(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】駆動装置及び該駆動装置を用いた昇降式物干し
(51)【国際特許分類】
F16D 43/20 20060101AFI20220613BHJP
D06F 57/12 20060101ALI20220613BHJP
F16D 7/02 20060101ALI20220613BHJP
F16D 41/20 20060101ALI20220613BHJP
F16D 63/00 20060101ALI20220613BHJP
B66D 3/20 20060101ALN20220613BHJP
【FI】
F16D43/20
D06F57/12 Q
F16D7/02 F
F16D41/20 A
F16D63/00 R
B66D3/20 C
(21)【出願番号】P 2018170104
(22)【出願日】2018-09-11
【審査請求日】2021-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000110206
【氏名又は名称】株式会社TOK
(74)【代理人】
【識別番号】100169960
【氏名又は名称】清水 貴光
(72)【発明者】
【氏名】冨澤 俊樹
【審査官】糟谷 瑛
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-24741(JP,A)
【文献】特開2013-113328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16D 7/00
F16D 41/00
F16D 43/00
F16D 63/00
D06F 57/00
B66D 3/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力部材の回転運動に伴って出力部材を駆動させる駆動装置であって、
前記入力部材の回転運動を出力部に伝達し、前記出力部材の回転運動が前記出力部を介して前記入力部材に伝達することを遮断する逆入力ロッククラッチと、
前記逆入力ロッククラッチの出力部及び前記出力部材を接続し、前記出力部が一方向に回転すると前記出力部材を前記逆入力ロッククラッチから切り離し、前記出力部が他方向に回転すると前記回転運動の回転駆動力を前記出力部材に伝達させる伝達機構と、
を備えていることを特徴とする駆動装置。
【請求項2】
前記伝達機構は、
前記出力部に接続されて前記出力部とともに回転する出力シャフトと、
前記出力シャフトに一方端が嵌着されるとともに前記出力部材に他方端が嵌着され、前記出力シャフトが一方向に回転すると弛緩して前記出力部材を出力シャフトから切り離し、前記出力シャフトが他方向に回転すると締着して前記出力部材と出力シャフトとを連結するトーションスプリングと、
を備えていることを特徴とする請求項1記載の駆動装置。
【請求項3】
前記出力部材は、円筒状に形成され、前記トーションスプリングを内部に収容することを特徴とする請求項2記載の駆動装置。
【請求項4】
前記逆入力ロッククラッチ及び前記伝達機構を内部に収容する一対の分割カバーをさらに備えていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の駆動装置。
【請求項5】
請求項1から4の何れか1項記載の駆動装置を備えていることを特徴とする昇降式物干し。
【請求項6】
前記出力部材は、物干し竿を支持する紐状部材が外周に巻回された巻取プーリーであることを特徴とする請求項5記載の昇降式物干し。
【請求項7】
前記入力部材は、操作紐が外周に巻回された操作プーリーであることを特徴とする請求項5又は6記載の昇降式物干し。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及びこの駆動装置を用いた昇降式物干しに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ユーザが操作紐を引く方向に応じて物干し竿を昇降可能で且つ物干し竿を任意の高さに維持できる昇降式物干しが知られている。このような昇降式物干しでは、操作紐に接続された入力部材の回転運動に伴って、物干し竿を吊り下げる吊り下げ紐を外周に巻回した出力部材を回転させる機構が必要である。このような機構としては、例えば特許文献1に示すような逆入力ロッククラッチを用いることが考えられる。
【0003】
