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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】柱梁接合構造
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/26 20060101AFI20220613BHJP
   E04B 1/58 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
E04B1/26 G
E04B1/58 508L
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018111709
(22)【出願日】2018-06-12
(65)【公開番号】P2019214849
(43)【公開日】2019-12-19
【審査請求日】2021-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000183428
【氏名又は名称】住友林業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096611
【弁理士】
【氏名又は名称】宮川 清
(72)【発明者】
【氏名】矢野 正敬
(72)【発明者】
【氏名】長島 泰介
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-156427(JP,A)
【文献】特開2009-197416(JP,A)
【文献】特開2015-101902(JP,A)
【文献】特開2013-127186(JP,A)
【文献】特開2015-017431(JP,A)
【文献】特開2009-024367(JP,A)
【文献】特開2002-303000(JP,A)
【文献】特開2001-241107(JP,A)
【文献】米国特許第05253945(US,A)
【文献】中国実用新案第207363037(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/26,1/41
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
木質材からなる柱と、
該柱の側面に固定される柱側鋼板と、
木質材からなり、一端が前記柱に支持される梁と、
該梁の端面に固定され、前記柱側鋼板に重ね合わせるように当接される梁側鋼板と、
前記柱側鋼板と前記梁側鋼板とを結合する複数のボルトと、
前記梁側鋼板の前記梁の端面と当接される面に一端が当接され、前記梁の軸線方向に所定の長さを有するボルト受け部材と、を有し、
前記ボルトは、頭部が前記ボルト受け部材の他端に係止され、前記梁の軸線方向に配置されて先端部が前記柱側鋼板と結合されていることを特徴とする柱梁接合構造。
【請求項2】
前記梁側鋼板と前記ボルト受け部材の一端との間、及び前記ボルトの頭部と前記ボルト受け部材の他端との間は、前記梁の軸線方向への離脱を拘束するように固定されていることを特徴とする請求項1に記載の柱梁接合構造。
【請求項3】
前記ボルト受け部材は、該ボルト受け部材の一端から他端までの全長にわたって前記ボルトを配置する溝を有するものであり、
前記ボルトが該溝内に配置された状態で該溝の開口部を閉鎖する溝蓋を有し、
前記溝の内面と該溝内に配置されたボルトとの間隙、及び該溝内に配置されたボルトと前記溝蓋との間隙は、該ボルトに軸線方向の圧縮力が作用したときの座屈を抑止できる程度に設定されていることを特徴とする請求項2に記載に柱梁接合構造。
【請求項4】
前記梁の少なくとも一部、前記梁側鋼板、前記柱側鋼板および前記柱を貫通するように配置された緊張材を有し、
該緊張材に導入された緊張力によって前記梁側鋼板と前記柱側鋼板との当接面に圧縮応力度が導入されていることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれかに記載の柱梁接合構造。
【請求項5】
前記梁側鋼板には、複数の棒状の梁側接合部材の一端が結合され、該梁側鋼板の前記梁と当接される面から前記梁の軸線方向に前記梁側接合部材が突き出しており、
該梁側接合部材には、前記梁側鋼板の前記柱側鋼板と当接される面側に開放されるとともに、前記梁側接合部材内で軸線方向に形成され、該梁側接合部材の先端付近に設けられた吐出口に通じる接着剤の充填孔を有し、
前記梁の端面から軸線方向に穿設された穴に前記梁側接合部材が挿入された状態で、前記接着剤の充填孔から前記穴と前記梁側接合部材との間隙に注入された接着剤によって、前記梁側鋼板が前記梁に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載の柱梁接合構造。
【請求項6】
前記柱には、水平方向に穿設された複数の貫通孔が設けられ、
