判定してもよい。例えば、図10に示すように、検出エリアDAを、検出部23から出射されるレーザ光LZを水平面(X-Y平面)内で走査する広がり角を複数分割することで複数の分割検出エリアDA1~DA7に分割する。レーザスキャナ22は、複数の分割検出エリアDA1~DA7毎に最上段の物品C1の有無を検出する。この場合、ロボットコントローラ52は、最上段の物品C1が検出されると、その物品C1の属する分割検出エリアDAkに対応する撮像位置へカメラ45を移動させる。このため、カメラ45が早期に最上段の物品C1を撮像できる。例えば、図9のフローチャートのステップS13において、n=1のときの第n撮像位置は、高さ検出装置20が検出した最上段の物品C1が属する分割検出エリアDAkの少なくとも一部を撮像可能な撮像位置となる。つまり、ロボットコントローラ52は、レーザスキャナ22が最上段の物品C1を検出した際の分割検出エリアDAkの少なくとも一部を撮像可能な撮像位置にカメラ45を移動させ、カメラ45に1番目の撮像エリアPA1を撮像させる。このように高さ検出装置20は、検出エリアDAを交差方向に複数分割した分割検出エリアDA1~DA7毎に最上段の物品C1を検出することで高さ位置を検出する。そして、ロボット30は、高さ検出装置20が検出した最上段の物品C1が属する分割検出エリアDAkを撮像可能な撮像位置へカメラ45を移動させる。よって、最上段の物品C1が検出されるまで、カメラ45の撮像エリアPAを順番に移動させる前記実施形態の構成に比べ、カメラ45を早期に最上段の物品C1を撮像可能な撮像位置へ移動させ、撮像した画像を基に最上段の物品C1を早期に検出することができる。この結果、荷取作業のサイクルタイムを前記実施形態よりも短くし、移載作業の作業効率を高めることができる。
【0071】
図10に示す分割の仕方に替え、検出エリアDAをレーザスキャナ22からの距離によって複数(j個)の分割検出エリアDAn(但しn=1,2,…,j)に分けてもよい。また、検出エリアDAを、図10に示す広がり角の分割と、レーザスキャナ22からの距離による分割との両方により、複数の分割検出エリアDAnに分けてもよい。これらの構成によっても、レーザスキャナ22の検出結果を基に、最上段の物品C1の位置を特定できるので、カメラ45の少ない移動回数および撮像回数で荷取対象の物品C1の位置を特定できるので、荷取作業のサイクルタイムを短くできる。
【0072】
・レーザスキャナ22は、検出エリアDAで検出した物体の位置を特定可能な位置座標付きの空間データを出力してもよい。この場合、水平面内における荷役エリアSAの領域を検出エリアDAとする。PLC51は、レーザスキャナ22から入力した空間データに基づき検出エリアDA内で最上段の物品C1が存在する平面上の位置領域を特定し、その特定した位置領域を撮像可能な撮像位置へカメラ45を移動させる指示をロボットコントローラ52に与える。この構成によれば、カメラを最上段の物品を撮像可能な撮像位置へ1回で移動できる頻度が高まるので、移載作業の高速化を実現できる。
【0073】
・前記実施形態では、位置検出部の一例であるカメラコントローラ53は、カメラ45が撮像した画像を基にロボット30の荷取対象の物品C1の位置および角度(姿勢角)を検出したが、物品C1の位置のみ検出してもよい。例えば円板状の物品C1など向きを有しない形状の物品については、その位置が分かれば把持部で荷取りすることはできる。
【0074】
・ロボット30のアーム33又は把持部にレーザスキャナ(高さ検出部)を設けてもよい。この場合、最上段の物品C1の高さを検出するときはロボット30のアーム33を駆動してレーザスキャナ22を段積方向Zに移動させることで、段積方向Zにスキャンして最上段の物品C1の高さ位置を検出する。次に、ロボット30のアーム33を駆動させてカメラ45を物品群CGの最上段の高さ位置の部分に焦点の合う撮像位置へ移動させ、カメラ45により物品群CGの上面の一部を撮像する。そして、カメラコントローラ53は、カメラ45が撮像した画像から最上段の物品の位置及び角度(姿勢角)を検出する。
【0075】
・高さ検出装置20を構成するレーザスキャナ22は、検出部23から射出したレーザ光の光干渉を利用して最上段の物品を検出する光干渉計でもよい。また、レーザスキャナ22の検出部23は、レーザ光の位相差を用いて最上段の物品を検出する方式でもよい。
【0076】
・天井の低い工場では、高さ検出装置20における昇降機構21のレール24を天井から吊るしてもよい。
