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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】クラッチユニット、日射遮蔽装置
(51)【国際特許分類】
   A47H 5/032 20060101AFI20220613BHJP
【FI】
A47H5/032
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2018146640
(22)【出願日】2018-08-03
(65)【公開番号】P2020018765
(43)【公開日】2020-02-06
【審査請求日】2021-06-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000109923
【氏名又は名称】トーソー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】足立 剛範
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-151158(JP,A)
【文献】特開2005-180572(JP,A)
【文献】特開平01-317408(JP,A)
【文献】特開平05-231449(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0240165(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47H 5/02-5/06
F16D 41/069-41/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
日射遮蔽材を取り付けるランナーを移動可能に支持しているレール上で前記ランナーを移動させる移動機構と、前記移動機構の回転軸を駆動する駆動部とを備える日射遮蔽装置において、前記移動機構と前記駆動部との間に備えられるクラッチユニットであって、
前記クラッチユニットは、
前記駆動部から入力される入力軸を中心に回転可能な第1歯車と、
前記第1歯車と噛み合う少なくとも1つの第2歯車と、
前記第1歯車及び前記第2歯車を収容し、前記入力軸と同心で回転可能であり、前記駆動部からの入力を前記移動機構の回転軸に出力するハウジングと、
前記ハウジングに設けられ、前記第2歯車を回動可能に支持し前記第1歯車及び前記ハウジングと同心で回転可能な歯車支持部と、
前記ハウジングにおける、前記第1歯車及び前記第2歯車の径方向において外方、かつ、前記第2歯車と干渉しない位置に設けられる内壁と、
前記第2歯車に設けられ、前記径方向において外方に突出している突出部と、
を備え
前記突出部は、前記第2歯車の歯先よりも前記径方向において外方に突出していて、
前記内壁は、前記第2歯車の歯先と接触しない位置に設けられている、
クラッチユニット。
【請求項2】
前記突出部は、前記第2歯車が前記第1歯車と噛み合っている状態から所定の角度回動して前記ハウジングの内壁に接触するような位置に設けられている、
請求項に記載のクラッチユニット。
【請求項3】
前記突出部は、前記内壁に対して弾性力を発揮するように形成されている、
請求項1または2に記載のクラッチユニット。
【請求項4】
前記ハウジングは、前記移動機構の回転軸と同心に設けられている軸部を有する、
請求項1乃至のいずれかに記載のクラッチユニット。
【請求項5】
前記駆動部から前記第1歯車の入力軸に入力された力は、前記突出部が前記内壁を押圧することで前記ハウジングを回転させて前記移動機構の回転軸に出力され、
前記移動機構から前記ハウジングに入力された力は、前記ハウジングを回動させて前記内壁と前記突出部とを摺動させることで前記駆動部への伝動が遮断される、
請求項1乃至のいずれかに記載のクラッチユニット。
【請求項6】
日射遮蔽材を取り付けるランナーを移動可能に支持しているレールと、
前記レール上で前記ランナーを移動させる移動機構と、
前記移動機構を駆動する駆動部と、
前記移動機構と前記駆動部との間に設けられているクラッチユニットと、
を備える日射遮蔽装置であって、
前記クラッチユニットは、請求項1乃至のいずれかに記載のクラッチユニットである、
日射遮蔽装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クラッチユニット、日射遮蔽装置に関する。
【背景技術】
【0002】
