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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】遮熱断熱塗料組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 133/04 20060101AFI20220613BHJP
   C09D 5/02 20060101ALI20220613BHJP
   C09D 7/65 20180101ALI20220613BHJP
   C09D 7/61 20180101ALI20220613BHJP
   E04F 13/02 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
C09D133/04
C09D5/02
C09D7/65
C09D7/61
E04F13/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021193969
(22)【出願日】2021-11-30
【審査請求日】2022-01-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】510209096
【氏名又は名称】株式会社清水
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 雅昭
【審査官】水野 明梨
(56)【参考文献】
【文献】特許第6746609(JP,B2)
【文献】特開2008-073600(JP,A)
【文献】特開2020-066672(JP,A)
【文献】特開2018-187589(JP,A)
【文献】特開2018-094544(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104745013(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09D 1/00-10/00
C09D 100/00-201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンと、ルチル型二酸化チタンと、アクリル中空ビーズとを含む遮熱断熱性塗料組成物であって、
塗料組成物の全量に対し、35~50質量%の範囲のアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンと、20~30質量%の範囲のルチル型二酸化チタンと、5~20質量%の範囲のアクリル中空ビーズとを含み、
前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンは、固形分として42~55質量%の範囲のアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物を含むことを特徴とする遮熱断熱性塗料組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遮熱断熱塗料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅の外壁又は内壁の表面に塗布して断熱性塗膜を形成する断熱性塗料組成物として、バインダーとしてのアクリル系樹脂に、ルチル型二酸化チタン及びアクリル中空ビーズを含むものが知られており、さらに、アクリル樹脂としてスチレンアクリル酸アルキルエステル共重合物又はアクリル酸ブチルスチレン共重を用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1によれば、前記断熱性塗料組成物は、日射反射性に優れるルチル型二酸化チタンと、断熱性に優れるアクリル中空ビーズとを含むので、塗膜を形成したときに優れた断熱性を得ることができるとされている。
【0004】
また、特許文献1によれば、スチレンアクリル酸アルキルエステル共重合物を含む塗料組成物は、塗膜を形成したときに、耐候性及び耐水性に優れ、さらに基材に対する付着性に優れているとされており、スチレンアクリル酸アルキルエステル共重合物の代わりに、同様の性質を持つアクリル酸ブチルスチレン共重を用いてもよいとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第6746609号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、アクリル樹脂としてスチレンアクリル酸アルキルエステル共重合物又はアクリル酸ブチルスチレン共重を用いる断熱性塗料組成物は、塗膜を形成したときに、基材に対して十分な付着性を得るためには、該塗料組成物の全量に対する前記アクリル樹脂の配合量を50質量%以上(特許第6746609号公報の実施例1では54.3質量%)にする必要があり、このようにすると該塗料組成物における該アクリル樹脂の固形分に対するルチル型二酸化チタン及びアクリル中空ビーズの配合量が相対的に少なくなり、塗膜を形成したときに十分な遮熱断熱性を得ることができなくなるという不都合がある。
【0007】
一方、前記断熱性塗料組成物は、塗膜を形成したときに、該塗膜の遮熱断熱性を向上させるためには、前記アクリル樹脂の固形分に対するルチル型二酸化チタン及びアクリル中空ビーズの配合量を多くする必要があるが、このようにすると該塗料組成物におけるスチレンアクリル酸アルキルエステル共重合物又はアクリル酸ブチルスチレン共重の配合量が相対的に少なくなり、塗膜を形成したときに基材に対して十分な付着性を得ることができなくなるという不都合がある。
