IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社東芝の特許一覧 ▶ 東芝電機サービス株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-アレーアンテナ装置 図1
  • 特許-アレーアンテナ装置 図2
  • 特許-アレーアンテナ装置 図3
  • 特許-アレーアンテナ装置 図4A
  • 特許-アレーアンテナ装置 図4B
  • 特許-アレーアンテナ装置 図4C
  • 特許-アレーアンテナ装置 図4D
  • 特許-アレーアンテナ装置 図5
  • 特許-アレーアンテナ装置 図6
  • 特許-アレーアンテナ装置 図7
  • 特許-アレーアンテナ装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】アレーアンテナ装置
(51)【国際特許分類】
   H01Q 21/08 20060101AFI20220613BHJP
   H01Q 7/00 20060101ALI20220613BHJP
   H01Q 9/34 20060101ALI20220613BHJP
   H01Q 1/52 20060101ALI20220613BHJP
   G01S 3/28 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
H01Q21/08
H01Q7/00
H01Q9/34
H01Q1/52
G01S3/28
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018166709
(22)【出願日】2018-09-06
(65)【公開番号】P2020043378
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-06-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【氏名又は名称】鵜飼 健
(72)【発明者】
【氏名】大舘 紀章
(72)【発明者】
【氏名】高崎 慎平
(72)【発明者】
【氏名】児島 誠
(72)【発明者】
【氏名】西谷 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】山崎 幹宏
【審査官】佐藤 当秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0318612(US,A1)
【文献】米国特許第05459451(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01Q 21/08
H01Q 7/00
H01Q 9/34
H01Q 1/52
G01S 3/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸上で互いに交差する第1および第2のループアンテナを備える第1ループアンテナ対と、
前記第1軸上で互いに交差する第3および第4のループアンテナを備え、前記第1ループアンテナ対と前記第1軸上で離間して配置される第2ループアンテナ対とを具備し、
前記第1乃至第4のループアンテナを、前記第1軸方向からの視線に対して、前記第1軸を中心として回転対称に配置した、アレーアンテナ装置。
【請求項2】
前記第1軸に沿って延伸されるモノポールアンテナをさらに具備する、請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項3】
前記モノポールアンテナは、前記第1軸を中心として回転対称に配置され、前記第2ループアンテナ対を迂回する複数の延長部分を有する、請求項2に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項4】
前記第1のループアンテナの給電線と、前記第2のループアンテナの給電線とを、前記第1軸に直交する第2軸と前記第1軸とを含む面上で、前記第1軸を中心として対称的に配置し、
前記第3のループアンテナの給電線と、前記第4のループアンテナの給電線とを、前記第1軸および前記第2軸に直交する第3軸と前記第1軸とを含む面上で、前記第1軸を中心として対称的に配置した、請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項5】
前記第1乃至第4のループアンテナの給電線を配設可能な筒状部を有し、前記第1軸に沿って延伸されるモノポールアンテナをさらに具備する、請求項4に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項6】
垂線周りに回転対称な建屋の屋上に、前記垂線と前記第1軸とを合わせて設置される、請求項1に記載のアレーアンテナ装置。
【請求項7】
前記第1および第2のループアンテナは、互いに非接触で交差する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のアレーアンテナ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、アレーアンテナ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ループアンテナを直交させて組み合わせたループアンテナ対を、さらに垂直方向に複数配置してなるアレーアンテナ装置が知られている。この種のアレーアンテナ装置は、例えば電波の到来方向を推定するために利用される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】G. Le Bouter and D. Lemur,” HF direction finding with a vertical array of collocated loop antennas,” VXIIth General Assembly of the International Union of Radio Science, Aug 2004, Maastricht, Netherlands.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、複数のループアンテナ対を備えるアレーアンテナ装置では、例えば受信感度の向上について検討されてはいたが、電波到来方向の推定にかかる精度の向上については検討されていなかった。
【0005】
