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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】レール式非接触電力伝送システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 50/12 20160101AFI20220613BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20220613BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20220613BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
H02J50/12
B60M7/00 X
B60L5/00 B
H01F38/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018074650
(22)【出願日】2018-04-09
(65)【公開番号】P2019187060
(43)【公開日】2019-10-24
【審査請求日】2021-04-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000004330
【氏名又は名称】日本無線株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】堀内 雅城
【審査官】大手 昌也
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-176258(JP,A)
【文献】特開2002-320347(JP,A)
【文献】特開平07-227003(JP,A)
【文献】特開2002-274226(JP,A)
【文献】特表2001-526517(JP,A)
【文献】特表平08-501436(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0285016(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 50/12
B60M 7/00
B60L 5/00
B60L 50/40
H01F 38/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レールから移動体へと非接触で電力を伝送するモジュールと、
前記レールの一端及び他端にそれぞれ接続される送電電源及び短絡回路と、
を備えるレール式非接触電力伝送システムであって、
前記モジュールは、前記レールの一部を構成し、送電回路の一部を構成する往復分の伝送線路と、他の前記モジュールと接続する接続部と、を備え、前記往復分の伝送線路のインダクタ及びキャパシタの直列合成が送電周波数において共振条件を満たし、
前記レールから前記移動体へと非接触で電力を伝送する前記モジュールは、前記レールの延伸方向に沿って、それぞれ長さL、2L、・・・、2 N-1 L(Lは単位長さ)を有する、N種類(Nは2以上の自然数)のパターンの前記モジュールであり、
N種類のパターンの前記モジュールのうちの、全ての種類のパターンの前記モジュールは、前記レールの延伸方向に沿って、それぞれ一台分だけ配置される
ことを特徴とするレール式非接触電力伝送システム。
【請求項2】
前記往復分の伝送線路が一部を構成する送電コイルが、前記移動体が有する受電コイルと対向することを特徴とする、請求項1に記載のレール式非接触電力伝送システム。
【請求項3】
前記往復分の伝送線路が一部を構成する送電コイルが、前記移動体が有する受電コイルの外側に位置することを特徴とする、請求項1に記載のレール式非接触電力伝送システム。
【請求項4】
レールから移動体へと非接触で電力を伝送するモジュールと、
前記レールの一端及び他端にそれぞれ接続される送電電源及び短絡回路と、
を備えるレール式非接触電力伝送システムであって、
前記モジュールは、前記レールの一部を構成し、送電回路の一部を構成する片道分の伝送線路と、他の前記モジュールと接続する接続部と、を備え、前記片道分の伝送線路のインダクタ及びキャパシタの直列合成が送電周波数において共振条件を満たし、
前記レールから前記移動体へと非接触で電力を伝送する前記モジュールは、前記レールの延伸方向に沿って、それぞれ長さL、2L、・・・、2 N-1 L(Lは単位長さ)を有する、N種類(Nは2以上の自然数)のパターンの前記モジュールであり、
N種類のパターンの前記モジュールのうちの、全ての種類のパターンの前記モジュールは、前記レールの延伸方向に沿って、それぞれ二台分だけ配置される
ことを特徴とするレール式非接触電力伝送システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、レールから移動体へと非接触で電力を伝送する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
