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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】半導体素子及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/29 20060101AFI20220613BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20220613BHJP
   H01L 23/00 20060101ALI20220613BHJP
   H01L 25/065 20060101ALI20220613BHJP
   H01L 25/07 20060101ALI20220613BHJP
   H01L 25/18 20060101ALI20220613BHJP
   H01L 21/52 20060101ALI20220613BHJP
   H01L 21/60 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
H01L23/30 D
H01L23/00 C
H01L25/08 E
H01L21/52 A
H01L21/60 301C
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2017081380
(22)【出願日】2017-04-17
(65)【公開番号】P2018182125
(43)【公開日】2018-11-15
【審査請求日】2020-04-14
(73)【特許権者】
【識別番号】507292184
【氏名又は名称】株式会社アムコー・テクノロジー・ジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】特許業務法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】東 武史
(72)【発明者】
【氏名】茂田 誠
(72)【発明者】
【氏名】後藤 美里
【審査官】綿引 隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-164739(JP,A)
【文献】特開2012-099740(JP,A)
【文献】特表2020-508569(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/447- 21/449
H01L 21/52
H01L 21/58 - 21/607
H01L 23/28 - 23/31
H01L 25/00 - 25/07
H01L 25/10 - 25/11
H01L 25/16 - 25/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、
前記基板の上面に設けられたチップと、
前記チップの外周部に形成され、前記チップの側面に接触し、絶縁性樹脂材料からなる樹脂枠と、
前記チップの底面と前記基板の上面との間に設けられたダイアタッチ材と、を有し、
前記ダイアタッチ材は、前記樹脂枠の外側側面に接触する、半導体素子。
【請求項2】
前記樹脂枠の断面を見たとき、チップの一方の側の樹脂枠が他方の側の樹脂枠よりも長尺に形成されている、請求項1に記載の半導体素子。
【請求項3】
請求項1または2に記載の半導体素子を有する半導体装置であって、
前記半導体素子の回路面側の電極パッドと前記基板の端子とがワイヤによって接続されており、
前記半導体素子及びワイヤは封止樹脂によって封止されている、半導体装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の半導体素子を有する半導体装置であって、
前記半導体素子の回路面側の電極パッドと前記基板の端子とが、前記樹脂枠の表面に沿って形成された配線によって接続されており、
前記半導体素子及び前記配線は封止樹脂によって封止されている、半導体装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載の半導体素子を複数個有する半導体装置であって、
第1の半導体素子の回路面側には第2の半導体素子が回路面側とは反対の側で接着されて、積層されており、
前記第1の半導体素子の電極パッド及び前記第2の半導体素子の電極パッドと基板の端子とは配線によって接続されており、
