(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G03B 17/08 20210101AFI20220613BHJP
B60R 1/20 20220101ALI20220613BHJP
G03B 11/04 20210101ALI20220613BHJP
G03B 15/00 20210101ALI20220613BHJP
G03B 17/02 20210101ALI20220613BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G03B17/08
B60R1/20
G03B11/04 C
G03B15/00 V
G03B17/02
H04N5/225 100
H04N5/225 430
(21)【出願番号】P 2018104285
(22)【出願日】2018-05-31
【審査請求日】2021-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】特許業務法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 広幸
(72)【発明者】
【氏名】高橋 雄介
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸 直人
(72)【発明者】
【氏名】二神 拓也
(72)【発明者】
【氏名】堀江 勝大
(72)【発明者】
【氏名】鴨 雄史
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博章
【審査官】登丸 久寿
(56)【参考文献】
【文献】特表2003-525165(JP,A)
【文献】特開2008-151532(JP,A)
【文献】国際公開第2014/017405(WO,A1)
【文献】特開2017-156379(JP,A)
【文献】特開2001-171491(JP,A)
【文献】特開2006-231988(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 17/08
B60R 1/20
G03B 11/04
G03B 15/00
G03B 17/02
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
列車の
前端部に
前方に向けて設けられる
行先の表示装置であって、
筐体と、
前記筐体内に設けられ、画像を表示する表示部と、
前記筐体内の前記表示部の両側に設けられた一対のカメラユニットと、
前記カメラユニットの撮像
対象側を覆い、親水性の材料を含む親水部材と、
を備え
、
前記カメラユニットは、レンズ及び前記レンズの撮像対象側に設けられたレンズフードを有し、
前記表示部は、一方の前記カメラユニットの前記レンズフードと、他方の前記カメラユニットの前記レンズフードとの間に設けられている表示装置。
【請求項2】
前記カメラユニットは、前記親水部材の面のうち、前記カメラユニットの撮像
対象側の面に気体を排気するブロワーを更に備える請求項
1に記載の表示装置。
【請求項3】
予め記憶装置に記憶されたルートデータベース及び行先データに基づいて、
行先ルート上において列車が停車する駅を判定して、停車駅の設定領域に達すると監視領域を
ホーム側に設定するカメラ制御部を更に備える請求項1
または請求項2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
実施形態は、表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
列車等の移動体の前方を撮像するための一対のカメラユニットを有するステレオカメラ装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動体の遠方を撮像するためには、カメラユニット間の間隔を大きくする必要があるため、ステレオカメラ装置の設置場所が限定される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、実施形態の表示装置は、列車の前端部に前方に向けて設けられる行先の表示装置である。表示装置は、筐体と、表示部と、カメラユニットと、親水部材と、を備える。表示部は、前記筐体内に設けられ、画像を表示する。一対のカメラユニットは、前記筐体内の前記表示部の両側に設けられている。親水部材は、前記カメラユニットの撮像対象側を覆い、親水性の材料を含む。また、カメラユニットは、レンズ及びレンズの撮像対象側に設けられたレンズフードを有する。そして、表示部は、一方のカメラユニットのレンズフードと、他方のカメラユニットのレンズフードとの間に設けられている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる表示装置が搭載された移動体の正面図である。