レールから移動体へと非接触で電力を伝送する技術が、工場において搬送車を用いて部品を搬送する目的等に適用されている(例えば、特許文献1等を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-309502号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
例えば、工場等で自動搬送車等への非接触給電を行う用途では、工場等の規模が様々である場合や、工場等のレイアウトが変更される場合は、レールの長さを変える必要が生じる。つまり、送電側のコイルのインダクタンスを変える必要が生じ、送電周波数において共振条件を満たすように、送電側のコンデンサのキャパシタンスを変える必要が生じる。
【0005】
よって、工場等の規模が様々である場合や、工場等のレイアウトが変更される場合は、レールをその都度設計しなおす必要が生じたり、レールの交換やコンデンサの交換あるいはキャパシタンスの調整の必要が生じたりして、コスト及び手間がかかる。
【0006】
そこで、前記課題を解決するために、本開示は、工場等の規模が様々である場合や、工場等のレイアウトが変更される場合に、レール式非接触電力伝送システムを設計、交換又は調整するコスト及び手間を低減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、レールの一部を構成する単数台数あるいは複数台数のモジュール毎に、送電周波数において共振条件を満たすようにした。そうすることで、単数台数だけ配置する場合でも、複数台数接続する場合でも、レール式非接触電力伝送システム全体が、送電周波数において共振条件を満たすようになる。
【0008】
具体的には、本開示は、レールから移動体へと非接触で電力を伝送するために用いられ、レールの一部を構成するモジュールであり、送電回路の一部を構成する往復分の伝送線路と、他のモジュールと接続する接続部と、を備え、前記往復分の伝送線路のインダクタ及びキャパシタの直列合成が送電周波数において共振条件を満たすことを特徴とするレール式非接触電力伝送モジュールである。
【0009】
この構成によれば、上記の本開示の目的を達成することができる。ここで、レール全体の長さが長いときでも、つまり、送電側のコイル全体のインダクタンスが大きいときでも、送電側の各コンデンサが各モジュールに分散して配置されるため、送電側の各コンデンサの印加電圧を低減することができ、耐圧の低いコンデンサを使用することができる。
【0010】
また、本開示は、前記往復分の伝送線路が一部を構成する送電コイルが、移動体が有する受電コイルと対向することを特徴とするレール式非接触電力伝送モジュールである。
【0011】
この構成によれば、レール式非接触電力伝送システムを小型化する必要がないときには、図4に示すようにレール式非接触電力伝送モジュールを複雑化することなく、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数を大きくすることができる。
【0012】
また、本開示は、前記往復分の伝送線路が一部を構成する送電コイルが、移動体が有する受電コイルの外側に位置することを特徴とするレール式非接触電力伝送モジュールである。
【0013】
この構成によれば、レール式非接触電力伝送システムを小型化する必要があるときでも、図6に示すようにレールの延伸方向に沿って受電コイルの移動溝を形成すれば、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数を大きくすることができる。
【0014】
また、本開示は、レールから移動体へと非接触で電力を伝送するために用いられ、レールの一部を構成するモジュールであり、送電回路の一部を構成する片道分の伝送線路と、他のモジュールと接続する接続部と、を備え、前記片道分の伝送線路のインダクタ及びキャパシタの直列合成が送電周波数において共振条件を満たすことを特徴とするレール式非接触電力伝送モジュールである。
【0015】
この構成によれば、上記の本開示の目的を達成することができる。ここで、レール全体の長さが長いときでも、つまり、送電側のコイル全体のインダクタンスが大きいときでも、送電側の各コンデンサが各モジュールに分散して配置されるため、送電側の各コンデンサの印加電圧を低減することができ、耐圧の低いコンデンサを使用することができる。
【0016】
そして、レール式非接触電力伝送システムを小型化する必要がないときには、図5に示すように送電コイルの幅サイズ及び受電コイルの径サイズを自由度高く設計したうえで、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数を大きくすることができる。
【0017】
さらに、レール式非接触電力伝送システムを小型化する必要があるときでも、図6に示すようにレールの延伸方向に沿って受電コイルの移動溝を形成すれば、送電コイルと受電コイルとの間の結合係数を大きくすることができる。
【0018】
また、本開示は、以上に記載のレール式非接触電力伝送モジュールが、レールの延伸方向に沿って、複数台数接続され、又は、単数台数だけ配置され、レールの一端及び他端にそれぞれ接続される送電電源及び短絡回路を備えることを特徴とするレール式非接触電力伝送システムである。
