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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20220613BHJP
   E06B 1/30 20060101ALI20220613BHJP
   E06B 3/22 20060101ALI20220613BHJP
   E06B 3/38 20060101ALI20220613BHJP
   E05C 1/16 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
E06B5/16
E06B1/30
E06B3/22
E06B3/38
E05C1/16 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2018194282
(22)【出願日】2018-10-15
(65)【公開番号】P2020063558
(43)【公開日】2020-04-23
【審査請求日】2021-04-02
(73)【特許権者】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】春山 幸浩
(72)【発明者】
【氏名】亀田 健治
【審査官】芝沼 隆太
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-229827(JP,A)
【文献】実開昭62-32160(JP,U)
【文献】特開2010-248804(JP,A)
【文献】特開2010-248837(JP,A)
【文献】特開2000-154685(JP,A)
【文献】特開2001-65234(JP,A)
【文献】特開2015-190229(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 5/00- 5/20
1/00- 1/70
3/04- 3/46
3/50- 3/88
E05C 1/00-21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口を形成し合成樹脂製の枠体と、
合成樹脂製の框体を有し前記開口を閉塞可能に支持された障子と、
前記枠体及び前記框体の少なくともいずれか一方に金属製のねじにより固定されている難燃性または不燃性の補強材と、
前記補強材に固定され前記障子が前記開口を閉塞した状態を維持可能な閉塞維持ユニットと、
を有し、
前記閉塞維持ユニットは、前記ねじにより前記補強材が固定されている前記枠体または前記框体を、前記補強材との間に挟んで当該補強材に固定される当接板部を有し、
前記当接板部は、前記ねじの頭部に当接していることを特徴とする建具。
【請求項2】
請求項1に記載の建具であって、
前記閉塞維持ユニットは、前記枠体に前記框体を係止する係止ユニットと、前記係止ユニットと前記補強材とを連結する、難燃性または不燃性の連結部材と、を有し、
前記連結部材が前記当接板部を有していることを特徴とする建具。
【請求項3】
請求項2に記載の建具であって、
前記係止ユニットは、出没可能なラッチボルトを有するラッチ機構、または、前記ラッチボルトが係合離脱する受け金具であることを特徴とする建具。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の建具であって、
前記ねじは皿ねじであることを特徴とする建具。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかに記載の建具は、
外倒し窓を構成することを特徴とする建具。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開口を形成する枠体と、開口を閉塞可能に支持された障子と、を有する建具に関する。
【背景技術】
【0002】
建具の中には、例えば、金属製室外側枠材および断熱材製室内側枠材を有する断熱窓枠と、金属製室外側框材および断熱材製室内側框材を有する断熱框を備えた断熱障子と、を有する断熱性を備えた建具がある(例えば、特許文献1参照)。この建具は、障子を閉塞状態に保つためのラッチ機構を構成する金属製のラッチ受けが、金属製室外側枠材に固着された裏板に断熱材製室内側枠材を挟んでねじ止めされている。このとき、ラッチ受けと裏板との間には断熱材製室内側枠材が介在されているので、火炎等により断熱材製室内側枠材が溶融した際に、ラッチ受けがガタつき、障子の閉塞状態が保たれない虞がある。