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7086465持ち運び用包装箱及び持ち運び用包装箱のブランクシート
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】持ち運び用包装箱及び持ち運び用包装箱のブランクシート
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/462 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
B65D5/462 110
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018067858
(22)【出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2019177903
(43)【公開日】2019-10-17
【審査請求日】2021-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000129493
【氏名又は名称】株式会社クラウン・パッケージ
(74)【代理人】
【識別番号】100119091
【弁理士】
【氏名又は名称】豊山 おぎ
(72)【発明者】
【氏名】新井 涼香
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0224864(US,A1)
【文献】実開昭54-128819(JP,U)
【文献】特開2003-312646(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/462
B65D 5/468
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒体を形成する側板部と、前記筒体の一方の開口部を塞ぐ天板部と、前記筒体の他方の開口部を塞ぐ底部とを備え、
前記側板部に、切込み及び折り目の形成によって引き起し自在に形成された第1のU字部が形成され、
前記第1のU字部の少なくとも一部に重ねて前記第1のU字部の内面に貼り合わされ、前記第1のU字部と共に引き起こされる貼着先端部が設けられ、
前記貼着先端部には、前記第1のU字部の先端縁に沿う位置で折り曲げられ前記第1のU字部に対し逆U字形を形成し、前記第1のU字部の立ち上げに伴って、前記第1のU字部の立ち上げにより形成される孔部から前記側板部の外面側に引き出される第3のU字部が連接し、
前記第3のU字部は、前記孔部を形成している第1側板部の周壁部に係止する係止部を有し、
前記引き起こしにより前記第1のU字部と、第3のU字部とが取っ手となる持ち運び用包装箱。
【請求項2】
前記筒体は、折り目を介して一方向に4つ以上連接させた前記側板部を有し、
前記第1のU字部は、前記一方向の一端に位置する前記側板部に形成され、
前記一方向の一端に対する他端に位置する前記側板部には、折り目を介して接合代が連接し、前記貼着先端部は、側板部の端縁同士をつなげて筒体にするために側板部の内側に貼着させる接合代の一部として、前記第1のU字部と同一又は小さい同形状に形成されて第2のU字部を構成している請求項1に記載の持ち運び用包装箱。
【請求項3】
前記第1のU字部が引き起こされた際に頂辺を成す前記第1のU字部の先端縁は、前記第1のU字部の基端部の幅寸法よりも幅広に切り欠かれ、
前記第3のU字部の前記孔部から引き出される部分の幅寸法は、前記第1のU字部の基端部の幅寸法よりも大きくかつ前記第1のU字部の先端縁の幅寸法よりも小さく形成されている請求項1又は2に記載の持ち運び用包装箱。
【請求項4】
前記係止部は、前記周壁部に面接触で係止する補助係止片を有している請求項1から3のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱。
【請求項5】
前記第1のU字部は、その先端縁と平行で前記第1のU字部の基端線寄りに形成された折り目と、この折り目の両端から前記第1のU字部の基端線に向かって平行に延びた後、基端線上でつながっている切込みとにより形成される押込み片を前記第1のU字部の内側に有し、
前記第3のU字部は、前記孔部から引き出された際に頂辺となる辺に平行で、前記頂辺と前記第3のU字部の引き起こし基端線となっている係止辺との間に形成された折り目と、この折り目の両端から前記係止辺に向かって延びた後、前記係止辺上でつながる切込みとにより形成される押込み片を前記第3のU字部の内側に有している請求項1から4のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載の持ち運び用包装箱を形成するブランクシート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、持ち運び用包装箱及び持ち運び用包装箱のブランクシートに関する。
