(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】シート材入り包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 83/08 20060101AFI20220613BHJP
A47K 7/00 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B65D83/08 A
B65D83/08 B
A47K7/00 D
(21)【出願番号】P 2017118521
(22)【出願日】2017-06-16
【審査請求日】2020-04-17
(73)【特許権者】
【識別番号】390020019
【氏名又は名称】レック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100075948
【氏名又は名称】日比谷 征彦
(74)【代理人】
【識別番号】100181928
【氏名又は名称】日比谷 洋平
(72)【発明者】
【氏名】青木 光男
【審査官】米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2005/0092765(US,A1)
【文献】特開2005-178891(JP,A)
【文献】特開2015-165872(JP,A)
【文献】特開2010-168057(JP,A)
【文献】国際公開第2013/021583(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3207763(JP,U)
【文献】特開2011-042401(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/08
A47K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を含浸し、積層したシート材を収納したシート材収納部と、該シート材収納部の上面に取り付けた蓋部とを有し、前記シート材を前記シート材収納部の開口部から前記蓋部を介して取り出すシート材入り包装体であって、
前記蓋部の蓋本体部の中央には、取出部が設けられており、
該取出部は、前記当接部が押し込まれて嵌合する取出壁部と、該取出壁部内に形成されている一対の取出窓部とを備えており、
該一対の取出窓部はそれぞれヒンジ部を介して、前記蓋本体部に連結しており、
前記一対の取出窓部の間には、スリット溝が形成されており、
前記シート材の先端部は、前記スリット溝から飛び出した状態で前記取出窓部に保持され、
前記蓋部の開閉部の裏面には、前記シート材の前記先端部に当接する平面状の当接部を備え、該当接部は抗菌性組成物を含有して
おり、
前記液体は、前記シート材収納部内に封入する液体全体の割合を100重量%としたときに、99.99重量%以上の精製水から成ることを特徴とするシート材入り包装体。
【請求項2】
前記取出窓部及び前記当接部だけに除菌加工が施されていることを特徴とする請求項1に記載のシート材入り包装体。
【請求項3】
前記スリット溝は波型であることを特徴とする請求項1
又は2の請求項に記載のシート材入り包装体。
【請求項4】
前記蓋部には、軸部を介して開閉自在の前記開閉部が取り付けられており、該開閉部の裏面中央に前記当接部が形成されていることを特徴とする請求項1~
3の何れかの請求項に記載のシート材入り包装体。
【請求項5】
前記シート材収納部は、抗菌性組成物を含有するフィルム体から成ることを特徴とする請求項1~
4の何れかの請求項に記載のシート材入り包装体。
【請求項6】
前記シート材収納部は円筒状の硬質の合成樹脂からなり、蓋部は円形状の硬質の合成樹脂材から成り、円筒状の前記シート材収納部上端に設けた外側螺合溝と、円形状の前記蓋部の内側螺合溝とを螺合可能とすることを特徴とする請求項1~
5の何れかの請求項に記載のシート材入り包装体。
【請求項7】
硬質の合成樹脂からケース体内に袋状の前記シート材収納部全体を格納するようにし、前記シート材収納部の全体を覆う前記ケース体の上面に、前記蓋部が前記ケース体と一体になるように成型されていることを特徴とする請求項1~
