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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】容器用キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 47/20 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
B65D47/20 111
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018206089
(22)【出願日】2018-10-31
(65)【公開番号】P2020070077
(43)【公開日】2020-05-07
【審査請求日】2021-05-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】前田 信也
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-210440(JP,A)
【文献】特開2016-011129(JP,A)
【文献】特開平08-104345(JP,A)
【文献】国際公開第2016/111090(WO,A1)
【文献】特開2019-172291(JP,A)
【文献】登録実用新案第3055731(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 39/00-55/16
F16K 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口部、胴部及び底部を有するボトル状をなし、内容物の収容空間を形成する容器本体に装着する容器用キャップであって、
有頂筒状形状をなすと共に前記収容空間に通じる開口を有し、前記口部に装着されるキャップ本体と、
該開口を閉塞すると共に前記収容空間内の正圧によって開放されて、前記収容空間内の内容物を注出させる逆止弁と
を備え、
前記逆止弁は、前記開口の中央部を横断し、該開口の外縁部に固定される支持アームと、該支持アームの幅方向両側にそれぞれ設けられ、該支持アームを支点に上方に変位可能な複数の可動弁体とを有し、
前記支持アームは、該支持アームの長手方向両端部に設けられた複数の帯状部と、該支持アームの長手方向中央部に設けられると共に該複数の帯状部よりも該支持アームの幅方向に広い幅広部とを有し、
前記複数の可動弁体の各可動弁体は、前記複数の帯状部の前記幅方向端部を支点に上方に変位可能であり、当該上方への変位によって、各可動弁体の径方向外側、及び各可動弁体と前記幅広部との間に流路を生じることで前記逆止弁が開放されることを特徴とする容器用キャップ。
【請求項2】
前記幅広部は略円形状を有し、前記複数の可動弁体は、前記幅広部の外周縁に沿って延びる略半円形状を有する、請求項に記載の容器用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、主に合成樹脂製容器に装着して用いる、逆止弁を有する容器用キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
粘度の高い化粧水などの化粧料や、シャンプーやリンス或いは液体石鹸、またはソースや液みそなどの食品調味料や薬品などの内容物を収納する容器として、例えば特許文献1には、一点弁で構成された逆止弁を備え、胴部をスクイズすることにより容器内の圧力を高めて一点弁を開放させ、高粘度の内容物を一点弁経由で注出筒から注出可能なキャップ付き容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-105131号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載のキャップ付き容器では、胴部のスクイズを解除して内容物をサックバックさせると、その後内容物の重量により一点弁が開いてしまい、結局液だれを発生させてしまうことがあった。
【0005】
本開示は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、粘度が高い内容物を収容し注出可能としつつ、液だれを抑制することが可能な容器用キャップを提案するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の容器用キャップは、
口部、胴部及び底部を有するボトル状をなし、内容物の収容空間を形成する容器本体に装着する容器用キャップであって、
