(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】組立紙容器及び組立紙容器の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65D 5/20 20060101AFI20220613BHJP
B65D 5/56 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B65D5/20 C ZAB
B65D5/56 A
(21)【出願番号】P 2018064505
(22)【出願日】2018-03-29
【審査請求日】2020-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000223193
【氏名又は名称】東罐興業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120868
【氏名又は名称】安彦 元
(74)【代理人】
【識別番号】100198214
【氏名又は名称】眞榮城 繁樹
(72)【発明者】
【氏名】田中 伸二
(72)【発明者】
【氏名】楠原 伸幸
【審査官】長谷川 一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-240536(JP,A)
【文献】特開2001-072042(JP,A)
【文献】特開平11-342932(JP,A)
【文献】特開2000-264331(JP,A)
【文献】特開平10-278926(JP,A)
【文献】特開平06-293334(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 5/20
B65D 5/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙を主材料とするブランクシートから組立てられたトレー状の容器本体と、この容器本体の内面に被覆された樹脂フィルムと、を備える組立紙容器であって、
前記容器本体は、底面と、この底面から立ち上がる複数の側面と、これらの複数の側面と接続して組立後に上面が面一となる上端フランジと、を有し、
複数の前記側面同士が近接又は当接する入隅には、前記容器本体と前記樹脂フィルムとの間の空気を吸引し又は逃がす隙間が形成され、
前記ブランクシートは、1枚のシートからなり、
前記上端フランジは、組立前の前記ブランクシートにおいて、組立後の外縁又は内縁を構成しない側端同士が当接することにより、組立後の上面が面一となっており、
前記上端フランジのコーナー部は、前記ブランクシートの前記側面を構成する部位の側辺から外側へ張り出した一対のコーナー片と、これらのコーナー片同士を接着して接続するとともに下方から支えるコーナー下部片と、を有しており、
前記ブランクシートの端面には、隙間が形成され、前記上端フランジの外縁には、前記容器本体の組立時に前記ブランクシート
が切り放されたままの当該端面が露出しているとともに、前記上端フランジの内縁及び前記コーナー下部片と前記側面との境には、ミシン目状の切込みが形成され、その切込みには、前記容器本体の組立時に前記ブランクシートの前記端面が露出しており、
前記樹脂フィルムが
前記端面及び前記上端フランジの面一な上面に被覆された上、
前記上端フランジの外縁に露出した前記ブランクシートの前記端面の隙間及び前記ミシン目状の切込みに露出した前記端面の隙間に樹脂が食い込んで前記樹脂フィルムの外縁の角部を持ち上げることにより引掛りを外すことが可能な引掛り片が
それぞれ形成されていること
を特徴とする組立紙容器。
【請求項2】
前記樹脂フィルムの外周は、前記上端フランジの外縁より外側の位置で切断されていること
を特徴とする請求項1に記載の組立紙容器。
【請求項3】
組立後の前記容器本体の前記側面は、前記底面に対して傾斜する傾斜面となっており、且つ、組立後の前記容器本体において互いに隣接する側面同士となるいずれ一方の側面が、組立前の前記ブランクシートにおいて、底辺に対する側辺のなす角が直角となっていること
を特徴とする請求項1又は2に記載の組立紙容器。
【請求項4】
紙を主材料とする隙間が形成された端面を有する一枚のブランクシートからトレー状の容器本体を組立てる製函工程と、組立てた容器本体の内面に樹脂フィルムを真空成形、圧空形成、又は真空圧空形成により被覆する樹脂フィルム被覆工程と、を備える組立紙容器を製造する組立紙容器の製造方法であって、
前記製函工程では、前記ブランクシートの底面から複数の側面を立ち上げ、これらの複数の側面の上部を折り返して上面が面一となる上端フランジを形成するとともに、複数の前記側面同士が近接又は当接する入隅に隙間を形成し、前記上端フランジのコーナー部を、前記ブランクシートの前記側面を構成する部位の側辺から外側へ張り出した一対のコーナー片と、これらのコーナー片同士を接着して接続するとともに下方から支えるコーナー下部片と、から、前記コーナー下部片を先に折り曲げ、その直後に前記一対のコーナー片を折り畳んで貼り合わせて組み立て、且つ、前記ブランクシートを、前記上端フランジの外縁に前記端面が露出するように組立てるとともに、前記コーナー下部片と前記側面との境のミシン目状の切り込みを前記端面が露出するように折り返し、
