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特許7086571撮像装置、レンズ装置およびこれらの制御方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】撮像装置、レンズ装置およびこれらの制御方法
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/232 20060101AFI20220613BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20220613BHJP
   G03B 13/12 20210101ALI20220613BHJP
【FI】
H04N5/232 960
G03B5/00 D
G03B13/12
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2017221284
(22)【出願日】2017-11-16
(65)【公開番号】P2019092119
(43)【公開日】2019-06-13
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100124442
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 創吾
(72)【発明者】
【氏名】杉田 淳
(72)【発明者】
【氏名】小川 武志
【審査官】吉川 康男
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-042405(JP,A)
【文献】特開2008-040008(JP,A)
【文献】特開平11-023949(JP,A)
【文献】特開2008-134390(JP,A)
【文献】特開2004-248171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/232
G03B 5/00
G03B 13/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フォーカスレンズを有するレンズ装置を着脱することができる撮像装置であって、
前記レンズ装置を介して形成された光学像を光電変換する撮像素子と、
前記撮像素子から出力される画像信号に基づいて画像を生成する画像生成部と、
前記レンズ装置との通信を制御する通信制御部と、
前記通信制御部が受信した情報に基づいて、前記画像の倍率を補正する補正手段と、を有し、
前記通信制御部は、前記レンズ装置から焦点距離の変動に関する情報を受信し、
前記補正手段は、前記焦点距離の変動に関する情報に基づいて前記画像の倍率を補正すし、
前記通信制御部は、前記レンズ装置に対して識別情報の要求を送信し、当該要求への応答として受信した前記レンズ装置の識別情報が、前記補正手段による補正が必要であることを示す情報を含んでいる場合には、前記レンズ装置に対して前記焦点距離の変動に関する情報の要求を送信することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記焦点距離の変動に関する情報は、前記画像が補正されるべき倍率に対応する補正情報であることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記補正情報は、前記フォーカスレンズの現在の位置に対応する第1の焦点距離の、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち基準となる第2の焦点距離に対する比であることを特徴とする請求項2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記焦点距離の変動に関する情報は、前記フォーカスレンズの現在の位置に対応する第1の焦点距離と、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち基準となる第2の焦点距離とを含むことを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記第1の焦点距離と前記第2の焦点距離とに基づいて前記画像が補正されるべき倍率に対応する補正情報を算出する算出手段を有し、
前記補正情報は、前記フォーカスレンズの現在の位置に対応する第1の焦点距離の、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち基準となる第2の焦点距離に対する比であることを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記フォーカスレンズの現在の位置に対応する第1の焦点距離と、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち基準となる第2の焦点距離と、に基づいて前記画像が補正されるべき倍率に関する補正情報を算出する算出手段を有し、
前記焦点距離の変動に関する情報は、前記第1の焦点距離と前記第2の焦点距離の各々を前記フォーカスレンズの現在の位置と対応づけた情報であり、
前記算出手段は、前記通信制御を介して前記レンズ装置から取得した前記フォーカスレンズの現在の位置を示す情報を用いることで前記焦点距離の変動に関する情報から特定された前記第1の焦点距離と前記第2の焦点距離とに基づいて前記補正情報を算出することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記焦点距離の変動に関する情報は、前記第1の焦点距離と前記第2の焦点距離の各々を前記フォーカスレンズの現在の位置、絞りの現在の位置及びズームレンズの現在の位置と対応づけた情報であり、
