IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 一般社団法人日本ヒーリングアート協会の特許一覧

特許7086430模様作成シートセットを用いた模様作成方法
<>
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図1
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図2
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図3
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図4
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図5
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図6
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図7
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図8
  • 特許-模様作成シートセットを用いた模様作成方法 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】模様作成シートセットを用いた模様作成方法
(51)【国際特許分類】
   B44D 3/22 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
B44D3/22
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021185709
(22)【出願日】2021-11-15
【審査請求日】2021-12-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】520363155
【氏名又は名称】一般社団法人日本ヒーリングアート協会
(74)【代理人】
【識別番号】100211719
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 和真
(72)【発明者】
【氏名】梅邑 智恵
【審査官】山下 浩平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07156017(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0092957(US,A1)
【文献】国際公開第2006/079885(WO,A2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B44B 1/00 - 11/04
B44C 1/00 - 1/04、1/18 - 7/08
B44D 2/00 - 7/00
B44F 1/00 - 99/00
B05C 7/00 - 21/00
B05B 12/16 - 12/36、14/00 - 16/80
B05D 1/00 - 7/26
B43L 13/02 - 13/24
B43L 1/00 - 12/02、15/00 - 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の模様作成シートセットを用いて、羽根模様を作成する方法であって、
前記模様作成シートセットは、
所定の薄板材料によって形成された第1シート部から前記羽根模様の輪郭形状が切り抜かれている輪郭作成シートと、
所定の薄板材料によって形成された第2シート部から前記羽根模様を構成する一枚の羽根形状が切り抜かれている羽根作成シートと、
を備え、
前記輪郭作成シートにおいて、前記第1シート部から切り抜かれることで形成された切り抜き部である第1切り抜き部は、大きさが異なる複数の前記輪郭形状の切り抜きによって構成され、
前記羽根作成シートにおいて、前記第2シート部から切り抜かれることで形成された切り抜き部である第2切り抜き部は、前記第1切り抜き部に含まれる複数の前記輪郭形状の夫々が有する一枚の羽根輪郭と略同一の大きさの前記羽根形状の切り抜きによって構成され、
前記方法は、
所定の対象物に、前記輪郭作成シートの前記第1切り抜き部に含まれる一つの前記輪郭形状を転写して、前記羽根模様の所定の輪郭部を描画する第1描画ステップと、
前記輪郭部のうちの一枚の羽根輪郭と、前記羽根作成シートの前記第2切り抜き部の輪郭と、を合わせた状態において、前記対象物に前記第2切り抜き部の形状を転写することを、前記輪郭部に含まれる複数の羽根輪郭に対して繰り返し実行し、前記輪郭部に沿った各羽根の形状を描画する第2描画ステップと、
