(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
E04H 6/42 20060101AFI20220613BHJP
E04H 6/18 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
E04H6/42 Z
E04H6/42 H
E04H6/18 603
(21)【出願番号】P 2018223151
(22)【出願日】2018-11-29
【審査請求日】2020-11-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝幸
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-160712(JP,A)
【文献】特開2010-084491(JP,A)
【文献】特開2012-246679(JP,A)
【文献】特開2011-026925(JP,A)
【文献】特開2011-089291(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電用トレーに搭載された電気自動車への充電を行う充電スペースと、一般用トレーに搭載された充電を行わない電気自動車又は一般車両を保管する保管スペースと、が1つの階床に形成され、前記充電用トレー及び一般用トレーが前記1つの階床内で水平に移動される格納エリアが形成される機械式駐車装置であって、
前記充電用トレーは、該充電用トレーの下面に、下方を向く複数条の集電子を有するトレー側集電子が該充電用トレーの一方の対角位置に一対設けられ、
前記充電スペースは、該充電スペースの床側に、前記トレー側集電子に対向して上方を向く複数条の給電子を有する給電端子が一対設けられ、
前記充電用トレーが、前記集電子の向きと前記給電子の向きとが一致する方向に水平に移動されることで、前記トレー側集電子と前記給電端子とが水平に接触して充電回路が形成される、機械式駐車装置。
【請求項2】
充電用トレーに搭載された電気自動車への充電を行う充電スペースと、一般用トレーに搭載された充電を行わない電気自動車又は一般車両を保管する保管スペースと、が1つの階床に形成され、前記充電用トレー及び一般用トレーが前記1つの階床内で水平に移動される格納エリアが形成される機械式駐車装置であって、
前記充電用トレーは、該充電用トレーの下面に、下方かつ前記充電用トレーの長手方向に沿う方向を向く複数条の集電子を有するトレー側集電子が前記充電用トレーの長手方向の一方の対角位置にそれぞれ設けられ、
前記充電スペースは、該充電スペースの床側に、前記トレー側集電子のうちの一方の前記トレー側集電子に対向して上方を向く複数条の給電子を有する給電端子が、平面視、該充電スペースの長手方向の一端部に設けられるとともに、それぞれ前記格納エリアに分散して配置され、
前記充電用トレーが、前記集電子の向きと前記給電子の向きとが一致する方向に水平に移動されることで、前記トレー側集電子と前記給電端子とが水平に接触して充電回路が形成される、機械式駐車装置。
【請求項3】
充電用トレーに搭載された電気自動車への充電を行う充電スペースと、一般用トレーに搭載された充電を行わない電気自動車又は一般車両を保管する保管スペースと、が1つの階床に形成され、前記充電用トレー及び一般用トレーが前記1つの階床内で水平に移動される格納エリアが形成される機械式駐車装置であって、
前記充電用トレーは、該充電用トレーの下面に、下方を向く複数条の集電子を有するトレー側集電子が、該充電用トレーの一方の長辺の端部と一方の短辺の端部とにそれぞれ設けられ、
前記長辺の端部に設けられる前記トレー側集電子は、前記充電用トレーの長手方向に沿う方向を向く前記複数条の集電子が配置され、
前記短辺の端部に設けられる前記トレー側集電子は、前記充電用トレーの短手方向に沿う方向を向く前記複数条の集電子が配置され、
前記充電スペースは、該充電スペースの床側に、前記長辺の端部に設けられる前記トレー側集電子に対向して上方を向く複数条の給電子と、前記短辺の端部に設けられる前記トレー側集電子に対向して上方を向く複数条の給電子と、が、それぞれ前記格納エリアに分散して配置され、
前記充電用トレーが、前記集電子の向きと前記給電子の向きとが一致する方向に水平に移動されることで、前記トレー側集電子と前記
給電子とが水平に接触して充電回路が形成される、機械式駐車装置。
【請求項4】
前記充電スペースは、前記格納エリアのうち、昇降装置から離れた奥側に配置される、請求項1~3のいずれか1項に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駐車状態で電気自動車のバッテリー充電を行う機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