前記算出手段は、前記通信制御を介して前記レンズ装置から取得した前記フォーカスレンズの現在の位置を示す情報、前記絞りの現在の位置を示す情報及びズームレンズの現在の位置を示す情報を用いることで前記焦点距離の変動に関する情報から特定された前記第1の焦点距離と前記第2の焦点距離とに基づいて前記補正情報を算出することを特徴とする請求項6に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記第2の焦点距離は、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち最大の焦点距離であることを特徴とする請求項3乃至請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項9】
前記通信制御部は、前記撮像素子の露光中心に対応するタイミングで、前記焦点距離の変動に関する情報を受信することを特徴とする、請求項1乃至請求項8のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項10】
前記通信制御部は、前記撮像素子の露光中心に対応するタイミングで、前記フォーカスレンズの現在の位置、前記絞りの現在の位置及び前記ズームレンズの現在の位置を受信することを特徴とする、請求項に記載の撮像装置。
【請求項11】
前記撮像装置は、前記補正手段によって補正された補正画像を動画ファイルとして記録する記録手段を有することを特徴とする、請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項12】
前記画像生成部によって生成された画像とともに、各画像に対応する前記補正情報を動画ファイルとして記録する記録手段と、
前記動画ファイルを表示するための画像表示部と、を有し、
前記画像表示部は、前記補正情報に基づいて前記補正手段が補正した補正画像を表示することを特徴とする、請求項2、請求項3、請求項5乃至請求項7のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項13】
前記補正手段は、防振レンズの位置に応じて前記画像の倍率を補正することを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載の撮像装置。
【請求項14】
撮像装置に対して取り付けることができるレンズ装置であって、
フォーカスレンズを含む撮像光学系と
前記フォーカスレンズの現在の位置に対応する第1の焦点距離と、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち基準となる第2の焦点距離とに基づき、前記撮像装置が有する撮像素子が出力した画像が補正されるべき倍率に対応する補正情報を算出する算出手段と、を有し、
前記補正情報を撮像装置に送信するよう通信を制御する通信制御部と、を有し、
前記通信制御部は、前記レンズ装置の識別情報の要求を受信し、当該要求への応答として送信した前記レンズ装置の識別情報が、前記撮像素子が出力した画像の倍率の補正が必要であることを示す情報を含んでいる場合には、前記焦点距離の変動に関する情報の要求を受信することを特徴とするレンズ装置。
【請求項15】
ンズ装置を介して形成された光学像を光電変換する撮像素子を有し、フォーカスレンズを有するレンズ装置を着脱することができる撮像装置の制御方法であって、
前記撮像素子から出力される画像信号に基づいて画像を生成する画像生成ステップと、
前記レンズ装置との通信を制御する通信制御ステップと、
前記通信制御ステップで受信した情報に基づいて、前記画像の倍率を補正する補正ステップと、を有し、
前記通信制御ステップでは、前記レンズ装置から焦点距離の変動に関する情報を受信し、
前記補正ステップでは、前記焦点距離の変動に関する情報に基づいて前記画像の倍率を補正し、
前記通信制御ステップにおいて、前記レンズ装置に対して識別情報の要求が送信され、当該要求への応答として受信された前記レンズ装置の識別情報が、前記補正ステップでの補正が必要であることを示す情報を含んでいる場合には、前記レンズ装置に対して前記焦点距離の変動に関する情報の要求が送信されることを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項16】
フォーカスレンズを含む撮像光学系を有し、撮像装置に対して取り付けることができるレンズ装置の制御方法であって、
前記フォーカスレンズの現在の位置に対応する第1の焦点距離と、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち基準となる第2の焦点距離とに基づき、前記撮像装置が有する撮像素子が出力した画像が補正されるべき倍率に対応する補正情報を算出する算出ステップと、
前記補正情報を撮像装置に送信するよう通信を制御する通信制御ステップと、を有し、
前記通信制御ステップにおいて、前記レンズ装置の識別情報の要求が受信され、当該要求への応答として送信された前記レンズ装置の識別情報が、前記撮像素子が出力した画像の倍率の補正が必要であることを示す情報を含んでいる場合には、前記焦点距離の変動に関する情報の要求が受信されることを特徴とするレンズ装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置により得られた画像の倍率を補正する技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
デジタルカメラなどの撮像装置における、レンズ光学系全体の焦点距離(以下、実焦点距離)によって、画角が変動し、撮像素子に形成される被写体像の倍率に変動が生じることが知られている。実焦点距離は、ズームレンズの位置だけでなく、フォーカスレンズの位置に依存する焦点位置によっても変化する。このため、フォーカスレンズの位置の変化によって、画角の変動が生じてしまう。
