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  • 特許-機械式駐車装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】機械式駐車装置
(51)【国際特許分類】
   E04H 6/42 20060101AFI20220613BHJP
   E04H 6/18 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
E04H6/42 B
E04H6/18 601F
E04H6/18 606A
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018237810
(22)【出願日】2018-12-19
(65)【公開番号】P2020100945
(43)【公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-01-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000227043
【氏名又は名称】日精株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100208672
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 愼一
(72)【発明者】
【氏名】柿岡 真貴
(72)【発明者】
【氏名】磯谷 将之
【審査官】伊藤 昭治
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-003493(JP,A)
【文献】特開2018-119296(JP,A)
【文献】特開2012-158968(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04H 6/00 - 6/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗降室内に配置されたトレー上に駐車車両を搭載させた後に、前記駐車車両を搭載させた状態の前記トレーを格納部へ搬送する昇降装置と、前記駐車車両のはみ出しを検出する検知センサと、各部を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置に、前記検知センサによるはみ出しを検出したときに前記昇降装置を動作前の元の位置に戻す元位置復帰部を有する機械式駐車装置において、
前記乗降室に前記駐車車両の車内又は乗降室内を撮影する乗降室カメラが配置され、
前記検知センサは、前記昇降装置の移動中に前記駐車車両のはみ出しを検出するために使用されるものであり、
前記制御装置に設けられ、前記駐車車両が搭載された状態のトレーが前記昇降装置によって移動されるときの前記駐車車両のはみ出しを前記検知センサによる検出信号を用いて検出する半ドア検出部と、
前記検出信号に基づいて、前記昇降装置をその位置で停止させる強制停止部と、
前記強制停止部による前記昇降装置の停止後に前記乗降室カメラの画像データを用いて表示部に表示画像の表示を行う画像監視部と、
を有することを特徴とする機械式駐車装置。
【請求項2】
前記表示画像を見て前記駐車車両内又は乗降室内に人がいる判断されたとき前記昇降装置の停止状態を保持したままセンター保守員を呼ぶ強制停止継続・呼び部と、前記強制停止継続・呼び部の作動後における安全確認後に前記強制停止部および前記強制停止継続・呼び部による前記昇降装置の動作阻止を解除する強制停止解除部とを設け、前記元位置復帰部は、前記強制停止解除部による解除が行われた後、または前記駐車車両内に人がいないことの信号を受けたとき前記昇降装置を昇降動作開始前の元に位置に戻すように構成したことを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【請求項3】