【0008】
本発明は、かかる不都合を解消して、基材に対する十分な付着性と優れた遮熱断熱性とを備える塗膜を形成することができる遮熱断熱性塗料組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するために、本発明の遮熱断熱性塗料組成物は、アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンと、ルチル型二酸化チタンと、アクリル中空ビーズとを含む遮熱断熱性塗料組成物であって、塗料組成物の全量に対し、35~50質量%の範囲のアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンと、20~30質量%の範囲のルチル型二酸化チタンと、5~20質量%の範囲のアクリル中空ビーズとを含み、前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンは、固形分として42~55質量%の範囲のアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物を含むことを特徴とする。
【0010】
本発明の遮熱断熱性塗料組成物によれば、アクリル樹脂として、アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンを含むので、該塗料組成物の全量に対するアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンの配合量を低減しても、基材に対して優れた付着性を備える塗膜を形成することができる。また、本発明の遮熱断熱性塗料組成物によれば、該塗料組成物の全量に対するアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンの配合量を低減しても、基材に対して優れた付着性を備える塗膜を形成することができるので、該塗料組成物の全量に対するルチル型二酸化チタンと、アクリル中空ビーズとの配合量を相対的に増加させることができ、優れた遮熱断熱性を備える塗膜を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の遮熱断熱性塗料組成物により形成される塗膜の遮熱断熱性を評価する装置の構成を示す説明図。
図2】本発明の遮熱断熱性塗料組成物により形成される塗膜の遮熱断熱性を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。
【0014】
本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物は、塗料組成物の全量に対し、35~50質量%の範囲のアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンと、20~30質量%の範囲のルチル型二酸化チタンと、5~20質量%の範囲のアクリル中空ビーズとを含む。
【0015】
本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物は、住宅の外壁又は内壁等の基材の表面に塗布することにより、遮熱断熱性塗膜を形成することができる。
【0016】
前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンは、固形分として42~55質量%の範囲、例えば48質量%のアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物を含む。前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物は、本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物から形成される塗膜において、バインダーとして作用する。
【0017】
前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンとして、例えば、BASF社製Acronal(登録商標)YJ2716Dap(商品名)を用いることができる。
【0018】
本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物は、前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンの配合量が、塗料組成物の全量に対し、35質量%未満では、該遮熱断熱性塗料組成物から形成される塗膜の基材に対する付着性が不十分になる。一方、前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンの配合量が、塗料組成物の全量に対し、50質量%超では、該塗料組成物の全量に対するルチル型二酸化チタンと、アクリル中空ビーズとの配合量が相対的に少なくなり、該遮熱断熱性塗料組成物から形成される塗膜の遮熱断熱性が不十分になる。
【0019】
前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンの含有量は、本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物の全量に対し、40~49質量%の範囲であることが好ましく、45~48質量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0020】