【0003】
特に、動画撮影時においては、画角の変動が動画として記録されてしまうため、画角の変動が動画品質の低下に繋がり得る。このことから、画角の変動による動画品質の低下を低減する技術が望まれている。
【0004】
特許文献1では、レンズがカメラと一体であるカメラシステムにおいて、フォーカスレンズの各焦点位置で撮像され生成された各画像の画角が一定に保たれるように焦点位置ごとに定められた倍率に基づいて、前記各画像の倍率を補正する技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献2では、レンズがカメラに対して交換可能であるカメラシステムにおいて、フォーカスレンズの単位移動量に対する像の倍率変動値をカメラに送信し、倍率変動値が所定値以上の場合にウォブリング動作を行わない技術を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特許第5013705号公報
【文献】特開2016-136271号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示された従来技術では、レンズがカメラと一体になったカメラシステムにおいては、画角の変動による動画品質の低下を低減することができる。しかしながら、特許文献1では、光学系の異なる様々なレンズがカメラに対して交換可能であるカメラシステムについては考慮されていない。
【0008】
また、特許文献2に開示された従来技術では、画角の変動が目立たないようにフォーカスレンズの駆動を制限しているだけであり、画角の変動が無くなるわけではない。さらには、画角の変動が目立たないようにフォーカスレンズの駆動を制限することによって、フォーカスレンズ駆動速度を低下させてしまう。
【0009】
そこで、本発明は、レンズがカメラに対して交換可能であるカメラシステムにおいても、画角の変動による動画品質の低下を低減することができる撮像装置、レンズ装置およびこれらの制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一側面は、フォーカスレンズを有するレンズ装置を着脱することができる撮像装置であって、前記レンズ装置を介して形成された光学像を光電変換する撮像素子と、前記撮像素子から出力される画像信号に基づいて画像を生成する画像生成部と、前記レンズ装置との通信を制御する通信制御部と、前記通信制御部が受信した情報に基づいて、前記画像の倍率を補正する補正手段と、を有し、前記通信制御部は、前記レンズ装置から焦点距離の変動に関する情報を受信し、前記補正手段は、前記焦点距離の変動に関する情報に基づいて前記画像の倍率を補正し、前記通信制御部は、前記レンズ装置に対して識別情報の要求を送信し、当該要求への応答として受信した前記レンズ装置の識別情報が、前記補正手段による補正が必要であることを示す情報を含んでいる場合には、前記レンズ装置に対して前記焦点距離の変動に関する情報の要求を送信するよう構成したことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の別側面は、撮像装置に対して取り付けることができるレンズ装置であって、フォーカスレンズを含む撮像光学系と前記フォーカスレンズの現在の位置に対応する第1の焦点距離と、前記フォーカスレンズの位置に応じて取りうる焦点距離のうち基準となる第2の焦点距離とに基づき、前記撮像装置が有する撮像素子が出力した画像が補正されるべき倍率に対応する補正情報を算出する算出手段と、を有し、前記補正情報を撮像装置に送信するよう通信を制御する通信制御部と、を有し、前記通信制御部は、前記レンズ装置の識別情報の要求を受信し、当該要求への応答として送信した前記レンズ装置の識別情報が、前記撮像素子が出力した画像の倍率の補正が必要であることを示す情報を含んでいる場合には、前記焦点距離の変動に関する情報の要求を受信するよう構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、レンズがカメラに対して交換可能であるカメラシステムにおいても、画角の変動による動画品質の低下を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態に係る、交換式カメラ-レンズシステムを示すブロック図
図2】本発明の実施例1における、交換式カメラ-レンズシステムの、フォーカス像倍率変動補正処理のフローを説明するフローチャート
図3】本発明の実施例1における、交換式カメラ-レンズシステムの、フォーカス像倍率変動補正処理の効果例を説明するイメージ図
図4】本発明の実施例1における、撮像装置およびレンズ装置の、フォーカス像倍率変動補正処理タイミングを説明するチャート
図5】本発明の実施例1における、実焦点距離変動率情報テーブルを説明する表
図6】本発明の実施例2における、交換式カメラ-レンズシステムの、実焦点距離変動率情報を動画ファイルに記録する処理のフローを説明するフローチャート
図7】本発明の実施例2における、撮像装置の、動画ファイルに記録された実焦点距離変動率情報に基づいたフォーカス像倍率変動補正処理を説明するフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下に、本発明の好ましい実施の形態を、添付の図面に基づいて詳細に説明する。以下の実施例1に記載される通りである。
【実施例1】
【0015】
本発明の実施例1は、動画撮影時のフォーカスレンズ駆動による画角変動を補正可能な、フォーカス像倍率変動補正機能を搭載した交換式カメラ-レンズシステムを目的とした実施例である。このとき、フォーカスレンズ駆動は撮像面位相差AFモードを想定しているが、その限りではない。例えば、コントラストAFでもよいし、マニュアルフォーカスでもよい。