【
図2】
図2は、カメラユニットの近傍の正面図である。
【
図3】
図3は、
図2のIII-III線に沿ったカメラユニットの縦断面図である。
【
図4】
図4は、表示装置の制御系を説明するブロック図である。
【
図5】
図5は、カメラ制御部が実行する撮像処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の例示的な実施形態や変形例には、同様の構成要素が含まれている。よって、以下では、同様の構成要素には共通の符号が付されるとともに、重複する説明が部分的に省略される。実施形態や変形例に含まれる部分は、他の実施形態や変形例の対応する部分と置き換えて構成されることができる。また、実施形態や変形例に含まれる部分の構成や位置等は、特に言及しない限りは、他の実施形態や変形例と同様である。
【0008】
<実施形態>
図1は、実施形態にかかる表示装置10が搭載された移動体90の正面図である。
図1に示すように、移動体90は、例えば、電車等を含む列車である。表示装置10は、移動体90の端部に設けられている。表示装置10は、例えば、移動体90の前端部に前方へ向けて設けられている。表示装置10は、画像を表示するとともに、移動体90の前方の人及び障害物等の対象物を撮像して、距離算出等のための視差のある画像を生成する。
【0009】
表示装置10は、筐体12と、表示部13と、一対のカメラユニット14a、14bと、親水部材16とを備える。以下の説明において、カメラユニット14a、14bを区別する必要がない場合、カメラユニット14と記載する。
【0010】
筐体12は、例えば、移動体90の前端部の上部に設置されている。筐体12は、例えば、中空の直方体形状に構成されている。筐体12の前面の中央部には、四角い表示窓12bが形成されている。筐体12の前面の左右の両端部には、円形状の一対の円形穴12aが形成されている。筐体12は、各円形穴12aからカメラユニット14が露出するように、一対のカメラユニット14を内部に収容して保持する。
【0011】
表示部13は、移動体90の行先等を示す画像を表示する行先表示装置として機能する。表示部13は、左右方向において、筐体12の中央部であって、表示窓12bの後方に設けられている。表示部13は、前方に向けて設置されている。表示部13は、例えば、LED(Light Emitting Diode)をバックライトとする液晶表示装置または有機EL(Electro Luminescence)表示装置等の画像表示装置であってよい。表示部13は、移動体90の行先を示す文字等の画像を表示する。
【0012】
一対のカメラユニット14a、14bは、ステレオカメラとして機能する。カメラユニット14a、14bは、左右方向において、筐体12の左右の端部近傍であって、円形穴12aの後方に設けられている。即ち、一対のカメラユニット14a、14bは、左右方向において、表示部13の両側に設けられている。カメラユニット14a、14bは、前方に向けて設置され、移動体90の前方の対象物を撮像して、撮像画像のデータを出力する。
【0013】
親水部材16は、光を透過可能なガラス等の部材を含み平面状に構成されている。親水部材16は、筐体12の円形穴12aを塞ぐように設けられている。これにより、親水部材16は、カメラユニット14の撮像側を覆う。親水部材16の撮像側の面は、親水性の材料を含む。例えば、親水部材16の撮像側の面は、親水基が表面に露出し、防曇効果を有する親水フィルム等によって覆われている。これにより、親水部材16は、カメラユニット14の撮像側が水滴等によって遮られることを抑制する。
【0014】
図2は、カメラユニット14の近傍の正面図である。
図3は、
図2のIII-III線に沿ったカメラユニット14の縦断面図である。
図2において、レンズフード32は省略されている。
図2及び
図3に前後左右上下方向を矢印で示す。
【0015】
図2及び
図3に示すように、筐体12は、筐体本体20と、ステー22とを有する。
【0016】
筐体本体20は、中空の直方体形状に構成されている。筐体本体20は、移動体90の前端部に固定されるとともに、カメラユニット14を収容し保持する。筐体本体20の外周面は、光を反射しない黒色等で着色されていることが好ましい。
【0017】
