(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】メタルカードの製造方法
(51)【国際特許分類】
B42D 25/475 20140101AFI20220613BHJP
G06K 19/077 20060101ALI20220613BHJP
B42D 25/305 20140101ALI20220613BHJP
B26F 1/16 20060101ALI20220613BHJP
B23C 3/12 20060101ALI20220613BHJP
B42D 25/485 20140101ALI20220613BHJP
【FI】
B42D25/475
G06K19/077 144
G06K19/077 272
B42D25/305 100
B26F1/16
B23C3/12 Z
B42D25/485
(21)【出願番号】P 2020570752
(86)(22)【出願日】2018-06-20
(86)【国際出願番号】 KR2018006932
(87)【国際公開番号】W WO2019245071
(87)【国際公開日】2019-12-26
【審査請求日】2020-12-17
(73)【特許権者】
【識別番号】516102186
【氏名又は名称】コナ アイ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】519035218
【氏名又は名称】コナ エム カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003339
【氏名又は名称】特許業務法人南青山国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100104215
【氏名又は名称】大森 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100196575
【氏名又は名称】高橋 満
(74)【代理人】
【識別番号】100168181
【氏名又は名称】中村 哲平
(74)【代理人】
【識別番号】100160989
【氏名又は名称】関根 正好
(74)【代理人】
【識別番号】100117330
【氏名又は名称】折居 章
(74)【代理人】
【識別番号】100168745
【氏名又は名称】金子 彩子
(74)【代理人】
【識別番号】100176131
【氏名又は名称】金山 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197398
【氏名又は名称】千葉 絢子
(74)【代理人】
【識別番号】100197619
【氏名又は名称】白鹿 智久
(72)【発明者】
【氏名】ナム,キソン
(72)【発明者】
【氏名】キム,ハンソン
(72)【発明者】
【氏名】リー,ソック
【審査官】金田 理香
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-159753(JP,A)
【文献】国際公開第2014/113765(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第105150613(CN,A)
【文献】特表2017-537417(JP,A)
【文献】特開2011-018319(JP,A)
【文献】特表2005-525949(JP,A)
【文献】特開平03-143694(JP,A)
【文献】特表2017-524171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B42D 15/02
25/00-25/485
G06K 19/00-19/18
B26F 1/16
B23C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数個の個別カードを収容する大きさのメタルシートを準備するステップ;
前記複数個の個別カードを収容することができる同じ大きさの接着シート及びアンテナコイルが印刷されたインレイシートを含む複数個のシートを積層した積層シートの少なくとも一つの隅にホールを形成するステップ;
前記積層シートに形成されたホールを積載板ピンに挿入するステップ;
前記積層シートの上部に前記メタルシートを合紙するステップ;
前記メタルシートと前記積層シートとをラミネートして、メタルカードシートを形成するステップ;及び
前記メタルカードシートを前記複数個の個別カードの外郭線に沿って切削するステップ;
を含
み、
前記メタルカードシートを切削するステップは、
CNC工程を通じて切削工具を使用して前記個別カードの外郭線を切削しながら、冷却アルコールを噴射するステップを含むメタルカードの製造方法。
【請求項2】
前記積層シートの少なくとも一つの隅にホールを形成するステップは、
前記積層シートの2つ以上の隅が隣接する各頂点に穿孔を行い、前記ホールを形成するステップを含む請求項
1に記載のメタルカードの製造方法。
【請求項3】
前記切削工具を使用して前記個別カードの外郭線を切削する過程を、既設定された回数以上行えば、前記切削工具を交替するステップをさらに含む請求項
2に記載のメタルカードの製造方法。