そこで、目的は、方向推定精度を向上させたアレーアンテナ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態によれば、アレーアンテナ装置は、第1ループアンテナ対と、第2ループアンテナ対とを具備する。第1ループアンテナ対は、第1軸上で互いに交差する第1および第2のループアンテナを備える。第2ループアンテナ対は、第1軸上で互いに交差する第3および第4のループアンテナを備える。第1乃至第4のループアンテナは、第1軸方向からの視線に対して、第1軸を中心として回転対称に配置される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、第1の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。
図2図2は、直交ループアンテナ対101におけるループアンテナ103,104の交点の態様の一例を拡大して示す図である。
図3図2は、直交ループアンテナ対101におけるループアンテナ103,104の交点の態様の他の例を拡大して示す図である。
図4A図4Aは、ループアンテナ103と給電線201との関係を示す図である。
図4B図4Bは、ループアンテナ104と給電線202との関係を示す図である。
図4C図4Cは、ループアンテナ105と給電線203との関係を示す図である。
図4D図4Dは、ループアンテナ106と給電線204との関係を示す図である。
図5図5は、第3の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。
図6図6は、第4の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。
図7図7は、第5の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。
図8図8は、第6の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
直交するループアンテナを2つ組み合わせた直交ループアンテナ対を上下に2組配置することで、設置面積を縮小したまま、配置アンテナ数を増加させることができる。アンテナ数が増加するので、このアレーアンテナで受信した電波の方向推定精度を改善することができる。以下の実施形態では、このような構成のアレーアンテナ装置を利用する場合の方向推定精度を高くするための技術について開示する。
【0009】
[第1の実施形態]
図1は、第1の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。図1に示されるアレーアンテナ装置は、直交ループアンテナ対101と、直交ループアンテナ対102とを具備する。
【0010】
直交ループアンテナ対101は、ループアンテナ103とループアンテナ104とを備える。ループアンテナ103はY-Z面上に配置され、ループアンテナ104はX-Z面上に配置される。そして、ループアンテナ103とループアンテナとの104の交点を結ぶ軸が、Z軸上に配置される。すなわち、ループアンテナ103とループアンテナ104は、Z軸上で互いに交差する。その角度は直角であり、つまりループアンテナ103とループアンテナ104は、Z軸上で互いに直交する。
【0011】
以下の記述において、2つの直交するループアンテナ同士の交点を結ぶ軸を、直交ループアンテナ対の中心線と称する。
【0012】
直交ループアンテナ対102は、ループアンテナ105とループアンテナ106とを備える。ループアンテナ105とループアンテナとの106の交点を結ぶ軸が、Z軸上に配置される。すなわち、ループアンテナ105とループアンテナ106は、Z軸上で互いに直交する。
【0013】
ここで、直交ループアンテナ対101の中心線と直交ループアンテナ対102の中心線とは、いずれもZ軸上にある。ただし、双方の直交ループアンテナ対は、Z軸で離間して配置される。図1においては、直交ループアンテナ対101は上側(原点から遠い位置)、直交ループアンテナ対102は下側(原点に近い位置)にそれぞれ配置される。
【0014】
また、直交ループアンテナ対101と直交ループアンテナ対102の中心軸は両者ともにZ軸である。ただし、直交ループアンテナ対101と直交ループアンテナ対102とは、角度を異ならせて配置される。
【0015】
すなわちループアンテナ105は、X-Z面から45度回転した面に配置される。また、ループアンテナ106はY-Z面から45度回転した面に配置される。このようにすることで、ループアンテナ103,104,105,106は、Z軸方向からの視線に対して、Z軸を中心として回転対称の配置になる。
【0016】
図2および図3は、直交ループアンテナ対101におけるループアンテナ103,104の交点の態様の一例を拡大して示す図である。直交ループアンテナ対102においても同様の構成を採ることができる。すなわちループアンテナ103,104は、交点において互いに非接触で交差する。ループアンテナ103と104との間に、誘電体あるいは絶縁体の部材を挟み込んでもよい。このようにすることで互いのループアンテナの電気的特性が干渉しないようにできる。
【0017】
以上説明したように第1の実施形態では、上下に並べて配置された2つの直交ループアンテナ対を、互いに45度回転させて配置した。このようにすることで、4つのループアンテナのビーム方向はそれぞれ異なる方向を向くようになる。その結果、各アンテナの最大ビーム方向が異なるようになり、全ての角度の方向推定精度が改善する。
【0018】
既存の技術では、上下に並べる2つの直交ループアンテナ対の設置向きを変えることが記述されていない。仮にループアンテナの向きが同じならば、上下のループアンテナ対のアンテナ受信指向性は同じになるので、単に受信感度が高くなる効果しか得られない。
【0019】
これに対し、第1の実施形態によれば、電波到来方向の推定精度を高めたアレーアンテナ装置を提供することが可能になる。
【0020】
[第2の実施形態]
図4Aは、第2の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。図4Aに示されるように、Z-Y面に配置されたループアンテナ103の給電点はZ軸上にある。この給電点から給電線201がX軸に平行に、X-Z面内でプラスX軸方向へ配置され、さらに、その位置からX-Y面までZ軸に平行に、下に向かって配置される。
【0021】
また、図4Bに示されるように、ループアンテナ104の給電点はZ軸上にある。この給電点から給電線202がX軸に平行に、X-Z面内でマイナスX軸方向へ配置され、さらに、その位置からX-Y面までZ軸に平行に、下に向かって配置される。
【0022】