前記配線は前記第1の半導体素子の樹脂枠の表面及び前記第2の半導体素子の樹脂枠の表面に沿って形成されており、前記第1の半導体素子、前記第2の半導体素子、及び前記配線は封止樹脂によって封止されている、半導体装置。
【請求項6】
前記第1の半導体素子の前記樹脂枠の上面の一部は、前記第2の半導体素子によって覆われていない、請求項に記載の半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体素子及び該半導体素子を用いた半導体装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップ(以下「チップ」という)の製造においては、一般的に、一枚の半導体ウエハの表面に複数の半導体素子領域と、その複数の半導体素子領域の間に設けられたダイシング領域とを形成し、このダイシング領域に沿ってブレードダイシングを行うことによってチップを個片化してチップを製造する。
上記ブレードダイシングによるウエハ分割方法は、加工が容易で製造コストが低いという利点がある。しかしながら、ブレードダイシングによる加工時に生じた応力によってチップにマイクロクラックやチッピングが発生することがある。
また、ブレードダイシングによって得られるチップは、角部が直角であり、耐衝撃性が低い。このため、個片化したチップを取り扱う際に、チップが回転刃などの加工ツールやチップ等の他の部品と衝突してチップに欠けが発生したりすることがある。このようなマイクロクラック等を有するチップは抗折強度が低いという問題がある。
【0003】
この問題を解決するために、チップを個片化する際にブレードダイシングを用いないウエハ分割方法が特許文献1及び特許文献2等によって提案されている。 しかしながら、ブレードダイシングを用いない方法は工程数が多く、製造コスト的には不利である。
【0004】
また、従来のチップは、半導体装置を製造する工程において、大きな応力を受けてチップの割れ、欠け、チッピングが発生して、配線層等が破壊されて不良品化することがある。また、チップはその側面にシリコンが露出しているために、配線と干渉してショートして不良品化することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-130128号公報
【文献】特開2014-11283号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、チップの製造工程においてチップに欠けやチッピングが発生しても、チップの抗折強度を低下させることがない半導体素子を提供することを目的とする。
また、本発明は、チップを用いた半導体装置の製造工程において、チップの割れ、欠け、チッピングが発生したり、チップと配線とが干渉したりしてチップが不良品化するのを防ぐことを可能にする半導体素子を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は以下に記載する通りのものである。
(1)チップと、該チップの外周部に形成された絶縁性樹脂材料からなる樹脂枠と、を有する半導体素子。
(2)前記樹脂枠の断面を見たとき、チップの一方の側の樹脂枠が他方の側の樹脂枠よりも長尺に形成されている上記(1)に記載の半導体素子。
(3)前記チップの底面にダイアタッチ材の層を設けた、上記(1)又は(2)に記載の半導体素子。
(4)前記チップの底面に絶縁性樹脂材料からなる樹脂層を設けた、上記(1)又は(2)に記載の半導体素子。
(5)前記樹脂層が接着性を有する絶縁性樹脂材料から形成されている、上記(4)に記載の半導体素子。
(6)上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の半導体素子を有する半導体装置であって、
前記半導体素子の回路面とは反対の側が基板に接着されており、
前記半導体素子の回路面側の電極パッドと前記基板の端子とがワイヤによって接続されており、
前記半導体素子及びワイヤは封止樹脂によって封止されている、半導体装置。
(7)上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の半導体素子を有する半導体装置であって、
前記半導体素子の回路面とは反対の側が基板に接着されており、
前記半導体素子の回路面側の電極パッドと前記基板の端子とが、前記樹脂枠の表面に沿って形成された配線によって接続されており、
前記半導体素子及び前記配線は封止樹脂によって封止されている、半導体装置。