駐車車両である電気自動車を搭載したトレーを格納エリアに収納した状態で、電気自動車のバッテリーの充電を行う構成が開示されている(特許文献1)。このような機械式駐車装置では、電気自動車を搭載する充電用トレーの下部に、トレー側集電端子を設け、一方、充電スペースには電源側の給電端子を配置し、この充電スペースへと移動して来たトレーの停止位置で、前述したトレー側集電端子と電源側の給電端子間を電気的に接続して充電回路を形成している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した特許文献1に記載されるものでは、複数の充電用トレーと、これらの充電用トレーに搭載された電気自動車を駐車中に充電する複数の充電スペースと有しているが、トレー側集電端子は、それぞれの充電用トレーにあって同一の向きとなるように一箇所に配置され、給電端子は、トレー側集電端子に対向可能なように、それぞれの充電スペースにあって同一の向きとなるように一箇所に配置されている。このようにトレー側集電端子および給電端子の向きは1つであることから、格納エリアにあって充電スペースを設置できる箇所には限りがあった。比較的少ない充電スペースで複数の充電用トレーに搭載した電気自動車を充電するため、前述した特許文献のものでは、充電が完了した電気自動車を搭載した充電用トレーを充電スペースから移動させるとともに、充電待ちの電気自動車を搭載した充電用トレーを充電スペースへ移動させ、順次、充電を行うようになっている。しかしながら、近年、電気自動車は増加しているとともに、周知のように電気自動車の充電には比較的長い時間を要することから、1つの階の格納エリアにおける充電スペースの数を増やし、充電サービスを充実させることが望まれている。
【0005】
本発明の目的は、1つの階の格納エリアにおける充電スペースの数を容易に増やすことのできる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る機械式駐車装置は、1つの階床に形成される格納エリアに、充電用トレーに搭載された電気自動車への充電を行う充電スペースおよび充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペースを設けるとともに、前記充電用トレーに、充電用ケーブルと接続可能な充電用プラグ接続部およびこの充電用プラグ接続部と電気的に接続されるトレー側集電端子を備え、かつ、前記充電スペースに、前記トレー側集電端子と対向可能なように配置され、前記トレー側集電端子と電気的に接続可能な電源側の給電端子を備え、前記電気自動車のバッテリーを駐車中に充電可能に構成した機械式駐車装置において、前記充電スペースを、前記格納エリアに複数設けるとともに、前記充電用トレーを複数設け、前記トレー側集電端子を、1つの前記充電用トレーにあって、少なくとも2つのトレー移動方向に対応するよう2箇所に配置し、少なくとも2つの前記給電端子を、前記充電スペースにあって前記トレー側集電端子と対向可能なように異なる位置に配置し、前記充電用トレーを、前記充電スペースへ少なくとも2つの移動方向で格納可能としたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、本発明の機械式駐車装置によれば、1つの階の格納エリアにおける充電スペースの数を容易に増やすことができる。なお、前述した以外の課題、構成および効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す縦断面図である。
【
図2】
図1に示した機械式駐車装置の平面図である。
【
図4】本発明の第2の実施形態による機械式駐車装置の平面図である。
【
図5】本発明の第3の実施形態による機械式駐車装置の平面図である。
【0009】
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。なお、各図において同一または類似の構成には同じ符号を付して繰り返しの説明は省略する。
【0011】
図1は、本発明の第1の実施形態による機械式駐車装置を示す縦断面図である。
機械式駐車装置の出入口には、操作盤や出入口扉3などが設けられており、操作盤の操作などによって駐車車両が電気自動車と判別された場合には、充電用トレー1が昇降室2に準備される。一方、電気自動車でないと判定された場合は、一般車両用トレーが準備される。充電用トレー1が準備されると昇降室2の出入口扉3が開放される。そこで、運転手は電気自動車を運転して昇降室2内に入り、充電用トレー1上に電気自動車を乗り込ませる。