特許文献1に記載された逆入力ロッククラッチは、入力部材と出力部材とが第1の弾性部材を介して接続されており、第1の弾性部材が弛緩することで、入力部材に入力される回転駆動力が出力部材に伝達され、第1の弾性部材が締着することで、出力部材に入力される回転駆動力が入力部材に伝達されることを阻止するものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した逆入力ロッククラッチを適用した昇降式物干しでは、吊り下げ紐が出力部材から全て巻き出されて物干し竿が最下点まで達した後に、出力部材がさらに回転し続けると、吊り下げ紐が逆向きに巻き戻されて物干し竿が上昇する、すなわち、操作紐を一方向に引き続けると最下点の前後で物干し竿の降下と上昇が切り換わってしまい利便性が悪いという問題があった。
【0006】
そこで、利便性に優れた駆動装置及び昇降式物干しを提供するために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を達成するために、本発明に係る駆動装置は、入力部材の回転運動に伴って出力部材を駆動させる駆動装置であって、前記入力部材の回転運動を出力部に伝達し、前記出力部材の回転運動が前記出力部を介して前記入力部材に伝達することを遮断する逆入力ロッククラッチと、前記逆入力ロッククラッチの出力部及び前記出力部材を接続し、前記入力部材が一方向に回転すると前記出力部材を前記逆入力ロッククラッチから切り離し、前記入力部材が他方向に回転すると前記回転運動の回転駆動力を前記出力部材に伝達させる伝達機構と、を備えている。
【0008】
この構成によれば、逆入力ロッククラッチは、入力部材の回転運動を出力部に伝達し、且つ出力部を介して出力部材の回転運動が入力部材に伝達することを遮断し、また、伝達機構が、出力部の回転方向に応じて出力部及び出力部材の接続又は切り離しを切換可能であることにより、出力部材が入力部材に対してフリーで回転可能なため、ユーザが意図するように出力部材を操作することができる。
【0009】
また、本発明に係る駆動装置は、前記伝達機構は、前記出力部に接続されて前記出力部とともに回転する出力シャフトと、前記出力シャフトに一方端が嵌着されるとともに前記出力部材に他方端が嵌着され、前記出力シャフトが一方向に回転すると弛緩して前記出力部材を出力シャフトから切り離し、前記出力シャフトが他方向に回転すると締着して前記出力部材と出力シャフトとを連結するトーションスプリングと、を備えていることが好ましい。
【0010】
この構成によれば、出力部とともに回転する出力シャフトの回転方向に応じたトーションスプリングの弛緩又は締着によって、トーションスプリングが弛緩した場合には、出力部材が入力部材に対してフリーで回転可能であり、トーションスプリングが締着した場合には、出力部材が入力部材と一体になって回転するため、ユーザが意図するように出力部材を操作することができる。
【0011】
また、本発明に係る駆動装置は、前記出力部材は、円筒状に形成され、前記トーションスプリングを内部に収容することが好ましい。
【0012】
この構成によれば、トーションスプリングが円筒状の出力部材内に収容されていることにより、トーションスプリングの径方向への動きが規制されるため、駆動装置を安定して駆動することができる。
【0013】
また、本発明に係る駆動装置は、前記逆入力ロッククラッチ及び前記伝達機構を内部に収容する一対の分割カバーをさらに備えていることが好ましい。
【0014】
この構成によれば、駆動装置が分割カバー内に収容されていることにより、駆動装置内に異物が混入する等の外乱が排除されるため、駆動装置を安定して駆動することができる。
【0015】
上記課題を達成するために、本発明に係る昇降式物干しは、以上のような駆動装置を備えている。
【0016】
この構成によれば、入力部材の回転運動を出力部に伝達し、且つ出力部の回転運動を入力部材に伝達することを遮断し、また、伝達機構が、出力部の回転方向に応じて出力部及び出力部材の接続又は切り離しを切換可能であることにより、ユーザが意図するように出力部材の回転に連動して物干し竿を昇降させることができる。
【0017】
また、本発明に係る昇降式物干しは、前記出力部材は、物干し竿を支持する紐状部材が外周に巻回された巻取プーリーであることが好ましい。
【0018】