前記乗降室カメラの画像データを用いた前記表示画像を見て前記駐車車両内又は乗降室内に人がいないことを確認したときに前記強制停止部を解除して前記元位置復帰部によって前記昇降装置を昇降動作開始前の元に位置に戻すように構成したことを特徴とする請求項1に記載の機械式駐車装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はみ出し検知センサを備えた機械式駐車装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の機械式駐車装置として、乗降室と、前記乗降室よりも上階または下階に設けられた格納棚と、パレットを前記乗降室と前記格納棚との間で移動させる移動手段と、パレットが前記乗降室と前記格納棚との間で移動する際に、パレット上に載置された物体が所定の第1領域からはみ出しているか否かを検知する第1はみ出し検知部と、を備えることを特徴とする機械式駐車場が知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-119296号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の機械式駐車装置は、はみ出し検出部によって昇降装置で移動中の駐車車両が半ドア状態になったことを検出した場合、一旦、昇降装置を停止させてから元の位置に戻すようにしていたため、必ずしも効率的な運用とはなっていなかった。また、半ドア状態となる原因は種々考えられるが、駐車車両に残されていた同乗者が昇降装置の移動中に駐車車両から降りようとしたことが原因であった場合、昇降装置を元の位置に戻すと重大な事故に至る危険がある。
【0005】
本発明の目的は、昇降装置で移動中の駐車車両が半ドア状態となったことを検出した場合でも、重大な事故に至ることを防止しながら効率的に運用することができる機械式駐車装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1態様に係る機械式駐車装置は、乗降室内に配置されたトレー上に駐車車両を搭載させた後に、前記駐車車両を搭載させた状態の前記トレーを格納部へ搬送する昇降装置と、前記トレー上に搭載された状態の前記駐車車両のはみ出しを検出する検知センサと、各部を制御する制御装置を備え、前記制御装置に、前記検知センサによるはみ出しを検出したときに前記昇降装置を動作前の元の位置に戻す元位置復帰部に有した機械式駐車装置において、前記乗降室に前記駐車車両の車内を撮影する乗降室カメラを配置し、前記検知センサは前記昇降装置の移動中に前記駐車車両の半ドア状態を検出するために使用し、前記制御装置に、前記駐車車両が搭載された状態のトレーを前記昇降装置によって移動するときに前記駐車車両の半ドア状態を前記検知センサによる検出信号を用いて検出する半ドア検出部と、前記半ドア検出部によって半ドア状態が検出されたとき前記昇降装置をその位置で停止させる強制停止部と、前記強制停止部による前記昇降装置の停止後に前記乗降室カメラの画像データを用いて表示部に表示画像の表示を行う画像監視部を設けたことを特徴とする。
【0007】
第1態様に係る機械式駐車装置によれば、半ドア検出部によって半ドア状態が検出されたとき、駐車車両内に残された同乗者が今、駐車車両から降りようとしてドアを開けた状態も検出することもできる。このとき強制停止部は直ちに昇降装置を停止させるが、画像監視部による表示画像を確認して駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいるかどうかを容易に判定することができるので、駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいる場合といない場合を区別して判別することができる。つまり、駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいることが確認されない場合、重大な事故に至ることがないので速やかに昇降装置を動かして効率的な運用を行うことができ、一方、駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいることが確認された場合、安全を優先して重大事故の発生を防止するという異なる対応を取ることができるようになる。
【0008】
第2態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記表示画像を見て前記駐車車両内又は乗降室内に人がいる判断されたとき前記昇降装置の停止状態を保持したままセンター保守員を呼ぶ強制停止継続・呼び部と、前記強制停止継続・呼び部の作動後における安全確認後に前記強制停止部および前記強制停止継続・呼び部による前記昇降装置の動作阻止を解除する強制停止解除部とを設け、前記元位置復帰部は、前記強制停止解除部による解除が行われた後、または前記駐車車両内に人がいないことの信号を受けたとき前記昇降装置を昇降動作開始前の元に位置に戻すように構成したことを特徴とする。
