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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】食品加工装置及び食品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   B26D 3/08 20060101AFI20220613BHJP
   B26D 1/02 20060101ALI20220613BHJP
   B26D 1/03 20060101ALI20220613BHJP
   B26D 3/10 20060101ALI20220613BHJP
   B26D 7/06 20060101ALI20220613BHJP
   A23L 13/60 20160101ALI20220613BHJP
   A23L 13/00 20160101ALI20220613BHJP
   A23L 19/12 20160101ALN20220613BHJP
   A23L 19/18 20160101ALN20220613BHJP
【FI】
B26D3/08 A
B26D1/02 Z
B26D1/03
B26D3/10 J
B26D7/06 A
A23L13/60 A
A23L13/00 E
A23L19/12 B
A23L19/18
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017250014
(22)【出願日】2017-12-26
(65)【公開番号】P2019115943
(43)【公開日】2019-07-18
【審査請求日】2020-12-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000113067
【氏名又は名称】プリマハム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100007983
【弁理士】
【氏名又は名称】笹川 拓
(72)【発明者】
【氏名】高橋 孝幸
【審査官】石川 健一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0245208(US,A1)
【文献】米国特許第04373431(US,A)
【文献】特開2017-170589(JP,A)
【文献】特開平02-218592(JP,A)
【文献】米国特許第02615196(US,A)
【文献】米国特許第03902388(US,A)
【文献】特開2016-000433(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 3/08
B26D 1/02
B26D 1/03
B26D 3/10
B26D 7/06
A23L 13/60
A23L 13/00
A23L 19/12
A23L 19/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円柱状の食品の表面に弦巻線状の切り目を付与する食品加工装置であって、
当該食品加工装置は、前記食品が通過する、対向する一の平面部と他の平面部との一対の平面部が配され、
当該一対の平面部の互いの距離は、前記食品の円柱状部分の直径と同距離又は当該直径よりも小さく構成され、
前記一の平面部は前記他の平面部側に突出し、前記食品の面に前記切り目を付与するカッター部を有し、
前記他の平面部は無端状のベルトコンベアの搬送面となって前記食品を搬送可能であり、
前記食品は前記ベルトコンベアの駆動により、前記一対の平面部の間を、当該一対の平面部に挟持されつつ前記食品の円柱部分の周方向に沿って回転しつつ通過可能であり、
前記カッター部は、前記一の平面部を構成するプレート部と、当該プレート部に立設されたブレード部からなり、
当該ブレード部は、前記食品の搬送方向に対して所定の角度傾斜して直線状に延びるように配され、前記プレート部に対して3つ以上立設して構成され、隣り合う夫々の前記ブレード部は、一方の前記ブレード部の任意の部位から食品の搬送方向に沿って引いた他方の前記ブレード部までの直線の距離が、前記食品の円柱部分の円周寸法と概ね一致して設定され、
前記食品はソーセージであり、当該ソーセージは、端部から串が前記ソーセージの軸方向に沿って内部に打ち込まれており、
前記ブレード部は、前記ソーセージにおける前記串が打ち込まれた部分と、打ち込まれていない部分とに夫々対応して、傾斜角度又は隣り合う前記ブレード部の間隔が異なって設定されたことを特徴とすることを特徴とする食品加工装置。
【請求項2】
前記ブレード部は、曲線と折れ線の少なくとも一方の形状を繰り返すことにより波形状に形成され、かつ、直線状に延びるようプレート部に立設されたことを特徴とする請求項1に記載の食品加工装置。
【請求項3】
前記一の平面部には、前記カッター部が配置される位置よりも前記食品の搬送方向上流位置に、前記食品の軸方向を前記食品の搬送方向に対して垂直に修正する助走区間が設けられたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の食品加工装置。
【請求項4】
弦巻線状の切り目が表面に付与された円柱状の食品の製造方法であって、
前記食品が通過する、対向する一の平面部と他の平面部との一対の平面部が配され、
当該一対の平面部の互いの距離は、前記食品の円柱状部分の直径と同距離又は当該直径よりも小さく構成され、
前記一の平面部は前記他の平面部側に突出し、前記食品の面に前記切り目を付与するカッター部を有し、
前記他の平面部は無端状のベルトコンベアの搬送面となって前記食品を搬送可能であり、