また、図4Cに示されるように、ループアンテナ105の給電点はZ軸上にある。この給電点から給電線203がY軸に平行に、Y-Z面内でプラスY軸方向へ配置され、さらに、その位置からX-Y面までZ軸に平行に、下に向かって配置される。
【0023】
また、図4Dに示されるように、ループアンテナ106の給電点はZ軸上にある。この給電点から給電線204がY軸に平行に、Y-Z面内でマイナスY軸方向へ配置され、さらに、その位置からX-Y面までZ軸に平行に、下に向かって配置される。
【0024】
第2の実施形態では、各ループアンテナ103~106の給電線を、直交ループアンテナ対101,102を結ぶ中心線に対して回転対称となるように配置する。その結果、給電線とアンテナとの結合により生じる影響が、全てのループアンテナで同等となる。これにより、方向推定精度への影響が低減される。各給電線からの4つの受信信号は、例えば方位推定処理機材に与えられ、方位推定結果が出力される。例えば、この方位推定の精度を改善することができる。
【0025】
各ループアンテナの給電線の這わせ方に偏りがあると、各ループアンテナと給電線の結合がばらつき、方向推定精度が劣化する。
【0026】
これに対し第2の実施形態によれば、給電線とループアンテナとの対称構造により、給電線とアンテナとの結合が相殺され、方向推定精度への影響を低減することができる。
【0027】
[第3の実施形態]
図5は、第3の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。図5に示されるアレーアンテナ装置は、直交ループアンテナ対101、直交ループアンテナ対102に加えて、モノポールアンテナ301を有する。モノポールアンテナ301はZ軸上に配置される。つまり、モノポールアンテナ301は、直交ループアンテナ対101と、直交ループアンテナ対102の中心軸上に配置される。
【0028】
第3の実施形態では、中心線に沿って、モノポールアンテナ301を追加する。この結果、複数のループアンテナのみでは判別できない方向推定結果の虚像を除去することができる。従って第3の実施形態によっても電波到来方向の推定精度を高めることができる。
【0029】
[第4の実施形態]
図6は、第4の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。図6において、モノポールアンテナは、モノポールアンテナ108に加え、延長部分303、及び、接続部分304を有する。
【0030】
延長部分303はZ軸上に配置される。また、接続部分304は、モノポールアンテナ108の先端と、延長部分303の下端を接続する。ただし、接続エレメントは、ループアンテナ105,106と接触せず、Z軸に対して回転対称となるように配置される。図6では、180度回転対称である。図6に代えて、90度回転対称となるように接続部分を構成してもよい。
【0031】
モノポールアンテナを延長することでモノポールアンテナの利得を改善することができる。その際、ループアンテナとモノポールアンテナとが交差する場合がある。モノポールアンテナを、単純にループを避けて迂回する形状とすると、ループアンテナとモノポールアンテナの相互結合量にアンバランスが生じる。
そこで第4の実施形態は、モノポールアンテナの迂回部分が中心線に対して回転対称となるように、複数の迂回経路を持つように構成した。これにより、全てのループアンテナとモノポールアンテナの相互結合量が同等となり、方向推定精度への影響が低減される。
従って第4の実施形態によっても、電波到来方向の推定精度を高めたアレーアンテナ装置を提供することが可能になる。
【0032】
[第5の実施形態]
図7は、第5の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。図7に示されるアレーアンテナ装置は、中空ないし筒状構造のモノポールアンテナ501を備える。そして、ループアンテナ103,104,105,106の給電線が、モノポールアンテナ501の内部を通るように配置される。煩雑を避けるため、図7においてはループアンテナ103と給電線201だけを図示するが、ループアンテナ104,105,106の給電線202,203,204も同様に、モノポールアンテナ501の内部を通るように配置される。
【0033】
第5の実施形態においては、モノポールアンテナを、筒状部を有する中空構造とし、ループアンテナの給電線を筒状部の中を通すように構成する。この結果、給電線とループアンテナ間の結合が低減され、方向推定精度への影響が低減される。従って第5の実施形態によっても、電波到来方向の推定精度を高めたアレーアンテナ装置を提供することが可能になる。
【0034】
[第6の実施形態]
図8は、第6の実施形態におけるアレーアンテナ装置の一例を示す図である。第6の実施形態おけるアレーアンテナ装置107は、垂線周りに回転対称な形状を持つ建屋601の屋上に配置される。このとき、建物の垂線と、アレーアンテナ装置107の中心線とを一致させる。建屋の形状は、四角柱、6角柱、あるいは円柱状でもよく、垂線周りに回転対称であればよい。
【0035】
第6の実施形態では、アレーアンテナ装置を建屋屋上に設置する際に、建屋の形状を回転対称とし、この回転軸と中心線とを合わせてアレーアンテナ装置を設置する。この結果、建屋の影響を全てのループアンテナが等しく受けることとなり、方向推定精度への影響が低減される。従って第6の実施形態によっても、電波到来方向の推定精度を高めたアレーアンテナ装置を提供することが可能になる。
【0036】
なお、この発明は上記各実施形態に限定されるものではない。例えば直交ループアンテナ対の数は2に限られるものではなく、3以上であってもよい。
【0037】
また、第1乃至第6の各実施形態における構造を選択的に組み合わせて実施すれば、各実施形態で述べた効果をそれぞれ得ることができる。
【0038】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は例として提示するものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0039】
101…直交ループアンテナ対、102…直交ループアンテナ対、103~106…ループアンテナ、107…アレーアンテナ装置、108…モノポールアンテナ、201…給電線、202…給電線、203…給電線、204…給電線、301…モノポールアンテナ、303…延長部分、304…接続部分、501…モノポールアンテナ、601…建屋。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8