(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】カートリッジ及びカートリッジの製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 83/76 20060101AFI20220613BHJP
B65D 65/02 20060101ALI20220613BHJP
B65D 65/40 20060101ALI20220613BHJP
B05C 5/00 20060101ALN20220613BHJP
【FI】
B65D83/76 120
B65D65/02 E
B65D65/40 D
B05C5/00 A
(21)【出願番号】P 2019091910
(22)【出願日】2019-05-15
【審査請求日】2020-12-21
(73)【特許権者】
【識別番号】390034876
【氏名又は名称】日本ウイリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100101890
【氏名又は名称】押野 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100098268
【氏名又は名称】永田 豊
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(74)【代理人】
【識別番号】100166420
【氏名又は名称】福川 晋矢
(74)【代理人】
【識別番号】100150865
【氏名又は名称】太田 司
(72)【発明者】
【氏名】平岩 國興
(72)【発明者】
【氏名】松井 浩威
(72)【発明者】
【氏名】松本 将裕
【審査官】永田 勝也
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-247176(JP,A)
【文献】特開2000-095249(JP,A)
【文献】特表昭57-500915(JP,A)
【文献】特開2000-289786(JP,A)
【文献】特開平07-238670(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/76
B65D 65/02
B65D 65/40
B05C 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外周若しくは内周に第1のガスバリア性フィルムが設けられた筒状本体部と、
当該筒状本体部内に設けられるプランジャーと、
前記筒状本体部の一端側である上端に設けられる天蓋であって、上面外側に突出する吐出用筒部と、前記筒状本体部に嵌まり込む嵌合部と、を備える天蓋部と、
前記天蓋部の下面側に配され、その外周部が少なくとも前記嵌合部の側面にまで至る第2のガスバリア性フィルムと、
を備え
、
前記嵌合部が前記筒状本体部の内側に嵌まり込み、前記天蓋部が、前記筒状本体部の外周の上面に突き当たるフランジ部を有し、
前記フランジ部の外径が、前記筒状本体部の外径より小さく、
前記第2のガスバリア性フィルムが、前記筒状本体部の外周部分にまで至り、前記筒状本体部の側面に固着されていることを特徴とするカートリッジ。
【請求項2】
前記第2のガスバリア性フィルムが、前記筒状本体部の外周部分と重畳される高さが1mm以上であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ。
【請求項3】
前記天蓋部の裏面側に、リブ構造を有することを特徴とする請求項1又は2に記載のカートリッジ。
【請求項4】
前記嵌合部と前記筒状本体部の間に配される前記第2のガスバリア性フィルムの高さが3.0mm以上であることを特徴とする請求項1から
3の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項5】
前記第2のガスバリア性フィルムが、その表層に熱可塑性樹脂層を有しており、当該熱可塑性樹脂層が溶融することで前記筒状本体部と前記嵌合部を溶着させていることを特徴とする請求項
1から4の何れかに記載のカートリッジ。
【請求項6】
請求項1から
5の何れかに記載のカートリッジの製造方法であって、
前記天蓋部の下面側に前記第2のガスバリア性フィルムを固着するステップと、
前記筒状本体部の上端に前記嵌合部を嵌合させることにより、前記第2のガスバリア性フィルムの外周部が前記筒状本体部と前記嵌合部の間に位置するように前記天蓋部を前記筒状本体部に取り付けるステップと、
前記筒状本体部の外周部分に至っている前記第2のガスバリア性フィルムを、前記筒状本体部の側面に沿わせるように下方向へすぼませるように折りたたみ、前記筒状本体部の側面に固着するステップと、
前記筒状本体部の内部に内容物を充填するステップと、
前記筒状本体部の内部に前記プランジャーを取り付けるステップと、