該貫通孔に棒状の柱側接合部材が挿通され、
該柱側接合部材の一端が前記柱側鋼板にねじり合わせされるとともに、他端は前記柱の背面に当接された背面鋼板にねじり合わされており、
該柱側接合部材は、一方の端面又は双方の端面から軸線方向に穿設され、側面に開口を有する接着剤の充填孔を有するものであり、
該接着剤の充填孔から前記柱側接合部材の周面と前記貫通孔の内周面との間に注入された接着剤で該柱側接合部材が前記柱に固定されていることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれかに記載の柱梁接合構造。
【請求項7】
前記柱側鋼板は、下縁部から前記梁の軸線方向に張り出し、前記梁側鋼板の下端面に当接される梁受け部を有することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載の柱梁接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中規模又は大規模の木造建築物又は木造の構造物において好適に採用することができる柱梁接合構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
木造の建築物は、戸建て住宅に多く採用されているが、集会所等の公共施設、体育館、集合住宅、工場等の中規模又は大規模の建築物にも採用される。このような木造建築物又は木造構造物では、構造躯体にラーメン構造が採用されることがあり、柱の側面に梁の端面を対向させ、曲げモーメントの伝達が可能に接合することが行われる。このような接合構造は、例えば特許文献1及び特許文献に開示されるものがある。
【0003】
特許文献1に開示される接合構造は、接合する第1の建築部材と第2の建築部材との双方にわたって、接合面を横切るように棒状の接合部材を埋め込むものである。そして、接合部材には接合面の位置に他の部分より軸線方向に変形し易い変形部が設けられており、接合部材に引張力が作用したときに変形部が降伏して塑性的な変形を生じるものである。
また、特許文献2に記載の接合構造は、二つの木質の耐荷要素を接合する接合面の両側にわたって緊張材を配置し、この緊張材に導入された緊張力によって2つ耐荷要素の接合面に圧縮力を付与するものである。また、接合される2つの耐荷要素間に相対的な変位が生じたときにエネルギーを吸収するエネルギー消散具を設けるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-280786号公報
【文献】特表2010-500493号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら従来の接合構造では、次のような解決が望まれる課題がある。
特許文献1に記載の接合構造では、接合部材は木質の部材に設けられた穴に挿入され、接着剤を注入して木質の部材に固着されている。このような接合部材に大きな力が作用して変形部の応力が降伏点を超えると塑性変形が生じ、この変形が除荷された後にも残留することがある。つまり、2つの建築部材の接合部に変形が残留することがあり、復元性能が良好ではない。そして、接合部材は木質の建築部材に固着されており、接合部材の交換等はできず、接合部を変形前の状態に復元することが難しくなっている。
【0006】
一方、特許文献2に記載の接合構造では、柱の側面に梁を当接して接合したときに、緊張材の緊張力によって柱の側面に梁の端面が強く押し付けられる。木質材料からなる柱は木目の方向に対して横方向から強く圧縮力が作用すると変形が生じやすく、柱と梁との接合部に作用する曲げモーメントによっても柱に変形が生じやすい。そして、このような木質材料の変形が残留することがある。
【0007】
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、柱及び梁の木質部分に生じる変形が少なく、柱と梁との接合部に大きな力が作用して変形が生じても良好な復元性能を有する柱梁接合構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、 木質材からなる柱と、 該柱の側面に固定される柱側鋼板と、 木質材からなり、一端が前記柱に支持される梁と、 該梁の端面に固定され、前記柱側鋼板に重ね合わせるように当接される梁側鋼板と、 前記柱側鋼板と前記梁側鋼板とを結合する複数のボルトと、 前記梁側鋼板の前記梁の端面と当接される面に一端が当接され、前記梁の軸線方向に所定の長さを有するボルト受け部材と、を有し、 前記ボルトは、頭部が前記ボルト受け部材の他端に係止され、前記梁の軸線方向に配置されて先端部が前記柱側鋼板と結合されている柱梁接合構造を提供する。
【0009】