【0016】
図1は、本発明の実施形態に係る、交換式カメラ-レンズシステムの構成を示すブロック図である。
【0017】
図1に示すように、本実施形態の撮像装置100には、レンズマウント部180を介してレンズ装置150が着脱可能に装着されている。撮像装置100に装着可能なレンズ装置150内には、フォーカスレンズ151、ズームレンズ152、絞り153、防振制御レンズ154を備えて構成される撮影光学系が含まれている。なお、図1では1枚のレンズが図示されているが、複数枚のレンズから構成されるレンズ群でもよい。撮影光学系を介して入射した光線が撮像素子102に導かれ、撮像光学系によって形成された光学像が撮像素子102に結像する。
【0018】
次に撮像装置100内の構成について説明する。
【0019】
撮像素子102は、例えばCCDセンサーやCMOSセンサーなどが用いられ、レンズ装置150によって結像された被写体像を電気信号に光電変換する。撮像素子102は、複数の焦点検出画素を有していてもよい。
【0020】
画像生成部103は撮像素子102のアナログ出力信号をデジタル信号に変換して画像を生成する。生成された画像は、メモリ制御部105、画像処理部140へ入力される。
【0021】
タイミング発生部104は、撮像素子102、画像生成部103、メモリ制御部105、システム制御部130および画像処理部140にクロック信号および同期信号を供給する。
【0022】
メモリ制御部105は、画像生成部103、タイミング発生部104、画像表示部106、メモリ107、記録部108および画像処理部140を制御する。画像生成部103からの出力データが画像処理部140およびメモリ制御部105を介して、メモリ107および記録部108に書き込まれる。
【0023】
画像表示部106は、LCDなどを用いて構成される。電子ビューファインダー(EVF)の場合は、不図示の外部表示装置や撮像素子102を用いて撮像した画像データを逐次表示し、EVF機能を実現する。画像再生時は、メモリ107および記録部108に記録された画像を表示する。
【0024】
メモリ107は、撮影した静止画像や動画像を格納し、かつ、システム制御部130の作業領域としても使用する。
【0025】
記録部108は、撮像装置100の内部もしくは撮像装置100より取り外しが可能な不揮発性メモリで構成され、撮影した静止画像や動画像を格納する。
【0026】
シャッター制御部110は、システム制御部130からの制御信号に基づいて、ミラー制御部111と連携しながら、シャッター101を制御する。
【0027】
ミラー制御部111は、システム制御部130からの制御信号に基づいて、主ミラー112を制御する。
【0028】
主ミラー112は、レンズ装置150から入射した光束をファインダー側と撮像素子側とに切替える。主ミラー112は、常時はファインダー部へと光束を導くよう反射させるように配されているが、撮影が行われる場合には、撮像素子102へと光束を導くように上方に跳ね上がり光束中から待避する。また主ミラー112はその中央部が光の一部を透過できるようにハーフミラーとなっており、光束の一部を、焦点検出を行うための不図示の焦点検出センサーに入射するように透過してもよい。
【0029】
ペンタプリズム113は、レンズ装置150より入射した光束を光学ファインダー114へ導く。
【0030】
光学ファインダー114は、不図示のピント板、アイピースレンズなどによって構成される。
【0031】
スイッチ115(以後SW1)は、AF処理、AE処理、AWB処理などの動作開始をシステム制御部130へ指示する。
【0032】
スイッチ116(以後SW2)は、露光開始をシステム制御部130へ指示する。露光開始指示を受けたシステム制御部130は、撮像素子102、メモリ制御部105、シャッター制御部110、ミラー制御部111およびI/F120を介してレンズ装置150を制御して、記録部108に画像データを記録する処理を実施する。
【0033】
カメラ操作部117は、各種ボタンやタッチパネル、電源オンオフボタンなどから構成され、ユーザー操作により受け付けた指示をシステム制御部130に出力する。カメラ操作部117でのユーザー操作に従い、システム制御部130は撮像装置100に搭載された各種機能、例えばAFモード、AEモードといった動作モードの切り替えなどを実施する。
【0034】
カメラ電源制御部118は、外部電池や内蔵電池の管理を行う。電池が取り外された場合や電池残量がなくなった場合、カメラ電源制御部118は、カメラ制御の緊急遮断処理を行う。このとき、システム制御部130はレンズ装置150に供給する電源を遮断する。
【0035】
インターフェース120(以後I/F120)は、コネクタ190を介して、撮像装置100内のシステム制御部130とレンズ装置150内のレンズ制御部160との間で電気信号を用いた通信を実施する。これによりレンズ装置150の情報や制御命令などを送受信する。
【0036】
システム制御部130は、SW1、SW2、メモリ制御部105およびカメラ操作部117などからの入力に従い、撮像素子102、メモリ制御部105、シャッター制御部110、ミラー制御部111をはじめとして、カメラ全体を制御する。また、I/F120を介してレンズ装置150を制御する。
【0037】