【0019】
この構成によれば、上記の本開示の目的を達成することができる。ここで、レール全体の長さが長いときでも、つまり、送電側のコイル全体のインダクタンスが大きいときでも、送電側の各コンデンサが各モジュールに分散して配置されるため、送電側の各コンデンサの印加電圧を低減することができ、耐圧の低いコンデンサを使用することができる。
【発明の効果】
【0020】
このように、本開示は、工場等の規模が様々である場合や、工場等のレイアウトが変更される場合に、レール式非接触電力伝送システムを設計、交換又は調整するコスト及び手間を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本開示のレール式非接触電力伝送システムの概略構成を示す図である。
図2】本開示のレール式非接触電力伝送モジュールの接続方法を示す図である。
図3】本開示のレール式非接触電力伝送モジュールの接続方法を示す図である。
図4】本開示のレール式非接触電力伝送モジュールの具体的構成を示す図である。
図5】本開示のレール式非接触電力伝送モジュールの具体的構成を示す図である。
図6】本開示のレール式非接触電力伝送モジュールの具体的構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
添付の図面を参照して本開示の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本開示の実施の例であり、本開示は以下の実施形態に制限されるものではない。
【0023】
本開示のレール式非接触電力伝送システムの概略構成を図1に示す。レール式非接触電力伝送システムSは、レールから移動体へと非接触で電力を伝送するために、送電電源1、往復分のコイル部材2、短絡回路3及び受電コイル4から構成される。
【0024】
送電電源1は、レールの一端に接続される。往復分のコイル部材2は、レールの延伸方向に沿って配置される。短絡回路3は、レールの他端に接続される。受電コイル4は、送電回路から受電して、レールの延伸方向に沿って移動する。図1の上欄では、往復分のコイル部材2が構成する送電コイルは、受電コイル4と対向する。図1の下欄では、往復分のコイル部材2が構成する送電コイルは、受電コイル4の外側に位置する。
【0025】
レール式非接触電力伝送システムSは、工場において搬送車を用いて部品を搬送する目的、スライド扉等の自動扉を開閉する目的及び鉄道模型等の玩具を動作させる目的等に適用することができる。部品の搬送においては、工場の床面又は天井にレールが配置され、搬送車に受電コイル4が搭載される。自動扉の開閉においては、出入口の床面又は天井にレールが配置され、自動扉に受電コイル4が搭載される。玩具の動作においては、部屋の床面に鉄道模型等のレールが配置され、玩具に受電コイル4が搭載される。
【0026】
本開示のレール式非接触電力伝送モジュールの接続方法を図2及び図3に示す。
【0027】
図2では、レール式非接触電力伝送システムSは、送電電源1、レール式非接触電力伝送モジュールMa、Mb及び短絡回路3から構成される。レール式非接触電力伝送モジュールMaは、往復分のコイル部材2a及び各コイル部材2aに直列接続される各コンデンサ5aから構成される。レール式非接触電力伝送モジュールMbは、往復分のコイル部材2b及び各コイル部材2bに直列接続される各コンデンサ5bから構成される。
【0028】
レール式非接触電力伝送モジュールMaは、レールの一部を構成するモジュールである。レール式非接触電力伝送モジュールMbも、レールの一部を構成するモジュールである。レール式非接触電力伝送モジュールMa、Mbは、接続部(図2に不図示)を介してレールの延伸方向に沿って接続される。接続部として、具体的には、引っ掛け型の端子、汎用の配線、導電性のテープ又は嵌め込み型の機構等が挙げられる。往復分のコイル部材2a及びコンデンサ5aは、送電回路の一部を構成する。往復分のコイル部材2b及びコンデンサ5bも、送電回路の一部を構成する。
【0029】
往復分のコイル部材2a及びコンデンサ5aの直列合成は、送電周波数において共振条件を満たす。ここで、往路分のコイル部材2aのインダクタンスをLa1とし、復路分のコイル部材2aのインダクタンスをLa2とし、往路分のコンデンサ5aのキャパシタンスをCa1とし、復路分のコンデンサ5aのキャパシタンスをCa2とし、送電周波数をfとする。すると、往復分のコイル部材2aの直列合成インダクタンスは、L=La1+La2となり、往復分のコンデンサ5aの直列合成キャパシタンスは、C=Ca1a2/(Ca1+Ca2)となり、送電周波数における共振条件は、f=1/(2π√(L))となる。
【0030】
往復分のコイル部材2b及びコンデンサ5bの直列合成も、送電周波数において共振条件を満たす。ここで、往路分のコイル部材2bのインダクタンスをLb1とし、復路分のコイル部材2bのインダクタンスをLb2とし、往路分のコンデンサ5bのキャパシタンスをCb1とし、復路分のコンデンサ5bのキャパシタンスをCb2とし、送電周波数をfとする。すると、往復分のコイル部材2bの直列合成インダクタンスは、L=Lb1+Lb2となり、往復分のコンデンサ5bの直列合成キャパシタンスは、C=Cb1b2/(Cb1+Cb2)となり、送電周波数における共振条件は、f=1/(2π√(L))となる。