【背景技術】
【0002】
配送する物品等を梱包する資材として、特許文献1に開示されているような組立が容易な構造を有するもの等多種多様な包装箱が開発されている。近年は、ネット通販等の通信販売の拡大に伴い、梱包された商品をコンビニエンスストアや駅等の公共の場に設置された宅配ボックス等、購入者の便宜の良い場所に配送し、それらの場所から購入者が自宅等に持ち帰るという配送形態が広がっている。配送商品には荷重の大きい物もあり、しかも最終目的場所までの持ち運びの便も考慮すると、包装箱に手持ち部が設けられて片手で運べるものが望まれる。このような手持ちで運ぶための包装箱としては、業者による運搬時には凹凸のない直方体形状で、手で持ち運びをする際に包装箱に手持ち部が形成されたもの開発されている(例えば下記特許文献1,2)。
【0003】
特許文献1又は2に記載の包装箱は、角筒を形成する側板部と、角筒の開口部を閉じる天板フラップ及び底板フラップとを有している。更に、同包装箱は、側板部に開口部を形成する手掛け片を有している。また、これらの包装箱は、天板部の一部に折り返し部を形成し、折り返し部を天板に対して折り曲げることによって、手掛け片を支持し補強する補強板を設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】実公昭46-16629号公報
【文献】実公平7-9780号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2等の従来の包装箱は、補強板の形成が面倒であり、ブランクシートを包装箱にして商品等を収容するユーザーにとって不便であった。
すなわち、特許文献1に記載の包装箱は、製函時に、補強片を天板に対して折り曲げた後、補強板の先端を天板の下面に接着しなければならなかった。また、特許文献2に記載の包装箱は、天板フラップを折り曲げて筒体の開口部を覆った状態で補強板を折り曲げ、補強板に連接する支持凸片を側板に密着させなければならず、その状態を作り難かった。
そこで、本発明は、取っ手部を容易に形成できる持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用包装箱を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の持ち運び用包装箱は、筒体を形成する側板部と、前記筒体の一方の開口部を塞ぐ天板部と、前記筒体の他方の開口部を塞ぐ底部とを備え、前記側板部に、切込み及び折り目の形成によって引き起し自在に形成された第1のU字部が形成され、前記第1のU字部の少なくとも一部に重ねて前記第1のU字部の内面に貼り合わされ、前記第1のU字部と共に引き起こされる貼着先端部が設けられ、前記貼着先端部には、前記第1のU字部の先端縁に沿う位置で折り曲げられ前記第1のU字部に対し逆U字形を形成し、前記第1のU字部の立ち上げに伴って、前記第1のU字部の立ち上げにより形成される孔部から前記側板部の外面側に引き出される第3のU字部が連接し、前記第3のU字部は、前記孔部を形成している第1側板部の周壁部に係止する係止部を有し、前記引き起こしにより前記第1のU字部と、第3のU字部とが取っ手となる。
この構成によれば、第1のU字部の引き起こしに伴って第3のU字部を引き出し、取っ手を形成することができる。
【0007】
本発明の持ち運び用包装箱の前記筒体は、折り目を介して一方向に4つ以上連接させた前記側板部を有し、前記第1のU字部は、前記一方向の一端に位置する前記側板部に形成され、前記一方向の一端に対する他端に位置する前記側板部には、折り目を介して接合代が連接し、前記貼着先端部は、側板部の端縁同士をつなげて筒体にするために側板部の内側に貼着させる接合代の一部として、前記第1のU字部と同一又は小さい同形状に形成されて第2のU字部を構成していてもよい。
この構成によれば、貼着先端部を接合代の一部としているため、持ち運び用包装箱の製造が容易になるとともに、第1のU字部を補強することができる。
【0008】
本発明の持ち運び用包装箱の前記第1のU字部が引き起こされた際に頂辺を成す前記第1のU字部の先端縁は、前記第1のU字部の基端部の幅寸法よりも幅広に切り欠かれ、前記第3のU字部の基端部の幅寸法は、前記第1のU字部の基端部の幅寸法よりも大きくかつ前記第1のU字部の先端縁の幅寸法よりも小さく形成されていてもよい。