6の何れかの請求項に記載のシート材入り包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層されたウェットシートを収納したシート材入り包装体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、水分、アルコールや液体の薬剤を含有させたウェットテッィシュ等を収納する袋状の包装体が知られている。そして、特許文献1に開示されているように、剥離フィルムから成るフラップラベルを取出口に貼着したシート材入り包装体が広く用いられている。
【0003】
フラップラベルを用いることで開封後に再封止することができ、内部のアルコールや精製水の乾燥を防ぐことができる。
【0004】
そして、フラップラベルを部分的に剥がしたシート材入り包装体からウェットシートを取り出し、汚れた手や顔又は排泄後の乳幼児の尻を拭く用途に用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、最上層のウェットシートを包装体から摘み出した後に、これに追従する次のウェットシートの先端が、開口部から露出し過ぎてしまい、フラップラベルの接着面と、袋本体の表面との間に挟まり、再封止を妨げてしまうことがある。
【0007】
そこで、使用者はフラップラベルによる再封止するために、開口部から露出したウェットシートを指で包装体の内部に押し込んで収納することになる。このとき、使用者の指に付着していた雑菌等が、接触したウェットシートを伝って包装体の内部へと侵入して、包装体内部で菌が繁殖してしまうことがある。
【0008】
そのため、包装体の内部に雑菌が侵入したとしても、雑菌が繁殖しない程度にウェットシートに含浸する洗浄剤に予め、所定量の殺菌防腐剤を配合しておく必要がある。
【0009】
しかし、肌が非常にデリケートである乳幼児の尻をウェットシートで拭くときは、上述の殺菌防腐剤の割合が封入する液体の全体の割合を100重量%に対して、0.1重量%程度の微量であっても、一度に何枚も使用して拭いた場合には、乳幼児の尻が荒れてしまい、肌が赤くなるという問題が生ずることがある。
【0010】
本発明の目的は、上述の課題を解決し、99.99重量%以上の精製水から成る液体を含浸したウェットシートを包装し、かつウェットシートに雑菌が繁殖することのないシート材入り包装体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するための本発明に係るシート材入り包装体は、液体を含浸し、積層したシート材を収納したシート材収納部と、該シート材収納部の上面に取り付けた蓋部とを有し、前記シート材を前記シート材収納部の開口部から前記蓋部を介して取り出すシート材入り包装体であって、
前記蓋部の蓋本体部の中央には、取出部が設けられており、該取出部は、前記当接部が押し込まれて嵌合する取出壁部と、該取出壁部内に形成されている一対の取出窓部とを備えており、該一対の取出窓部はそれぞれヒンジ部を介して、前記蓋本体部に連結しており、前記一対の取出窓部の間には、スリット溝が形成されており、前記シート材の先端部は、前記スリット溝から飛び出した状態で前記取出窓部に保持され、前記蓋部の開閉部の裏面には、前記シート材の前記先端部に当接する平面状の当接部を備え、該当接部は抗菌性組成物を含有しており、前記液体は、前記シート材収納部内に封入する液体全体の割合を100重量%としたときに、99.99重量%以上の精製水から成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係るシート材入り包装体によれば、99.99重量%以上の精製水から成る液体を含浸したシート材に雑菌が繁殖することはない。従って、衛生的なウェットシートを順次に供給することができると共に、肌が非常にデリケートである乳幼児であっても安全に使用することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1の
シート材入り包装体の分解斜視図である。
【
図4】シート材の先端部がスリット溝から飛び出した状態の斜視図である。
【
図5】実施例2の
シート材入り包装体の斜視図である。
【
図6】実施例3の
シート材入り包装体の斜視図である。
【
図7】実施例4の
シート材入り包装体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
図1は実施例1の
シート材入り包装体の分解斜視図であり、
図2は蓋部の開閉部を閉じた状態の
シート材入り包装体の斜視図であり、
図3は蓋部の開閉部を開いた状態の
シート材入り包装体の斜視図である。
