(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】アクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置及びデータ電圧を補償する方法
(51)【国際特許分類】
G09G 3/3233 20160101AFI20220613BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20220613BHJP
G09G 3/3291 20160101ALI20220613BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G09G3/3233
G09G3/20 611H
G09G3/20 623C
G09G3/20 623R
G09G3/20 624B
G09G3/20 670J
G09G3/3291
H05B33/14 A
(21)【出願番号】P 2017535418
(86)(22)【出願日】2016-12-22
(86)【国際出願番号】 CN2016111468
(87)【国際公開番号】W WO2017215229
(87)【国際公開日】2017-12-21
【審査請求日】2019-08-08
(31)【優先権主張番号】201610440604.7
(32)【優先日】2016-06-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】510280589
【氏名又は名称】京東方科技集團股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BOE TECHNOLOGY GROUP CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】No.10 Jiuxianqiao Rd.,Chaoyang District,Beijing 100015,CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(72)【発明者】
【氏名】ジョンユアン・ウ
【審査官】武田 悟
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2014-0083144(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0145802(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0325174(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2015/0130785(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
H01L 51/50
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のサブ画素を含む画素アレイとパラメータ算出装置とを含むアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置であって、
各サブ画素は、サブ画素回路を含み、
前記サブ画素回路は、
駆動トランジスタ、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ及び発光素子を含み、前記第1スイッチングトランジスタは、第1スキャンラインに接続されるゲートと、データラインと前記駆動トランジスタのゲートとにそれぞれ接続される第1端子及び第2端子とを有し、前記第2スイッチングトランジスタは、第2スキャンラインに接続されたゲートと、センスラインと前記駆動トランジスタの第2端子とにそれぞれ接続される第1端子及び第2端子とを有し、前記駆動トランジスタは、第1電源端子に接続される第1端子を有し、前記発光素子は、前記駆動トランジスタの前記第2端子と第2電源端子とにそれぞれ接続されたアノード及びカソードを有し、前記センスラインは、寄生容量を含み、
前記パラメータ算出装置は、
パルス電圧源に結合され、前記パルス電圧源により供給されるパルス電圧に基づき前記センスラインの前記寄生容量をチャージし、前記寄生容量及び前記パルス電圧に関連するキャパシタンス測定電圧を出力するように構成されるキャパシタンス測定回路と、
前記データラインに印加された基準データ電圧に応じて前記センスラインにおけるチャージ電圧を検出するように構成されるチャージ検出回路と、
前記キャパシタンス測定電圧、前記パルス電圧、前記基準データ電圧及び前記チャージ電圧に基づき、前記駆動トランジスタの電気的パラメータを算出するように構成されるパラメータ算出器とを含
み、
前記アクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置は、
前記画素アレイ内の各センスラインを選択するように構成される第1マルチプレクサと、
前記画素アレイ内の各センスラインを選択し、前記データラインに印加される前記基準データ電圧に応じて、前記選択された前記センスライン上の前記チャージ電圧を出力するように構成される第2マルチプレクサと、をさらに含み、
前記キャパシタンス測定回路は、前記第1マルチプレクサの出力端子に接続され、前記パルス電圧源により発生した前記パルス電圧に基づき前記第1マルチプレクサにより選択された前記センスラインの前記寄生容量をチャージするように構成され、前記パルス電圧と前記第1マルチプレクサにより選択された前記センスラインの前記寄生容量とに関連するキャパシタンス測定電圧を出力するように構成され、
前記パラメータ算出器は、前記第2マルチプレクサの出力ラインに結合され、前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスラインに対応する前記キャパシタンス測定電圧と前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスライン上の前記チャージ電圧とに基づき、前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスラインに対応する前記サブ画素回路内の前記駆動トランジスタの電気的パラメータを算出するように構成され、
前記アクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置は、
前記キャパシタンス測定回路から受け取った前記キャパシタンス測定電圧と前記第2マルチプレクサから受け取った前記チャージ電圧とのいずれかひとつを選択して出力するように構成される第3マルチプレクサをさらに含む、アクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項2】
前記チャージ検出回路は、前記データラインに印加された第1基準データ電圧に応じて前記センスラインにおける第1チャージ電圧を検出し、前記データラインに印加された第2基準データ電圧に応じて前記センスラインにおける第2チャージ電圧を検出するように構成され、
前記パラメータ算出器は、前記キャパシタンス測定電圧、前記パルス電圧、前記第1基準データ電圧、前記第1チャージ電圧、前記第2基準データ電圧及び前記第2チャージ電圧に基づき、前記駆動トランジスタの電気的パラメータを算出することを特徴とする、請求項1に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項3】
前記電気的パラメータは、前記サブ画素回路内の前記駆動トランジスタに関連する閾値電圧及びキャリア移動度を含む、請求項1に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項4】
前記キャパシタンス測定回路は、
接地された第1端子及び前記パルス電圧を出力する第2端子を有する前記パルス電圧源と、
前記パルス電圧源の前記第2端子に接続される非反転入力端子、前記センスラインに接続される反転入力端子、及び前記キャパシタンス測定電圧を出力する出力端子を有する電圧コンパレータと、
前記電圧コンパレータの前記出力端子に接続される第1端子、及び前記電圧コンパレータの前記反転入力端子に接続される第2端子を有するフィードバック回路と、を含む、請求項2に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項5】
前記フィードバック回路は、前記電圧コンパレータの反転入力端子に接続される第1共通端子及び前記電圧コンパレータの出力端子に接続される第2共通端子を有する第1抵抗と第1キャパシタとを含み、
前記パルス電圧のパルス周波数が所定の閾値周波数を超えると、前記キャパシタンス測定電圧と前記パルス電圧の差異は、前記センスラインの前記寄生容量に比例し、前記パルス電圧に比例し、前記第1キャパシタのキャパシタンスに反比例する、請求項4に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項6】
前記画素アレイは、画素のM個の行及びN個の列を含み、各画素は、少なくともひとつのサブ画素を含み、サブ画素の各行は第1スキャンライン及び第2スキャンラインを共有し、サブ画素の各列はデータライン及びセンスラインを共有する、請求項
1に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項7】
前記第3マルチプレクサの出力端子に接続され、前記キャパシタンス測定電圧又は前記チャージ電圧のいずれかに関連するアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル・コンバータと、
前記サブ画素回路の前記データラインに印加される既定のデータ電圧及び前記パラメータ算出器により取得された前記サブ画素回路の前記駆動トランジスタの電気的パラメータに基づき、前記画素アレイ内の各サブ画素回路の補償データ電圧を確定するように構成されるデータ電圧コンペンセータと、