AF制御部131は、システム制御部130内に搭載されており、撮像装置100のAF処理を司る。AF処理ではAFモードに従い、I/F120を介してレンズ装置150から得られるフォーカス位置や焦点距離などのレンズ情報、入力されるAF評価値から、フォーカスレンズ駆動量を演算する。フォーカスレンズ駆動量は、レンズ通信制御部133およびI/F120を介してレンズ装置150に入力される。例えば、位相差AFモードの場合は、被写体の光学像を主ミラー112および不図示の焦点検出用サブミラーを介して不図示の合焦状態判定部に入射させて得られる位相差AF評価値などからフォーカスレンズ駆動量を演算する。また、コントラストAFモードの場合は、画像処理部140にて演算されるコントラストAF評価値からフォーカスレンズ駆動量を演算する。また、撮像面位相差AFモードの場合は、撮像素子102に埋め込まれた複数の焦点検出画素より出力された撮像面位相差AF評価値からフォーカスレンズ駆動量を演算する。また、1点AFモード、多点AFモード、顔検出AFモードなどのAF評価モードに従い、評価値を演算するAF枠位置を切り替える。
【0038】
AE制御部132は、システム制御部130内に搭載されており、撮像装置100のAE処理を司る。AE処理ではAEモードに従い、I/F120を介してレンズ装置150から得られる開放F値や焦点距離などのレンズ情報、入力されるAE評価値などから、AE制御量(絞り制御量、シャッター制御量、露光感度など)を演算する。絞り制御量は、レンズ通信制御部133およびI/F120を介してレンズ装置150に入力される。シャッター制御量はシャッター制御部110に入力され、露光感度は撮像素子102に入力される。例えばファインダー撮影モードの場合は、被写体の光学像を主ミラー112およびペンタプリズム113を介して、不図示の明るさ判定部に入射させて得られるAE評価値からAE制御量を演算する。ライブビュー撮影モードの場合は、画像処理部140にて演算されるAE評価値からAE制御量を演算する。また評価測光モード、平均測光モード、顔検出測光モードなどの測光モードに従い、評価値を演算するAE枠位置および重み付け量を切り替える。
【0039】
レンズ通信制御部133は、システム制御部130内に搭載されており、撮像装置100とレンズ装置150との通信処理を司る。I/F120を介してレンズ装置150が装着されたことを検知すると、撮像装置100とレンズ装置150は通信を開始し、任意のタイミングでレンズ情報を受信するとともに、カメラ情報、駆動命令などを送信する。例えばファインダー撮影モードの場合は、システム制御部130の制御によって、任意のタイミングでレンズ装置150への通信を行う。このとき、ライブビュー撮影モードの場合、任意のタイミング以外にも、タイミング発生部104より出力された撮像同期信号に基づいたタイミングで通信してもよい。撮像同期信号に基づいたタイミングで通信を行う場合は、タイミング発生部104から撮像同期信号が入力されると、レンズ情報(フォーカスレンズ位置、フォーカスレンズ状態、絞り状態、焦点距離など)をまとめて受信する。
【0040】
像倍率変動補正制御部134は、レンズ装置150内のフォーカスレンズ151の駆動可能な範囲で取りうる最大の焦点距離に対して、フォーカスレンズ151の現在位置における焦点距離変動率を含む、焦点距離変動率情報をI/F120を通して受信する。さらに受信した焦点距離変動率情報に基づいて、画角補正倍率を算出し、画像処理部140内のリサイザ141に画角補正倍率を設定する。なお、ここではレンズ装置150内のフォーカスレンズ151の駆動可能な範囲で取りうる最大の焦点距離を基準とする場合を例示するが、必ずしも最大の焦点距離である必要はなく、所定の焦点距離を基準とすれば良い。
【0041】
画像処理部140は、画像生成部103からのデジタル画像信号あるいはメモリ制御部105からのデータに対して、所定の画素補完処理や色変換処理を行い、画像データの生成を行う。また画像処理部140は、デジタル画像信号を用いて所定の演算処理を行う。
【0042】
次にレンズ装置150内の構成について説明する。
【0043】
フォーカスレンズ151は、光軸方向に移動して撮像光学系のピントを変化させる。
【0044】
ズームレンズ152は、光軸方向に移動して撮像光学系の焦点距離を変化させる。
【0045】
絞り153は、その開口径(絞り値)が可変であり,開口径に応じて光量を変化させる。
【0046】
防振制御レンズ154は、光軸方向に対して直交する方向に移動させることで、手振れ等のカメラ振れによる像振れを低減する。
【0047】
フォーカス制御部155は、レンズ制御部160もしくはレンズ操作部161より制御され、フォーカスレンズ151を駆動させる。またフォーカスレンズ151の位置などのフォーカス情報をレンズ制御部160へ出力する。
【0048】
ズーム制御部156は、レンズ制御部160もしくはレンズ操作部161より制御され、ズームレンズ152を駆動させる。また焦点距離などのズーム情報をレンズ制御部160へ出力する。
【0049】
絞り制御部157は、レンズ制御部160もしくはレンズ操作部161から制御され、絞り153を駆動させる。また、絞り値などの絞り情報をレンズ制御部160へ出力する。
【0050】
角速度検出部158は、レンズ制御部160から制御され、レンズの角速度(Yaw、Pitch)を検出し、レンズ制御部160へ出力する。
【0051】
防振制御部159は、レンズ制御部160から制御され、防振制御レンズ154を駆動させる。また防振可能範囲などの防振情報をレンズ制御部160へ出力する。
【0052】
レンズ制御部160は、レンズ操作部161もしくはI/F170からの入力に従い、フォーカス制御部155、ズーム制御部156、絞り制御部157、角速度検出部158および防振制御部159などを制御することで、レンズ全体を制御する。また各制御部や検出部などから入力された情報を、I/F170で受信したレンズ情報取得命令に従って、I/F170を介して撮像装置100へ送信する。さらにレンズ制御部160は、フォーカスレンズ151の駆動可能な範囲で取りうる最大の焦点距離の演算ならびにフォーカスレンズ151の現在位置における焦点距離変動率の演算を行う。このとき、フォーカス制御部155およびズーム制御部156より出力されたフォーカス情報およびズーム情報を用いる。その演算結果はI/F170を介して撮像装置100へ送信する。このとき撮像装置100からの要求に基づき、その応答として最大焦点距離および焦点距離変動率の演算結果を送信してもよい。
