IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルパイン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-車両用後側方画像表示装置 図1
  • 特許-車両用後側方画像表示装置 図2
  • 特許-車両用後側方画像表示装置 図3
  • 特許-車両用後側方画像表示装置 図4
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】車両用後側方画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20220613BHJP
   B60R 1/00 20220101ALI20220613BHJP
   G09G 5/00 20060101ALI20220613BHJP
   G09G 5/36 20060101ALI20220613BHJP
   G09G 5/377 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04N7/18 U
B60R1/00
G09G5/00 510D
G09G5/36 520G
G09G5/00 530T
G09G5/00 510H
G09G5/00 550C
G09G5/36 520F
G09G5/36 520P
G09G5/36 520L
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018000390
(22)【出願日】2018-01-05
(65)【公開番号】P2019121913
(43)【公開日】2019-07-22
【審査請求日】2020-08-27
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103171
【弁理士】
【氏名又は名称】雨貝 正彦
(72)【発明者】
【氏名】大森 太輔
(72)【発明者】
【氏名】谷口 敬大
(72)【発明者】
【氏名】勝山 佳洋
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-48839(JP,A)
【文献】特開2015-202769(JP,A)
【文献】特開2013-207746(JP,A)
【文献】特開2015-136056(JP,A)
【文献】特開2016-49953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
B60R 1/00
G09G 5/00-5/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の後側方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記車両の一部を含む第1の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる第1の後側方画像を生成する第1の画像生成手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記車両の一部を含む第2の撮像範囲に対応する画像を圧縮した第2の後側方画像と、前記車両から離れる方向に前記第2の撮像範囲と連続した第3の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる周辺画像とを生成する第2の画像生成手段と、
前記第1の画像生成手段によって生成された前記第1の後側方画像と、前記第2の画像生成手段によって生成された前記第2の後側方画像および前記周辺画像と、のいずれかを表示対象として、所定のタイミングで切り替える切替タイミング判定手段と、
前記切替タイミング判定手段によって切替対象とされた画像を表示する表示手段と、
を備え、前記第2の画像生成手段は、路肩あるいは路側帯を区分する白線がある場合にこの白線を抽出し、この白線を境界として前記第2の後側方画像と前記周辺画像とを生成することを特徴とする車両用後側方画像表示装置。
【請求項2】
前記第2の画像生成手段は、歩道がある場合に、道路側の前記歩道の端部を抽出し、この端部を境界として前記第2の後側方画像と前記周辺画像とを生成することを特徴とする請求項に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項3】
