(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】シール装置及び袋詰め包装機
(51)【国際特許分類】
B65B 51/10 20060101AFI20220613BHJP
B65B 51/14 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B65B51/10 Z
B65B51/14
(21)【出願番号】P 2018166285
(22)【出願日】2018-09-05
【審査請求日】2020-11-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000222727
【氏名又は名称】PACRAFT株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100130719
【氏名又は名称】村越 卓
(74)【代理人】
【識別番号】100196047
【氏名又は名称】柳本 陽征
(72)【発明者】
【氏名】溝手 清一
【審査官】田中 一正
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-001458(JP,A)
【文献】特開2003-048250(JP,A)
【文献】実公昭61-044970(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 51/10
B65B 51/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋体の袋口を熱シールするシール面を有する熱板と、前記シール面を覆う防汚シートが取り付けられる防汚シート取付け機構と、を備えたシール装置であって、
前記防汚シート取付け機構は、
基部と、前記基部との間に間隔を有して前記基部に対面して位置する保持部と、前記基部と前記保持部とを接続する接続部と、前記基部、前記保持部及び前記接続部に囲まれた溝部
とを有する収容部材と、
前記溝部が延びる方向と平行な長手方向を有し、少なくとも一部が前記溝部内に配置される挿入部材と、を備え、
前記基部、前記保持部及び前記接続部は一体に形成されており、
前記溝部と前記挿入部材との間に前記防汚シートが保持される、シール装置。
【請求項2】
前記収容部材は、当該シール装置に含まれる他の部材に取り付けられる被取付部を有する、請求項
1に記載のシール装置。
【請求項3】
前記保持部は、前記被取付部に対応する切欠き又は貫通穴を有する、請求項2に記載のシール装置。
【請求項4】
前記被取付部は前記溝部に連通する穴を有する、請求項
2又は
3に記載のシール装置。
【請求項5】
前記穴は貫通穴である、請求項
4に記載のシール装置。
【請求項6】
前記収容部材は、前記溝部が延びる方向と交差する方向への前記挿入部材の移動を規制する規制部を有する、請求項1~
5のいずれかに記載のシール装置。
【請求項7】
前記収容部材は、作業者が把持可能なハンドル部を有する、請求項1~
6のいずれかに記載のシール装置。
【請求項8】
請求項1~
7のいずれかに記載のシール装置を備えた袋詰め包装機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シール装置及び袋詰め包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、袋体を所定の軌道に沿って搬送する搬送機構と、搬送機構により搬送される袋体に対して処理を行う複数の処理部とを備えた袋詰め包装機が知られている。この袋詰め包装機は、一例として、所定の軌道に沿って順に配置された、空袋供給部、開口部、充填部、シール部及び放出部を有している。袋詰め包装機では、空袋供給部において空の袋体が供給され、開口部において袋体の袋口が開口され、充填部において袋体内に物品(被包装物)が充填され、シール部において袋体の袋口がシールされ、放出部において袋体が機外に放出される。
【0003】