前記補償データ電圧を発生させ、前記サブ画素回路に接続された前記データラインに印加するように構成されるデータ電圧ジェネレータとをさらに含む、請求項
1に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項8】
前記パラメータ算出器及び前記データ電圧コンペンセータの各々は、デジタル形式の前記電気的パラメータ及び前記補償データ電圧を処理するデジタル信号プロセッサを含む、請求項
7に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項9】
前記データ電圧ジェネレータは、前記データ電圧コンペンセータにより確定されたデジタル形式の前記補償データ電圧をアナログ信号に変換し、アナログ形式の前記補償データ電圧を前記サブ画素回路に接続される前記データラインに印加するように構成されるデジタル・アナログ・コンバータを含む、請求項
7に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項10】
前記第2マルチプレクサは、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行から前記第2マルチプレクサにより順番に選択されたセンスラインに対応する第1チャージ電圧を出力し、サブ画素回路の前記行に接続される各データラインに第1基準データ電圧が印加されるように構成され、
前記第2マルチプレクサは、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行から前記第2マルチプレクサにより順番に選択されたセンスライン対応する第2チャージ電圧を出力し、サブ画素回路の前記行に接続される各データラインに第2基準データ電圧が印加されるようにさらに構成され、
前記パラメータ算出器は、前記キャパシタンス測定回路により測定された前記サブ画素回路に接続された前記センスラインにおける前記キャパシタンス測定電圧、前記サブ画素回路に接続された対応するデータラインに印加された前記第1基準データ電圧、前記サブ画素回路に接続された対応するセンスラインにおける前記第1チャージ電圧、対応するデータラインに印加された前記第2基準データ電圧、及び対応するセンスラインにおける前記第2チャージ電圧に基づき前記画素アレイにおける各サブ画素回路の前記駆動トランジスタの電気的パラメータを確定するように構成され、前記第1基準データ電圧及び前記第2基準データ電圧は異なる時間周期において対応するデータラインに印加される、請求項
9に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項11】
前記キャパシタンス測定回路は、
接地する第1端子及び前記パルス電圧を出力する第2端子を有する前記パルス電圧源と、
前記パルス電圧源の前記第2端子に接続される非反転入力端子、前記センスラインに接続される反転入力端子、及び前記キャパシタンス測定電圧を出力する出力端子を有する電圧コンパレータと、
前記電圧コンパレータの前記出力端子に接続される第1端子、及び前記電圧コンパレータの前記反転入力端子に接続される第2端子を有するフィードバック回路とを含む、請求項
1に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項12】
前記フィードバック回路は、前記電圧コンパレータの前記反転入力端子に接続される第1共通端子及び前記電圧コンパレータの前記出力端子に接続される第2共通端子を有する第1抵抗と第1キャパシタとを含み、
前記パラメータ算出器は、前記キャパシタンス測定回路により前記センスラインについて測定された前記キャパシタンス測定電圧及び関連するパルス電圧、前記第1キャパシタのキャパシタンス、前記サブ画素回路に接続された前記データラインに印加された前記基準データ電圧、並びに前記センスラインをチャージする前記チャージ電圧に基づき、前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスラインに対応する前記サブ画素回路の前記駆動トランジスタの電気的パラメータを確定するように構成される、請求項
11に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置。
【請求項13】
前記キャパシタンス測定回路から受け取った前記キャパシタンス測定電圧を前記第3マルチプレクサにより選択して出力し、前記キャパシタンス測定電圧は、前記第1マルチプレクサにより選択された前記センスラインの前記寄生容量に関連し、前記第1マルチプレクサは、前記選択されたサブ画素回路の行に関連する各センスラインを順次選択する工程と、
第1周期において第1基準データ電圧をデジタル電圧ジェネレータから各データラインに次々と順次出力して、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行の前記第2マルチプレクサにより順次選択された対応するセンスラインにおける現時点のチャージ電圧から読み取った各サブ画素回路の第1チャージ電圧を取得する工程と、
第2周期において第2基準データ電圧を前記デジタル電圧ジェネレータから各データラインに次々と順次出力して、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行の前記第2マルチプレクサにより順次選択された対応するセンスラインにおける現時点のチャージ電圧から読み取った各サブ画素回路の第2チャージ電圧を取得する工程と、
対応するセンスラインに関して測定された前記キャパシタンス測定電圧、第1時間周期及び第2時間周期においてそれぞれ取得された対応するセンスラインに関連する各サブ画素回路の前記第1チャージ電圧及び前記第2チャージ電圧に基づき、前記画素アレイから選択された各サブ画素回路の行の各々における駆動トランジスタの電気的パラメータを前記パラメータ算出器により算出する工程と、
前記サブ画素回路の対応するデータラインに印加された既定のデータ電圧及び前記サブ画素回路内の前記駆動トランジスタの電気的パラメータに基づき、前記サブ画素回路の補償データ電圧を前記データ電圧コンペンセータにより確定し、前記補償データ電圧を発生させて前記サブ画素回路に接続された前記データラインに印加する工程とを含む、請求項
7に記載のアクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置におけるサブ画素回路の選択された行の各データラインに印加されるデータ電圧を補償する方法。
【請求項14】
第1基準データ電圧を各データラインに出力し、対応するセンスラインの各々から第1チャージ電圧を取得する工程は、
対応するデータラインの各々に前記第1基準データ電圧を順次出力しながら、前記画素アレイ内の前記センスラインを基準電圧端子に接続する工程と、
前記サブ画素回路によりチャージされる前記センスラインを前記基準電圧端子から切断する工程と、
前記第2マルチプレクサにより各センスラインを順次選択し、その時点の前記センスラインにおけるチャージ電圧を出力として読み取る工程と、
前記第3マルチプレクサにより前記出力を選択し、前記第1チャージ電圧として前記出力を出力する工程をさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項15】
第2基準データ電圧を各データラインに出力し、対応するセンスラインの各々から第2チャージ電圧を取得する工程は、
対応するデータラインの各々に前記第2基準データ電圧を順次出力しながら、前記画素アレイ内の前記センスラインを基準電圧端子に接続する工程と、
前記サブ画素回路によりチャージされる前記センスラインを前記基準電圧端子から切断する工程と、
前記第2マルチプレクサにより各センスラインを順次選択し、その時点の前記センスラインにおけるチャージ電圧を出力として読み取る工程と、
前記第3マルチプレクサにより前記出力を選択し、前記第2チャージ電圧として前記出力を出力する工程とをさらに含む、請求項
13に記載の方法。
【請求項16】
前記サブ画素回路の補償データ電圧を確定する工程は、前記サブ画素回路の前記データラインに印加された前記既定のデータ電圧及び前記サブ画素回路内の前記駆動トランジスタの対応する電気的パラメータに関連するデジタル信号を処理してデジタル電圧信号を算出する工程と、前記データ電圧ジェネレータにより前記デジタル電圧信号をアナログ電圧信号に変換する工程と、前記アナログ電圧信号を補償データ電圧として前記サブ画素回路の前記データラインに出力する工程とを含む、請求項
13に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は2016年6月17日に提出した中国特許出願No.201610440604.7の優先権を主張し、その内容が全て本出願に援用される。
【0002】
本発明は有機発光ディスプレイ技術に関し、特に各サブ画素回路に関連するキャリブレーション装置、ソース電極駆動回路、及び有機発光ディスプレイ装置において用いられるデータ電圧の補償方法に関する。
【背景技術】
【0003】
有機発光ダイオード(OLED)は、高性能表示装置に用いられる電流ソースベースの発光素子として広く利用されている。具体的には、アクティブマトリクス式OLEDディスプレイにおいて、ディスプレイを1行ずつスキャンすることで画素アレイの各行が順次ターンオンされる。ターンオンされた画素の各行にデータ電圧が印加され、これに基づきOLED電流が発生し、画素の行におけるダイオードが発光してデータ電圧により制御された画像が表示される。
【発明の概要】
【0004】
