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特許7086566ユニット建物及びユニット建物の施工方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】ユニット建物及びユニット建物の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04B 1/348 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
E04B1/348 N
E04B1/348 F
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2017214888
(22)【出願日】2017-11-07
(65)【公開番号】P2019085776
(43)【公開日】2019-06-06
【審査請求日】2020-09-16
(73)【特許権者】
【識別番号】504093467
【氏名又は名称】トヨタホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】金子 翔太
【審査官】土屋 保光
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-090593(JP,A)
【文献】特開平06-146424(JP,A)
【文献】特開2000-204662(JP,A)
【文献】特開2016-194230(JP,A)
【文献】国際公開第2014/201502(WO,A1)
【文献】特開2001-055787(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 1/348
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
離し置きされた建物ユニットと建物ユニットの間に架け渡されたつなぎ小梁と、
側面視で逆L字状を成し、前記つなぎ小梁の端部に結合された状態で当該つなぎ小梁の側面から張り出し、前記建物ユニットの天井又は床に配設された大梁に対して引っ掛けられた状態で当該つなぎ小梁の側面から張り出した部位が前記大梁に直接締結されたブラケットと、
を有するユニット建物。
【請求項2】
前記ブラケットは、
結合された前記つなぎ小梁の反対側へ向かって張り出し、前記大梁の上部を構成する上壁部に当接して当該大梁に引っ掛かる掛かり部と、
結合された前記つなぎ小梁において前記大梁と対向する側の端面に設けられ、前記大梁の側部を構成する側壁部に締結される締結部と、
を含んで構成されている請求項1に記載のユニット建物。
【請求項3】
前記つなぎ小梁は、前記大梁の長手方向の一端部と他端部の間に複数配置されている請求項1又は請求項2に記載のユニット建物。
【請求項4】
請求項1~請求項3の何れか1項に記載のユニット建物の施工方法であって、
前記つなぎ小梁の端部に連結された前記ブラケットを前記建物ユニットの前記大梁に引っ掛ける第1工程と、
前記ブラケットを前記大梁に締結させる第2工程と、
を有するユニット建物の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユニット建物及びユニット建物の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載の内容では、建物が離し置きされた建物について、建物ユニットの内側(建物ユニット間)に連結梁(以下、「つなぎ小梁」という)を設置した後、床パネルを敷設するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2004-250915号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記先行技術では、離し置きされた建物ユニットと建物ユニットの内側につなぎ小梁を設置する際、つなぎ小梁を下から支持しながらボルトを締結させなければならず、施工性がよくない。
【0005】