前記第1描画ステップによる前記輪郭部の描画、及び前記第2描画ステップによる羽根の形状の描画を、前記輪郭作成シートの前記第1切り抜き部に含まれる複数の前記輪郭形状に対して繰り返し実行し、一翼の前記羽根模様を描画する第3描画ステップと、
を有
前記第3描画ステップでは、
最初の前記第1描画ステップによる前記輪郭部の描画において、前記第1切り抜き部に含まれる最も大きな前記輪郭形状を用いて前記輪郭部の最外側が描画され、次の前記第1描画ステップによる前記輪郭部の描画において、前記最も大きな輪郭形状よりも小さな前記輪郭形状を用いて、該輪郭形状における前記羽根模様の付け根の部分と、前記輪郭部の最外側として描画された前記羽根模様の付け根の部分と、が重なるように、該輪郭部の最外側の内側に前記輪郭部が描画される、
模様作成方法。
【請求項2】
前記対象物に所定のパステルの粉末を塗布して下地部を作成するステップを更に有し、
前記第1描画ステップ、前記第2描画ステップ、及び前記第3描画ステップにおいて、前記下地部の一部を所定の字消しで消すことで、前記第1切り抜き部における前記輪郭形状と前記第2切り抜き部の形状とを転写する、
請求項1に記載の模様作成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、模様作成シートセットを用いた模様作成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、所定の対象物の表面に種々の絵柄や模様等が描画されることが行われている。そして、このような絵柄や模様等の描画は、人による手書きや、市販のペイントソフトウェア等を用いた描画処理、または専用の模様作成装置によって行われることがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、所定のシミュレーションにより幾何学模様を作成する幾何学模様作成装置が開示されている。この技術は、3次元曲面に、適宜なパターンを有する平行光線を、ある方向から照射したときに観察できる幾何学模様の画像データをシミュレーションによって求め、これによって作成された幾何学模様の画像データをプリンタ等で出力するものである。
【0004】
一方で、上記のような装置によらず、板状のステンシルシートを用いて、対象物の表面に種々の絵柄や模様等をプリントすることも行われている。この場合、ステンシルシートには、描きたい絵柄や模様等に切り抜かれた切り抜きパターンが形成されていて、該ステンシルシートを、例えば、対象物の表面に固定して、そのシートの上から塗料等を塗った後にシートを剥がせば、対象物の表面に切り抜きパターンに応じた絵柄や模様等がプリントされることになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第4632225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
所定の対象物の表面に描画される種々の絵柄や模様等のうち、華やかで美しい印象をもった羽根模様に近年注目が集まっている。しかしながら、このように華やかな羽根模様は比較的複雑な模様となっていて、該羽根模様を描画するのは簡単ではなかった。ここで、特許文献1に記載の技術のように、コンピュータによって模様の画像データを生成し該画像データを出力する手法を用いれば、羽根模様を比較的簡単に描画できるようにも思われる。しかしながら、華やかで美しい羽根模様を人の手によって描くことで、描く人の心に癒しを与えることができる。そのため、コンピュータによる羽根模様の描画では、アートセラピーによるヒーリング効果を人に与えることができない。
【0007】
一方で、ステンシルシートによって羽根模様をプリントすることも考えられるが、シートに羽根模様の複雑な形状の切り抜きを形成することは容易ではない。このように、羽根模様を人の手によって容易に作成することができる技術については、未だ改良の余地を残すものである。
【0008】
本開示の目的は、羽根模様を人の手によって容易に作成することができる技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の模様作成シートセットは、羽根模様を作成するために用いられる模様作成シートセットである。この模様作成シートセットは、所定の薄板材料によって形成された第1シート部から前記羽根模様の輪郭形状が切り抜かれている輪郭作成シートと、所定の薄板材料によって形成された第2シート部から前記羽根模様を構成する一枚の羽根形状が切り抜かれている羽根作成シートと、を備える。そして、前記輪郭作成シートにおいて、前記第1シート部から切り抜かれることで形成された切り抜き部である第1切り抜き部は、大きさが異なる複数の前記輪郭形状の切り抜きによって構成され、前記羽根作成シートにおいて、前記第2シート部から切り抜かれることで形成された切り抜き部である第2切り抜き部は、前記第1切り抜き部に含まれる複数の前記輪郭形状の夫々が有する一枚の羽根輪郭と略同一の大きさの前記羽根形状の切り抜きによって構成される。