ひとつの方面において、本発明は、データラインに結合されるゲート及びセンスラインに結合されるドレインを有して発光素子を駆動する駆動トランジスタを含むサブ画素回路に関連するキャリブレーション装置であって、前記キャリブレーション装置は、パルス電圧源に結合され、前記パルス電圧源により供給されるパルス電圧に基づき寄生容量をチャージし、前記寄生容量及び前記パルス電圧に関連するキャパシタンス測定電圧を出力するように構成されるキャパシタンス測定回路と、前記データラインに印加された基準データ電圧に応じて前記センスラインにおけるチャージ電圧を検出するように構成されるチャージ検出回路と、前記キャパシタンス測定電圧、前記パルス電圧、前記基準データ電圧及び前記チャージ電圧に基づき、前記駆動トランジスタの電気的パラメータを算出するように構成されるパラメータキャリブレータとを含む、サブ画素回路に関連するキャリブレーション装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記チャージ検出回路は、導線を含み、前記データラインに印加された第1基準データ電圧に応じて前記センスラインにおける第1チャージ電圧を検出し、前記データラインに印加された第2基準データ電圧に応じて前記センスラインにおける第2チャージ電圧を検出するように構成され、前記パラメータキャリブレータは、前記キャパシタンス測定電圧、前記パルス電圧、前記第1基準データ電圧、前記第1チャージ電圧、前記第2基準データ電圧及び前記第2チャージ電圧に基づき、前記駆動トランジスタの電気的パラメータを算出することにしてもよい。
【0006】
電気的パラメータは、閾値電圧及びキャリア移動度を含んでもよい。
【0007】
前記キャパシタンス測定回路は、第2電源端末に接続される第1端末及び前記パルス電圧を出力する第2端末を有する前記パルス電圧源と、前記パルス電圧源の前記第2端末に接続される非反転入力端末、前記センスラインに接続される反転入力端末、及び前記キャパシタンス測定電圧を出力する出力端末を有する電圧コンパレータと、前記電圧コンパレータの前記出力端末に接続される第1端末、及び前記電圧コンパレータの前記反転入力端末に接続される第2端末を有するフィードバック回路と、を含んでもよい。
【0008】
前記フィードバック回路は、前記電圧コンパレータの反転入力端末に接続される第1共通端末及び前記電圧コンパレータの出力端末に接続される第2共通端末を有する第1レジスタと第1キャパシタとを含み、前記パルス電圧のパルス周波数が所定の閾値周波数を超えると、前記キャパシタンス測定電圧と前記パルス電圧の差異は、前記センスラインの前記寄生容量に比例し、前記パルス電圧に比例し、前記第1キャパシタのキャパシタンスに反比例してもよい。
【0009】
別の方面において、本発明は、画素アレイ内の対応するサブ画素回路各々のデータ電圧を発生させるように構成され、前記画素アレイは、複数のサブ画素、複数の第1スキャンライン、複数の第2スキャンライン、複数のデータライン、及び複数のセンスラインを含み、各サブ画素は、駆動トランジスタ、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ及び発光素子を含むサブ画素回路を備え、前記センスラインは、寄生容量を含むソース電極駆動回路であって、前記ソース電極駆動回路は、前記画素アレイ内の各センスラインを選択するように構成される第1マルチプレクサと、前記第1マルチプレクサの出力端末に接続され、パルス電圧源を含み、前記パルス電圧源により発生したパルス電圧に基づき前記第1マルチプレクサにより選択された前記センスラインをチャージするように構成され、前記パルス電圧及び前記第1マルチプレクサにより選択された前記センスラインの前記寄生容量に関連するキャパシタンス測定電圧を出力するように構成される、キャパシタンス測定回路と、前記画素アレイ内の各センスラインを選択するように構成される複数の入力ライン、及びチャージ電圧を出力して選択された前記センスラインをチャージするように構成される出力ラインを含む第2マルチプレクサと、前記第2マルチプレクサの前記出力ラインに結合され、前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスラインに対応する前記キャパシタンス測定電圧に基づき、及び前記データラインに印加される基準データ電圧と前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスラインをチャージする前記チャージ電圧に基づき、前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスラインに対応するサブ画素回路内の前記駆動トランジスタの電気的パラメータを算出するように構成されるパラメータキャリブレータとを含む、ソース電極駆動回路を提供する。
【0010】
前記画素アレイは、画素のM個の行及びN個の列を含み、各画素は、少なくともひとつのサブ画素を含み、サブ画素の各行は第1スキャンライン及び第2スキャンラインを共有し、サブ画素の各列はデータライン及びセンスラインを共有してもよい。
【0011】
前記ソース電極駆動回路は、前記キャパシタンス測定回路から受け取り、キャパシタンス測定モードで作動するように前記ソース電極駆動回路を制御する前記キャパシタンス測定電圧、又は前記第2マルチプレクサから受け取り、充電検出モードで作動するように前記ソース電極駆動回路を制御する前記チャージ電圧のいずれかひとつを選択するように構成される第3マルチプレクサをさらに含んでもよい。
【0012】
前記ソース電極駆動回路は、前記第3マルチプレクサの出力端末に接続され、前記キャパシタンス測定電圧又は前記チャージ電圧のいずれかに関連するアナログ信号をデジタル信号に変換するアナログ・デジタル・コンバータと、前記サブ画素回路の前記データラインに印加される既定のデータ電圧及び前記パラメータキャリブレータにより取得された前記サブ画素回路の前記駆動トランジスタの電気的パラメータに基づき、前記画素アレイ内の各サブ画素回路の補償データ電圧を確定するように構成されるデータ電圧コンペンセータと、前記補償データ電圧を発生させ、前記サブ画素回路に接続された前記データラインに印加するように構成されるデータ電圧ジェネレータとをさらに含んでもよい。
【0013】
前記パラメータキャリブレータ及び前記データ電圧コンペンセータの各々は、デジタル形式の前記電気的パラメータ及び前記補償データ電圧を処理するデジタル信号プロセッサを含んでもよい。
【0014】
前記データ電圧ジェネレータは、前記データ電圧コンペンセータにより確定されたデジタル形式の前記補償データ電圧をアナログ信号に変換し、アナログ形式の前記補償データ電圧を前記サブ画素回路に接続される前記データラインに印加するように構成されるデジタル・アナログ・コンバータを含んでもよい。
【0015】
前記第2マルチプレクサは、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行から前記第2マルチプレクサにより順番に選択されたセンスラインに対応する第1チャージ電圧を出力し、サブ画素回路の前記行に接続される各データラインに第1基準データ電圧が印加されるように構成され、前記第2マルチプレクサは、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行から前記第2マルチプレクサにより順番に選択されたセンスライン対応する第2チャージ電圧を出力し、サブ画素回路の前記行に接続される各データラインに第2基準データ電圧が印加されるようにさらに構成され、前記パラメータキャリブレータは、前記キャパシタンス測定回路により測定された前記サブ画素回路に接続された前記センスラインにおける前記キャパシタンス測定電圧、前記サブ画素回路に接続された対応するデータラインに印加された前記第1基準データ電圧、前記サブ画素回路に接続された対応するセンスラインにおける前記第1チャージ電圧、対応するデータラインに印加された前記第2基準データ電圧、及び対応するセンスラインにおける前記第2チャージ電圧に基づき前記画素アレイにおける各サブ画素回路の前記駆動トランジスタの電気的パラメータを確定するように構成され、前記第1基準データ電圧及び前記第2基準データ電圧は異なる時間周期において対応するデータラインに印加されてもよい。
【0016】
前記電気的パラメータは、前記サブ画素回路内の駆動トランジスタに関連する閾値電圧及びキャリア移動度を含んでもよい。
【0017】
前記キャパシタンス測定回路は、接地する第1端末及び前記パルス電圧を出力する第2端末を有する前記パルス電圧源と、前記パルス電圧源の前記第2端末に接続される非反転入力端末、前記センスラインに接続される反転入力端末、及び前記キャパシタンス測定電圧を出力する出力端末を有する電圧コンパレータと、前記電圧コンパレータの前記出力端末に接続される第1端末、及び前記電圧コンパレータの前記反転入力端末に接続される第2端末を有するフィードバック回路とを含んでもよい。
【0018】
前記フィードバック回路は、前記電圧コンパレータの前記反転入力端末に接続される第1共通端末及び前記電圧コンパレータの前記出力端末に接続される第2共通端末を有する第1レジスタと第1キャパシタとを含み、前記パラメータキャリブレータは、前記キャパシタンス測定回路により前記センスラインについて測定された前記キャパシタンス測定電圧及び関連するパルス電圧、前記第1キャパシタの前記キャパシタンス、前記サブ画素回路に接続された前記データラインに印加された前記基準データ電圧、並びに前記センスラインをチャージする前記チャージ電圧に基づき、前記第2マルチプレクサにより選択された前記センスラインに対応する前記サブ画素回路の前記駆動トランジスタの電気的パラメータを確定するように構成されてもよい。
【0019】