この構成によれば、巻取プーリーが逆入力ロッククラッチに対してフリーで回転可能な場合には、物干し竿の自重で巻取プーリーが紐状部材を引き出す向きに回転することにより、物干し竿を降下させることができ、また、紐状部材が全て巻き出された後に巻取プーリーが紐状部材を巻き取るように回転しても、物干し竿の自重で巻取プーリーが引き出す向きに回転することにより、物干し竿を最下点に戻すことができる。
【0019】
また、本発明に係る昇降式物干しは、前記入力部材は、操作紐が外周に巻回された操作プーリーであることが好ましい。
【0020】
この構成によれば、物干し竿の上昇・降下に対応して予め設定された出力部材の回転方向に一致するように、ユーザの操作紐を介した入力操作に基づいて操作プーリーが回転することにより、ユーザが意図するように出力部材を操作することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、逆入力ロッククラッチは、入力部材の回転運動を出力部に伝達し、且つ出力部を介して出力部材の回転運動が入力部材に伝達することを遮断し、また、伝達機構が、出力部の回転方向に応じて出力部及び出力部材の接続又は切り離しを切換可能であることにより、出力部材が入力部材に対してフリーで回転可能なため、ユーザが意図するように出力部材を操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の一実施形態に係る昇降式物干しを示す正面図。
【
図2】本発明の一実施形態に係る駆動装置を入力側から視た分解図。
【
図3】本発明の一実施形態に係る駆動装置を出力側から視た分解図。
【
図5】逆入力ロッククラッチを入力側から視た分解図。
【
図6】逆入力ロッククラッチを出力側から視た分解図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、以下では、構成要素の数、数値、量、範囲等に言及する場合、特に明示した場合及び原理的に明らかに特定の数に限定される場合を除き、その特定の数に限定されるものではなく、特定の数以上でも以下でも構わない。
【0024】
また、構成要素等の形状、位置関係に言及するときは、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似又は類似するもの等を含む。
【0025】
また、図面は、特徴を分かり易くするために特徴的な部分を拡大する等して誇張する場合があり、構成要素の寸法比率等が実際と同じであるとは限らない。また、断面図では、構成要素の断面構造を分かり易くするために、一部の構成要素のハッチングを省略することがある。
【0026】
なお、本実施形態において、上下や左右等の方向を示す表現は、絶対的なものではなく、各構成要素が図面に描かれている姿勢である場合に適切であるが、その姿勢が変化した場合には姿勢の変化に応じて変更して解釈されるべきものである。
【0027】
図1は、昇降式物干し1を示す正面図である。昇降式物干し1は、梁、壁又は天井等に固定される基部2の端部から垂れ下がった吊り下げ紐3が、物干し竿4を水平に支持している。基部2の一方端には、後述する駆動装置10が設けられている。ユーザが操作紐5を引き出すことによって駆動装置10に入力された回転運動が吊り下げ紐3に伝達されて物干し竿4が昇降するように構成されている。
【0028】
次に、駆動装置10の構造について説明する。
図2は、駆動装置10を入力側から視た分解図である。
図3は、駆動装置10を出力側から視た分解図である。
図4は、駆動装置10の縦断面図である。なお、以下では、駆動装置10の構成を説明するにあたり、
図1の紙面直交方向(軸方向A)において、
図1の紙面に対して上方を「入力側」と称し、下方を「出力側」と称す。
【0029】
駆動装置10は、逆入力ロッククラッチ20と、伝達機構30と、を備えている。
【0030】
図5は、逆入力ロッククラッチ20を入力側から視た分解図であり、
図6は、逆入力ロッククラッチ20を出力側から視た分解図である。逆入力ロッククラッチ20は、インプットカップリング21と、アウトプットカップリング22と、第1のトーションスプリング23と、クラッチハウジング24と、を備えている。インプットカップリング21、アウトプットカップリング22、第1のトーションスプリング23及びクラッチハウジング24は、逆入力ロッククラッチ20内の入力側から出力側に向かってこの順で配置されている。
【0031】
インプットカップリング21は、略円板状に形成されている。インプットカップリング21の入力側の面には、多角形状の凸部21aが設けられている。なお、図中では凸部21aは、軸方向Aから視て小判型に形成されているが、凸部21aの形状はこれに限定されるものではない。