前記カッター部は、前記一の平面部を構成するプレート部と、当該プレート部に立設されたブレード部からなり、
当該ブレード部は、前記食品の搬送方向に対して所定の角度傾斜して直線状伸びるように配され、前記プレート部に対して3つ以上立設して構成され、隣り合う夫々の前記ブレード部は、一方の前記ブレード部の任意の部位から食品の搬送方向に沿って引いた他方の前記ブレード部までの直線の距離が、前記食品の円柱部分の円周寸法と概ね一致して設定され、
前記食品はソーセージであり、当該ソーセージは、端部から串が前記ソーセージの軸方向に沿って内部に打ち込まれており、
前記ブレード部は、前記ソーセージにおける前記串が打ち込まれた部分と、打ち込まれていない部分とに夫々対応して、傾斜角度又は隣り合う前記ブレード部の間隔が異なって設定されていることを特徴とする
食品加工装置により、
前記食品を前記ベルトコンベアの駆動により、前記一対の平面部の間を、当該一対の平面部に挟持しつつ、前記食品の円柱部分の周方向に沿って回転させながら通過させて弦巻線状の切り目を前記食品の表面に付与することを特徴とする食品の製造方法。
【請求項5】
前記ブレード部は、曲線と折れ線の少なくとも一方の形状を繰り返すことにより波形状に形成され、かつ、直線状に延びて構成されたことを特徴とする請求項4に記載の食品の製造方法。
【請求項6】
前記一の平面部には、前記カッター部が配置される位置よりも前記食品の搬送方向上流位置に、前記食品の軸方向を前記食品の搬送方向に対して垂直に修正する助走区間が設けられたことを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の食品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソーセージ等の円柱状の食品の表面に弦巻線状の切り目を付与する食品加工装置及び弦巻線状の切り目が表面に付与された円柱状の食品の製造方法に関し、特に、表面に弦巻線状の切り目を付与したソーセージ等の大量生産に適した食品加工装置及び食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポテトや、ソーセージ等の円柱状の食品について、見た目の華やかさや、食べやすさから、その表面から弦巻線状(スパイラル状)に切り目を入れて加熱し、食することが行われている。
【0003】
ソーセージ等の食肉加工品は、切り目を入れて加熱すると、皮と肉との収縮率の不均一さから変形を起こすことが知られており、弦巻線状の切り目を入れて加熱することにより、弦巻線状の切り目に沿って内部の肉が露出し所謂トルネードソーセージ(トルネードフランク、トルネードウインナ)となる。これにより、ソーセージに華やかさが与えられて、デザイン性の高いソーセージを提供できることが知られている。
【0004】
特許文献1には、蓋に設けられた回転軸にガイド針が設置され、このガイド針にポテトを突き刺して、このポテトをケーシング内に押し込むことで、ケーシングに設置された刃を、スプリングを圧縮させながら下降させ、ポテトの下降端位置で蓋をケーシング側にロックして回転軸を回転させると、ポテトの回転により刃がポテトをスパイラル状にカットしながら、スプリングの復元力で刃が上昇してポテトのカッティングを完了する調理器具が開示されている。このようにしてスパイラル状(弦巻線状)にカットされたポテト100を図13に示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-433号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、特許文献1に記載の調理器具では、食品であるポテトを1個1個調理器具に装着し、このポテトを回転させてスパイラル状にカッティングするので、一度に複数個のポテトをカッティングすることができず、量産性が低い。
【0007】
本発明の目的は、上述の事情を考慮してなされたものであり、表面に弦巻線状の切り目を付与した食品を短時間に大量生産できる食品加工装置及び食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的達成のため、本発明は、円柱状の食品の表面に弦巻線状の切り目を付与する食品加工装置であって、当該食品加工装置は、前記食品が通過する、対向する一の平面部と他の平面部との一対の平面部が配され、当該一対の平面部の互いの距離は、前記食品の円柱状部分の直径と同距離又は当該直径よりも小さく構成され、前記一の平面部は前記他の平面部側に突出し、前記食品の面に前記切り目を付与するカッター部を有し、前記他の平面部は無端状のベルトコンベアの搬送面となって前記食品を搬送可能であり、前記食品は前記ベルトコンベアの駆動により、前記一対の平面部の間を、当該一対の平面部に挟持されつつ前記食品の円柱部分の周方向に沿って回転しつつ通過可能であり、前記カッター部は、前記一の平面部を構成するプレート部と、当該プレート部に立設されたブレード部からなり、
当該ブレード部は、前記食品の搬送方向に対して所定の角度傾斜して直線状に延びるように配され、前記プレート部に対して3つ以上立設して構成され、隣り合う夫々の前記ブレード部は、一方の前記ブレード部の任意の部位から食品の搬送方向に沿って引いた他方の前記ブレード部までの直線の距離が、前記食品の円柱部分の円周寸法と概ね一致して設定され、
前記食品はソーセージであり、当該ソーセージは、端部から串が前記ソーセージの軸方向に沿って内部に打ち込まれており、前記ブレード部は、前記ソーセージにおける前記串が打ち込まれた部分と、打ち込まれていない部分とに夫々対応して、傾斜角度又は隣り合う前記ブレード部の間隔が異なって設定されたことを特徴とする。
【0009】