本発明は上記問題を考慮し、離し置きされた建物ユニット間につなぎ小梁を設置する際に施工性がよいユニット建物及びユニット建物の施工方法を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、第1の態様に係るユニット建物は、離し置きされた建物ユニットと建物ユニットの間に架け渡されたつなぎ小梁と、前記つなぎ小梁の端部に結合され、かつ前記建物ユニットの天井又は床に配設された大梁に引っ掛けられた状態で締結されたブラケットと、を有している。
【0007】
第1の態様に係るユニット建物では、離し置きされた建物ユニットと建物ユニットの間につなぎ小梁が架け渡されている。このつなぎ小梁の端部にはブラケットが結合されており、ブラケットは、建物ユニットの天井又は床に配設された大梁に引っ掛けられた状態で当該大梁に締結されている。
【0008】
一般に、つなぎ小梁は大梁に締結されるため、本発明では、大梁に引っ掛け可能なブラケットを設け、当該ブラケットにつなぎ小梁の端部を結合させることによって、つなぎ小梁を大梁に締結させる前に、ブラケットを介してつなぎ小梁を大梁に引っ掛け、支持(仮置き)させることが可能となる。
【0009】
すなわち、ブラケットを大梁に引っ掛けるだけで、つなぎ小梁は支持されるため、つなぎ小梁を大梁に締結させる際に、当該つなぎ小梁を下から支持する必要はなく、一人で締結作業を行うことが可能となる。
【0010】
第2の態様に係るユニット建物は、第1の態様に係るユニット建物において、前記ブラケットは、結合された前記つなぎ小梁の反対側へ向かって張り出し、前記大梁の上部を構成する上壁部に当接して当該大梁に引っ掛かる掛かり部と、結合された前記つなぎ小梁の外側に設けられ、前記大梁の側部を構成する側壁部に締結される締結部と、を含んで構成されている。
【0011】
第2の態様に係るユニット建物では、ブラケットは、掛かり部と締結部とを含んで構成されている。掛かり部は、結合されたつなぎ小梁の反対側へ向かって張り出しており、大梁の上部を構成する上壁部に当接して当該大梁に引っ掛かるようになっている。一方、締結部は、結合されたつなぎ小梁の外側に設けられており、大梁の側部を構成する側壁部に締結されるようになっている。
【0012】
つまり、ブラケットの締結部側につなぎ小梁が結合された状態で、ブラケットの掛かり部を大梁に引っ掛けた後(いわゆる仮置き)、ブラケットの締結部を大梁の側壁部に締結させることによって、当該ブラケットを介して、つなぎ小梁を大梁で設置させることができる。
【0013】
第3の態様に係るユニット建物は、第1の態様又は第2の態様に係るユニット建物において、前記つなぎ小梁は、前記大梁の長手方向の両端部の内側に設けられている。
【0014】
大梁の長手方向の両端部の内側に設けられるつなぎ小梁は複数存在するため、第3の態様に係るユニット建物では、大梁の長手方向の両端部の内側に設けられるつなぎ小梁を、ブラケットを介して大梁で支持することで、作業性が良く、施工作業が向上する。
【0015】
第4の態様に係るユニット建物の施工方法は、第1の態様~第3の態様の何れか1の態様に係るユニット建物の施工方法であって、前記つなぎ小梁の端部に連結された前記ブラケットを前記建物ユニットの前記大梁に引っ掛ける第1工程と、前記ブラケットを前記大梁に締結させる第2工程と、を有している。
【0016】
第4の態様に係るユニット建物の施工方法では、第1工程と第2工程を備えており、第1工程では、離し置きされた建物ユニットと建物ユニットの間に配置されるつなぎ小梁の端部に連結されたブラケットが建物ユニットの大梁に引っ掛けられ、第2工程では、ブラケットが大梁に締結される。つまり、ブラケットを介してつなぎ小梁を大梁に仮置きした状態で、つなぎ小梁を大梁に締結(設置)させることができるため、作業性が良く、施工作業が向上する。
【発明の効果】
【0017】
以上説明したように、本態様に係るユニット建物及びユニット建物の施工方法は、離し置きされた建物ユニット間につなぎ小梁を設置する際に施工性を向上させることができる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本実施の形態に係るユニット建物の一部を構成して隣り合う建物ユニットを斜め上方側から見た概略斜視図である。
図2】本実施の形態に係るユニット建物の一部を構成する建物ユニットの運搬時の状態を示す概略斜視図である。
図3】(A)は、本実施の形態に係るユニット建物のつなぎ床大梁の設置状態を示す平面図であり、(B)は正面図である。