シール部においては、一例として、互いに近接及び離間可能に配置された一対の挟圧部材間に袋体の袋口が挟持され、少なくとも一方の挟圧部材が加熱されることにより、一対の挟圧部材間に挟持された袋体の内側に位置する層(内面層)が部分的に溶融され、これにより袋口がシールされる。このとき、溶融した当該内面層が袋口から漏出して挟圧部材に付着し、挟圧部材表面で焦げ付くことがある。この場合、焦げた内面層からなる異物が、シールされるべき袋体の外面に付着し、袋体の美観を損ねる虞がある。このため、溶融した内面層の挟圧部材への付着を抑制することを目的として、従来、挟圧部材と袋体との間にテフロン(登録商標)シート等の耐熱性を有する防汚シートを配置することが行われている。
【0004】
特許文献1には、一方に発熱体を備えた一対の開閉板の間に熱可塑性のフィルム袋を挟圧し、発熱体を加熱してフィルム袋を接着する自動包装機用インパルスヒータが開示されている。一方の開閉板にはヒータ線が取り付けられており、この開閉板の上部には、テフロンシートの上端を貼着した断面L字状のシート保持具が、シート取付台に取付ボルトにより取り付けられている。これにより、シート保持具から吊り下げられたテフロンシートが、ヒータ線から離間してヒータ線を覆っている。充填物を収容したフィルム袋が一対の開閉板の間に搬送されると、開閉板の一方又は双方が移動してフィルム袋の両側を挟圧する。この状態でヒータ線に通電するとヒータ線が発熱し、その熱がテフロンシートを介してフィルム袋に伝えられ、フィルム袋が熱シールされる。このようなインパルスヒータでは、ヒータ線を覆うようにテフロンシートを吊り下げたことにより、ヒータ線に通電が繰り返されてもテフロンシートは自由に伸縮し、テフロンシートの熱は両面から効率良く放出されるため、テフロンシートに皺が発生することはなく、フィルム袋を良好に接着することができるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
防汚シートは異物の付着をある程度抑制することができるが、異物が過度に付着した場合や繰り返し付着した場合には、防汚シートの表面に異物が残存し、この異物が袋体の外面に付着する虞がある。したがって、定期的に防汚シートを交換する必要がある。特許文献1に開示された技術では、テフロンシートは取付ボルトにより開閉板に取り付けられている。したがって、テフロンシートを交換する際には、取付ボルトを取り外したり締め付けたりするための工具が必要であり、テフロンシートの交換に手間と時間がかかる問題がある。
【0007】
本発明は、以上の点を考慮してなされたものであり、シール装置における防汚シートの交換を容易にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によるシール装置は、
袋体の袋口を熱シールするシール面を有する熱板と、前記シール面を覆う防汚シートが取り付けられる防汚シート取付け機構と、を備えたシール装置であって、
前記防汚シート取付け機構は、
溝部を有する収容部材と、
前記溝部が延びる方向と平行な長手方向を有し、少なくとも一部が前記溝部内に配置される挿入部材と、を備え、
前記溝部と前記挿入部材との間に前記防汚シートが保持される。
【0009】
本発明によるシール装置において、
前記収容部材は、前記挿入部材の前記溝部からの脱落を防止する保持部を有してもよい。
【0010】
本発明によるシール装置において、
前記収容部材は当該シール装置に含まれる他の部材に取り付けられる被取付部を有してもよい。
【0011】
本発明によるシール装置において、
前記収容部材は当該シール装置に含まれる他の部材に取り付けられる被取付部を有し、
前記保持部は、前記被取付部に対応する切欠き又は貫通穴を有してもよい。
【0012】
本発明によるシール装置において、
前記被取付部は前記溝部に連通する穴を有してもよい。
【0013】
本発明によるシール装置において、
前記穴は貫通穴であってもよい。
【0014】
本発明によるシール装置において、
前記収容部材は、前記溝部が延びる方向と交差する方向への前記挿入部材の移動を規制する規制部を有してもよい。
【0015】
本発明によるシール装置において、
前記収容部材は、作業者が把持可能なハンドル部を有してもよい。
【0016】
本発明による袋詰め包装機は、
上述のシール装置を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、シール装置における防汚シートの交換を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】