この柱梁接合構造では、柱と梁との接合面の双方に鋼板が固定されており、柱と梁との接合部分に曲げモーメントが作用したときに、梁の端面及び柱の側面に作用する圧縮応力度が鋼板を介して木質部分に作用する。したがって、圧縮応力度による梁及び柱の木質部分の変形が小さく抑えられる。これにより、繰り返し大きな曲げモーメントが作用した後にも柱と梁との接合面は、曲げモーメントが作用する前の状態への復元性が良好なものとなる。
【0010】
また、この柱梁接合構造では、梁側鋼板と柱側鋼板とを結合するボルトの長さをボルト受け部材の長さの設定によって調整することができる。したがって、柱と梁との接合部に曲げモーメントが作用したときに引張力が作用するボルトの長さを大きく設定し、ボルトの伸び量が大きくなる構造とすることができる。これにより、曲げモーメントが作用したときの柱と梁との接合部の変形つまり相対的な回転角が大きくなるように設定し、ボルトを塑性化させることなく、構造物全体を大きな変形が許容される靭性の高いものにすることが可能となる。一方、ボルトの長さを小さく設定することにより、大きな曲げモーメントが作用したときに当該ボルトを積極的に塑性化させ、運動エネルギーを有効に吸収させることも可能となる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の柱梁接合構造において、 前記梁側鋼板と前記ボルト受け部材の一端との間、及び前記ボルトの頭部と前記ボルト受け部材の他端との間は、前記梁の軸線方向への離脱を拘束するように固定されているものとする。
【0012】
地震時のように大きな曲げモーメントが柱と梁との接合部に繰り返し作用すると、引張側となった部分のボルトに伸びが生じ、塑性領域に至った後に引張側が圧縮側に転じることがある。このとき、本発明の柱梁接合構造では、一旦離隔した梁側鋼板と柱側鋼板とが再び当接されるとともに梁側鋼板からボルト受け部材を介してボルトの頭部を柱側に押し付ける力が作用する。これにより、引張側に塑性変形が生じたボルトに圧縮力が作用し、圧縮変形が生じる。したがってボルトの応力-ひずみ履歴はループ状となり、震動のエネルギーが吸収されて、有効に震動を減衰させる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の柱梁接合構造において、 前記ボルト受け部材は、該ボルト受け部材の一端から他端までの全長にわたって前記ボルトを配置する溝を有するものであり、 前記ボルトが該溝内に配置された状態で該溝の開口部を閉鎖する溝蓋を有し、 前記溝の内面と該溝内に配置されたボルトとの間隙、及び該溝内に配置されたボルトと前記溝蓋との間隙は、該ボルトに軸線方向の圧縮力が作用したときの座屈を抑止できる程度に設定されているものとする。
【0014】
この柱梁接合構造では、梁に梁側鋼板が固定され、梁側鋼板にボルト受け部材の一端が接合された状態で、ボルト受け部材の他端の背後に充分な空間がないときにも、ボルトを溝内に配置することができる。そして、溝内のボルトによって梁側鋼板と柱側鋼板とを結合した状態では、該ボルトに塑性的な伸び変形が生じた後に圧縮力が作用したとき、溝の内面及び溝蓋によって側方への変位が拘束され、ボルトの座屈が防止される。
また、溝蓋は取り外すことができ、ボルトの交換が可能となっている。したがって、ボルトに塑性変形が残留したときに、新たなボルトに交換して変形前の状態に復元することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項1から請求項3までのいずれかに記載の柱梁接合構造において、 前記梁の少なくとも一部、前記梁側鋼板、前記柱側鋼板および前記柱を貫通するように配置された緊張材を有し、 該緊張材に導入された緊張力によって前記梁側鋼板と前記柱側鋼板との当接面に圧縮応力度が導入されているものとする。
【0016】
この柱梁接合構造では、緊張材の緊張力で梁側鋼板と柱側鋼板との間に圧接力が作用している。これにより、梁と柱との接合部に作用する曲げモーメントが小さいときには梁側鋼板と柱側鋼板とが離隔するのを抑え、変形が大きくなるのを防ぐ。そして、作用する曲げモーメントが大きくなって梁側鋼板と柱側鋼板との間が離隔したときには、緊張材の緊張力によって梁と柱との間の変形に対して復元力を付与するものとなる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の柱梁接合構造において、 前記梁側鋼板には、複数の棒状の梁側接合部材の一端が結合され、該梁側鋼板の前記梁と当接される面から前記梁の軸線方向に前記梁側接合部材が突き出しており、 該梁側接合部材には、前記梁側鋼板の前記柱側鋼板と当接される面側に開放されるとともに、前記梁側接合部材内で軸線方向に形成され、該梁側接合部材の先端付近に設けられた吐出口に通じる接着剤の充填孔を有し、 前記梁の端面から軸線方向に穿設された穴に前記梁側接合部材が挿入された状態で、前記接着剤の充填孔から前記穴と前記梁側接合部材との間隙に注入された接着剤によって、前記梁側鋼板が前記梁に固定されているものとする。