有頂筒状形状をなすと共に前記収容空間に通じる開口を有し、前記口部に装着されるキャップ本体と、
該開口を閉塞すると共に前記収容空間内の正圧によって開放されて、前記収容空間内の内容物を注出させる逆止弁と
を備え、
前記逆止弁は、前記開口の中央部を横断し、該開口の外縁部に固定される支持アームと、該支持アームの幅方向両側にそれぞれ設けられ、該支持アームを支点に上方に変位可能な複数の可動弁体とを有し、
前記支持アームは、該支持アームの長手方向両端部に設けられた複数の帯状部と、該支持アームの長手方向中央部に設けられると共に該複数の帯状部よりも該支持アームの幅方向に広い幅広部とを有し、
前記複数の可動弁体の各可動弁体は、前記複数の帯状部の前記幅方向端部を支点に上方に変位可能であり、当該上方への変位によって、各可動弁体の径方向外側、及び各可動弁体と前記幅広部との間に流路を生じることで前記逆止弁が開放されることを特徴とする。
【0008】
また、本開示の容器用キャップは、上記構成において、前記幅広部は略円形状を有し、前記複数の可動弁体は、前記幅広部の外周縁に沿って延びる略半円形状を有することが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、粘度が高い内容物を収容し注出可能としつつ、液だれを抑制することが可能な容器用キャップを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る容器用キャップの正面断面図である。
図2】(a)は、図1における逆止弁ユニットの平面図であり、(b)は、A-A断面による断面図である。
図3図1に示す容器用キャップを装着した容器を傾倒させて、内容物を注出可能な傾倒状態としたときの断面図である。
図4図3の状態から容器本体の胴部をスクイズして内容物を注出している状態における断面図である。
図5図4の状態において開放された逆止弁ユニットの平面図である。
図6図5の状態から容器本体の胴部のスクイズを解除して、内容物をサックバック効果により引き込んでいる状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本開示をより具体的に説明する。
【0012】
本開示の第1実施形態に係る容器用キャップ1について、図1図6を用いて詳細に例示説明する。なお、本明細書、特許請求の範囲、要約書および図面では、容器の正立状態を基準とし、図1における上側を上方とし、下側を下方とする。また、径方向は、容器用キャップ1の軸心Oを通り、且つ、軸心Oに垂直な直線に沿う方向を意味するものとする。また、支持アーム22の長手方向は、図2(a)の上下方向であり、幅方向は、図2(a)の左右方向である。
【0013】
図1に示すように、本実施形態に係る容器用キャップ1は、内容物の収容空間Sを形成する容器本体2の口部4aに着脱可能であり、有頂筒状形状を有すると共に収容空間Sに通じる開口を有するキャップ本体10と、当該開口を閉塞すると共に収容空間S内の正圧によって開放されて収容空間S内の内容物を注出させる逆止弁を有する逆止弁ユニット20と、注出筒14を上方から覆う蓋体50とを備えている。
【0014】
本実施形態において、容器用キャップ1が装着される容器本体2は、口部4aと、当該口部4aよりも幅広に形成されて鉛直方向に延びる胴部4cと、胴部4cの下部を閉塞する図示しない底部とを有する。口部4aの外周面には雄ねじ部4bが設けられ、キャップ本体10の外周壁11の内周面に設けられている雌ねじ部12aとねじ係合するように構成されている。
【0015】
容器本体2は、本実施形態では合成樹脂製であって、成形材料をチューブ状に押し出したパリソンに対し、ブロー成形を行うことによって形作っている。なお、容器本体2は、予め射出成形等によって形成されたプリフォームを二軸延伸ブロー成形して形成する等、他の方法を用いて形成することもできる。
【0016】
キャップ本体10は、筒状の外周壁11と、外周壁11の上端に連なる天壁19とを有する有頂筒状形状を有している。上述のように、外周壁11の内周面に雌ねじ部12aを有しており、容器本体2の口部4aの外周面に設けられている雄ねじ部4bにねじ係合させることにより容器本体2に固定することができる。天壁19の下面には、口部4aの内周面に対応する位置にシール壁18が形成されており、このシール壁18が口部4aの内周面に当接することで、口部4aはキャップ本体10により液密にシールされている。
【0017】