【請求項4】
前記メタルシートを準備するステップは、
前記メタルシートの少なくとも一つの隅にホールを形成するステップを含み、
前記積層シートと接触する前記メタルシートの背面にCNC工程を通じて挿入空間を形成するステップを含む請求項
2に記載のメタルカードの製造方法。
【請求項5】
前記メタルシートを準備するステップは、
前記挿入空間に対して、プラスチック材質からなる加工層を挿入するステップを含む請求項
4に記載のメタルカードの製造方法。
【請求項6】
前記メタルシートを準備するステップは、
前記加工層が挿入されたメタルシートの面と対向する面に対して、加工層露出部を形成するステップを含む請求項
5に記載のメタルカードの製造方法。
【請求項7】
前記メタルカードシートを切削するステップは、
前記加工層露出部よりも小さな幅を有しながら、前記個別カードの外郭線内部に位置したチップ露出領域を前記インレイシートの前記アンテナコイルが露出されるように切削するステップをさらに含む請求項
6に記載のメタルカードの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタルカードの製造方法に関するものである
【背景技術】
【0002】
近頃、様々な情報を保存することができるICチップを収納したスマートカードが幅広く供給されている。実カードは、一般にプラスチック材質からなっていると認識されている。このような一般的な認識を飛び越え、カード利用者がカードを使用するたびに視覚的、触覚的満足感が得られるようにする差別化された材質のスマートカードが提供されている。カード利用者は、どのカードを選択するかを決める際には、カード決済による還元と共に実際のカードを触るときに差別化された感覚を提供するスマートカードを好む傾向がある。
【0003】
特に、外面に金属材質が露出されたスマートカード(以下、「メタルカード」という)は、金属固有の光沢と触感をカード利用者に提供し、カード利用者の満足感を高めることができる高級カードとして脚光を浴びている。しかし、金属の材質特性がプラスチックと違って、一般的なプラスチックカードの工程を適用してメタルカードを大量で生産することは困難であるという問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、多数個のカードを生産することができる大面積のシートを積層して、個別カード単位に切削することによって、シート工程を通じて多数個のメタルカードを一度に製造することができるメタルカードの製造方法を提供する。
本発明は、メタルシートを含む大面積のシートが積層された積層シートの表面に沿って、個別カードの外郭線を切削する過程で切削と同時に冷却気体を噴射することによって、安定的に外郭線を切削することができるメタルカードの製造方法を提供する。
本発明は、大面積のシートを切削する過程で発生するシートのねじれを防止するために、シートにホールを形成して固定することによって、大面積シートの整列状態を保持し、個別カードを切削して個別カード外郭面の均一性を確保することができるメタルカードの製造方法を提供する
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によるメタルカードの製造方法は、複数個の個別カードを収容する大きさのメタルシートを準備するステップ;前記複数個の個別カードを収容することができる同じ大きさの接着シート及びアンテナコイルが印刷されたインレイシートを含む複数個のシートを積層した積層シートの少なくとも一つの隅にホールを形成するステップ;前記積層シートに形成されたホールを積載板ピンに挿入するステップ;前記積層シートの上部に前記メタルシートを合紙するステップ;前記メタルシートと前記積層シートとをラミネートして、メタルカードシートを形成するステップ;及び前記メタルカードシートを前記複数個の個別カードの外郭線に沿って切削するステップ;を含む。
【0006】
一実施形態において、前記メタルカードシートを切削するステップは、CNC工程を通じて切削工具を使用して前記個別カードの外郭線を切削しながら、冷却アルコールを噴射するステップを含む。
【0007】
一実施形態において、前記積層シートの少なくとも一つの隅にホールを形成するステップは、前記積層シートの2つ以上の隅が隣接する各頂点に穿孔を行い、前記ホールを形成するステップを含む。
【0008】
一実施形態において、前記切削工具を使用して前記個別カードの外郭線を切削する過程を、既設定された回数以上行えば、前記切削工具を交替するステップをさらに含む。
【0009】
一実施形態において、前記メタルシートを準備するステップは、前記メタルシートの少なくとも一つの隅にホールを形成するステップを含み、前記積層シートと接触する前記メタルシートの背面にCNC工程を通じて挿入空間を形成するステップを含む。
【0010】
一実施形態において、前記メタルシートを準備するステップは、前記挿入空間に対して、プラスチック材質からなる加工層を挿入するステップを含む。
【0011】
一実施形態において、前記メタルシートを準備するステップは、前記加工層が挿入されたメタルシートの面と対向する面に対して、加工層露出部を形成するステップを含む。