前記ルチル型二酸化チタンとしては、赤外線遮蔽二酸化チタン又は白色顔料用二酸化チタンを挙げることができ、両者を併用してもよい。赤外線遮蔽二酸化チタンとしては、例えば、0.1~10μmの範囲、好ましくは1.0μmの平均粒子径を備え、比重4.2のものを挙げることができ、このような赤外線遮蔽二酸化チタンとして、例えば、堺化学工業株式会社製アナタースR-38L(商品名)、テイカ株式会社製JR-1000(商品名)、石原産業株式会社製タイペークPFR404(商品名)等を用いることができる。また、白色顔料用二酸化チタンとしては、例えば0.28μmの平均粒子径を備え、比重4.0のものを挙げることができ、このような白色顔料用二酸化チタンとして、例えば、石原産業株式会社製タイペークR930(商品名)、堺化学工業株式会社製ルチルSTR-100n(商品名)、テイカ株式会社製JR-603(商品名)等を用いることができる。
【0021】
本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物は、前記ルチル型二酸化チタンの配合量が、該遮熱断熱性塗料組成物の全量に対し、20質量%未満では、該遮熱断熱性塗料組成物から形成される塗膜の日射反射性が不十分になる。一方、前記ルチル型二酸化チタンの配合量が、前記遮熱断熱性塗料組成物の全量に対し、30質量%超では、該遮熱断熱性塗料組成物の全量に対する前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンの配合量が相対的に少なくなり、該遮熱断熱性塗料組成物から形成される塗膜の基材に対する付着性が不十分になる。
【0022】
前記ルチル型二酸化チタンの含有量は、本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物の全量に対し、21~30質量%の範囲であることが好ましく、22~30質量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0023】
前記アクリル中空ビーズとしては、例えば、0.2~200μmの範囲、例えば10~40μmの範囲の平均粒子径と、0.238の見かけ比重とを備えるものを挙げることができる。前記アクリル中空ビーズは、0.01~0.040W/m・Kの熱伝導率を備えるメタン、エタン、プロパン又はブタン等の炭化水素ガスを内蔵している。前記アクリル中空ビーズは、内蔵する炭化水素ガスの熱伝導率が、乾燥した空気の熱伝導率と同程度であることから、高い遮熱断熱性を得ることができる。このようなアクリル中空ビーズとして、例えば、積水マテリアルソリューションズ株式会社製アドバンセルEM(商品名)、nouryon pulp and performance Chemicals AB社製アクリル中空ビーズExpancel 461we20d36(商品名)、松本油脂製薬株式会社製マツモトマイクロスフェアーF-30E(商品名)等を用いることができる。
【0024】
前記アクリル中空ビーズの含有量は、本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物の全量に対し、6~19質量%の範囲であることが好ましく、7~18質量%の範囲であることがさらに好ましい。
【0025】
本実施形態の遮熱断熱性塗料組成物は、形成される遮熱断熱性塗膜の性能を損なわない範囲で、さらに他の添加物を含んでいてもよい。前記添加物としては、可塑剤、造膜助剤、癒合助剤、消泡剤、分散剤、防腐剤、凍結防止剤、増粘剤、レオロジー改質剤、25%アンモニア水、炭酸カルシウム、調整水等を挙げることができる。
【0026】
前記可塑剤としては、例えば、大八化学工業株式会社製BBP(商品名)、BASF社製LOXANOL pL5060(商品名)等を用いることができる。また、前記造膜助剤としては、例えば、EASTMAN CHEMICL社製TEXANOL(商品名)、KHネオケム株式会社製キョウワノールM(商品名)、DOW社製HEXY CARBITOL(商品名)等を用いることができる。また、前記消泡剤としては、例えば、信越化学工業株式会社製スーパービオKB(商品名)、ALTANA社製ALTANA BYK-028(商品名)、共栄社化学株式会社製フローレンAC-300VF(商品名)等を用いることができる。また、前記分散剤としては、例えば、理研ビタミン株式会社製モノグリセライド、大塚化学株式会社製TERPLUS(商品名)、楠本化成株式会社製デスパロン AQ-380(商品名)等を用いることができる。また、前記防腐剤としては、例えば、大阪ガスケミカル株式会社製テルトップ100N(商品名)、日本曹達株式会社製ベストサイド 750(商品名)等を用いることができる。また、前記凍結防止剤としては、例えば、和信化学工業株式会社製ガードラック(商品名)、日本アルコール販売株式会社製イソプロパノール等を用いることができる。また、前記増粘剤としては、例えば、サンノブコ株式会社製SNシックナー(商品名)、株式会社アデカ製アデカノール UH-450VF(商品名)、東亜合成株式会社製アロンA7195(商品名)等を用いることができる。
【0027】
次に、本発明の実施例及び比較例を示す。
【実施例
【0028】
〔実施例1〕
本実施例では、まず、アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョン450.0~480.0質量部と、赤外線遮蔽二酸化チタン及び白色顔料用二酸化チタンを合計で220.0~300.0質量部と、アクリル中空ビーズ70.0~180.0質量部と、分散剤、消泡剤、造膜助剤、可塑剤、防腐剤、凍結防止剤、増粘剤、及び、希釈水を合計で40~260質量部とを、全量で1000.0質量部となるように混合して、遮熱断熱性塗料組成物を調製した。