【0009】
第2態様に係る機械式駐車装置によれば、画像監視部による表示画像を確認して駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいた場合、専門的な知識や技能を持つセンター保守員の出動によって同乗者の安全を確保することができ、救出などの安全処置後に、元位置復帰部によって昇降装置を昇降動作開始前の元に位置に戻すことができる。
【0010】
第3態様に係る機械式駐車装置は、第1態様に係る機械式駐車装置において、前記乗降室カメラの画像データを用いた前記表示画像を見て前記駐車車両内又は乗降室内に人がいないことを確認したときに前記強制停止部を解除して前記元位置復帰部によって前記昇降装置を昇降動作開始前の元に位置に戻すように構成したことを特徴とする。
【0011】
第3態様に係る機械式駐車装置によれば、重大な事故に至らない状態での半ドア検出時には、専門的な知識や技能を持つセンター保守員を出動させることなく、元位置復帰部によって昇降装置を昇降動作開始前の元に位置に戻すことができ、安全を確保しながら効率的な出入庫処理を行うことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明による機械式駐車装置によれば、半ドア検出部によって半ドア状態が検出されたとき、駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者が今、駐車車両から降りようとしてドアを開けた状態或いは間違って降りて乗降室内にいる場合も検出することもできる。このとき強制停止部は直ちに昇降装置を停止させるが、画像監視部による表示画像を確認して駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいるかどうかを容易に判定することができるので、駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいる場合といない場合を区別して判別することができる。つまり、駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいることが確認されない場合、重大な事故に至ることがないので速やかに昇降装置を動かして効率的な運用を行うことができ、一方、駐車車両内又は乗降室内に残された同乗者がいることが確認された場合、安全を優先して重大事故の発生を防止するという異なる対応を取ることができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例による機械式駐車装置における乗降室を示す平面図である。
図2図1に示した機械式駐車装置における駐車車両の半ドア検出状態を示す乗降室の正面図である。
図3図1に示した機械式駐車装置の制御装置における要部構成を示すブロック構成図である。
図4図3に示した機械式駐車装置における制御装置での要部処理動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施例による機械式駐車装置における乗降室を示す平面図である。
【0016】
乗降室1には、外側に配置された操作盤2からの操作が行われたとき開閉されるように出入口に出入口扉3が構成され、出入口扉3に対応した位置の乗降室1内には図示しない昇降装置によって搬送されるトレー4が配置されている。また乗降室1内には、出入口から乗り込まれた駐車車両5の車幅方向のはみ出しを検出する一対の検知センサ6A,6Bと、車長方向のはみ出しを検出する一対の検知センサ7A,7Bを有している。さらに乗降室1内には、主に駐車車両5の前方内部を撮影する乗降室カメラ8と、主に駐車車両5の後方内部を撮影する乗降室カメラ9が設置されている。
【0017】
詳細な図示は省略しているが、操作盤2からの信号や、出入口扉3の動作完了信号や、昇降装置の下降動作開始信号や、車幅方向の検知センサ6A,6Bおよび車長方向の検知センサ7A,7Bの検出信号や、乗降室カメラ8,9によって取得された画像データなどが図示しない制御装置に取り込まれており、機械式駐車装置における一連の処理動作に反映されている。
【0018】