【0012】
一実施形態において、前記メタルカードシートを切削するステップは、前記加工層露出部よりも小さな幅を有しながら、前記個別カードの外郭線内部に位置したチップ露出領域を前記インレイシートの前記アンテナコイルが露出されるように切削するステップをさらに含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明によるメタルカードの製造方法によれば、多数個のカードを生産することができる大面積のシートを積層し、個別カード単位に切削することによって、一度のシート工程を通じて多数個のメタルカードを一度に製造することができる。
本発明によるカードの製造方法によれば、メタルシートを含む大面積のシートが積層された積層シートの表面に沿って個別カードの外郭線を切削する過程で発生する熱を効果的に冷却し、安定的に個別カードの外郭を切削することができる。
本発明によるカードの製造方法によれば、大面積のシートを切削する過程で発生するシートのねじれを防止するために、シートにホールを形成して固定することによって、大面積のシートの整列状態を保持し、個別カードを切削することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法により製造されるメタルカードの構造を説明するためのメタルカードの斜視図である。
【
図2】本発明によるメタルカードを製造するための大面積シートにおいて、個別メタルカードが配置された一実施例を示した図である。
【
図3】メタルカードを製造するためのシートにホールが形成された一実施例を示す図である。
【
図4】本発明によるメタルカードの製造方法を説明するための流れ図である。
【
図5A】本発明によるメタルシートの加工過程を説明するためのメタルシートの断面図である。
【
図5B】本発明によるメタルシートの加工過程を説明するためのメタルシートの断面図である。
【
図5C】本発明によるメタルシートの加工過程を説明するためのメタルシートの断面図である。
【
図6】本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法において、メタルカードシートの切削過程を示した図である。
【
図7A】
図6のA-A'線によるメタルカードシートの断面図であり、ラミネートが完了した後、切削工程前のメタルカードシートの断面図である。
【
図7B】
図6のA-A'線によるメタルカードシートの断面図であり、ラミネートが完了した後、切削工程後のメタルカードシートの断面図である。
【
図8A】個別メタルカード工程において、インレイ層とCOBパッドを連結する
図4のステップS460を説明するための断面図である。
【
図8B】個別メタルカード工程において、インレイ層とCOBパッドを連結する
図4のステップS460を説明するための断面図である。
【
図8C】個別メタルカード工程において、インレイ層とCOBパッドを連結する
図4のステップS460を説明するための断面図である。
【
図9】本発明の一実施例によるメタルカードに対して全面印刷及びコーティングを含む後工程をすべて行ったときのメタルカードの層構成を示すメタルカードの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の技術的思想を明確化するために添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。本発明を説明する際に、関連した公知機能又は構成要素に対する具体的な説明が本発明の要旨を不要に曇らせると判断される場合、その詳細な説明を省略する。図面において、実質的に同じ機能構成を有する構成要素については、たとい他の図面上に表示されてもできるだけ同じ参照番号及び符号を付する。説明の便宜のために必要な場合には、装置と方法を共に叙述するようにする。
【0016】
明細書全般において、ある部分が他の部分と「連結」されているとするとき、これは、「直接的に連結」されている場合だけでなく、その中間に他の部材を置いて「間接的に連結」されている場合も含む。また、ある部分が他の構成要素を「含む」とするとき、これは、特に反対される基材がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素をさらに備えるということを意味する。
【0017】
図1は、本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法により製造されるメタルカードの構造を説明するためのメタルカードの斜視図である。
【0018】
本発明によるメタルカード100は、一つ以上の層を含んでいてもよい。
図1を参照すれば、メタルカード100は、メタル層110、加工層120、絶縁層140、インレイ(Inlay)層160、印刷層170、及び磁気ストライプ層180を含んでいてもよく、これらの安定的に接着するための一つ以上の接着層130、150を含んでいてもよい。
【0019】