ステー22は、筐体本体20に固定されている。尚、ステー22は、筐体本体20に一体化されて固定されていてもよい。ステー22は、筐体本体20の左右の両端部の近傍にわたって延びる。ステー22は、長手方向(ここでは、左右方向)の両端部で、各カメラユニット14を保持する。即ち、1個のステー22が、2個のカメラユニット14を保持する。ステー22の両端部近傍の上面には、上下方向に延びて上面を貫通する複数(例えば、4個)の貫通穴22aが形成されている。貫通穴22aはカメラユニット14を固定するための穴である。ステー22の上面には、カメラユニット14の回転を規制するための一対の凹部24が設けられている。凹部24は、後述するカメラユニット14のレンズ42の光軸92に沿って延びる溝であってよい。
【0018】
カメラユニット14は、レンズユニット30と、レンズフード32と、レンズマウント34と、制御ユニット36と、放熱部38と、ブロワー39と、ネジ等の複数の固定具40とを備える。
【0019】
レンズユニット30は、複数のレンズ42と、レンズ鏡胴44とを有する。
【0020】
複数のレンズ42は、互いの光軸92を揃えて、光軸92に沿って配列されている。尚、レンズ42は、1個であってもよい。一方のカメラユニット14の光軸92と他方のカメラユニット14の光軸92は、例えば、数百m(例えば、300m)前方で交差する。
【0021】
レンズ鏡胴44は、中空の筒状に構成されている。レンズ鏡胴44は、中空領域で複数のレンズ42を保持する。レンズ鏡胴44の後面には、ネジ溝が設けられた複数(例えば、4個)の保持孔44aが形成されている。保持孔44aは、例えば、レンズ鏡胴44の四隅のそれぞれの近傍に設けられている。レンズ鏡胴44は、保持孔44aに固定された複数(例えば、4個)の固定具40によってレンズマウント34に保持される。これにより、複数のレンズ42を含むレンズユニット30がレンズマウント34に保持される。
【0022】
レンズフード32は、前方以外からレンズ42に入射する光を遮光する。レンズフード32は、中空の部分円錐形状に構成されている。レンズフード32の外周部は、例えば、光を遮光し反射しない黒色に構成されている。レンズフード32は、レンズユニット30の前端部と筐体12の円形穴12aとの間に設けられている。即ち、レンズフード32は、レンズユニット30のレンズ42の撮像側に設けられている。レンズフード32は、前後方向において、表示部13と重複する位置に配置されている。換言すれば、表示部13は、一方のカメラユニット14aのレンズフード32と他方のカメラユニット14bのレンズフード32との間に設けられている。これにより、レンズフード32は、表示部13が画像として出力している光がレンズ42に入射することを抑制する。
【0023】
レンズマウント34は、筐体12に固定され、一方の側の面(例えば、前面)でレンズユニット30を保持するとともに、一方の面と対向する他方の側の面(例えば、後面)で後述する制御ユニット36の制御基板52を保持する。レンズマウント34は、筐体12のステー22に固定される。
【0024】
レンズマウント34は、例えば、中空の直方体形状に構成されている。レンズマウント34の中空領域は、光軸92の方向においてレンズマウント34を貫通する。レンズマウント34の中空領域は、レンズ鏡胴44の中空領域に対応して設けられている。従って、レンズマウント34がレンズユニット30を保持した状態では、レンズマウント34の中空領域は、レンズ鏡胴44の中空領域と連なる。
【0025】
レンズマウント34には、複数(例えば、4個)の貫通穴34aが形成されている。貫通穴34aは、レンズマウント34の四隅の近傍であって、レンズ鏡胴44の保持孔44aに対応付けて設けられている。貫通穴34aは、レンズマウント34を前後方向に貫通する。貫通穴34aには、先端が保持孔44aのネジ溝に嵌め合された複数(例えば、4個)の固定具40が通される。これにより、レンズマウント34は、レンズユニット30を保持する。
【0026】
レンズマウント34の下面には、ネジ溝が形成された複数の固定穴34bが形成されている。固定穴34bは、ステー22の貫通穴22aに対応している。レンズマウント34は、固定穴34bのネジ溝に嵌め合された複数(例えば、4個)の固定具40によって、ステー22を介して取り外し可能に筐体12に固定される。
【0027】
レンズマウント34の下面には、凸部46が設けられている。凸部46は、レンズマウント34の下面から突出している。凸部46は、レンズ42の光軸92に沿って延びる。凸部46は、凹部24に対応し、凹部24に嵌められるように設けられている。レンズマウント34がステー22に固定されると、凸部46が凹部24に嵌め込まれる。これにより、凹部24及び凸部46は、例えば、レンズ42の光軸92と交差する方向である交差方向の周りにおけるカメラユニット14の回転を規制する。交差方向は、光軸92と交差し、一対のカメラユニット14の配列された方向(ここでは、左右方向)と交差する方向であってよい。この場合、交差方向は、鉛直方向となる。従って、凹部24及び凸部46は、鉛直方向の周りにおけるカメラユニット14の回転を規制する。