【0032】
インプットカップリング21の出力側の面には、レバー部21bが立設されている。レバー部21bは、先端側に比べて基端側が幅広に形成されている。これにより、後述するようにレバー部21bが第1のトーションスプリング23に当接した際の衝撃でレバー部21bが折損することを抑制できる。
【0033】
アウトプットカップリング22は、略円筒状に形成されている。アウトプットカップリング22の中央には、多角形状の係合孔22aが形成されている。アウトプットカップリング22の出力側の面の周縁には、周方向Cにおいて一部が切り欠かれた第1の壁部22bが立設されている。なお、図中では係合孔22aは、軸方向Aから視て小判型に形成されているが、係合孔22aの形状はこれに限定されるものではない。
【0034】
第1のトーションスプリング23は、コイル状に形成されている。第1のトーションスプリング23の両端に設けられた爪状の係止部23a、23bは、第1の壁部22bの周方向Cの端部にそれぞれ係止されている。具体的には、係止部23aは、第1の壁部22bの平滑な端部に係止されており、係止部23bは、第1の壁部22bの端部に形成された被係止部22cに係止されている。
【0035】
クラッチハウジング24は、インプットカップリング21、アウトプットカップリング22及び第1のトーションスプリング23を収容する。
【0036】
具体的には、アウトプットカップリング22に第1のトーションスプリング23を組み付けた状態で、クラッチハウジング24の中央に設けられたボス部24aに第1のトーションスプリング23を嵌着し、第1のトーションスプリング23とクラッチハウジング24との間にアウトプットカップリング22を収容している。また、インプットカップリング21は、レバー部21bが第1の壁部22bの切り欠きに対応するように、アウトプットカップリング22の入力側に隣接して配置されている。なお、符号25は、クラッチハウジング24に係合するカバーである。
【0037】
伝達機構30は、出力シャフト31と、巻取りプーリー32と、第2のトーションスプリング33と、ハウジング34と、を備えている。
【0038】
図7は、出力シャフト31を示す斜視図である。出力シャフト31は、略円柱状に形成されている。出力シャフト31は、フランジ部31aを挟んで出力側に嵌着部31bが設けられ、入力側に係合部31cが設けられている。嵌着部31bの断面は円状に形成されている一方、係合部31cの断面は係合孔22aに対応する形状に形成されている。これにより、出力シャフト31は、アウトプットカップリング22と一体で回転可能である。
【0039】
図8は、巻取りプーリー32を示す斜視図である。巻取りプーリー32は、外周壁部32aと、内周壁部32bと、を備えた二重円筒状に構成されている。外周壁部32a及び内周壁部32bは、第1の底部32cを介して接続されている。巻取りプーリー32の外周には、吊り下げ紐3が巻回されている。
【0040】
第2のトーションスプリング33は、コイル状に形成されている。第2のトーションスプリング33の一方端は、内周壁部32bの外周に嵌着され、他方端は、嵌着部31bの外周に嵌着されている。
【0041】
第2のトーションスプリング33の両端が、フランジ部31a及び第1の底部32cで挟まれることにより、軸方向Aへの第2のトーションスプリング33の動きが規制されている。
【0042】
また、第2のトーションスプリング33が、外周壁部32a内に収容されていることから、軸方向Aに対して垂直な径方向への第2のトーションスプリング33の動きが規制されている。
【0043】
図9は、ハウジング34を示す斜視図である。ハウジング34には、第2の底部34aを挟んだ入力側にクラッチ収容部34bが設けられ、出力側にプーリー収容部34cが設けられている。クラッチ収容部34bとプーリー収容部34cとは、段付き孔34dを介して連通されている。
【0044】
出力シャフト31は、段付き孔34dに挿通されている。具体的には、ハウジング34の出力側から挿通された出力シャフト31は、フランジ部31aが段付き孔34dの段部34eに接触しつつ、係合部31cが段付き孔34dを貫通するようにして、ハウジング34の入力側に突出している。プーリー収容部34cには、吊り下げ紐3を通す取出口34fが設けられている。
【0045】
クラッチハウジング24のキリ孔24bにボルトB1を挿通した状態で、ネジ孔34gにボルトB1を締着することにより、クラッチ収容部34b内に逆入力ロッククラッチ20を固定することができる。