メタル層110は、本発明によるメタルカード特有の材質と重量感を達成することができるコア層(Core layer)であり、SUS(Steel Use Stainless)を含むことができる。メタル層110を構成するメタル素材は、メタルカードの特性を表現するための材質又は重量を考慮して選ぶことができる。別の実施例において、加工工程に耐えるための耐久性、摩耗度、変成程度などを考慮して、メタル層110を構成するメタル素材を選ぶことができる。例えば、SUSを含むメタル層110は、腐食に強く、相当の高温においても変形しないことから、切削工程に耐えることができる。
【0020】
加工層120は、プラスチック(例えば、PVC)からなる層であり、内部に空いた空間が形成された層であってもよい。加工層120は、メタルカード全体ではなく、メタル層110内の一部領域に配置される。本発明において、加工層120は、メタル層110内部に装着されるICチップのようなCOB(Chip On Board)領域に配置され、その後、インレイ層160のアンテナとCOBパッドとが直接接触するようにする工程を行う空間を確保してくれる。これにより、アンテナの感度を向上させながらカードの全面をメタル素材で具現し、メタルカードの高級な美感を保持しながら無線通信機能を向上させることができる。
【0021】
絶縁層140は、アンテナが印刷されたインレイ層160がメタル層110と隣接することにより発生しうる電磁場の干渉を防ぐために備えられる。具体的に、インレイ層160に備えられたアンテナは、外部のアンテナ読み取り機と通信して作動することになるが、このとき、アンテナコイルで磁場が発生することになる。具体的に、アンテナコイルで発生した磁場が、メタル層110のメタル素材と相互作用することにより、アンテナコイルのSRF(Self-Resonant Frequency;自己共振周波数)が変わり、その結果、アンテナコイルのインダクタンスが低くなり、通信障害を誘発することがある。このような現状の原因は、磁気的によりメタル層110で発生する渦流(渦電流)のためであり、メタル層110の渦流をなくすために高透磁率と高抵抗を有する絶縁層140をメタル層110とインレイ層160と間に位置させて、磁力線を調節することができるようにしなければならない。絶縁層140は、磁場を調節できるため、電磁波シールド層(Electromagnetic interference shielding layer)と称されることがある。実施例に応じて、絶縁層140は、強磁性体を含むことができる。
【0022】
インレイ層160は、印刷された無線周波数(RF)アンテナを含む層であり、メタルカード100が外部の要所と近距離通信を行って非接触式決済ができるようにするか、外部の電源から電源の供給を受けるようにする。インレイ層160に印刷されるアンテナコイルの巻数は、無線周波数通信感度試験を通じて最適化された感度を有するように決定される。実施例により、本発明によるインレイ層160に含まれたアンテナコイルは、加工層120を介して空間を確保し、メタル層110と接触することなく、以降、COBパッドと電気的に接続され得る。
【0023】
印刷層170は、メタルカード100の情報を印刷して表示する層であり、磁気ストライプ層180は、スワイプを通した決済に使用される磁気ストライプ(Magnetic Stripe)が形成された層である。実施例により、磁気ストライプ層180は、透明な層に磁気ストライプが付着される。
【0024】
メタルカード100には、少なくとも一つの接着層130、150が含まれ、隣接する層を接着することができる。例えば、接着層130、150は、ホットメルト(hotmelt)シートで具現され得る。ホットメルトは、加熱により溶融するシートであり、熱可塑性樹脂のような素材を含み、加熱して融けた後、冷却されるにつれて固化される特徴を有する。
【0025】
本発明は、
図1を参照して説明したように、メタル層110をはじめとして多数の層からなるメタルカード100を製造するために、各層に対応される大面積のシートを準備した後、複数個のシートを積層し、複数個のシートを個別カード単位に切削して、個別メタルカードを形成するメタルカードの製造方法に関するものである。
【0026】
具体的に、本発明によるメタルカードの製造方法において、積層された大面積のシートにホールを形成し、シートのホールを固定されたピンに挿入することにより、シートを固定整列し、その後、積層されたシートを個別カードの外郭線に沿って一度に切削し、一つのシート工程を通じて多数個のメタルカードを製造することができる。このようなメタルカードの製造方法によれば、メタルカードを構成するそれぞれの層を個別的に切削して製造する過程と比べて製造効率が大きく向上される。
【0027】
本発明では、
図1を参照して説明したメタルカード100を構成する各層が大面積のシートを切削して形成されるところ、各層を形成するためのシートは、それに相応する参照符号を使用して説明する。メタル層110を形成するためのメタルシート110s、接着層130、150を形成するための接着シート130s、150s、絶縁層140を形成するための絶縁シート140s、インレイ層160を形成するためのインレイシート160s、及び印刷層170を形成するための印刷シート170s、磁気ストライプ層180を形成するための磁気ストライプシート180sを用いて、本発明によるメタルカード100を製造することができる。