前記樹脂フィルム被覆工程では、前記製函工程で形成した前記隙間から前記容器本体と前記樹脂フィルムとの間の空気を吸引して又は逃がして前記樹脂フィルムを被覆するとともに、前記上端フランジの外縁に露出する前記端面に前記樹脂フィルムが食い込むように被覆し、且つ、前記切込みから露出する前記端面にも前記樹脂フィルムが食い込むように被覆することにより、前記上端フランジを前記樹脂フィルムの食い込みである引掛り
片で挟持させること
を特徴とする組立紙容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、組立紙容器及び組立紙容器の製造方法に関し、詳しくは、紙製のブランクシートをトレー状に組立てて、その内面に樹脂フィルムを積層した組立紙容器及び組立紙容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紙を主原料とする紙製のブランクシートから上端にフランジを有するトレー状に容器本体が組立てられ、その容器本体の内面に水密性を有する熱可塑性の樹脂フィルムが熱溶着された組立紙容器が知られている。この種の組立紙容器は、主として、食品等を収容するための容器として用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1には、トレイ構造あるいはボール構造を有する複合材料包装容器であり、段ボール紙の構造基板を用いて製造され、ブロー成形によって積層されたポリマーフィルムでその内部がシールされている紙製の包装容器が開示されている(特許文献1の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0008]~[0027]、
図1,
図4等参照)。
【0004】
また、特許文献2には、紙を主材料とする、主ブランクと副ブランクとで組立てられた紙製容器本体と、該紙製容器本体の内面に密接着している熱可塑性樹脂製フィルムよりなる内部保護フィルム層とにより形成され、主ブランクが、枠状のフランジからなり、副ブランクが、底面と側面と該側面に折れ線を介して連設した重合片からなる紙製容器が開示されている(特許文献2の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0012]~[0029]、
図1~
図14等参照)。
【0005】
近年、この種の組立紙容器は、環境保全の問題から使用後に、空容器をプラスチックと再利用可能な紙とに分別することが要求されるようになり、樹脂フィルムを簡単に剥がせることが要望されている。しかし、特許文献1に記載の包装容器や特許文献2に記載の紙製容器は、紙とフィルムに分別することまで考慮されておらず、使用後に紙製の容器本体から被覆した樹脂フィルムを容易に剥がせないという問題があった。
【0006】
一方、容器内の空気をその食品の保存に適した精製された食品ガスに置換して包装するMAP包装が開発されるに至り、組立紙容器にMAP包装を適用して上端フランジにガスバリアフィルムを溶着されて使用することが望まれている。このため、使用後の空容器は、分別収集のために紙製ブランクシート(容器本体)から簡単に剥がせることが要求される一方で、使用中の容器は、上端フランジに溶着したガスバリアフィルム(シーラント)が不用意に剥がれないことが要求されるという二律背反の要求を満たす必要がでてきた。
【0007】
つまり、紙に内容物が染み込まないようにするために容器内面に溶着される樹脂フィルム(ヒートシール)と、MAP包装として容器を封止するためのトップシールとして溶着されるガスバリアフィルム(シーラント)との密着性をコントロールすることが解決すべき今後の難題として持ち上がっていた。
【0008】
例えば、特許文献3には、トレー上部開口部から底部に向かって互いに対向する四側壁部2,2、3,3が狭幅となる矩形テーパー状の紙製トレー本体Aと、該紙製トレー本体内を区画するように前記四側壁部のうち一対の互いに対向する二側壁部に水平方向に架設された仕切部材Cとを備え、該紙製トレー本体内面と仕切部材外面とに亘って、合成樹脂フィルムBが真空若しくは圧空成形により被覆され密着成形されている仕切付複合トレー
容器が開示されている(特許文献3の特許請求の範囲の請求項1、明細書の段落[0014]~[0040]、
図1~
図4等参照)。
【0009】
また、この特許文献3には、容器の蓋材として、紙基材シートに接着剤層として、熱融着性の合成樹脂(ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリプロピレンなど)をコーティングして密封シール用のシーラント層を形成したものを使用することが記載されている。それに加え、容器の蓋材として、熱融着性の合成樹脂製フィルム(ポリエチレン、エチレン-酢酸ビニル共重合体、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンなど)をラミネートした複合シートなどが使用できること、及び接着剤層はガスバリア層を兼ねていてもよいことが記載されている(特許文献3の明細書の段落[0058]等参照)。
【0010】
しかし、特許文献3に記載されている複合トレー容器などの従来の組立紙容器において、紙製のブランクシートから組立てた容器本体とヒートシールや、ヒートシールとトップシール(シーラント)の密着性をコントロールすることは、樹脂フィルムの樹脂(又は接着樹脂)の素材や接着樹脂のプリントパターンに依存するものであった。このため、紙製の容器本体とヒートシールの密着性を高めるために、接着力の強いフィルム樹脂又は接着樹脂を採用したり、接着樹脂を多く広範囲に接着したりすると、分別のためヒートシールを紙製の容器本体から剥がす際に、紙の表面が剥がれてしまい上手く分別できないという問題があった。