日射遮蔽装置の一例として、一般にカーテンレールと称されるものがある。カーテンレールとしては、日射遮蔽材としてのカーテンを取り付けるランナーを移動可能に支持しているレールと、レール上でランナーを移動させるベルトとプーリーとを備える移送機構と、移送機構を駆動する駆動部と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1の日射遮蔽装置は、移送機構を駆動する駆動部の駆動方式に関して、手動操作コード(操作用部材)を備えて駆動軸を手動で回転させる手動式と、給電コードを備えて駆動軸を電動で回転させる電動式とのいずれかに切り替え可能である。従来のカーテンレールは、手動式の駆動部を用いた場合、駆動部の手動操作コードを手で操作することで、移送機構が動作してカーテンレール上でランナーが動きカーテンが開閉する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6100909号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、従来のカーテンレールは、ユーザーがカーテンを手で持つことで、駆動部を操作することなくカーテンが開閉されることもあった。
【0006】
しかしながら、従来のカーテンレールは、ランナーから駆動部までの間において、力の伝達経路が直結されていた。このため、従来のカーテンレールは、ユーザーがカーテンを手で開閉操作すると、カーテンを取り付けているランナーから移送機構を経由して駆動部に力が伝わっていた。つまり、従来のカーテンレールでは、カーテンを手で開閉操作する際に駆動部にも力を伝えてしまうため、ユーザーがカーテンに加える力が大きくなっていた。
【0007】
また、従来のカーテンレールは、カーテンを手で開閉操作するとカーテンと連動して駆動部に設けられている操作用部材が動くため、駆動部から騒音が発生していた。さらに、従来のカーテンレールでは、このように操作用部材がカーテンと連動するため、常に操作用部材を動作可能な状態、例えば駆動部から操作用部材が垂れ下がった状態にしておく必要があった。従って、従来のカーテンレールは、ユーザーが状況に応じて操作用部材の収納や固定をすることが難しかった。
【0008】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、利便性に優れる日射遮蔽装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明に係るクラッチユニットは、日射遮蔽材を取り付けるランナーを移動可能に支持しているレール上でランナーを移動させる移動機構と、移動機構の回転軸を駆動する駆動部とを備える日射遮蔽装置において、移動機構と駆動部との間に備え、駆動部から入力される入力軸を中心に回転可能な第1歯車と、第1歯車と噛み合う少なくとも1つの第2歯車と、第1歯車及び第2歯車を収容し、入力軸と同心で回転可能であり、駆動部からの入力を移動機構の回転軸に出力するハウジングと、ハウジングに設けられ、第2歯車を回動可能に支持し第1歯車及びハウジングと同心で回転可能な歯車支持部と、ハウジングにおける、第1歯車及び第2歯車の径方向において外方、かつ、第2歯車と干渉しない位置に設けられる内壁と、第2歯車に設けられ、径方向において外方に突出している突出部と、を備える。
【0010】
本発明の一態様に係るクラッチユニットにおいて、突出部は、第2歯車の歯先よりも径方向において外方に突出していて、内壁は、第2歯車の歯先と接触しない位置に設けられていてもよい。
【0011】
本発明の一態様に係るクラッチユニットにおいて、突出部は、第2歯車が第1歯車と噛み合っている状態から所定の角度回動してハウジングの内壁に接触するような位置に設けられていてもよい。
【0012】
本発明の一態様に係るクラッチユニットにおいて、突出部は、内壁に対して弾性力を発揮するように形成されていてもよい。
【0013】
本発明の一態様に係るクラッチユニットにおいて、ハウジングは、移動機構の回転軸と同心に設けられている軸部を有していてもよい。
【0014】
本発明の一態様に係るクラッチユニットにおいて、駆動部から第1歯車の入力軸に入力された力は、突出部が内壁を押圧することでハウジングを回転させて移動機構の回転軸に出力され、移動機構からハウジングに入力された力は、ハウジングを回動させて内壁と突出部とを摺動させることで駆動部への伝動が遮断されてもよい。