その後、運転手が電気自動車から降りて昇降室2の出入口扉3を閉じる操作を行うと、出入口扉3が閉じられ、昇降装置4が作動して充電用トレー1を所定の保管階へと移動する。次いで、昇降装置4から電気自動車を搭載した充電用トレー1を降ろし、後述する駆動装置によって充電用トレー1を所定の格納エリアへと移動する。この格納エリアとしては、充電用トレー1に搭載された電気自動車を駐車中にバッテリーを充電する充電スペースと、充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペースとを有している。
昇降装置4は、複数本のガイドレール5と、このガイドレール5に沿って移動可能な昇降台6と、昇降台6を駆動する駆動装置7などを有する一般的な構成であり、ここでの詳細な説明は省略する。
【0012】
図2は、
図1に示した機械式駐車装置の平面図である。
格納エリアには、電気自動車の駐車状態でバッテリーの充電を行うことが可能な2台分の充電スペース8A,8Bと、充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペース9A~9Hとが形成されている。
図2では、4つの充電用トレー1A~1Dと、3つの通常車両用トレー10A~10Cと、3つの空スペースが描かれており、昇降装置4および空スペースを活用して充電用トレー1A~1Dや通常車両用トレー10A~10Cの移動を行う。
充電スペース8Aの床側には、電源11に接続した給電端子12Aと、図示しない床側駆動装置とがそれぞれ構成されているとともに、充電スペース8Bの床側には、電源11に接続した給電端子12Bと、図示しない床側駆動装置とがそれぞれ構成されている。給電端子12Aと12Bは、充電スペース8Aおよび充電スペース8Bにあって、それぞれ対角位置に配置されている。すなわち、給電端子12Aは、充電スペース8Aの図中左上、給電端子12Bは、充電スペース8Bの図中右下に配置されている。なお、
図2において給電端子12Bは、充電用トレー1Dの下に隠れてしまっているが、便宜上、符号12Bでその真上に位置するトレー側集電子を指している。また、保管スペース9A~9Hの床側には、同一構成の床側駆動装置が構成されている。
【0013】
一方、充電用トレー1A~1Dの下面側には、詳細は後述するが、給電端子12A,12Bと電気的に接触可能なトレー側集電子13A,13Bと、床側駆動装置と対を成すトレー側駆動装置がそれぞれ構成されている。また、通常車両用トレー10A~10Cの下面側には、床側駆動装置と対を成すトレー側駆動装置がそれぞれ構成されている。例えば、床側駆動装置は駆動用モータを有しているのに対して、トレー側駆動装置は駆動用モータの回転による駆動力を受けるレールフレームやローラなどが使用されている。
【0014】
昇降装置4の昇降台6にも床側駆動装置と同一の昇降台側駆動装置が構成されており、昇降台6上に搭載された充電用トレー1A~1Dや通常車両用トレー10A~10Cは、その下面側に構成したトレー側駆動装置と昇降台側駆動装置とを使用して保管スペース9Bまたは保管スペース9E側に降ろし、その後、その下面側に構成したトレー側駆動装置と床側駆動装置とを用いて任意の位置へと移動させることが出来る。そして、充電スペース8A,8Bの位置に充電用トレー1A~1Dのいずれかが位置すると、給電端子12Aとトレー側集電子13Aまたは給電端子12Bとトレー側集電子13Bが電気的に接触状態となって充電回路が形成される。従って、
図2のものでは、1つの階あたり最大2台の電気自動車を同時に駐車中に充電できる構成となっている。
【0015】
また、図示を省略しているが、少なくとも充電用トレー1A~1Dおよび図示していない他の充電用トレーは、他の階の格納エリアから充電スペース8A,8Bの階へ移動し充電を行い、逆に充電スペース8A,8Bから他の階の格納エリアへと移動させたりすることができるように構成されている。
【0016】
【0017】