車両の後側方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記車両の一部を含む第1の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる第1の後側方画像を生成する第1の画像生成手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記車両の一部を含む第2の撮像範囲に対応する画像を圧縮した第2の後側方画像と、前記車両から離れる方向に前記第2の撮像範囲と連続した第3の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる周辺画像とを生成する第2の画像生成手段と、
前記第1の画像生成手段によって生成された前記第1の後側方画像と、前記第2の画像生成手段によって生成された前記第2の後側方画像および前記周辺画像と、のいずれかを表示対象として、所定のタイミングで切り替える切替タイミング判定手段と、
前記切替タイミング判定手段によって切替対象とされた画像を表示する表示手段と、
前記第3の撮像範囲に含まれる第1の障害物を検出する第1の障害物検出手段と、
を備え、前記切替タイミング判定手段は、前記第1の後側方画像から前記第2の後側方画像および前記周辺画像に切り替えるタイミングであって、前記第1の障害物検出手段によって前記第1の障害物が検出されたときに、表示対象の切り替えを行うことを特徴とする車両用後側方画像表示装置。
【請求項4】
車両の後側方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記車両の一部を含む第1の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる第1の後側方画像を生成する第1の画像生成手段と、
前記撮像手段によって撮像された画像に基づいて、前記車両の一部を含む第2の撮像範囲に対応する画像を圧縮した第2の後側方画像と、前記車両から離れる方向に前記第2の撮像範囲と連続した第3の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる周辺画像とを生成する第2の画像生成手段と、
前記第1の画像生成手段によって生成された前記第1の後側方画像と、前記第2の画像生成手段によって生成された前記第2の後側方画像および前記周辺画像と、のいずれかを表示対象として、所定のタイミングで切り替える切替タイミング判定手段と、
前記切替タイミング判定手段によって切替対象とされた画像を表示する表示手段と、
前記第2の撮像範囲に含まれる第2の障害物を検出する第2の障害物検出手段と、
を備え、前記第2の画像生成手段は、前記第2の障害物検出手段によって前記第2の障害物が検出されたときに、前記第2の後側方画像を低い圧縮率にあるいは非圧縮に変更することを特徴とする車両用後側方画像表示装置。
【請求項5】
前記切替タイミング判定手段は、方向指示器が操作されたタイミングで、表示対象を、前記第1の後側方画像から前記第2の後側方画像および前記周辺画像に切り替えることを特徴とする請求項1~4のいずれか一項に記載の車両用後側方画像表示装置。
【請求項6】
前記切替タイミング判定手段は、操舵角が所定値以上になったタイミングで、表示対象を、前記第1の後側方画像から前記第2の後側方画像および前記周辺画像に切り替えることを特徴とする請求項1~5のいずれか一項に記載の車両用後側方画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載されて後側方を撮像して表示する車両用後側方画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、車両のサイドドアに取り付けられた後側方カメラで車両後側方を撮影し、得られた画像から一部の画像を切り出した部分画像と、切り出した部分画像の外側(車両から離れる向き)の一部に対応する周囲画像を撮像画像から切り出してサイズを部分画像より圧縮した圧縮画像とを合成して視認用画像を生成し、モニタに表示するようにした車両用視認装置が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-73733号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した特許文献1に開示された車両用視認装置では、部分画像の外側に、主に車両の側方の撮像範囲に対応する圧縮画像が表示されるが、この圧縮画像の車両の走行とともに後ろ側に移動する道路周辺の構造物等が含まれるため、走行時に運転者が特に注意しなければならない後方車両が目立たなくなるという問題があった。