・前記実施形態では、物品群CGに対して1段ごとに最上段の物品C1の高さ位置を検出したが、最初にレーザスキャナ22で最上段の物品C1の高さ位置を検出した後、それ以降の下段におけるレーザスキャナ22による高さ位置の検出は行わなくてもよい。最初に最上段の物品C1の高さ位置が分かれば、その後は、カメラ45の撮像画像を基に最上段の物品C1の有無は判定可能なうえ、物品Cのサイズ等の荷役情報を基に1段分の高さが既知なので、次の段(1段分下段)の物品に焦点の合う撮像位置は算出可能である。
【0077】
・カメラ45により複数の撮像エリアPAのすべてを撮像して最上段の物品C1の位置を把握した後、最上段の物品の荷取作業を開始してもよい。
・把持部は、吸着ヘッド34に限らず、ハンドでもよい。ハンドは、固定ガイドと、固定ガイドに対して接近及び離間可能な可動ガイドとを備え、可動ガイドと固定ガイドとの間に物品を挟持することで物品を把持する。なお、ハンドは、複数のガイドで挟持した物品をその下側から受ける保持レバーを備えてもよい。また、ハンドは、複数の可動ガイドを有する構成でもよい。また、ハンドは3つ以上の複数のガイドを備えたものでもよい。
【0078】
・撮像部の一例としてのカメラ45は、吸着ヘッド34に組み付ける構成に限らず、アーム33に取り付けてもよい。要するに、ロボット30がアーム33を駆動させることでカメラ45を撮像位置に位置制御できる部位であれば、カメラ45はアーム33と吸着ヘッド34のうちどこに取り付けてもよい。例えば、カメラ45をアーム部33B又はアーム部33Cに取り付けてもよい。また、カメラ45を吸着ヘッド34の側部に取り付けてもよい。
【0079】
・物品Cは、ケースに限らず、袋体でもよい。例えば粉体または粒体(例えば穀粒)を収容する袋体でもよい。この場合、袋体の中身は、食料用の粉体(小麦粉等)や粒体(豆等の種子)でもよいし、セメント粉等の工業用粉体または工業用の粒体でもよい。また、袋体は、液体または気体を収容するものでもよい。また、物品は支持板上に段積みされたコンテナでもよい。
【0080】
・袋体以外の物品の形状は直方体に限らず、その他の多角柱状(例えば三角柱又は六角柱)や円柱状でもよい。
・荷役対象物CBは、ペットボトル等の容器よりなる物品を複数段積載するバルクでもよい。例えば、ロボット30が1段単位で容器群を吸着可能な吸着ヘッドを有し、ロボット30が吸着ヘッドにより1段ずつバルクよりなる容器群を段ばらしする移載作業を行う移載装置でもよい。
【0081】
・ロボット30は把持部で物品を複数個ずつ把持する構成でもよい。例えば物品を吸着ヘッド34で複数個ずつ吸着したり、ハンドで複数個ずつ挟持したりしてもよい。
・物品群CGは、パレットP以外のものに載置されてもよい。物品群は例えばシート又はコンベヤ(例えばベルトコンベヤ)上に載置されてもよい。
【0082】
・移載装置による移載作業は、段ばらし作業に限らず、コンベヤから物品を把持してパレットPに積み付ける積付作業でもよい。この場合、積付作業の途中の運転停止中に作業者が物品群へ物品を追加しても、レーザスキャナ22が最上段の物品C1の高さ位置を検出できるので、ロボット30が例えば次の物品Cを積み付けるために移動させたアーム33または吸着ヘッド34が誤って物品群CGに衝突する事態を回避できる。
【符号の説明】
【0083】
10…物品移載装置(移載装置)、12…コンベヤ、20…高さ検出装置、21…昇降機構、22…レーザスキャナ、23…検出部、24…レール、25…移動機構、26…モータ、30…ロボット、31…、32…回転台、33…アーム、34…把持部の一例としての吸着ヘッド、35…動力源、36…駆動機構、37…電動モータ、38…回転部、45…撮像部の一例としてのカメラ、51…プログラマブルロジックコントローラ(PLC)、52…ロボットコントローラ、53…位置検出部の一例としてのカメラコントローラ、51M,52M,53M…記憶部、SA…荷役エリア、SAmax…最大荷役エリア、C,C2…物品、C1…物品(最上段)、CG…物品群、P…パレット、DA…検出エリア、DA1~DA7,DAk,DAn…分割された検出エリアの一例としての分割検出エリア、PA,PA1~PA9,PAn-1,PAn…撮像エリア、LZ…レーザ光、Sa…面積、Sb…面積、θ…角度。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10