(8)上記(1)~(5)のいずれか1項に記載の半導体素子を複数個有する半導体装置であって、
第1の半導体素子は回路面側とは反対の側が基板上に接着されており、
前記第1の半導体素子の回路面側には第2の半導体素子が回路面側とは反対の側で接着されて、積層されており、
前記第1の半導体素子の電極パッド及び前記第2の半導体素子の電極パッドと基板の端子とは配線によって接続されており、
前記配線は前記第1の半導体素子の樹脂枠の表面及び前記第2の半導体素子の樹脂枠の表面に沿って形成されており、前記第1の半導体素子、前記第2の半導体素子、及び前記配線は封止樹脂によって封止されている、半導体装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明の半導体素子を用いた場合の効果を上げると以下の通りである。
・チップとワイヤとの干渉を抑制することができる。
・チップのダメージを軽減させることができる。
・封止樹脂と半導体素子との密着性を向上させることができる。
・チップの反りを軽減させることができる。
・チップの外周部に設けた樹脂枠に沿って配線を形成することができるようになり、パッケージングの自由度が向上する。
・チップを積層する場合において、上方のチップのオーバーハング部を下方のチップの樹脂枠によって支持することができるようになりパッケージングの自由度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る半導体素子の平面図である。
図2図2A図2Dは従来の半導体素子の課題を説明する図である。
図3】側面にチッピングを有するチップの外周部に樹脂枠を形成した状態を示す図である。
図4】チップの外周部に樹脂枠を設けた場合の効果を説明する図である。
図5】チップの外周部に樹脂枠を設けた場合の効果を説明する図である。
図6】チップの外周部に樹脂枠を設けた場合の効果を説明する図である。
図7図7A図7Dは本発明の実施形態に係る半導体素子を製造する工程の一部を示す図である。
図8図8A図8Dは本発明の実施形態に係る半導体素子を製造する工程の一部を示す図である。
図9図9A図9Cは本発明の実施形態に係る半導体素子を製造する工程をチップの平面図(左側の図)及び断面図(右側の図)によって説明する図である。
図10図10A図10Dはチップと絶縁性樹脂材料とからなる複合ウエハを個片化する工程を示す図である。
図11図11A図11Dはチップと絶縁性樹脂材料とからなる複合ウエハを個片化する工程をチップの平面図(左側の図)及び断面図(右側の図)によって説明する図である。
図12】本発明の半導体素子の第1の実施形態を示す図である。
図13】本発明の半導体素子の第2の実施形態を示す図である。
図14】本発明の半導体素子の第3の実施形態を示す図である。
図15】本発明の半導体素子の第4の実施形態を示す図である。
図16】本発明の半導体素子の第5の実施形態を示す図である。
図17】本発明の半導体素子の第6の実施形態を示す図である。
図18】本発明の半導体素子の第7の実施形態を示す図である。
図19】本発明の半導体素子の第8の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明を実施するための形態を図面に基づいて説明する。なお、以下の説明はこの発明における実施の形態の例を例示するものであって、本発明を限定するものではない。当業者は本発明の範囲内において、下記の実施形態を変更・修正をして他の実施形態をなすことは容易であり、これらの変更・修正は本発明の範囲に含まれるものである。
【0011】
本発明の半導体素子の基本的な構成を図1に基づいて説明する。
図1は本発明の半導体素子100の一つの実施形態を示す図であり、半導体素子100の回路面側から見た平面図である。本発明の半導体素子100は、パッシベーション膜2及び電極パッド3を備えたチップ1の外周部に絶縁性樹脂材料からなる樹脂枠4を形成した構造を有する。
【0012】
チップ1の外周部に絶縁性樹脂材料からなる樹脂枠4を形成した構造を有する半導体素子の効果について以下述べる。
まず、樹脂枠4を設けない場合に、どのような問題が起こるかについて図2A図2Dに基づいて述べる。
図2Aは、ブレードダイシングの際にチップの側面にチッピング20が生じたチップ1を示す。