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係る日射遮蔽装置は、日射遮蔽材を取り付けるランナーを移動可能に支持しているレールと、レール上でランナーを移動させる移動機構と、移動機構を駆動する駆動部と、移動機構と駆動部との間に設けられているクラッチユニットと、を備え、クラッチユニットは、上記に記載のクラッチユニットである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、利便性に優れる日射遮蔽装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置の構成を概略的に示す正面図である。
図2図1に示す日射遮蔽装置の構成を概略的に示す斜視図である。
図3図1に示す日射遮蔽装置の構成を概略的に示す断面図である。
図4】本発明の実施の形態に係るクラッチユニットの構成を概略的に示す断面図である。
図5図4に示すクラッチユニットの構成を概略的に示す分解斜視図である。
図6図4に示すクラッチユニットの構成を概略的に示す平面図であり、突出部がドラムの内壁に接していない状態を示すための図である。
図7図4に示すクラッチユニットの構成を概略的に示す平面図であり、突出部がドラムの内壁を押圧している状態を示すための図である。
図8図7に示すクラッチユニットの突出部がドラムの内壁を押圧している状態において、突出部とその周辺の部分拡大図である。
図9図4に示すクラッチユニットの構成を概略的に示す平面図であり、突出部がドラムの内壁に摺動している状態を示すための図である。
図10図9に示すクラッチユニットの突出部がドラムの内壁に摺動している状態において、突出部とその周辺の部分拡大図である。
図11図4に示すクラッチユニットにおける変形例の第2歯車を示すための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置、及び、日射遮蔽装置が備えるクラッチユニットについて図面を参照しながら説明する。以下の説明において、本実施の形態に係る日射遮蔽装置は、不図示の窓枠の上縁付近に取り付けられる。また、本実施の形態に係る日射遮蔽装置は、日射遮蔽材の一例であるカーテンを開閉する装置、すなわちカーテンレールとして説明する。
【0019】
[日射遮蔽装置]
本発明の一実施の形態に係る日射遮蔽装置について説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置10の構成を概略的に示す正面図である。また、図2は、本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置10の構成を概略的に示す斜視図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、日射遮蔽装置10は、カーテン20を取り付けるランナー31を移動可能に支持しているレール30と、レール30上でランナー31を移動させる移動機構40と、移動機構40を駆動する駆動部50とを備える。また、日射遮蔽装置10は、移動機構40と駆動部50との間に設けられているクラッチユニット60を備える。以下、日射遮蔽装置10の構成について、具体的に説明する。
【0021】
なお、以下の説明において、図1及び図2における日射遮蔽装置10のレール30の長手方向(横方向、幅方向)をX軸方向、X軸に直交する図面を貫く方向(奥行方向)をY軸方向、X軸に直交するレール30の短手方向(縦方向、高さ方向)をZ軸方向と定める。
【0022】
カーテン20は、一般に不図示の窓枠を覆うのに十分な所定の寸法に裁断された布などに、ランナー31及び吊り下げ具32を取り付けることができるように加工されたものである。なお、本発明において、カーテン20の素材、枚数、及び寸法は限定されない。
【0023】
レール30は、ランナー31、及び吊り下げ具32を備える。レール30において、ランナー31は、カーテン20の枚数に対応して設けられる。ランナー31は、レール30に対して移動可能に支持される。ランナー31は、カーテン20の図1において向かって左端(一端)に取り付けられる。吊り下げ具32は、レール30においてランナー31とレール30の先端との間に多数が移動可能に支持されている。本実施の形態において、吊り下げ具32の数は限定されない。レール30には、ランナー31及び吊り下げ具32によってカーテン20が吊下支持されている。
【0024】
移動機構40は、日射遮蔽装置10の図1において向かって右端(他端)に取り付けられている。
【0025】
図3は、日射遮蔽装置10の構成を概略的に示す断面図である。図3に示すように、移動機構40は、レール30の内部を移動する無端状のベルト41と、ベルト41が掛けられる第1プーリー42と、ベルト41及び第1プーリー42を含む移動機構40の構成要素を収容するカバー43と、を備えている。また、移動機構40は、駆動部50からの駆動力の伝動を可能にするため、カバー43の下側の外方に第1プーリー42の回転軸44が下方(-Z軸方向)に向かって露出している。