また、本発明の前記ブレード部は、曲線と折れ線の少なくとも一方の形状を繰り返すことにより波形状に形成され、かつ、直線状に延びるようプレート部に立設されたことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の前記一の平面部には、前記カッター部が配置される位置よりも前記食品の搬送方向上流位置に、前記食品の軸方向を前記食品の搬送方向に対して垂直に修正する助走区間が設けられたことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的達成のため、本発明は、弦巻線状の切り目が表面に付与された円柱状の食品の製造方法であって、前記食品が通過する、対向する一の平面部と他の平面部との一対の平面部が配され、当該一対の平面部の互いの距離は、前記食品の円柱状部分の直径と同距離又は当該直径よりも小さく構成され、前記一の平面部は前記他の平面部側に突出し、前記食品の面に前記切り目を付与するカッター部を有し、前記他の平面部は無端状のベルトコンベアの搬送面となって前記食品を搬送可能であり、前記カッター部は、前記一の平面部を構成するプレート部と、当該プレート部に立設されたブレード部からなり、当該ブレード部は、前記食品の搬送方向に対して所定の角度傾斜して直線状伸びるように配され、前記プレート部に対して3つ以上立設して構成され、隣り合う夫々の前記ブレード部は、一方の前記ブレード部の任意の部位から食品の搬送方向に沿って引いた他方の前記ブレード部までの直線の距離が、前記食品の円柱部分の円周寸法と概ね一致して設定され、前記食品はソーセージであり、当該ソーセージは、端部から串が前記ソーセージの軸方向に沿って内部に打ち込まれており、前記ブレード部は、前記ソーセージにおける前記串が打ち込まれた部分と、打ち込まれていない部分とに夫々対応して、傾斜角度又は隣り合う前記ブレード部の間隔が異なって設定されていることを特徴とする食品加工装置により、前記食品を前記ベルトコンベアの駆動により、前記一対の平面部の間を、当該一対の平面部に挟持しつつ、前記食品の円柱部分の周方向に沿って回転させながら通過させて弦巻線状の切り目を前記食品の表面に付与することを特徴とする。
【0012】
また、本発明の前記ブレード部は、曲線と折れ線の少なくとも一方の形状を繰り返すことにより波形状に形成され、かつ、直線状に延びて構成されたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の前記一の平面部には、前記カッター部が配置される位置よりも前記食品の搬送方向上流位置に、前記食品の軸方向を前記食品の搬送方向に対して垂直に修正する助走区間が設けられたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、食品を一対の平面部の間に通過させるだけで、表面に弦巻線状の切り目を付与した食品を容易、かつ、短時間に大量生産できる。
【0015】
また、本発明によれば、カッター部は、ブレード部がプレート部に対して互いに平行に複数立設して構成されている。このため、カッター部の複数のブレード部は、搬送されてきた食品の円柱部分に略同時に切り目を入れ始め、食品をその円柱部分の周方向に沿って概ね1回転させるだけでも、食品の円柱部分の表面に弦巻線状の切り目を付与できる。従って、カッター部における食品の搬送方向に沿う長さを短かくでき、装置のワークスペースを短縮できる。
【0016】
さらに、本発明によれば、カッター部は、ブレード部がプレート部に対して互いに平行に複数立設して構成されている。このため、カッター部の複数のブレード部のいずれか複数が、搬送されてきた食品の円柱部分に接触して切り目を形成するので、食品の軸方向を位置決めするための位置決め手段が不要になる。
【0017】
また、本発明によれば、一の平面部には、カッター部が配置される位置よりも食品の搬送方向上流位置に、食品の軸方向(向き)を食品の搬送方向に対して垂直に修正する助走区間が設けられている。このため、円柱状の食品は、助走区間を回転して搬送される間にその向きが自然と自己修正されるので、食品を、その向きを揃えることなくランダムに装置に投入することができる。
【0018】
また、本発明によれば、カッター部のブレード部がプレート部に対して互いに平行に複数立設して構成される場合でも、食品がソーセージであることから、このソーセージの表面に付与される切り目は、カッター部の隣り合う一方のブレード部と他方のブレード部とで多少ずれてしまっても、ソーセージの弾力性により上記ずれが吸収される。この結果、ソーセージの表面に付与する切り目に綺麗な連続性を確保できる。
【0019】
また、本発明によれば、食品がソーセージである場合、ソーセージは表面の皮に弦巻線状の切り目が付与された後、加熱されることにより、皮と内部の肉との収縮率の差から皮の切り目が開いて、内部の肉が露出し所謂トルネードソーセージとなる。これにより、ソーセージに華やかさが与えられて、デザイン性の高いソーセージを提供できると共に、噛み切りやすくて食べやすいソーセージを提供できる。
【0020】
さらに、本発明によれば、食品がソーセージである場合、ソーセージの皮に付与される弦巻線状の切り目がカッター部の波形状のブレード部により形成され、その後ソーセージが加熱されて収縮率の大きな皮の切り目が開き、内部の肉が露出する場合には、このソーセージは、より一層華やかさが与えられてデザイン性が高まり、食事にわくわく感や喜びをより一層醸し出すことができる。
【0021】
また、本発明によれば、ブレード部のプレート部に対する突出高さを適宜調節することにより、ソーセージ等の食品のデザイン性や、食べやすさ(噛み切り易さ)、さらにはソース、スープ等を絡め易くするといった機能性を適宜調節可能であり、食べ方の幅を大きく広げることが可能である。