この構成によれば、第3のU字部を引き出した際に、第3のU字部が第1のU字部を引き起こした際に形成される孔部において不用意に搖動することを防止することができる。
【0009】
本発明の持ち運び用包装箱の前記係止部は、前記周壁部に面接触で係止する補助係止片を有していてもよい。
この構成によれば、第3のU字部を周壁部に確実に係止することができる。
【0010】
本発明の持ち運び用包装箱の前記第1のU字部は、その先端縁と平行で前記第1のU字部の基端線寄りに形成された折り目と、この折り目の両端から前記第1のU字部の基端縁に向かって平行に延びた後、基端縁上でつながっている切込みとにより形成される押込み片を前記第1のU字部の内側に有し、前記第3のU字部は、その先端縁と平行で基端部側に形成された折り目と、この折り目の両端から前記第3のU字部の基端部に向かって延びた後、係止部との境界線上でつながっている切込みとにより形成される押込み片を前記第3のU字部の内側に有していてもよい。
この構成によれば、押込み片により取っ手の把持が容易となる。
【0011】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシートは、上記いずれかに記載の持ち運び用包装箱を形成する。
この構成によれば、上記いずれかの作用を発揮する。
【発明の効果】
【0012】
本発明の持ち運び用包装箱のブランクシート及び持ち運び用包装箱は、側板部の一部を引き起こすだけで容易に取っ手部を形成することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施形態に係る持ち運び用包装箱を示した斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係るブランクシートを外面から視た展開図である。
図3】本発明の一実施形態に係る持ち運び用包装箱の使用方法を示した斜視図である。
図4】本発明の一実施形態に係る持ち運び用包装箱の形成状態を示した側面図である。
図5】本発明の一実施形態に係るブランクシートの製函前の状態を示した正面図である。
図6】本発明の一実施形態に係る持ち運び用包装箱の取っ手の形成状態を示した断面図である。
図7】本発明の一実施形態に係る持ち運び用包装箱のブランクシートの変形例を示した正面図である。
図8】本発明の一実施形態に係る持ち運び用包装箱のブランクシートの変形例を示した正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照して、本発明の包装箱の実施形態について説明する。なお、以下の説明で用いる図の各部分の寸法は実際のものと同一とは限らず、適宜変更することができる。本実施形態において、本発明の各部を上辺、下辺、側辺等と称することがあるが、これらは特に断りのない限り、底部を下面としてブランクシート又は包装箱を視た場合の各部の相対的な位置関係を示すためのものであり、必ずしも包装箱の向き等を定めるものではない。
【0015】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態の持ち運び用包装箱Xは、複数の側板部2,3,4,5を連結して形成される筒体6と、筒体6の一方の開口部7を塞ぐ天板フラップ8,9,10,11と、筒体6の他方の開口部12を塞ぐいわゆる底部13とを備えている。天板フラップ8-11は、全体で開口部7を塞ぐ天板部を構成している。
【0016】
図2は、包装箱Xのブランクシート(以下「ブランクシート」という)1を外面から視た図である。図2に示すように、複数の側板部は、第1側板部2、第2側板部3、第3側板部4及び第4側板部5により構成され、図1に示す略直方体の筒体6を形成可能となっている。図2に示すように、各側板部は、それぞれの間で折り目となっている側辺6aにおいて連接し、一方向に並んでいる。
【0017】
第1側板部2及び第3側板部4は、側辺6aの延在方向の寸法及びこれに直交する上辺6b又は下辺6c方向の寸法を略同一とする矩形に形成されている。第2側板部3及び第4側板部5は、側辺6a方向及びこれに直交する上辺6d又は下辺6e方向の寸法を略同一とする矩形に形成されている。
【0018】
第1側板部2には、切込み及び折り目の形成によって引き起し自在に形成された第1のU字部20が形成されている。
第1のU字部20は、略矩形に形成された外端縁20aと、外端縁20aから所定寸法内側の位置で手を挿入する開口部を形成する内端縁20bとにより、所定の幅寸法を有するU字形に形成される取っ手15(図6参照)の一片側となる部分である。