図2Bは、基板10にダイアタッチ材21を用いてチップ1を搭載した状態を示す。熱伝導性が高いダイアタッチ材21として銀ペーストを用いるとチップの薄型化がすすむにつれて、銀ペーストのチップ1の回路面への這い上がりが問題となる。ダイアタッチ材21がチップ1の側面に沿って這い上がると、ダイアタッチ材21がチップ1の回路面に接触することがあり、その結果、チップ1の機能が低下することがある。
図2Cはチップ1の電極パッド3と基板10の端子11とを電気的に接続するワイヤ12がチップ1のエッジ部に接触してエッジショート22を発生している状態を示す。このようなエッジショート22が生じるとチップ1の機能が損なわれる。
図2Dはチップ1を封止樹脂5で樹脂封止した状態を示したものである。チップ1、基板10、及び封止樹脂5はそれぞれ熱膨張率が異なるため、熱膨張率の差に起因してチップ1の角部に応力23が集中することによりチップ1にダメージが発生することがある。
【0013】
本発明の半導体素子はチップ1の外周部に絶縁性樹脂材料からなる樹脂枠4を形成することにより前記問題を解決するものである。
以下、図に基づいて本発明を説明する。
【0014】
図3は側面にチッピング20を有するチップ1に樹脂枠4を設けた状態を示す。樹脂枠4がチッピング20を覆うことによってチップ1を補強し、チップ1に応力がかかった場合でもチップ1の損傷を防ぐことができる。
また、チップ1に樹脂枠4を設けることによりチップ1の反りを軽減することができる。
【0015】
図4はチップ1に樹脂枠4を設けた半導体素子の電極パッド3と基板10の端子11とをワイヤ12で接続した状態を示す。
図4に示すように、チップ1に樹脂枠4を設けることによって、ワイヤ12はチップ1のエッジと接触することなく、絶縁性樹脂材料からなる樹脂枠4と接触するためエッジショートが起こることはない。
【0016】
図5は基板10と樹脂枠4を設けたチップ1とをペースト状のダイアタッチ材21を用いて接着した状態を示す図である。図5に示すように、チップ1の回路面とダイアタッチ材21との間には樹脂枠4が介在している。このため、ダイアタッチ材21は樹脂枠4に沿って這い上がった場合でもダイアタッチ材21がチップ1の回路面に接触することはないので、チップ1の機能が低下することはない。
【0017】
図6は樹脂枠4を設けたチップ1を基板10に載置して封止樹脂5で樹脂封止した状態を示す図である。チップ1の外周部が樹脂枠4によって覆われているため、チップ1は封止樹脂5及び基板10と直接接触することはない。このため、チップ1、基板10、及び封止樹脂5のそれぞれの熱膨熱膨張率の差によって応力23が発生してもチップ1にかかる応力は緩和される。また、半導体素子は樹脂枠4を介して封止樹脂5との密着性が確保される。
また、チップ1がLow-K膜を有している場合には、チップ1が樹脂枠4を有していることによりLow-K膜剥離を改善することができる。
【0018】
次に、図1に示した半導体素子の製造方法を図7図11に基づいて説明する。
図7A図7Dはウエハの回路面側(表側面)をダイシングの開始面としてダイシングする場合を示したものである。
図7Aに示すように、ウエハ30の裏側面30bにダイシングテープ40を貼り付ける。
次に、図7Bに示すように、ダイシングブレード50によってウエハ30のダイシング領域を切断しチップ1を個片化する。
個片化されたチップ1を図7Cに示すように、ピックアップ装置51を用いてチップ1の表側面(回路面)を保護テープ60に間隔を開けて貼り付ける。
次に、図7Dに示すように、ディスペンサー53によって樹脂枠4を形成するための絶縁性樹脂材料4aをチップ1間の間隙に流し込んで間隙を絶縁性樹脂材料4aで充填する。
チップ1間の間隙に絶縁性樹脂材料4aを充填する方法としてはスピンコート法、印刷法及び圧縮成形法を用いてもよい。
【0019】
図8A図8Dはウエハの裏側面をダイシングの開始面としてダイシングする場合を示したものである。
図8Aに示すように、ウエハ30の表側面30aに保護テープ60を貼り付ける。
次に、図8Bに示すように、ダイシングブレード50によってウエハ30のダイシング領域を切断しチップ1を個片化する。
個片化されたチップ1を図8Cに示すように、保護テープ60の端部に引っ張り力を付与して、チップ1間に間隙を設ける。
次に、図8Dに示すように、ディスペンサー53によって樹脂枠4を形成するための絶縁性樹脂材料4aをチップ1間の間隙に流し込んで間隙を絶縁性樹脂材料4aで充填する。
チップ1間の間隙に絶縁性樹脂材料4aを充填する方法としてはスピンコート法、印刷法及び圧縮成形法を用いてもよい。
【0020】