駐車車両5の運転手または駐車場管理人によって、図1に示した操作盤2から入庫操作が行われると、制御装置の扉開操作部は入庫操作信号を受けて乗降室1の出入口扉3を開操作する。出入口扉3の開動作が完了すると、利用者である運転手は駐車車両5に乗り込んで運転しながら、出入口から乗降室1内のトレー4上に移動させて駐車車両5を停止させる。
【0019】
その後、駐車車両5から降りた運転手または駐車場管理人が操作盤2から次の操作を行うと、制御装置の扉閉操作部は操作信号を受けて乗降室1の出入口扉3を閉操作する。その後、制御装置は昇降装置を駆動して、駐車車両5が搭載された状態のトレー4を下方の格納部へと移動を開始させる。
【0020】
検知センサ6A,6Bおよび検知センサ7A,7Bは、トレー4上の所定の位置に駐車車両5を載せたときのはみ出しを検出するためにも使用されるが、検知センサ6A,6Bは、その後に昇降装置が動作したときに駐車車両5が半ドア状態になったときの検出にも使用される。
【0021】
前者のトレー4に対する駐車車両5のはみ出し検知は、トレー4の上面側の形状によって駐車車両5の停止位置を規制し、運転手などの目視によっても行うことができるので、以下の説明で検知センサ6A,6Bは、主に駐車車両5の半ドア状態を検出するものとして説明する。また検知センサ6A,6Bとしての構成は図示のものに限らず、駐車車両の片側において複数対設けられた構成であっても良い。さらに、トレー4に対する駐車車両5のはみ出し検知と、駐車車両5が半ドア状態になったときの検出とを、それぞれ別の検知センサによって行うこともでき、その場合の検知センサ6A,6Bは、主に駐車車両5の半ドア状態を検出するものとして説明する。
【0022】
図2は、駐車車両5の半ドア検出状態を示す乗降室1の正面図である。
【0023】
駐車車両5を搭載した状態のトレー4が昇降装置10に載せられており、昇降装置10によって下方の格納部への移動を開始すると、検知センサ6A,6Bを使用して駐車車両5における半ドアがあるかどうかの検出が行われる。
【0024】
駐車車両5における半ドアが検出された場合、昇降装置10を停止させ、昇降装置10を移動開始前の位置にいきなり戻すのではなく、この半ドア状態による安全確認を行うようにしている。
【0025】
図3は、制御装置における要部構成を示すブロック構成図である。
【0026】
制御装置11は、制御盤2からの操作信号を取り込んで通常の制御を行う他に、乗降室1内に配置された監視カメラ8,9や検知センサ6A,6Bの検出信号を取り込んで制御を行っている。
【0027】
制御盤2には、表示部12と、出入口扉3の開操作を行うときに操作される開ボタン13と、出入口扉3の閉操作を行うときに操作される閉ボタン14と、半ドア状態が検出された後に駐車車両5内に乗客がいることを確認したときに操作される人検出ボタン15と、半ドア状態が検出された後に駐車車両5内又は乗降室1内に乗客がいないことを確認したときや、その他の時点で安全が確認されたときに操作される安全確認ボタン16などが設けられている。尚、各ボタン15,16は、図示の構成以外に、表示部12に表示されたタッチボタンによって構成されていても良い。
【0028】
制御装置11は、通常構成の他に、駐車車両5を格納するために昇降装置10が昇降動作した後に駐車車両5の半ドア状態を検知センサ6A,6Bによる信号を用いて行う半ドア検出部17と、半ドア検出部17によって半ドア状態が検出されたとき昇降装置10をその位置で停止させる強制停止部18と、乗降室1に設けられた乗降室カメラ8,9の画像データを用いて表示部12に画面表示を行う画像監視部19と、運転手または駐車場管理人が表示画像を見て駐車車両5内又は乗降室1内に人がいることやいないことを確認したときに安全確認ボタン16が操作されることによって判定結果を通知する車内確認判定部20と、表示画像を見て駐車車両5内に人がいるとき出動要請ボタン15が操作されたとき昇降装置10の停止状態を保持したままセンター保守員を呼ぶ強制停止継続・呼び部21と、強制停止継続・呼び部21の作動後における安全確認後に強制停止部18および強制停止継続・呼び部21による昇降装置10の動作阻止を解除する強制停止解除部22と、強制停止解除部22による解除が行われた後、または車内確認判定部20から駐車車両5内又は乗降室1内に人がいないことの信号を受けたとき昇降装置10を昇降動作開始前の元に位置に戻す元位置復帰部23と、操作盤2の表示部12に半ドア状態の解消を促す通知を行う半ドア解消通知部24などを備えている。