【0022】
また、本発明によれば、食品がソーセージである場合、カッター部のブレード部は、ソーセージにおける串が打ち込まれた部分と、打ち込まれていない部分とに夫々対応して、傾斜角度又は隣り合うブレード部の間隔が異なって設定されている。このため、ソーセージにおける串が打ち込まれた部分と打ち込まれていない部分とにおいて、特にブレード部の傾斜角度を異ならせた場合には、連続した綺麗な切り目を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明に係る食品加工装置の第1の実施形態を示す側断面図である。
図2図1の食品加工装置を、ベルトコンベア装置の図示を省略した状態で示す平面図である。
図3図1及び図2の食品加工装置により加工された食品としてのソーセージであり、(a)が串なしソーセージ、(c)が串ありソーセージ、(b)、(d)がそれぞれ図3(a)、図3(c)のソーセージの加熱後の状態を示す図である。
図4図1及び図2のカッター部を示す斜視図である。
図5図4のカッター部を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図、(c)が底面図である。
図6】本発明に係る食品加工装置の第2の実施形態におけるカッター部を示す斜視図である。
図7図6のカッター部を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図、(c)が底面図である。
図8図6及び図7のカッター部を備えた食品加工装置により加工された食品としてのソーセージであり、(a)が串なしソーセージ、(c)が串ありソーセージ、(b)、(d)がそれぞれ図8(a)、図8(c)のソーセージの加熱後の状態を示す図である。
図9】本発明に係る食品加工装置の参考例を、ベルトコンベア装置の図示を省略した状態で示す平面図である。
図10図9の食品加工装置を一部省略して示す側断面図である。
図11図9及び図10のカッター部を示す斜視図である。
図12図11のカッター部の変形形態を示す斜視図である。
図13】特許文献1の調理器具により製造された食品(トルネードポテト)を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための実施形態を図面に基づき説明する。本発明は、ソーセージを始めとする円柱状の食品を一対の平面部の間に通過させるだけで、表面に弦巻線状の切り目を付与した食品を容易、かつ、短時間に大量生産できるものである。
【0025】
[A]第1の実施形態(図1乃至図5
図1は、本発明に係る食品加工装置の第1の実施形態を示す側断面図であり、図2は、図1の食品加工装置を、ベルトコンベア装置の図示を省略した状態で示す平面図であり、図3は、図1及び図2の食品加工装置により加工された食品としてのソーセージであり、(a)が串なしソーセージ、(c)が串ありソーセージ、(b)、(d)がそれぞれ図3(a)、図3(c)のソーセージの加熱後の状態を示す図であり、図4は、図1及び図2のカッター部を示す斜視図であり、図5は、図4のカッター部を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図、(c)が底面図である。
【0026】
これらの図1及び図2に示す食品加工装置10は、円柱状の食品に対して使用するものであり、例えば図3に示すようなフランクフルトや、他にウインナーを含むソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を付与するものであり、ソーセージ1を通過させることでソーセージ1に切り目2を付与する一対の平面部としての切り目付与機構部11と、この切り目付与機構部11へソーセージ1を投入して供給する食品投入部12と、を有して構成される。
【0027】
ここで、円柱状の食品であるソーセージ1(フランクフルト及びウインナーを含む)は、図3に示すように、調味料や添加物等を加えて練り上げられた肉1bを、羊腸又はコラーゲンケーシング等の皮1a内に充填したものである。従って、このソーセージ1の表面は、上記皮1aで覆われている。
【0028】
図1及び図2に示す切り目付与機構部11は、移動台14の上面の移動経路14aにカッター部15が設置されると共に、助走区間16が設けられた一対の平面部としてのカッティング作用部13と、このカッティング作用部13の上方に配置されてソーセージ1を搬送可能な他の平面部としてのベルトコンベア装置17と、を有して構成される。
【0029】
これらのカッティング作用部13とベルトコンベア装置17は対向配置される。そして、これらのカッティング作用部13とベルトコンベア装置17との間をソーセージ1が通過する。図1ではカッティング作用部13が下方に配置され、対向配置されるベルトコンベア装置17その上方に配されているが、対向配置されていれば、カッティング作用部13を上方に、ベルトコンベア装置17を下方に対向配置したり、ソーセージ1を上下方向に通過させるように右方と左方に対向配置することも可能である。
【0030】
ベルトコンベア装置17は、無端状のコンベアベルト18が搬送面となってソーセージ1を水平方向に搬送させるものである。このベルトコンベア装置17とカッティング作用部13との距離Lは、ソーセージ1の円柱部分の直径と同一又はこの直径よりも小さな距離に設定される。
【0031】
例えば、ソーセージ1の直径が22mmの場合にベルトコンベア装置17とカッティング作用部13との距離Lは22mmと同一又は小さく設定される。より具体的には、ベルトコンベア装置17とカッティング作用部13との距離Lは、ソーセージ1の搬送方向Pの下流側(出口側)が上流側(入口側)よりも小さく設定されて、ソーセージ1の搬送力の向上が図られる。