【0028】
図2は、本発明によるメタルカードを製造するための大面積シートにおいて、個別メタルカードが配置された一実施例を示した図である。
図2では、個別メタルカードを製造するために各シートを合紙した後、切削を行うことになる個別カードの外郭線を通じて個別メタルカードの配置を示した。実際の製造過程で使用されるシートには、このような個別カードの外郭線が表示されないこともあり、メタルカード製造装置の制御部により、CNC工程で切削される個別カードの外郭線が指定される。本発明において、各シートは、実質的に同じ幅と高さを有していてもよい。
【0029】
本発明によるメタルカードを製造するためのシートは、長さ方向の隅E1と高さ方向の隅E2からなる四角形状を有してもよい。長さ方向の隅E1はシート幅Wsの大きさを有し、高さ方向の隅E2はシート高さHsの大きさを有する。シート内には、カード単位の幅Wu、カード単位の高さHuを維持しながら複数個の個別カードが配置される。
【0030】
例えば、シート幅Wsは、400mm、シート高さHsは、300mm、カード単位の幅Wuは99mm、カード単位の高さHuは67.4mmであってもよい。これら幅と高さは、メタルカード100の大きさと各個別カードを、切削工具を使用して切削する過程で求められる余分の空間に基づいて決定される。
【0031】
本発明において、
図2に示されるようなシートを複数個積層した後、合紙及び切削過程を経てメタルカードを製造するため、複数個のシートを整列して固定する必要がある。これにより、各シートにホール(hole)を形成することができる。シートに形成されたホールがピンに固定され、複数個のシートが整列して固定することができる。
【0032】
図3は、メタルカードを製造するためのシートにホールが形成された一実施例を示す図である。
【0033】
ホールHは、個別シートの少なくとも一つの隅から既設定された距離だけ隣接して形成される。実施例により、シートの2つ以上の隅からそれぞれ既設定された距離だけ隣接するように、その会う頂点と隣接する位置に形成されてもよい。
図3では、四角形のシートの長さ方向の隅E1と高さ方向の隅E2が隣接する頂点に4個のホールHが形成されたものを示した。ホールHは、各シートの高さ方向の隅E2から固定幅Wfだけ、そして長さ方向の隅E1から固定高さHfだけ離隔された位置に形成される。実施例により、固定幅Wfと固定高さHfは、実質的に同じであってもよい。
【0034】
また、ホールHは、既設定された半径Rのサイズに形成される。ホールの既設定された半径Rは、ホールHを固定するためのピンPINの半径、各シートの材質特性、シートの大きさなどに基づいて決定することができる。例えば、ホールHの半径Rは3mmであってもよい。
【0035】
別の実施例において、前述したようにシートの一つの隅から既設定された距離だけ離隔されるように、シートの幅方向又は長さ方向に隅から隣接した位置に内部ホールIHがさらに形成されてもよい。
【0036】
シートの頂点に形成されたホールHに加え、シートの一つの隅と隣接するように幅方向又は長さ方向に沿って内部ホールIHがさらに形成され固定されれば、複数個のシートが中間で捩じれることを防止することができる。特に、一つのシートを介して製造される個別カードの個数が増加することによって、すなわち、シートが大型化されるにつれて、より多くのホールを形成することができる。ホールを形成し、形成されたホールを介してシートを固定することによって、メタルカードを構成する各層がより正確に整列でき、結果的に、切削を通じて形成されるメタルカードの厚さ外郭面、すなわち、切削面が均一に形成される。
【0037】
例えば、
図3に示されたように、長さ方向の隅E1の中央に長さ方向の隅E1と隣接して既設定された間隔だけ(例えば、Hf)離隔された位置に、それぞれさらに少なくとも一つの内部ホールIHが形成されてもよい。ただ、これは一つの実施例であり、高さ方向の隅E1と隣接して既設定された間隔だけ(例えば、Wf)離隔された位置にも内部ホールIHがさらに形成されてもよい。
【0038】
別の実施例において、内部ホールIHをはじめとするホールHは、既設定された距離の間隔を有して形成され得る。例えば、隅に形成されたホールHと内部ホールIHと間の間隔が既設定された距離を維持して形成される。
【0039】
図4は、本発明によるメタルカードの製造方法を説明するための流れ図である。
【0040】
メタル材質からなるメタルシート110sを加工する(S411)。メタルシート110sを加工することは、メタルシート110sに加工層120が挿入される空間を形成し、加工層120をメタルシート110s内部に挿入した後に、加工層120の一部を露出させる過程を含む。実施例により、CNC(Computerized Numerical Control)工程を通じてメタルシート110sに加工層120が挿入される空間を形成するか、加工層120を露出させることができる。加工層120は、メタルシート110sよりも薄い膜厚を有し、メタルシート110sの内部に挿入され得る。加工層120は、メタルカード100の一部領域のみに形成されるので、シート形態で準備できない場合がある。