を有することを特徴とするカートリッジの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に充填された内容物を押し出すためのカートリッジ及び当該カートリッジの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ウレタン系樹脂、変性シリコーン系、エポキシ系樹脂、弾性ゴム系、アクリル系樹脂などの粘性流体からなるシーラントや接着剤(以下、接着剤類という)等の内容物を、気密・水密状態で収容し、ガンに装填して後方から押圧することで、内容物を押し出すためのカートリッジが利用されている。
当該カートリッジにおいては、内容物が外気に触れて変質や硬化をしないように、ガスバリア性を有することが求められている。
このようなカートリッジのガスバリア性に関する技術が特許文献1、2によって開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-335381号公報
【文献】特開2010-208193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
樹脂製のカートリッジでは、ガスバリア性を得るために、アルミニウム箔層等を有するガスバリア性フィルムを、円筒状の本体の外周に巻きつけたり、天蓋部分の裏面側に貼り付けたりしている。しかしながら、円筒本体の側面と、天蓋部分との境目となる角部(以下「肩部」という)において、ガスバリア性を確保し難いという問題があった。一方、紙製のカートリッジでは、天蓋部分を金属製とすることにより、肩部のバリア性については問題ないと言えるが、天蓋部分が金属製(金具)であることにより、廃棄の際に問題が生じる場合があった(金具部分をのみを切除して分別されればよいが、煩雑であるため、そのまま廃棄されてしまうことが多かった)。また、金属製は樹脂製に比してコストがかかるという面でも不利である。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、内部に充填された内容物を押し出すためのカートリッジであって、肩部におけるガスバリア性を高めることが可能なカートリッジを、比較的低コストにて提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
外周若しくは内周に第1のガスバリア性フィルムが設けられた筒状本体部と、当該筒状本体部内に設けられるプランジャーと、前記筒状本体部の一端側である上端に設けられる天蓋であって、上面外側に突出する吐出用筒部と、前記筒状本体部に嵌まり込む嵌合部と、を備える天蓋部と、前記天蓋部の下面側に配され、その外周部が少なくとも前記嵌合部の側面にまで至る第2のガスバリア性フィルムと、を備えることを特徴とするカートリッジ。
【0007】
(構成2)
前記第1のガスバリア性フィルムと前記第2のガスバリア性フィルムが互いに重なる重畳部を有することを特徴とする構成1に記載のカートリッジ。
【0008】
(構成3)
前記嵌合部が前記筒状本体部の内側に嵌まり込み、前記天蓋部が、前記筒状本体部の外周の上面に突き当たるフランジ部を有していることを特徴とする構成1又は2に記載のカートリッジ。
【0009】
(構成4)
前記フランジ部の外径が、前記筒状本体部の外径より小さいことを特徴とする構成3に記載のカートリッジ。
【0010】
(構成5)
前記嵌合部と前記筒状本体部の間に配される前記第2のガスバリア性フィルムの高さが3.0mm以上であることを特徴とする構成1から4の何れかに記載のカートリッジ。
【0011】
(構成6)
前記第2のガスバリア性フィルムが、その表層に熱可塑性樹脂層を有しており、当該熱可塑性樹脂層が溶融することで前記筒状本体部と前記嵌合部を溶着させていることを特徴とする構成5に記載のカートリッジ。
【0012】
(構成7)
前記第2のガスバリア性フィルムが、前記筒状本体部の外周部分にまで至っていることを特徴とする構成1から6の何れかに記載のカートリッジ。
【0013】
(構成8)
前記第2のガスバリア性フィルムが、前記筒状本体部の外周部分と重畳される高さが1mm以上であることを特徴とする構成7に記載のカートリッジ。
【0014】
(構成9)
構成1から8の何れかに記載のカートリッジの製造方法であって、前記天蓋部の下面側に前記第2のガスバリア性フィルムを固着するステップと、前記筒状本体部の上端に前記嵌合部を嵌合させることにより、前記第2のガスバリア性フィルムの外周部が前記筒状本体部と前記嵌合部の間に位置するように前記天蓋部を前記筒状本体部に取り付けるステップと、前記筒状本体部の内部に内容物を充填するステップと、前記筒状本体部の内部に前記プランジャーを取り付けるステップと、を有することを特徴とするカートリッジの製造方法。
【発明の効果】
【0015】
本発明のカートリッジによれば、比較的低コストで肩部におけるガスバリア性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】本発明に係る実施形態のカートリッジを示す概略図