各充電用トレー1A~1Dは同一構成であるから、ここでは充電用トレー1Aを代表して説明する。充電用トレー1Aは、平面図で四角形の板状構成であり、その下面側には、給電端子12Aと電気的に接触可能なトレー側集電子13Aと、給電端子12Bと電気的に接触可能なトレー側集電子13Bとが設けられている。これらのトレー側集電子13Aと13Bは、充電用トレー1Aにおける電気自動車の進入方向の左右の対角位置にそれぞれ配置されている。このように、トレー側集電子13Aと13Bを、充電用トレー1Aにおける電気自動車の進入方向の左右の対角位置にそれぞれ配置するとともに、前述したように、充電スペース8Aおよび充電スペース8Bにあって給電端子12Aと12Bを、それぞれ対角位置に配置することにより、充電用トレー1Aを、矢印Aの移動方向で充電スペース8Aへ格納することができるとともに、矢印Bの移動方向で充電スペース8Bへ格納することができる。また、トレー側集電子13Aと13Bを、充電用トレー1Aにおける電気自動車の進入方向の左右の対角位置にそれぞれ配置することにより、機械式駐車場装置に旋回装置が備えられるものにあって、旋回装置により充電用トレー1Aを旋回させた場合でも、充電用トレー1Aの向きに依存することなく、トレー側集電子13Aと13Bを給電端子12Aや12Bに対向させることができる。
【0018】
また、充電用トレー1A~1Dの上面側の隅部には、電気自動車のバッテリーと電気的に接続する充電用コンセント14A,14Bを有する可倒式の充電用スタンド15A,15Bが設けられている。そして、トレー側集電子13A,13Bおよび充電用コンセント14A,14Bは、中継ボックス16および配線17を介して電気的に接続されている。
【0019】
さらに、充電用トレー1Aの底部には、詳細を省略しているが、充電スペース8A,8Bや保管スペース9A~9Hの床側に設けられる案内用レールフレームに沿って走行移動するローラや、床側駆動装置と対を成すトレー側駆動用レールフレームなどが構成されている。床側駆動装置とトレー側駆動用レールフレームとは種々の構成のものを使用することができるが、例えば、床側駆動装置はモータと、モータの回転軸に取り付けたローラ、ローラの回転方向を切り替えるリンク装置などを有し、モータによるローラの回転駆動力をトレー側駆動用レールフレームに伝達することによってEV用トレー1Aを任意の方向に移動するように構成されている。
【0020】
第1の実施形態にあっては、操作盤の操作により電気自動車を駐車しながら充電を行うことが選択されると、制御装置は、例えば充電用トレー1Aを選択し、充電予約を設定し記憶するとともに、昇降室2の昇降台6上に充電用トレー1Aを準備する。一方、操作盤の操作により一般車両の駐車が選択されると、昇降室2の昇降台6上に、例えば一般用トレー10Aを準備する。
【0021】
充電用トレー1Aが昇降室2の昇降台6上に準備されると、昇降室2の出入口扉3を開く。ここで、電気自動車の運転手は、電気自動車を昇降台6の充電用トレー1A上に乗り込ませる。その後、図示しない光電検出装置などで運転手が電気自動車から離れて出入口扉3から外側に出たことを検出し、昇降装置の運転スイッチが操作されたことを検出すると、出入口扉3を閉じる。
次いで、制御装置は、リフト駆動部およびトレー駆動部に信号を与えて、充電用トレー1Aを充電スペース8Aまたは8B以外の一般車両を保管する格納エリアの保管スペースへと搬送する。このとき以降、昇降装置4は、次の入出庫に備えることができる。ここで、電気自動車を搭載した状態の充電用トレー1Aは、充電スペースへ直接搬入されるのではなく、一旦、保管スペースへ移動している。この方式に従って入庫時の搬入を随時行うと、充電スペース8Aおよび8Bの数以上の充電用トレーを使用して充電予約された電気自動車を入庫することができる。しかも、充電予約が設定されている電気自動車を格納エリアで待機させるため、リフト装置4で入庫制限をしたりする必要はなく、入出庫処理を効率的に行うことができる。
【0022】
この後、制御装置は、充電スペース8Aまたは8Bの電気自動車は充電が完了状態にある、もしくは充電スペース8A,8Bに空きがあるかどうかを判定する。充電スペースの電気自動車の充電が完了している場合、充電が完了した充電用トレーを他の保管スペースへと移動させて、充電スペースに空きを形成させる。一方、充電スペースで他の電気自動車が充電中のため空きがない場合、最も早く充電が完了する充電スペースを待つ。
【0023】
ここで、充電スペース8Aに空きが形成されると、制御装置は、床側駆動装置とトレー側駆動用レールフレームとを制御しながら、充電予約が設定されている充電用トレー1Aを、保管スペース9Aまで移動させ、この保管スペース9Aから矢印Aに示す移動方向で空いた充電スペース8Aへ格納する。一方、充電スペース8Bに空きが形成されると、充電用トレー1Aを、保管スペース9Fまで移動させ、この保管スペース9Fから矢印Bに示す移動方向で空いた充電スペース8Bへ格納する。
【0024】
充電用トレー1Aが充電スペース8Aへ格納されると、給電端子12Aにトレー側集電子13Aが電気的に接触した状態となって充電回路が形成され、充電を開始する。一方、充電用トレー1Aが充電スペース8Bへ格納されると、給電端子12Bにトレー側集電子13Bが電気的に接触した状態となって充電回路が形成され、充電を開始する。