図1は、本発明の一実施の形態を説明するための図であって、シール装置が組み込まれた袋詰め包装機の全体構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、シール装置の一部を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図2のシール装置の一部を断面で示す図である。
【
図4】
図4は、シール装置の熱板及び防汚シート取付け機構を分離して示す斜視図である。
【
図5】
図5は、防汚シート取付け機構を下面側から示す斜視図である。
【
図6A】
図6Aは、防汚シート取付け機構の収容部材を上面側から示す斜視図である。
【
図7A】
図7Aは、防汚シート取付け機構の挿入部材を上面側から示す斜視図である。
【
図8A】
図8Aは、防汚シート取付け機構に取り付けられる防汚シートを上面側から示す斜視図である。
【
図9】
図9は、防汚シート取付け機構への防汚シートの取付方法について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照して本発明の一実施の形態について説明する。
図1~
図9は、本発明の一実施の形態を説明するための図である。このうち、
図1は、本実施の形態のシール装置35,36が組み込まれた袋詰め包装機10の全体構成を示す斜視図である。なお、
図1では、後述の防汚シート取付け機構50の図示は省略している。
【0020】
袋詰め包装機10は、コンベアマガジン11及び袋処理装置12を備える。コンベアマガジン11には、多数の袋体100が積層された状態で貯留されている。コンベアマガジン11に貯留されている各袋体100は、空袋であり、袋口110が閉じた状態で、当該袋口110を形成する側壁部どうしが対向して密着している。コンベアマガジン11に貯留される袋体100は、吸盤等によって構成される袋取出部31により一枚ずつ保持され、当該袋取出部31から袋処理装置12の各保持部22に渡される。
【0021】
袋処理装置12は、袋体100を起立姿勢で所定の軌道に沿って搬送する搬送機構20と、搬送機構20により搬送される袋体100に対して処理を行う複数の処理部(
図1に示された例では第1ステーションS1~第8ステーションS8)とを備えている。搬送機構20は、間欠的に軸回転する搬送テーブル21と、当該搬送テーブル21の外周部に等間隔に取り付けられ袋体100を保持するための複数の保持部22と、を備える。なお
図1では、他の構成の理解を容易にするため、搬送テーブル21は二点鎖線にて表されている。各保持部22は左右一対の把持部を有しており、各袋体100のうち袋口110を介して互いに反対側に位置する側部箇所がそれぞれ把持部によって保持され、各袋体100は保持部22によって吊り下げ状態で保持及び搬送される。各保持部22は、搬送テーブル21とともに搬送方向(回転方向)D1に沿って間欠的に移動し、第1ステーションS1~第8ステーションS8において間欠的に停止する。すなわち、袋体100は、所定の軌道に沿った移動及び停止を繰り返しながら搬送される。保持部22の数はステーションS1~S8の数に対応し、
図1の袋詰め包装機10には8つの保持部22が設けられている。
【0022】
第1ステーション(空袋供給部)S1では、袋取出部31によってコンベアマガジン11から保持部22に袋体100が渡される(空袋供給工程)。第2ステーション(印字部)S2では、印字装置32によって袋体100の表面に製造日、消費期限等の印字が行われる(印字工程)。第3ステーション(開口部)S3では、開口手段33によって袋体100の袋口110が開かれる(開口工程)。第4ステーション(充填部)S4では、充填装置34の吐出口が袋口110を介して袋体100の内側に配置され、充填装置34から袋体100内に被包装物が充填される(充填工程)。第5ステーション(閉口部)S5は、保持部22の一対の把持部間の距離が広げられて、袋体100の袋口110が閉じられる(閉口工程)。第6ステーション(第1袋口シール部)S6では、第1シール装置35によって袋体100の袋口110が熱シールされ(第1袋口シール工程)、第7ステーション(第2袋口シール部)S7では、第2シール装置36によって袋体100の袋口110が熱シールされる(第2袋口シール工程)。第8ステーション(冷却部)S8では、冷却装置37によって袋体100の熱シールされた袋口110が冷却され(シール部冷却工程)、袋体100が保持部22の把持部による把持から解放されて放出シュート38に落下される。放出シュート38に落下された袋体100は、放出シュート38により導かれて後段に送られる。