【0041】
図5A~
図5Cは、本発明によるメタルシート110sの加工過程を説明するためのメタルシート110sの断面である。本発明において、一つのメタルシート110sには、多数個のメタルカード100が形成されるところ、多数の加工層120が挿入されなければならないが、
図5A~
図5Cでは、便宜のために、一つのメタルカード100が形成されるメタル層110を基準にして説明する。
【0042】
図5Aを参照すれば、メタル層110に加工層120が挿入されるだけの空間210を形成する。加工層挿入空間210は、第1加工幅L1及び第1深くD1を有する。
図5BのようにCNC工程で形成された加工層挿入空間210に加工層120を挿入するが、実施例により、加工層120は接着剤なしでメタル層110に挿入され配置することができる。実施例により、加工層120の厚さはメタル層110の厚さの半分に相応してもよい。
【0043】
図5Cを参照すれば、加工層120が挿入されたメタル層110において、加工層120が露出された面と対向する面を加工して、加工層120が露出される加工層露出部230を形成することができる。加工層露出部230の第2加工幅L2は、加工層挿入空間210の幅(すなわち、
図5Aの第1加工幅L1)よりも小さい。これにより、以降にメタルシート110sを積層シートと合紙したときに、加工層120が離脱されることを防止することができる。
【0044】
再び、
図4を参照すれば、加工層120が挿入されたメタルシート110sにホールを形成する(S413)。
図3を参照して説明したように、メタルシート110sの少なくとも一つの隅から既設定された距離だけ離隔された位置にホールを形成することができる。実施例により、メタルシート110sにホールを形成した後、加工層120を挿入することもできる。
【0045】
メタルシート110sに対する加工及びホール形成と並行して、絶縁シート140sとインレイシート160sを含む複数のシートを準備することができる。実施例により、さらに、印刷シート170s及び磁気ストライプシート180sを準備する(S415)。複数のシートに含まれた各シートは、前述したように、機能及び加工過程を考慮して、それに適した材質で準備される。
【0046】
インレイシート160sには、メタルカードに求められる受信感度に適するように、また、個別カードのサイズに適するように設計された無線アンテナが印刷され、印刷シート170sにはカードと関連した情報が印刷される。磁気ストライプシート180sには、カード決済と関連した情報が磁気的に記録される磁気ストライプがカッティングされ整合される。
【0047】
絶縁シート140sを挟んで第1接着シート130sと第2接着シート150sとが介在されてもよく、これら複数のシートをすべて積層した状態でホールを形成するか、各シートに対してホールを形成した後、各層を積層することができる。本発明によるメタルカードの製造の際に、メタルシート110sの下部に位置する複数のシートを積層シートと称する。例えば、穿孔機を使用し、シートそれぞれのホール位置に対して穿孔を行うことによって、ホールを形成することができる(S417)。それぞれの積層シートには、
図3を参照して説明したように、ホールH又は内部ホールIHの位置が表示され、穿孔機を利用してホールをパンチして、ホールを形成することができる。
【0048】
図6は、本発明の一実施例によるメタルカードの製造方法において、メタルカードシートの切削過程を示した図である。
【0049】
図6に示されるように、積層シートに形成されたホールHは、ピンPINが形成された積載板1400に挿入される。
図1を参照して説明したものと同じ順序で、ステップS417を通じて準備された積層シートが積載板に積載され、その積層シートの上部にステップS413を通じて準備したメタルシート110s、具体的には、加工層120が挿入され、加工層露出部230が形成されたメタルシート110sが積載される。
【0050】
ピンPINを介して整列して積層されたメタルシート110sと積層シートを加熱及び加圧して、ラミネートする(S430)。具体的に、ラミネート過程は略10分程度150℃の温度で積層シートとメタルシートに20kg/cm2の圧力を加え、同じ圧力を保持した状態で、冷却することによって達成できる。
【0051】
ラミネート過程を通じて複数のシートが互いに接合され、特に、前述した第1接着シート130sと第2接着シート150sが融けて、冷却されることにより、複数のシートが強く接合される。
【0052】
本明細書では、ラミネートが完了し、一つの物理的シートで形成されたシートをメタルカードシート100sと称する。本発明において、メタルカードシート100sのホールを積載板1400ピンPINに固定した状態で個別カード単位切削を行う(S440)。
【0053】
実施例により、ラミネートを行う積載板と切削を行う積載板は異なってもよい。例えば、メタルシートと複数のシートを積層した積層シートを積載板のピンに固定し、ラミネート装置でラミネートを行った後、そのメタルカードシート100sを他の積載板に移動させ、切削装置を利用して切削工程を行うことができる。ただ、ピンPINを介して複数のシートを固定するという点では、2つの積載板の構成は同じであってもよい。