図4】本実施の形態に係るユニット建物のつなぎ床大梁の設置方法を示す分解斜視図である。
図5】(A)は、本実施の形態に係るユニット建物のつなぎ床小梁の設置状態を示す平面図であり、(B)は正面図である。
図6】(B)は、本実施の形態に係るユニット建物のつなぎ床小梁をブラケットに結合させた状態を示す正面図であり、(A)は(B)の変形例である。
図7】本実施の形態に係るユニット建物のつなぎ床小梁の設置状態を示す斜視図である。
図8】本実施の形態に係るユニット建物の上階ユニットのつなぎ床大梁及び下階ユニットのつなぎ床大梁の設置状態を含む正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を用いて、本発明に係るユニット建物の一実施形態について説明する。
(ユニット建物の構成)
【0020】
まず、本実施の形態に係るユニット建物の構成について説明する。
図1には、本実施の形態に係るユニット建物10の一部を構成する建物ユニット12及び建物ユニット14を斜め上方側から見た概略斜視図が示されている。
【0021】
この図に示されるように、建物ユニット12と建物ユニット14は離し置きされており、建物ユニット12と建物ユニット14の間には、つなぎ部16が架け渡されるようになっている。つなぎ部16には、建物ユニット12、14の下端側に架け渡されるつなぎ床大梁18、つなぎ床小梁20、及び建物ユニット12、14の上端側に架け渡されるつなぎ天井大梁22、つなぎ天井小梁24が含まれている。そして、これらの部材は、建物ユニット12と建物ユニット14との離間距離に応じて、その寸法が設定されている。
【0022】
ここで、建物ユニット12、14の構成について説明する。
【0023】
建物ユニット12と建物ユニット14とは基本構成が略同じであるため、これらを代表して建物ユニット14について説明する。
【0024】
当該建物ユニット14は、略箱形を成しており、四隅にそれぞれ同じ長さを有する角筒状の柱26が立設されている。そして、各柱26の下端部及び上端部には、それぞれ角筒状の下仕口部28、上仕口部30が設けられている。
【0025】
建物ユニット14の桁方向(矢印A方向)に沿って隣り合う柱26の下仕口部28には、床大梁32がそれぞれ結合されており、建物ユニット14の妻方向(矢印B方向)に沿って隣り合う柱26の下仕口部28には、床大梁34がそれぞれ結合されている。また、建物ユニット14において、互いに対向する一対の床大梁32間には、複数の床小梁36(図7参照)が架け渡されており、この複数の床小梁36は所定の間隔で配設されている。
【0026】
一方、桁方向に沿って隣り合う柱26の上仕口部30には、天井大梁38がそれぞれ結合されており、妻方向に沿って隣り合う柱26の上仕口部30には、天井大梁40がそれぞれ結合されている。また、建物ユニット14において、互いに対向する一対の天井大梁38間には、複数の天井小梁42が架け渡されており、当該複数の天井小梁42は所定の間隔で配設されている。
【0027】
さらに、建物ユニット14には、柱26の下端側に床パネル44が設けられており、柱26の上端側には天井パネル46が設けられている。
【0028】
そして、本実施形態におけるつなぎ部16では、建物ユニット12、14の下端部において、建物ユニット12の柱26の下仕口部28と建物ユニット14の柱26の下仕口部28の間につなぎ床大梁18が架け渡され、建物ユニット12の床大梁32と建物ユニット14の床大梁32の間につなぎ床小梁20が架け渡されている。
【0029】
また、建物ユニット12、14の上端部も下端部と同様に、建物ユニット12の柱26の上仕口部30と建物ユニット14の柱26の上仕口部30の間につなぎ天井大梁22が架け渡され、建物ユニット12の天井大梁38と建物ユニット14の天井大梁38の間につなぎ天井小梁24が架け渡されている。
【0030】
そして、つなぎ床小梁20の上には、建物ユニット12、14の床パネル44と連続する床パネル45(図5(B)参照)が設けられている。また、つなぎ天井大梁22の上には、建物ユニット12、14の天井パネル46と連続する天井パネル(図示省略)が設けられている。
【0031】
さらに、当該つなぎ部16では、建物ユニット14の柱26の外側と建物ユニット12の柱26の外側には、建物ユニット12、14の外壁パネル23(図2参照)と連続する外壁パネル25が設けられている。