【0019】
外端縁20aは、第1側板部2の端縁2a寄りの位置で端縁2aに平行に形成された引き起こし基端線21と、引き起こし基端線21の両端から上辺6b及び下辺6cに沿って延びる外側立ち上がり辺22,22と、外側立ち上がり辺22,22の両端を結ぶ頂辺23とにより形成されている。
引き起こし基端線21は、第1のU字部20を引き起こす際に第1のU字部20以外の周壁部27との連結部分となる折り目となっている。
【0020】
第1のU字部20の頂辺(先端縁)23は、第1のU字部20の基端部の幅寸法よりも幅広に切り欠かれている。言い換えると、外側立ち上がり辺22と頂辺23とがなす角部は、頂辺23の両端方向に張り出して、直線状の外側立ち上がり辺22,22(基端部を含む部分)同士の間よりも外側に切り欠かれた張り出し部24,24となっている。
頂辺23の中央部分は、側辺6a方向に僅かに突出した指掛け部25を形成している。
以上の外側立ち上がり辺22と頂辺23とは、連続する略U字形の切込みとなっている。
【0021】
頂辺23と側辺6aとの間、外側立ち上がり辺22と上辺6b、外側立ち上がり辺22と下辺6c、引き起こし基端線21と端縁2aとの間は、第1のU字部20を引き起こした際に孔部26を取り囲む周壁部27となっている。
指掛け部25に隣り合う周壁部27には、頂辺23に対して垂直な2本の切込み23t,23tが頂辺23から延び、更に2本の切込み23t,23tの先端が折り目23yで結ばれており、2本の切込み23t,23tの間が押込み部28になっている。
【0022】
内端縁20bは、引き起こし基端線21上に延びる内側先端縁29と、内側先端縁29の両端から頂辺23に向かって延びる内側立ち上がり辺30,30と、内側立ち上がり辺30,30の先端間に延びる内側基端線31とにより形成されている。内側先端縁29と内側立ち上がり辺30,30とは、連続する切込みとなっている。内側基端線31は、折り目となっている。切込みをなす内側先端縁29及び内側立ち上がり辺30,30と、折り目をなす内側基端線31とに囲まれて、押込み片32が形成されている。
【0023】
以上の各辺により、外側立ち上がり辺22,22と内側立ち上がり辺30,30とにより、U字の略平行に延びる直線部に相当する立ち上げ壁部40,40が形成されている。また、押込み片32の内側基端線31と頂辺23とにより、U字の略平行な直線部をつないでいる手掛け部41が形成されている。
図3に示すように、第1のU字部20は、引き起こし基端線21を軸として外端縁20aの切込みに沿って第1のU字部20を筒体6の外側に立ち上げることが可能となっており、立ち上げられた後、第1側板部2に孔部26が形成されるようになっている。
【0024】
また、図2に示すように、内端縁20bの押込み片32の内側基端線31を軸として内端縁20bの内側先端縁29及び内側立ち上がり辺30,30に沿って押込み片32を第1のU字部20の引き起こし方向と反対側に押し込んで、手を入れる開口部35を形成できるようになっている。
このように第1のU字部20を引き起こした上で押込み片32を押し込むことにより、図6に示す取っ手15の一片が形成できるようになっている。なお、図6は、取っ手15を形成した包装箱Xを、図2に示す外側立ち上がり辺22に対応する孔部26の開口端縁に沿って縦断面視した図である。
【0025】
側板部を連結して筒体6にする接合代45は、一方向に連接した一端に位置する第1側板部2に対し、他端に位置する第4側板部5の側辺5aに連接している。
接合代45は、第1側板部2の内面(図1の裏面側)に貼着して第1側板部2から第4側板部5を図1に示す筒体6に連結する部分であり、貼着基部46と、貼着基部46の先端縁に連接した第2のU字部(貼着先端部)47とを有している。
【0026】
貼着基部46は、第1のU字部20の周壁部27に重ねられて第1側板部2と貼着する部分であり、側辺5aを基端として側辺5aに直交する方向に延びている。
本実施形態では、貼着基部46は、側辺5aから一定の間隔を空けて側辺5aに平行に設けられた引き起こし基端線48までの帯状の部分49Aと、帯状の部分49Aの両端部において側辺5aに直交する方向に略台形に延出した補強部49Bとを備えている。
【0027】
側辺5aから第2のU字部47の引き起こし基端線48までの間隔は、第1側板部2の端縁2aと第1のU字部20の引き起こし基端線21までの寸法とほぼ一致するように設定されている。
貼着基部46は、少なくとも第1側板部2の端縁2aと引き起こし基端線21との間に貼着する。
【0028】