【0011】
さらに、紙製の容器本体とヒートシールの分別が容易であるとともに、容器使用時にシーラントであるトップシールを簡単に剥がせるイージーピールシーラントとするためには、ヒートシールとシーラントの密着性の範囲に殆ど選択肢が無いという問題があった。つまり、高い素材を使用するか、接着樹脂のプリントパターンを極めて限定するしかないという問題があった。
【0012】
これらの問題を解決するため、樹脂の素材や接着樹脂のプリントパターンによらず、成形時に紙製の容器本体とその内面を被覆する樹脂フィルム(ヒートシール)の密着性を高めるとともに、容器使用後の分別時に樹脂フィルムを紙製の容器本体から容易に剥がせることが求められている。
【0013】
しかし、特許文献3に記載されている複合トレー容器などの従来の組立紙容器では、ブランクシートから組立てた容器本体(トレー本体)に、真空圧空成形等により熱可塑性の樹脂フィルム(ヒートシール)を溶着する短時間の間に、容器本体(トレー本体)と樹脂フィルムとの間にある空気が上手く抜けきれないという問題があった。このため、特に容器本体(トレー本体)の入隅において樹脂フィルムとの密着性が悪く、トップシールとして被覆するシーラントを剥がす際に、紙に内容物が染み込まないようにするための樹脂フィルム(ヒートシール)が一緒に剥がれてしまうという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【文献】特開平6-293334号公報
【文献】特開2001-206345号公報
【文献】特開2001-114252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、前述した問題に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、紙製の容器本体とその内面を被覆する樹脂フィルムの密着性が高く、且つ、容器使用後の分別時に樹脂フィルムを紙製の容器本体から容易に剥がすことができる組立紙容器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0016】
第1発明に係る組立紙容器の製造方法は、紙を主材料とするブランクシートから組立てられたトレー状の容器本体と、この容器本体の内面に被覆された樹脂フィルムと、を備える組立紙容器であって、前記容器本体は、底面と、この底面から立ち上がる複数の側面と、これらの複数の側面と接続して組立後に上面が面一となる上端フランジと、を有し、複数の前記側面同士が近接又は当接する入隅には、前記容器本体と前記樹脂フィルムとの間の空気を吸引し又は逃がす隙間が形成され、前記ブランクシートは、1枚のシートからなり、前記上端フランジは、組立前の前記ブランクシートにおいて、組立後の外縁又は内縁を構成しない側端同士が当接することにより、組立後の上面が面一となっており、前記上端フランジのコーナー部は、前記ブランクシートの前記側面を構成する部位の側辺から外側へ張り出した一対のコーナー片と、これらのコーナー片同士を接着して接続するとともに下方から支えるコーナー下部片と、を有しており、前記ブランクシートの端面には、隙間が形成され、前記上端フランジの外縁には、前記容器本体の組立時に前記ブランクシートが切り放されたままの当該端面が露出しているとともに、前記上端フランジの内縁及び前記コーナー下部片と前記側面との境には、ミシン目状の切込みが形成され、その切込みには、前記容器本体の組立時に前記ブランクシートの前記端面が露出しており、前記樹脂フィルムが前記端面及び前記上端フランジの面一な上面に被覆された上、前記上端フランジの外縁に露出した前記ブランクシートの前記端面及び前記ミシン目状の切込みに露出した前記端面の隙間に樹脂が食い込んで前記樹脂フィルムの外縁の角部を持ち上げることにより引掛りを外すことが可能な引掛り片がそれぞれ形成されていることを特徴とする。
【0018】
第2発明に係る紙容器用は、第1発明において、前記樹脂フィルムの外周は、前記上端フランジの外縁より外側の位置で切断されていることを特徴とする。
【0020】
第3発明に係る組立紙容器は、第1発明又は第2発明において、組立後の前記容器本体の前記側面は、前記底面に対して傾斜する傾斜面となっており、且つ、組立後の前記容器本体において互いに隣接する側面同士となるいずれ一方の側面が、組立前の前記ブランクシートにおいて、底辺に対する側辺のなす角が直角となっていることを特徴とする。
【0022】