【0015】
シート材入り包装体1は、積層したシート材及び液体を内部に収納するシート材収納部2と、このシート材収納部2に取り付けた蓋部3とから構成されている。
【0016】
シート材収納部2は、横10cm、縦15cm、高さ5cm程度の長方形をしており、シート材収納部2の上面中央に設けた開口部2aは、両端が半円状とされた形状をしている。
【0017】
そして、開口部2a内にミシン目状の枠状部2bを切り取り可能とされ、蓋部3をシート材収納部2に貼り付ける前に指で枠状部2bを切り取り、シート材収納部2に蓋部3を貼り付ける。
【0018】
シート材収納部2を構成する袋状の薄膜フィルム体は、例えばポリエチレンやナイロンフィルム等の合成樹脂フィルムから成る基材層と、この基材層に対して内側又は外側、或いは両側に積層した抗菌層とが積層されている。
【0019】
この薄膜フィルム体の抗菌層は、例えば、ポリエチレンやポリプロピレン等の合成樹脂フィルム内に抗菌性組成物を混練させている。そして、この抗菌性組成物は、例えば銀イオンによりイオン交換されたメタ珪酸アルミン酸マグネシウム等を用いている。
【0020】
また、薄膜フィルム体は基材層を設けずに抗菌層だけから構成してもよく、更には抗菌層を設けずに基材層だけから構成してもよい。
【0021】
シート材収納部2内に収納されるシート材2cは、表面に微細な空隙を備えた素材から成り、これらの微細な空隙に後述する液体2dを含有させることで払拭性を有している。
【0022】
シート材2cの素材は、レーヨン、ポリエステル等の合成繊維、パルプ、綿などから成る不織布、天然パルプ、合成パルプなどから成る紙、又はガーゼ等が用いられる。シート材2cは1枚1枚が互いに重なり合って折り畳まれており、開口部2aから連続して引き出せるようにシート材収納部2内に収納されている。
【0023】
シート材収納部2内のシート材2cに含浸させる液体2dは、電気分解処理、マイクロ・ナノバブル処理、プラズマオゾン処理などの処理、及びこれらを組み合わせた処理を施して精製した精製水であり、殺菌した状態とされている。
【0024】
この殺菌した状態の精製水を、上述のシート材2cに含浸させてシート材収納部2に封入して密封することで、開口部2aを開封するまで無菌状態が維持される。なお、シート材収納部2に封入後の精製水は、成分的には単なる水に過ぎない。従って、シート材収納部2内に封入する液体2dの全体の割合を100重量%としたときに、精製水は100重量%となる。
【0025】
また、シート材収納部2内に封入する液体2dの全体の割合を100重量%としたときに、99.99重量%以上の精製水とし、0.01重量%未満の極めて微量の殺菌防腐剤を含むようにしてもよい。
【0026】
この殺菌防腐剤は、例えば塩化ベンザルコニウム、ブチルカルバミン酸ヨウ化プロピニル又はプロピレングリコール若しくは1、3ブチレングリコールからなる群から選ばれる1又は3以上を含有するものであり、大量にシート材2cを使用したとしても乳児の肌が荒れることはなく、かつ衛生性を更に高めることが可能である。
【0027】
蓋部3は熱可塑性を有する硬質の合成樹脂から構成されている。蓋部3の大きさは横5cm、縦4cm、高さ0.5cm程度であり、略矩形状の平面体とされている。この蓋部3は取り付けるシート材収納部2の大きさや、シート材収納部2の開口部の大きさに応じて、適宜のサイズのものを選択して使用できる。
【0028】
蓋部3には、枠体状の蓋本体部3aに、軸部3bを介して開閉自在の開閉部3cが取り付けられており、蓋本体部3aに軸支された軸部3bは常に上方に開閉部3cを付勢するばね体が内蔵されている。なお、軸部3bに代えて、ヒンジ構造を採用してもよい。
【0029】
また、蓋本体部3aの裏面には、粘着剤等から成る貼着層が設けられ、更にこの図示しない貼着層の表面に剥離シートが取り付けられている。蓋本体部3aの表面側には、開閉部3cの閉じた際に開閉部3cを取り囲むように外壁部3dが立設されており、この外壁部3dは外側に向けて傾斜する傾斜面を有している。
【0030】
軸部3bの反対側には、開閉部3cに設けた係止片3eが係止するロック片3fが設けられており、ロック片3fを押圧することで係止片3eのロックが解除され、開閉部3cが開放される。
【0031】
蓋本体部3aの中央に取出部3gが設けられており、この取出部3gは、両端が半円形とされた略小判形の取出壁部3hと、この取出壁部3h内に形成されている一対の取出窓部3iとを備えている。