【0032】
上述のベルトコンベア装置17は、回転軸19を備えた駆動ローラ20と、回転軸19を介して駆動ローラ20を駆動する図示しないモータと、駆動ローラ20と対をなす従動ローラ21と、駆動ローラ20と従動ローラ21とに巻き掛けられて張設された前記コンベアベルト18と、駆動ローラ20と従動ローラ21との間に設けられたベルト支持部22と、を有して構成される。
【0033】
コンベアベルト18は、モータによる駆動ローラ20の駆動により水平方向に移動し、ソーセージ1に接触して、カッティング作用部13との協働作用でソーセージ1を回転させながら搬送する。このコンベアベルト18の幅は、ソーセージ1の軸方向(長手方向)Oの長さ(例えば140mm)以上に設定される。また、コンベアベルト18におけるソーセージ1と接触する表面には、ソーセージ1との密着性を高めるために、例えば網目模様の突起が設けられている。
【0034】
ベルト支持部22は、コンベアベルト18においてカッティング作用部13と対向する側の裏面に接触することで、カッティング作用部13のカッター部15を通過するソーセージ1によりコンベアベルト18がベルトコンベア装置17側に撓まないように、このコンベアベルト18を支持するものである。このベルト支持部22がコンベアベルト18の撓みを防止することで、ソーセージ1がコンベアベルト18によってカッター部15に押し付けられる。
【0035】
上述のように構成されたベルトコンベア装置17の駆動により、前記食品投入部12から切り目付与機構部11に投入されたソーセージ1は、この切り目付与機構部11のカッティング作用部13とベルトコンベア装置17との間を、カッティング作用部13の移動経路14a及びカッター部15とベルトコンベア装置17のコンベアベルト18とに挟持されつつ、ソーセージ1の円柱部分の周方向に沿って回転しながら移動して通過する。
【0036】
ここで、食品投入部12は、斜め下方に延びる平板形状の投入プレート部23と、この投入プレート部23から鉛直方向に屈曲して延びる平板形状の落下プレート部24と、この落下プレート部24から斜め下方へ屈曲して延びカッティング作用部13の移動経路14aに連続する供給プレート部25と、を有して構成される。
【0037】
複数本のソーセージ1は、その向きが揃えられることなく投入プレート部23に投入され、重力の作用で落下プレート部24に沿って落下した後、供給プレート部25に沿ってカッティング作用部13とベルトコンベア装置17との間に供給される。
【0038】
カッティング作用部13における移動台14の移動経路14aには、ソーセージ1の搬送方向Pの上流側に助走区間16が設けられ、ソーセージ1の搬送方向Pの中央側にカッター部15が設置される。つまり、助走区間16は、移動台14の移動経路14aにおいてカッター部15が設置される位置よりも上流位置に、カッター部15が設置されず、かつ、ソーセージ1の搬送方向Pに沿った所定長さの区間として設定される。
【0039】
食品投入部12から向きが揃えられることなく投入されたソーセージ1は、助走区間16に搬送されて回転しながら移動して通過する間に、その軸方向Oが、ソーセージ1の搬送方向Pに対して垂直になるように、ソーセージ1の向きが自然と修正される。
【0040】
カッター部15は、図2図4及び図5に示すように、平板状のプレート部30と、このプレート部30に対して3以上の複数枚が互いに平行に、かつ、等しい間隔Sで立設されたブレード部31と、を有して構成される。
【0041】
さらに、ブレード部31は、波打つことなく平坦に形成され、かつ、ソーセージ1の搬送方向Pに対して所定の傾斜角度θだけ傾斜して直線状に延びて構成される。この傾斜角度θは例えば、13度~19度であるが、特に、ソーセージ1との摩擦との関係で16度が好ましい。
【0042】
また、ブレード部31は、プレート部30と一体に成形されて、ブレード部31とプレート部30との間に肉片や異物等の堆積が防止される。
【0043】
さらに、ブレード部31のプレート部30に対する突出高さHは、カッター部15がソーセージ1の表面に切り目2を付与したときでもソーセージ1の形状が維持される値に設定される。例えば、ソーセージ1の直径が22mmの場合には、ブレード部31の突出高さHは5mmに設定される。また、各ブレード部31の刃先となる先端は先鋭形状に形成されている。
【0044】
一方で、ブレード部31のプレート部30に対する突出高さHを大きくして、図13に示したスパイラル状(弦巻線状)にカットしたポテト100のように、切り目を超えて、ソーセージ1の形状自体を弦巻線状に加工することも可能である。即ち、ブレード部31のプレート部30に対する突出高さHを適宜調節することにより、ソーセージ1等の食品のデザイン性や、食べやすさ(噛み切り易さ)、さらにはソース、スープ等を絡め易くするといった機能性を適宜調節可能である。
【0045】
また、ブレード部31は、本実施形態のように刃先が真っ直ぐに構成される場合、即ち、ブレード部31の刃先とプレート部30との最短距離がどの位置でも一定となる構成の場合の他、鋸型形状、凹凸形状等適宜その形状を選択可能である。
【0046】
図1及び図2に示すように、カッター部15のプレート部30がカッティング作用部13の移動台14の移動経路14aにビス32等を用いて設置された状態では、このプレート部30は、移動台14の移動経路14aと共に、一の平面部としてソーセージ1の移動を案内する。
【0047】
このカッター部15の設置状態で、カッター部15のブレード部31はベルトコンベア装置17側へ突出して、カッティング作用部13のカッター部15とベルトコンベア装置17のコンベアベルト18との間を通過するソーセージ1の表面に、弦巻線状の切り目2を形成し付与する。