【0028】
制御ユニット36は、対象物を撮像して画像データを生成するとともに、カメラユニット14を制御する。制御ユニット36は、撮像素子48と、カメラ制御部50と、制御基板52とを有する。
【0029】
撮像素子48は、CMOS(Complementary Metal-Oxide Semiconductor)イメージセンサまたはCCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサ等の半導体素子であってよい。撮像素子48は、レンズマウント34の中空領域内であって、レンズ42の光軸92上に配置されている。撮像素子48は、レンズ42を通過した光を画像生成用の電気信号に変換して生成した画像データをカメラ制御部50へ出力する。
【0030】
カメラ制御部50は、カメラユニット14の制御全般を司る。
【0031】
制御基板52は、レンズマウント34に保持されるとともに、撮像素子48及びカメラ制御部50を保持する。制御基板52には、撮像素子48とカメラ制御部50とを電気的に接続する配線が設けられている。制御基板52は、第1保持部54と、第2保持部56とを有する。
【0032】
第1保持部54は、例えば、鉛直面に平行な板状に構成され、レンズマウント34の他方の側の面(例えば、後面)に保持されている。第1保持部54には、前後方向に貫通する複数(例えば、4個)の貫通穴54aが形成されている。貫通穴54aは、レンズマウント34の貫通穴34a及びレンズユニット30の保持孔44aに対応する位置に設けられている。従って、制御基板52がレンズマウント34に保持された状態では、貫通穴54aはレンズマウント34の貫通穴34a及びレンズユニット30の保持孔44aと連なる。制御基板52は、貫通穴34a、54aに通されて保持孔44aのネジ溝に嵌め合された複数(例えば、4個)の固定具40によって、レンズマウント34の面のうち、レンズユニット30が保持される面と対向する面であるレンズマウント34の他方の側の面に固定される。
【0033】
第1保持部54のレンズマウント34側の面である前面は、撮像素子48を保持する。第1保持部54は、撮像素子48を接着剤等によって保持してもよく、ネジ等によって保持してもよい。
【0034】
第2保持部56は、水平面に平行な板状に構成されている。即ち、第2保持部56は、第1保持部54と交差する面で構成されている。第2保持部56の一端(例えば、後端)は、第1保持部54の一端(例えば、上端)と連結されている。即ち、第2保持部56は、第1保持部54と一体化されている。
【0035】
第2保持部56は、レンズユニット30及びレンズマウント34の上方に配置されている。第2保持部56のレンズユニット30及びレンズマウント34側の面(例えば、下面)は、カメラ制御部50を保持する。第2保持部56は、カメラ制御部50を接着剤等によって保持してもよく、ネジ等によって保持してもよい。ここで、第2保持部56は、レンズユニット30及びレンズマウント34と、カメラ制御部50との間に間隙が形成されるように配置されている。
【0036】
放熱部38は、カメラ制御部50から発生した熱を放熱する。放熱部38は、放熱シート60と、一対の側面部64a、64bと、放熱部材66とを有する。
【0037】
放熱シート60は、カメラ制御部50が保持されている面とは反対側の第2保持部56の面(例えば、上面)に設けられている。放熱シート60は、第2保持部56と放熱部材66との接触を向上させる。
【0038】
一対の側面部64a、64bは、鉛直面に平行な板状に構成されている。一対の側面部64a、64bの下端部は、筐体12のステー22に固定されている。一方の側面部64aは、光軸92と交差する方向であって、水平方向と平行な方向において、レンズユニット30及びレンズマウント34の一方の側(例えば、右側)に配置されている。他方の側面部64bは、光軸92と交差する方向であって、水平方向と平行な方向において、レンズユニット30及びレンズマウント34の他方の側(例えば、左側)に配置されている。即ち、一方の側面部64aは、他方の側面部64bに対してレンズユニット30及びレンズマウント34の反対側に配置されている。
【0039】
放熱部材66は、カメラ制御部50が発した熱を放熱する。放熱部材66は、水平面に平行な板状に構成されている。放熱部材66の一端部は一方の側面部64aの上端部に連結されている。放熱部材66の他端部は他方の側面部64bの上端部に連結されている。即ち、放熱部材66及び側面部64a、64bは、一体化され、前後方向の面及び下面が開口した中空の直方体形状に構成される。放熱部材66は、制御ユニット36の第2保持部56の上側に設けられている。放熱部材66の面のうち、カメラ制御部50側の面である下面は、放熱シート60と接触している。これにより、放熱部材66には、カメラ制御部50の熱が放熱シート60を介して効率よく伝達される。放熱部材66の上面は、放熱シート60を介して伝達されたカメラ制御部50の熱を上方へと放熱する。