【0032】
これらの取出窓部3iは、それぞれヒンジ部3jを介して、蓋本体部3aに連結しており、一対の取出窓部3iの間には、スリット溝3kが形成されている。このスリット溝3kは、図示する波型以外に鋸歯型、十字型等の適宜の形状を採用することができる。
【0033】
また、実施例では、取出窓部3iは取出壁部3h内に取り付けられているが、をヒンジ部3j及び取出窓部3iを備える一枚の板材を、軸部3bに開閉部3cと併せて軸支するようにしてもよい。この場合は、裏面に粘着層を備える上述の板材と、蓋本体部3aと、開閉部3cとの3層構造になる。
【0034】
開閉部3cの裏面中央には、リブ部3lを介して平面状の当接部3mが形成されており、この当接部3mは、取出壁部3h内に嵌合する大きさの略小判形をしている。そして、開閉部3cを閉止し、ロック片3f及び係止片3eによりロック状態にすると、開閉部3cの裏面に立設した当接部3mが取出壁部3h内に押し込まれた状態となる。
【0035】
蓋部3は、ポリエチレン樹脂又はポリプロピレン樹脂等の硬質の合成樹脂材に抗菌性組成物を練り込んで成型されている。この抗菌性組成物は前述のように銀イオン化した材料を採用し、更には銀ガラスや銀ゼオライト等を所定の重量を含有させたものを採用することもできる。なお、蓋部3の剛性を維持できる程度に、抗菌性組成物を合成樹脂材に含有させることになる。
【0036】
また、取出窓部3i及び当接部3mのみに抗菌性組成物を含有する素材を採用し、これらを抗菌性組成物を含有しない合成樹脂材から成る蓋部3に取り付ける構造にしてもよい。除菌する対象のシート材2cは、取出窓部3i及び当接部3mとで挟み込むため、取出窓部3i及び当接部3mだけに除菌加工が施されていればよい。
【0037】
シート材入り包装体1を使用する際は、先ず開口部2a内のミシン目状の枠状部2bを切り取り、蓋本体部3aの裏面の剥離シートを剥がした蓋部3を、シート材収納部2の上面に貼り付ける。
【0038】
次に、指でスリット溝3kを少しだけ上方へ開口させて、取出窓部3i直下の最上部にあるシート材2cを引っ張り出す。そして、このシート材2cを引き出して使用する。一度、最上層にあるシート材2cを引き出すと、
図4に示すように連続する次のシート材2cの先端部2eが、スリット溝3kから5mm程度、飛び出した状態で取出窓部3iに保持される。
【0039】
このとき、スリット溝3kが波状であるため、指でシート材2cの先端部2eを取出窓部3iからシート材収納部2内に押し込み難くなっている。従って、先端部2eが長く飛び出した最上層のシート材2cであっても、シート材収納部2内に先端部2eを押し戻すことなく、開閉部3cを閉止することになる。このため指に付着していた雑菌等がシート材収納部2内に侵入することが予防される。
【0040】
また、最上層のシート材2cの先端部2e付近は、外気と触れて雑菌が付着することもあるが、前述の抗菌性組成物を練り込んだ取出窓部3i及び当接部3mがシート材2cの先端部2eに当接することにより、菌が繁殖することはない。
【0041】
特に、開閉部3cを閉止することで、取出窓部3i及び当接部3m間で雑菌が付着したシート材2cの先端部2eは、それぞれに当接して挟まれるので滅菌されることになる。
【0042】
更に、開閉部3cを閉止した状態では、当接部3mが取出壁部3h内に嵌合するため密封状態が維持され、外気に含まれる雑菌が取出壁部3h内に浸入することはなくなる。
【0043】
また、シート材入り包装体1のシート材収納部2は、薄膜状の樹脂シートにより袋状に形成したものを図示しているが、円筒状の硬質の合成樹脂材であってもよい。このような円筒状のシート材収納部2の場合は、蓋部3も円形状の硬質の合成樹脂材から成り、円筒状のシート材収納部2の上端に設けた外側螺合溝と円形状の蓋部3の内側螺合溝とを螺合することにより、取り付けられる。また、シート材2cはトイレットペーパ状に巻回するように積層されている。
【0044】
また、シート材入り包装体1は硬質の合成樹脂から成るケース体内に、袋状のシート材収納部2全体を格納するようにしてもよい。このような場合には、シート材収納部2の全体を覆うケース体の上面に、蓋部3がケース体と一体になるように成型されることになる。そして、シート材収納部2のシート材2cがなくなると、新しいシート材収納部2に交換することになる。
【実施例2】
【0045】