【0010】
上記の模様作成シートセットは、羽根模様を構成する大きさが異なる複数の輪郭形状が切り抜かれることで形成された第1切り抜き部を有する輪郭作成シートと、羽根模様を構成する一枚の羽根形状が切り抜かれることで形成された第2切り抜き部を有する羽根作成シートと、を備えることで、シートに羽根模様の複雑な形状の切り抜きを形成することなく、比較的複雑な模様を有する華やかな羽根模様を作成することができる。これにより、比較的複雑な模様を有する華やかな羽根模様を人の手によって容易に作成することができる。
【0011】
また、本開示は、模様作成シートセットを用いた模様作成方法の側面から捉えることができる。すなわち、本開示の模様作成方法は、上述した模様作成シートセットを用いて、羽根模様を作成する方法であって、所定の対象物に、前記輪郭作成シートの前記第1切り抜き部に含まれる一つの前記輪郭形状を転写して、前記羽根模様の所定の輪郭部を描画する第1描画ステップと、前記輪郭部のうちの一枚の羽根輪郭と、前記羽根作成シートの前記第2切り抜き部の輪郭と、を合わせた状態において、前記対象物に前記第2切り抜き部の形状を転写することを、前記輪郭部に含まれる複数の羽根輪郭に対して繰り返し実行し、前記輪郭部に沿った各羽根の形状を描画する第2描画ステップと、前記第1描画ステップによる前記輪郭部の描画、及び前記第2描画ステップによる羽根の形状の描画を、前記輪郭作成シートの前記第1切り抜き部に含まれる複数の前記輪郭形状に対して繰り返し実行し、一翼の前記羽根模様を描画する第3描画ステップと、を有する。
【0012】
上記の模様作成方法によれば、各描画ステップに則って、模様作成シートセットの切り抜き部の形状(第1切り抜き部における輪郭形状、及び第2切り抜き部の形状)を転写していくことで、華やかで美しい印象をもった羽根模様を簡単に描画することが可能になるとともに、美しいアートを人の手によって描くというアートセラピーによるヒーリング効果により、描く人の心に癒しを与えることができる。
【0013】
そして、本開示の模様作成方法において、前記対象物に所定のパステルの粉末を塗布して下地部を作成するステップを更に有し、前記第1描画ステップ、前記第2描画ステップ、及び前記第3描画ステップにおいて、前記下地部の一部を所定の字消しで消すことで、前記第1切り抜き部における前記輪郭形状と前記第2切り抜き部の形状とを転写してもよい。これによれば、模様作成シートセットの切り抜き部の形状(第1切り抜き部における輪郭形状、及び第2切り抜き部の形状)を対象物に転写する際に、追加の顔料を該切り抜き部に重ねて更に塗布する必要がないため、該切り抜き部の形状の転写が容易になるとともに、模様作成シートセットを綺麗な状態に保つことができる。
【発明の効果】
【0014】
本開示によれば、羽根模様を人の手によって容易に作成することができる技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】実施形態における模様作成シートセットの概略構成を示す図である。
図2】実施形態に係る模様作成方法において、羽根模様の作成フローを示すフローチャートである。
図3】最初に作成する下地部を例示するとともに、輪郭作成シートを用いて第1輪郭部を描画する方法を例示する図である。
図4】画用紙に描画される第1輪郭部を説明するための図である。
図5】羽根作成シートを用いて第1輪郭部に対する羽根形状を描画する方法を例示する図である。
図6】輪郭作成シートを用いて第2輪郭部を描画する方法、およびこの第2輪郭部に対して描画された羽根形状を表す図である。
図7】ステンシルシートセットを用いて作成された一翼の羽根模様を例示する図である。
図8】ステンシルシートセットを用いて作成された羽根模様を例示する図である。
図9】羽根模様に追加される装飾模様を例示する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、図面に基づいて、本開示の実施の形態を説明する。以下の実施形態の構成は例示であり、本開示は実施形態の構成に限定されない。
【0017】
実施形態における模様作成シートセットの概要について、図1を参照しながら説明する。図1は、本実施形態における模様作成シートセットの概略構成を示す図である。本実施形態に係る模様作成シートセットは、羽根模様を作成するために用いられる模様作成シートセットであって、このシートセットを用いることで、羽根模様を容易に描画することが可能になる。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る模様作成シートセットは、ステンシルシートセット1であって、羽根模様の輪郭形状が切り抜かれている輪郭作成シート10と、羽根模様を構成する一枚の羽根形状が切り抜かれている羽根作成シート20と、を備える。
【0019】