【0048】
第1の実施形態では、図2及び図5に示すように、カッター部15のブレード部31は、プレート部30に対して互いに平行に、かつ、(傾斜)角度θだけ傾斜して複数枚立設されている。従って、複数枚のブレード部31は、ベルトコンベア装置17により搬送されて回転しながら移動してきたソーセージ1に略同時に切り目2を入れ始め、ソーセージ1の回転によりこのソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を形成する。このとき、隣り合うブレード部31により形成される切り目2が一致する必要がある。
【0049】
この要請を満たすために、図5(a)に示すように、隣り合うそれぞれのブレード部31は、一方のブレード部31の任意の位置Aからソーセージ1の搬送方向Pに沿って引いた、隣り合う他方のブレード部31との交点Bまでの直線Mの長さTが、ソーセージ1の円柱部分の円周の寸法と概ね一致して設定されている。
【0050】
例えば、ソーセージ1の直径が22mmの場合には、直線Mの長さTは約70mmである。これにより、複数枚のブレード部31によってソーセージ1の表面に同時に切り目2を形成し、ソーセージ1が回転した場合でも、隣り合うブレード部31が形成した切り目2が一致する。
【0051】
尚、カッター部15のブレード部31におけるソーセージ1の搬送方向Pに沿う長さUが上記直線Mの長さTよりも長く設定されているのは、ソーセージ1をブレード部31上で1回転以上させることにより、隣り合うブレード部31が形成した切り目2が確実に一致するように、隣り合うブレード部31が形成した切り目2の重複部分を設けるものである。
【0052】
また、ソーセージ1の直径に多少ばらつきがある場合であっても、カッター部15のブレード部31におけるソーセージ1の搬送方向Pに沿う長さUが上記直線Mの長さTよりも長く設定されることにより、直径が想定よりも大きいソーセージ1の場合であっても、ブレード部31の長さが足りずに切り目2が途切れずに連続することが可能となる。
【0053】
また、カッター部15のブレード部31の枚数は、ソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を付与するために必要なソーセージ1の回転数に依存する。例えば、ソーセージ1がカッター部15上を1回転することでソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を形成する標準態様の場合に対し、ソーセージ1がカッター部15上を2回転することでソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を形成する場合には、カッター部15のブレード部31の枚数は、標準態様の場合におけるブレード部31の枚数の半分になる。
【0054】
図3(a)に示すように、上述のようにして食品加工装置10により表面に弦巻線状の連続する切り目2が付与されたソーセージ1は、その後加熱されることで、図3(b)に示すように、皮1aと肉1bとの収縮率の差から皮1aが大きく収縮して、皮1aに付与された切り目2が開き、内部の肉1bが露出する。これにより、華やかさが付与されて美観に優れ、更に、噛み切り易いソーセージ1になる。尚、図3(a)の破線で示した切り目2はソーセージ1の背面側にも切り目が入り弦巻線状の連続した切り目2となることを示している。
【0055】
また、ソーセージ1には、図3(c)に示すように、端部から串3が、ソーセージ1の軸方向Oに沿って3分の2程度内部に打ち込まれたものがある。この串3付きのソーセージ1では、串3が打ち込まれた部分3aは、串3が打ち込まれていない部分3bに比べて直径が大きく、このため円周の寸法が大きくなる。
【0056】
従って、このような串3付きのソーセージ1に弦巻線状の切り目2を付与する場合、カッター部15のブレード部31は、串3付きのソーセージ1における串3が打ち込まれた部分3aと串3が打ち込まれていない部分3bとのそれぞれに対応して、傾斜角度θまたは隣り合うプレート部31の間隔Sが異なって設定される。
【0057】
例えば、このような串3付きのソーセージ1の表面に切り目2を付与するカッター部15では、串3付きのソーセージ1における串3が打ち込まれていない部分3bに切り目2を付与するブレード部31は、串3なしのソーセージ1(図3(a))に切り目2を付与するブレード部31と同様の傾斜角度θ及びブレード部31の間隔Sに設定される。
【0058】
これに対し、串3付きのソーセージ1における串3が打ち込まれた部分3aに切り目2を付与するブレード部31は、図5(a)の2点鎖線に示すように、傾斜角度θ1が上記傾斜角度θよりも大きく設定される。このようなブレード部31を備えたカッター部15によって、串3付きのソーセージ1の表面に連続した切り目2を付与することが可能になる。
【0059】
また、串3付きのソーセージ1の表面に付与される切り目2が、串3が打ち込まれた部分3aと串3が打ち込まれていない部分3bとで多少非連続になっても許容される場合には、串3付きのソーセージ1における串3が打ち込まれた部分3aに切り目2を付与するブレーブ部31の間隔を、串3付きのソーセージ1における串3が打ち込まれていない部分3bに切り目2を付与するブレード部31の間隔Sよりも大きく設定してもよい。
【0060】
上述のようにして表面に切り目2が付与された串3付きのソーセージ1を加熱することで、図3(d)に示すように、串なしのソーセージ1の場合と同様に、皮1aと内部の肉1bの収縮率の差から、皮1aが大きく収縮して皮1aの切り目2が開き、この切り目2から内部の肉1bが露出する。これにより、串3付きのソーセージ1についても、華やかさが向上して美観に優れ、更に噛み切り易いソーセージなる。