図9図7及び図8に示した工程を平面図(左側の図)及び断面図(右側の図)によって説明したものである。
図9A図8Bに示す工程によってダイシングによってチップ1を個片化した状態を示す図である。
図9B図7Cまたは図8Cに示す工程によってチップ1間に間隙を設けた状態を示す図である。
図9C図7Dまたは図8Dに示す工程によってチップ1間の間隙に絶縁性樹脂材料4aを充填した状態を示す図である。図9Cにはチップ1の裏面にも絶縁性樹脂材料4aを塗布した例を示した。
【0021】
図7D及び図8Dで示した工程によって、多数のチップ1がチップ1間に充填された絶縁性樹脂材料4aによって一体化されてなる複合ウエハが得られる。
この複合ウエハ31を、樹脂枠4を有する半導体素子に個片化する工程について図10に基づいて説明する。
図10Aに示すように、複合ウエハ31のチップ1の表側面(回路面)に保護テープ60を貼り付け、次いで研削材55でチップ1の裏側面を研削してチップ1を所望の厚さにする。
次いで、図10Bに示すようにチップ1の裏側面にダイアタッチ材21の層を形成する。
図10Cに示すように複合ウエハ31のダイアタッチ材21側をダイシングテープ40を備えたダイシングリング56に貼り付けることによって、複合ウエハ31をダイシングリング56にマウントする。
次いで、図10Dに示すようにダイシングブレード50によってチップ1間に存在する樹脂部分で切断し、個片化して樹脂枠4を外周部に有する半導体素子を得る。
【0022】
図11A図11Dは、図10A図10Dの工程における複合ウエハ31の状態を複合ウエハ31の平面図(左側の図)と断面図(右側の図)で示したものである。
図11Aはチップ1の裏側面を研削材55で研削した後の状態を示す。
図11Bはチップ1の裏側面にダイアタッチ材21の層を形成した状態を示す。
図11Cはチップ1のダイアタッチ材21側をダイシングテープ40に貼り付けた状態を示す。
図11Dはチップ1間に存在する絶縁性樹脂材料4aの部分でダイシングすることによって得られた樹脂枠4が形成されたチップ1を示す。
【0023】
次に、本発明の実施形態について説明する。
(第1の実施形態)
第1の実施形態の半導体素子100を図12に示す。
半導体素子100はチップ1の外周部に形成された樹脂枠4とチップ1の底面に形成されたダイアタッチ材21の層を有している。チップ1の回路面側にはポリイミド膜等からなるパッシベーション膜2及び電極パッド3が形成されている。
【0024】
(第2の実施形態)
第2の実施形態の半導体素子100を図13に示す。
本実施形態では、第1の実施形態に示したチップ1の樹脂枠4の断面を見たとき右側の樹脂枠4’を左側の樹脂枠4よりも水平方向に長尺に形成したものであり、チップ1の底面にはダイアタッチ材21の層が設けられている。
半導体素子100を積層して設ける場合において、上側の半導体素子100が下側の半導体素子に対してオーバーハング部を有するように設ける場合がある。下側の半導体素子の樹脂枠4’が上側の半導体素子100のオーバーハング部に対応する長さを有していると、この樹脂枠4’がオーバーハング部の支持部として機能し、オーバーハング部に荷重が掛かった場合にオーバーハング部が撓んだり、損傷したりするのを防ぐことができる。
樹脂枠4の水平方向の長さは図7Cに示したような、チップ1をピックアップ装置51を用いて保護テープ60上に配置する場合にチップ1間の間隔を調整することによって決定することができる。
【0025】
(第3の実施形態)
第3の実施形態の半導体素子を図14に示す。
本実施形態の半導体素子100はチップ1の外周部に樹脂枠4を形成し、裏面に絶縁性樹脂材料からなる樹脂層8を形成したものである。樹脂層8を形成する絶縁性樹脂材料は樹脂枠4を形成する絶縁性樹脂材料と同じものであってもよい。また、樹脂層8を形成する絶縁性樹脂材料として接着性を有するものを用いることによって樹脂層8はダイアタッチ材として機能する。
【0026】
(第4の実施形態)
第4の実施形態の半導体素子を図15に示す。
本実施形態はチップ1の外周部に形成した樹脂枠を断面で見たとき、右側の樹脂枠4’を左側の樹脂枠4よりも水平方向に長尺に形成し、裏面に絶縁性樹脂材料からなる樹脂層8を形成したものである。樹脂層8を形成する絶縁性樹脂材料は樹脂枠4を形成する絶縁性樹脂材料と同じものであってもよい。また、樹脂層8を形成する絶縁性樹脂材料として接着性を有するものを用いることによって樹脂層8はダイアタッチ材として機能する。
【0027】
(第5の実施形態)
