(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】容器検査装置
(51)【国際特許分類】
G01N 21/90 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
G01N21/90 A
(21)【出願番号】P 2022008763
(22)【出願日】2022-01-24
【審査請求日】2022-03-07
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000208042
【氏名又は名称】大洋エレックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100195752
【氏名又は名称】奥村 一正
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和基
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 恭彬
【審査官】嶋田 行志
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-201003(JP,A)
【文献】特開2009-031060(JP,A)
【文献】特開2005-003406(JP,A)
【文献】特開2003-107011(JP,A)
【文献】特開2005-061932(JP,A)
【文献】特開2005-070012(JP,A)
【文献】特開2005-070013(JP,A)
【文献】国際公開第2018/061196(WO,A1)
【文献】特開2013-044566(JP,A)
【文献】特開2019-117133(JP,A)
【文献】特開2001-108631(JP,A)
【文献】国際公開第2003/002993(WO,A1)
【文献】特開2012-103020(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/84-G01N 21/958
G01B 11/00-G01B 11/30
JSTPlus/JST7580/JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器を検査する容器検査装置であって、
前記容器の底面を支持する検査台と、
前記検査台を回転させる回転駆動部と、
前記容器上部
の口内部を保持して前記容器とともに回転自在の口保持部と、
前記口保持部の回転角度を検出する回転検出部と、
回転する前記容器を撮像する撮像装置と、
を備え
、
前記口保持部は、前記容器上部の口から当該容器の内部に挿入して口内面に密着させて前記容器上部を保持することを特徴とする容器検査装置。
【請求項2】
前記回転検出部は、前記口保持部と一体に回転するスリット盤と、
前記スリット盤に設けたスリットを検出するセンサと、を備えたことを特徴とする請求項
1に記載の容器検査装置。
【請求項3】
前記口保持部は、前記容器の口形状に合わせて交換可能であることを特徴とする請求項1
又は2に記載の容器検査装置。
【請求項4】
前記回転検出部が360°を超える回転を検出すると前記回転駆動部の回転を停止することを特徴とする請求項1-
3のいずれかに記載の容器検査装置。
【請求項5】
前記回転駆動部による回転が所定角度に到達しても、前記回転検出部が360°を超える回転を検出しない場合、アラームを発出することを特徴とする請求項1-
4のいずれかに記載の容器検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、瓶やペットボトルといった容器を検査する容器検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
飲料用や医薬用液体を充填するための瓶やペットボトル等の容器は、傷や割れの検査を全周に亘って行われる。
【0003】
特許文献1には、検査テーブルを回転させるロータリーエンコーダで回転角を検出しながら、回転滑りを考慮して、容器を載置した検査テーブルを1.2周分回転させ画像処理で1周分の画像を形成して容器の全周を検査する事項が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
特許文献1:特開2009-031060号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、回転滑りを考慮して、容器を載置した検査テーブルを1.2周分回転しなければならないため回転に要する時間が長く、また、滑りが多ければ1.2周でも全周を検査できない恐れがあるという問題があった。
【0006】
本発明は、上記問題点を解決して、回転時間を短縮し確実に容器の周囲を検査することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、容器を検査する容器検査装置であって、
前記容器の底面を支持する検査台と、
前記検査台を回転させる回転駆動部と、
前記容器上部の口内部を保持して前記容器とともに回転自在の口保持部と、
前記口保持部の回転角度を検出する回転検出部と、
回転する前記容器を撮像する撮像装置と、
を備え、
前記口保持部は、前記容器上部の口から当該容器の内部に挿入して口内面に密着させて前記容器上部を保持することを特徴とする容器検査装置を提供するものである。
【0008】
この構成により、検査台と容器との滑りに関係なく、余分な回転を排除して回転時間を短縮し確実に容器を検査することができる。
【0011】
容器検査装置であって、前記回転検出部は、前記口保持部と一体に回転するスリット盤と、
前記スリット盤に設けたスリットを検出するセンサと、を備えた構成としてもよい。
【0012】
この構成により、回転滑りの恐れがない回転角検出ができる。
【0013】
容器検査装置であって、前記口保持部は、前記容器の口形状に合わせて交換可能である構成としてもよい。
【0014】
この構成により、複数形状の容器の検査をすることができる。