【0023】
次に、
図2~
図4を参照して、シール装置35,36について説明する。
図2は、シール装置35,36の一部を示す斜視図であり、
図3は、シール装置35,36の一部を断面で示す図であり、
図4は、シール装置35,36の熱板40及び防汚シート取付け機構50を分離して示す斜視図である。なお、
図3では、シール装置35,36の防汚シート取付け機構50のみを断面で示している。
【0024】
シール装置35,36は、搬送テーブル21の径方向に沿って離間して配置されるとともに、互いに対面する一対の熱板40と、各熱板40に対応して設けられた防汚シート取付け機構50と、を備えている。
【0025】
熱板40の内部には図示しない加熱機構が設けられている。加熱機構としては、一例として通電することにより発熱する電熱線等を用いることができる。シール装置35,36では、加熱機構により加熱された一対の熱板40で袋体100の袋口110を挟み込むことにより、袋口110における袋体100の一部、例えば袋体の内側に位置する層(内面層)、を溶融させ、これにより袋口110をシールする。このため、熱板40は、袋体100の袋口110を熱シールするシール面41を有している。シール面41は、袋体100の袋口110を挟み込む面であり、一対の熱板40の各シール面41は、互いに対面するように配置されている。とりわけ本実施の形態のシール装置35,36では、防汚シート取付け機構50に取り付けられ、シール面41を覆う防汚シート90を介して、一対の熱板40で袋口110を挟み込む。
【0026】
防汚シート90は、袋口110をシールする際に溶融した袋体100の一部が袋口110から漏出して熱板40へ付着することを防止する部材である。防汚シート90は、防汚シート取付け機構50に取り付けられており、この防汚シート取付け機構50が熱板40へ取り付けられることにより、防汚シート90が熱板40のシール面41を覆うように、熱板40に対して位置決めされる。防汚シート90としては、特に限定されることなく、耐熱性及び防汚性を有するシート状(フィルム状)の部材が用いられ得る。例えば、防汚シート90として、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製のシートを用いることができる。
【0027】
熱板40は、長手方向を有する直線状の部材である。熱板40の長手方向は、袋処理装置12における袋体100の搬送方向D1と略平行をなしている。熱板40の長手方向と直交する断面は、略矩形形状の輪郭を有している。そして、袋体100の袋口110をシールする際には、シール面41が防汚シート90を介して袋口110に押付けられる。また、熱板40における長手方向に延びる複数の面のうちの他の一面(図示された例では上面)には、防汚シート取付け機構50が取付けられる。
【0028】
図4に示されているように、熱板40の防汚シート取付け機構50と対面する面には、防汚シート取付け機構50を熱板40に取り付けるための取付部42が設けられている。取付部42は、複数の突起部44を含んでいる。図示された例では、取付部42は、熱板40の長手方向に沿って離間して並んで配置された2つの突起部44を含んでいる。突起部44は、熱板40の本体に近接して位置する大径部46と、大径部46に対して熱板40の本体から離間して位置する、すなわち大径部46に対して熱板40の本体と反対側に位置する、小径部48と、を有している。大径部46及び小径部48は、いずれも略円柱状の形状を有しており、大径部46の直径は小径部48の直径よりも大きい。また、大径部46の中心軸は小径部48の中心軸と一致している。このような突起部44によれば、防汚シート取付け機構50の後述の貫通穴68,82及び防汚シート90の貫通穴98の寸法を小径部48の寸法よりも大きく且つ大径部46の寸法よりも小さく設定することにより、防汚シート取付け機構50を熱板40に取り付けた際に、防汚シート取付け機構50を、大径部46の高さ寸法だけ熱板40から離間して取り付けることができる。これにより、熱板40から防汚シート取付け機構50へ伝わる熱を減少させることが可能になり、防汚シート取付け機構50の温度上昇を効果的に抑制することができる。