【0032】
なお、当該外壁パネル25は、工場からの出荷時には、図2に示されるように、例えば、建物ユニット14の天井大梁38と床大梁32の間を架け渡すようにして、当該天井大梁38及び床大梁32に仮固定され、運搬される。すなわち、つなぎ部16が設けられることによって、運送費が高くならないようにしている。
【0033】
ここで、つなぎ床大梁18及びつなぎ床小梁20と、つなぎ天井大梁22及びつなぎ天井小梁24は、略同じ施工方法で設置されるため、これらを代表して、つなぎ床大梁18及びつなぎ床小梁20について以下で説明する。
【0034】
図3(A)、(B)及び図4に示されるように、つなぎ部16において、建物ユニット14の柱26の下仕口部28とつなぎ床大梁18の間には、ブラケット48、50が設けられている。また、建物ユニット12(図3(A)参照)の柱26の下仕口部28と当該つなぎ床大梁18の間には、建物ユニット14側と同様に、ブラケット48、50が設けられている。
【0035】
例えば、ブラケット48は、平面視で下仕口部28側を開口とする略U字状を成しており、下仕口部28と対向して配置されるベース部48Aと、ベース部48Aの両端からそれぞれ延出され先端が下仕口部28に当接する一対の脚片48Bと、で構成されている。
【0036】
そして、当該ブラケット48は、ベース部48Aが下仕口部28との間で隙間を設けた状態で、溶接により脚片48Bが当該下仕口部28に結合されている。また、ブラケット48のベース部48Aには、上下一対の挿通孔49が形成されている。なお、ブラケット48のベース部48Aの下仕口部28側には、例えば、ウェルドナット47(図3(A)参照)が設けられている。
【0037】
一方、ブラケット50は、平面視で略逆L字状を成しており、二つの締結板50A、50Bを含んで構成されている。締結板50Bは、柱26の下仕口部28に結合されたブラケット48のベース部48Aに当接可能とされ、締結板50Aは、つなぎ床大梁18の中央部を構成する側壁部18Aに当接可能とされる。
【0038】
ブラケット50の締結板50A側には、上下一対のウェルドナット51が設けられており、ボルト52がそれぞれ締結可能とされている。一方、つなぎ床大梁18の側壁部18Aには、ボルト52が挿通する挿通孔53が形成されており、締結板50Aがつなぎ床大梁18の側壁部18Aに当接した状態で、ウェルドナット51及びボルト52を介してつなぎ床大梁18の側壁部18Aにブラケット50の締結板50Aが締結(結合)される。
【0039】
また、ブラケット50の締結板50B側には、ブラケット48のベース部48Aに形成された上下一対の挿通孔49とそれぞれ連通可能な上下一対の挿通孔54が形成されており、当該挿通孔54及び挿通孔49に挿通されたボルト55が前述したウェルドナット47に締結(結合)される。
【0040】
すなわち、以上の構成では、ブラケット50の締結板50Aにつなぎ床大梁18が結合された状態で、ブラケット50の締結板50Bを柱26の下仕口部28に結合されたブラケット48のベース部48Aに締結させることによって、当該ブラケット48、50を介して、つなぎ床大梁18の一端部が建物ユニット14の柱26の下仕口部28に結合されることとなる。
【0041】
なお、図3(A)、(B)に示すつなぎ床大梁18の他端部(建物ユニット12側)においても、一端部と略同じであり、ブラケット48、50を介して、つなぎ床大梁18の他端部が建物ユニット12の柱26の下仕口部28に結合される。つまり、この状態で、つなぎ床大梁18は、建物ユニット14の柱26と建物ユニット12の柱26の間に架け渡される(設置される)こととなる。
【0042】
一方、図5(A)及び図7に示されるように、つなぎ部16において、建物ユニット14の床大梁32とつなぎ床小梁20の間には、ブラケット56が設けられている。また、建物ユニット12(図5(A)参照)の床大梁32とつなぎ床小梁20の間には、建物ユニット14側と同様に、ブラケット56が設けられている。
【0043】
例えば、ブラケット56は、側面視で略L字状を成しており、引っ掛け部58と結合部60とを含んで構成されている。ブラケット56の引っ掛け部58は、平面視で略矩形状を成しており、床大梁32の上部を構成する上壁部32Aに当接可能とされている。一方、ブラケット56の結合部60は、正面視で略矩形状を成しており、高さ方向に沿った長さは、つなぎ床小梁20の高さ寸法よりも短く形成され,幅方向に沿った長さはつなぎ床小梁20の幅寸法よりも長く形成されている。