また、例えば交差点を左折時に歩道から交差点内に進入しようとしている歩行者や自転車については、圧縮画像で確認することになるため、接近の有無や程度が把握しにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創作されたものであり、その目的は、走行時に後方車両の接近を容易に確認することができ、右左折時等において車両周辺の歩行者や自転車等の接近の有無や程度の把握を確実に行うことができる車両用後側方画像表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明の車両用後側方画像表示装置は、車両の後側方を撮像する撮像手段と、撮像手段によって撮像された画像に基づいて、車両の一部を含む第1の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる第1の後側方画像を生成する第1の画像生成手段と、撮像手段によって撮像された画像に基づいて、車両の一部を含む第2の撮像範囲に対応する画像を圧縮した第2の後側方画像と、車両から離れる方向に第2の撮像範囲と連続した第3の撮像範囲に対応する非圧縮の画像からなる周辺画像とを生成する第2の画像生成手段と、第1の画像生成手段によって生成された第1の後側方画像と、第2の画像生成手段によって生成された第2の後側方画像および周辺画像と、のいずれかを表示対象として、所定のタイミングで切り替える切替タイミング判定手段と、切替タイミング判定手段によって切替対象とされた画像を表示する表示手段とを備えている。
【0007】
これにより、走行時に後側方画像のみが表示され、周辺画像が非表示になるため、後側方画像に含まれる後方車両が目立つようになり、後方車両の接近を容易に確認することが可能となる。また、右左折時等に車両近傍の画像を圧縮した上で周辺画像が含まれるように表示を行うことにより、車両周辺の歩行者や自転車等の接近の有無や程度の把握を確実に行うことが可能となる。
【0008】
また、上述した切替タイミング判定手段は、方向指示器が操作されたタイミングで、表示対象を、第1の後側方画像から第2の後側方画像および周辺画像に切り替えることが望ましい。方向指示器が操作されたときに非圧縮の周辺画像を表示するため、進路変更方向の歩道上の歩行者、自転車、隣接走行車線の後続車両などの接近の有無や程度の把握を確実に行うことができる。
【0009】
また、上述した切替タイミング判定手段は、操舵角が所定値以上になったタイミングで、表示対象を、第1の後側方画像から第2の後側方画像および周辺画像に切り替えることが望ましい。右左折時に操舵角が大きくなったときに非圧縮の周辺画像を表示するため、交差点を左折時に歩道から交差点内に進入しようとしている歩行者や自転車等の接近の有無や程度の把握を確実に行うことができる。
【0010】
また、上述した第2の画像生成手段は、路肩あるいは路側帯を区分する白線がある場合にこの白線を抽出し、この白線を境界として第2の後側方画像と周辺画像とを生成する。あるいは、上述した第2の画像生成手段は、歩道がある場合に、道路側の歩道の端部を抽出し、この端部を境界として第2の後側方画像と周辺画像とを生成することが望ましい。これにより、ドアミラーによって見ることができな車両周辺の画像を確実かつ分かりやすく表示することが可能となる。
【0011】
また、上述した第3の撮像範囲に含まれる第1の障害物を検出する第1の障害物検出手段をさらに備え、切替タイミング判定手段は、第1の後側方画像から第2の後側方画像および周辺画像に切り替えるタイミングであって、第1の障害物検出手段によって第1の障害物が検出されたときに、表示対象の切り替えを行う。これにより、周辺画像に歩行者や自転車等の障害物が含まれる場合に限って周辺画像が表示されるため、障害物がない場合には圧縮されない後側方画像を表示することが可能となる。
【0012】
また、上述した第2の撮像範囲に含まれる第2の障害物を検出する第2の障害物検出手段をさらに備え、第2の画像生成手段は、第2の障害物検出手段によって第2の障害物が検出されたときに、第2の後側方画像を低い圧縮率にあるいは非圧縮に変更する。これにより、車両に近い位置で自転車や二輪車等の障害物が接近してきた場合には低圧縮あるいは非圧縮の後側方画像を表示することで、これらの障害物の接近の有無や程度の認識が容易となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】一実施形態の車両用後側方画像表示装置の構成を示す図である。