【0029】
次に、
図4~
図8Bを参照して、防汚シート取付け機構50について説明する。
図5は、防汚シート取付け機構50を下面側から示す斜視図である。
図6Aは、防汚シート取付け機構50の収容部材60を上面側から示す斜視図であり、
図6Bは、収容部材60を下面側から示す斜視図である。
図7Aは、防汚シート取付け機構50の挿入部材80を上面側から示す斜視図であり、
図7Bは、挿入部材80を下面側から示す斜視図である。
図8Aは、防汚シート取付け機構50に取り付けられる防汚シート90を上面側から示す斜視図であり、
図8Bは、防汚シート90を下面側から示す斜視図である。
【0030】
防汚シート取付け機構50は、収容部材60と、収容部材60の内側に挿入される挿入部材80と、を備えている。収容部材60は長手方向を有しており、収容部材60は長手方向に沿って直線状に延びる溝部62を有している。溝部62内には、挿入部材80の少なくとも一部が配置される。図示された例では、収容部材60の溝部62と、収容部材60の内側に挿入された挿入部材80と、の間に挟み込まれるようにして、防汚シート90が保持される。
【0031】
収容部材60は、本体部61と、本体部61に取り付けられたハンドル部78と、を備えている。本体部61は、平板状の基部64と、基部64との間に間隔を有して基部64に対面して位置する保持部70と、基部64と保持部70とを接続する接続部74と、基部64から延出して形成され挿入部材80の移動を規制する規制部76と、を備えている。
【0032】
基部64は、長手方向を有する平板状をなす部分である。基部64は、シール装置35,36に含まれる部材、例えば熱板40、に対して取り付けられる被取付部66が設けられている。図示された例では、基部64の被取付部66が熱板40の取付部42に対して取り付けられることにより、防汚シート取付け機構50が熱板40に対して取り付けられる。なお、これに限られず、被取付部66は、シール装置35,36に含まれる熱板40以外の部材に対して取り付けられてもよい。被取付部66は、溝部62に連通する複数の穴68を含んでいる。図示された例では、被取付部66は、基部64の長手方向に沿って離間して並んで配置された2つの穴68を含んでいる。穴68の数及び位置は、熱板40の突起部44の数及び位置に一致している。穴68は、貫通穴であってもよいし、非貫通穴であってもよい。図示された例では、穴68は、貫通穴で構成されている。これにともなって、本明細書では穴68を貫通穴68とも呼ぶ。穴68は、平面視において、すなわち基部64の板面に対する法線方向から見て、円形形状の輪郭を有している。穴68の寸法(直径)は、熱板40の突起部44の小径部48の寸法(直径)よりも大きく且つ大径部46の寸法(直径)よりも小さくなっている。なお、防汚シート取付け機構50を熱板40に対して取り付けたときの位置ずれの抑制の観点からは、穴68の寸法と小径部48の寸法との差は小さいことが好ましい。なお、基部64は、その角部に切欠き69を有している。この切欠き69は、基部64が熱板40の上面から延び出す配線と接触しないように設けられている。配線は、例えば熱板40の内部に設けられた加熱機構に通電するための配線である。
【0033】
保持部70は、挿入部材80の溝部62からの脱落を防止する部材である。保持部70は、基部64との間に間隔を有して基部64に対面して配置されている。これにより、保持部70は、溝部62を少なくとも部分的に覆う。保持部70は、平板状に形成されており、保持部70の板面は基部64の板面と平行をなしている。保持部70には、基部64の被取付部66に対応する切欠き又は貫通穴が設けられている。この切欠き又は貫通穴は、基部64の被取付部66へ取り付けられる熱板40の突起部44が通過可能になるように設けられる。したがって、切欠き又は貫通穴は、基部64の板面(保持部70の板面)への法線方向に沿って、被取付部66(穴68)と重なる領域を包含するように設けられる。このとき、1つの切欠き又は貫通穴は、被取付部66に含まれる1つの穴68と重なる領域を包含するように設けられてもよいし、被取付部66に含まれる各穴68と重なる複数の領域を包含するように設けられてもよい。また、1つの切欠き又は貫通穴は、被取付部66に含まれる各穴68と重なる全ての領域を包含するように設けられてもよい。