【0044】
そして、当該結合部60につなぎ床小梁20が溶接により結合可能とされており、結合部60につなぎ床小梁20が結合された状態で、図6(B)及び図5(B)の右図に示されるように、結合部60の上方側及び下方側からは、つなぎ床小梁20の上端部及び下端部がはみ出た状態とされる。
【0045】
また、図7に示されるように、ブラケット56の結合部60におけるつなぎ床小梁20の両外側には、挿通孔68が形成されている。一方、床大梁32の中央部を構成する側壁部32Bには、挿通孔72が形成されており、ブラケット56の引っ掛け部58が床大梁32の上壁部32Aに当接された状態で、結合部60の挿通孔68は、挿通孔72と連通可能となるように形成されている。また、挿通孔68にはボルト70が挿通可能とされており、当該ボルト70は、床大梁32の側壁部32Bに予め設けられたスタッドナット73(図5(B)参照)に締結可能とされている。
【0046】
以上の構成では、つなぎ部16において、つなぎ床小梁20の長手方向の両端にブラケット56の結合部60が結合された状態で、建物ユニット14の床大梁32の上壁部32Aにブラケット56の引っ掛け部58を当接させて引っ掛けると共に、建物ユニット12(図5(A)参照)の床大梁32の上壁部32Aにブラケット56の引っ掛け部58を当接させて引っ掛ける(仮置きさせる)。
【0047】
この状態で、建物ユニット14の床大梁32の側壁部32Bにブラケット56の結合部60を締結させると共に、建物ユニット12の床大梁32の側壁部32Bにブラケット56の結合部60を締結させる。すなわち、これにより、当該ブラケット56を介して、建物ユニット14の床大梁32と建物ユニット12の床大梁32の間につなぎ床小梁20が架け渡される(設置される)こととなる。
【0048】
なお、施工方法によっては、図6(A)及び図5(B)の左図に示されるように、床パネル45とつなぎ床小梁20の間に根太76が介在される場合もある。この場合、つなぎ床小梁20の上面20Aからブラケット56の引っ掛け部58がその板厚分突出した状態でつなぎ床小梁20が結合部60に結合される。
【0049】
ここで、本実施形態におけるつなぎ床小梁20の組付け手順について説明する。
まず、図5(B)及び図7に示されるように、つなぎ床小梁20の両端部をブラケット56の結合部60に対してそれぞれ溶接し、つなぎ床小梁20とブラケット56を一体化させる。
【0050】
そして、第1工程として、建物ユニット14の床大梁32の上壁部32Aに、つなぎ床小梁20の一端部に結合されたブラケット56の引っ掛け部58を当接させて引っ掛ける。また、建物ユニット12側の床大梁32においても建物ユニット14側と同様に、つなぎ床小梁20の他端部に結合されたブラケット56の引っ掛け部58を床大梁32の上壁部32Aに引っ掛ける。
【0051】
これにより、つなぎ床小梁20は、ブラケット56を介して建物ユニット12、14の床大梁32にそれぞれ引っ掛かることとなり、当該床大梁32に仮置き(支持)される。
【0052】
次に、第2工程として、建物ユニット12、14の床大梁32側のスタッドナット74とボルト70を介して、ブラケット56の結合部60を建物ユニット12、14の床大梁32の側壁部32Bにそれぞれ締結させる。
【0053】
これにより、つなぎ床小梁20は、当該ブラケット56を介して、建物ユニット12、14の床大梁32にそれぞれ締結され、建物ユニット14の床大梁32と建物ユニット12の床大梁32の間に架け渡されることとなる。
【0054】
(ユニット建物の作用及び効果)
次に、本実施の形態に係るユニット建物の作用及び効果について説明する。
【0055】
図1に示されるように、本実施形態におけるユニット建物10では、離し置きされた建物ユニット12と建物ユニット14の間につなぎ床小梁20が架け渡されている。このつなぎ床小梁20の両端部にはブラケット56がそれぞれ結合される。
【0056】
図5(B)及び図7に示されるように、当該ブラケット56は、床大梁32に引っ掛け可能とされており、ブラケット56につなぎ床小梁20の端部を結合させることによって、つなぎ床小梁20を床大梁32に締結させる前に、ブラケット56を介してつなぎ床小梁20を床大梁32に引っ掛け、支持(仮置き)させることが可能となる。