図5は実施例2の
シート材入り包装体1の斜視図であり、実施例2の
シート材入り包装体1は、フラップラベルである蓋部3を、シート材収納部2に取り付けたものである。
シート材入り包装体1の大きさは、実施例1の
シート材入り包装体1より若干小さい程度であり、蓋部3の端部には、摘まみ片3nが設けられている。
【0046】
シート材入り包装体1を使用する際には、蓋部3の摘まみ片3nを摘まんで矢印方向に引き剥がすことで、蓋部3の裏面に形成した粘着層により、開口部2aの枠状部2bが蓋部3と共に引き離される。
【0047】
この枠状部2b及び蓋部3から成るフラップラベルには、前述の抗菌性組成物を混練した合成樹脂フィルムが使用されている。又は、フラップラベルの裏面の粘着層に抗菌性組成物を混練するようにしてもよい。そして、開閉部3cであるフラップラベルの裏面が、最上層のシート材2cの先端部2eを滅菌する当接部3mを形成することになる。
【0048】
開口部2aから飛び出した最上層のシート材2cの先端部2eを、抗菌性組成物を含有する当接部3mが当接することで実施例1のシート材入り包装体1と同様に、滅菌することが可能である。
【0049】
また、枠状部2bが引き離された開口部2a内に、フィルム状の一対の取出窓部を配置し、これらの取出窓部の間には波状のスリット溝を形成するようにしてもよい。
【実施例3】
【0050】
図6は実施例3の
シート材入り包装体1の斜視図であり、開口部2a内の枠状部2bとして、ミシン目状のスリット溝2fを設けられている。
【0051】
シート材入り包装体1を使用する際には、フラップラベルの摘まみ片3nを摘まんで矢印方向に引き剥がすと、フラップラベルの裏面に形成した粘着層により、ミシン目状である波状の枠状部2bがフラップラベルと共に引き離される。
【0052】
開口部2aであるスリット溝2fの近傍には、一対の取出窓部2gが形成され、これらの取出窓部2gから飛び出した最上層のシート材2cの先端部を、抗菌性組成物を含有する取出窓部2g及び当接部3mで当接して挟むので実施例1のシート材入り包装体1と同様に、滅菌することが可能である。
【実施例4】
【0053】
図7は実施例4の
シート材入り包装体1の斜視図であり、シート材収納部2には、開口部2aである波状のスリット溝2fが設けられている。また、蓋部3の裏面は斜線で示す周縁の粘着層3oと、粘着材を塗布していない中央の当接部3mとから構成されている。
【0054】
シート材入り包装体1を使用する際には、フラップラベルの摘まみ片3nを摘まんで矢印方向に引き剥がし、一対の取出窓部2g間のスリット溝2fからシート材を取り出す。
【0055】
使用後は、蓋部3をシート材収納部2に貼り付ける。この際に、取出窓部2gから飛び出した最上層のシート材の先端部を、抗菌性組成物を含有する、取出窓部2g及び粘着材を塗布していない当接部3mで当接して挟むことになる。
【0056】
シート材の先端部2eに当接する当接部3mは、粘着材を塗布していないので、再度、蓋部3を引き剥がしても、シート材2cの先端部2eが当接部3mに付着して、引き出されることはない。
【0057】
なお、蓋部3の当接部3mに粘着材を塗布しない構造は、実施例3のシート材入り包装体1にも採用することができる。この場合は、蓋部3の裏面は周縁の粘着層3oと、粘着材を塗布していない中央の当接部3mとから構成され、波状の枠状部2bの表面にのみ粘着層3oを塗布することになる。
【0058】
このようにすることで、開封時には枠状部2bが引き剥がされると共に、蓋部3をシート材収納部2に貼り付けて、再度、蓋部3を引き剥がしても、シート材2cの先端部2eが当接部3mに付着して、引き出されることはない。
【0059】
このように実施例1~4のシート材入り包装体1を用いることで、精製水を99.99重量%以上含有するシート材であっても、シート材収納部2内に雑菌が繁殖することはない。また、シート材収納部2外に飛び出した最上層のシート材2cの一部に対して、抗菌性組成物を含有する当接部3m等を当接させることで雑菌の繁殖を防止することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 シート材入り包装体
2 シート材収納部
2a 開口部
2c シート材
2d 液体
2f、3k スリット溝
2g、3i 取出窓部
3 蓋部
3a 蓋本体部
3b 軸部
3c 開閉部
3h 取出壁部
3j ヒンジ部
3m 当接部