図5及び
図6Bに示された例では、保持部70には、基部64の被取付部66に対応する切欠き72が設けられている。切欠き72は、被取付部66に含まれる2つの穴68と重なる領域を包含するように設けられる。
【0034】
接続部74は、基部64と保持部70とを接続する部材である。図示された例では、接続部74は、基部64から基部64の板面への法線方向に平行に延び出している。したがって、接続部74は、基部64及び保持部70の板面に対して垂直な方向に沿って延びている。接続部74は、少なくとも保持部70が設けられている部分に対応して設けられる。
【0035】
規制部76は、溝部62が延びる方向(長手方向)と交差する方向、とりわけ溝部62が延びる方向と直交する方向、への挿入部材80の移動を規制する部材である。より具体的には、規制部76は、溝部62が延びる方向と直交し且つ基部64の板面と平行な方向への挿入部材80の移動を規制する。これにより、収容部材60内に挿入された挿入部材80を安定して保持することができる。図示された例では、規制部76は、基部64から基部64の板面への法線方向に平行に延び出している。したがって、規制部76は、基部64の板面に対して垂直な方向に沿って延びている。規制部76は、基部64の長手方向に沿って、基部64の全長にわたって延びている。なお、これに限られず、規制部76は、基部64の長手方向に沿って部分的に設けられてもよい。本実施の形態の防汚シート取付け機構50においては、収容部材60内に挿入された挿入部材80の、溝部62が延びる方向と直交し且つ基部64の板面と平行な方向への移動は、接続部74及び規制部76により規制され得る。
【0036】
図示された例では、基部64、接続部74及び規制部76で囲まれた空間により、溝部62が形成されている。本体部61の長手方向に直交する溝部62の断面は、略矩形形状の輪郭を有している。また、溝部62は、本体部61の長手方向に沿って、同一の断面形状を有している。これにより、挿入部材80を、本体部61の長手方向に沿って溝部62内に挿入することが可能になっている。
【0037】
本体部61を構成する材料は、耐熱性を有する材料であれば特に限られない。一例として、本体部61を構成する材料として、ステンレス材等の金属材料や、PTFE等の樹脂材料を用いることができる。本体部61を金属材料で形成する場合、まず、基部64、接続部74及び規制部76を一体の部材で形成し、板状に形成された保持部70を接続部74に対して溶接等により接続してもよい。
【0038】
ハンドル部78は、防汚シート取付け機構50の熱板40への着脱を行う際に、防汚シート取付け機構50を取り扱うために作業者が把持する部分である。ハンドル部78は、本体部61の基部64に対して、ボルト等の締結手段により固定される。ハンドル部78を構成する材料は、本体部61を構成する材料と異なっていてもよい。作業者が把持することを考慮すると、ハンドル部78は、低い熱伝導率を有する材料を用いて形成されることが好ましい。例えば、本体部61を金属材料で形成し、ハンドル部78を樹脂材料やゴム材料で形成することができる。
【0039】
次に
図7A及び
図7Bを参照して、挿入部材80について説明する。挿入部材80は、少なくともその一部が収容部材60の溝部62内に配置され、これにより、溝部62と挿入部材80との間に(収容部材60の基部64と挿入部材80との間に)挟み込まれるようにして、防汚シート90を保持するための部材である。本実施の形態の挿入部材80は、長手方向を有し全体として平板状に形成されている。溝部62内に配置された状態において、挿入部材80の長手方向は、溝部が延びる方向と平行をなしている。挿入部材80の長手方向に直交する断面は、略矩形形状の輪郭を有している。また、挿入部材80は、その長手方向に沿って、同一の断面形状を有している。これにより、挿入部材80を、その長手方向に沿って収容部材60の溝部62内に挿入することが可能になっている。