【0029】
本実施例では、前記アクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンとして、BASF社製Acronal(登録商標)YJ2716Dap(商品名、固形分48.0質量%)を用い、前記赤外線遮蔽二酸化チタンとしてテイカ株式会社製JR-1000(商品名)を用い、前記白色顔料用二酸化チタンとしてテイカ株式会社製JR-603(商品名)を用い、前記アクリル中空ビーズとしてnouryon pulp and performance Chemicals AB社製アクリル中空ビーズExpancel 461we20d36(商品名)を用いた。
【0030】
また、本実施例では、前記分散剤として楠本化成株式会社製デスパロン AQ-380(商品名)を用い、前記消泡剤として(ALTANA社製ALTANA BYK-028(商品名)を用い、前記造膜助剤としてKHネオケム株式会社製キョウワノールM(商品名)を用い、前記可塑剤としてBASF社製LOXANOL pL5060(商品名)を用い、前記防腐剤として日本曹達株式会社製ベストサイド 750(商品名)を用い、前記凍結防止剤として日本アルコール販売株式会社製イソプロパノールを用い、前記増粘剤として株式会社アデカ製アデカノール UH-450VFを用いた。
【0031】
次に、106mm×128mm×0.3mmの鋼板を基材とし、本実施例で得られた遮熱断熱性塗料組成物を該基材の表面に0.03g/cmの塗布量で塗布し、乾燥させることにより、厚さ0.2mmの遮熱断熱性塗膜を形成した。
【0032】
次に、図1に示す評価装置を用い、前記遮熱断熱性塗膜を形成した基材を試料として該遮熱断熱性塗膜の遮熱断熱性を評価した。図1に示す評価装置は、試料1を載置する基台2と、基台2に立設された柱状部材3と、柱状部材3の上端から基台2の上方に延出された腕部材4と、腕部材4から吊下された屋内用レフランプ5とを備えている。屋内用レフランプ5は100Wであり、商用AC電源6に接続されている。
【0033】
試料1は、前記遮熱断熱性塗膜が形成されている面が屋内用レフランプ5に対向するように基台2上に載置される。試料1の裏面(前記遮熱断熱性塗膜が形成されている面と反対側の面)には温度センサ7が貼付されており、温度センサ7は温度測定装置8に接続されている。
【0034】
本実施例では、前記遮熱断熱性塗膜が形成された試料1と屋内用レフランプ5の下端面との間隔を46mmとして、屋内用レフランプ5により試料1を照明し、試料1の裏面における温度変化を温度測定装置8により継続的に測定した。結果を図2に示す。
【0035】
次に、JIS K 5600-5-7のプルオフ法により、前記遮熱断熱性塗膜を形成した基材を試料として該遮熱断熱性塗膜の付着性を評価した。
【0036】
前記遮熱断熱性塗膜の付着性の評価は、直径20mm試験円筒を用い、1MPa/秒の引張速度で行った。結果を表1に示す。
【0037】
〔比較例1〕
本比較例では、市販断熱性塗料(SG化学株式会社製ルミナスター(商品名))を用いた以外は、実施例1と全く同一にして、基材の表面に断熱性塗膜を形成した。
【0038】
前記市販断熱性塗料は、スチレンアクリル酸アルキルエステル共重合物540.0質量部、赤外線遮蔽二酸化チタン及び白色顔料用二酸化チタンを合計で255.0質量部、アクリル中空ビーズ120.0質量部、分散剤4.0質量部、消泡剤4.0質量部、可塑剤5.0質量部、造膜助剤30.0質量部、防腐剤1.0質量部、凍結防止剤30.0質量部、増粘剤3.0質量部、希釈水8.0質量部を混合することにより調製されている。
【0039】
前記市販断熱性塗料は、前記スチレンアクリル酸アルキルエステル共重合物として、BASF社製Acronal(登録商標)295DNap(商品名、固形分50.0質量%)を用いる以外は、実施例1で用いたものと全く同一の前記赤外線遮蔽二酸化チタン、白色顔料用二酸化チタン、アクリル中空ビーズ、分散剤、消泡剤、可塑剤、造膜助剤、防腐剤、凍結防止剤、及び、増粘剤を用いている。
【0040】
次に、本比較例で前記塗膜が形成された基材を試料とした以外は、実施例1と全く同一にして、該断熱性塗膜の断熱性及び付着性を評価した。前記断熱性塗膜の断熱性の評価結果を図2に、付着性の評価結果を表1に、それぞれ示す。
【0041】
【表1】
【0042】
表1から、実施例1の遮熱断熱性塗料組成物によれば、比較例1の断熱性塗料組成物に対してアクリル樹脂の配合量を低減しても、塗膜を形成したときに基材に対して、比較例1の断熱性塗料組成物により形成された塗膜以上の十分な付着性を得ることができることが明らかである。
【0043】
また、図2から、実施例1の遮熱断熱性塗料組成物によれば、比較例1の断熱性塗料組成物により形成された塗膜よりも優れた遮熱断熱性を備える塗膜を形成することができることが明らかである。
【符号の説明】
【0044】
1…試料、 2…基台、 3…柱状部材、 4…腕部材、 5…屋内用レフランプ、 6…商用AC電源、 7…温度センサ、 8…温度測定装置。
【要約】
【課題】基材に対する十分な付着性と優れた遮熱断熱性とを備える塗膜を形成することができる遮熱断熱性塗料組成物を提供する。
【解決手段】遮熱断熱性塗料組成物は、塗料組成物の全量に対し、35~50質量%の範囲のアクリル酸エステル-メタクリル酸エステル-スチレン共重合物又はアクリル酸エステル-スチレン共重合物の水性エマルジョンと、20~30質量%の範囲のルチル型二酸化チタンと、5~20質量%の範囲のアクリル中空ビーズとを含む。
【選択図】 図2
図1
図2