【0018】
この柱梁接合構造では、梁側鋼板を梁の端面に当接した状態で、梁側鋼板の柱側鋼板と当接される側から充填孔に接着剤を注入し、梁に設けられた穴と梁側接合部材との間に接着剤を円滑に注入することができる。したがって、梁側接合部材をあらかじめ梁側鋼板に固定し、柱側鋼板と当接される面は平滑に維持した状態で、梁側鋼板を木質材からなる梁に強固に固定することができる。
【0019】
請求項6に係る発明は、請求項1から請求項5までのいずれかに記載の柱梁接合構造において、 前記柱には、水平方向に穿設された複数の貫通孔が設けられ、 該貫通孔に棒状の柱側接合部材が挿通され、 該柱側接合部材の一端が前記柱側鋼板にねじり合わせされるとともに、他端は前記柱の背面に当接された背面鋼板にねじり合わされており、 該柱側接合部材は、一方の端面又は双方の端面から軸線方向に穿設され、側面に開口を有する接着剤の充填孔を有するものであり、 該接着剤の充填孔から前記柱側接合部材の周面と前記貫通孔の内周面との間に注入された接着剤で該柱側接合部材が前記柱に固定されているものとする。
【0020】
この柱梁接合構造では、柱側接合部材を介して柱側鋼板が柱に強固に固定されるとともに、梁の端面が突き当てられる側面とその背面側の側面とに、共通の柱側接合部材を用いて鋼板を固定することができる。したがって、柱の背面側にも他の梁を同様に接合することが可能となる。
【0021】
請求項7に係る発明は、請求項1から請求項6までのいずれかに記載の柱梁接合構造において、 前記柱側鋼板は、下縁部から前記梁の軸線方向に張り出し、前記梁側鋼板の下端面に当接される梁受け部を有するものとする。
【0022】
この柱梁接合構造では、既に立設された柱に梁を接合しようとするときに、梁の端部を梁受け部に載せ架け、仮に支持した状態でボルトの装着、締め付け等の接合作業を行うことができる。また、梁を柱に接合した後にも梁の端部に作用するせん断力を梁受け部に負担させることができ、梁と柱との接合部のせん断強度を大きくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
以上に説明したように、本発明の柱梁接合構造では、柱と梁の木質部分の変形が少なく、柱と梁との接合部に大きな力が作用して変形が生じても、復元性能が良好な構造とすることができる。また、これに併せて、接合部に所定の変形を許容し、靭性の高い構造又は良好な減衰性能を有する構造とすることも可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本発明の一実施形態である柱梁接合構造を示す概略斜視図である。
図2図1に示す柱梁接合構造の概略側面図である。
図3図1に示す柱梁接合構造の概略平面図である。
図4図1に示す柱梁接合構造の柱に柱側鋼板が固定される構造を示す分解斜視図である。
図5図1に示す柱梁接合構造の柱に柱側鋼板が固定される構造を示す部分拡大断面図である。
図6図1に示す柱梁接合構造の梁に梁側鋼板が固定される構造及びボルト受け部材が梁側鋼板に固定される構造を示す分解斜視図である。
図7図1に示す柱梁接合構造の梁に梁側鋼板が固定される構造を示す部分拡大断面図である。
図8図1に示す柱梁接合構造の梁側鋼板と柱側鋼板とを結合する構造を示す分解斜視図である。
図9図1に示す柱梁接合構造の梁側鋼板と柱側鋼板とを結合する構造を示す側面図及び断面図である。
図10】梁側鋼板が固定された梁と柱側鋼板が固定された柱とを結合する状態を示す斜視図である。
図11】本発明の他の実施形態である柱梁接合構造を示す概略側面図である。
図12図11に示す柱梁接合構造の一部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態である柱梁接合構造を示す概略斜視図である。また、図2図1に示す柱梁接合構造の概略側面図であり、図3は概略平面図である。
この柱梁接合構造は、木質材からなる柱1の側面に、木質材からなる梁2の端面を対向させて接合されたものである。上記柱1の梁2が接合される側面に、柱側鋼板3が固定されており、梁の端面には梁側鋼板4が固定されている。そして、柱側鋼板3と梁側鋼板4とが重ね合わせるように当接され、これらがボルト5によって接合されている。また、梁の軸線方向に形成された貫通孔23にはPC鋼棒6が配置され、柱1を水平方向に貫通して緊張力が導入されている。この緊張力によって、上記柱側鋼板3と梁側鋼板4との当接面に圧縮応力度が導入されている。
【0026】
上記柱1は、断面形状が矩形となっており、小断面の木材を貼り合わせた集成材で形成されている。また、梁2も集成材からなるものであり、断面形状は幅よりも梁高が大きい矩形となっている。柱1及び梁2は、集成材に限定されるものではなく、無垢の木材を使用することもできる。