【0015】
容器検査装置であって、前記回転検出部が360°を超える回転を検出すると前記回転駆動部の回転を停止する構成としてもよい。
【0016】
この構成により、確実に容器を一周させることができる。
【0017】
容器検査装置であって、前記回転駆動部による回転が所定角度に到達しても、前記回転検出部が360°を超える回転を検出しない場合、アラームを発出する構成としてもよい。
【0018】
この構成により、検査台と容器との滑りが大き過ぎる等の異常状態を検出することができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の容器検査装置により、検査台と容器との滑りに関係なく、余分な回転を排除して回転時間を短縮し確実に容器を検査することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施例1の容器検査装置を説明する図である。
【
図2】本発明の実施例1における口保持部周辺を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0021】
本発明の実施例1における容器検査装置について、
図1~
図2を参照して説明する。
図1は、本発明の実施例1の容器検査装置を説明する図であり、(a)は検査台2が上昇し回転検出部10が下降して容器Bを保持した状態を示し、(b)は検査台2を回転させて検査する状態を示す。
図2は、本発明の実施例1における回転検出部を説明する図であり、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【0022】
実施例1における容器検査装置100は、コンベアCにより搬送される容器Bに傷や汚れがないかを外観検査するものである。容器Bとは、飲料用や医薬用液体等を充填する目的のペットボトル、瓶、紙カップ、合成樹脂カップ等の容器をいう。コンベアCは搬送方向に沿って2本のベルトで構成され、後述の検査台2がベルト間を上下動可能に構成されている。
【0023】
容器検査装置100は、上面が略平坦で、容器Bを載置して真空吸着する検査台2、検査台2を回転駆動する回転駆動部3、回転している容器Bの表面を撮像する撮像装置4、及び容器Bの口内部に密着して容器Bとともに回転可能な口保持部1を有した回転検出部10を備えている。
【0024】
回転検出部10について説明する。回転検出部10は、ジュラコンからなり回転自在の口保持部1、口保持部1とともに回転可能で均等にスリットを配した金属からなるスリット盤5、スリット盤5のスリットを検出する光電センサからなるセンサ6、スリット盤5、センサ6等を支持する鉄などの金属からなるセンサ支持部8、及びセンサ支持部8にスリット盤を取付け又は取外すためのロック部7を備えている。
【0025】
なお、実施例1においては、光電センサでスリット盤のスリットを検出するようにしたが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、磁気センサで磁気を検出するようにしてもよいし、光センサで回転盤に描かれたパターンを検出するように構成してもよい。
【0026】
また、実施例1におけるスリット盤5は、均等に36°毎に10本のスリットを有しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、11本以上のスリットを有していてもよいし、9本以下のスリットを有していてもよく、任意の数のスリットを有することができる。ただし、スリットの数が多い程、正確に回転角度を検出可能であり、10本のスリットであれば36°毎に回転角度を検出できる。
【0027】
ここで、1本のスリットであっても1周360°の回転を検出することができるが、センサ6に対してスリット盤5のスリット位置が外れた位置にあれば、回転を開始後、一度目のスリットを検出してから二度目にスリットを検出することでしか360°回転を検出できず、一度目のスリットまでの最大180°分の回転が余分に必要となる。これに対して、10本のスリットがあれば、余分な回転は最大36°となり、最大でも1.1周の回転で済むことになる。
【0028】
口保持部1は、対象とする容器Bの上部の口内径とほぼ同じ外径で約40mm長の円筒部を備え、容器Bの口内部に挿入する端部は緩やかな円弧形状を有し、口内部に挿入しやすくなっている。また、容器Bの口とは反対側の口保持部1においては容器Bの口内径よりも広い外径を有した約5mm長の円筒形のストッパ部を備えていてこれ以上容器Bの内部に入らないようにしている。また、実施例1における口保持部1は、ジュラコンで構成しているが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、アクリルで構成してもよいし、デルリンで構成してもよく、容器Bの色や材質により任意の材料を用いることができる。
【0029】
センサ支持部8は、上下方向に移動可能に検査装置本体の図示しない回転検出部昇降機構に取付けられる。これにより、回転検出部10が上下動して口保持部1を容器Bの口内部に入れたり出したりできる。回転検出部昇降機構は、モータにより回転検出部10を昇降可能に構成してもよいし、空圧や油圧のシリンダで構成してもよい。
【0030】
ロック部7は、つまみを所定角度(実施例1においては90°)回すことで磁力が解除されてセンサ保持部8から容易にセンサ6を取り外すことができる。これにより、スリット盤5及び口保持部1をねじの螺合を解除して取り外すことができるように構成されている。
【0031】
撮像装置4は、CCDカメラであってもよく、CMOSカメラであってもよく、またラインセンサであってもよく、任意の撮像装置を適用することができる。また、必要に応じて反射照明や透過照明のための照明装置を設置してもよい。
【0032】
回転駆動部3は、モータとリンク機構からなり、モータを回転させることにより、検査台2を任意の角度だけ時計方向又は反時計方向に回転させることができる。
【0033】