【0025】
充電を完了した電気自動車を搭載した状態の充電用トレーは、様々な方法で保管することができる。例えば、同充電用トレーを充電スペースにそのまま保管して、必要に応じて保管スペースへ移動させたり、同充電用トレーを充電スペースから保管スペースに随時移動させたり、さらに、常に充電エリアに保管する数を設定し、この設定数を越えたとき速やかに同充電用トレーを格納エリアへと移動するように制御させたりすることができる。
【0026】
このように充電を完了した電気自動車を搭載した状態の充電用トレー1Aを充電スペース8Aまたは8B以外の保管スペースへと移動するようにしているため、駐車対象となった電気自動車の数が増加して充電用トレーの数が増加したとしても、充電後の電気自動車を搭載した状態の充電用トレーを充電スペース8Aまたは8Bへ移動させることによって、効率的な充電サービスを行うことが可能となる。
【0027】
以上説明したように本発明の機械式駐車装置によれば、1つの階床に形成される格納エリアに、充電用トレー1A~1Dに搭載された電気自動車への充電を行う充電スペース8A,8Bおよび充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペース9A~9Hを設けるとともに、充電用トレー1A~1Dに、トレー側集電端子13A,13Bを備え、かつ、充電スペース8A,8Bに、トレー側集電端子13A,13Bと電気的に接続可能な電源側の給電端子12A,12Bを備え、電気自動車のバッテリーを駐車中に充電可能に構成した機械式駐車装置において、複数の充電スペース8A,8Bを格納エリアに設けるとともに、複数の充電用トレー1A~1Dを設け、トレー側集電端子13A,13Bを、各充電用トレー1A~1Dにあって2つのトレー移動方向に対応するよう2箇所に配置し、給電端子12A,12Bを、充電スペース8A,8Bにあってトレー側集電端子13A,13Bと対向可能なように位置に配置し、充電用トレー1A~1Dを、充電スペース8A,8Bへ2つの移動方向で格納可能としたことを特徴とする。
【0028】
このような構成によれば、充電スペースに係るレイアウトの自由度が高まり、1つの階の格納エリアにおける充電スペースの数を容易に増やことができ、これによって、充電サービスを充実させることができる。また、充電用トレー1A~1Dを効率良く循環移動させ、移動に要する時間の短縮を図ることができる。
【0029】
また、本発明は、2つのトレー側集電端子13Aと13Bは、充電用トレー1A~1Dにおける電気自動車の進入方向の左右の対角位置にそれぞれ配置されることを特徴としている。
【0030】
このような構成によれば、機械式駐車場装置に旋回装置が備えられるものにあって、旋回装置により充電用トレー1A~1Dを旋回させた場合でも、充電用トレー1A~1Dの向きに依存することなく、トレー側集電子13Aと13Bを給電端子12Aや12Bに対向させることができる。
【0031】
また、本発明は、充電用トレー1A~1Dに、トレー側集電端子13A,13Bおよび充電用ケーブルと電気的に接続される2つの充電用プラグ接続部、すなわち充電用コンセント14A,14Bを備えるとともに、これらの充電用コンセント14A,14Bは、充電用トレー1A~1Dにおける電気自動車の進入方向の左右の対角位置にそれぞれ配置されることを特徴としている。
【0032】
このような構成によれば、充電用コンセント14A,14Bを、トレー側集電端子13A,13Bと同等の配置とし、充電用トレー1A~1Dの構造を無駄のないものとすることができる。
【0033】
次に、給電端子およびトレー側集電端子を異なる配置にしたものについて説明する。
図4は、本発明の第2の実施形態による機械式駐車装置の平面図である。なお、機械式駐車装置としての基本的な構造は前述したものと同様であることから詳細な説明は省略する。
【0034】
格納エリアには、電気自動車の駐車状態でバッテリーの充電を行うことが可能な4台分の充電スペース8A
~8Dと、充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペース9A~9Eとが形成されている。また、4つの充電用トレー1A~1Dと、3つの通常車両用トレー10A~10Cと、2つの空スペースが描かれており、昇降装置4および空スペースを活用して充電用トレー1A~1Dや通常車両用トレー10A~10Cの移動を行う。
充電スペース8A
~8Cの床側には、電源11に接続した給電端子12Aがそれぞれ構成されているとともに、充電スペース8Dの床側には、電源11に接続した給電端子12Bがそれぞれ構成されている。給電端子12Aと12Bは、充電スペース8A