上記柱1の中心には鉛直方向に緊張材の挿通孔14が設けられており、この挿通孔内に配置されたPC鋼棒10の下端が基礎に定着され、緊張力が導入されている。
【0027】
上記柱側鋼板3は、図4に示すように、幅及び高さが梁の断面寸法とほぼ同じか、又は梁の断面寸法よりやや大きい矩形の鋼板からなるものである。下端部には、当接される梁側鋼板4を下側から支持することができるように梁側へ突き出した梁受け部31を備えている。そして、この柱側鋼板3を柱1に固定するための貫通孔32、PC鋼棒6を挿通するための貫通孔33、梁側鋼板4と結合するためのボルト5がねじ込まれるボルト孔34及びせん断補強用のボルトがねじ込まれるボルト孔35が設けられている。
【0028】
上記柱1の側面には、柱側鋼板3の形状および厚さに対応する凹部が設けられ、柱側鋼板3は、この凹部内に嵌め入れた状態で固定されている。また、柱側鋼板3が固定される側面と反対側の側面には、背面側鋼板7が固定されており、柱側鋼板3と同様に背面側鋼板7の形状および厚さに対応した凹部を設けて、この凹部に嵌め入れた状態となっている。この背面側鋼板7にも柱1に固定するための貫通孔71及びPC鋼棒6を挿通するための貫通孔72が形成されている。そして、柱側鋼板3および背面側鋼板7は、柱に形成された貫通孔11に挿通された柱側接合部材8によって互いに連結して固定されている。
【0029】
上記柱側鋼板3に形成された貫通孔32及び背面側鋼板7に設けられた貫通孔71の内周面には雌ネジが切削され、柱側接合部材8の両端部がこれらの貫通孔32,71にねじり合わされ、柱側鋼板3と背面側鋼板7とを連結している。柱側接合部材8は、全長にわたって雄ネジが形成された全ねじ棒鋼であり、柱1の凹部内の所定位置に嵌め入れられた背面側鋼板7および柱側鋼板3に、一方からこの柱側接合部材8をねじ込んで背面側鋼板7および柱側鋼板3の双方の貫通孔にねじり合わすことができものである。また、この柱側接合部材8は、背面側鋼板7と柱側鋼板3との双方にねじり合わされた後に、柱1に設けられた貫通孔11との間に充填された接着剤によって柱1に固定されている。
なお、上記柱側接合部材8は、上記全ねじ棒鋼に代えて、両端部に雄ネジが形成され、中間部は上記雌ネジが形成された貫通孔32,71に挿通することができる外径となったものを使用することもできる。
【0030】
接着剤の充填は、図5に示すように、柱側接合部材8の端面から軸線方向に設けられた充填孔81を通じて行うことができ、柱側接合部材8の端面に設けられた注入口82から充填することができる。そして、側面に設けられた吐出口83から柱1に設けられた貫通孔11と柱側接合部材8との間に隙間なく充填することができるものである。また、柱側接合部材8の柱側鋼板3および背面側鋼板7とねじり合わされる部分には周面に軸線方向の溝84が形成されており、端面の注入口81から注入した接着剤12が上記84溝から流出し始めることによって、隙間なく充填されたことを確認することができる。
なお、図5に示す例では、柱側接合部材8の両端から接着剤を注入するものとしているが、片側のみから注入するものであってもよい。
【0031】
上記梁2は、図6に示すように、端面に梁側鋼板4が梁側接合部材9によって固定されるものであり、端部の上下部分に切り欠き21が設けられるとともに、端面から軸線方向に梁側接合部材9を挿入することができる穴22が形成されている。また、軸線方向にPC鋼棒6を挿通することができる貫通孔23が形成されている。
一方、梁側鋼板4には、上記梁に形成された梁側接合部材9を挿入する穴22と対応する位置に貫通孔41が形成され、内周面に雌ネジが切削されている。また、上下方向のほぼ中位には、PC鋼棒6を挿通する貫通孔42が形成されている。
【0032】
上記梁側鋼板4と梁2とを接合する梁側接合部材9は、全長にわたって雄ネジが形成された全ねじ棒鋼であり、梁側鋼板4に形成された貫通孔41に、梁側に突出するようにねじり合わされる。そして、図7に示すように梁2の端面から軸線方向に形成された穴22に梁側接合部材9が挿入され、梁側鋼板4が梁2の端面に当接された状態で、梁側接合部材9と梁2に形成された穴22の内周面との間に合成樹脂からなる接着剤24が注入されている。
【0033】
接着剤24の注入は、図7に示すように、梁側接合部材9の端面から軸線方向に形成された充填孔91を介して行うことができ、梁側接合部材9の先端部に設けられた吐出口93から梁側接合部材9と穴22の内周面との間に隙間なく接着剤24が充填されるものとなっている。また、梁側接合部材9は、柱側接合部材8と同様に梁側鋼板4とねじり合わされる部分に軸線方向の溝94が形成されている。これにより梁側接合部材9の端面に設けられた注入口92から注入した接着剤24が、梁側接合部材9と穴22の内周面との間に隙間なく充填されたことを確認することができるものである。
なお、梁側接合部材9は、梁側鋼板4とねじり合わされる部分のみに雄ネジが形成された棒状の鋼材を用いてもよいが、接着剤との大きな付着力を得るために全ねじ棒鋼を用いるのが望ましい。