【0061】
以上のように構成されたことから、第1の実施形態によれば次の効果(1)乃至(7)を奏する。
(1)図1及び図2に示すように、食品加工装置10は、ソーセージ1をカッティング作用部13とベルトコンベア装置17との間に通過させるだけで、表面に弦巻線状の切り目2を付与したソーセージ1等を短時間に容易に大量生産できる。
【0062】
(2)図2及び図5に示すように、カッター部15は、ブレード部31がプレート部30に対して互いに平行に複数枚立設して構成されている。このため、カッター部15の複数枚のブレード部31は、搬送されてきたソーセージ1に略同時に切り目2を入れ始め、ソーセージ1を周方向に沿って概ね1回転させるだけでも、ソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を付与できる。従って、カッター部15におけるソーセージ1の搬送方向Pに沿う長さを短くでき、食品加工装置10のワークスペースを短縮できる。
【0063】
(3)カッター部15は、ブレード部31がプレート部30に対して互いに平行に複数枚立設して構成されている。このため、カッター部15の複数枚のブレード部31のいずれかが、搬送されてきたソーセージ1に接触して切り目2を形成するので、ソーセージ1の軸方向Oを位置決めするための位置決め手段が不要になる。
【0064】
(4)図1及び図2に示すように、カッティング作用部13には、カッター部15が配置される位置よりもソーセージ1の搬送方向Pの上流位置に、ソーセージ1の軸方向(向き)Oをソーセージ1の搬送方向Pに対して垂直に修正する助走区間16が設けられている。このため、円柱状のソーセージ1は、助走区間16を回転して搬送され移動する間にその向きが自然と自己修正されるので、ソーセージ1を、その向きを揃えることなくランダムに食品加工装置10の食品投入部12に投入することができる。
【0065】
(5)図2乃至図4に示すように、カッター部15のブレード部31が、プレート部30に対して互いに平行に複数枚立設して構成される場合、ソーセージ1の表面に付与される切り目2は、カッター部15の隣り合う一方のブレード部31と他方のブレード部31とで多少ずれてしまっても、ソーセージ1の弾性力により上記ずれが吸収される。この結果、ソーセージ1の表面に付与する切り目2に綺麗な連続性を確保できる。
【0066】
(6)図3及び図5に示すように、カッター部15のブレード部31は、串3付きのソーセージ1における串3が打ち込まれた部分3aと、串3が打ち込まれていない部分3bとにそれぞれ対応して、傾斜角度θまたは隣り合うブレード部31の間隔Sが異なって設定されている。このため、串3付きのソーセージ1における串3が打ち込まれた部分3aと串3が打ち込まれていない部分3bとにおいて、特にブレード部31の傾斜角度θを異ならせる場合には、連続して綺麗な切リ目2を付与することができる。
【0067】
(7)図3に示すように、ソーセージ1は表面の皮1aに弦巻線状の切り目2が付与された後、加熱されることにより、皮1aと内部の肉1bとの収縮率の差から皮1aの切り目2が開いて、内部の肉1bが露出し所謂トルネードソーセージ(トルネードフランクフルト)となる。これにより、ソーセージ1に華やかさが与えられて、デザイン性の高いソーセージを提供できると共に、噛み切り易くて食べ易いソーセージを提供できる。
【0068】
(8)ブレード部31のプレート部30に対する突出高さHを適宜調節することにより、ソーセージ1のデザイン性や、食べやすさ(噛み切り易さ)、さらにはソース、スープ等を絡め易くするといった機能性を適宜調節可能であり、食べ方の幅を大きく広げることが可能である。
【0069】
[B]第2の実施形態(図6乃至図8
図6は、本発明に係る食品加工装置の第2の実施形態におけるカッター部を示す斜視図である。図7は、図6のカッター部を示し、(a)が正面図、(b)が右側面図、(c)が底面図であり、図8は、図6及び図7のカッター部を備えた食品加工装置により加工された食品としてのソーセージであり、(a)が串なしソーセージ、(c)が串ありソーセージ、(b)、(d)がそれぞれ図8(a)、図8(c)のソーセージの加熱後の状態を示す図である。この第2の実施形態において、第1の実施形態と同様な部分については、第1の実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0070】
第2の実施形態の食品加工装置が第1の実施形態と異なる点は、カッター部40におけるブレード部41の構成である。
【0071】
つまり、ブレード部41はプレート部30に対して、3以上の複数枚が互いに平行に、かつ、等しい間隔Sで立設される。また、各ブレード部41の先端は先鋭形状に形成されている。更に、各ブレード部41は、曲線と折れ線の少なくとも一方の形状を繰り返すことにより波形状に形成され、かつ、ソーセージ1の搬送方向Pに対して傾斜角度θだけ傾斜して直線状に延びて構成される。
【0072】
このブレード部41の波形状は、第2の実施形態では曲線が繰り返されることで形成されているが、折れ線が繰り返されることにより、または曲線と折れ線が組み合わされ繰り返されて形成されてもよい。
【0073】
上述のカッター部40を備える食品加工装置によって表面に波形状の切り目2が付与されたソーセージ1を、図8(a)及び(c)に示す。このソーセージ1においても、図8(b)及び(d)に示すように、波形状の切り目2が付与された後に加熱されることで、皮1aと内部の肉1bとの収縮率の差から皮1aが大きく収縮して、皮1aの波形状の切り目2が開き、この波形状の切り目2から内部の肉1bが露出する。