【0053】
レンズ操作部161は、フォーカス操作リング、ズーム操作リング、AF/MFスイッチ、ISオンオフスイッチなどからなり、ユーザー操作により受け付けた指示をレンズ制御部160に出力する。レンズ制御部160は、レンズ操作部161より入力された指示に基づき、I/F170を介してユーザー操作内容を撮像装置100へ送信する。撮像装置100内にあるシステム制御部130は、I/F120を介してユーザー操作内容を受信し、レンズ装置150に搭載された各種機能についての動作モードの切り替えを実施する。
【0054】
I/F170は、コネクタ190を介して、撮像装置100内のシステム制御部130とレンズ装置150内のレンズ制御部160との間で電気通信を用いた通信を実施することで、レンズ装置150の情報や制御命令などを送受信する。
【0055】
次に、図2のフローチャートを参照して、本実施形態における、撮像装置100とレンズ装置150のフォーカス像倍率変動補正処理の動作について説明する。動画撮影開始処理は、撮像装置100による動画撮影が開始されたときの処理である。
【0056】
S201では、システム制御部130は、I/F120を介してレンズ装置150からレンズ光学情報を取得し、S202へと遷移する。レンズ光学情報とは、焦点距離や絞りや手振れ補正機能の有無などといった、レンズ能力を含む情報である。また、実焦点距離変動率情報(後述)を取得することもある。
【0057】
S202では、システム制御部130は、AF制御部131およびAE制御部132を制御することで、AF処理およびAE処理などの補正処理を実施して、S203へと遷移する。AF処理およびAE処理は、前述のレンズ光学情報および、必要に応じてレンズ装置150から取得するレンズ情報に基づいて、レンズ制御量を算出し、レンズ装置150に対して制御指示通信を実施する。本実施例におけるAF処理は撮像面位相差AFモードを想定しているが、その限りではない。たとえば、コントラストAFモードでもよい。
【0058】
S203では、システム制御部130は、画像データを取得するための画像撮影処理を実施して、S204へと遷移する。画像データは、撮像素子102および画像生成部103を介して取得され、画像処理部140およびメモリ制御部105を介してメモリ107に記録される。
【0059】
S204では、システム制御部130は、フォーカス像倍率変動補正モードか否かを判定する。フォーカス像倍率変動補正モードの場合はS205へ遷移し、そうでなければS207へと遷移する。
【0060】
S205では、システム制御部130は、I/F120を介してレンズ装置150から実焦点距離変動率情報(補正情報とも称する)を取得し、S206へと遷移する。このとき、実焦点距離変動率情報とは、従来技術においてフォーカスレンズ駆動速度を制限するため用いられる、フォーカスレンズの単位移動量に対する像の倍率変動値とは、異なる情報である。実焦点距離変動率情報とは、フォーカスレンズ151の駆動可能な範囲で取りうる最大の焦点距離(以下、最大実焦点距離とする)に対する、現在の撮像光学系における焦点距離(以下、実焦点距離とする)の変化率(実焦点距離変動率)を得るための情報である。
【0061】
このとき、実焦点距離変動率は、下記式(1)のように算出できる。
【0062】
【数1】
【0063】
本実施形態の1つとしては、レンズ装置150内で実焦点距離変動率を算出し、実焦点距離変動率を含む実焦点距離変動率情報を、レンズ装置150から撮像装置100に送信するが、この限りではない。
【0064】
例えば、別の実施形態としては、最大実焦点距離と実焦点距離を含む実焦点距離変動率情報を、レンズ装置150から撮像装置100に送信し、撮像装置100にて実焦点距離変動率を算出してもよい。
【0065】
また、さらに別の実施形態としては、S201にて、実焦点距離および最大実焦点距離、もしくは実焦点距離変動率を、光学系状態情報から演算可能な情報を、レンズ装置150から撮像装置100に送信する。そして、S204にて現在の光学状態情報をレンズ装置150から撮像装置100に送信する。このようにして、撮像装置100にて実焦点距離変動率を算出してもよい。このとき、光学状態情報は、フォーカスレンズおよびズームレンズおよび絞りの位置情報を含む。
【0066】
S206では、システム制御部130は、実焦点距離変動率情報に基づいて、フォーカスレンズ駆動による画角変動を補正するための画像サイズ補正倍率を算出する。その後、画像サイズ補正倍率に基づいて画像処理部140を制御してメモリ107に記録された画像データにリサイズ処理を施して、S207へと遷移する。
【0067】
S207では、メモリ107に記録された画像データを動画ファイルとして記録して、S208へと遷移する。
【0068】
S208では、システム制御部130は、動画撮影を継続するか判定する。継続する場合はS202へ遷移し、そうでなければ撮像撮影処理を終了する。
【0069】
以上の処理を実施することより、交換式カメラ-レンズシステムは、動画撮影時のフォーカス像倍率変動補正を実現できる。
【0070】
次に、図3のイメージ図を参照して、本実施形態における、交換式カメラ-レンズシステムのフォーカス像倍率変動補正処理の効果について説明する。
【0071】
実焦点距離301は、レンズ装置150が、任意のズーム位置および任意の絞り状態の場合に、フォーカスレンズが無限~至近までの駆動可能範囲内で取りうる実焦点距離の例を表した線である。このときの最大となる実焦点距離のことを、最大実焦点距離と呼ぶ。