【0040】
挿入部材80には、収容部材60の溝部62内に挿入されたときに基部64の穴68に対応する位置に、貫通穴82が設けられている。貫通穴82は、平面視において、すなわち挿入部材80の板面に対する法線方向から見て、円形形状の輪郭を有している。貫通穴82の寸法(直径)は、熱板40の突起部44の小径部48の寸法(直径)よりも大きく且つ大径部46の寸法(直径)よりも小さくなっている。なお、挿入部材80は、収容部材60の切欠き69に対応する角部に切欠き84を有している。この切欠き84は、切欠き69と同様に、挿入部材80が熱板40の上面から延び出す配線と接触しないように設けられている。
【0041】
次に
図8A及び
図8Bを参照して、防汚シート90について説明する。防汚シート90は、収容部材60の溝部62と挿入部材80との間に保持される被保持部92と、被保持部92から吊り下げられる吊下部94と、を有している。被保持部92と吊下部94とは一体の部材として構成されている。図示された例では、被保持部92と吊下部94との間に折り目96が形成されている。なお、防汚シート90は、必ずしも折り目96を有していなくともよい。防汚シート取付け機構50が熱板40に対して取り付けられた状態において、防汚シート90の吊下部94は、熱板40のシール面41を覆うように配置され、熱板40(シール面41)と袋体100の袋口110との間に位置する。
【0042】
図8Aに示されているように、被保持部92には、収容部材60の溝部62と挿入部材80との間に保持されたときに基部64の穴68及び挿入部材80の貫通穴82に対応する位置に、貫通穴98が設けられている。貫通穴98は、被保持部92の平面視において、円形形状の輪郭を有している。貫通穴98の寸法(直径)は、熱板40の突起部44の小径部48の寸法(直径)よりも大きく且つ大径部46の寸法(直径)よりも小さくなっている。また、被保持部92は、収容部材60の切欠き69に対応する角部に切欠き99を有している。この切欠き99は、切欠き69,84と同様に、防汚シート90が熱板40の上面から延び出す配線と接触しないように設けられている。
【0043】
次に、
図9を参照して、防汚シート取付け機構50への防汚シート90の取付方法について説明する。まず、防汚シート90の被保持部92が挿入部材80上に位置するように、被保持部92と挿入部材80とを重ね合わせる。この状態で、収容部材60の溝部62の延びる方向と挿入部材80の長手方向とを一致させ、被保持部92及び挿入部材80を、溝部62の延びる方向(挿入部材80の長手方向)に沿って、収容部材60の溝部62内に挿入する。これにより、溝部62と挿入部材80との間に挟み込まれるようにして、すなわち収容部材60の基部64と挿入部材80との間に挟み込まれるようにして、防汚シート90が保持される。このとき、収容部材60の基部64の貫通穴68、防汚シート90の被保持部92の貫通穴98及び挿入部材80の貫通穴82の位置を一致させる。なお、防汚シート90に折り目96が形成されていない場合には、防汚シート90の被保持部92が及び挿入部材80が溝部62内に挿入された際に、基部64と規制部76とが接続する溝部62の角部において、防汚シート90に折り目96が形成される。防汚シート90を防汚シート取付け機構50から取り外す際には、収容部材60から挿入部材80及び防汚シート90を引き抜く。
【0044】
本実施の形態では、防汚シート90の防汚シート取付け機構50への着脱を行う際に、取付ボルト等の部品を用いる必要がない。すなわち、防汚シート90の防汚シート取付け機構50への着脱を行う際に、取付ボルトを取り外したり締め付けたりするためのドライバー等の工具を用いる必要がない。したがって、防汚シート90の防汚シート取付け機構50への着脱を短時間で且つ容易に行うことが可能である。
【0045】
防汚シート90が取り付けられた防汚シート取付け機構50を熱板40に取り付ける際には、作業者は、収容部材60のハンドル部78を手で把持しながら、熱板40の突起部44の小径部48が、切欠き72、貫通穴82及び貫通穴98を順に通って、収容部材60の基部64の貫通穴68に挿通されるように、防汚シート取付け機構50を熱板40に載置する。
【0046】