また、シール壁18の径方向内側には、後述する逆止弁ユニット20を内側に嵌合するための嵌合壁16が設けられている。嵌合壁16の内周面には、係合突起16aが形成されており、逆止弁ユニット20の筒壁24の外周面が嵌合壁16の内周面に嵌合すると共に、逆止弁ユニット20側の環状突部24aと係合突起16aがアンダーカット係合することによって、逆止弁ユニット20をキャップ本体10の嵌合壁16に固定することができる。
【0018】
なお、キャップ本体10は、本実施形態のように容器本体2の口部4aに対してねじ係合により固定する態様の他、打栓形式により固定するように構成してもよく、その形態は種々選択可能である。
【0019】
天壁19の径方向中央寄りには、上方へと延びる注出筒14が一体に設けられている。注出筒14の内側空間は、胴部4cのスクイズにより容器本体2の収容空間S内に収容された内容物を外部へ注出するための注出孔14aを形成している。
【0020】
図1において、注出孔14aの直下には、逆止弁ユニット20が配置されている。逆止弁ユニット20は、円筒形状を有しキャップ本体10の嵌合壁16に嵌合固定される筒壁24と、筒壁24の下端部に形成された開口の中央部を横断し開口の外縁部に固定された支持アーム22(図2(a),(b)参照)と、支持アーム22の幅方向両側に設けられ、支持アーム22の屈曲部21a(図2(a)参照)を支点にして上方に変位可能な2つの可動弁体21とを備えている。本実施形態において、支持アーム22及び可動弁体21によって逆止弁が構成されている。
【0021】
逆止弁を構成する支持アーム22は、図2(a),(b)に示すように、支持アーム22の長手方向(図2(a)の上下方向)両端部に設けられた2つの帯状部22aと、支持アーム22の長手方向中央部に設けられると共に帯状部22aよりも支持アーム22の幅方向(図2(a)の左右方向)に広い幅広部22bとを有している。
【0022】
本実施形態において、幅広部22bは、図2(a)に示すように略円形状を有しており、収容空間Sに通じる開口の中央部分の所定面積を覆っている。また、各可動弁体21は、略円形状の幅広部22bの外周縁に沿って延びる略半円形状を有しており、図2(a)の上下に並ぶ2つの帯状部22aにおける幅方向端部に形成された2つの屈曲部21aにより支持アーム22に支持されている。各可動弁体21は、それぞれ2つの屈曲部21aを支点に回動し、容器本体2内の正圧によって上方(図2(a)の紙面に垂直手前に向かう方向)に変位可能である。各可動弁体21が屈曲部21a周りに回動して上方に変位すると、可動弁体21の径方向外側における可動弁体21と筒壁24との間、及び可動弁体21と幅広部22bとの間に流路20aを生じる(図4及び図5参照)。
【0023】
可動弁体21が上方に変位して流路20aが生じると逆止弁は開放状態となり、容器本体2の収容空間S内の内容物が、当該流路20aを通って注出孔14aから注出可能となる。
【0024】
逆止弁ユニット20の材質は、ゴムやエラストマー等の軟性材や、各種合成樹脂の中から種々選択可能である。
【0025】
蓋体50は、図1に示すように、キャップ本体10の外周壁11にヒンジ53hを介して連結されており、注出孔14aを覆い隠すことができる。より詳細には、蓋体50は、平板状の上壁52と、上壁52の外縁部に連結するとともにその外周面が外周壁11に連なる形状となる蓋体周壁53とを備えている。蓋体周壁53の下部の内周面は、キャップ本体10の天壁19の外周端に形成された段部19aに係合するように構成されている。また、上壁52の下面には、蓋体50を閉めた際に注出筒14の外周面に嵌合して注出孔14aをシールする筒状のシール筒54、及び注出筒14の内周面に当接する環状突部55が設けられている。蓋体周壁53におけるヒンジ53hと対向する周方向位置には、図1に示すように摘み部53aが形成されている。摘み部53aは、利用者が摘み部53aを摘みながら蓋体50をヒンジ53h周りに回動させることで蓋体50を開放させることができる。
【0026】
なお、蓋体50は、本実施形態のようにヒンジ53hを介してキャップ本体10と一体成形し、キャップ本体10に対してアンダーカット係合させる態様の他、ねじ部を設けてキャップ本体10に対してねじ係合により固定するように構成するなど、その形態は種々選択可能である。また、蓋体50を設けない構成としてもよい。
【0027】
上記のように構成される容器用キャップ1から内容物を吐出するにあたっては、利用者は、図1の状態から摘み部53aを摘みながら蓋体50をヒンジ53h周りに回転させて開放させる。次に利用者は、容器本体2の胴部4cを把持しながら、容器本体2を図1に示す正立状態から紙面に垂直な回転軸周りに90度以上回転させて、注出孔14aが容器本体2の底部より低くなるような倒立姿勢へと倒立操作を行う(図3参照)。この倒立操作によって、収容空間S内の内容物は、底部から口部4aへと移動し、収容空間S内の空気は逆に容器本体2の底部に向かって移動する。