このため、火炎等に晒されてもラッチ受けがガタつかないように、裏板から突出してラッチ受けに当接するヒレ片やバーリング孔を形成する、或いは、ラッチ受けと裏板との間に筒体を介在させてねじ止めしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-154685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の建具のように、火炎等に晒されても障子が閉塞された状態を保つべく、ラッチ受け等のラッチ機構を構成する部材を固定する部材にヒレ片やバーリング孔等を設けると部品製造において工程が増えるためコストが嵩むことになり、ラッチ機構を構成する部材と固定する部材との間に筒体等の別の部材を介在させてねじ止めすると、部材の点数が増えると共に、作業が繁雑になるという課題がある。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、火炎等に晒されても障子が閉塞された状態を維持する構造を、コストを抑えつつも容易に備えることが可能な建具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる目的を達成するための主たる発明は、開口を形成し合成樹脂製の枠体と、合成樹脂製の框体を有し前記開口を閉塞可能に支持された障子と、前記枠体及び前記框体の少なくともいずれか一方に金属製のねじにより固定されている難燃性または不燃性の補強材と、前記補強材に固定され前記障子が前記開口を閉塞した状態を維持可能な閉塞維持ユニットと、を有し、前記閉塞維持ユニットは、前記ねじの頭部に当接される当接板部を有し、前記当接板部が前記補強材に固定されていることを特徴とする建具である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、火炎等に晒されても障子が閉塞された状態を維持する構造を、コストを抑えつつも容易に備えることが可能な建具を提供することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本実施形態に係る建具を示す斜視図である。
図2】本実施形態に係る建具を示す縦断面図である。
図3図2におけるA部の拡大図である。
図4図3におけるB部の断面の拡大図である。
図5】上框を室外側から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の第一実施形態に係る建具について図面を参照して説明する。
本実施形態においては、矩形状の枠体に対して、矩形状の障子の下端がヒンジを介して回動自在に取り付けられており、障子の上部側が室外側に移動することにより障子が倒れて開放される外倒し窓用の建具(以下、単に建具という)を例に挙げて説明する。
【0010】
以下の説明においては、建物等に取り付けられて障子が閉じた状態の建具1の上下となる方向を上下方向、左右となる方向を左右方向、奥行き方向を見込み方向として示す。建具1の各部位であっても、また、建具1をなす各部材が単体の状態であっても、取り付けられて障子が閉じた状態にて上下方向、左右方向、見込み方向となる方向にて方向を特定して説明する。
【0011】
建具1は、図1図2に示すように、矩形状に枠組みされて開口10aを形成する枠体10と、矩形状のガラス2aの周りを囲む矩形状の框体20を有し開口10aを閉塞可能な障子2と、障子2の上部側が下部側より室外側に移動するように障子2を付勢するダンパー3と、障子2により開口10aを閉塞した状態を維持すべく障子2を枠体10に係止する閉塞維持ユニット4と、閉塞維持ユニット4により開口10aを閉塞している状態を維持している障子2の閉塞状体を解除するために操作する解除操作機構1aと、開放された障子2を閉塞方向に移動させるために操作する移動操作機構1bと、を有している。以下の説明においては、枠体10に対して、開口10aを閉塞した状態の障子2が位置する側を内周側、反対側を外周側とし、框体20に対しては、ガラス2aが位置する側が内周側、枠体10が位置する側を外周側として説明する。尚、図1においては、ダンパー3を省略している。
【0012】
枠体10は、上下に配置される上枠11及び下枠12と、左右に配置される2本の縦枠13とが枠組みされており、開口10aを形成している。各枠11、12、13すなわち上枠11、下枠12および2本の縦枠13は、いずれも同一の断面形状に押出成形された合成樹脂製の部材である。各枠11、12、13は、各々の長手方向における両端が45度に傾斜しており、互いに隣り合う枠11、12、13は、互いの端同士を突き合わせて溶着されて矩形状をなしている。
【0013】
障子2を構成する框体20は、上下に配置される上框21及び下框22と、左右に配置される2本の縦框23とが枠組みされ、各框21、22、23、すなわち上框21、下框22および2本の縦框23の内周側に設けられた溝部にガラス2aの外周部が収容されている。各框21、22、23は、いずれも同一の断面形状に押出成形された合成樹脂製の部材である。各框21、22、23は、各々の長手方向における両端が45度に傾斜しており、互いに隣り合う框21、22、23は、互いの端同士を突き合わせて溶着されて矩形状をなしている。
【0014】
