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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】犬糞のつかみ取り袋
(51)【国際特許分類】
   A01K 23/00 20060101AFI20220613BHJP
   B65F 1/00 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A01K23/00 A
B65F1/00 M
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2018096896
(22)【出願日】2018-05-21
(65)【公開番号】P2019201551
(43)【公開日】2019-11-28
【審査請求日】2021-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592182311
【氏名又は名称】日本フイルム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】田北 一彦
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-084225(JP,A)
【文献】登録実用新案第3108111(JP,U)
【文献】登録実用新案第3148887(JP,U)
【文献】登録実用新案第3195348(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 23/00
B65F 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が透視不可の有色の筒状の袋本体の左右側に折り込んで左右折込み部を形成し、
左右折込み部の折込み先端部は多重に重ねた重複状態とし、
しかもこの重複部の表裏側には、筒状の袋本体の前後壁シートを重複して筒状の袋本体の底部中央部には合計6枚のシートを多重に重ねた重複溶着状態とし、
しかも筒状の袋本体の上部では左右折込み部の折込み先端重複部分を除いた左右両側方にわたって折込み部分に切欠部を形成し、
切欠部の両側では左右折込み部の折込み先端部を除いて袋本体の前後壁シート間に指の挿通可能な指入れ吊下部を形成し、
切欠部は下辺と左右の斜辺により鋭角状をなすように下方に拡開状の台形に形成し、指入れ吊下部の下端部を上端部に対して幅狭とし、
犬糞つかみ取り後の指入れ吊下部下端部における結束を容易にかつ確実に行うことができるように構成した犬糞のつかみ取り袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路等の屋外に脱糞された犬糞を飼い主がポリ袋でつかみ取ってそのまま袋に収納して持ち帰ることができる犬糞のつかみ取り袋に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、屋外の犬糞は飼い主がポリ袋の中に手を入れてつかみ取り袋を反転してそのまま袋に収納して持ち帰るように条例等で規制されて環境衛生の維持を図っている。
【0003】
この犬糞が少量の場合にはポリ袋の強度は問題とならないが、大型犬などの場合には、大量の犬糞をポリ袋でつかんで収納する必要があり、過重量となって、つかむ際或いは収納後にポリ袋の底部溶着部に亀裂が生じ、場合によっては液漏れや破損する虞があった。
そこで、このような重量物のペット排泄物を収容するためのポリ袋としては、両側縁にガゼットを形成して、このガゼット部分の底部が4枚のシートの熱溶着により構成されるようにして、底部の重量負担に耐えるようにし、かつ、排泄物をつかむ際にガゼット部分が拡縮して排泄物収容作業をやり易くした袋が開発されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-051186号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これらの犬糞のつかみ取り袋は、通常小型のポリ袋が使用されているが、かかるポリ袋は犬糞をつかむ前に袋中に手を入れて手の平を最大限に広げて袋を広げそのまま犬糞をつかむ動作をするため、犬糞の重量以外にも袋中で手の平を広げる際に底部のシール部が破損して犬糞のつかみ作業が行えない虞もある。
【0006】
その要因はポリ袋を小さく成袋しても、広げた場合は袋内の内容量確保のために袋両側面にガゼットといわれる折込み部を形成している。この左右折込み部の折込み先端部(袋の中央部に形成される折込み端部)は袋の前後壁シートの溶着部に隣接して両側方に位置している。
すなわち、袋の前後壁シートの下端溶着部の左右両側方に左右折込み部の折込み先端部が位置されていることになる。
そして、折込み先端部は袋底部において底部溶着されていることになる。
かかる袋底部溶着構造においては、犬糞をつかみ取る前段階として袋内に大人の大きさの手を入れて犬糞の大きさ相当の広さに手を広げる。この場合袋底部の溶着部において次のような変化が生じる。