第2のU字部47は、接合代45が第1側板部2の内面に重ねられた際に、第1のU字部20に重なる部分であり、第1のU字部20とちょうど同じか又は小さいU字形をしている。具体的には、第2のU字部47は、第1のU字部20の外端縁20aと同じか又は外端縁20aよりも小さい略矩形の外端縁47aと、第1のU字部20の内端縁20bに対応する略矩形の開口部51とにより形成されている。
【0029】
第2のU字部47の外端縁47aは、引き起こし基端線48の両端から略垂直に延びる外側立ち上がり辺50と、外側立ち上がり辺50,50の先端間を引き起こし基端線48に略平行に延びる頂辺52とにより形成されている。第2のU字部47の引き起こし基端線48と頂辺52との間は、第1のU字部20の引き起こし基端線21と頂辺23との間よりも僅かに小さく、第2のU字部47の外側立ち上がり辺50,50は、第1のU字部20の外側立ち上がり辺22,22よりも僅かに小さく形成されている。
【0030】
第2のU字部47の開口部51は、引き起こし基端線48よりも僅かに側辺5a寄りの位置で側辺5aに略平行に形成された長辺51aと、長辺51aの両端から第2のU字部47の頂辺52に向かって延びる短辺51b,51bと、短辺51b,51bの先端間を延びる長辺51aとに囲まれて略矩形に形成されている。長辺51a及び短辺51bはそれぞれ第1のU字部20の内端縁20bよりも僅かに大きく形成されている。その結果、開口部51は、第2のU字部47が第1のU字部20に重ねられたときに、押込み片32を取り囲むようになっている。
【0031】
第2のU字部47は、矩形の外端縁47aが引き起こし基端線48側で開口部51が打ち抜かれていることで、U字を成すほぼ平行な2つ直線の先端を側辺5aに向けた形となっている。
【0032】
また、第2のU字部47の外端縁47a及び開口部51は、側辺5a、上辺6d及び下辺6eの延長線との位置関係が、第1のU字部20の外端縁20a及び内端縁20bと端縁2a、上辺6b及び下辺6cとの位置関係と同様になるように形成されている。すなわち、第1側板部2から第4側板部5を筒体6にして側辺5aを端縁2aに合わせて接合代45を第1側板部2の内面に重ねた際に、第1のU字部20の内面に第2のU字部47が略一致して収まるようになっている。
【0033】
第3のU字部55は、第1のU字部20及び第2のU字部47の立ち上げにより、第1側板部2に形成される孔部26から第1側板部2の外面側に引き出され、図6に示す取っ手15の他片を形成する部分である。
第3のU字部55は、第2のU字部47の頂辺52を挟んで、第2のU字部47に対して逆U字形で、第2のU字部47よりも僅かに幅広に形成された接合代45の延長部分であり、引き起こし時に孔部26の周壁部27に係止する係止部56を有している。
【0034】
第3のU字部55は、第1のU字部20の外端縁20aよりもごくわずかに大きい略矩
形の外端縁55aと、第1のU字部20の内端縁20bに対応する略矩形の内端縁55bにより形成されている。
第3のU字部55の外端縁55aは、第2のU字部47と共有する頂辺52と、頂辺52の両端から頂辺52に対して僅かに拡開する方向に延びた後、頂辺52に対して略垂直に延びる外側立ち上がり辺60と、外側立ち上がり辺60,60の先端間に延びる係止辺61とに囲まれている。
【0035】
第3のU字部55の外側立ち上がり辺60,60間の寸法は、第1のU字部20の基端部を含む外側立ち上がり辺22,22間の寸法よりも大きく、張り出し部24,24間の寸法よりも小さく形成されている。
【0036】
第3のU字部55の内端縁55bは、頂辺52寄りに形成された頂辺52に平行な押し込み片の基端線62と、基端線62の両端から第3のU字部55の係止辺61上に延び、その先端間を結ぶ概略「[」型の打ち抜き64とにより形成されている。これらの押し込み片の基端線62と打ち抜き64により、第1のU字部20の押込み片32よりも小さい押込み片63が形成されている。係止辺61は、第3のU字部55の引き起こし基端線となっている。
【0037】
第3のU字部55は、係止辺61を挟んで、第3のU字部55の外側立ち上がり辺60,60間よりも幅広に形成された係止部56を有している。
係止部56は、係止辺61の延在方向を長手方向とする略短冊状に形成され、その両端に側辺5aに向かって突出する補助係止片65が形成されている。
【0038】
第2側板部3の上辺6dには、図1に示す開口部7の略全体を閉じる大きさで、先端がややすぼむ台形に形成された第2天板フラップ9が連接している。
第4側板部5の上辺6dには、第2側板部3を覆って開口部7の全体を閉じる大きさで略矩形に形成された第4天板フラップ11が連接している。