~8Dにあって対角位置に配置されている。すなわち、給電端子12Aは、充電スペース8A~8Cの図中右上、給電端子12Bは、充電スペース8Dの図中左下に配置されている。なお、
図4において給電端子12Bは、充電用トレー1Cの下に隠れてしまっているが、便宜上、符号12Bでその真上に位置するトレー側集電子を指している。
【0035】
充電用トレー1A~1Dの下面側には、給電端子12Aと電気的に接触可能なトレー側集電子13Aと、給電端子12Bと電気的に接触可能なトレー側集電子13Bとが設けられている。また、これらのトレー側集電子13Aと13Bは、充電用トレー1A~1Dにおける電気自動車の進入方向の前後の対角位置にそれぞれ配置されている。
【0036】
このように、トレー側集電子13Aと13Bを、充電用トレー1Aにおける電気自動車の進入方向の前後の対角位置にそれぞれ配置するとともに、前述したように、充電スペース8A~8Cおよび充電スペース8Dにあって給電端子12Aと12Bを、それぞれ対角位置に配置することにより、充電用トレー1A~1Dを、矢印Cの移動方向で充電スペース8A~8Cへ格納することができるとともに、矢印Dの移動方向で充電スペース8Dへ格納することができる。この点が前述した第1の実施形態と異なる。すなわち、前述した第1の実施形態にあっては、充電用トレーにおける電気自動車の進入方向に直交する移動方向で充電スペースへ格納可能としたが、第2の実施形態では、充電用トレーにおける電気自動車の進入方向に沿った移動方向で充電スペースへ格納することができる。
【0037】
また、トレー側集電子13Aと13Bを、充電用トレー1A~1Dにおける電気自動車の進入方向の前後の対角位置にそれぞれ配置することにより、機械式駐車場装置に旋回装置が備えられるものにあって、旋回装置により充電用トレー1A~1Dを旋回させた場合でも、充電用トレー1A~1Dの向きに依存することなく、トレー側集電子13Aと13Bを給電端子12Aや12Bに対向させることができる。
【0038】
次に、給電端子およびトレー側集電端子をさらに異なる配置にしたものについて説明する。
図5は、本発明の第3の実施形態による機械式駐車装置の平面図である。
【0039】
格納エリアには、電気自動車の駐車状態でバッテリーの充電を行うことが可能な5台分の充電スペース8A~8Eと、充電を行わない電気自動車や一般車両を保管する保管スペース9A~9Fとが形成されている。また、5台の充電用トレー1A~1Eと、3台の通常車両用トレー10A~10Cと、3つの空スペースが描かれており、昇降装置4および空スペースを活用して充電用トレー1A~1Eや通常車両用トレー10A~10Cの移動を行う。
充電スペース8A,8Bの床側には、電源11に接続した給電端子12Aがそれぞれ構成されているとともに、充電スペース8C~8Eの床側には、電源11に接続した給電端子12Bがそれぞれ構成されている。給電端子12Aと12Bは、前述した第1および第2の実施形態のように対角位置に配置されてはおらず、給電端子12Aは、充電スペース8A,8Bの図中右下、給電端子12Bは、充電スペース8Dの図中右上に配置されている。
【0040】
充電用トレー1A~1Eの下面側には、給電端子12Aと電気的に接触可能なトレー側集電子13Aと、給電端子12Bと電気的に接触可能なトレー側集電子13Bとが設けられている。これにより、充電用トレー1A~1Eを、矢印Eの移動方向で充電スペース8A,8Bへ格納することができるとともに、矢印Fの移動方向で充電スペース8C~8Eへ格納することができる。なお、第3の実施形態で示すものは、給電端子12A,12Bやトレー側集電子13A,13Bが前述した第1および第2の実施形態に示すように対角配置となっていないことから、トレー側集電子13Aと13Bを給電端子12Aや12Bに対向させるためには、充電用トレー1A~1Eの向きを特定する必要がある。しかしながら、充電スペースに係るレイアウトの自由度を高めるうえでこのような配置も有効である。
【0041】
以上、本発明の機械式駐車装置の実施形態について、その作用効果も含めて説明した。しかしながら、本発明の機械式駐車装置は、前述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変形実施が可能である。
【符号の説明】
【0042】
1A~1E 充電用トレー
2 昇降室
3 出入口扉
4 昇降装置
8 充電スペース
9 保管スペース
10A~10C 通常車両用トレー
11 電源
12A,12B 給電端子
13A,13B トレー側集電子
14A,14B 充電用コンセント(充電用プラグ接続部)
15A,15B 充電用スタンド
16 中継ボックス
17 配線