【0040】
ブロワー39は、例えば、複数のセラミックの振動によって気体を噴出する半導体方式のエアブロワーである。ブロワー39は、筐体12の内部のカメラユニット14の上方に設けられている。気体を排気するブロワー39の排気口39aは、カメラユニット14の撮像側に設けられた親水部材16の外側まで延びる。これにより、ブロワー39は、親水部材16の面のうち、カメラユニット14の撮像側の面へ気体を排気して、親水部材16に付着した埃等を除去する。
【0041】
図4は、表示装置10の制御系を説明するブロック図である。
【0042】
図4に示すように、移動体90は、情報処理装置68を備える。情報処理装置68は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びGPU(Graphics Processing Unit)等のハードウェアプロセッサと、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、SSD(Solid State Drive)及びHDD(Hard Disk Drive)等の記憶装置とを有するコンピュータであってよい。情報処理装置68は、移動体90の制御全般を司る。情報処理装置68は、例えば、行先ルートに沿った移動体90の行先、停車駅及び行先ルート等を表示部13に表示させる行先データの入出力等を制御する。
【0043】
表示装置10は、表示制御部70を更に備える。表示制御部70及びカメラ制御部50は、ネットワーク72を介して、情報処理装置68とデータ等を入出力可能に接続されている。
【0044】
表示制御部70は、例えば、CPU及びGPU等のハードウェアプロセッサと、ROM、RAM、SSD及びHDD等の記憶装置とを有するコンピュータであってよい。表示制御部70は、表示部13を制御して画像を表示させる。例えば、表示制御部70は、情報処理装置68から行先データを取得して、当該行先データが示す行先等に関する情報を表示部13に表示させる。
【0045】
カメラ制御部50は、例えば、CPU及びGPU等のハードウェアプロセッサと、ROM、RAM、SSD及びHDD等の記憶装置とを有するコンピュータであってよい。カメラ制御部50は、撮像素子48、及び、ブロワー39を含むカメラユニット14の制御全般を司る。例えば、カメラ制御部50は、情報処理装置68が出力した行先データに基づいて、撮像素子48が撮像した撮像画像内に、移動体90の前方の人及び障害物等の対象物を監視するための監視領域を設定する。具体的には、カメラ制御部50は、停車駅の周辺に予め設定された設定領域内に移動体90が達すると、撮像画像内の停車駅のホーム側に監視領域を設定する。停車駅は、移動体90の行先ルート上の全ての駅ではなく、移動体90が実際に停車する駅である。設定領域は、停車駅の数十mまたは数百m手前から停車駅の数十m先であってよい。従って、カメラ制御部50は、予め記憶装置に記憶されたルートデータベース及び行先データに基づいて、行先ルート上において移動体90が停車する駅を判定して、停車駅の設定領域に達すると監視領域をホーム側に設定する。カメラ制御部50は、行先データを情報処理装置68から取得してもよく、表示制御部70から取得してもよい。一方、カメラ制御部50は、移動体90が設定領域外である場合、撮像画像内において移動体90の前方に対応する領域を監視領域に設定する。例えば、カメラ制御部50は、移動体90が設定領域外である場合、撮像画像の中央を監視領域として設定してよい。
【0046】
図5は、カメラ制御部50が実行する撮像処理のフローチャートである。
【0047】
図5に示すように、撮像処理では、カメラ制御部50は、情報処理装置68が出力した行先データを情報処理装置68または表示制御部70から取得したか否かを判定する(S102)。カメラ制御部50は、行先データを取得するまで待機状態となる(S102:No)。カメラ制御部50は、行先データを取得すると(S102:Yes)、ルートデータベース及び行先データに基づいて、移動体90の行先ルートを設定する(S104)。カメラ制御部50は、行先ルートに基づいて、移動体90が各駅停車か否かを判定する(S106)。カメラ制御部50は、移動体90が各駅停車であると判定すると(S106:Yes)、行先ルート上の駅が全て停車駅になるので、ステップS108を実行することなく、ステップS110以降を実行する。カメラ制御部50は、移動体90が各駅停車でないと判定すると、即ち、急行、快速及び特急等と判定すると(S106:No)、行先ルート上の駅のうち停車駅を判定する(S108)。