【0039】
第4天板フラップ11の延出方向の略中央部には、製函して第4天板フラップ11にて開口部7を閉じた後、第4天板フラップ11を破断により開口する破断部66が2本の破断線66a,66aにより形成されている。第4天板フラップ11の先端には、第2天板フラップ9が連接している上辺6dに形成された差し込みスリット67に挿入される差し込み片68が形成されている。差し込み片68は、その幅方向中央が突出する円弧形状に形成されている。
【0040】
第1側板部2の上辺6bには、延出寸法が短く図1に示す筒体6の一方の開口部7の半分弱を覆う大きさの略矩形の第1天板フラップ8が設けられている。
第3側板部4の上辺6bには、延出寸法が短く図1に示す筒体6の一方の開口部7の半分弱を覆う大きさの略矩形の第3天板フラップ10が連接している。
【0041】
図4に示す底部13は、図2に示すように、第1-第4側板部2-5の各下辺6c,6eにそれぞれ連接する第1-第4底板フラップ71-74を備え、地獄底(アメリカンロック底)を形成している。
第1底フラップ71及び第3底フラップ73は、底部13の対向する下辺6c,6cから先端を突き合わせて図4に示す開口部12を閉じるフラップであり、それぞれ外形が略R形状又はR形状を左右反転させた形状となっている。
第2底フラップ72は、概略凹型のフラップである。
第4底フラップ74は、先端が下辺に平行な方向にやや膨出した概略凸型のフラップである。
【0042】
次に、ブランクシート1を折り畳んで製函前の状態にする方法について説明する。なお、図5は、図2に示したブランクシート1を裏返して折り畳み、第1側板部2が上(図5において手前側)に見えるようにした平面図である。
ブランクシート1を折り畳んで製函前の状態にするには、図5に示すように、側辺5aにおいて図2に示す接合代45を第4側板部5の内面に重ねて帯状部分49A及び第2のU字部47の頂辺52に沿って接着剤を配する。
【0043】
そして、第2側板部3と第3側板部4との間の側辺6aにおいて第1側板部2及び第2側板部3を、第4側板部5の内面上及び第3側板部4の内面上に重ね合わせる。そうすると、接合代45の外面に塗布した接着剤によって、第1側板部2の端縁2aと立ち上がり基端線21との間に貼着基部46が貼り合わされて貼着する。また、第1のU字部20の頂辺23に沿う直線部に第2のU字部47の頂辺52に沿う直線部が貼着する。
【0044】
その結果、第1-第4側板部2-5が図1に示す筒体6を形成可能な偏平に折り畳まれた図5に示すブランクシート1が完成する。
【0045】
製函前の偏平に折り畳まれたブランクシート1を立体の包装箱Xにするには、図5に示す折り畳まれた状態のブランクシート1の折り目となっている側辺2a,5aと側辺6aとを近づけるようにして筒体6を立体にする。図4に示すように、底部13は、第1底フラップ71及び第3底フラップ73を折り曲げて開口部12を覆い、第2底フラップ72を閉じ、最後に第4底フラップ74の先端の突起を第2底フラップの凹み部分に挿し込んで組み立てる。
以上により、図1及び図4に示すように、開口部7が開口した包装箱Xになる。
【0046】
開口部7から物品を収容し、第1天板フラップ8及び第3天板フラップ10を閉じた後に、第2天板フラップ9を閉じる。更に第4天板フラップ11を閉じ、差し込み片68を差し込みスリット67に挿入する。
以上により、直方体で積み上げが容易な状態の包装箱Xとなる。
【0047】
包装箱Xを手持ちで運ぶ際には、図3に示すように、押込み部28を筒体6内に押し込むことで隙間を形成し、第1のU字部20の指掛け部25に指を掛けて、第1のU字部20と第2のU字部47とを引き起こし基端線21を回転軸にして回転させつつ引き起こす。そうすると、第1のU字部20及び第2のU字部47が傾斜した姿勢で起き上がり、第1のU字部20の後に孔部26が形成される。
【0048】
第3のU字部55は、第2のU字部47の引き起こしに伴って第2のU字部47の頂辺52に引っ張られ、孔部26から引き出される。第3のU字部55は、第1のU字部20の図2に示す外側立ち上がり辺22,22よりも幅広に形成されているため、孔部26の張り出し部24,24を通って引き出される。図6に示すように第3のU字部55の係止辺61が図3に示す張り出し部24に達すると、係止部56の係止辺61及び補助係止片65が孔部26の周壁部27に係止する。
【0049】
この状態で第1のU字部20及び第2のU字部47と、第3のU字部55とが最大に引き出された状態となるので、第1のU字部20の押込み片32を第3のU字部55側に押込み、第3のU字部55の押込み片63を第1のU字部20側に押し込む。これにより、取っ手15の形成が完了する。