輪郭作成シート10は、所定の薄板材料によって形成された第1シート部11と、該第1シート部11に形成された第1切り抜き部12と、を備える。
【0020】
ここで、第1シート部11を形成する薄板材料は、例えば、合成樹脂の透明シートである。そして、この合成樹脂の透明シートは、ポリプロピレンによる硬質シートやポリエチレンによる軟質フィルム、またはポリ塩化ビニルであってもよい。
【0021】
また、第1切り抜き部12は、第1シート部11から羽根模様の輪郭形状が切り抜かれることで形成される。詳しくは、第1切り抜き部12は、図1に示すように、大きさが異なる複数の羽根模様の輪郭形状の切り抜きによって構成され、本実施形態では、4つの羽根模様の輪郭形状の切り抜きによって構成される。以下の説明において、これら4つの羽根模様の輪郭形状の切り抜きのうち、最も大きな羽根模様の輪郭形状の切り抜きを切り抜き部121、二番目に大きな羽根模様の輪郭形状の切り抜きを切り抜き部122、三番目に大きな羽根模様の輪郭形状の切り抜きを切り抜き部123、最も小さな羽根模様の輪郭形状の切り抜きを切り抜き部124と称する。
【0022】
羽根作成シート20は、所定の薄板材料によって形成された第2シート部21と、該第2シート部21に形成された第2切り抜き部22と、を備える。
【0023】
ここで、第2シート部21を形成する薄板材料は、例えば、合成樹脂の透明シートである。そして、この合成樹脂の透明シートは、ポリプロピレンによる硬質シートやポリエチレンによる軟質フィルム、またはポリ塩化ビニルであってもよい。
【0024】
また、第2切り抜き部22は、第2シート部21から羽根模様を構成する一枚の羽根形状が切り抜かれることで形成される。詳しくは、第2切り抜き部22は、図1に示すように、第1切り抜き部12に含まれる複数の輪郭形状(これは、上記の切り抜き部121~124である。)の夫々が有する一枚の羽根輪郭(これは、図1において、羽根輪郭121a、121b、122a、122b、123a、123b、124a、124b等として表される。)と略同一の大きさの羽根形状の切り抜きによって構成される。
【0025】
そして、以上に述べたステンシルシートセット1を用いた模様作成方法について、図2から図8に基づいて説明する。この模様作成方法は、ステンシルシートセット1を用いて羽根模様を作成する方法であって、これによれば、華やかで美しい印象をもった羽根模様を容易に描画することが可能になる。
【0026】
ここで、図2は、本実施形態に係る模様作成方法において、羽根模様の作成フローを示すフローチャートである。
【0027】
本フローでは、先ず、下地部が作成される(S101)。この下地部は、所定の対象物にパステルの粉末が塗布されることで作成される。ここで、上記のパステルは、乾燥した粉末状の顔料を固めた画材であって、羽根模様を作成するユーザは、該パステルを削って再び粉末状にして、それを対象物にスポンジ等で塗布したり直接手で持って塗布したりすることで、下地部を作成することができる。なお、上記の対象物とは、例えば、画用紙である。
【0028】
本フローでは、次に、第1輪郭部が描画される(S102)。この第1輪郭部は、上述した輪郭作成シート10の第1切り抜き部12に含まれる切り抜き部121の輪郭形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側の輪郭である。ここで、ユーザは、上記の下地部の一部を所定の字消しで消すことで、第1輪郭部を描画することができる。これによれば、輪郭作成シート10の第1切り抜き部12の形状を対象物に転写する際に、追加の顔料を該第1切り抜き部12に重ねて更に塗布する必要がないため、該第1切り抜き部12の形状の転写が容易になるとともに、輪郭作成シート10を綺麗な状態に保つことができる。なお、上記の字消しとは、例えば、周知の消しゴムである。そして、このような第1輪郭部の描画について、図3および図4に基づいて以下に説明する。
【0029】
図3は、最初に作成する下地部を例示するとともに、輪郭作成シート10を用いて第1輪郭部を描画する方法を例示する図である。ここで、図3(a)は、下地部を例示する図であって、図3(a)に示すように、画用紙100にパステルの粉末が塗布されて該画用紙100に色付けされた部分が下地部110となる。そして、本実施形態では、図3(b)に示すように、四角形に作成された下地部110を横方向に分割する中心線付近に、輪郭作成シート10の切り抜き部121によって画定される羽根模様の付け根の部分が重なるように、輪郭作成シート10が配置される。
【0030】