【
図3】実施形態のカートリッジの天蓋部付近を示す断面図
【
図5】肩部付近に関して、圧力によって変形した状態を説明する概念図
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0018】
図1は、本発明に係る実施形態のカートリッジを示す概略図である。
本実施形態のカートリッジ1は、ガスバリア性フィルムが設けられた筒状本体部11と、筒状本体部11内に設けられるプランジャー13と、筒状本体部11の一端側である上端に設けられる天蓋部12とを備えている。カートリッジ1は、ウレタン系樹脂、変性シリコーン系、エポキシ系樹脂、弾性ゴム系、アクリル系樹脂などの粘性流体からなるシーラントや接着剤類等の内容物Cを、気密・水密状態で収容し、ガンに装填して後方から押圧されることで、内容物Cを押し出すためのカートリッジである。
【0019】
筒状本体部11は円筒状の部材であり、
図4に示されるように本実施形態では、高密度ポリエチレン(HDPE)で形成された円筒状の本体部eの外周に、ガスバリア性フィルム(第1のガスバリア性フィルム)が巻きつけられて構成されている。
本体部eに巻きつけられるガスバリア性フィルムは、アルミニウム箔の両面に熱可塑性樹脂層がラミネートされたフィルムであり、本実施形態では4層構造のフィルムである。より具体的には、アルミニウム箔bの一方側に1層の熱可塑性樹脂層a4が積層され、他方側に2層の熱可塑性樹脂層a1-1、a1-2が積層された構成である。
ガスバリア性フィルムは、筒状本体部11に対して固着されていることが望ましく、固着方法は溶着や接着など、各種の方法を用いることができる。本実施形態においては、熱可塑性樹脂層a4と本体部eが溶着されている。
本体部eは、製品で求められる仕様に応じて、適宜、各種の樹脂を用いて成形することができる。同様に、ガスバリア性フィルムは、求められる仕様に応じて、アルミニウム箔に各種の樹脂層(例えば、HDPEや直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等のポリエチレン系、無軸延伸ポリプロピレン(CPP)等のポリプロピレン系、ナイロン系等の各種の樹脂)を積層することができる。以下で説明するガスバリア性フィルム125についても同様である。
【0020】
図2は、天蓋部12を示す図であり、それぞれ、
図2(a):上面図、
図2(b):側面図、
図2(c):断面図、
図2(d):底面図である。
天蓋部12は、筒状本体部11の先端(上端)側の蓋をするとともに、内容物Cを吐出するノズル(図示せず)を取り付けるための部材である。
図2に示されるように、天蓋部12は、上面外側に突出する吐出用筒部121と、筒状本体部11の内側に嵌まり込む嵌合部122と、筒状本体部11の外周の上面に突き当たるフランジ部123と、を備えている。
吐出用筒部121は、ノズルを取り付けるための部材であり、基本態様としては円筒状で、その外周にはノズルと螺合させるための雄ネジが形成されている。
嵌合部122は、その外径が、筒状本体部11の内径と同等以下に形成され、筒状本体部11の内側に嵌まり込む部分である。当該嵌合部122の上端側にはフランジ部123が形成されている。フランジ部123は、その外径が、筒状本体部11の内径よりも大きく、且つ、筒状本体部11の外形よりも小さく形成されている。
嵌合部122(及びフランジ部123)と、吐出用筒部121は、接続部124によって接続されている。接続部124は上面視においてドーナツ状の形状をしており、これによって、嵌合部122(及びフランジ部123)と吐出用筒部121の間が全面的に接続(即ち閉塞)される。
接続部124の裏面側は、リブ126が形成されることによって肉抜き構造とされている。リブを有する肉抜き構造とすることにより、重量及び材料コストの低減、部材の厚さの均一化による成形時における冷却時間の均一化を図りつつ、必要な強度が得られるようにしている。
なお、本実施形態における天蓋部12は、筒状本体部11の本体部eと同様にHDPEにて形成されているが、製品で求められる仕様に応じて、適宜、各種の樹脂(例えばCPP等)を用いて成形することができる。
【0021】
図3は、カートリッジ1の天蓋部12付近を示す断面図である。
図4は、肩部の部分の構成を拡大して示した説明図(わかりやすさの観点から一部を誇張した図)である。
図3に示されるように、天蓋部12の下面側には、ガスバリア性フィルム(第2のガスバリア性フィルム)125が配されている。
ガスバリア性フィルム125は、アルミニウム箔の両面に熱可塑性樹脂層がラミネートされたフィルムであり、
図4に示されるように、本実施形態では5層構造のフィルムである。より具体的には、アルミニウム箔bの両面にそれぞれ2層の熱可塑性樹脂層a2-1、a2-2と、熱可塑性樹脂層a3-1、a3-2が積層された(表層に熱可塑性樹脂層を有する)構成である。