【0031】
往復分のコイル部材2a、2b及びコンデンサ5a、5bの直列合成も、送電周波数において共振条件を満たす。つまり、往復分のコイル部材2a、2bの直列合成インダクタンスは、L=L+Lとなり、往復分のコンデンサ5a、5bの直列合成キャパシタンスは、C=C/(C+C)となり、1/(2π√(LC))=1/(2π√(L))=1/(2π√(L))=fとなり、送電周波数における共振条件が満たされる。
【0032】
図3では、レール式非接触電力伝送システムSは、送電電源1、レール式非接触電力伝送モジュールM1、M2、M4のうちの少なくともいずれかの複数台分又は単数台分、及び、短絡回路3から構成される。レール式非接触電力伝送モジュールM1は、レールの延伸方向に沿って、長さLを有する。レール式非接触電力伝送モジュールM2は、レールの延伸方向に沿って、長さ2Lを有する。レール式非接触電力伝送モジュールM4は、レールの延伸方向に沿って、長さ4Lを有する。ここで、長さLは、単位長さである。
【0033】
レールの延伸方向に沿って、以下の長さを有するレールを構成するためには、以下のレール式非接触電力伝送モジュールを接続部(図3に不図示)を介して接続すればよく又は配置すればよい:
レールの長さL:1台のモジュールM1、
レールの長さ2L:1台のモジュールM2、
レールの長さ3L:それぞれ1台のモジュールM2、M1、
レールの長さ4L:1台のモジュールM4、
レールの長さ5L:それぞれ1台のモジュールM4、M1、
レールの長さ6L:それぞれ1台のモジュールM4、M2、
レールの長さ7L:それぞれ1台のモジュールM4、M2、M1。
【0034】
このように、数パターンのレール式非接触電力伝送モジュール(例えば、図3の3パターンのモジュールM1、M2、M4)を設計すれば十分である。よって、工場等の規模が様々である場合や、工場等のレイアウトが変更される場合に、レール式非接触電力伝送システムSを設計、交換又は調整するコスト及び手間を低減することができる。
【0035】
さらに、レール全体の長さが長いときでも、つまり、送電側のコイル全体のインダクタンス(例えば、図2の直列合成インダクタンスL)が大きいときでも、送電側の各コンデンサ(例えば、図2の各コンデンサ5a、5b)が各モジュール(例えば、図2の各モジュールMa、Mb)に分散して配置されるため、送電側の各コンデンサの印加電圧を低減することができ、耐圧の低いコンデンサを使用することができる。
【0036】
本開示のレール式非接触電力伝送モジュールの具体的構成を図4から図6に示す。
【0037】
図4では、レール式非接触電力伝送モジュールMrは、送電回路の一部を構成する往復分のコイル部材2r及びコンデンサ5rを備える。往復分のコイル部材2r及びコンデンサ5rの直列合成は、送電周波数において共振条件を満たす。
【0038】
基板6rは、長方形状の基板である。往復分のコイル部材2rは、基板6rの2本の長辺に沿って形成される導電性パターンである(図4の上段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。往復分のコンデンサ5rは、往復分のコイル部材2rに直列接続される(図4の上段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。支持部材7rは、基板6rを支持する部材である(図4の上段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。
【0039】
往復分のコイル部材2rが一部を構成する送電コイルは、受電コイル4と対向する。ここで、受電コイル4は、基板6rから見て支持部材7rの反対側に配置される。そして、受電コイル4の径サイズは、往復分のコイル部材2rが一部を構成する送電コイルの幅サイズと同程度である(図4の下段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。
【0040】
このように、レール式非接触電力伝送システムSを小型化する必要がないときには、レール式非接触電力伝送モジュールMrを複雑化することなく、往復分のコイル部材2rが一部を構成する送電コイルと受電コイル4との間の結合係数を大きくすることができる。
【0041】
図5では、レール式非接触電力伝送モジュールMoは、送電回路の一部を構成する片道分のコイル部材2o及びコンデンサ5oを備える。片道分のコイル部材2o及びコンデンサ5oは、送電周波数において共振条件を満たす。ここで、片道分のコイル部材2oのインダクタンスをLとし、片道分のコンデンサ5oのキャパシタンスをCとすると、送電周波数における共振条件は、f=1/(2π√(L))となる。
【0042】
基板6oは、長方形状の基板である。片道分のコイル部材2oは、基板6oの1本の長辺に沿って形成される導電性パターンである(図5の上段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。片道分のコンデンサ5oは、片道分のコイル部材2oに直列接続される(図5の上段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。支持部材7oについては後述する。