図2】2つの画像生成部によって生成される画像と撮像範囲との関係を示す図である。
図3】右左折時等に表示対象の画像を切り替える車両用後側方画像表示装置の動作手順を示す流れ図である。
図4】方向指示器の操作の有無に応じて切り替わる表示内容の具体例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態の車両用後側方画像表示装置について、図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、一実施形態の車両用後側方画像表示装置の構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の車両用後側方画像表示装置1は、左カメラ10L、右カメラ10R、左画像格納部20L、右画像格納部20R、左画像生成部30L、32L、右画像生成部30R、32R、切替タイミング判定部40、周辺障害物検出部42、後方障害物検出部44、左画像切替部50L、右画像切替部50R、左表示部60L、右表示部60Rを備えている。
【0016】
左カメラ10Lは、物理的な左側のドアミラーが備わっていると仮定したときに、車両の運転者から見てこのドアミラーに映る領域が撮像範囲に含まれるように車両左側の後側方を撮像する。右カメラ10Rは、物理的な右側のドアミラーが備わっていると仮定したときに、車両の運転者から見てこのドアミラーに映る領域が撮像範囲に含まれるように車両右側の後側方を撮像する。なお、本実施形態の車両には左右のドアミラーは備わっておらず、代わりに、左カメラ10Lと右カメラ10Rの撮像によって得られた画像が表示される。
【0017】
左カメラ10Lによる撮像によって得られた画像は左画像格納部20Lに格納される。また、右カメラ10Rによる撮像によって得られた画像は右画像格納部20Rに格納される。
【0018】
左画像生成部30L、32Lは、左カメラ10Lで撮像されて左画像格納部20Lに格納された画像(左画像)に基づいて表示用の2種類の画像を生成する。一方の左画像生成部30Lは、左画像に基づいて、自車両の一部を含む第1の左側撮像範囲(第1の撮像範囲に対応する)に対応する画像からなる非圧縮(画像が横方向あるいは縦方向に圧縮されていない)の第1の左後側方画像を生成する。この第1の左側撮像範囲は、長方形形状あるいは正方形形状を有する物理的な左側のドアミラーに映る領域を想定しており、この第1の左後側方画像を表示することにより、左側のドアミラーを通して車両の左後側方を見た場合と同様の後方確認を行うことが可能となる。
【0019】
また、他方の左画像生成部32Lは、左画像に基づいて、車両の一部を含む第2の左側撮像範囲(第2の撮像範囲に対応する)に対応する画像を圧縮した第2の左後側方画像と、車両から離れる方向に第2の左側撮像範囲と連続した撮像範囲(左側周辺撮像範囲、第3の撮像範囲に対応する)に対応する画像からなる非圧縮の左側周辺画像とを生成する。第2の左側撮像範囲と左側周辺撮像範囲を合わせた範囲が、上述した第1の左側撮像範囲よりも横方向に広い範囲をカバーするようになっている。
【0020】
図2は、2つの画像生成部30L、32Lによって生成される画像と撮像範囲との関係を示す図である。図2において、L1は画像生成部30Lによって生成される第1の左後側方画像に対応する第1の左側撮像範囲を、L2は画像生成部32Lによって生成される第2の左後側方画像に対応する第2の左側撮像範囲を、L3は画像生成部32Lによって生成される左側周辺画像に対応する左側周辺撮像範囲をそれぞれ示している。図2に示すように、L2+L3>L1の関係を有する。
【0021】
同様に、右画像生成部30R、32Rは、右カメラ10Rで撮像されて右画像格納部20Rに格納された画像(右画像)に基づいて表示用の2種類の画像を生成する。一方の右画像生成部30Rは、右画像に基づいて、自車両の一部を含む第1の右側撮像範囲(第1の撮像範囲に対応する)に対応する画像からなる非圧縮の第1の右後側方画像を生成する。この第1の右側撮像範囲は、長方形形状あるいは正方形形状を有する物理的な右側のドアミラーに映る領域を想定しており、この第1の右後側方画像を表示することにより、右側のドアミラーを通して車両の右後側方を見た場合と同様の後方確認を行うことが可能となる。