【0026】
なお、移動機構40は、レール30においてランナー31を移動させることができれば、伝達手段を問わない。移動機構40の伝達手段は、例えばローラチェーンなどを用いてもよい。
【0027】
駆動部50は、移動機構40の下方かつクラッチユニット60の右方に設けられている。図3に示すように、駆動部50は、ボールチェーン51と、ケース52と、第2プーリー53とを備える。また、駆動部50は、ケース52の内部に伝達機構54が設けられている。
【0028】
ボールチェーン51は、無端状の部材である。ボールチェーン51は、ユーザーの操作用部材の一例であり、ユーザーの力を受け付ける。ボールチェーン51は、駆動部50に設けられている第2プーリー53に巻き掛けられている。第2プーリー53は、伝達機構54の回転軸に設けられている。第2プーリー53は、ボールチェーン51を巻き掛けることができるように、ボールチェーン51の形状に対応した凹凸形状を有する。伝達機構54は、ボールチェーン51によって回転される第2プーリー53の回転力を、ランナー31の駆動力としてクラッチユニット60を介して移動機構40に伝達する。つまり、駆動部50は、ユーザーがボールチェーン51を操作することで、その操作に応じた方向へランナー31を移動させる。伝達機構54は、例えば遊星歯車機構など、ボールチェーン51によって回転される第2プーリー53の回転力を減速してトルクを上げる機能を有するものが望ましい。
【0029】
なお、日射遮蔽装置10において、駆動部50の構成は、上述の例には限定されない。
【0030】
クラッチユニット60は、日射遮蔽装置10において、移動機構40と駆動部50との間に備えられる。クラッチユニット60の構成及び動作については後述する。
【0031】
日射遮蔽装置10は、以上説明したレール30、移動機構40、駆動部50を有することで、レール30に沿ってカーテン20を広げた状態(閉状態)と、カーテン20を折り畳んだ状態(開状態)とを呈する。
【0032】
[クラッチユニット]
次に、本発明の一実施の形態に係る日射遮蔽装置10が備えるクラッチユニット60について説明する。
【0033】
上述のように、クラッチユニット60は、日射遮蔽装置10において、移動機構40と駆動部50との間に備えられる。
【0034】
図4は、本発明の実施の形態に係るクラッチユニット60の構成を概略的に示す断面図である。また、図5は、クラッチユニット60の構成を概略的に示す分解斜視図である。
【0035】
図4及び図5に示すように、クラッチユニット60は、駆動部50から入力される入力軸を中心に回転可能な第1歯車61と、第1歯車61と噛み合う少なくとも1つの第2歯車62と、を備える。また、クラッチユニット60は、第1歯車61及び第2歯車62を収容し、入力軸と同心で回転可能であり、駆動部からの入力を移動機構の回転軸に出力するハウジングとしてのドラム64と、を備える。また、クラッチユニット60は、ドラム64に設けられ、第2歯車62を回動可能に支持し第1歯車61及びドラム64と同心で回転可能な歯車支持部69を備える。また、クラッチユニット60は、ドラム64における、第1歯車61及び第2歯車62の径方向において外方、かつ、第2歯車62と干渉しない位置に設けられる内壁65を備える。さらに、クラッチユニット60は、第2歯車62に設けられ、径方向において外方に突出している突出部63、を備える。クラッチユニット60は、上述の構成要素に加えて、筐体部66、かさ歯車機構67、及び、ベアリング68を備える。以下、クラッチユニット60の構成について、具体的に説明する。
【0036】
第1歯車61は、ドラム64の内部に収容されている。第1歯車61は、第1歯車本体部611と、第1歯車軸部612とを備える。第1歯車本体部611は、第1歯車軸部612と同心に設けられている。第1歯車本体部611は、例えば外歯の平歯車である。第1歯車軸部612は、ドラム64の下方から外部に露出している。第1歯車軸部612は、かさ歯車機構67を介して、駆動部50からの入力を受け付ける入力軸として機能する。
【0037】
第2歯車62は、第1歯車61の周囲に配置されている。第2歯車62は、第1歯車61とともに回転するように構成されている。第2歯車62は、第2歯車本体部621と、第2歯車軸部622と、突出部63とを備える。第2歯車本体部621は、第1歯車本体部611と噛み合う外歯の平歯車である。第2歯車軸部622は、第2歯車本体部621と同心に設けられている。第2歯車62は、第2歯車軸部622が、歯車支持部69に支持されていることにより、歯車支持部69において回動可能である。なお、本実施の形態において、第2歯車62は、第1歯車61の周囲に3つ配置されているが、本発明において第2歯車の数は少なくとも1つ以上であればよい。