ガスバリア性フィルム125は、天蓋部12の下面に固着されていることが望ましく、固着方法は溶着や接着など、各種の方法を用いることができる。本実施形態においては溶着されている。
【0022】
ガスバリア性フィルム125は、上面視(図示せず)において円形の形状を有しており、
図3、
図4に示されるように、天蓋部12の下面から、嵌合部122の側面に至り、さらに筒状本体部11の外周にまわり込むだけの大きさを有している。
即ち、ガスバリア性フィルム125は、天蓋部12の下面を全面的に覆い、且つ、嵌合部122の側面及び、筒状本体部11の外周面の上端付近も全面的に覆う構成となる。
図4に示されるように、ガスバリア性フィルム125は、筒状本体部11の外周に設けられているガスバリア性フィルムと重なる重畳部分(h2の部分)を有している。これにより、肩部においてもガスバリア性フィルムに切れ目がない構成となっており、高いガスバリア性が得られるものである。
【0023】
カートリッジ1は、筒状本体部11と天蓋部12が、ガスバリア性フィルム125によって固着される構成である。
図3、
図4からも理解されるように、筒状本体部11と天蓋部12の間にガスバリア性フィルム125が配置される形となり、これらの部材が相互に溶着されることによって、天蓋部12が筒状本体部11に固着されているものである。
嵌合部122と筒状本体部11の間に配されるガスバリア性フィルム125の高さh1は、3.0mm以上であることが望ましい。
本実施形態のカートリッジ(1/3L用サイズのカートリッジ)において、h1を変えて天蓋部の引張試験を行った結果(天蓋部が引き抜かれた荷重)を表1に示した。
【0024】
【0025】
カートリッジ1には、使用時において、内容物を押し出す際の内圧がかかるため、0.5kNの荷重がかかった際においても天蓋部が抜けないだけの強度があることが望ましく、嵌合部122と筒状本体部11の間に配されるガスバリア性フィルム125の高さh1は、3.0mm以上であることが望ましいものである。なお、1.25kNの荷重に耐えられることがより望ましく、h1は、6.7mm以上であることがより望ましい。
なお、天蓋部の引張試験において、ガスバリア性フィルム125が筒状本体部11の外周部分にまわり込んだものと、まわり込んでいないものを比較した所、ガスバリア性フィルム125が筒状本体部11の外周部分にまわり込んでいる方が、強度が高いことが確かめられた。ガスバリア性フィルム125と筒状本体部11の外周部分と重畳される高さh2は1mm以上であることが望ましい。
【0026】
次に、カートリッジ1の製造方法(主に天蓋部12の組み付け)について概要を説明する。
先ず、筒状本体部11の外周にガスバリア性フィルムを溶着し、また、天蓋部12の下面に、ガスバリア性フィルム125を溶着する。
次に、筒状本体部11の上端に天蓋部12の嵌合部122を嵌合させることにより、ガスバリア性フィルム125の外周部が筒状本体部11と嵌合部122の間に位置するように天蓋部12を筒状本体部11に取り付ける。具体的には、
図3、
図4からも理解されるように、ガスバリア性フィルム125が下面に設けられた天蓋部12の嵌合部122を、筒状本体部11の内部にはめ込むことにより、ガスバリア性フィルム125が嵌合部122の側面に沿うように立ち上って嵌合部122と筒状本体部11の間に挟まる形となる。さらに、天蓋部12のフランジ部123が筒状本体部11の上端面に突き当たるまで天蓋部12をはめ込むと、ガスバリア性フィルム125がフランジ部123と筒状本体部11の上端面との間で折りたたまれ、外周方向(水平方向)へと飛び出る形となる。
外周方向(水平方向)へと飛び出る形となっているガスバリア性フィルム125の外周部分を、筒状本体部11の側面に沿わせるように下方向へすぼませるように折りたたむことで、
図3,4に示されるような状態となる。この状態で熱をかけることで、各部材を相互に溶着させる。当該溶着には、高周波溶着、熱溶着、超音波溶着などの各種の方式を用いることができる。特許第5144134号公報にて開示されている、テーパー面を有する熱接着用金型の技術を用いると好適である。即ち、肩部に対して下方にすそ広がりの接触面を有する金型を用いることで、均一な押圧力を得られ、均一な溶着が得られる。本実施形態のカートリッジ1では、フランジ部123の外径が筒状本体部11の外径より小さいため、金型を使って熱溶着させる際に、フランジ部123が邪魔になることがない点で優れている。また、樹脂に比べて熱伝導率が高いアルミニウム箔層を有するガスバリア性フィルム125によって溶着を行うため、効率が良い。
なお、本実施形態では、各部材の固着を溶着によるものを例としているが、接着などの他の固着方法によるものであっても構わない。
【0027】
筒状本体部11に対して天蓋部12を固着したら、筒状本体部11の内部に内容物Cを充填し、さらに筒状本体部11の後端にプランジャー13を挿入することで、内容物Cが充填されたカートリッジが得られる。なお、プランジャー13は、求められる仕様に応じて各種のプランジャーを用いることができる。