【0046】
駆動装置10は、カバー40内に収容されている。カバー40は、スリーブ41を介して基部2に固着されている。カバー40は、駆動装置10の入力側に設けられた入力側カバー片42と、駆動装置10の出力側に設けられた出力側カバー片43と、を備えている。スリーブ41及び基部2は、何れも中空であって内部に吊り下げ紐3を収容する。
【0047】
入力側カバー片42のスリーブ41を除く本体部分は、入力側の端部にフランジが設けられた略円筒状に形成されている。フランジである側板42aの中央には、挿通孔42bが設けられている。挿通孔42bには、スペーサ44を介して後述する操作プーリー50が挿通される。
【0048】
出力側カバー片43のスリーブ41を除く本体部分は、円筒状に形成されている。ボルトB2が、出力側カバー片43を貫通した状態でハウジング34のネジ孔34hに挿通されることにより、ハウジング34が出力側カバー片43に固定されている。
【0049】
なお、符号43bは、出力側カバー片43の中央を塞ぐ出力側端部カバー片であり、ボルトB3は、出力側端部カバー片43b及び出力側カバー片43を貫通し、ハウジング34の出力端を径方向において位置決め固定している。
【0050】
インプットカップリング21の入力側には、操作プーリー50が連結されている。
図10に示すように、操作プーリー50は、略円板状に形成されている。操作プーリー50の外周面には、規制部51が立設されており、操作プーリー50の外周に巻回された操作紐5が操作プーリー50の外周面から脱落することを抑制する。
【0051】
操作プーリー50の中央には、凸部21aに対応した形状の凹部52が設けられている。凸部21aが凹部52に挿通されることにより、操作プーリー50の回転に応じてインプットカップリング21も回転するように構成されている。
【0052】
操作プーリー50の入力側には、入力側端部カバー片53が設けられている。入力側端部カバー片53は、操作プーリー50を収容した状態で入力側カバー片42の側面にボルトB4で固定されている。
【0053】
入力側端部カバー片53の周縁には、周方向Cにおいて一部が切り欠かれた第2の壁部54が立設されている。操作プーリー50の外周に巻回された操作紐5は、第2の壁部54の切り欠き部分を通って外部に垂れ下がるように引き出されている。
【0054】
次に、駆動装置10を用いた昇降式物干し1の作用について説明する。まずは、物干し竿4を巻き降ろす場合について説明する。
【0055】
予め設定された物干し竿4の降下に対応した引き出し方向にユーザが操作紐5を引き出すと、操作プーリー50及びインプットカップリング21が降下方向(
図2では、軸方向Aの入力側から視て反時計回り)に回転する。
【0056】
インプットカップリング21が降下方向に回転すると、レバー部21bの外周端が第1のトーションスプリング23の係止部23bに当接して第1のトーションスプリング23を弛緩させながらアウトプットカップリング22を降下方向に回転させる。
【0057】
アウトプットカップリング22が降下方向に回転すると、出力シャフト31が連動して回転して、端部が出力シャフト31に嵌着された第2のトーションスプリング33は弛緩することにより、巻取りプーリー32はフリーで回転可能となる。
【0058】
そして、
図11(a)、(b)に示すように、吊り下げ紐3が物干し竿4の自重で巻き出されるようにして、第2のトーションスプリング33が弛緩した分だけ巻取りプーリー32が降下方向に回転する。すなわち、操作紐5を介した降下操作に応じて、物干し竿4を所望の位置まで降下させることができる。
【0059】
また、
図11(c)に示すように、吊り下げ紐3が全て巻き出された状態(物干し竿4の最下点)まで達した後に、
図11(d)に示すように、さらに操作プーリー50が降下方向に回転すると、巻取りプーリー32が物干し竿4を上昇させるように回転しようとするところ、
図11(e)に示すように、フリーで回転可能な巻取りプーリー32は物干し竿4の自重で降下方向とは逆向きに回転するため、物干し竿4は最下点に戻るようになっている。
【0060】
なお、巻取りプーリー32が物干し竿4の自重で付勢されて降下方向に過度に回転しようとする場合には、出力シャフト31と連動して回転するアウトプットカップリング22が、第1のトーションスプリング23を締め付けることにより、逆入力ロッククラッチ20は、出力シャフト31の回転運動を操作プーリー50に伝達することなく遮断する。