【0022】
また、他方の右画像生成部32Rは、右画像に基づいて、車両の一部を含む第2の右側撮像範囲(第2の撮像範囲に対応する)に対応する画像を圧縮した第2の右後側方画像と、車両から離れる方向に第2の右側撮像範囲と連続した撮像範囲(右側周辺撮像範囲、第3の撮像範囲に対応する)に対応する画像からなる非圧縮の右側周辺画像とを生成する。第2の右側撮像範囲と右側周辺撮像範囲を合わせた範囲が、上述した第1の右側撮像範囲よりも横方向に広い範囲をカバーするようになっている。
【0023】
切替タイミング判定部40は、表示対象を、左画像生成部30L、右画像生成部30Rによって生成された画像から、左画像生成部32L、右画像生成部32Rによって生成された画像に切り替えるタイミングを判定する。例えば、方向指示器(ウィンカー)の動作状態を示すウインカー信号や操舵角を示す操舵角信号が入力されており、切替タイミング判定部40は、左右いずれかの方向指示器が操作されたことを示すウィンカー信号が入力されたときに、および/または、操舵角が所定値以上になったことを操舵角信号に基づいて検出したときに、表示対象を切り替えるタイミングであると判定する。なお、方向指示器が操作され、かつ、操舵角が所定値以上になった場合に、画像を切り替えるタイミングであると判定するようにしてもよい。
【0024】
周辺障害物検出部42は、上述した左側周辺撮像範囲および右側周辺撮像範囲に含まれる第1の障害物を検出する。例えば、左側周辺撮像範囲に含まれる第1の障害物としては、歩行者、自転車などが考えられる。また、右側周辺撮像範囲に含まれる第1の障害物としては、歩行者、自転車、二輪車や乗用車(交差点やT字路を左折時に右方向から接近する車両)などが考えられる。
【0025】
後方障害物検出部44は、上述した第2の左側撮像範囲あるいは第2の右側撮像範囲に含まれる第2の障害物を検出する。例えば、第2の障害物としては、車両後方から接近する自転車や二輪車などが考えられる。
【0026】
左画像切替部50Lは、切替タイミング判定部40によって表示対象を切り替えるタイミングである旨の判定が行われたときに、左画像生成部30Lによって生成された第1の左後側方画像から、左画像生成部32Lによって生成された第2の左後側方画像および左側周辺画像に表示対象を切り替える。切り替えられた表示対象の画像は左表示部60Lに入力される。
【0027】
同様に、右画像切替部50Rは、切替タイミング判定部40によって表示対象を切り替えるタイミングである旨の判定が行われたときに、右画像生成部30Rによって生成された第1の右後側方画像から、右画像生成部32Rによって生成された第2の右後側方画像および右側周辺画像に表示対象を切り替える。切り替えられた表示対象の画像は右表示部60Rに入力される。
【0028】
左表示部60Lは、左カメラ10Lによって撮像された画像に基づいて生成されて左画像切替部50Lを介して入力される画像を表示する。右表示部60Lは、左カメラ10Lによって撮像された画像に基づいて生成されて左画像切替部50Lを介して入力される画像を表示する。例えば、左表示部60L、右表示部60Lは液晶表示装置によって構成されており、左表示部60Lがダッシュボードの左側端部近傍に配置され、右表示部60Rがダッシュボードの右側端部近傍に配置されている。
【0029】
上述した左カメラ10L、右カメラ10Rが撮像手段に、左画像生成部30L、右画像生成部30Rが第1の画像生成手段に、左画像生成部32L、右画像生成部32Rが第2の画像生成手段に、切替タイミング判定部40、左画像切替部50L、右画像切替部50Rが切替タイミング判定手段に、左表示部60L、右表示部60Rが表示手段にそれぞれ対応する。
【0030】
本実施形態の車両用後側方画像表示装置1はこのような構成を有しており、次に、その動作を説明する。
【0031】
図3は、右左折時等に表示対象の画像を切り替える車両用後側方画像表示装置の動作手順を示す流れ図である。この動作手順は、所定の時間間隔(例えば、1秒間に30回の間隔)で繰り返される。
【0032】