【0048】
カメラ制御部50は、撮像素子48が撮像した撮像画像内における移動体90の前方に対応する領域を監視領域に設定して(S110)、撮像画像のデータを情報処理装置68へ出力する(S112)。カメラ制御部50は、停車駅の設定領域内に移動体90が達したか否かを判定する(S114)。カメラ制御部50は、例えば、GNSS(Global Navigation Satellite System)端末から位置情報を取得して、移動体90が設定領域内に達したか否かを判定してよい。カメラ制御部50は、移動体90が設定領域に達するまで、ステップS112以降を繰り返す(S114:No)。カメラ制御部50は、移動体90が停車駅の設定領域に達したと判定すると(S114:Yes)、撮像画像内において、停車駅のホーム側に監視領域を設定し(S116)、撮像画像のデータを情報処理装置68へ出力する(S118)。
【0049】
カメラ制御部50は、移動体90が停車駅の設定領域から離脱したか否かを判定する(S120)。カメラ制御部50は、移動体90が設定領域から離脱するまで、ステップS118以降を繰り返す(S120:No)。この待機状態において、カメラ制御部50は、監視領域を停車駅のホーム側に維持する。カメラ制御部50は、移動体90が停車駅の設定領域内を離脱したと判定すると(S120:Yes)、撮像画像内において移動体90の前方に応じた領域を監視領域に設定した後、ステップS114以降を繰り返す。この後、カメラ制御部50は、移動体90が運行を終了するまでステップS110からS120を繰り返す。
【0050】
情報処理装置68は、カメラ制御部50から撮像画像のデータを取得すると、監視領域内の人及び障害物等を検出して、当該検出結果に基づいて、警告または制動等の制御を実行する。
【0051】
表示制御部70は、情報処理装置68が出力した行先データに基づいて、表示部13に行先等を表示させる。
【0052】
上述したように、表示装置10は、移動体90の行先を表示する表示部13と、一対のカメラユニット14とを筐体12内に設けたので、小型化を実現するとともに、移動体90内における一対のカメラユニット14を含む表示装置10の設置場所の自由度を向上させることができる。これにより、一対のカメラユニット14a、14bを有する表示装置10を移動体90に容易に設置することができる。
【0053】
表示装置10は、カメラユニット14の撮像側の面を覆う親水性の材料を含む親水部材16を有する。これにより、親水部材16は、水分の付着を抑制できる。この結果、カメラユニット14は、水分等に遮られることなく移動体90の前方を撮像して、鮮明な画像を生成できる。
【0054】
表示装置10では、一対のカメラユニット14のレンズフード32間に表示部13が設けられている。これにより、表示装置10は、表示部13のLED等のバックライトから出力される画像の光がカメラユニット14に入射することをレンズフード32によって抑制できる。この結果、表示装置10は、表示部13の画像の光によって、カメラユニット14が撮像した画像の劣化を低減できる。
【0055】
表示装置10は、親水部材16の面のうち、カメラユニット14の反対側の面に気体を排気するブロワー39を備える。これにより、表示装置10は、親水部材16の当該面に付着した埃等を除去することができる。また、表示装置10は、気体によって埃等を除去することにより、除去による親水部材16の表面の傷を低減できる。
【0056】
表示装置10は、行先表示をするための行先データによって、撮像画像内に監視領域を設定するカメラ制御部50を備える。これにより、表示装置10は、停車駅のホーム側に監視領域を設定できるので、画像処理の負荷を低減しつつ、監視の効率を向上させることができる。
【0057】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0058】
上述の実施形態では、移動体90が列車である例を挙げてが、移動体90は列車以外のバス等の車両であって、エンジン及びモータ等を有する駆動源を有する車両であってよい。
【0059】
上述の実施形態では、親水部材16がカメラユニット14の撮像側を覆う例を示したが、親水部材はカメラユニット14の撮像側とともに、表示部13の表示側を覆うように設けられてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10:表示装置、 12:筐体、 13:表示部、 14:カメラユニット、 16:親水部材、 30:レンズユニット、 32:レンズフード、 39:ブロワー、 39a:排気口、 42:レンズ、 44:レンズ鏡胴、 48:撮像素子、 50:カメラ制御部、 68:情報処理装置、 70:表示制御部、 90:移動体。