そして、この状態において、輪郭作成シート10の切り抜き部121の輪郭形状を字消しで擦ることでこの部分の下地部110が消されて、該切り抜き部121の輪郭形状が画用紙100に転写されることになる。ここで、図4は、画用紙100に描画される第1輪郭部を説明するための図である。図4(a)に示すように、輪郭作成シート10の切り抜き部121の輪郭形状(これは、例えば、図4(a)において、斜線部の転写領域として表される。)が画用紙100に転写されると、図4(b)に示すように、画用紙100に第1輪郭部が描画される。詳しくは、輪郭作成シート10の切り抜き部121の輪郭形状が転写された転写部1201が第1輪郭部となる。
【0031】
なお、輪郭作成シート10の切り抜き部121の輪郭形状を字消しで擦る際には、輪郭の羽根先部分から内側に向かって下地部110を薄く消していくことで、羽根模様の最外側の輪郭のみを好適に転写することができる。
【0032】
そして、図2に戻って、S102で描画された第1輪郭部に対して羽根形状が描画される(S103)。この羽根形状は、上述した羽根作成シート20の第2切り抜き部22の形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側の輪郭に沿った各羽根の形状である。そして、この羽根形状は、第1輪郭部が表す羽根模様の最外側の輪郭のうちの一枚の羽根輪郭と、第2切り抜き部22が表す一枚の羽根形状の輪郭と、を合わせた状態において、画用紙100に第2切り抜き部22の形状を転写することを、第1輪郭部に含まれる複数の羽根輪郭に対して繰り返し実行することで描画される。そして、このような羽根形状の描画について、図5に基づいて以下に説明する。
【0033】
図5は、羽根作成シート20を用いて第1輪郭部に対する羽根形状を描画する方法を例示する図である。図5に例示する描画方法では、図5(a)に示す第1輪郭部の羽根輪郭に、羽根作成シート20の第2切り抜き部22が表す一枚の羽根形状の輪郭が合わせられ、この状態において、画用紙100に該第2切り抜き部22の形状が転写される。そうすると、第1輪郭部が表す羽根模様の最外側の輪郭のうちの一枚の羽根輪郭について、羽根形状が描画されることになる。そして、このような羽根形状の描画が、第1輪郭部に含まれる複数の羽根輪郭に対して繰り返し実行されることで、第1輪郭部に対する羽根形状が描画されることになる。そして、これらの羽根形状は、図5(b)に示す転写部1221(この転写部1221は、図5(b)に示す転写部1221a、1221b、1221c、1221d等を含む。)として表される。
【0034】
そして、図2に戻って、本フローでは、次に、第2輪郭部が描画される(S104)。この第2輪郭部は、上述した輪郭作成シート10の第1切り抜き部12に含まれる切り抜き部122の輪郭形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側から2番目の輪郭である。更に、S104で描画された第2輪郭部に対して羽根形状が描画される(S105)。この羽根形状は、上述した羽根作成シート20の第2切り抜き部22の形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側から2番目の輪郭に沿った各羽根の形状である。そして、このような第2輪郭部の描画およびそれに対する羽根形状の描画について、図6に基づいて以下に説明する。
【0035】
図6は、輪郭作成シート10を用いて第2輪郭部を描画する方法、およびこの第2輪郭部に対して描画された羽根形状を表す図である。本実施形態では、図6(a)に示すように、既に描画された第1輪郭部が表す羽根模様の付け根の部分と、輪郭作成シート10の切り抜き部122によって画定される羽根模様の付け根の部分と、が重なるように、輪郭作成シート10が配置される。そして、第1輪郭部の描画と同様にして、輪郭作成シート10の切り抜き部122の輪郭形状(これは、例えば、図6(a)において、斜線部の転写領域として表される。)が画用紙100に転写されると、図6(b)に示すように、画用紙100に第2輪郭部が描画される。詳しくは、輪郭作成シート10の切り抜き部122の輪郭形状が転写された転写部1202が第2輪郭部となる。なお、図6(b)には、この第2輪郭部に対する羽根形状が転写部1222として併せて示されている。この羽根形状は、上述した第1輪郭部に対する羽根形状と同様にして、第2輪郭部が表す羽根模様の最外側から2番目の輪郭のうちの一枚の羽根輪郭と、羽根作成シート20の第2切り抜き部22が表す一枚の羽根形状の輪郭と、を合わせた状態において、画用紙100に第2切り抜き部22の形状を転写することを、第2輪郭部に含まれる複数の羽根輪郭に対して繰り返し実行することで描画される。
【0036】
そして、図2に戻って、次に、第3輪郭部が描画される(S106)。この第3輪郭部は、上述した輪郭作成シート10の第1切り抜き部12に含まれる切り抜き部123の輪郭形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側から3番目の輪郭である。更に、S106で描画された第3輪郭部に対して羽根形状が描画される(S107)。この羽根形状は、上述した羽根作成シート20の第2切り抜き部22の形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側から3番目の輪郭に沿った各羽根の形状である。