【0038】
突出部63は、第2歯車62に設けられている。突出部63は、例えば、第2歯車62と一体成型してもよい。突出部63は、第2歯車本体部621の径方向において、第2歯車本体部621よりも突出して設けられている。突出部63は、例えば、第2歯車軸部622を中心とした回転半径が、第2歯車本体部621の歯先円よりも大きい。突出部63は、歯が配列される第2歯車本体部621から回転軸の延伸方向において、所定の距離、例えば第2歯車本体部621の歯幅と干渉しない程度離れた位置に設けられている。
【0039】
ドラム64は、第1歯車61及び第2歯車62を径方向において外側から覆うドラム本体641と、第1歯車61及び第2歯車62を軸方向において上側から覆うドラム蓋部642と、移動機構40の回転軸44と同心に設けられて回転軸44とともに回転可能である軸部643を有する。
【0040】
ドラム本体641は、高さ方向(Y軸方向)の寸法よりも径方向(Z軸方向)の寸法の方が大きい、扁平な略筒状の筐体である。ドラム本体641は、上側の端面が開放されている。ドラム本体641は、第1歯車61の第1歯車軸部612をかさ歯車機構67と接続させるために、第1歯車軸部612を外部に貫通させるための軸孔644が、下側に設けられている。
【0041】
ドラム蓋部642は、ドラム本体641の開放された上側の端面を覆うように設けられている。ドラム蓋部642には、上述の軸部643が設けられている。ドラム64は、ドラム蓋部642がドラム本体641に固定されると、ドラム本体641、ドラム蓋部642、及び軸部643が一体となって軸部643を中心に回転可能となる。
【0042】
軸部643は、ドラム蓋部642の移動機構40と面する上面の中央部に設けられている。軸部643は、回転軸44と接続される。軸部643は、例えば移動機構40の回転軸44と同心である。ドラム64は、軸部643が回転軸44と接続されることにより、移動機構40と共に回転して駆動部50からの入力を移動機構40に出力する。軸部643は、第1歯車61の第1歯車軸部612と同心に設けられている。
【0043】
なお、ドラム64は、移動機構40に対して駆動部50からの入力を出力することができれば、軸部643を有していなくてもよい。例えば、ドラム64は、移動機構40の第1プーリー42を直接的に駆動してもよい。また、ドラム64は、移動機構40の第1プーリー42を兼ねてもよい。また、ドラム64の軸部643は、上述のように、第1歯車61の第1歯車軸部612と同心に設けられているものには限定されない。
【0044】
筐体部66は、クラッチユニット60の構成要素を収容することができるように、その内部に空間が設けられている。筐体部66は、任意の位置で複数の部分に分割されて形成し、組み立て時にこれらの部分を組み合わせて構成してもよい。
【0045】
かさ歯車機構67は、第1かさ歯車671と、第2かさ歯車672とを備える。第1かさ歯車671は、駆動部50の回転軸と同心に設けられている。第2かさ歯車672は、ドラム蓋部642の下方から露出している第1歯車61の第1歯車軸部612と接続している。かさ歯車機構67は、クラッチユニット60の第1歯車軸部612の回転方向に対応させて、駆動部50の回転軸の方向を90度変更する。
【0046】
なお、本発明のクラッチユニット及びクラッチユニットを備える日射遮蔽装置は、かさ歯車機構を有するものに限定されない。クラッチユニットは、駆動部の出力軸と第1歯車軸部とが直接的に伝動可能に接続してもよい。
【0047】
ベアリング68は、ドラム蓋部642の内部に設けられている。ベアリング68は、ドラム蓋部642に対して第1歯車軸部612を回転可能に支持するために設けられている。
【0048】
歯車支持部69は、ドラム蓋部642の内部に設けられている。歯車支持部69は、上部歯車支持部691と下部歯車支持部692とにより構成されている。上部歯車支持部691は、第1歯車軸部612及び第2歯車軸部622の上側の端部を支持する、円板状の部材である。上部歯車支持部691には、第1歯車軸部612及び第2歯車軸部622の上側の端部を支持するための孔が設けられている。下部歯車支持部692は、第1歯車軸部612を貫通させるとともに、第2歯車軸部622の下側の端部を支持する部材である。下部歯車支持部692は、上部歯車支持部691を支持するための支柱693が設けられている。
【0049】
[突出部の配置]
次に、クラッチユニット60のドラム64の内部における、突出部63の配置について説明する。