別の方面において、本発明は、前記キャパシタンス測定回路から受け取った前記キャパシタンス測定電圧を前記第3マルチプレクサにより選択して前記キャパシタンス測定モードで作動するように前記ソース電極駆動回路を制御し、前記キャパシタンス測定電圧は、前記第1マルチプレクサにより選択された前記センスラインの前記寄生容量に関連し、前記第1マルチプレクサは、前記選択されたサブ画素回路の行に関連する各センスラインを順次選択する工程と、第1周期において第1基準データ電圧を前記デジタル電圧ジェネレータから各データラインに次々と順次出力して、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行の前記第2マルチプレクサにより順次選択された対応するセンスラインにおける充電中の電圧から読み取った各サブ画素回路の第1チャージ電圧を取得する工程と、第2周期において第2基準データ電圧を前記デジタル電圧ジェネレータから各データラインに次々と順次出力して、前記画素アレイから選択されたサブ画素回路の行の前記第2マルチプレクサにより順次選択された対応するセンスラインにおける充電中の電圧から読み取った各サブ画素回路の第2チャージ電圧を取得する工程と、対応するセンスラインに関して測定された前記キャパシタンス測定電圧、前記第1時間周期及び前記第2時間周期においてそれぞれ取得された対応するセンスラインに関連する各サブ画素回路の前記第1チャージ電圧及び前記第2チャージ電圧に基づき、前記画素アレイから選択された各サブ画素回路の行の各々における駆動トランジスタの電気的パラメータを前記パラメータキャリブレータにより算出する工程と、前記サブ画素回路の対応するデータラインに印加された既定のデータ電圧及び前記サブ画素回路内の前記駆動トランジスタの電気的パラメータに基づき、前記サブ画素回路の補償データ電圧を前記データ電圧コンペンセータにより確定し、前記補償データ電圧を発生させて前記サブ画素回路に接続された前記データラインに印加する工程とを含む、前記ソース電極駆動回路により駆動されるサブ画素回路の選択された行の各データラインに印加されるデータ電圧を補償する方法を提供する。
【0020】
第1基準データ電圧を各データラインに出力し、対応するセンスラインの各々から第1チャージ電圧を取得する工程は、対応するデータラインの各々に前記第1基準データ電圧を順次出力しながら、前記画素アレイ内の前記センスラインを基準電圧端末に接続する工程と、前記サブ画素回路によりチャージされる前記センスラインを前記基準電圧端末から切断する工程と、前記第2マルチプレクサにより各センスラインを順次選択し、その時点の前記センスラインにおける充電電圧を出力として読み取る工程と、前記充電検出モードにおいて前記第3マルチプレクサにより前記出力を選択し、前記第1チャージ電圧として前記出力を出力する工程をさらに含んでもよい。
【0021】
第2基準データ電圧を各データラインに出力し、対応するセンスラインの各々から第2チャージ電圧を取得する工程は、対応するデータラインの各々に前記第2基準データ電圧を順次出力しながら、前記画素アレイ内の前記センスラインを基準電圧端末に接続する工程と、前記サブ画素回路によりチャージされる前記センスラインを前記基準電圧端末から切断する工程と、前記第2マルチプレクサにより各センスラインを順次選択し、その時点の前記センスラインにおける充電電圧を出力として読み取る工程と、前記充電検出モードにおいて前記第3マルチプレクサにより前記出力を選択し、前記第2チャージ電圧として前記出力を出力する工程とをさらに含んでもよい。
【0022】
前記サブ画素回路の補償データ電圧を確定する工程は、前記サブ画素回路の前記データラインに印加された前記既定のデータ電圧及び前記サブ画素回路内の前記駆動トランジスタの対応する電気的パラメータに関連するデジタル信号を処理してデジタル電圧信号を算出する工程と、前記データ電圧ジェネレータにより前記デジタル電圧信号をアナログ電圧信号に変換する工程と、前記アナログ電圧信号を補償データ電圧として前記サブ画素回路の前記データラインに出力する工程とを含んでもよい。
【0023】
前記駆動トランジスタの電気的パラメータは、前記サブ画素回路内の前記駆動トランジスタに関連する閾値電圧及びキャリア移動度を含んでもよい。
【0024】
以下の図面は開示された様々な実施形態を例示したものに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の一実施形態によるキャリブレーション装置に関連するサブ画素回路を示す。
【
図2】本発明の一実施形態による
図1のサブ画素回路に関連する概略タイミング波形図である。
【
図3】本発明の一実施形態によるサブ画素回路におけるキャリブレーション装置を示すブロック図である。
【
図4A】本発明の一実施形態によるキャリブレーション装置内のキャパシタンス測定回路を示すブロック図である。
【
図4B】本発明の一実施形態によるキャパシタンス測定回路の電気回路図である。
【
図5】本発明の一実施形態によるAMOLEDディスプレイパネルを示す模式図である。
【
図6A】本発明の一実施形態によるソース電極駆動回路を示す模式図である。
【
図6B】本発明の別の実施形態による別のソース電極駆動回路を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態によるデータ電圧ジェネレータを示す模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態によるサンプルホールド回路内のサンプルホールドチャネルの電気回路図である。
【
図9】本発明の一実施形態によるソース電極駆動回路からのデータ電圧を補償する方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下では、実施形態を参照しつつ、本開示について更に具体的に説明する。なお、いくつかの実施形態に関する以下の説明は例示及び説明としてのものに過ぎず、全てを網羅している訳ではなく、また、開示されるそのままの形態に本発明を限定するものでもない。
【0027】
アクティブマトリクス式OLEDディスプレイ装置では、通常、低温ポリシリコン(LTPS)薄膜トランジスタ(TFT)又は酸化物TFTにより、OLED電流を供給する各サブ画素回路を構築する。代表的なアモルファスシリコンTFTと比べ、LTPS TFT又は酸化物TFTはその特性としてキャリア移動度がより高く、安定性に優れていることから、AMOLEDディスプレイに一層適している。複数のLTPS TFTを大きなガラス基板上に製造する結晶過程における制限のために、閾値電圧やキャリア移動度等のいくつの電気的パラメータはTFT間で不均一になってしまう。同一のデータ電圧が印加されても、キャリア移動度又は閾値電圧の不均一性のためにOLEDの電流及び輝度に人の目で知覚できるほどの差異が生じる。或いは、酸化物TFTについては、広い面積において製造工程がより均一であっても、データ電圧が相当長時間印加された後、又は高温環境において、その閾値電圧がアモルファスシリコンTFTの場合のようにドリフトする。ディスプレイの画像が異なれば、AMOLEDディスプレイパネルの各部分における各酸化T物FTの閾値電圧のドリフト値も異なる。従って、同一のデータ電圧を印加しても、各酸化TFTにおける閾値電圧のドリフトが異なるために、各サブ画素におけるOLED電流が異なり、結果として、AMOLEDディスプレイの各部分において輝度が不均一になってしまう。
【0028】
加えて、大型AMOLEDディスプレイに応用する際、ソース電極駆動回路のデータ電圧出力ポートに対する各サブ画素回路の距離が異なるため、またサブ画素回路をソース電極駆動回路に接続するデータラインのレジスタのため、各サブ画素回路における実際のデータ電圧もソース電極駆動回路が供給する原始データ電圧と異なる。同様に、各サブ画素回路に印加される電源電圧(ARVDD)も電源の出力における原始電源電圧と異なる。ソース電極駆動回路から同一のデータ電圧が出力されれば、各サブ画素回路における各データ電圧及び電源電圧も、大型ディスプレイパネルの各部分においてOLEDの電流及び輝度を異なせる。このため、AMOLEDディスプレイ装置における様々な不均一性に起因するOLEDサブ画素回路電流の不均一性を補償するキャリブレーション装置を含むソース電極駆動回路が望まれている。
【0029】
そこで、本発明は特に、従来技術における制限及び欠点に起因する一つ以上の課題を実質的に解消する、各サブ画素回路に関連するキャリブレーション装置、ソース電極駆動回路、及び有機発光ディスプレイ装置に使用されるデータ電圧の補償方法を提供する。ひとつの方面において、本開示は、AMOLEDディスプレイパネルにおけるサブ画素回路に関連するキャリブレーション装置を提供する。ここで、サブ画素回路は、駆動トランジスタ、第1スイッチングトランジスタ、第2スイッチングトランジスタ及び発光素子を含み、第1スイッチングトランジスタは、第1スキャンラインに接続されるゲート、データラインと駆動トランジスタのゲートとにそれぞれ接続される第1端末及び第2端末を有し、第2スイッチングトランジスタは、第2スキャンラインに接続されるゲート、センスラインと駆動トランジスタの第2端末とにそれぞれ接続される第1端末及び第2端末を有し、駆動トランジスタは第1電源端末に接続される第1端末をさらに有し、発光素子は駆動トランジスタの第2端末及び第2電源端末にそれぞれ接続されるアノード及びカソードを有し、センスラインは寄生容量を含む。いくつかの実施形態において、キャリブレーション装置は、パルス電圧源に結合され、パルス電圧源が供給するパルス電圧を基に寄生容量をチャージし、寄生容量に関連するキャパシタンス測定電圧とパルス電圧を出力するように構成されるキャパシタンス測定回路と、データラインに印加された基準データ電圧に応じてセンスラインにおけるチャージ電圧を検出するように構成されるチャージ検出回路と、キャパシタンス測定電圧、パルス電圧、基準データ電圧及びチャージ電圧に基づき駆動トランジスタの電気的パラメータを算出するように構成されるパラメータキャリブレータとを含む。