【0054】
図6に示されるように、メタルカードシート100sを個別カードの外郭線CUに沿って切削工具1200を使用して切削して、個別カードを製造することができる。切削工具1200は、切削機1210と冷却剤を噴射する噴射機1220で構成される。
【0055】
切削機1210は、メタルシート110sをはじめとするメタルカードシート100sの素材特性に応じて特殊加工材で構成される。例えば、切削機1210は、メタルシート110sよりも大きな剛性を有する素材であってもよい。噴射機1220は、チラー1300を介して冷却されたアルコールを噴射することができる。
【0056】
本発明において、メタルカードシート100s、特に、メタルシート110sを切削する過程で相当多い熱と火炎が発生する可能性があるが、このような熱と火炎が他の構成要素に影響を与えるか、メタルシート110sの形状を変化させることがある。これを勘案して、切削機1210で切削した位置にチラー1300で冷却されたアルコールを直ちに噴射することにより、このような熱や火炎の発生による影響を最小化することができる。
【0057】
CNC工程により、切削工具1200を使用して切削が行われ、実施例により、
図6に示しされたような制御部1100を介してCNC工程が制御される。
図2及び
図3を参照して説明したように、個別カードの外郭線CUを切削する一方、メタルシート110sに形成されていた加工層120を横切ってインレイシート160sのアンテナコイルを露出させるように、メタルシート110sの内部のチップ露出領域CEを一緒に切削することにより切削工程が行われる。
【0058】
また、本発明において、制御部1100は、切削工具1200の動作を制御でき、特に、切削工具1200のCNC工程を制御することができる。別の実施例において切削工具1200が既設定された回数以上の切削工程を行えば、制御部1100は、切削工具1200を交替するように指示することができる。切削工具1200を交替するために、制御部1100は、切削工具1200が行う切削工程の回数を記録し、既設定された回数以上の切削工程が行われれば、切削工具1200を交替することができる。特に、本発明において、制御部1100は、切削工具1200に含まれた切削機210を交替することができる。具体的に、本発明によるメタルカードの製造方法を行うためのメタルカード製造装置には、複数の切削機が備えられており、制御部1100の制御に応じ順次に配置されていた切削機が交替され使用される。順次に、切削機を交替することにより、メタルカード製造工程が中断されることなく、生産効率が向上される。
【0059】
別の実施例において、メタルカード製造装置には、メタルカードシート100sの切削動作をモニタリングするモニタ部(未図示)が備えられ、メタルカードの切削動作が良好に行われたかをモニタリングすることができる。モニタリング結果に応じて、制御部1100は、切削工具1200の交替が決められる。例えば、モニタ部は、メタルカードの切削成功率、切削面の均一性などを持続的に観察することができる。
【0060】
図7A及び
図7Bは、
図6のA-A'線に従ったメタルカードシートの断面図であり、
図7Aは、ラミネートが完了した後、切削工程前のメタルカードシートの断面図であり、
図7Bは、切削工程後のメタルカードシートの断面図である。
【0061】
図7Aを参照すれば、
図5を参照して説明したように、メタルシート110sの片面には加工層120が挿入されていて、他の片面には加工層露出部230が形成されたのを確認することができる。本発明では、メタルシート110sの加工層120が挿入されたメンと積層シート130s~180sの上面、すなわち、積層シートの絶縁層140(接着層は、ラミネート過程で融けて固形化されるので、除外して説明する)が接触するように、メタルカードシート100sを合紙及びラミネートすることができる。
【0062】
図7Bを参照すれば、チップ露出領域CEは、インレイ層160が露出される深さだけ切削される。チップ露出領域CEは、第2加工幅L2よりも小さい第3加工幅L3を有する(
図8A参照)。第3加工幅L3が、第2加工幅L2よりも小さくなるように切削することは、以降の個別メタルカード工程でのCOB連結特性を確保するためである。
図8A~
図8Cを参照して、個別メタルカード工程を説明する。
【0063】
個別カードの外郭線CUは、メタルカードシート100sの全厚さに相応する分だけに切削され得る。
図7Bを参照すれば、ステップS430において、チップ露出領域CEを切削することにより、インレイ層160が露出されたことが確認でき、個別カードの外郭線CUに沿って切削することで、メタルカードシート100sがそれぞれのメタルカード100_1、100_2、100_3、100_4に分離されたことを確認することができる。
【0064】
メタルカードシート100sを切削することにより、複数のメタルカード100_1、100_2、100_3、100_4が形成されれば、それぞれの個別メタルカードに対する個別メタルカード工程を行うことができる。
【0065】