【0072】
実焦点距離変動率302は、任意のフォーカスレンズ位置における、実焦点距離変動率の値を表した例である。
【0073】
補正前画像303は、任意のフォーカスレンズ位置で撮影される画像を表した例である。同距離の同被写体でも、フォーカスレンズ位置により実焦点距離が変化することによる画角変動の様子を表した例である。
【0074】
画像サイズ補正倍率304は、実焦点距離変動率に基づいて算出した、画像サイズ補正倍率を表した例である。本実施例では、実焦点距離変動率の逆数を画像サイズ補正倍率としているが、その限りではなく、例えば逆数に任意の係数を施すなどしてもよい。
【0075】
補正後画像305(補正画像とも称する)は、補正前画像に画像サイズ補正倍率によるリサイズ処理を施した後の画像を表した例である。このリサイズ処理を、フォーカス像倍率変動補正処理と呼ぶ。
【0076】
以上の効果例で示すように、フォーカス像倍率変動補正処理を実施することで、動画品質を改善可能な交換式カメラ-レンズシステムを実現できる。
【0077】
次に、図4のタイミングチャートを参照して、本実施形態における、交換式カメラ-レンズシステムのフォーカス像倍率変動補正処理のタイミングについて説明する。
【0078】
撮像同期信号401は、タイミング発生部104が出力する同期信号である。
【0079】
撮像蓄積期間402は、撮像素子102の蓄積期間であり、撮像同期信号401を受けて画面上部から順に読み出しを開始する。
【0080】
実焦点距離変動率情報取得レンズ通信403は、前述S205で実施される、レンズ装置150から実焦点距離変動率情報を取得するためのレンズ通信を実施するタイミングである。
【0081】
画像サイズ補正倍率算出処理404は、前述S206で実施される画像サイズ補正倍率を算出するタイミングである。
【0082】
フォーカス像倍率変動補正処理405は、前述S206で実施されるリサイズ処理のタイミングである。
【0083】
補正前画像406は、撮像素子102から出力された、フォーカス像倍率変動補正を施す前の画像である。
【0084】
補正後画像407は、前述の補正前画像406にフォーカス像倍率変動補正を施した後の画像である。
【0085】
例えば、撮像同期信号408を受けて、撮像素子102が撮像蓄積期間409の蓄積した画像を出力することで、補正前画像410が得られる。また、実焦点距離変動率情報取得レンズ通信411を、撮像蓄積期間409の中心(露光中心)のタイミングで実施することで、補正前画像410に対応した実焦点距離変動率情報を取得できる。その後、取得した実焦点距離変動率情報に基づいて、画像サイズ補正倍率算出処理412が実行されることで、補正前画像410に施すための画像サイズ補正倍率が算出される。その後、フォーカス像倍率変動補正処理413にて、リサイズ処理が実行されることにより、補正前画像410内の領域画像414が切り出されて、補正後画像407を出力する。
【0086】
以上の処理を繰り返すことで、撮像蓄積期間と実焦点距離変動率情報のタイミングが一致した、画像サイズ補正倍率を得ることができ、フォーカス像倍率変動補正処理を実現することできる。
【0087】
次に、図5の表を参照して、本実施形態における、実焦点距離変動率情報を得るために用いる実焦点距離変動率情報テーブルについて説明する。
【0088】
本実施形態におけるレンズ装置150は、前述の実焦点距離変動率情報テーブルを持つ。そして、撮像光学系状態および実焦点距離変動率情報テーブルに基づいて、実焦点距離変動率情報を算出して撮像装置100に送信することで、撮像装置100は画像サイズ補正倍率を算出できるとともにフォーカス像倍率変動補正処理を実現することできる。
【0089】
501列は、実焦点距離変動率情報を導き出す(特定する)ための要素を表し、レンズ装置150の撮像光学系の各部材の位置情報を要素として持つ。
【0090】
502列は、要素によって導き出される実焦点距離変動率情報を表す。
【0091】
503列は、要素のうち、ズームレンズ152の位置を表す。
【0092】
504列は、要素のうち、絞り153の位置を表す。
【0093】
505列は、要素のうち、フォーカスレンズ151の位置を表す。
【0094】
506列は、各要素によって導き出される実焦点距離変動率情報のうち、実焦点距離を表す。
【0095】
505列は、各要素によって導き出される実焦点距離変動率情報のうち、最大実焦点距離を表す。
【0096】
例えば、ズームレンズ152の位置がZm_0(506)かつ、絞り153の位置がAv_0(507)かつ、フォーカスレンズ151の位置がFcs_0(509)であるとする。この場合、実焦点距離はFL_000(509)となり、最大実焦点距離はMaxFL_00(510)となるため、前述の式(1)により、実焦点距離変動率を算出することができる。
【0097】
なお、要素としての撮像光学系部材の位置情報はこの限りではない。例えば、防振制御レンズ154の位置を持ってもよい。
【0098】
また、実焦点距離変動率を算出可能ならば、実焦点距離変動率情報はこの限りではない。例えば、実焦点距離変動率を持ってもよい。
【0099】
また、レンズ装置150から撮像装置100に対して、実焦点距離変動率情報テーブルを送信してもよい。その場合、レンズ装置150から撮像装置100に対して、撮像光学系部材の位置情報を送信し、撮像装置100にて実焦点距離変動率情報テーブルからのデータ検索をする。
【0100】
以上の実焦点距離変動率情報テーブルを持つことで、実焦点距離変動率情報を得ることができる。
【0101】
以上で説明した実施形態により、フォーカスレンズ駆動による実焦点距離変動にともなう画角変動量を算出可能な実焦点距離変動率情報をレンズ装置から撮像装置100へ送信できる。それにより、撮影画像に対してフォーカスレンズ駆動による画角変動が補正可能となる、フォーカス像倍率変動補正機能を搭載した交換式カメラ-レンズシステムの実現が可能になる。