【0030】
図1は、本発明の一実施形態によるキャリブレーション装置に関連するサブ画素回路を示す。不均一性の問題を解決するため補償データ電圧を供給するキャリブレーション装置は、AMOLEDディスプレイの
図1におけるサブ画素回路に関連するように構成される。
図1に示すように、サブ画素回路は、駆動トランジスタDT、第1スイッチングトランジスタT1、第2スイッチングトランジスタT2及び発光素子ELを含むN型TFTトランジスタを用いて構築される。
【0031】
図1を参照すると、第1スイッチングトランジスタT1はデータラインDATAに接続される第1端末を有する。第2スイッチングトランジスタは駆動トランジスタDTのゲートに接続される第2端末を有する。第1スイッチングトランジスタT1のゲートは第1スキャンラインG1に接続される。駆動トランジスタDTは第1電源端末ELVDDに接続される第1端末を有する。ELVDDは高圧端末であってもよい。駆動トランジスタDTは、第2電源端末ELVSSに接続されるカソードを有する、発光素子ELのアノードに接続される第2端末を有する。ELVSSは低圧端末であってもよい。ELVSSは接地していてもよい。第2スイッチングトランジスタT2は、駆動トランジスタDTの第2端末に接続される第1端末と、センスラインSENSEに接続される第2端末とを有する。第2スイッチングトランジスタT2は第2スキャンラインG2に接続されるゲートをさらに有する。
図1を参照すると、センスラインSENSEはセンスラインキャパシタを形成する寄生容量C
SENSEを含む。
【0032】
図2は、本発明の一実施形態による
図1のサブ画素回路に関連する概略タイミング波形図である。タイミング波形は、サブ画素回路がAMOLEDディスプレイのひとつのユニットとしてどのように作動するかを示している。
図2を参照すると、第1時間周期t1(リセット時間周期)において、第1スキャンラインG1に高電圧レベルが供給され、第2スキャンラインG2にも高電圧レベルが供給される。データラインDATAはデータ電圧V
gにより与えられる。センスラインSENSEはV
refが供給される基準電圧端末に接続される。高電圧レベルにより、導通状態にある第1スイッチングトランジスタT1は駆動トランジスタDTのゲートにデータ電圧V
gを印加することができ、また、導通状態にある第2スイッチングトランジスタT2は駆動トランジスタDTの第2端末を基準電圧端末に接続させることができる。この第1時間周期t1において、駆動トランジスタDTのゲート・ソース電圧はV
g-V
refである。基準電圧端末はELVSSと接続するか、或いは接地するか、又は任意の他の低圧端末であってもよい。
【0033】
図2を参照すると、第2時間周期t2(検出時間周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2は高電圧レベルにある。センスラインSENSEは基準電圧端末から切断されている。G1における電圧レベルが低いため第1スイッチングトランジスタT1は遮断状態にあり、G2における電圧レベルが高いため第2スイッチングトランジスタT2は導通状態を維持する。t2の開始時において、駆動トランジスタのゲート・ソース電圧はV
g-V
refである。駆動トランジスタDTを通過する駆動電流i
DTは以下のように表される。
【数1】
ここで、V
thは駆動トランジスタDTの閾値電圧であり、kは駆動トランジスタのキャリア移動度に比例する係数である。第2時間周期t2において、センスラインキャパシタは駆動電流i
DTによってチャージされ、これによりセンスラインにおける電圧(即ち、駆動トランジスタDTの第2端末における電圧)はV
ref+i
DT×Dt/C
SENSEとなる。センスラインにおける電圧の変動i
DT×Dt/C
SENSEがデータ電圧V
gより相当小さくて、駆動電流i
DTの変動が特定の範囲、例えば、0~20%に限定されると仮定すると、t2の終わりにおいて、センスラインにおける電圧はおよそ以下のように表される。
【数2】
ここで、t2は第2時間周期のタイム・スパンを示す。
【0034】
寄生容量CSENSEが既知であると仮定すると、上記公式(2)を利用して駆動トランジスタDTの閾値電圧Vth及びキャリア移動度等の電気的パラメータのドリフトを確定できる。しかしながら、AMOLEDディスプレイの処理における不均一性のために、各センスラインに関連する寄生容量は異なり、個別に確定する必要がある。
【0035】
一実施形態において、センスラインの寄生容量は、センスラインに接続される対応するサブ画素回路内における駆動トランジスタの電気的パラメータのドリフトの前に初めて測定される。一方、容量値を取得するためにセンスラインにおける寄生容量の測定を直接行う必要はなく、替わりに、容量値を反映する代替電気的パラメータを測定してもよい。例えば、センスラインキャパシタにおける電圧レベルを測定してもよい。
【0036】
図3は、本発明の一実施形態によるサブ画素回路におけるキャリブレーション装置のブロック図である。キャリブレーション装置は、上記サブ画素回路と関連付けられ、サブ画素回路内における駆動トランジスタの電気的パラメータのeドリフトを少なくとも部分的に補償するデータ電圧補償を提供する。
図3を参照すると、サブ画素回路に関連するキャリブレーション装置300は、キャパシタンス測定回路301、チャージ検出回路302及びパラメータキャリブレータ303を含む。
【0037】
キャパシタンス測定回路301は、パルス電圧源が供給するパルス電圧を用いてセンスラインキャパシタをチャージし、センスラインキャパシタのキャパシタンス及びパルス電圧に関連するキャパシタンス測定電圧を出力するように構成される。
【0038】
チャージ検出回路302は、同一のサブ画素回路の対応するデータラインに基準データ電圧が印加された場合の、センスラインキャパシタにおける充電中の電圧を検出するように構成される。チャージ検出回路302は、センスラインキャパシタからパラメータキャリブレータ303へ充電電圧を直接送る導線であってもよい。
【0039】
パラメータキャリブレータ303は、上記したキャパシタンス測定電圧、パルス電圧、基準データ電圧及びチャージ電圧に基づき、サブ画素回路の駆動トランジスタの電気的パラメータを算出するように構成される。駆動トランジスタの電気的パラメータは、閾値電圧とキャリア移動度を含む。
【0040】
図4Aは、本発明の一実施形態によるキャリブレーション装置内のキャパシタンス測定回路を示すブロック図である。
図4Aを参照すると、キャパシタンス測定回路301は、パルス電圧源、電圧コンパレータCOMP及びフィードバック回路FBを含む。パルス電圧源は、接地する第1端末及びパルス電圧Vinを出力する第2端末を有する。電圧コンパレータCOMPは、パルス電圧源の第2端末に接続される非反転入力端末、及びセンスラインSENSEに接続される反転入力端末を有する。フィードバック回路FBは、電圧コンパレータCOMPの出力端末に接続される第1端末、及び電圧コンパレータCOMPの反転入力端末に接続される第2端末を有する。
【0041】
特定の実施形態において、
図4Bに示した電気回路図のように、フィードバック回路FBは、並列接続される第1レジスタR
f及び第1キャパシタC
fを含む。第1レジスタR
fの第1端末及び第1キャパシタC
fの第1端末は、電圧コンパレータCOMPの反転入力端末に共通に接続される。第1レジスタR
fの第2端末及び第2キャパシタC
fの第2端末は電圧コンパレータCOMPの出力端末に共通接続される。
【0042】
第1レジスタRf、第1キャパシタCf及び電圧コンパレータCOMPに関連する電気回路接続はハイパスフィルタを形成して低周波騒音を有効に除去する。
【0043】
図4Bを参照すると、電気回路図において、電流は反転入力端末と非反転入力端末を通過しない。従って、センスラインキャパシタC
SENSEを通過する電流はフィードバック回路FBを通過する電流と同じものである。センスラインキャパシタC
SENSEはパルス電圧Vinと等しい電圧レベルまでチャージされる。パルス電圧Vinと電圧コンパレータCOMPの出力電圧Voutとの間の関係は次の公式により表される。
【数3】
【数4】
ここで、jωC
SENSEはセンスラインキャパシタのインピーダンスであり、ω=2πfにおいてfはパルス電圧Vinの基底周波数であり、jは虚数単位である。
【0044】
パルス電圧Vinの基底周波数fが十分高く、例えば、所定の周波数閾値より高い場合、公式(4)はほぼ次のように表される。
【数5】
上記公式は次のように簡単化される。
【数6】
【数7】
【0045】
公式(6)から分かるように、パルス電圧の周波数が周波数閾値を上回る際、電圧コンパレータCOMPの出力端末で出力されるキャパシタンス測定電圧Voutとパルス電圧Vinとの差異は、センスラインの寄生容量CSENSEに比例し、パルス電圧Vinに比例し、第1キャパシタのキャパシタンスCfに反比例する。
【0046】
公式(7)から分かるように、パルス電圧の周波数が周波数閾値を上回る際、第1キャパシタの容量値Cf、及び電圧コンパレータCOMPの出力端末におけるキャパシタンス測定電圧Voutとパルス電圧Vinの割合に基づき、寄生容量CSENSEを算出できる。
【0047】
いくつかの実施形態において、センスラインキャパシタンスC
SENSEが確定された後、駆動トランジスタDTの(対応するドリフトを有する)電気的パラメータを、
図1と
図2に示す次の関係を用いて確定することができる。
【数8】
【0048】
特定の実施形態において、センスラインキャパシタンスCSENSEの値が確定された後、チャージ検出回路302は、対応するデータラインDATAに第1基準データ電圧Vg1が印加された際の、センスラインSENSEにおける第1チャージ電圧VS1を検出する。さらに別の時間周期において、チャージ検出回路302は、対応するデータラインDATAに第2基準データ電圧Vg2が印加された際の、センスラインSENSEにおける第2チャージ電圧VS2を検出する。