【0050】
図6は、クラッチユニット60の構成を概略的に示す平面図であり、突出部63がドラム64の内壁65に接していない状態を示すための図である。図6に示すように、ドラム64は、ドラム本体641の内部に収容されている第1歯車61及び第2歯車62が回動可能なように、第1歯車61の第1歯車本体部611及び第2歯車62の第2歯車本体部621それぞれの歯先が接触しない位置に内壁65が配置されている。
【0051】
突出部63が設けられている領域Aは、図6に示す第2歯車62が第1歯車61と噛み合っている状態から、第2歯車62が第1歯車61とともに所定の角度回動することができるように設定されている。突出部63が設けられている領域Aは、具体的には、図6に示すように第2歯車62が第1歯車61と噛み合っている状態において、第2歯車62の周方向において第1歯車61と噛み合う領域、及び、内壁65と向かい合う領域とは異なる領域である。
【0052】
[駆動部からの入力により移動機構を動作させたときの突出部の動作]
次に、駆動部50からの入力により移動機構40を動作させたときにおける、突出部63の動作について説明する。
【0053】
図3に示すように、駆動部50は、ユーザーがボールチェーン51を引いて第2プーリー53を回転させて回転力が入力されると、伝達機構54の遊星歯車機構により減速されてトルクを向上させて出力される。図4及び図5に示すように、駆動部50から出力された回転力は、かさ歯車機構67により回転方向が90度変更されて、かさ歯車機構67に結合しているクラッチユニット60の第1歯車61に入力される。かさ歯車機構67からの入力により第1歯車61が回転すると、その回転力が第2歯車62に伝達される。
【0054】
図7は、クラッチユニット60の構成を概略的に示す平面図であり、突出部63がドラム64の内壁65を押圧している状態を示すための図である。また、図8は、クラッチユニット60の突出部63がハウジングの内壁65を押圧している状態において、突出部63とその周囲の部分拡大図である。
【0055】
図7及び図8に示すように、クラッチユニット60では、回転方向R1に回転する第1歯車61から第2歯車62に回転力が入力すると、第2歯車62は回転方向R2に回転する。第2歯車62が回転方向R2に回転すると、第2歯車62に設けられている突出部63がドラム64の内壁65に接触する。突出部63が内壁65に接触することにより、第1歯車61に入力された回転力は、第2歯車62を介してドラム64に伝達する。クラッチユニット60は、第1歯車61に入力した力がドラム64に伝達することにより、第1歯車61とドラム64とが一体となって回転方向R1に回転する。
【0056】
クラッチユニット60において、ドラム蓋部642の軸部643が移動機構40の回転軸44及び第1プーリー42と連結されている。このため、クラッチユニット60において、上述のように第1歯車61とドラム64とが一体となって回転すると、第1プーリー42に巻き掛けられているベルト41が駆動される。移動機構40において、ベルト41が駆動されることで、ランナー31がレール30に沿って動く。
【0057】
従って、日射遮蔽装置10によれば、ユーザーが駆動部50のボールチェーン51を操作することにより、カーテン20の開閉操作を行うことができる。
【0058】
[移動機構から入力されたときの突出部の動作]
次に、移動機構40から入力されたとき、つまり、ユーザーが駆動部50を操作することなく、カーテン20を直接的に保持して開閉操作した場合における、クラッチユニット60における突出部63の動作について説明する。
【0059】
ユーザーが手で図1に示すカーテン20を操作すると、ランナー31がレール30の上を移動する。ランナー31がレール30を移動することで、図4に示す移動機構40のベルト41が駆動される。ベルト41が駆動されることで、ベルト41が巻き掛けられている第1プーリー42が回転する。第1プーリー42の回転力は、回転軸44を介してクラッチユニット60のドラム蓋部642に設けられている軸部643に入力する。
【0060】
図9は、クラッチユニット60の構成を概略的に示す平面図であり、突出部63が移動機構40からの入力によりドラム64の内壁65に摺動している状態を示すための図である。また、図10は、突出部63が移動機構40からの入力によりドラム64の内壁65に摺動している状態において、突出部63とその周辺の部分拡大図である。
【0061】