本発明のシール装置35,36は、袋体100の袋口110を熱シールするシール面41を有する熱板40と、シール面41を覆う防汚シート90が取り付けられる防汚シート取付け機構50と、を備え、防汚シート取付け機構50は、溝部62を有する収容部材60と、溝部62が延びる方向と平行な長手方向を有し、少なくとも一部が溝部62内に配置される挿入部材80と、を備え、溝部62と挿入部材80との間に防汚シート90が保持される。
【0047】
本発明の袋詰め包装機10は、上述のシール装置35,36を備える。
【0048】
このようなシール装置35,36及び袋詰め包装機10によれば、防汚シート90の防汚シート取付け機構50への着脱を行う際に、取付ボルト等の部品を用いる必要がない。すなわち、防汚シート90の防汚シート取付け機構50への着脱を行う際に、取付ボルトを取り外したり締め付けたりするためのドライバー等の工具を用いる必要がない。したがって、防汚シート90の防汚シート取付け機構50への着脱を短時間で且つ容易に行うことが可能である。すなわち、シール装置35,36における防汚シート90の交換を容易にすることができる。
【0049】
本発明のシール装置35,36では、収容部材60は、挿入部材80の溝部62からの脱落を防止する保持部70を有する。
【0050】
このようなシール装置35,36によれば、挿入部材80の溝部62からの脱落を防止して、挿入部材80及び防汚シート90を安定して保持することが可能になる。
【0051】
本発明のシール装置35,36では、収容部材60は、当該シール装置35,36に含まれる他の部材に取り付けられる被取付部66を有する。
【0052】
このようなシール装置35,36によれば、防汚シート取付け機構50を、当該シール装置35,36に含まれる熱板40等の他の部材に安定して取り付けることができる。
【0053】
本発明のシール装置35,36では、保持部70は、被取付部66に対応する切欠き又は貫通穴を有する。
【0054】
このようなシール装置35,36によれば、保持部70により、防汚シート取付け機構50の、当該シール装置35,36に含まれる熱板40等の他の部材への取付けが阻害されることを防止することができる。
【0055】
本発明のシール装置35,36では、被取付部66は溝部62に連通する穴68を有する。
【0056】
本発明のシール装置35,36では、穴68は貫通穴68である。
【0057】
このようなシール装置35,36によれば、被取付部66を単純な穴(貫通穴)68として形成することができ、簡単な工程で被取付部66を形成することができる。
【0058】
本発明のシール装置35,36では、収容部材60は、溝部62が延びる方向と交差する方向への挿入部材80の移動を規制する規制部76を有する。
【0059】
このようなシール装置35,36によれば、収容部材60内に挿入された挿入部材80を安定して保持することができる。
【0060】
本発明のシール装置35,36では、収容部材60は、作業者が把持可能なハンドル部78を有する。
【0061】
このようなシール装置35,36によれば、熱板40から伝わった熱により高温になり得る収容部材60の本体部61に直接触れることなく、作業者が手で防汚シート取付け機構50の熱板40への着脱を行うことができる。したがって、防汚シート取付け機構50の熱板40への着脱時における安全性を高めることができる。
【0062】
なお、防汚シート取付け機構50は、第1シール装置35及び第2シール装置36の両方に取り付けられてもよいし、第1シール装置35及び第2シール装置36のうちの一方にのみ取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 袋詰め包装機
11 コンベアマガジン
12 袋処理装置
20 搬送機構
21 搬送テーブル
22 保持部
35 第1シール装置
36 第2シール装置
40 熱板
41 シール面
42 取付部
44 突起部
46 大径部
48 小径部
50 防汚シート取付け機構
60 収容部材
61 本体部
62 溝部
64 基部
66 被取付部
68 穴(貫通穴)
70 保持部
72 切欠き
74 接続部
76 規制部
78 ハンドル部
80 挿入部材
82 貫通穴
90 防汚シート
92 被保持部
94 吊下部
98 貫通穴
D1 搬送方向
S1~S8 処理部