【0034】
上記梁側鋼板4の上部及び下部には、図6に示すように、上縁及び下縁から所定の深さで、梁側鋼板4と柱側鋼板3とを結合するボルト5を通過させるためのスリット43が設けられている。そして、このスリット43の位置に合わせて、梁側鋼板4の梁2が当接される側の面にボルト受け部材51が固定されている。固定されたボルト受け部材51は、梁2の端部の上下に設けられた切り欠き21内に収まるものである。
【0035】
ボルト受け部材51は、図8及び図9に示すように円柱形の側面の一部を切り欠いた形状で、軸線方向にほぼ均等な断面を有するものである。そして、平坦となった切り欠き面51aから円柱形の中心軸線の位置に向かって軸線方向に等断面の溝51bが形成されている。この溝51bは梁側鋼板4と柱側鋼板3とを結合するためのボルト5を、溝51bの開放された部分からボルト受け部材51の軸線方向に向けたまま収容することができるものである。ボルト5は溝51bの内面との間にわずかな隙間が生じるものとなっており、ボルト5が軸線方向に伸縮するのを許容するとともに、軸線と直角方向にはボルト5の座屈を抑止できるように拘束するものとなっている。
【0036】
上記ボルト受け部材51は、図8及び図9に示すように、梁側鋼板4の柱側鋼板3と当接される側の面からねじ込まれる受け部材固定用ボルト52によって梁側鋼板4に固定される。梁側鋼板4にはスリット43の周囲に受け部材固定用ボルト52を挿通することができる複数の貫通孔44が設けられている。また、ボルト受け部材51の梁側鋼板2に当接される端面には複数のボルト穴が形成され、内周面に雌ネジが切削されている。受け部材固定用ボルト52は梁側鋼板4の貫通孔44に挿通し、ボルト受け部材51のボルト穴にねじ込んで締め付けることにより、ボルト受け部材51を梁側鋼板4に固定することができるものである。なお、梁側鋼板4の柱側鋼板3と当接される側の面は、上記受け部材固定用ボルト52を挿通する貫通孔44の周囲が凹状に切削されて凹部45となっており、受け部材固定用ボルト52の頭部は上記凹部45内に収容される。したがって、受け部材固定用ボルト52によってボルト受け部材51を固定した状態で、梁側鋼板4の柱側鋼板3に当接される側の面は受け部材固定用ボルト52の頭部が突出することなく、まっすぐな立面が維持されている。
【0037】
ボルト受け部材51の平坦な切り欠き面51aつまり溝51bの両側にはボルト穴51cが形成され、雌ネジが切削されている。このボルト穴51cにねじ込まれる複数の溝蓋固定用ボルト53によって、ボルト受け部材51に溝蓋54が固定されるものである。溝蓋54はボルト受け部材51の切り欠き面51aに当接される平板部54aと、この平板部54aから突き出して溝51b内に差し入れられる突出部54bとを有しており、ボルト受け部材51の軸線方向にほぼ均等な断面を有するものである。上記突出部54bは、ボルト受け部材の溝51b内に差し入れることができる幅で、複数の溝蓋固定用ボルト53で溝蓋54がボルト受け部材51に固定されたときに、先端面がボルト5とわずかの隙間をおいて対向するものである。隙間は、ボルト5と溝51bの内面との隙間と同様に、ボルト5の軸線方向の伸縮を許容するとともに、ボルト5の座屈を抑止できる程度の隙間となっている。
【0038】
梁側鋼板4と柱側鋼板3とを結合するボルト5は、図8(a)に示すように、頭部にプレート55が固着されている。このプレート55は、ボルト5の軸線方向に移動しないようにボルト5の頭部と溶接等によって固着されたものである。このプレート55には複数の貫通孔55aが設けられており、ボルト受け部材51の端面の対応する位置には、内周面に雌ネジが切削されたボルト穴51dが形成されている。そして、上記プレートの貫通孔55aに挿通し、ボルト受け部材のボルト穴51dにねじ込まれた頭部固定用ボルト56によってプレート55をボルト受け部材51の端面に固定することができるものとなっている。
【0039】
梁側鋼板4と柱側鋼板3とは、上記ボルト5の先端を柱側鋼板3に形成されたボルト孔34にねじ込み、締め付けることによって互いに結合される。また、梁側鋼板4および柱側鋼板3の双方を貫通するPC鋼棒6の緊張力によって互いに圧接される。このPC鋼棒6は、図2に示すように、梁2に形成された軸線方向の貫通孔23、梁側鋼板4及び柱側鋼板3に設けられたPC鋼棒挿通用の貫通孔42,33、並びに柱1に設けられた水平方向に貫通する孔13に挿通され、ナット61によって該PC鋼棒6の端部が背面側鋼板7に定着されるものとなっている。このPC鋼棒6の反対側の端部は、上記梁2又はこの梁の反対側の端部を支持する他の柱(図示しない)に定着することができ、緊張力を導入することができるものとなっている。
【0040】
梁側鋼板4が端面に固定された梁2と、柱側鋼板3が側面に固定された柱1との接合は次のように行うことができる。