第4発明に係る組立紙容器の製造方法は、紙を主材料とする隙間が形成された端面を有する一枚のブランクシートからトレー状の容器本体を組立てる製函工程と、組立てた容器本体の内面に樹脂フィルムを真空成形、圧空形成、又は真空圧空形成により被覆する樹脂フィルム被覆工程と、を備える組立紙容器を製造する組立紙容器の製造方法であって、前記製函工程では、前記ブランクシートの底面から複数の側面を立ち上げ、これらの複数の側面の上部を折り返して上面が面一となる上端フランジを形成するとともに、複数の前記側面同士が近接又は当接する入隅に隙間を形成し、前記上端フランジのコーナー部を、前記ブランクシートの前記側面を構成する部位の側辺から外側へ張り出した一対のコーナー片と、これらのコーナー片同士を接着して接続するとともに下方から支えるコーナー下部片と、から、前記コーナー下部片を先に折り曲げ、その直後に前記一対のコーナー片を折り畳んで貼り合わせて組み立て、且つ、前記ブランクシートを、前記上端フランジの外縁に前記端面が露出するように組立てるとともに、前記コーナー下部片と前記側面との境のミシン目状の切り込みを前記端面が露出するように折り返し、前記樹脂フィルム被覆工程では、前記製函工程で形成した前記隙間から前記容器本体と前記樹脂フィルムとの間の空気を吸引して又は逃がして前記樹脂フィルムを被覆するとともに、前記上端フランジの外縁に露出する前記端面に前記樹脂フィルムが食い込むように被覆し、且つ、前記切込みから露出する前記端面にも前記樹脂フィルムが食い込むように被覆することにより、前記上端フランジを前記樹脂フィルムの食い込みである引掛り片で挟持させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
第1発明~第4発明によれば、容器本体の複数の側面同士が近接又は当接する入隅には、容器本体と樹脂フィルムとの間の空気を吸引又は逃がす隙間が形成されているので、容器本体の入隅においても樹脂フィルムとの密着性が向上する。このため、樹脂フィルムの上に被覆するトップシール(シーラント)を剥がす際に、樹脂フィルムが一緒に剥がれてしまうことがない。よって、トップシール(シーラント)をイージーピールシーラントとする際の素材選択や接着剤の選択における条件が緩和され、選択性が向上することにより、安価に製造することが可能となる。このため、MAP包装などを適用してガスバリアフィルムでシールすることが容易となり、チルド保存時の強度劣化にも対応することが可能となる。また、樹脂の素材や接着樹脂のプリントパターンに頼ることなく、容器本体と樹脂フィルムの密着性を向上させることができるため、その分、分別の際に簡単に剥がせるように接着力を調整することが容易となる。その上、容器本体が紙製であるため、樹脂製の容器と比べて美麗印刷や定位置印刷が容易となり、デザイン性が向上する。
第1発明~第4発明によれば、上端フランジ外縁の紙の端面に樹脂フィルムが食い込んで被覆されているので、フィルムを引き剥がす際の初期強度が向上する。また、紙の端面に樹脂フィルムが食い込んで被覆されているので、トップシールを剥す際も、樹脂フィルムが一緒に剥がれることなく、樹脂フィルムは容器本体についたまま耐えることができる。その上、この樹脂の食い込みは、樹脂フィルムの外縁の角部を持ち上げることにより樹脂の食い込みを簡単に外すことができるため、分別に際の引き剥がしも容易となる。このため、トップシール(シーラント)をイージーピールシーラントとする際の素材選択や接着剤の選択における条件が緩和され、さらに選択性が向上する。
第1発明~第4発明によれば、上端フランジ内縁の切込みから露出する段ボール紙の端面に樹脂フィルムが食い込んで被覆されているので、外縁の樹脂フィルムの食い込みと合わせて、上端フランジを樹脂フィルムの食い込みで挟持することとなる。このため、最も密着性が要求される上端フランジにおいて容器本体と樹脂フィルムとの密着性がさらに向上する。また、この樹脂の食い込みで上端フランジを挟持する場合でも、樹脂フィルムの外縁の角部を持ち上げることにより樹脂の食い込みを簡単に外すことができるため、分別に際の引き剥がしも容易となる。
第1発明~第4発明によれば、上端フランジに必要な強度を確保しつつ1つのブランクシートから上面に段差のない容器本体とすることができ、トップシール(シーラント)をイージーピールシーラントとすることがさらに容易となる。
【0025】
特に、第2発明によれば、樹脂フィルムが上端フランジの外縁より外側の位置で切断されているので、樹脂フィルムの紙の端面への食い込みが欠落することなく確実に残ることとなり、前記作用効果を達成することができる。
【0027】
特に、第3発明によれば、ブランクシートを設計する際の細かな計算を省力化するとともに、レイアウトの自由度を向上させることができ、切断加工が困難な複雑な形状とすることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明の実施形態に係る組立紙容器の構成を示す分解斜視図である。
【
図2】同上の組立紙容器を示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図である。
【
図4】同上の組立紙容器のブランクシートを示す展開図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る組立紙容器の製造方法の各工程を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施形態に係る組立紙容器及びその製造方法について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0031】
<組立紙容器>
先ず、
図1~
図4を用いて、本発明の実施形態に係る組立紙容器について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る組立紙容器の構成を示す分解斜視図である。また、