【0029】
次に、制御装置11における半ドア検出時の処理動作について説明する。
【0030】
図4は、機械式駐車装置における制御装置11での要部処理動作を示すフローチャートである。
【0031】
ステップS1で制御装置の半ドア検出部17は、昇降装置10が乗降室1から下降を開始したときの信号を取り込んで処理を開始し、またステップS2で、検知センサ6A,6Bからの信号を一定時間だけ監視し、検知センサ6Aから照射された光が半ドア状態にあるドアによって遮られたかどうかを検出する。その結果、半ドア状態の検出がない場合、ステップS3で制御装置11の通常処理部は、駐車車両5の格納処理を継続してその処理を完了させる。
【0032】
しかし、半ドア検出部17で半ドア状態の検出があった場合、制御装置11の強制停止部18はステップS4で、昇降装置10に停止信号を与えて停止させ、ブザーなどによって駐車車両5の運転手または駐車場管理人に半ドア状態を通知する。
【0033】
この時点で制御装置11の画像監視部19はステップS5として、乗降室カメラ8,9の画像データを用いて操作盤2の表示部12へ画面表示などを行う。半ドア状態の通知を受けた駐車車両5の運転手または駐車場管理人は、ステップS6で、操作盤2の表示部12における画面表示を見て駐車車両5内又は乗降室1内に人がいないかどうかの車内確認判定を行う。
【0034】
この画面表示が行われたとき、駐車車両5の運転手がまだ操作盤の近傍にいて画面表示を見て、駐車車両5に一時的に残してきた同乗者がいることを思い起こしたとする。または、画面表示を見た駐車場管理人が画像データから駐車車両5内又は乗降室1内に人がいることを確認したとする。
【0035】
このとき、駐車車両5の運転手または駐車場管理人は、操作盤2などの出動要請ボタン15を操作して強制停止継続・呼び部21を作動させる。すると、ステップ7で制御装置11の強制停止継続・呼び部21は、昇降装置10の停止状態を保持しながら、センター保守員の出動要請を行う。駐車車両の中に人がいて半ドア状態であった場合、車内に残された子供などが自分で降りようとしてドアを開けたことも含まれるので、昇降装置10を動作させてしまうと重大事故が発生する危険があるが、昇降装置10の停止状態が保持されるため、この重大事故の発生を阻止することができる。
【0036】
強制停止継続・呼び部21を通して出動したセンター保守員は、専門的な知識や経験を有しており、それらを生かして適切な処置を取ることができる。適切な処置の完了後にセンター保守員によってステップS8で、操作盤2の安全確認ボタン16などが操作される。すると、ステップS9で制御装置11の強制停止解除部22は、車内確認判定部20の判定結果としてこれを検出し、強制停止部18および強制停止継続・呼び部21による動作阻止を解除する。また、制御装置11の元位置復帰部23は、昇降装置10を下降開始前の元に位置に戻すよう動作させる。
【0037】
その後は、ステップS1に戻り、ステップS3で制御装置11の通常処理部により駐車車両5の格納処理が再開されてその処理が完了される。
【0038】
一方、ステップS5の画面表示が行われたとき、駐車車両5の運転手がまだ操作盤2の近傍にいて画面表示を見て車内に人はいないが半ドア状態であることを知ったり、または画面表示を見た駐車場管理人が画像データから駐車車両5内に人がいないことを確認したりしたとする。この確認操作として駐車車両5の運転手または駐車場管理人によって操作盤2の安全確認ボタン16などが操作されると、ステップS10で制御装置11の元位置復帰部23は、昇降装置10を下降動作開始前の元の位置に自動で戻す。
【0039】
その後、ステップS11で制御装置11の半ドア解消通知部24は、操作盤2の表示部12に半ドア状態の解消を促す通知を行う。このときの表示などを見た駐車車両5の運転手または駐車場管理人は、駐車車両5に近づき半ドア状態を解消させ、解消作業完了後に、操作盤2の安全確認ボタン16などを操作する。すると、ステップS1に戻り、ステップS3に示したように制御装置の通常処理部により駐車車両5の格納処理が再開されてその処理が完了される。
【0040】