シート単位に切削された個別メタルカードについては、3次元印刷及びコーティングをそれぞれ行うことができる(S450)。3次元印刷及びコーティングが行われた個別メタルカードに対し、COBパッドを連結することができる(S460)。ただ、3次元印刷やコーティングを行う過程で、実施例に応じて、COBパッドを連結した後、3次元印刷及びコーティングを行うこともできる。まず、COBパッドを連結するステップを説明する。
【0066】
図8A~
図8Cは、個別メタルカード工程において、インレイ層とCOBパッドとを連結する
図4のステップS460を説明するための断面図である。
【0067】
図8Aは、
図7Bを参照して説明したチップ露出領域CEに対するCNC工程によりインレイ層160が露出された形態を具体的に示した。
図8A~
図8Cでは、インレイ層160に形成されたアンテナコイルを説明するために、他の図面と違って、インレイ層160が大きく示されていることを留意しなければならない。
【0068】
インレイ層160が露出されれば、
図8Bに示されるように、1次ミリング(milling)工程でインレイ層160に印刷されたアンテナコイル320を引っ張り上げることができる。例えば、加工層120が実装されたメタルカード100に対し、
図8Aに示されるように、加工層露出部230が上方に向かうようにした状態でミリング工程を行うことができる。
【0069】
第3加工幅L3が、第2加工幅L2よりも小さいので、アンテナコイル320が上向き移動する場合にもメタル層110と接触しない。
【0070】
アンテナコイル320を引っ張り上げた後、露出されたインレイ層160を、再度ミリング工程(2次ミリング)を行い、COBパッドが装着される空間を確保し、カード前面部を平滑化することができる。2次ミリング工程を完了すれば、
図8Cに示されるように、COBパッド挿入のための収容溝340が形成される。収容溝340の幅L4は、第3加工幅L3よりも小さくてもよく、収容溝340の深さD4は、COBパッド背面突出部を収容することができる深さを有してもよい。
【0071】
上方に引っ張り上げられたアンテナコイル320とCOBパッドとの接点をスポット溶接法で接触した後、収容溝340にCOBパッドを挿入することができる。
【0072】
このように本発明において、個別カード工程において、メタル層110を備えたにもかかわらず、電気的接触を遮断しながらCOBパッドとアンテナコイルと320を効率的に連結することができる。
【0073】
図9は、本発明の一実施例によるメタルカードについて、前面印刷及びコーティングを含む後工程をすべて行った後のメタルカードの層構成を示すメタルカードの斜視図である。
【0074】
図1と比較した場合、
図9のメタルカード900は、コーティング層910、3次元印刷層920及びプライマー層930をさらに含む。
【0075】
個別メタルカード100に対して、プライマーを塗布して、プライマー層930を形成することができる。プライマー層930は、メタル層110の材質に応じてプリントされた情報の保存力の向上に役立つ物質を含むことができる。次に、プライマーが塗布されたメタル層110上に、3次元プリンティングによりメタル層110に刻もうとするカード情報、図柄、イメージなどを陰刻印刷して、3次元印刷層920を形成することができる。その後、コーティング工程により最上位面にコーティング層910を形成し、3次元印刷により彫られた情報が摩耗されるか、又は消失されないように実現することができる。
【0076】
実施例に応じて、個別メタルカード工程において、切削されたカードの隅を丸く仕上げるCカット工程が行われてもよく、カード背面にカード利用者の署名を行う署名パネルとホログラムステッカーなどを付着するスタンピング工程が行われ得る。
前述のように、COBパッドを挿入するために、2次ミリングを行う工程は、プライマー塗布とプリンティング及びコーティングを行う前に行ってもよく、プライマー又はコーティング物質によって露出されたインレイ層が汚染されることを防止するために、コーティング層が生成された後、COBパッド挿入前に、2次ミリングを行ってもよい。
【0077】
以上で、本発明について図面に示された好ましい実施例を中心に詳細に説明した。このような実施例は、この発明を限定しようとするものではなく、例示的なものに過ぎず、限定的な観点でなく説明的な観点で考慮されなければならない。本発明の真の技術的保護範囲は前述した説明ではなく、添付された特許請求範囲の技術的思想によって決められるべきである。また、本明細書に特定の用語が使用されているが、これは、単に本発明概念を説明するための目的で使用されたものであって意味限定や特許請求範囲に記載された本発明の範囲を制限するためのものではない。従って、本発明が属する技術分野における通常の知識を有した者は、特許請求範囲で請求する本発明の本質的な技術思想から逸脱しない範囲内で多様な変形形態及び均等な別の実施例が可能であるという点を理解するだろう。均等物は、現在の公知された均等物だけでなく、将来に開発される均等物、即ち、構造と関係がなく、同じ機能を遂行するように発明された全ての構成要素を含むものとして理解されなければならない。