図2は、本実施形態に係る組立紙容器を示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図である。
図3は、本実施形態に係る組立紙容器を示す右側面図である。
【0032】
図1に示すように、本発明の実施形態に係る組立紙容器1は、トレー状の容器本体2と、この容器本体2の内面に被覆された樹脂フィルム3と、を備えている。なお、
図2において、架空線である一点鎖線でトップシールTPを記載しているが、本発明の構成要件ではない。
【0033】
(容器本体)
図1~
図3に示すように、本発明の実施形態に係る容器本体2は、後述の1枚のブランクシート20から製函機(ケースフォーマー)等で折り曲げられて平面視矩形トレー状に組立てられた紙製の容器である。勿論、本発明に係る容器本体は、平面視矩形状に限られず、平面視多角形状であっても構わない。要するに、本発明に係る容器本体は、底面と、そこから立ち上がる側面を有して上面が解放されたトレー状となっていればよい。なお、底面には、内容物に応じて適宜凹凸を付けても構わない。
【0034】
この容器本体2は、
図1に示すように、底面21と、この底面21から立ち上がる複数の側面22(22-1~8)と、これらの複数の側面22と接続して容器全体の上端に位置する矩形枠状の上端フランジ23など、から構成されている。また、
図1に示すように、側面22同士が、近接又は当接する入隅には、隙間24が形成されている。この隙間24は、容器本体2と樹脂フィルム3との間の空気を吸引し又は逃がす機能を有している。
【0035】
本実施形態に係る底面21は、
図2(b)に示すように、外端210が八角形状となった平面から構成されている。
【0036】
本実施形態に係る側面22は、
図1~
図3に示すように、底面21の八角形状の外端210から外側へ張り出し、底面21に対して傾斜したテーパー面(傾斜面)となっている。即ち、組立後の容器本体2である図示形態では、八角形の長辺の側面22(22-1,22-2:
図4参照、以下同じ)が底面21となす角α1及び短辺の側面22(22-3,22-4)が底面21となす角α2がいずれも鈍角で、α1=α2となっている。また、これらの複数の側面22(22-1~8)は、各側面22(22-1~8)がそれぞれ四角形状となっている。勿論、α1及びα2は、直角とすることを含め適宜設定すればよいことは云うまでもない。
【0037】
本実施形態に係る上端フランジ23は、
図1~
図3に示すように、複数の側面22の上端220から外側へ略水平に張り出した平面視矩形枠状のフランジであり、外縁230が全体として長方形状で、そのコーナー部232の外側が円弧状となっている。そして、上端フランジ23の内縁231は、底面21の八角形状の外端210が外側へ拡大してオフセットした八角形状で、コーナー部232の内側が直線状となっている。なお、上端フランジ23の上面は、トップシールTSや樹脂フィルム3を貼着する際に皺がよったりして支障がないようにするために面一となっている。
【0038】
なお、上端フランジ23の外縁230は、ブランクシート20を切り放したままの切断面となっており、後述の段ボール紙の端面が露出している。また、上端フランジ23の内縁231には、
図1、
図2(b)の太線で示すように、ミシン目状に所定間隔をあけて離間した切込み233が形成され、そこから段ボール紙の端面が露出している。
【0039】
(ブランクシート)
次に、
図1~
図4を用いて、ブランクシート20について説明する。
図4は、製函機等で組立てる前の容器本体2のブランクシート20を示す展開図である。本実施形態に係るブランクシート20は、オフセット印刷機でダイレクト印刷が可能なGフルートと呼ばれる薄手の段ボール紙からなる。ここで、段ボール紙とは、波状に加工した紙の片面又は両面に別の紙を接着して強度を上げた包装用紙のことを指している。但し、ブランクシートに適用可能な紙は、段ボール紙に限られず、樹脂が食い込む空間又は隙間があれば足りる。
【0040】
勿論、厚紙等から容器本体2を形成することも可能である。例えば、一般的には、ブランクシートには、坪量200~500g/m2程度のボール紙などが用いられる。しかし、ブランクシートに用いる紙を坪量50~100g/m2とすることにより、空気の透過性が向上し、容器本体2と樹脂フィルム3との間の空気を紙を通して吸引することができる。このため、容器本体2と樹脂フィルム3との密着性を増加させることができる。勿論、本発明に係るブランクシートは、紙製であればよい。但し、後述のように、樹脂フィルム3が段ボール紙の端面に食い込んで密着性が向上するため、段ボール紙のように端面に空間又は隙間を有する紙を採用した方が好ましい。
【0041】
図4に示すように、中央に、組立後に容器本体2の底面となる前述の八角形状の底面21がある。そして、一点鎖線で示す八角形状の外端210の上下一対の長辺21aから外側に向け、上辺22aが長い逆台形状(四角形状)の側面22-1,22-2が形成されている。なお、側面22-1,22-2の側辺が底辺となす角α3が鈍角となっているのは、組立後の容器本体2の側面22-1,22-2が傾斜(
図1のα1,α2参照)しているため、隣接する側面22との傾斜角度の違いから立体的に上辺を長くとる必要があるからである。
【0042】