なお、実施例1においては、口保持部1を容器B上部の口内部に挿入して内面に密着するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、口保持部1を容器Bの上部の口部分外面を把持するように構成してもよく、容器Bと口保持部1とが滑らないように保持できれば任意の構成としてよい。
【0034】
コンベアCで搬送された容器Bは、検査台直上に搬送されると図示しないセンサが検出して図示しないストッパにより停止させられる。この時点における検査台2はコンベアCよりも下方に位置している。
【0035】
図示しないセンサが容器Bの到着を検出してストッパが容器Bを停止させると、図示しない検査台昇降機構により、検査台2が容器Bの底面まで上昇し、容器Bを真空吸着して保持する。そして、検査台2がさらに上昇しコンベアCよりも上方に容器Bの底面を持ち上げると同時に、図示しない回転検出部昇降機構により、回転検出部10が下降し、口保持部1が容器Bの口内部に挿入される。この状態はつまり、下方から検査台2により、上方から回転検出部10により、容器Bが保持された状態となる。また、口保持部1は容器Bの口内部に挿入されて密着する。
【0036】
ここで、検査台昇降機構による検査台2の容器B底面までの上昇速度と、コンベアCよりも上方に容器Bの底面を持ち上げる上昇速度とは、異ならせてもよいし、同じであってもよい。検査台昇降機構は、モータにより昇降させるように構成してもよいし、空圧や油圧のシリンダで構成してもよい。
【0037】
下方から検査台2により上方から回転検出部10により、容器Bが保持された状態で、検査台2は回転駆動部3により水平面において反時計方向に回転する。検査台2の回転に伴って容器Bも反時計方向に回転する。また、容器Bの回転に伴って口保持部1も反時計方向に回転する。検査台2と容器Bの底面とは滑る可能性もあるが、口保持部1は容器Bの口内部に密着しているため滑ることなく容器Bと一体となって回転する。そして、回転している容器Bを撮像装置4が撮像し、図示しない検査部にて画像処理をして表面の傷や汚れについて外観検査を行う。このとき、回転検出部10が検出した回転角に同期して撮像装置4が撮像を行ってもよい。
【0038】
回転検出部10におけるセンサ6は、回転開始からスリット盤5におけるいずれかのスリットを検出してから10本目のスリットを検出した時点で、回転駆動部3に指示して回転を停止させる。口保持部1は容器Bの口内部に密着して回転するので、滑ることがなく正確に全周(360°)の回転を検出できる。
【0039】
ここで、回転駆動部2による回転が所定角度(例えば、2周にあたる720°)に到達しても、回転検出部10が360°を超える回転を検出しない場合、検査台2と容器B底面との滑りが大きすぎる恐れがあるため、アラームを発出する。アラームは、図示しないランプを点灯又は点滅させるとともにブザーを鳴動させる。
【0040】
容器Bの回転が停止すると、検査台2が下降を始めるとともに、回転検出部10が上昇を始める。検査台2がコンベアCより下方の停止位置まで下降すると真空吸着を解除して容器Bを解放する。また口保持部1が容器Bより上方まで上昇すると回転検出部10は上昇を停止する。
【0041】
そして、検査後の容器BはコンベアCにより次工程へと搬送され、次の新たな容器Bが検査台2の上方まで搬送されて新たな検査動作が開始される。
【0042】
なお、実施例1においては、回転検出部10が360°の回転を検出するまで検査台2が回転して、容器Bの全周囲の表面を検査するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、回転検出部10が180°や120°の回転を検出するまで検査台2が回転して容器Bの周囲における限定的な範囲の表面を検査するように構成してもよい。また、表面の検査にとどまらず、容器Bに貼られたラベルや容器B内部に充填された液体等の検査を行ってもよい。
【0043】
また、実施例1においては、検査台2に載置した容器Bの底面を真空吸着するように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、真空吸着せずに容器Bを単に載置するように構成してもよいし、金属製の容器Bであれば、磁石で吸着するように構成してもよく、任意の構成で容器Bの底面を支持することができる。
【0044】
さらに、実施例1においては、検査台2を反時計方向に回転させるように構成したが、必ずしもこれに限定されず適宜変更が可能である。例えば、時計方向に回転させてもよい。
【0045】
このように、実施例1においては、容器を検査する容器検査装置であって、
前記容器の底面を支持する検査台と、
前記検査台を回転させる回転駆動部と、
前記容器上部を保持して前記容器とともに回転自在の口保持部と、
前記口保持部の回転角度を検出する回転検出部と、
回転する前記容器を撮像する撮像装置と、
を備えたことを特徴とする容器検査装置により、検査台と容器との滑りに関係なく、余分な回転を排除して回転時間を短縮し確実に容器を検査することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明における容器検査装置は、容器を検査する分野に広く用いることができる。
【符号の説明】
【0047】
1:口保持部
2:検査台
3:回転駆動部
4:撮像装置
5:スリット盤
6:センサ部
7:ロック部
8:センサ支持部
10:回転検出部
100:容器検査装置
B:容器
C:コンベア
【要約】
【課題】回転時間を短縮し確実に容器の周囲を検査することができる。
【解決手段】容器Bを検査する容器検査装置であって、前記容器Bの底面を支持する検査台2と、前記検査台2を回転させる回転駆動部3と、前記容器B上部を保持して前記容器Bとともに回転自在の口保持部1と、前記口保持部1の回転角度を検出する回転検出部10と、回転する前記容器Bを撮像する撮像装置4と、を備えたことを特徴とする容器検査装置100とした。これにより、検査台2と容器Bとの滑りに関係なく、余分な回転を排除して回転時間を短縮し確実に容器を検査することができる。
【選択図】
図1