【0050】
このように、本発明の持ち運び用包装箱によれば、第1のU字部20及び第2のU字部47を第1側板部2の外面側に引き起こすだけで、第3のU字部55が引き出されて係止部56が第1側板部2の内面に係止して、非常に簡便に取っ手15が形成される。
また、持ち運び用包装箱Xの取っ手15は、第1側板部2から山形に突出しており、把持し易くかつ荷重の大きい物を収容した場合に取っ手15の基端部及び孔部26を形成している周壁部27に掛かる荷重を分散して安定的に保持することができるという効果を奏する。
【0051】
また、孔部26の頂辺23側の両端に張り出し部24を形成し、第3のU字部55の幅寸法が第1のU字部20の幅寸法よりも大きく、張り出し部24,24間の寸法よりも小さく形成されている。よって、持ち運び用包装箱Xは、第3のU字部55を張り出し部24から引き出した際に、第3のU字部55が孔部26内で第1のU字部20側に倒れ込んだり、孔部26内で不用意に動いたりしないように、張り出し部24,24内に係止させておくことができる。したがって、取っ手15の把持がより一層容易かつ安定的になるという効果を奏する。
【0052】
また、係止部56には、補助係止片65,65が設けられており、第3のU字部55が孔部26から最大に引き出された際に、補助係止片65の表面が第1側板部2の内面に面接触し得るため、第3のU字部55が第1側板部2の外側に引っ張られても、しっかりと係止状態が維持される。したがって、筒体6内に重い物を入れて取っ手15を持った際に、第3のU字部55が孔部26から抜け出てしまう事を防止することができるという効果を奏する。
【0053】
なお、上記の実施形態において、図2に示すように、接合代45の貼着基部46の補強部49Bの突出を小さくした場合を例示したが、補強部49Bの突出は、図7に示すように、第1側板部2又は第3側板部4の下辺6cの寸法と同程度に設定されていてもよい。
補強部49Bの突出をこのように大きく設けた場合、第1側板部2の孔部26の周壁部27に貼り合わされる面積が大きくなり、周壁部27の剛性を高めることができる。
また、上記実施形態の底部13は、地獄底を採用した場合を例示したが、寸法関係が合う限り、図7に示すようないわゆるワンタッチ底を採用することもできる。
【0054】
また、貼着先端部47は、接合代45の一部でなくてもよく、例えば図8に示すように、接合代45と分離して第1のU字部20の少なくとも一部(例えば手掛け部41の内面に重ねて予め貼着し、その先端縁に第3のU字部55を連接したものであってもよい。このような貼着先端部47の構成であっても、第3のU字部55を第1のU字部20の立ち上げに伴って孔部26から引き出すことができ、上記の実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0055】
また、本発明の取っ手15の構造は、4つの側板部からなる筒体6に限って適用できるものではなく、平面視5角形以上の筒体6に適用することもできる。
この場合、第1のU字部20は、折り目を挟んで側板部を一方向に連接させた一端側の側板部に形成する。また、第1のU字部20の向きは、U字の互いに平行に延びるU字の直線の先端、言い換えるとU字の始端及び終端、を側板部の端縁側に向け、取っ手15の図2に示す手掛け部41を側板部が連接している方向に向ける。
【0056】
また、接合代45若しくは第2のU字部47及び第3のU字部55は、側板部を折り目を挟んで一方向に連接させた他端側の側板部に形成する。第2のU字部47の向きは、U字の互いに平行に延びるU字の直線の先端を接合代45と側板部との間の折り目側に向け、手掛け部41をその反対側に向ける。第3のU字部55は、第2のU字部47の頂辺52を共通にするように、第2のU字部47と略線対称になるように形成するとよい。
【0057】
このように、本発明を平面視5角形以上の筒体の側板部に適用しても、上記実施形態で得られた作用及び効果と同様の作用及び効果が得られる。
【符号の説明】
【0058】
1 ブランクシート
2-5 側板部
2a,5a 端縁
6 筒体
7 開口部
12 開口部
13 底部
15 取っ手
20 第1のU字部
23 頂辺(第1のU字部の先端縁)
26 孔部
27 周壁部
32 押込み片
63 押込み片
47 貼着先端部,第2のU字部
55 第3のU字部
56 係止部
61 係止辺
65 補助係止片
X 包装箱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8