図10に示すように、梁2の端面に固定された梁側鋼板4を柱1に固定された柱側鋼板3に重ね合わされるように当接させ、梁側鋼板4の下端面を柱側鋼板3の下部から突き出した梁受け部31に載せ掛けて梁2を仮支持する。なお、このとき梁側鋼板4にはボルト受け部材51が固定されている。そして、梁側鋼板4の梁2が当接される部分の側方に設けられた貫通孔46に挿通した仮支持ボルト57を柱側鋼板3に設けられたボルト孔35にねじ込んで締め付ける。これにより、梁2を柱1に仮固定する。
【0041】
この状態で、図10に示すようにボルト5をボルト受け部材51の上方又は下方から溝51b内及び梁側鋼板のスリット43内に入れ込み、柱側鋼板3に設けられたボルト孔34にねじ込む。そして、溝蓋54の突出部を溝51b内に差し入れ、溝蓋固定用ボルト53によって溝蓋54をボルト受け部材51に固定する。ボルト5は、ボルト受け部材51を介して梁側鋼板4を柱側鋼板3に締め付け、梁側鋼板4と柱側鋼板3とを圧接させる。その後、ボルト5の頭部に固定されたプレート55はボルト受け部材51の端面に圧接された状態で頭部固定用ボルト56によりボルト受け部材51に固定する。このようにボルト5によって梁側鋼板4と柱側鋼板3とが固定された後、仮支持ボルト57を抜き取り、これに代えてせん断補強用ボルト58をねじ込む。せん断補強用ボルト58は、図1及び図2に示すように先端部を柱側鋼板3のボルト孔35にねじ込んだ状態で、頭部が梁側鋼板4から離れた位置にあるもので、梁側鋼板4がせん断補強用ボルトの軸線方向つまり梁側鋼板4が柱側鋼板3から離れる方向に移動するのを許容するものである。
【0042】
ボルト5によって梁側鋼板4と柱側鋼板3とが結合されると、図10に示すように、PC鋼棒6を柱1、柱側鋼板3、梁側鋼板4及び梁2に挿通し、双方の端部又はいずれか一方の端部に装着されたジャッキによって緊張力を導入することができる。これにより、梁2には軸線方向の圧縮応力度が導入されるとともに、柱側鋼板3と梁側鋼板4との間に圧縮力が作用した状態とされる。
【0043】
このような構造で梁2と柱1とが接合されてラーメン構造が形成されていると、地震時のように方向が反転する水平力が繰り返し作用したときに、柱1と梁2との接合構造は次にように挙動する。
水平力によって梁2と柱1との接合部分に曲げモーメントが作用すると、梁側鋼板4と柱側鋼板3との圧接面では、上縁側及び下縁側の一方に引張方向の力が、他方に圧縮方向の力が発生する。圧縮側となる領域では、梁側鋼板4と柱側鋼板3との間に作用している圧縮応力度が増大する。一方、引張側となる領域では、梁側鋼板4と柱側鋼板3との圧接面にあらかじめ導入されている圧縮応力度が低減される。そして、さらに曲げモーメントが増大したときに、ボルト5に伸びが生じて梁側鋼板4と柱側鋼板3とが離れて、隙間が生じる。このボルト5の伸びが弾性範囲内であるときには、曲げモーメントの方向が反転するのにともなってボルト5の伸びは解消され、引張側の領域が圧縮側に転じずる。また、圧縮側であった領域は引張側に転じ、梁側鋼板4と柱側鋼板3との間の圧縮応力度の減少及びボルトの伸びが生じる。そして、曲げモーメントが作用しなくなったときには梁2と柱1との相対的な位置が復元される。
【0044】
梁2と柱1との接合部分に作用する曲げモーメントが大きく、ボルト5の応力度が降伏点を超えて塑性領域になったときには、ボルト5に塑性的な伸びが生じる。そして、曲げモーメントの作用方向が反転すると、ボルト5に伸びが生じることで一旦離れた梁側鋼板4と柱側鋼板3とは再び圧接される。このとき塑性的な伸びが生じたボルト5は、頭部がプレート55及びボルト受け部材51を介して梁側鋼板4に結合されているので、梁側鋼板4が柱側鋼板3に押し付けられるのにともない、ボルト5は圧縮されて塑性的な伸びが解消される。したがって、曲げモーメントの作用方向が繰り返し反転すると、ボルト5の応力-ひずみ履歴はループ状となって運動のエネルギーを有効に吸収する。これにより、上記梁2及び柱1を含む構造物の震動又は揺れは効率よく減衰されることになる。
【0045】
また、梁2から梁側鋼板4、柱側鋼板3、柱1にかけて梁2の高さのほぼ中位にPC鋼棒6が貫通され、緊張力が導入されているので、引張側でボルト5に塑性的な伸び変形が生じて梁側鋼板4と柱側鋼板3との間が離隔しても、上記緊張力によって復元力が作用する。したがって、構造物の変形が抑制されるとともに、水平力の作用が停止した後の残量変形を小さく抑えることが可能となる。
【0046】
一方、大きな水平方向の外力が作用してボルト5に塑性変形が残留したときには、ボルト受け部材51に結合した溝蓋54を取り外すとともに、頭部固定用ボルト56を抜き取ってボルト5の頭部に固着されているプレート55とボルト受け部材51との結合を解放することができる。これにより、ボルト5を新たなものに交換することができ、大きな水平力が作用した後の残留変形を解消して、変形前の状態に復元することができる。