また、外端210の左右一対の短辺21bからは、外側に向け、上辺22bが長い逆台形状(四角形状)の側面22-3,22-4が形成されている。そして、矩形状トレー状の容器本体2の4つの入隅(四隅)部分に該当する外端210の4つの斜辺21cからは、上辺22cが斜辺21cと同じ長さの縦長な長方形状(四角形状)の側面22-5,22-6,22-7,22-8が形成されている。
【0043】
ここで、組立後の容器本体2は、前述のように、全ての側面22が上方へ行くに従って拡がるように傾斜している(
図1のα1,α2が鈍角)。よって、本来であれば、容器本体2の内面の四隅に位置する側面22-5,22-6,22-7,22-8も、傾斜角度に合わせて上辺22cが長い逆台形状にする必要がある。しかし、本実施形態に係る組立前のブランクシート20では、あえて側辺が底辺(斜辺21c)となす角を直角(90°)にして、上辺22cと斜辺21cを同じ長さにし、前述の隙間24を形成している。
【0044】
このように、四隅に位置する側面22-5~22-8を、側辺が底辺(斜辺21c)となす角が直角となった長方形状(矩形状)とすることにより、ブランクシート20を設計する際の上辺22cの傾斜角度(
図1のα1,α2)に応じた長さの細かな計算を省力化することができる。また、ブランクシート20を設計する上で重なり易い上端フランジ23のレイアウトの自由度を向上させることができ、切断加工が困難な複雑な形状とすることを回避することができる。
【0045】
また、四隅に位置する側面22-5~22-8を長方形状(矩形状)とすることにより、隣接する側面22同士の間に全て隙間24が形成されることになる。
【0046】
そして、側面22-1,22-2の外側には、組立後の矩形枠状の上端フランジ23の長辺枠部分となるフランジ片23aがそれぞれ形成されている。このフランジ片23aは、その上端部分が上端フランジ23の外縁230となり、側面22-1,22-2の上辺22aと接続する部分が内縁231となる。そして、このフランジ片23aは、側面22-1,22-2の左右一対の側辺から外側へ張り出した一対のコーナー片23bを有している。このコーナー片23bは、後述のコーナー片23dと合わせて上端フランジ23のコーナー部232を構成する。また、このコーナー片23bの側端234は、直線状となっている。
【0047】
側面22-3,22-4の外側には、組立後の矩形枠状の上端フランジ23の短辺枠部分となるフランジ片23cがそれぞれ形成されている。このフランジ片23cは、その上端部分が上端フランジ23の外縁230となり、側面22-3,22-4の上辺22bと接続する部分が内縁231となる。そして、このフランジ片23cは、側面22-3,22-4の左右一対の側辺から外側へ張り出した一対のコーナー片23dを有している。上端フランジ23のコーナー部232の半分を構成するとともに、その側端235は、直線状となっている。
【0048】
そして、側面22-5,22-6,22-7,22-8の外側には、円弧状のコーナー下部片23eが形成されている。このコーナー下部片23eは、組立後の上端フランジ23のコーナー部232を構成する前述のコーナー片23b,23d同士を接着して接続するとともに下方から支える機能を有している。
【0049】
このように、コーナー片23b,23dをコーナー下部片23eで貼り合わせて下から支える構成であるため、上端フランジ23の上面が面一となっているとともに、トップシールを剥がす際に必要な強度を充分に担保している。
【0050】
このため、上端フランジ23に必要な強度を確保しつつ1つのブランクシート20から上面に段差のない容器本体2とすることができ、トップシール(シーラント)をイージーピールシーラントとすることがさらに容易となる。
【0051】
また、側面22(22-1~8)と、フランジ片23a,23c及びコーナー下部片23eとの境となる上辺22a,22b,22c(上端220)には、ミシン目状に所定間隔をあけて離間した切込み233が形成されている。本実施形態に係る切込み233は、上辺22a,22b,22cのいずれにも側辺に接する部分には設けられておらず、端(側辺)から所定間隔離間した位置から切込み233が形成されている。
【0052】
(樹脂フィルム)
樹脂フィルム3は、容器本体2の内面に溶着可能な熱可塑性樹脂からなる単層又は複層の50~500μm厚程度のフィルムであり、液体などの流動物を含む食品などの内容物が外部へ漏れ出さないようにする機能を有している。
【0053】
熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)、ポリプロビレン(PP)、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート(PET)、エチレン-酢酸ビニル共重合体(EVA)、エチレン-アクリル共重合体、ポリアミド、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリブテン、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。その他の熱可塑性樹脂としては、生分解性樹脂やバイオポリエチレン、植物由来樹脂なども含まれる。但し、樹脂フィルム3に使用される樹脂フィルムは、使用後に紙製の容器本体2と分別して廃棄することを考えると、イージーピール性を持つフィルムが好ましい。
【0054】