【実施例2】
【0102】
本発明の実施例2は、実施例1と同様の構成であるが、撮影後の動画ファイルに対してフォーカス像倍率変動補正が可能な交換式カメラ-レンズシステムを目的とした実施例である。実施例1では、リサイズ処理された画像データをメモリに記録すること、を特徴としていた。しかしながら、フォーカス像倍率変動補正を施す前の動画ファイルを記録し、かつ、その後にフォーカス像倍率変動補正を実施したい、という課題がある。加えて、撮像装置以外の動画再生装置でも、フォーカス像倍率変動補正を実施したい、という課題がある。
【0103】
以上から、実施例2では、動画撮影時の実焦点距離変動率情報を動画ファイルに記録すること、を特徴した、実施例1記載の交換式カメラ-レンズシステムについて説明する。
【0104】
次に、図6のフローチャートを参照して、本実施形態における、撮像装置100とレンズ装置150の、動画撮影時の実焦点距離変動率情報を動画ファイルに記録する処理について説明する。動画撮影開始処理は、撮像装置100による動画撮影が開始されたときの処理である。
【0105】
S601は、S201と同じであるため、説明を省略する。
【0106】
S602は、S202と同じであるため、説明を省略する。
【0107】
S603は、S203と同じであるため、説明を省略する。
【0108】
S604は、S205と同じであるため、説明を省略する。
【0109】
S605では、システム制御部130は、メモリ107に記録された画像データに実焦点距離変動率情報を付加して、メモリ107に動画ファイルとして記録して、S606へと遷移する。
【0110】
S606は、S208と同じであるため、説明を省略する。
【0111】
以上の処理を実施することより、交換式カメラ-レンズシステムは、動画撮影時の実焦点距離変動率情報を、動画ファイルに記録することができる。
【0112】
次に、図7のフローチャートを参照して、本実施形態における、撮像装置100の、動画再生時のフォーカス像倍率変動補正処理の動作について説明する。動画再生処理は、撮像装置100による動画再生が開始されたときの処理である。
【0113】
S701では、システム制御部130は、記録部108に記録された動画ファイルから、次フレームに表示する画像データを取得してメモリ107に記録し、S702へと遷移する。
【0114】
S702では、システム制御部130は、フォーカス像倍率変動補正モードか否かを判定する。フォーカス像倍率変動補正モードの場合はS703へ遷移し、そうでなければS705へと遷移する。
【0115】
S703では、システム制御部130は、メモリ107に記録した画像データに付加された実焦点距離変動率情報を取得し、S705へと遷移する。
【0116】
S704では、システム制御部130は、実焦点距離変動率情報に基づいて、フォーカスレンズ駆動による画角変動を補正するための画像サイズ補正倍率を算出する。その後、画像サイズ補正倍率に基づいて画像処理部140を制御してメモリ107に記録された画像データにリサイズ処理を施して、S705へと遷移する。
【0117】
S705では、システム制御部130は、メモリ107に記録した画像データを、画像表示部108に表示して、S706へと遷移する。
【0118】
S706では、システム制御部130は、動画再生を継続するか判定する。継続する場合はS701へ遷移し、そうでなければ動画再生処理を終了する。
【0119】
以上の処理を実施することより、撮像装置100は、動画ファイルに記録された実焦点距離変動率情報に基づいて、動画再生時のフォーカス像倍率変動補正を実現できる。
【0120】
以上で説明した実施形態により、交換式カメラ-レンズシステムにおいて、フォーカスレンズ駆動による実焦点距離変動にともなう画角変動量を算出可能な実焦点距離変動率情報をレンズ装置から撮像装置へ送信できるとともに、動画ファイルに実焦点距離変動率情報を記録できる。それにより、フォーカス像倍率変動補正を施す前の動画ファイルを記録できるとともに、動画ファイル再生時にフォーカス像倍率変動補正を実施できる。加えて、撮像装置以外の動画再生装置でも、フォーカス像倍率変動補正を実施することもできる。
【0121】
<その他の実施例>
ここで、装着されたレンズ装置を判別して、画像の倍率の補正を行うか否かを切り替えるようにシステム制御部130が制御しても良い。例えば、レンズ装置に対して識別情報の要求を送信し、当該要求への応答として受信した前記レンズ装置の識別情報を受信する。当該識別情報が、焦点距離に変化に応じた画像の倍率の補正が必要であることを示す情報を含んでいる場合には、前記レンズ装置に対して前記焦点距離の変動に関する情報の要求を送信するようにしても良い。識別情報の一例としては、レンズIDが挙げられる。
【0122】
また、本発明は上述の実施例の1以上の機能を実現するプログラムをネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み取り実行する処理でも実現できる。更に、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現できる。
【0123】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【符号の説明】
【0124】
100 撮像装置
102 撮像素子
103 画像生成部
130 システム制御部
133 レンズ通信制御部
134 像倍率変動補正制御部
150 レンズ装置
151 フォーカスレンズ
160 レンズ制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7