【0028】
容器本体2を図3に示す倒立姿勢とすることにより内容物が口部4a側に移動して逆止弁ユニット20近傍に滞留しても、暫くの間、逆止弁から内容物が漏れ出てくることがない。本実施形態では、開口の中央部に所定面積の幅広部22bが形成されており可動弁体21の面積が小さく抑えられているため、図3に示す倒立姿勢において可動弁体21にかかる内容物の重力についても小さく抑えられている。また、図2(a)に示すように、可動弁体21の変位前において可動弁体21と筒壁24との間、及び可動弁体21と幅広部22bとの間の隙間が狭く構成されているために、それらの部材間に表面張力ST(図3参照)が働き易い。従って、図3に示す倒立姿勢では、部材間の表面張力STが可動弁体21にかかる内容物の重力を上回るため、内容物の重量により逆止弁が開放されるのを抑制でき、内容物の自重による液だれを抑制することができる。
【0029】
次に利用者は、内容物の注出のために、図3の傾倒姿勢から容器本体2の胴部4cをスクイズ(圧搾)する。胴部4cのスクイズによって、容器本体2内の圧力が増加して正圧を生じる。この正圧によって、2つの可動弁体21は屈曲部21aを支点に回動して上方に変位するため(図4参照)、可動弁体21の径方向外側における可動弁体21と筒壁24との間、及び可動弁体21と幅広部22bとの間に流路20aを生じる(図4及び図5参照)。これによって逆止弁は開放されて、収容空間S内の内容物は、当該流路20a、及び注出孔14aを通じて外部に注出可能となる。
【0030】
なお、逆止弁の開放に際しては、図4及び図5に示すように、可動弁体21の上方への変位によって、各可動弁体21につき2か所、合計4か所の流路20aが生じて内容物を通過させるため、粘度が高い内容物を注出する場合においても、さほど大きな押圧力で胴部4cをスクイズしなくても、内容物をスムーズに注出させることができる。
【0031】
内容物の注出が終了すると、利用者は、容器本体2の胴部4cのスクイズを解除する。これによって、容器本体2内の正圧は減少し、可動弁体21は屈曲部21aの復元力により元の形状に復元して逆止弁を閉塞する。逆止弁が閉塞する過程において、注出孔14a側の容積が増加して負圧に転じるため、いわゆるサックバック効果によって注出孔14a近傍の残留内容物が容器本体2の内部に引き込まれ、液だれを抑制することができる。
【0032】
なお、逆止弁が閉塞した後は、先に述べたように部材間の表面張力STが可動弁体21にかかる内容物の重力を上回るため、傾倒姿勢において内容物の重量により逆止弁が開放されるのを抑制でき、液だれを抑制することができる。
【0033】
本実施形態に係る容器用キャップ1では、内容物の粘度が80~10000mPa・s(ミリパスカル秒)の範囲内にあることが好ましい。内容物の粘度を80mPa・s以上とすることによって、傾倒姿勢においてサックバックさせた後の可動弁体21と幅広部22bとの隙間等からの内容物の漏出をより一層抑制することができる。また、内容物の粘度を10000mPa・s以下とすることによって、内容物の注出に必要なスクイズ力をより一層抑制することができる他、内容物の注出後にサックバックさせ易くすることができる。上記の粘度の範囲内となる内容物の例としては、例えば、サラダ油、オリーブオイル、ガムシロップ、中濃ソース・焼きそばソース、濃厚ソース・お好みソース・とんかつソース、及びケチャップ等がある。
【0034】
以上述べたように、本実施形態では、口部4a、胴部4c及び底部を有するボトル状をなし、内容物の収容空間Sを形成する容器本体2に装着する容器用キャップ1であって、有頂筒状形状をなすと共に収容空間Sに通じる開口を有し、口部4aに装着されるキャップ本体10と、開口を閉塞すると共に収容空間S内の正圧によって開放されて、収容空間S内の内容物を注出させる逆止弁とを備え、逆止弁は、開口の中央部を横断し、開口の外縁部に固定される支持アーム22と、支持アーム22の幅方向両側にそれぞれ設けられ、支持アーム22を支点に上方に変位可能な複数の可動弁体21とを有するように構成した。このような構成の採用によって、開口の中央部を横断する支持アーム22によって可動弁体21の面積が小さく抑えられているため、倒立姿勢において可動弁体21にかかる内容物の重力を抑えることができる。また、可動弁体21の変位前において可動弁体21と筒壁24との間の隙間を狭く構成できるために、それらの部材間に効率よく表面張力STを作用させることができる。