図9及び図10に示すように、回転軸44から軸部643に入力された回転力により、ドラム64が回転方向R3に回転しても、ドラム64の内壁65は突出部63に対して摺動する。従って、クラッチユニット60において、ドラム64の回転力は、下部歯車支持部692には伝達されないため、クラッチユニット60によりカーテン20からの駆動力が駆動部50に伝達されることなく遮断される。
【0062】
従って、クラッチユニット60を備える日射遮蔽装置10によれば、カーテン20に対して直接的に開閉操作を行った場合に、駆動部50のボールチェーン51が動かない。
【0063】
日射遮蔽装置10は、以上説明したクラッチユニット60を備えることにより、ランナー31から駆動部50までの間において駆動力の伝達経路が直結されていない。このため、日射遮蔽装置10によれば、クラッチユニット60を備えることにより、ユーザーが手でカーテン20を開閉操作しても、ランナー31から移動機構40を経由して駆動部50に力が伝わらない。つまり、日射遮蔽装置10によれば、クラッチユニット60を備えることにより、カーテン20を手で開閉操作する際にカーテン20に加える力を低減することができる。
【0064】
また、日射遮蔽装置10によれば、クラッチユニット60を備えることにより、カーテン20を手で開閉操作してもボールチェーン51が動くことがなく、駆動部50から騒音を抑制することができる。
【0065】
さらに、クラッチユニット60を備える日射遮蔽装置10によれば、ボールチェーン51がカーテン20と連動しないため、ボールチェーン51を使用しない場合など、ユーザーが状況に応じてボールチェーン51の収納や固定をすることができる。
【0066】
従って、クラッチユニット60によれば、利便性に優れる日射遮蔽装置10を提供することができる。
【0067】
[第2歯車の変形例]
次に、以上説明した、日射遮蔽装置10が備えるクラッチユニット60における、第2歯車の変形例について説明する。
【0068】
図11は、本発明の実施の形態に係るクラッチユニットにおける変形例の第2歯車62Aを示すための斜視図である。図11に示すように、第2歯車62Aは、突出部63Aが、上述した第2歯車62と相違している。具体的には、突出部63Aは、内壁65に接触する接触面630Aの下方、先端部631Aから根本部分に向かって薄肉部632Aが形成されている。
【0069】
突出部63Aは、この薄肉部632Aにより、内壁65と接触したときに内壁65に対して弾性力を発揮することができる。突出部63Aが内壁65に対して弾性力を発揮することにより、第2歯車62Aは、ドラム64に接触した突出部63Aがドラム64から離れようとする力が強くなる。このため、第2歯車62Aによれば、ユーザーがカーテン20を直接操作した場合に、カーテン20からクラッチユニット60に入力する力をより確実に遮断することができる。
【0070】
なお、ドラム64の内壁65に対して弾性力を発揮するための構造は、上述した例に限定されず、例えば突出部と内壁との間にバネ部材を設けることで、突出部がドラム64の内壁65から積極的に離れるようにしてもよい。
【0071】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記本発明の実施の形態に係る日射遮蔽装置及び日射遮蔽装置のクラッチユニットに限定されるものではなく、本発明の概念及び特許請求の範囲に含まれるあらゆる態様を含む。例えば、日射遮蔽装置10において、駆動部50は、ユーザーがボールチェーン51を操作することにより駆動されるいわゆる手動式であったが、本発明において電動式の駆動部であってもよい。また、上述した課題及び効果の少なくとも一部を奏するように、各構成を適宜選択的に組み合わせてもよい。例えば、上記実施の形態における、各構成の形状、材料、配置、サイズ等は、本発明の具体的使用態様によって適宜変更され得る。
【符号の説明】
【0072】
10…日射遮蔽装置、20…カーテン、30…レール、31…ランナー、32…吊り下げ具、40…移動機構、41…ベルト、42…第1プーリー、43…カバー、44…回転軸、50…駆動部、51…ボールチェーン、52…ケース、53…第2プーリー、54…伝達機構、60…クラッチユニット、61…第1歯車、62…第2歯車、63…突出部、64…ドラム、65…内壁、66…筐体部、67…かさ歯車機構、68…ベアリング、69…歯車支持部、611…第1歯車本体部、612…第1歯車軸部、621…第2歯車本体部、622…第2歯車軸部、630A…接触面、631A…先端部、632A…薄肉部、641…ドラム本体、642…ドラム蓋部、643…軸部、644…軸孔、691…上部歯車支持部、692…下部歯車支持部、693…支柱
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11