【0074】
以上のように構成されことから、第2の実施形態においても、第1の実施形態の効果(1)乃至(6)、(8)と同様な効果を奏するほか、次の効果(9)を奏する。
【0075】
(9)図8に示すように、ソーセージ1の皮1aに付与される弦巻線状の波形状の切り目2がカッター部40における波形状のブレード部41により形成され、そのソーセージ1が加熱されて収縮率の大きな皮1aの波形状の切り目2が開き、内部の肉1bが露出する。このため、このソーセージ1は、第1の実施形態の場合よりも一層華やかさが与えられてデザイン性が高まり、食事にわくわく感や喜びを一層醸し出すことができる。
【0076】
[C]参考例図9乃至図12
図9は、本発明に係る食品加工装置の参考例を、ベルトコンベア装置の図示を省略した状態で示す平面図であり、図10は、図9の食品加工装置を一部省略して示す側断面図であり、図11は、図9及び図10のカッター部を示す斜視図であり、図12は、図11のカッター部の変形形態を示す斜視図である。この参考例において、第1の実施形態と同様な部分については、第1の実施形態と同一の符号を付すことにより説明を簡略化し、または省略する。
【0077】
参考例の食品加工装置50が第1の実施形態と異なる点は、カッター部51のブレード部53がプレート部52に対して単数立設され、ソーセージ1の搬送方向Pに対して所定の傾斜角度θだけ傾斜し、直線状に延びて構成された点である。
【0078】
このブレード部53の形状は、図11に示すように、第1の実施形態と同様に波打つことなく平坦に形成されてもよく、また、図12に示すように、第2の実施形態と同様に、曲線と折れ線の少なくとも一方の形状を繰り返すことにより波形状に形成されてもよい。
【0079】
また、図9に示すように、ソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を形成するためには、ソーセージ1をカッター部51に対して複数回(例えば7回程度)回転させなければならない。このため、ブレード部53におけるソーセージ1の搬送方向Pに沿う長さNは、ソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を形成するために必要なソーセージ1の回転数に応じて設定される。
【0080】
例えば、ソーセージ1の直径が22mmの場合で、ソーセージ1の表面に弦巻線状の切り目2を形成するためにソーセージ1をカッター部51に対して7回転させなければならないときには、ブレード部53のソーセージ1の搬送方向Pに沿う長さNは、484(=22×3.14×7)mmに設定される。
【0081】
更に、図9及び図10に示すように、このカッター部51では、ブレード部53は、その始端53aがソーセージ1の軸方向Oの端部に切り目2を入れ始めなければならない。このため、食品加工装置50では、移動台14の助走区間16に、ソーセージ1の軸方向Oの端部をブレード部53の始端53aに案内して位置付けるための位置決め手段として、ガイドプレート54が設置されている。
【0082】
このガイドプレート54は、例えば図9に示す食品加工装置50の平面視で、カッター部51側に先細りの「ハの字」形状に形成される。このガイドプレート54の先細り先端部分の間隙Rは、概ねソーセージ1の軸方向Oの長さに設定される。
【0083】
以上のように構成されたことから、参考例においても、第1の実施形態の効果(1)、(4)、(7)及び(8)並びに第2の実施形態の効果(9)を奏するほか、次の効果(10)を奏する。
【0084】
(10)図9に示すように、カッター部51は、ブレード部53がプレート部52に対して単数立設されて構成されたので、表面に弦巻線状の切り目2を付与したソーセージ1を、カッター部51の簡単なブレード部53の構成で短時間に容易に大量生産できる。
【0085】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができ、また、それらの置き換えや変更は、発明の範囲や要旨に含まれると共に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0086】
例えば、本実施形態では、食品がフランクフルト含むソーセージ1の場合を述べたが、円柱状の練り製品(例えば竹輪など)や、円柱状に加工した野菜等に対しても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0087】
1 ソーセージ(食品)
1a ソーセージの皮
1b ソーセージの肉
2 切り目
3 串
3a 串が打ち込まれた部分
3b 串が打ち込まれていない部分
10 食品加工装置
11 切り目付与機構部(一対の平面部)
12 食品投入部
13 カッティング作用部(一の平面部)
14 移動台
14a 移動経路
15 カッター部
16 助走区間
17 ベルトコンベア装置(他の平面部)
18 コンベアベルト
19 回転軸
20 駆動ローラ
21 従動ローラ
22 ベルト支持部
23 投入プレート部
24 落下プレート部
25 供給プレート部
30 プレート部
31 ブレード部
32 ビス
40 カッター部
41 ブレード部
50 食品加工装置
51 カッター部
52 プレート部
53 ブレード部
53a 始端
54 ガイドプレート
100 ポテト
H 突出高さ
L カッティング作用部とベルトコンベア装置との距離
O ソーセージの軸方向
P ソーセージの搬送方向
R 先端部分の間隙
S ブレード部の間隔
θ,θ1 ブレード部の傾斜角度

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13