【0049】
具体的に当該実施形態においては、
図1と
図2を参照すると、第1時間周期(第1休止周期)において、第1スキャンラインG1は高電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2も高電圧レベルにある。データラインDATAにはV
g1が印加される。センスラインSENSEは基準電圧端末に接続される。導通状態にある第1スイッチングトランジスタT1はデータ電圧V
g1を駆動トランジスタDTのゲートまで送る。導通状態にある第2スイッチングトランジスタT2は、センスラインSENSEから駆動トランジスタDTの第2端末まで基準電圧V
refを送る。従って、駆動トランジスタDTのゲート・ソース電圧はV
g1-V
refである。第2時間周期(第1検出周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2は高電圧レベルにある。センスラインSENSEは基準電圧端末から切断されている。第1スイッチングトランジスタT1は遮断状態に、第2スイッチングトランジスタT2は導通状態にあるので、第1電源端末ELVDD及び駆動トランジスタDTから送られてきた電圧により寄生センスラインキャパシタC
SENSEがチャージされる。第3時間周期(第1読取周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2も低電圧レベルにある。センスラインは基準電圧端末から切断されたままである。チャージ検出回路302は充電中の電圧(即ち、センスラインキャパシタにおけるチャージ電圧)を第1チャージ電圧V
S1として読み取る。
【0050】
図1と
図2を再び参照すると、第4時間周期(第2リセット周期。
図2に示すt1の周期と実質的に同一である)において、第1スキャンラインG1は高電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2も高電圧レベルにある。データラインDATAにデータ電圧V
g2を与える。センスラインSENSEは基準電圧端末V
refに接続される。導通状態にある第1スイッチングトランジスタT1により駆動トランジスタDTのゲートにデータ電圧V
g2を印加することが可能となる。導通状態にある第2スイッチングトランジスタT2により駆動トランジスタDTの第2端末に基準電圧V
refを印加することが可能となり、DTのゲート・ソース電圧がV
g2-V
refとなる。第5時間周期(第2検出周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2は高電圧レベルにある。センスラインSENSEは基準電圧端末から切断されている。第1スイッチングトランジスタT1は遮断状態にあり、第2スイッチングトランジスタT2は導通状態にある。センスラインキャパシタC
SENSEは第1電源電圧端末ELVDD及び駆動トランジスタDTから送られてくる電圧によりチャージされる。第6時間周期(第2読取周期)においては、第1スキャンラインG1と第2スキャンラインG2の両方とも低電圧レベルにある。センスラインSENSEは基準電圧端末から切断されたままである。チャージ検出回路302は充電中の電圧(即ち、センスラインキャパシタにおけるチャージ電圧)を第1チャージ電圧V
S2として読み取る。
【0051】
それ故、パラメータキャリブレータ303は、キャパシタンス測定電圧Vout、パルス電圧Vin、第1基準データ電圧Vg1、第1チャージ電圧VS1、第2基準データ電圧Vg2、第2チャージ電圧VS2に基づき、駆動トランジスタDTの電気的パラメータを算出できる。
【0052】
パラメータキャリブレータ303は、キャパシタンス測定回路301が出力するキャパシタンス測定電圧及びキャパシタンス測定回路301が受け取るパルス電圧Vinに基づき、センスラインキャパシタCSENSEの容量値を確定してもよい。すると、パラメータキャリブレータ303はセンスラインキャパシタのキャパシタンス、第1基準データ電圧Vg1、第1チャージ電圧VS1、第2基準データ電圧Vg2及び第2チャージ電圧VS2を用いて駆動トランジスタDTの電気的パラメータを算出できる。具体的には、閾値電圧及び駆動トランジスタDTのキャリア移動度等の電気的パラメータが取得される。
【0053】
上記第4時間周期を第3時間周期の直後に設けてもよい。第4時間周期と第3時間周期との間に上記その他の時間周期の少なくともひとつを設けてもよい。
【0054】
代替実施形態において、キャパシタンス測定電圧Voutを測定した後、又はセンスラインキャパシタンスCSENSEを確定した後、チャージ検出回路302は、対応するデータラインDATAに第1基準データ電圧Vg1が印加された状態で、検出時間周期であるt2に続き、センスラインSENSEにおける第1チャージ電圧VS1を検出する。さらに、チャージ検出回路302は、対応するデータラインDATAに第1基準データ電圧Vg1が印加された状態で、検出時間周期(t2+t4)に続き、センスラインSENSEにおける第2チャージ電圧VS2を検出する。
【0055】
具体的には当該実施形態において、
図1と
図2を参照すると、第1時間周期(第1休止周期)において、第1スキャンラインG1は高電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2も高電圧レベルにある。データラインDATAにはV
g1が印加される。センスラインSENSEは基準電圧端末に接続される。導通状態にある第1スイッチングトランジスタT1はデータ電圧V
g1を駆動トランジスタDTのゲートまで送る。導通状態にある第2スイッチングトランジスタT2は基準電圧V
refをセンスラインSENSEから駆動トランジスタDTの第2端末まで送る。従って、駆動トランジスタDTのゲート・ソース電圧はV
g1-V
refである。第2時間周期(第1検出周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2は高電圧レベルにある。センスラインSENSEは基準電圧端末から切断されている。第1スイッチングトランジスタT1は遮断状態にあり、第2スイッチングトランジスタT2は導通状態にあるため、寄生センスラインキャパシタC
SENSEが第1電源端末ELVDD及び駆動トランジスタDTから送られてくる電圧によりチャージされる。第3時間周期(第1読取周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2も低電圧レベルにある。センスラインは基準電圧端末から切断されたままである。チャージ検出回路302は充電中の電圧(即ち、センスラインキャパシタにおけるチャージ電圧)を第1チャージ電圧V
S1として読み取る。
【0056】
図1と
図2を再び参照すると、第4時間周期(第2検出周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2は高電圧レベルにある。センスラインSENSEは基準電圧端末から切断されている。第1スイッチングトランジスタT1は遮断状態にあり、第2スイッチングトランジスタT2は導通状態にある。従って、センスラインキャパシタC
SENSEは第1電源端末ELVDD及び駆動トランジスタDTから送られてくる電圧によりチャージされる。例えば、第4時間周期は、第2時間周期(即ち、上記第1検出周期)に関連するタイム・スパンt2と等しくても異なってもよい、タイム・スパンt4を含む。第5時間周期(第2読取周期)において、第1スキャンラインG1は低電圧レベルにあり、第2スキャンラインG2は低電圧レベルにある。センスラインSENSEは基準電圧端末から切断されたままである。チャージ検出回路302は、検出キャパシタにおける充電電圧を第2チャージ電圧V
S2として読み取る。
【0057】
それ故、パラメータキャリブレータ303は、キャパシタンス測定電圧Vout(又はセンスラインキャパシタCSENSEのキャパシタンス)、第1基準データ電圧Vg1、第2時間周期におけるタイム・スパンt2、第1チャージ電圧VS1、第4時間周期におけるタイム・スパンt4、及び第2チャージ電圧VS2に基づき、駆動トランジスタDTの電気的パラメータを算出できる。例えば、駆動トランジスタDTの閾値電圧及びキャリア移動度が取得される。
【0058】
図5は、本発明の一実施形態によるAMOLEDディスプレイパネルを示す模式図である。
図5を参照すると、AMOLEDディスプレイパネルはM個の行とN個の列の画素を有する画素アレイを含む。各画素はサブ画素を少なくともひとつ含む。サブ画素の各行は第1スキャンラインと第2スキャンラインを共有する。サブ画素の各列はデータラインとセンスラインを共有する。
【0059】
例えば、各画素がサブ画素を3つ含み、AMOLEDディスプレイパネルの画素アレイにデータ電圧を提供するn個のソース電極駆動回路があると仮定する。各ソース電極駆動回路はm個のデータライン及びm個のセンスラインを含む。ここで、3N=m×nである。mとnは1以上の整数である。本明細書の以下のセクションでは、ディスプレイパネルの画素アレイにデータ電圧を提供するにあたり、ひとつのソース電極駆動回路、即ち、n=1のみを選択する。本発明がこのような選択に制限されないのは言うまでもない。
【0060】
図6Aは本発明の一実施形態によるソース電極駆動回路を示す模式図である。
図6Aを参照すると、ソース電極駆動回路は、第1マルチプレクサ(MUX1)601、第2マルチプレクサ(MUX2)602、キャパシタンス測定回路603及びパラメータキャリブレータ604を含む。
【0061】