まず、左カメラ10Lと右カメラ10Rによってそれぞれの撮像範囲について車両の後側方を撮像する(ステップ100)。左カメラ10Lの撮像範囲は、図2に示した第2の左側撮像範囲L2と左側周辺撮像範囲L3を合わせた範囲、あるいはこの合わせた範囲よりも広い範囲である。右カメラ10Rについても同様であり、右カメラ10Rの撮像範囲は、第2の右側撮像範囲と右側周辺撮像範囲を合わせた範囲、あるいはこの合わせた範囲よりも広い範囲である。左カメラ10Lによって撮像された画像は左画像格納部20Lに格納される。また、右カメラ10Rによって撮像された画像は右画像格納部20Rに格納される。
【0033】
次に、左画像生成部30Lは、左画像格納部20Lに格納された左画像に基づいて、自車両の一部が含まれる第1の左側撮像範囲L1(図2)に対応する非圧縮の第1の左後側方画像を生成する。右画像生成部30Rは、右画像格納部20Rに格納された右画像に基づいて、自車両の一部が含まれる第1の右側撮像範囲に対応する非圧縮の第1の右後側方画像を生成する(ステップ102)。
【0034】
次に、あるいは、ステップ102の動作と並行して、左画像生成部32Lは、左画像格納部20Lに格納された左画像に基づいて、車両の一部が含まれる第2の左側撮像範囲L2に対応する画像を圧縮した第2の左後側方画像と、車両から離れる方向に第2の左側撮像範囲と連続した左側周辺撮像範囲L3に対応する画像からなる非圧縮の左側周辺画像とを生成する。右画像生成部32Rは、右画像格納部20Rに格納された右画像に基づいて、車両の一部が含まれる第2の右側撮像範囲に対応する画像を圧縮した第2の右後側方画像と、車両から離れる方向に第2の右側撮像範囲と連続した右側周辺撮像範囲に対応する画像からなる非圧縮の右側周辺画像とを生成する(ステップ104)。
【0035】
次に、切替タイミング判定部40は、表示対象を切り替えるタイミングか否かを判定する(ステップ106)。上述したように、この判定は、ウィンカー信号および操舵角信号の少なくとも一方に基づいて行う場合が考えられる。
【0036】
例えば、方向指示器の動作状態に応じてこの判定を行うものとすると、方向指示器が操作されない場合には否定判断が行われる。この場合には、切替タイミング判定部40から切替指示は出力されず、左画像切替部50Lは左画像生成部30Lによって生成された第1の左後側方画像を選択し、右画像切替部50Rは右画像生成部30Rによって生成された第1の右後側方画像を選択する(ステップ108)。次に、左表示部60Lは、左画像切替部50Lによって選択された第1の左後側方画像を表示し、右表示部60Rは、右画像切替部50Rによって選択された第1の右後側方画像を表示する(ステップ110)。このようにして、方向指示器が操作されない状態等(例えば、方向指示器が操作されずに車両が直進走行している場合)には、物理的な左右のドアミラーに映し出されるような左右の後側方画像が左表示部60Lと右表示部60Rに表示される。
【0037】
また、方向指示器が操作されると、ステップ106の判定において肯定判断が行われる。この場合には、切替タイミング判定部40から切替指示が出力され、左画像切替部50Lは左画像生成部32Lによって生成された第2の左後側方画像と左側周辺画像を選択し、右画像切替部50Rは右画像生成部32Rによって生成された第2の右後側方画像と右側周辺画像を選択する(ステップ112)。次に、左表示部60Lは、左画像切替部50Lによって選択された第2の左後側方画像と左側周辺画像を表示し、右表示部60Rは、右画像切替部50Rによって選択された第2の右後側方画像と右側周辺画像を表示する(ステップ114)。このようにして、方向指示器が操作された状態等(例えば、交差点を右左折する場合や車線変更する場合)には、物理的な左右のドアミラーに映し出されるような左右の後側方画像よりも広い範囲の左側周辺画像と右側周辺画像が含まれるように左表示部60Lと右表示部60Rにおける表示が行われる。
【0038】
図4は、方向指示器の操作の有無に応じて切り替わる表示内容の具体例を示す図である。図4(A)には左カメラ10Lによる撮像によって得られた左画像が、図4(B)には方向指示器が操作されない場合に左表示部60Lに表示される第1の左後側方画像が、図4(C)には方向指示器が操作された場合に左表示部60Lに表示される第2の左後側方画像と左側周辺画像が示されている。
【0039】
方向指示器が操作されない場合には、図4(B)に示すように、第1の左側撮像範囲L1(図2)に対応する非圧縮の第1の左後側方画像が左表示部60Lに表示される。これに対し、方向指示器が操作された場合には、図4(C)に示すように、第2の左側撮像範囲L2(図2)に対応する画像を圧縮した第2の左後後方画像と、左側周辺撮像範囲L3(図2)に対応する非圧縮の左側周辺画像とが隣接するように左表示部60Lに表示される。