すなわち、袋内で手を最大限に広げると、溶着部外方の引っ張り応力に耐えきれず袋前後壁シートの溶着部と折込み先端部の境に切れ目が生起し、溶着部が裂けて穴が開き袋底部の密封機能を損なうことになり、犬糞のつかみ取り作業に支障を生起していた。
【0007】
この発明では、このような犬糞専用の大きさのつかみ取り袋を取り扱いやすく、かつ、使用しやすく、また袋底部の折込み部と袋前後壁シートとの溶着部を多重に折り重ねて過度な引張り応力にも耐えうるように構成した犬糞のつかみ取り袋を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の態様の1つは、内部が透視不可の有色の筒状の袋本体の左右側に折り込んで左右折込み部を形成し、左右折込み部の折込み先端部は多重に重ねた重複状態とし、しかもこの重複部の表裏側には、筒状の袋本体の前後壁シートを重複して筒状の袋本体の底部中央部には合計6枚のシートを多重に重ねた重複溶着状態とし、しかも筒状の袋本体の上部では左右折込み部の折込み先端重複部分を除いた左右両側方にわたって折込み部分に切欠部を形成し、切欠部の両側では左右折込み部の折込み先端部を除いて袋本体の前後壁シート間に指の挿通可能な指入れ吊下部を形成したことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の選択的な態様の1つは、切欠部は下辺と左右の斜辺により鋭角状をなすように下方に拡開状の台形に形成して指入れ吊下部の下端部を可及的な幅狭とし、犬糞つかみ取り後の指入れ吊下部の下端部における結束を容易にかつ確実に行うことができるように構成したことにも特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る犬糞のつかみ取り袋によれば、袋本体の左右の折込み先端部を重ねて重複状態とし、かつ、この重複部の表裏側に更に袋本体の前後壁シートを重複させて、これらの多重に重ねた重複部を熱溶着して袋本体の底部を形成することにしたので、袋本体の底部は、中心部には重複したシートが前後壁シート2枚と2枚の折込み先端部の多重に重ねた重複による4枚のシートとの合計6枚のシートが一体溶着されたことになり、溶着部が強固に一体溶着され、特に前後壁シートが折込み先端部と一体溶着状態であるため、袋内部を拡大させても前後壁シートと折込み先端部との境の溶着部分が裂けて分離することがなく、溶着部の強度を増し、犬糞のつかみ袋として有用性を向上することができる効果がある。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、筒状の袋本体の上部において折込み先端重複部分を除いて左右両側方にわたって折込み部分に切欠部を形成し、切欠部は下辺と左右の斜辺により鋭角状をなすように下方に拡開状の台形に形成し、指入れ吊下部の下端部を上端部に対して幅狭としたことにより、犬糞つかみ取り後の指入れ吊下部下端部における結束を容易にかつ確実に行うことができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の実施形態における犬糞のつかみ取り袋を示す正面図である。
図2】本発明の実施形態における犬糞のつかみ取り袋の図1のA-A断面図である。
図3】本発明の実施形態における犬糞のつかみ取り袋の図1のB-B断面を前後方向に開いた図である。
図4】本発明の実施形態における犬糞のつかみ取り袋の図1のB-B断面図である。
図5】本発明の切欠部を台形状とした犬糞のつかみ取り袋を示す正面図である。
図6】本発明の実施形態における犬糞のつかみ取り袋の使用状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
この発明の要旨は、内部が透視不可の有色の筒状の袋本体の左右側に折り込んで左右折込み部を形成し、左右折込み部の折込み先端部は多重に重ねた重複状態とし、しかもこの重複部の表裏側には、筒状の袋本体の前後壁シートを重複して筒状の袋本体の底部中央部には合計6枚のシートを多重に重ねた重複溶着状態とし、しかも筒状の袋本体の上部では左右折込み部の折込み先端重複部分を除いた左右両側方にわたって折込み部分に略U字状の切欠部を形成し、切欠部の両側では左右折込み部の折込み先端部を除いて袋本体の前後壁シート間に指の挿通可能としたこと、また、切欠部は下方に拡開状の台形に形成して指入れ吊下部の下端部を可及的な幅狭とし、犬糞つかみ取り後の指入れ吊下部の下端部における結束を容易にかつ確実に行うことができるように構成したことにある。
【0014】
この発明の実施例を図面に基づき詳説する。
図1は、本発明の犬糞つかみ取り袋の正面図であり、図2,3は図1のA-A線、B-B線の各断面図を示す。
【0015】
図1に示すように、本発明の犬糞つかみ取り袋Kは、筒状の袋本体10の左右側方に左右折込み部20を形成し、この折込み部20と袋本体10の前後壁シート11,12との溶着形態に一定の工夫を施し、しかも袋本体10の上部左右中央に略U字状或いは略台形状の切欠部30を形成して、切欠部30の残左右シート31,32に指入れ吊下部33を形成し、この指入れ吊下部33は犬糞つかみ取り袋Kの反転後に袋本体開口部34の結束部Sに用いるようにした。
【0016】