また、本実施形態に係る樹脂フィルム3は、ガスバリア層などが樹脂層間に間挿又は樹脂層の片面に蒸着されたガスバリアフィルムであることが好ましい。MAP包装などが可能となり、容器の内容物の鮮度保持や賞味期限延長が可能となるからである。
【0055】
ここで、ガスバリア層としては、アルミニウム等の金属が蒸着された金属薄膜、無機化合物の蒸着膜である無機化合物膜などが挙げられる。勿論、ガスバリア層は、封入する内容物に応じて二酸化炭素や酸素などの所望の気体を一定以上透過させないガスバリア機能があれば、特に素材等が限定されるものではない。
【0056】
この樹脂フィルム3は、後述のように、容器本体2に所定の温度で真空圧空形成により吸引圧着されて被覆されている。勿論、樹脂フィルム3の容器本体2への被覆は、真空圧空形成に限られず、真空成形や圧空形成で被覆することも可能である。但し、樹脂フィルム3の容器本体2への被覆は、密着性が高い方がよいので、真空圧空形成により被覆することが好ましい。
【0057】
また、樹脂フィルム3を被覆する容器本体2には、前述のように、側面22同士が、近接又は当接する入隅に隙間24が形成されている。このため、真空圧空形成時に、容器本体2と樹脂フィルム3との間に残存する空気があった場合でも、隙間24が押し開らかれて、瞬時に吸引することができる。
【0058】
よって、
図1に示すように、樹脂フィルム3が容器本体2に熱溶着される際に、この隙間24に一部入り込んで入隅線30が形成され、容器本体2の入隅においても樹脂フィルム3との密着性が格段に向上する。なお、圧空形成(又は真空形成)であっても、隙間24から容器本体2と樹脂フィルム3との間に残存する空気が逃げることは明らかである。
【0059】
その上、樹脂フィルム3を被覆する容器本体2は、前述のように、上端フランジ23の外縁230が、ブランクシート20を切り放したままの切断面となっており、段ボール紙の端面が露出している。このため、樹脂フィルム3を被覆すると、段ボール紙の端面のコルゲート状の隙間に樹脂が食い込んで引掛り片31が形成される。
【0060】
このため、上端フランジ23において、樹脂フィルム3の上にトップシールを被覆した場合、トップシールを引き剥がす際の初期強度が向上する。また、この樹脂の食い込みからなる引掛り片31は、樹脂フィルム3の外縁の角部を持ち上げることにより簡単に引掛りを外すことができるため、分別に際に引き剥がすことも容易である。
【0061】
さらに、樹脂フィルム3を被覆する容器本体2は、前述のように、上端フランジ23の内縁231にミシン目状の切込み233が形成され、そこから段ボール紙の端面が露出している。このため、樹脂フィルム3を被覆すると、段ボール紙の端面のコルゲート状の隙間に樹脂が食い込んで引掛り片32が形成され、この引掛り片32で外縁230の引掛り片31と合わせて、上端フランジ23を挟持することとなる。
【0062】
このため、最も高い密着性が要求される上端フランジ23において容器本体2と樹脂フィルム3との密着性がさらに向上する。また、これらの引掛り片31,32で上端フランジ23を挟持する場合でも、樹脂フィルム3の外縁の角部を持ち上げることにより簡単に引掛りを外すことができるため、分別に際の引き剥がしも容易となる。
【0063】
<組立紙容器の製造方法>
次に、
図5を用いて、本発明の実施形態に係る組立紙容器の製造方法について説明する。前述の組立紙容器1を製造する場合を例示して説明する。
【0064】
(1)ブランクシート切断工程
先ず、本実施形態に係る組立紙容器の製造方法では、前述のブランクシート20を切断形成するブランクシート切断工程を行う。
【0065】
具体的には、本工程では、前述の形態のブランクシート20を切断してシート状の紙から切り出す。このとき、上端フランジ23の組立後の外縁230又は内縁231を構成しない側端234、235が直線状になるように切断する。これと同時に、八角形状の底面21の外端210に沿って、製函の際に谷折りを行う窪みを形成するとともに、各側面22の上端220に沿って、製函の際に山折りを行う前述のミシン目状の切込み233を形成する。
【0066】
(2)製函工程
次に、本実施形態に係る組立紙容器の製造方法では、前工程で切り出した前述のブランクシート20からトレー状の容器本体2を組立てる製函工程を行う。
【0067】
具体的には、本工程では、製函機(ケースフォーマー)等にブランクシート20を装填し、一気に容器本体2を組立てる。このとき、前述のコーナー下部片23eが先に折り曲げられ、その直後にコーナー片23b,23dが折り畳まれて、コーナー片23b,23dがコーナー下部片23eで貼り合わされるように設定する。
【0068】
そして、ブランクシート20の底面21から複数の側面22を立ち上げ、これらの複数の側面22の上部を折り返して直線状の側端234、235同士を当接させて、上面に段差のない面一となった上端フランジ23を組立てる。
【0069】
また、本工程では、組立後の容器本体2において側面22同士が近接又は当接する入隅に隙間24が形成されるように組立てる。具体的には、組立前のブランクシート20において側辺が底辺となす角が直角となった側面22と、側辺が底辺となす角が鈍角(α1又はα2)となった側面22を組み合わせ、ブランクシート20を折り畳んで隙間24が形成された容器本体2を製函する。
【0070】
さらに、本工程では、段ボール紙からなるブランクシート20を、上端フランジ23の外縁230に段ボール紙の端面が露出するように組立てるとともに、切込み233から段ボール紙の端面が露出するように折り返す。