【0037】
そして、本フローでは、次に、第4輪郭部が描画される(S108)。この第4輪郭部は、上述した輪郭作成シート10の第1切り抜き部12に含まれる切り抜き部124の輪郭形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側から4番目の輪郭である。更に、S108で描画された第4輪郭部に対して羽根形状が描画される(S109)。この羽根形状は、上述した羽根作成シート20の第2切り抜き部22の形状を対象物に転写することで描画される、羽根模様の最外側から4番目の輪郭に沿った各羽根の形状である。
【0038】
以上に述べたS102~S109において各形状が描画されると、一翼の羽根模様が作成されることになる。ここで、図7は、ステンシルシートセット1を用いて作成された一翼の羽根模様を例示する図である。この一翼の羽根模様は、図7に示すように、第1輪郭部である転写部1201とそれに対する羽根形状である転写部1221、第2輪郭部である転写部1202とそれに対する羽根形状である転写部1222、第3輪郭部である転写部1203とそれに対する羽根形状である転写部1223、および第4輪郭部である転写部1204とそれに対する羽根形状である転写部1224を有する。
【0039】
そして、本実施形態の羽根模様は、上記の一翼の羽根模様が左右対になって描画されることで作成される。ここで、図8は、ステンシルシートセット1を用いて作成された羽根模様を例示する図である。本実施形態の羽根模様は、図8に示すように、一翼の羽根模様が左右対になって描画された羽根模様1200である。
【0040】
このように、ステンシルシートセット1を用いれば、シートに羽根模様の複雑な形状の切り抜きを形成することなく、比較的複雑な模様を有する華やかな羽根模様を人の手によって容易に作成することができる。そして、上述した羽根模様の作成フローに則って、ステンシルシートセット1の切り抜き部の形状(第1切り抜き部12における輪郭形状、および第2切り抜き部22の形状)を転写していくことで、華やかで美しい印象をもった羽根模様を簡単に描画することが可能になるとともに、美しいアートを人の手によって描くというアートセラピーによるヒーリング効果により、描く人の心に癒しを与えることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、上記の図8に示した羽根模様に対して所定の装飾模様が追加されてもよい。ここで、図9は、羽根模様に追加される装飾模様を例示する図である。この場合、図9(a)に示すように、例えば、円形状の切り抜きが形成された装飾作成シート30や、星形状の切り抜きが形成された装飾作成シート40が用いられる。そうすると、図9(b)に示すように、羽根模様1200に対して、円形や星形の装飾が追加される。
【0042】
以上に述べたステンシルシートセット1及びそれを用いた羽根模様の作成方法によれば、羽根模様を人の手によって容易に作成することができる。
【0043】
<その他の変形例>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施しうる。上記の実施形態では、パステルの粉末を塗布して作成された下地部の一部を消しゴムで消すことで羽根模様が描画される例について説明したが、本開示の模様作成シートセットは、例えば、その切り抜き部に顔料を重ねて塗布することで該切り抜き部の形状を対象物に転写する模様作成方法に用いられてもよい。
【符号の説明】
【0044】
1・・・・・ステンシルシートセット
10・・・・輪郭作成シート
11・・・・第1シート部
12・・・・第1切り抜き部
20・・・・羽根作成シート
21・・・・第2シート部
22・・・・第2切り抜き部
【要約】
【課題】羽根模様を人の手によって容易に作成することができる技術を提供する。
【解決手段】本開示のステンシルシートセット1は、羽根模様を作成するために用いられる模様作成シートセットである。このステンシルシートセット1は、第1シート部11から羽根模様の輪郭形状が切り抜かれている輪郭作成シート10と、第2シート部21から羽根模様を構成する一枚の羽根形状が切り抜かれている羽根作成シート20と、を備える。そして、輪郭作成シート10に形成された切り抜き部である第1切り抜き部12は、大きさが異なる複数の輪郭形状の切り抜きによって構成され、羽根作成シート20に形成された切り抜き部である第2切り抜き部22は、第1切り抜き部12に含まれる複数の輪郭形状の夫々が有する一枚の羽根輪郭と略同一の大きさの羽根形状の切り抜きによって構成される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9