【0028】
以上のごとく、本実施形態のカートリッジ1によれば、肩部(円筒本体の側面と天蓋部分との境目となる角部)においても、ガスバリア性フィルムが途切れることなく連続的に設けられ、高いガスバリア性を得ることができる。
【0029】
本実施形態のカートリッジ1によれば、嵌合部122が筒状本体部11に嵌り込み、これらの間にガスバリア性フィルム125が配され、各部材を相互に溶着する構成としている。これにより、上述のごとく効率的で均一な溶着が可能となり、良好な強度を得ることができる。
また、本実施形態では、天蓋部12の接続部124をリブ構造としていることにより、天蓋部12の曲げ剛性を高めているため、これによっても、天蓋部12の抜け強度が高められている。
カートリッジ1の使用時における内容物を押し出す際の内圧によって、天蓋部12が撓むと、
図5に概念図を示したように、嵌合部122の下端側が筒状本体部11の内面から剥がれるようなモーメントが生じ得る。このようなモーメントが生じると、天蓋部12の抜け強度が低下する傾向となる。これに対し、本実施形態では、リブ126により天蓋部12の曲げ剛性を高めているため、上記問題を低減できるものである。
なお、本実施形態では、重量及び材料コストの低減や、部材の厚さの均一化による成形時における冷却時間の均一化を図りつつ、必要な強度が得られるように接続部124を肉抜き構造(リブ126)としているが、接続部124を単なる厚板状に形成することで、天蓋部の曲げ剛性を得るもの等であってもよい。
【0030】
本実施形態では、筒状本体部として、樹脂で形成された円筒状の本体部の外周にガスバリア性フィルムが巻きつけられているものを例としたが、本発明をこれに限るものではなく、求められる仕様に応じて各種の筒状本体部を用いることができる。
図6(肩部の拡大説明図)には、その例の1つとして、紙筒の内周と外周にガスバリア性フィルムが設けられている筒状本体部11´を用いたものを示した(実施形態と同様の構成については同一の符号を使用している)。
筒状本体部11´は、円筒状の板紙(3層構造)dの内周と外周にガスバリア性フィルムが設けられている。ガスバリア性フィルムは、アルミニウム箔の片面に熱可塑性樹脂層がラミネートされたフィルムであり、アルミニウム箔bの一方側に2層の熱可塑性樹脂層a1-1、a1-2が積層された構成であって、円筒状の板紙との糊付けを行うための紙層cを有している。
図6の例においても、肩部においてガスバリア性フィルムが途切れることなく連続的に設けられ、高いガスバリア性を得ることができる。また、十分な天蓋部12の抜け強度を得ることができる。
【0031】
また、本実施形態では、ガスバリア性フィルム125が、筒状本体部の外周にまでまわり込むものを例としており、これによれば、ガスバリア性が高く、且つ抜け強度も向上されるため好適なものであるが、ガスバリア性の観点だけに基づけば、筒状本体部の外周にまでまわり込む必要は必ずしもない。
図7(肩部の拡大説明図)にはこのようなものの1例を示した(実施形態と同様の構成については同一の符号を使用している)。
図7の例では、ガスバリア性フィルム125´が、筒状本体部の外周にまで至っているが、まわりこんで折り返されてはいない。
図7のような構成であっても、ガスバリア性フィルムが途切れることなく連続的に設けられており、高いガスバリア性を得ることができる。ただし、ガスバリア性フィルムが筒状本体部の外周にまでまわり込んでいる方がより好ましい。
【0032】
また、本実施形態では、天蓋部の嵌合部が筒状本体部の内側に嵌まり込むものを例としているが、筒状本体部の外側に嵌るもの、若しくは、内側と外側で挟み込むように嵌まるものとしてもよい。
図8(肩部の拡大説明図)にはこのようなものの1例を示した(実施形態と同様の構成については同一の符号を使用している)。
図8(a)は、天蓋部が筒状本体部の外側に嵌るものの例である。この場合においても、天蓋部12´の底面に設けられるガスバリア性フィルム125´´を、嵌合部の側面にまで至るように配することで、本実施形態と同様に高いガスバリア性を得ることができる。
図8(b)は、天蓋部12´´が筒状本体部の内側と外側で挟み込むように嵌るものの例である。この例によれば、より高い抜け強度を得ることができる。
なお、
図8(a)(b)では、天蓋部の外側への出っ張り部分が大きくなっているが、これは説明のために誇張して描いているためであり、実際の出幅は1mm程度であるため、大きな問題ではない。また、筒状本体部の先端部分の径を、他の部分より小さく形成することで、天蓋部の嵌合部が筒状本体部の外側に嵌まり込むものにおいても、天蓋部の外側への出っ張りを無くす、若しくは小さくするようにすることもできる。
【符号の説明】
【0033】
1...カートリッジ
11...筒状本体部
12...天蓋部
121...吐出用筒部
122...嵌合部
123...フランジ部
125...ガスバリア性フィルム(第2のガスバリア性フィルム)
13...プランジャー