【0071】
(3)樹脂フィルム被覆工程
次に、本実施形態に係る組立紙容器の製造方法では、前工程で製函した容器本体2の内面に、熱圧着機(ラミ圧着機)等で樹脂フィルム3を真空圧空形成により被覆する樹脂フィルム被覆工程を行う。勿論、真空圧空形成に代えて、真空成形、又は圧空形成とすることもできる。
【0072】
このとき、前工程で形成した隙間24から容器本体2と樹脂フィルム3との間の空気を吸引して樹脂フィルム3を被覆する。このため、真空圧空形成時に隙間24が押し開らかれることにより、容器本体2と樹脂フィルム3との間に残存する空気が速やかに吸引されることになり、容器本体2と樹脂フィルム3の密着性が格段に向上する。
【0073】
これに対して、従来の真空圧空形成では、特許文献3に記載されているように、樹脂フィルムを溶着する前の容器本体の素材、即ちブランクシートを構成する紙(ボール紙)を透過させて空気を抜いて樹脂フィルムを被覆していた。
【0074】
本実施形態に係る組立紙容器の製造方法では、製函工程において、隙間24を形成することにより、本工程において、樹脂の素材や接着樹脂のプリントパターンに頼ることなく、容器本体2と樹脂フィルム3の密着性を向上させることができることとなる。
【0075】
また、本工程では、上端フランジ23の外縁230に露出する段ボール紙の端面に樹脂フィルム3が食い込むように被覆する。このため、段ボール紙の端面のコルゲート状の隙間に樹脂が食い込んで引掛り片31が形成される。
【0076】
さらに、本工程では、切込み233から露出する段ボール紙の端面にも樹脂フィルム3が食い込むように被覆する。このように被覆することにより、段ボール紙の端面のコルゲート状の隙間に樹脂が食い込んで引掛り片32が形成される。よって、外縁230の引掛り片31と合わせて、上端フランジ23を樹脂フィルム3の食い込みである引掛り片31,32で挟持することができる。
【0077】
(4)トリミング工程
その後、本実施形態に係る組立紙容器の製造方法では、トップシールTSを樹脂フィルム3の上に貼り付け、樹脂フィルム3とトップシールTSを同時にトリミングするトリミング工程を行う。このとき、引掛り片31を含んだ縁が残るように上端フランジ23から外側へ所定幅残してトリミングを行う。つまり、上端フランジ23からはみ出た不要な樹脂フィルム3及びトップシールTSを上端フランジ23の外縁230に沿って切断して除去する。本実施形態では、外縁230から外側に2~3mm幅残しで切断している。但し、
図2(b)に示すように、剥がし易いようにトップシールTSだけベロ部分Bを残して切断してもよいし、トップシールTSと樹脂フィルム3のいずれもベロ部分Bを残しても構わない。
【0078】
本工程の終了により、本実施形態に係る組立紙容器の製造方法が完了する。
【0079】
以上説明した本実施形態に係る組立紙容器1及びその製造方法によれば、容器本体2の入隅においても樹脂フィルム3との密着性が向上する。このため、樹脂フィルム3の上に被覆するトップシール(シーラント)を剥がす際に、樹脂フィルム3が一緒に剥がれてしまうことがない。よって、トップシール(シーラント)をイージーピールシーラントとする際の素材選択や接着剤の選択における条件が緩和され、選択性が向上することにより、安価に製造することが可能となる。
【0080】
その上、MAP包装などを適用してガスバリアフィルムでシールすることが容易となり、チルド保存時の強度劣化にも対応することが可能となる。また、樹脂の素材や接着樹脂のプリントパターンに頼ることなく、容器本体2と樹脂フィルム3の密着性を向上させることができるため、その分、分別の際に簡単に剥がせるように接着力を調整することが容易となる。それに加え、容器本体2が紙製のGフルートと呼ばれる薄手の段ボール紙からなるため、美麗印刷や定位置印刷が容易となり、デザイン性が向上する。
【0081】
以上、本発明の実施形態に係る組立紙容器及びその製造方法について詳細に説明したが、前述した又は図示した実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたって具体化した一実施形態を示したものに過ぎない。よって、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0082】
特に、ブランクシート20の紙の種類や樹脂フィルム3の樹脂の種類や容器本体2の形態(寸法)などはは、例示したものに限られず、容器に収容する内容物の種類や用途に応じて適宜選択されるものである。また、容器本体2の内面に樹脂フィルム3を被覆したものを例示して説明したが、外面にも樹脂フィルムを被覆して積層してもよいことは云うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
1:組立紙容器
2:容器本体
20:ブランクシート
21:底面
210:外端
21a:長辺
21b:短辺
21c:斜辺
22(22-1~8):側面
220:上端
22a,22b,22c:上辺
23:上端フランジ
230:外縁
231:内縁
232:コーナー部
233:切込み
234,235:側端
23a,23c:フランジ片
23b,23d:コーナー片
23e:コーナー下部片
24:隙間
3:樹脂フィルム
30:入隅線
31,32:引掛り片