【0040】
ところで、上述した第2の左側撮像範囲L2と左側周辺撮像範囲L3の境界の設定方法としてはいくつかの場合が考えられる。
【0041】
例えば、撮像範囲に路肩あるいは路側帯を区分する白線がある場合にこの白線を抽出し、この白線を上述した境界とする場合である。図4(C)ではこの境界が用いられている。なお、実際には、この白線は湾曲しているため、自車両に最も近い白線の端部や画像に含まれる白線の上端あるいは下端を通る垂直線を境界とすることが考えられる。
【0042】
あるいは、歩道がある場合に、道路側の歩道の端部を抽出し、この端部を境界とする場合である。なお、実際には、白線と同様に歩道の端部も湾曲しているため、自車両に最も近い歩道の端部や画像に含まれる歩道端部の上端あるいは下端を通る垂直線を境界とすることが考えられる。
【0043】
このように、本実施形態の車両用後側方画像表示装置1では、走行時に後側方画像のみが表示され(図4(B))、周辺画像が非表示になるため、後側方画像に含まれる後方車両が目立つようになり、後方車両の接近を容易に確認することが可能となる。また、右左折時等に車両近傍の画像を圧縮した上で周辺画像が含まれるように表示を行うことにより(図4(C))、車両周辺の歩行者や自転車等の接近の有無や程度の把握を確実に行うことが可能となる。
【0044】
また、方向指示器が操作されたときに非圧縮の周辺画像を表示するため(図4(C))、進路変更方向の歩道上の歩行者、自転車、隣接走行車線の後続車両などの接近の有無や程度の把握を確実に行うことができる。
【0045】
また、右左折時に操舵角が大きくなったときに非圧縮の周辺画像を表示するため(図4(C))、交差点を左折時に歩道から交差点内に進入しようとしている歩行者や自転車等の接近の有無や程度の把握を確実に行うことができる。
【0046】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、上述した実施形態では、切替タイミング判定部40は、左右いずれかの方向指示器が操作されたことを示すウィンカー信号が入力されたときに、および/または、操舵角が所定値以上になったことを操舵角信号に基づいて検出したときに、表示対象を切り替えるタイミングであると判定したが、この判定条件に代えて、あるいはこの判定条件に加えて他の判定条件を考慮するようにしてもよい。
【0047】
具体的には、切替タイミング判定部40は、上記の判定条件を満たす場合であって、周辺障害物検出部42(第1の障害物検出手段に対応する)によって障害物(第1の障害物)が検出されたときに、表示対象の切り替え(図3のステップ106の判定において肯定判断)を行うようにしてもよい。これにより、周辺画像に歩行者や自転車等の障害物が含まれる場合に限って周辺画像が表示されるため、障害物がない場合には圧縮されない後側方画像を表示することが可能となる。
【0048】
また、後方障害物検出部44(第2の障害物検出手段に対応する)によって、後方から自車両に接近する第2の障害物を検出したときに、左画像生成部32Lによって生成される第2の左後側方画像や右画像生成部32Rによって生成される第2の右後側方画像の圧縮率を下げたり、非圧縮とするようにしてもよい。車両に近い領域で自転車や二輪車等の障害物が接近してきた場合には低圧縮あるいは非圧縮の後側方画像を表示することで、これらの障害物の接近の有無や程度の認識が容易となる。
【産業上の利用可能性】
【0049】
上述したように、本発明によれば、走行時に後側方画像のみが表示され、周辺画像が非表示になるため、後側方画像に含まれる後方車両が目立つようになり、後方車両の接近を容易に確認することが可能となる。また、右左折時等に車両近傍の画像を圧縮した上で周辺画像が含まれるように表示を行うことにより、車両周辺の歩行者や自転車等の接近の有無や程度の把握を確実に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0050】
1 車両用後側方画像表示装置
10L 左カメラ
10R 右カメラ
20L 左画像格納部
20R 右画像格納部
30L、32L 左画像生成部
30R、32R 右画像生成部
40 切替タイミング判定部
42 周辺障害物検出部
44 後方障害物検出部
50L 左画像切替部
50R 右画像切替部
60L 左表示部
60R 右表示部
図1
図2
図3
図4