従って、倒立姿勢で胴部4cのスクイズを解除して残留内容物をサックバックさせた後において、部材間の表面張力STが可動弁体21にかかる内容物の重力を上回るようにすることで、内容物の重量により逆止弁が再び開放されにくくして、液だれを抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態では、支持アーム22は、支持アーム22の長手方向両端部に設けられた複数の帯状部22aと、支持アーム22の長手方向中央部に設けられると共に複数の帯状部22aよりも支持アーム22の幅方向に広い幅広部22bとを有し、複数の可動弁体21の各可動弁体21は、複数の帯状部22aの幅方向端部を支点に上方に変位可能であり、上方への変位によって、各可動弁体21の径方向外側、及び各可動弁体21と幅広部22bとの間に流路20aを生じることで逆止弁が開放されるように構成した。このような構成の採用によって、開口の中央部に所定面積の幅広部22bが形成されることで可動弁体21の面積がより小さく抑えられているため、倒立姿勢において可動弁体21にかかる内容物の重力をより小さく抑制することができる。また、可動弁体21の変位前において可動弁体21と筒壁24との間、及び可動弁体21と幅広部22bとの間の隙間を狭く構成できるために、それらの部材間に効率よく表面張力STを作用させることができる。従って、倒立姿勢で胴部4cのスクイズを解除して残留内容物をサックバックさせた後において、部材間の表面張力STが可動弁体21にかかる内容物の重力を上回るようにすることで、内容物の重量により逆止弁が開放されにくくして、液だれを抑制することができる。また、可動弁体21の上方への変位によって、各可動弁体21につき2か所、合計4か所の流路20aが生じて内容物を通過させることができる。従って、粘度が高い内容物を注出する場合においても、さほど大きな押圧力で胴部4cをスクイズしなくても、内容物をスムーズに注出させることができる。また、各可動弁体21が複数(2つ)の屈曲部21aを支点として回動するため、可動弁体21の開放強度の調整を容易に行うことができる。
【0036】
また、本実施形態では、幅広部22bは略円形状を有し、複数の可動弁体21は、幅広部22bの外周縁に沿って延びる略半円形状を有するように構成した。このような構成の採用によって、通常採用される平面視で円形の口部4aに対応して、可動弁体21の面積をなるべく減らして可動弁体21にかかる内容物の重力を抑制し、内容物の重量により逆止弁が開放されにくくして、液だれを抑制することができる。
【0037】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0038】
例えば、本実施形態では、幅広部22bは略円形状を有し、複数の可動弁体21は、幅広部22bの外周縁に沿って延びる略半円形状を有するように構成したが、この態様には限定されない。幅広部22bの形状は、円形状の他、楕円形状、多角形形状等、容器本体2やキャップ本体10の形状に合わせて種々選択可能である。可動弁体21の形状についても、幅広部22bの形状に合わせて変更可能である。
【0039】
また、本実施形態では、各可動弁体21が2つの屈曲部21aによって支持されるように構成したが、この態様には限定されない。各可動弁体21は、1つ、又は3つ以上の屈曲部21aによって支持されるように構成してもよい。また、可動弁体21が屈曲部21a周りに回動する代わりに、可動弁体21自体が弾性変形することで上方に変位し、流路20aが形成されるように構成してもよい。
【0040】
また、本実施形態では、逆止弁ユニット20が一体形成されるように構成したが、この態様には限定されない。逆止弁ユニット20を構成する支持アーム22及び可動弁体21は、別体で製造したものを組み合わせて用いるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
1 容器用キャップ
2 容器本体
4a 口部
4b 雄ねじ部
4c 胴部
10 キャップ本体
11 外周壁
12a 雌ねじ部
14 注出筒
14a 注出孔
16 嵌合壁
16a 係合突起
18 シール壁
19 天壁
19a 段部
20 逆止弁ユニット
20a 流路
21 可動弁体
21a 屈曲部
22 支持アーム
22a 帯状部
22b 幅広部
24 筒壁
24a 環状突部
50 蓋体
52 上壁
53 蓋体周壁
53a 摘み部
53h ヒンジ
54 シール筒
55 環状突部
O 軸心
S 収容空間
ST 表面張力
図1
図2
図3
図4
図5
図6