【0047】
なお、梁側鋼板4と柱側鋼板3とを結合する上記ボルト5の長さ及びボルト受け部材51の軸線方向の長さは、構造物に求められる機能等に応じて適宜に設定することができる。つまり、ボルト5の長さが大きくなるのにともなって、ボルトの応力度が降伏点に達するまで、及び破断するまでの伸び量が大きくなる。したがって、例えばボルトの長さを大きく設定して、構造物の梁と柱との間で生じる回転角が許容限度に達するまで、ボルトの応力度が弾性範囲つまり降伏点以下に維持されるように設計することができる。このような設計では、構造物は靭性に優れたものとなり、外力による変形が生じた後の残留変形が小さく抑えられる。また、ボルトの長さを小さく設定すると、梁と柱との間で生じる回転角が許容限度に達するまでに、ボルトには塑性的な伸びが生じ、繰り返し反転する荷重が作用するときに運動のエネルギーを有効に吸収することが可能となる。このような設計では、地震時等における震動の減衰性能が大きくなる。
【0048】
以上に説明した柱梁接合構造は本発明の一実施形態であり、本発明は、その範囲内で各部の形状、寸法、数量等を適宜に変更して実施することができる。
例えば、梁の軸線方向に配置したPC鋼棒、及び柱内で鉛直方向に配置したPC鋼棒の使用は、構造物の条件等に応じて採用することができるものであり、これらを使用しないものであってもよい。
また、上記実施の形態では、梁側鋼板4と柱側鋼板3とを結合するボルト5は、柱側鋼板3に設けられたボルト孔34にねじ込んで締め付けるものであるが、図11及び図12に示すように、ボルト105を柱側接合部材108に直接に結合する構造を採用することもできる。
【0049】
この構造では、両端部を柱側鋼板103及び背面側鋼板107にねじり合わせて連結する柱側接合部材108が、ボルト105の中心線の延長線上に設けられている。この柱側接合部材108の柱側鋼板103にねじり合わされる端部では、端面から軸線方向にボルト孔が形成されており、このボルト孔にボルト105をねじ込んで梁側鋼板104を柱側鋼板103に締め付けるものとなっている。ボルト105、ボルト受け部材151、溝蓋154、梁側鋼板104、梁側接合部材109等については、図1から図10までに示す構造と同じものを用いることができる。このような構造では、梁102からボルト105に作用する引張力が直接に柱側接合部材108に伝達され、柱101の木質部分に円滑に伝達されることになる。
【0050】
なお、以上に説明した柱梁接合構造は、柱を基礎に接合する柱脚部の接合構造に応用することもできる。つまり、基礎の上面に基礎側鋼板を固定し、柱の下端に固定された鋼板を基礎側鋼板に重ね合わせて結合するものである。
【符号の説明】
【0051】
1:柱, 2:梁, 3:柱側鋼板, 4:梁側鋼板, 5:ボルト, 6:PC鋼棒,
7:背面側鋼板, 8:柱側接合部材, 9:梁側接合部材, 10:柱に配置されたPC鋼棒,
11:柱側接合部材を挿通する貫通孔, 12:接着剤, 13:PC鋼棒が挿通される孔, 14:柱に配置されるPC鋼棒の挿通孔,
21:梁に設けられた切り欠き, 22:梁側接合部材が挿入される穴, 23:PC鋼棒が挿通される貫通孔, 24:接着剤,
31:梁受け部, 32:柱側鋼板を柱に固定するための貫通孔, 33:PC鋼棒を挿通するための貫通孔, 34:柱側鋼板と梁側鋼板とを結合するためのボルトがねじ込まれるボルト孔, 35:せん断補強用のボルトがねじ込まれるボルト孔,
41:梁側接合部材がねじ込まれる貫通孔, 42:PC鋼棒が挿通される貫通孔, 43:ボルトを通過させるためのスリット, 44:受け部材固定用ボルトを挿通する貫通孔, 45:凹部, 46:仮支持ボルト又はせん断補強用のボルトを挿通する貫通孔,
51:ボルト受け部材, 51a:ボルト受け部材の切り欠き面, 51b:ボルト受け部材に形成された溝, 51c:ボルト穴, 51d:ボルト穴, 52:受け部材固定用ボルト, 53:溝蓋固定用ボルト, 54:溝蓋, 54a:溝蓋の平板部, 54b:溝蓋の突出部, 55:ボルトの頭部に固着されたプレート, 55a:プレートに設けられた貫通孔, 56:頭部固定用ボルト, 57:仮支持ボルト, 58:せん断補強用ボルト,
61:ナット,
71:背面側鋼板を柱側鋼板と連結するための貫通孔, 72:PC鋼棒を挿通するための貫通孔,
81:接着剤の充填孔, 82:注入口, 83:吐出口, 84:溝,
91:接着剤の充填孔, 92:注入口, 93:吐出口, 94:溝,
101:柱, 102:梁, 103:柱側鋼板, 104:梁側鋼板, 105:ボルト, 107:背面側鋼板, 108:柱側接合部材, 109:梁側接合部材
151:ボルト受け部材, 154:溝蓋

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12