第1マルチプレクサ601は、m個のセンスラインにそれぞれ接続されるm個の選択入力ポートを有し、画素アレイにおける各センスライン、例えば、S1、S2、…、Sm-1及びSmを順次選択するように構成される。
【0062】
キャパシタンス測定回路603は、第1マルチプレクサ601の出力ポートに接続され、パルス電圧源を接続することでパルス電圧を使用して第1マルチプレクサ601により選択された任意のセンスラインをチャージし、パルス電圧及び第1マルチプレクサ601により選択されるセンスラインの容量値に関連するキャパシタンス測定電圧を出力する。キャパシタンス測定回路603は
図3に示すキャパシタンス測定回路301と実質的に同一であってもよい。
【0063】
第1マルチプレクサ601が選択する任意のセンスラインについて、パラメータキャリブレータ604は、キャパシタンス測定電圧及びパルス電圧に基づき、選択されたセンスラインに関連するセンスラインキャパシタの容量値を確定できる。具体的には、
図4Bに示すように、パラメータキャリブレータ604は、選択されたセンスラインにおけるキャパシタンス測定電圧Vout、パルス電圧Vin及びフィードバックキャパシタC
fに基づき、センスラインキャパシタの容量値を確定できる。
【0064】
第2マルチプレクサ(MUX2)602は、m個のセンスラインにそれぞれ接続されるm個の選択入力ポートを有する。MUX2は、画素アレイにおける各センスラインS1、S2、…、Sm-1及びSmを順次選択し、選択されたセンスラインにおけるチャージ電圧を出力するように構成される。
【0065】
パラメータキャリブレータ604は、MUX2の出力ポートをさらに接続する。MUX2が選択した各センスラインに関し、パラメータキャリブレータ604は現在選択中のセンスラインに関連する現在選択中のサブ画素回路の駆動トランジスタの電気的パラメータを算出できる。当該算出は、選択されたセンスラインのキャパシタンス測定電圧(又はセンスラインキャパシタンス)、(同一の選択されたサブ画素回路に関連する)対応するデータラインに印加された基準データ電圧、及びMUX2により選択されたセンスラインにおけるチャージ電圧に基づいて行われる。例えば、閾値電圧及び駆動トランジスタのキャリア移動度等の電気的パラメータが取得される。
【0066】
図6Bは、本発明の別の実施形態による別のソース電極駆動回路を示す模式図である。ソース電極駆動回路は、第3マルチプレクサ(MUX3)606、アナログ・デジタル・コンバータ(ADC)607、データ電圧コンペンセータ608及びデータ電圧ジェネレータ609をさらに含む。MUX3 606の2つの選択入力は、MUX2 602の出力とキャパシタンス測定回路603の出力にそれぞれ接続される。MUX3 606は、MUX2 602から出力されて充電検出モードで作動するようにソース電極駆動回路を制御するチャージ電圧、又はキャパシタンス測定回路603から出力されてキャパシタンス測定モードで作動するようにソース電極駆動回路を制御するキャパシタンス測定電圧のいずれかを選択するように構成される。MUX3 606の2つの選択入力は、MUX2 602の出力及びキャパシタンス測定回路603の出力にそれぞれ接続される。キャパシタンス測定モードにある間、MUX3 606の出力はキャパシタンス測定回路603から出力されたキャパシタンス測定電圧を出力する。充電検出モードにある間、MUX3 606の出力は、MUX2 602から出力されたチャージ電圧を出力する。
【0067】
アナログ・デジタル・コンバータ607は、MUX3の出力に接続されて、MUX3606の出力で受け取ったアナログ信号をデジタル信号に変換する入力端末を有する。具体的には、ソース電極駆動回路がキャパシタンス測定モードにある際に、キャパシタンス測定回路の出力からMUX3 606がキャパシタンス測定電圧を選択すると、アナログ・デジタル・コンバータ607はキャパシタンス測定回路603から出力されたキャパシタンス測定電圧をMUX 606から受け取り、このキャパシタンス測定電圧をデジタル形式の信号に変換する。ソース電極駆動回路が充電検出モードにある際に、第2マルチプレクサの出力からMUX3 606がチャージ電圧を選択すると、ADC607はMUX2 602から出力されたチャージ電圧をMUX 606から受け取り、このチャージ電圧をデジタル信号に変換する。
【0068】
AMOLEDディスプレイパネルの画素アレイ内の各サブ画素回路について、データ電圧コンペンセータ608は、データラインにおける既定のデータ電圧、及びパラメータキャリブレータ604により確定されるサブ画素回路の対応する駆動トランジスタの関連電気的パラメータに基づき、サブ画素回路に関連する補償データ電圧を算出するように構成される。パラメータキャリブレータ604及びデータ電圧コンペンセータ608はデジタル信号プロセッサを用いてそれぞれ構成される。従って、データ電圧コンペンセータ608は、デジタル形式の出力信号として補償データ電圧を出力できる。
【0069】
図6Bを参照すると、データ電圧ジェネレータ609は、対応するデータ電圧を出力するm個のデータラインD1、D2、…、Dm-1及びDmにそれぞれ接続されるm個の出力端末を有する。画素アレイ内の各サブ画素回路について、データ電圧ジェネレータ609は、データ電圧コンペンセータ608により算出される補償データ電圧に基づき補償データ電圧を発生させ、サブ画素回路に接続される対応するデータラインに補償データ電圧をさらに印加するように構成される。
【0070】
次に、ひとつのサブ画素回路を例として、デジタル信号形式を扱うパラメータキャリブレータ604の作動について説明する。ADC607は入力アナログ電圧をn-ビットデジタル信号に変換する。具体的には、ADC607は変換ベース電圧Vbaseを有する。入力アナログ電圧がVbaseと等しくなると、ADC607から出力されるデジタル信号のn-ビットはすべて1になる。キャパシタンス測定電圧Voutについて、ADC607は入力されたキャパシタンス測定電圧Voutをn-ビットデジタル信号Evcに変換する。従って、キャパシタンス測定電圧Voutとデジタル信号Evcの関係は、次の公式により表すことができる。
【数9】
よって、公式(7)は次のように書き直すことができる。
【数10】
一方、センスラインキャパシタにおけるチャージ電圧V
SENSEについて、ADC607は入力されたチャージ電圧V
SENSEをn-ビットデジタル信号Evsに変換する。従って、チャージ電圧V
SENSEとデジタル信号Evsの間の関係は、次の公式により表される。
【数11】
公式(11)と(2)を組み合わせると、以下のようになる。
【数12】
上記方程式を簡単化するために、基準電圧V
refを0と仮定すると、次の公式が得られる。
【数13】
公式(10)を公式(13)に置き換えると、次のようになる。
【数14】
ここで、
【数15】
である。特定のキャパシタンス測定回路603、サブ画素回路及びADC607において、k1及びk2は定数である。
【0071】
本明細書で前述したように、第1基準データ電圧V
g1がデータラインに印加された状態において、チャージ検出回路302は対応するセンスラインにおける第1チャージ電圧V
SENSE1を検出する。同様に、第1基準データ電圧V
g2がデータラインに印加された別の状態において、チャージ検出回路302は、対応するセンスラインにおける第1チャージ電圧V
SENSE2を検出する。このため、次の方程式が推測される。
【数16】
画素アレイ内の各センスラインは、キャパシタンス測定回路603により発生されたキャパシタンス測定電圧をADC607がデジタル信号Evcに変換した後、デジタル信号Evcのみを記憶することができ、デジタル信号Evcに基づきセンスラインに関連するキャパシタンスを算出する必要がない。加えて、各サブ画素回路について、第1チャージ電圧と第2チャージ電圧にそれぞれ対応するデジタル信号Evs1とEvs2を取得した後、パラメータキャリブレータ604は、サブ画素回路に対応するセンスラインに関連するデジタル信号Evcと、デジタル信号Evs1及びEvs2とに基づき、サブ画素回路の対応する駆動トランジスタの関連電気的パラメータを直接算出できる。例えば、上記方法を用いて、閾値電圧及び駆動トランジスタのキャリア移動度を算出することができる。
【0072】
図6Bをさらに参照すると、ソース電極駆動回路はm個のサンプルホールドチャネルを有する第1サンプルホールド回路(S&H1)605をさらに含む。各サンプルホールドチャネルはひとつの入力とひとつの出力を有する。S&H1 605は、m個のセンスラインS1、S2、…、Sm-1及びSmにそれぞれ接続されるm個の入力と、第2マルチプレクサMUX2のm個の選択入力ポートにそれぞれ接続されるm個の出力とを有する。
【0073】
いくつかの実施形態において、
図3におけるパラメータキャリブレータ303は、
図6Bにおけるアナログ・デジタル・コンバータ607及びパラメータキャリブレータ604を含んでもよい。いくつかの実施形態において、
図3におけるチャージ検出回路302は、
図6Bにおけるサンプルホールド回路605のチャネルのひとつ、第2マルチプレクサMUX2 602の選択チャネルのひとつ及び第3マルチプレクサMUX3 606の選択チャネルのひとつを含んでもよい。
【0074】
図7は、本発明の一実施形態によるデータ電圧ジェネレータを示す模式図である。
図7を参照すると、データ電圧ジェネレータ609は、デジタル・アナログ・コンバータ(DAC)701、第4マルチプレクサ(MUX4)702及び第2サンプルホールド回路(S&H2)703を含む。画素アレイ内の各サブ画素回路について、DAC701は、データ電圧コンペンセータ608から出力されたサブ画素回路の補償データ電圧をデジタル信号からアナログ信号に変換するように構成される。第4マルチプレクサMUX4 702は、DAC701の出力に接続される入力と、m個の選択出力ポートを有する。MUX4 702は、m個の出力ポートのひとつを選択してDAC701から受け取ったアナログ信号を出力する。S&H2回路703は、m個のサンプルホールドチャネルを含む。各サンプルホールドチャネルはひとつの入力とひとつの出力を有する。S&H2回路703のm個の入力は、MUX4 702のm個の選択出力ポートにそれぞれ接続される。S&H2回路703のm個の出力は画素アレイのm個のデータラインにそれぞれ接続される。