袋本体10は、収容した犬糞Dが透視できないように有色、例えば黒色としている。
袋本体10の左右側面には内側に横断面V字状に折り込んだ左右折込み部20を形成している。
【0017】
しかも、袋本体10の内部において左右折込み部20の先端部、すなわち、図3に示すように袋本体10の横断面における折込み先端部21は互いに重複してこの多重に重ねた重複部40には4枚のシートが重複した構成とする。
【0018】
しかも、この4枚の重複部40の表裏面(前後面)には更に袋本体10の前後壁シート11,12を多重に重ねて重複し、全体としてこの部分は6枚のシートが多重の重複状態となるように構成しており、この多重に重ねた重複構成を本発明の要部としている。
【0019】
すなわち、図4に示すように、袋本体10の袋底部13を前後より溶融圧着すると左右折込み部20の折込み先端部21を形成する重複部40の4枚のシートと袋本体10の前後壁シート11,12とが一体に多重溶着されることで袋底部13が形成される。
【0020】
換言すれば、この袋底部13においては袋本体10の底部の中央部分に一定幅員で上記6枚のシートが溶着され、その左右側方に4枚の折込みシート51,52,53,54が溶着されて、図4に示すような連続した底部溶着体50を形成し、しかも各左右折込みシート51,52,53,54の折込み先端部21は一体溶着状態に加えて更にその外側から袋本体10の前後壁シート11,12が一体溶着されたことになる。
【0021】
従って、袋底部13においては左右に伸びる底部溶着体50を形成する各シート11,12,51,52,53,54が前後(表裏)一体に重複したシートと同様の構造を形成し、袋本体10内で手の平を広げて袋本体10を内側から外方に押し広げる引っ張り応力がかかっても底部溶着体50の一体溶着による溶着強度が向上し、溶着部分がちぎれたり、切断したりする恐れを防止することができる。
【0022】
また、袋本体10の上部においては左右折込み部20の折込み先端部21を除いた左右両側の折込み部分に一定長さの鉛直線の切込みとその下端をつないだ略U字状の切欠部30を形成する。
この略U字状の切欠部30は左右折込み部20の折込み先端部21を除いて形成されたので折込み部20は、図2に示すように、左右横方向に開放した指挿通空間Iを形成する。
【0023】
このようにして、指挿通空間Iを指入れ吊下部33としたことにより、図6に示すように、犬糞Dのつかみ取り後に袋本体10を反転し、反転袋内に犬糞Dを収納し、略U字状の切欠部30の左右両側に形成した左右シート31,32を結束することができ、また、指入れ吊下部33を介して袋本体10を吊下携行することができる。
【0024】
この際に指入れ吊下部33は折込み先端部21を除いた左右折込み部20と同じく左右折込み部20の先端に重複した部分を除いた袋本体10の前後壁シート11,12とにより、指入れ吊下部33が2枚のシートで構成されることになり、吊下強度を向上でき、しかも袋本体開口部34を閉鎖する際には切欠部30の左右に形成した左右シート31,32を結束することになるが切欠部30の左右側の結束部Sが細幅となり結束しやすくなる。特に、図5に示すように、切欠部30を上部から下部に向けて拡開形成した台形形状とすれば、左右シート31,32の下部に形成した結束部Sが可及的に細幅となり、左右の結束部S同士の結束をより確実とし、かつ強固に結束結びを行うことができ、結束部Sの不用意な弛緩を防止することができる。
すなわち、図5に示すのは、切欠部30の他の実施例を示すものであり台形状とすることにより上記の台形特有の機能を果たすことができる。
【0025】
この発明の実施例は上記のように構成されているため、犬糞Dのつかみ取りに際して袋底部13の強度を強靭にすることができ、かつ、袋本体開口部34の結束作業も確実に行えると共に携行しやすい特徴を有し犬糞Dを犬糞つかみ取り袋Kに容易に収納できる特徴を有する。
【0026】
この発明では特に犬糞つかみ取り袋Kは犬糞Dに限定したことにも特徴を有する。すなわち、犬糞Dに限定したことはつかみ取り袋Kの大きさ、すなわち内容量の大きさに係ることであり、通常の犬糞Dの容積は大人の平手を広げた大きさ以下に限定されることに注目し、つかみ取り袋Kも最大、大人の平手を広げた大きさの袋に限定した。従って、本発明では、袋内での犬糞Dのつかみ取り作業を行う前段階として大人の平手を最大限広げた袋変形を想定しており、平手を最大に広げる動作を行った場合に底部溶着体50の引っ張り応力が生起してもその応力に耐えうるような多重重ねの重複溶着構造とした。
【0027】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、実用新案登録請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0028】
10 袋本体
11 前壁シート
12 後壁シート
13 袋底部
20 左右折込み部
21 折込み先端部
30 切欠部
31 左シート
32 右シート
33 吊下部
34 袋本体開口部
40 重複部
50 底部溶着体
51,52,53,54 シート
I 指挿通空間
K 犬糞つかみ取り袋
S 結束部

図1
図2
図3
図4
図5
図6