第5の実施形態を図16に示す。
本実施形態は、本発明の実施形態に係る半導体素子100を有する半導体装置に係るものである。
この半導体装置は、図12に示された半導体素子100を基板10の実装面上にダイアタッチ材21を介してチップ実装し、チップ1に形成されている電極パッド3と基板10の表面に形成されている端子11とをワイヤ12によって電気的に導通させ、封止樹脂5によって樹脂封止したものである。
半導体素子100は外周部に樹脂枠4を有しているためワイヤ12がチップエッジと干渉することがなくエッジショートのリスクを抑制することができる。
【0028】
(第6の実施形態)
第6の実施形態を図17に示す。
本実施形態は、本発明の実施形態に係る半導体素子100を有する半導体装置に係るものである。
この半導体装置は、基板10の実装面上に半導体素子100をダイアタッチ材21を介してチップ実装し、チップ1の電極パッド3上に形成されているバンプ7と基板10の表面に形成されている端子11とを配線6によって電気的に導通させ、封止樹脂5によって樹脂封止したものである。
図17に示すように、配線6はチップ1の外周部に設けられている樹脂枠4の表面を這わせるように設けられているので、パッケージの薄厚化、小型化が可能となる。
【0029】
(第7の実施形態)
第7の実施形態を図18に示す。
本実施形態は、半導体素子101と半導体素子102とを積層した構造を有する半導体装置に係るものである。
この半導体装置は、第1の半導体素子101を基板10の実装面上にダイアタッチ材21を介してチップ実装し、この第1の半導体素子101の回路面上に、第2の半導体素子102を第2の半導体素子102の底面に設けた接着性を有する絶縁性樹脂材料からなる樹脂層8を介して積層し、第1の半導体素子101のチップ1の電極パッド3上に形成されているバンプ7、第2の半導体素子102のチップ1’の電極パッド3’上に形成されているバンプ7’、及び、基板10の表面に形成されている端子11を配線6によって電気的に導通させ、封止樹脂5によって樹脂封止したものである。
図18に示すように、チップ1及びチップ1’の外周部に設けられた樹脂枠4の表面に這わせるように設けられているので、パッケージの薄厚化、小型化が可能となる。
【0030】
(第8の実施形態)
第8の実施形態を図19に示す。
本実施形態は、半導体素子101と半導体素子102とを積層した構造を有する半導体装置に係るものである。
この半導体装置は、図19に示すように樹脂枠の断面を見たとき、右側の樹脂枠4’を左側の樹脂枠4よりも水平方向に長尺に形成した第1の半導体素子101を基板10の実装面上にダイアタッチ材21を介してチップ実装し、この第1の半導体素子101の回路面上に、第2の半導体素子102を第2の半導体素子102の底面に設けた接着性を有する絶縁性樹脂材料からなる樹脂層8を介して実装したものである。この半導体装置は、第1の半導体素子101及び第2の半導体素子102に形成されている電極パッド3と基板10の表面に形成されている端子11とをワイヤ12によって電気的に導通させ、封止樹脂5によって樹脂封止することによって形成されている。
第1の半導体素子101における長尺に形成された樹脂枠4’によって第2の半導体素子102における電極パッド3が配置されているオーバーハング部が支持されており、ワイヤボンディング時にオーバーハング部にかかる衝撃荷重及び超音波振動を受け止められる様になり、チップ割れを抑制することができる。また、第2の半導体素子102の撓みによるワイヤボンディング時の衝撃荷重及び超音振動が減衰するのを抑制できることにより、ボンディングの接合性も向上する。
【符号の説明】
【0031】
1、1’ チップ
2 パッシベーション膜
3、3’ 電極パッド
4、4’ 樹脂枠
4a 絶縁性樹脂材料
5 封止樹脂
6 配線
7、7’ バンプ
8 樹脂層
10 基板
11 端子
12 ワイヤ
20 チッピング
21 ダイアタッチ材
22 エッジショート
23 応力
30 ウエハ
30a ウエハ表面
30b ウエハ裏面
31 複合ウエハ
40 ダイシングテープ
50 ダイシングブレード
51 ピックアップ装置
52 引っ張り力
53 ディスペンサー
54 樹脂充填用空間
55 研削材
56 ダイシングリング
60 保護テープ
100 半導体素子
101 第1の半導体素子
102 第2の半導体素子
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