【0075】
S&H2回路703の各サンプルホールドチャネルについて、サンプルホールドチャネルの入力に接続されるMUX4 702の選択出力ポートが選択されると、サンプルホールドチャネルの入力はDAC701から出力されたアナログ信号形式の補償データ電圧を受け取り、サンプリング処理を行ってサンプリングされた補償データ電圧を維持する。
【0076】
図8は、本発明の一実施形態によるサンプルホールド回路内のサンプルホールドチャネルの電気回路図である。
図8を参照すると、サンプルホールドチャネルは、入力端末in、サンプリングスイッチSW1、維持キャパシタC、出力スイッチSW2及び出力端末outを含む。
図8はサンプルホールドチャネルの簡単な例に過ぎず、本発明はこれに限定されない。
【0077】
図9は、本発明の一実施形態によるソース電極駆動回路からのデータ電圧を補償する方法を示すフローチャートである。いくつかの実施形態において、この方法は
図6A及び
図6Bに示すソース電極駆動回路に基づき実施される。キャパシタンスの測定周期において、ソース電極駆動回路をキャパシタンス測定モードに設定した際、(
図6Bの)MUX3 606はキャパシタンス測定回路からの出力を選択してもよい。MUX1 601は画素アレイ内の各センスラインを順次選択する。MUX1 601により選択された各センスラインについて、キャパシタンス測定回路603は、センスラインキャパシタンス及びパルス電圧源により供給されるパルス電圧に関連するキャパシタンス測定電圧を出力する。このため、この周期において、画素アレイ内のセンスラインの各々に関連する対応するキャパシタンス測定電圧が取得される。具体的な作動については
図4Bを参照すれば分かるように、各センスラインは基準電圧端末から切断され、各サブ画素回路内の第2スイッチングトランジスタは遮断状態にある。
【0078】
図9を参照すると、第1チャージ電圧検出周期において、画素アレイ内のサブ画素回路の各行がひとつずつ選択される。第1時間周期において、現在選択中のサブ画素回路の行の各々について、MUX3 606は作動せず、画素アレイ内のセンスラインがすべて基準電圧端末の各々に接続される。データ電圧ジェネレータ609は、画素アレイの各データラインに第1基準データ電圧を順次出力する。そして第2時間周期において、センスラインが基準電圧端末の各々と切断されているため、MUX3 606は作動しない。それ故、(寄生キャパシタを有する)各センスラインは、サブ画素回路の選択された行内の対応するサブ画素回路によりチャージされる。続いて第3時間周期において、ソース電極駆動回路を充電検出モードに設定した際、MUX3 606を作動させてMUX2 602の出力からのチャージ電圧を選択する。MUX2 602は画素アレイ内の各センスラインを順次選択して、サブ画素回路の現在選択中の行の各サブ画素回路に対応する第1チャージ電圧を読み取る。第2時間周期における具体的な作動については上記
図2を参照できる。この方法は、第1チャージ電圧検出周期において、画素アレイ内のサブ画素回路の各行を順次選択し、サブ画素回路の選択された各行につき第1時間周期、第2時間周期及び第3時間周期における上記操作を順次実施してもよい。
【0079】
一実施例では、上記操作は、第1時間周期において、第1スキャンラインG1を高電圧レベルに設定し、第2スキャンラインG2を高電圧レベルに設定し、第2時間周期において、第1スキャンラインG1を低電圧レベルに設定し、第2スキャンラインG2を高電圧レベルに設定し、第3時間周期において、第1スキャンラインG1と第2スキャンラインG2の両方を低電圧レベルに設定することを含む。
【0080】
図9を参照すると、第2チャージ電圧検出周期において、画素アレイ内のサブ画素回路の各行が順次選択される。現在選択中のサブ画素回路の行について、この方法は、いくつかの異なる操作を除き、第1時間周期、第2時間周期及び第3時間周期において第1チャージ電圧検出周期と実質的に同一の操作を含む。異なる操作には、第1時間周期において、データ電圧ジェネレータ609により各データラインへ第2基準データ電圧を順次出力する操作と、第3時間周期において、サブ画素回路の選択された行における各サブ画素回路に対応する第2チャージ電圧を順次読み取る操作が含まれる。第2チャージ電圧検出周期における具体的な操作については
図2を参照することができる。
【0081】
図9を再び参照すると、パラメータキャリブレーション周期において、パラメータキャリブレータ604を作動させて、キャパシタンス測定周期に取得された対応するセンスライン各々のキャパシタンス測定電圧、第1チャージ電圧検出周期に取得された各サブ画素回路の第1チャージ電圧、及び第2チャージ電圧検出周期に取得された各サブ画素回路の第2チャージ電圧に基づき、各サブ画素回路(又は選択された行)における駆動トランジスタの電気的パラメータを算出する。例えば、閾値電圧及び駆動トランジスタのキャリア移動度が算出される。この周期における具体的な作動については
図6Bを参照できる。
【0082】
いくつかの実施形態において、この方法では、AMOLEDディスプレイの画素アレイにおいて、キャパシタンス測定周期、第1チャージ電圧検出周期、第2チャージ電圧検出周期及びパラメータキャリブレーション周期におけるすべての操作を定期的に実施する。例えば、この方法では、半年ごと、1年ごとに操作を行い、或いはAMOLEDディスプレイが作動し始めるたびにこれらの操作を行う。
【0083】
いくつかの実施形態において、この方法は、画素アレイ内における各サブ画素回路の駆動トランジスタの電気的パラメータを記憶する工程を含む。いくつかの実施形態において、キャパシタンス測定周期は、第1チャージ電圧検出周期及び第2チャージ電圧検出周期の前に設ける必要はないが、第1チャージ電圧検出周期と第2チャージ電圧検出周期の間、又は第1チャージ電圧検出周期及び第2チャージ電圧検出周期の後に設けることができる。
【0084】
図9を参照すると、データ電圧補償周期において、画素アレイ内のサブ画素回路の各行が順次選択される。サブ画素回路の選択された行における各サブ画素回路について、データ電圧コンペンセータ608が作動して、サブ画素回路の既定のデータ電圧、及びパラメータキャリブレーション周期において取得したサブ画素回路の対応する電気的パラメータに基づき、サブ画素回路の補償データ電圧を算出する。さらに、アナログ信号形式の補償データ電圧が発生し、サブ画素回路の対応するデータラインに出力される。データ電圧補償周期に関連する具体的な作動については
図7を参照できる。
【0085】
本発明が提供する各サブ画素回路に関連するキャリブレーション装置、ソース電極駆動回路、及びデータ電圧の補償方法に基づき、センスラインのキャパシタンス電圧を測定し、基準データ電圧が対応するデータラインに印加された状態においてセンスラインキャパシタにおけるチャージ電圧を検出することで、関連する電気的パラメータ及び選択された各サブ画素回路の駆動トランジスタのドリフトを確定できる。さらに、データラインに印加されたデータ電圧を駆動トランジスタの電気的パラメータの確定されたドリフトに基づいて調整することで、異なるサブ画素回路同士における電気的パラメータのドリフトに起因する画素輝度の不均一性を補償できる。
【0086】
本発明の実施形態に関する以上の記載は例示と説明を目的としており、全てを網羅している訳ではなく、また開示された形態そのものに本発明を限定するものでもない。それ故、上記記載は限定ではなく例示を目的としていると見なすべきであり、多くの変更や変形は当業者にとって明らかであろう。本発明の原理とそれが実際に適用される最良の形態を最も説明しやすいような実施形態を選択しそれについて記載することで、特定の用途又は想定される適用に適した本発明の様々な実施形態及び様々な変更を当業者に理解させることを目的としている。本開示に付した請求項及びその均等物により本発明の範囲を定義することが意図され、別途示唆しない限り、すべての用語は合理的な範囲内で最も広く解釈されるべきである。従って、「本発明」、「本開示」又はこれに類する用語は請求項の範囲を必ずしも特定の実施形態に限定せず、本発明の例示的実施形態に対する参照は本発明への限定を示唆するものではなく、かかる限定を推論すべきではない。本発明は付属する請求項の構想と範囲のみにより限定される。さらに、これらの請求項では後に名詞又は要素を伴って「第1」「第2」等という表現を用いる場合がある。特定の数量が示されていない限り、このような用語は専用語であると理解すべきであり、修飾された要素の数量が上記専用語により限定されると解釈してはならない。記載した効果及び利点はいずれも本発明のすべての実施形態に適用されるとは限らない。当業者であれば、以下の請求項により定義される本発明の範囲から逸脱せずに、記載した実施形態を変形できることが理解されよう。さらに、以下の請求項に明記されているか否かを問わず、本開示の要素及び部品のいずれも公衆に捧げる意図はない。
【符号の説明】
【0087】
300 キャリブレーション装置
301 キャパシタンス測定回路
302 チャージ検出回路
303 パラメータキャリブレータ
601 マルチプレクサ
602 マルチプレクサ
603 キャパシタンス測定回路
604 パラメータキャリブレータ
605 サンプルホールド回路
606 マルチプレクサ
607 アナログ・デジタル・コンバータ
608 データ電圧コンペンセータ
609 データ電圧ジェネレータ
701 デジタル・アナログ・コンバータ
702 マルチプレクサ