【0061】
次に、昇降式物干し1の物干し竿4を巻き上げる場合について説明する。
【0062】
予め設定された物干し竿4の上昇に対応した引き出し向きにユーザが操作紐5を引き出すと、操作プーリー50及びインプットカップリング21が操作紐5の引き出し方向に応じて上昇方向(
図2では、軸方向Aの入力側から視て時計回り)に回転する。
【0063】
インプットカップリング21が上昇方向に回転すると、レバー部21bが第1のトーションスプリング23の係止部23aに当接して第1のトーションスプリング23を弛緩させながら、アウトプットカップリング22を上昇方向に回転させる。
【0064】
アウトプットカップリング22が上昇方向に回転すると、出力シャフト31が連動して回転し、端部が出力シャフト31に嵌着された第2のトーションスプリング33は締着する。これにより、出力シャフト31及び巻取りプーリー32は連動して回転する。このようにして、操作紐5を介した上昇操作に応じて、物干し竿4を所望の位置まで上昇させることができる。
【0065】
このようにして、本実施形態に係る昇降式物干し1は、逆入力ロッククラッチ20が、操作プーリー50の回転運動をアウトプットカップリング22及び伝達機構30に伝達する一方、アウトプットカップリング22に接続された巻取りプーリー32の回転運動が操作プーリー50に伝達することを遮断し、さらに、伝達機構30が、アウトプットカップリング22の回転方向に応じてアウトプットカップリング22及び巻取りプーリー32の接続又は切り離しを切換可能であることにより、巻取りプーリー32が操作プーリー50に対してフリーで回転可能なため、ユーザが意図するように物干し竿4を昇降させることができる。
【0066】
なお、逆入力ロッククラッチ20と伝達機構30の接続関係は、上述したように直接接続されたものに限定されず、逆入力ロッククラッチ20と伝達機構30との間に何らかの機構が介在して間接的に接続されたものであっても構わない。
【0067】
また、逆入力ロッククラッチ20と操作プーリー50の接続関係は、上述したように直接接続されたものに限定されず、逆入力ロッククラッチ20と操作プーリー50との間に何らかの機構が介在して間接的に接続されたものであっても構わない。
【0068】
また、伝達機構30と巻取りプーリー32の接続関係は、上述したように直接接続されたものに限定されず、伝達機構30と巻取りプーリー32との間に何らかの機構が介在して間接的に接続されたものであっても構わない。
【0069】
さらに、本発明は、上記以外にも本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を成すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0070】
本発明に係る駆動装置は、上述した昇降式物干しの他にも、例えばブラインド等にも適用可能である。
【符号の説明】
【0071】
1 ・・・昇降式物干し
3 ・・・吊り下げ紐
4 ・・・物干し竿
5 ・・・操作紐
10 ・・・駆動装置
20 ・・・逆入力ロッククラッチ
21 ・・・インプットカップリング
21a ・・・凸部
21b ・・・レバー部
22 ・・・アウトプットカップリング(出力部)
22a ・・・係合孔
22b ・・・第1の壁部
22c ・・・被係止部
23 ・・・第1のトーションスプリング
23a、23b ・・・係止部
24 ・・・クラッチハウジング
24a ・・・ボス部
30 ・・・伝達機構
31 ・・・出力シャフト
31a ・・・フランジ部
31b ・・・嵌着部
31c ・・・係合部
32 ・・・巻取りプーリー(出力部材)
32a ・・・外周壁部
32b ・・・内周壁部
32c ・・・第1の底部
33 ・・・第2のトーションスプリング
34 ・・・ハウジング
34a ・・・第2の底部
34b ・・・クラッチ収容部
34c ・・・プーリー収容部
34d ・・・段付き孔
34e ・・・段部
34f ・・・取出口
34g ・・・ネジ孔
34h ・・・ネジ孔
40 ・・・カバー
41 ・・・スリーブ
42 ・・・入力側カバー片
42a ・・・側板
42b ・・・挿通孔
43 ・・・出力側カバー片
43b ・・・出力側端部カバー片
44 ・・・スペーサ
50 ・・・操作プーリー(入力部材)
51 ・・・規制部
52 ・・・凹部
53 ・・・入力側端部カバー片
54 ・・・第2の壁部
A ・・・軸方向
C ・・・周方向