このように画像監視部19による乗降室カメラ8,9の画像データを用いた画面表示を見て、駐車車両5の運転手または駐車場管理人が車内に人がいないが半ドア状態であると判断した場合には、先の場合とは異なり、強制停止継続・呼び部21を通して出動したセンター保守員の出動はない。従って、駐車車両5の半ドア状態を比較的に短時間に解消できるので、機械式駐車装置の利用効率を高めることができる。こうして、昇降装置10で移動中の駐車車両5が半ドア状態となったことを検出した場合でも、全体としては重大な事故に至ることを防止しながら効率的に運用することができるようになる。
【0041】
尚、上述の実施例で、半ドア状態を検出する検知センサは、トレー4上における駐車車両5のはみ出しを検出する車幅方向はみ出し検知センサ6A,6Bおよび車長方向はみ出し検知センサ7A,7Bを兼用して使用したが、トレー4上における駐車車両5のはみ出しを検出する検知センサと、半ドア状態を検出する検知センサとは別々に配置構成したものを使用することもできる。また、駐車車両5内に閉じ込められた状態も検出するが間違って乗降室1内に出た場合も検出できる。
【0042】
上述したように本発明の機械式駐車装置は、乗降室1に駐車車両5の車内を撮影する乗降室カメラ8,9を配置し、昇降装置10の移動中に駐車車両5の半ドア状態を検出するために使用される検知センサ6A,6Bとし、制御装置11に、駐車車両5が搭載された状態のトレー4を昇降装置10によって移動するときに駐車車両5の半ドア状態を検知センサ6A,6Bによる検出信号を用いて検出する半ドア検出部17と、半ドア検出部17によって半ドア状態が検出されたとき昇降装置10をその位置で停止させる強制停止部18と、強制停止部18による昇降装置10の停止後に乗降室カメラ8,9の画像データを用いて表示部に画面表示を行う画像監視部19を設けたことを特徴とする。
【0043】
このような構成によれば、半ドア検出部17によって半ドア状態が検出されたとき、駐車車両5内又は乗降室1内に残された同乗者が今、駐車車両5から降りようとしてドアを開けた状態或いは間違って乗降室1内に出た場合も検出することができる。このとき強制停止部18は直ちに昇降装置10を停止させるが、画像監視部19による表示画像を確認して駐車車両5内又は乗降室1内に残された同乗者がいるかどうかを容易に判定することができる。つまり、駐車車両5内又は乗降室1内に残された同乗者がいることが確認されない場合、重大な事故に至ることがないので速やかに昇降装置を動かして効率的な運用を行うことができる。一方、駐車車両5内又は乗降室内に残された同乗者がいることが確認された場合、安全を優先して重大事故の発生を防止するという異なる対応を取ることができるようになる。
【0044】
また本発明は上述の構成に加えて、表示画像を見て駐車車両5内又は乗降室1内に人がいる判断されたとき昇降装置10の停止状態を保持したままセンター保守員を呼ぶ強制停止継続・呼び部21と、強制停止継続・呼び部21の作動後における安全確認後に強制停止部18および強制停止継続・呼び部21による昇降装置10の動作阻止を解除する強制停止解除部22とを設け、元位置復帰部23は、強制停止解除部22による解除が行われた後、または駐車車両5内に人がいないことの信号を受けたとき昇降装置10を昇降動作開始前の元に位置に戻すように構成したことを特徴とする。
【0045】
このような構成によれば、画像監視部19による表示画像を確認して駐車車両5内又は乗降室1内に残された同乗者がいた場合、専門的な知識や技能を持つセンター保守員の出動によって同乗者の安全を確保することができ、救出などの安全処置後に、元位置復帰部23によって昇降装置10を昇降動作開始前の元に位置に戻すことができる。
【0046】
また本発明は上述の構成に加えて、乗降室カメラ8,9の画像データを用いた表示画像を見て駐車車両5内又は乗降室1内に人がいないことを確認したときに強制停止部18を解除して元位置復帰部23によって昇降装置10を昇降動作開始前の元に位置に戻すように構成したことを特徴とする。
【0047】
このような構成によれば、重大な事故に至らない状態での半ドア検出時には、専門的な知識や技能を持つセンター保守員を出動させることなく、元位置復帰部23によって昇降装置10を昇降動作開始前の元に位置に戻すことができ、安全を確保しながら一層効率的な出入庫処理を行うことができる。
【符号の説明】
【0048】
1 乗降室
4 トレー
5 駐車車両
6A,6B 検知センサ
8,9 乗降室カメラ
10 昇降装置
11 制御装置
17 半ドア検出部
18 強制停止部
19 画像監視部
21 強制停止継続・呼び部
22 強制停止解除部
23 元位置復帰部
図1
図2
図3
図4