【0057】
すなわち、ブラケット56を床大梁32に引っ掛けるだけで、つなぎ床小梁20は支持されるため、つなぎ床小梁20を床大梁32に締結させる際に、当該つなぎ床小梁20を下から支持する必要はなく、一人で締結作業を行うことができる。
【0058】
換言すると、本実施形態では、ブラケット56を介してつなぎ床小梁20を離し置きされた建物ユニット12と建物ユニット14の床大梁32に支持させた状態で、つなぎ床小梁20を当該床大梁32にそれぞれ締結させることができるため、作業性が良く、施工作業が向上する。
【0059】
また、本実施形態では、図7に示されるように、ブラケット56は、引っ掛け部58と結合部60とを含んで構成されている。引っ掛け部58は、結合されたつなぎ床小梁20の反対側へ向かって張り出しており、床大梁32の上壁部32Aに当接して当該床大梁32に引っ掛かるようになっている。一方、結合部60は、結合されたつなぎ床小梁20の外側に設けられており、床大梁32の側壁部32Bに締結されるようになっている。
【0060】
つまり、ブラケット56の結合部60側につなぎ床小梁20が結合された状態で、ブラケット56の引っ掛け部58を床大梁32に引っ掛けた後(いわゆる仮置き)、ブラケット56の結合部60を床大梁32の側壁部32Bに締結させることによって、当該ブラケット56を介して、つなぎ床小梁20を床大梁32に固定させることができる。
【0061】
ここで、つなぎ床小梁20は複数存在するため、当該つなぎ床小梁20を、ブラケット56を介して床大梁32で支持することで、施工性が向上する。
【0062】
さらに、本実施形態におけるユニット建物の施工方法では、離し置きされた建物ユニット12と建物ユニット14の間につなぎ床小梁20が架け渡されるが、本実施形態では、第1工程及び第2工程を含んで構成されている。第1工程では、つなぎ床小梁20の端部に結合されたブラケット56が建物ユニット14の床大梁32に引っ掛けられ、第2工程では、ブラケット56が当該床大梁32に締結される。つまり、ブラケット56を介してつなぎ床小梁20を床大梁32に仮置きした状態で、つなぎ床小梁20を床大梁32に結合(設置)させることができるため、作業性が良い。
【0063】
なお、本実施形態では、つなぎ床小梁20について説明したが、つなぎ天井小梁24側もつなぎ床小梁20と同様の効果を得ることができる。
【0064】
ところで、図8に示されるように、つなぎ部16における下階ユニット78と上階ユニット80の場合、下階ユニット78のつなぎ天井小梁24ではブラケット48、50が設けられているが、上階ユニット80のつなぎ床小梁90には当該ブラケット48、50が設けられていない。
【0065】
そして、当該上階ユニット80のつなぎ床小梁90の下壁部90Aが、下階ユニット78のつなぎ天井小梁24の上壁部24Aに締結されている。つまり、上階ユニット80のつなぎ床小梁90は、下階ユニット78のつなぎ天井小梁24を介して設置され、これにより、ブラケット56の数を削減してコストダウンを図ることができる。
【0066】
本実施形態では、2階建てのユニット建物10について説明したが、本発明は、3階建て以上のユニット建物についても適用可能である。
【0067】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、一実施形態及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において上記以外にも種々変形して実施することが可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 ユニット建物
12 建物ユニット
14 建物ユニット
16 つなぎ部
20 つなぎ床小梁(つなぎ小梁)
24 つなぎ天井小梁(つなぎ小梁)
32 床大梁(大梁)
32A 上壁部(大梁の上壁部)
32B 側壁部(大梁の側壁部)
38 天井大梁(大梁)
56 ブラケット
58 引っ掛け部(掛かり部、ブラケット)
60 結合部(締結部、ブラケット)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8