【0043】
2台のレール式非接触電力伝送モジュールMoは、片道分のコイル部材2o同士がレールの幅方向に互いに避け合うように、支持部材7oを用いて1台のレール式非接触電力伝送モジュールとして組み合わされる(図5の下段の平面図、底面図及び側面図を参照。)。
【0044】
往復分のコイル部材2oが一部を構成する送電コイルは、受電コイル4と対向する。ここで、受電コイル4は、基板6oから見て支持部材7oの反対側に配置される。そして、受電コイル4の径サイズは、往復分のコイル部材2oが一部を構成する送電コイルの幅サイズと同程度である(図5の下段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。
【0045】
このように、レール式非接触電力伝送システムSを小型化する必要がないときには、送電コイルの幅サイズ及び受電コイル4の径サイズを自由度高く設計したうえで、送電コイルと受電コイル4との間の結合係数を大きくすることができる。
【0046】
図6では、レール式非接触電力伝送モジュールMoは、送電回路の一部を構成する片道分のコイル部材2o及びコンデンサ5oを備える。片道分のコイル部材2o及びコンデンサ5oは、送電周波数において共振条件を満たす。ここで、片道分のコイル部材2oのインダクタンスをLとし、片道分のコンデンサ5oのキャパシタンスをCとすると、送電周波数における共振条件は、f=1/(2π√(L))となる。
【0047】
基板6oは、長方形状の基板である。片道分のコイル部材2oは、基板6oの1本の長辺に沿って形成される導電性パターンである(図6の上段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。片道分のコンデンサ5oは、片道分のコイル部材2oに直列接続される(図6の上段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。支持部材7oについては後述する。
【0048】
2台のレール式非接触電力伝送モジュールMoは、片道分のコイル部材2o同士がレールの幅方向に互いに向き合うように、支持部材7oを用いて1台のレール式非接触電力伝送モジュールとして組み合わされる(図6の下段の平面図、底面図及び側面図を参照。)。
【0049】
往復分のコイル部材2oが一部を構成する送電コイルは、受電コイル4の外側に位置する。ここで、受電コイル4は、往復分のコイル部材2oの間の溝の中に配置される。そして、受電コイル4の径サイズは、往復分のコイル部材2oが一部を構成する送電コイルの幅サイズと同程度である(図6の下段の底面図、正面図及び側面図を参照。)。
【0050】
このように、レール式非接触電力伝送システムSを小型化する必要があるときでも、レールの延伸方向に沿って受電コイル4の移動溝を形成すれば、往復分のコイル部材2oが一部を構成する送電コイルと受電コイル4との間の結合係数を大きくすることができる。
【0051】
図2から図6の本実施形態は、送電側及び受電側の両方において、コイル(レールのインダクタンス)と共振用のコンデンサが直列接続された直列共振回路が送電周波数における共振条件を満たすときに電力伝送効率が高くなるSS方式に対して、特に適している。
【0052】
図2の本実施形態では、往路分及び復路分のコイル部材のインダクタンスの大小を問うておらず、往路分及び復路分のコンデンサのキャパシタンスの大小を問うていない。図2の変形例として、往路分及び復路分のコイル部材のインダクタンスを等しくしてもよく、往路分及び復路分のコンデンサのキャパシタンスを等しくしてもよい。
【0053】
図2から図6の本実施形態では、レールを直線状としている。図2から図6の変形例として、レールを曲線状としてもよい。このときには、曲線外側のコイル部材のインダクタンスは、曲線内側のコイル部材のインダクタンスより、大きくなる。
【0054】
図2から図6の本実施形態では、コイル部材を基板上の導電性パターンとしている。図2から図6の変形例として、コイル部材を導線1本又は導線の束としてもよい。図2から図6の本実施形態では、コイル部材及びコンデンサを集中定数回路としている。図2から図6の変形例として、コイル部材及びコンデンサを分布定数回路としてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本開示のレール式非接触電力伝送モジュール及びレール式非接触電力伝送システムは、工場において搬送車を用いて部品を搬送する目的、スライド扉等の自動扉を開閉する目的及び鉄道模型等の玩具を動作させる目的等に適用することができる。
【符号の説明】
【0056】
S:レール式非接触電力伝送システム
Ma、Mb、M1、M2、M4、Mr、Mo:レール式非接触電力伝送モジュール
1:送電電源
2、2a、2b、2r、2o:コイル部材
3:短絡回路
4:受電コイル
5a、5b、5r、5o:コンデンサ
6r、6o:基板
7r、7o:支持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6