障子2は、下框22がヒンジ1cを介して下枠12に取り付けられ、回動することにより開口10aを開閉可能に設けられており、障子2の左側及び右側において縦枠13と縦框23との間に、所謂ショックアブソーバーでなるダンパー3が設けられている。ダンパー3は、長さ方向に圧縮されると伸長方向に付勢するように構成されている。ダンパー3の一方の端部3aは、ダンパー3を回動自在に支持する下ブラケット31を介して縦枠13の下端部側に固定されており、ダンパーの他端部3bは、ダンパー3を回動自在に支持する上ブラケット32を介して障子2の縦框23の上下方向にける中央付近に固定されている。
【0015】
枠体10及び障子2の上部に閉塞維持ユニット4が設けられている。閉塞維持ユニット4は、図1に示すように、上枠11の左右方向における中央に設けられラッチボルト41a(図3参照)が出没可能なラッチ機構41と、障子2の上框21の左右方向における中央に設けられ、突出したラッチボルト41aが係止される受け金具42と、を有する係止ユニット40と、ラッチ機構41を後述する枠補強材5と連結する連結部材6している。
【0016】
ラッチ機構41には、引っ張ることにより、受け金具42に係止されたラッチボルト41aの係止状態を解除可能な解除用ワイヤ1dが繋がっている。解除用ワイヤ1dは、上枠11の左右方向における一方の端部に設けられたプーリーユニット1eのプーリー(不図示)に巻き付けられて先端が下方に垂れ下がっている。また、障子2の上框21に設けられている受け金具42には、開いた状態の障子2の上部を枠体10側に引っ張るための閉塞用ワイヤ1fが繋がっている。閉塞用ワイヤ1fは、上枠11のラッチ機構41とともに設けられたプーリー(不図示)と、上枠11の左右方向における他方の端部に設けられたプーリーユニット1gのプーリー(不図示)とに引き回されて先端が下方に垂れ下がっている。
【0017】
ラッチ機構41が連結部材6とともに取り付けられる上枠11は、枠体10の上側の外周面をなす上外周部110と、上外周部110から長手方向に沿って上方に突出するヒレ状の上方突出片111と、上方突出片111の室内側に設けられ上外周部110より下方に窪む上溝部112と、上溝部112より下に設けられ長手方向に貫通する第1中空部113と、第1中空部113の室内側にて第1中空部113よりも下方に延出された下方延出部114と、を有している。
【0018】
第1中空部113は、断面形状がほぼ矩形状をなしており、内部に金属製の枠補強材5が収容されている。第1中空部113の上面を形成する上面部113aにおける室内側の一部は上溝部112の底をなしている。すなわち、上溝部112は第1中空部113の室内側の部位の上に隣接して設けられている。
【0019】
上溝部112及び第1中空部113の室内側には、枠体10の上面から第1中空部113の下面を形成する下面部113bの高さに亘る領域に第2中空部115が設けられており、第2中空部115の下に下方延出部114が設けられている。第1中空部113の上面部113aと下面部113bとの室内側の縁を繋ぎ、第1中空部113の室内側の面を形成する室内壁部113cは、第1中空部113の上に設けられた上溝部112の室外側の壁をなす室外上溝壁部112aと繋がっており、室内壁部113c及び室外上溝壁部112aが、第2中空部115の室外側の面を形成している。
【0020】
上枠11は、室内壁部113c及び室外上溝壁部112aと室内側に間隔を空けて設けられ、第2中空部115の室外側の面を形成する上枠内壁部115aを有している。上枠内壁部115aには、室内側に突出しほぼ水平をなすヒレ状の室内突出片115bが設けられており、室内突出片115bは、枠体10の室内側に設けられている額縁1hに固定されている。
【0021】
室内壁部113cは、第1中空部113及び第2中空部115より下に設けられている下方延出部114の室外側の壁部をなす室外側延出壁部114aと繋がっている。下方延出部114は、室内壁部113cと繋がる室外側延出壁部114aと、当該室外側延出壁部114aの室内側に間隔を空けて対向する室内側延出壁部114bとを有している。室外側延出壁部114aと室内側延出壁部114bとは、上端同士が下面部113bの室内側にて繋がる上連結部114cにより、下端同士が下連結部114dにより、上下方向の中央より僅かに低い位置にて中連結部114eにより、各々連結されている。すなわち、下方延出部114は、上連結部114cと中連結部114eとの間、及び、中連結部114eと下連結部114dとの間に中空部を有している。
【0022】
下方延出部114の室外側に位置する室外側延出壁部114aには、室外側から当接される上框21に押圧される気密材11aが、中連結部114eと下連結部114dとの間に嵌合されて設けられている。下方延出部114の室内側に位置する室内側延出壁部114bには、ラッチ機構41が取り付けられている。
【0023】
ラッチ機構41は、ラッチボルト41aが出没するラッチ本体部41bと、ラッチ本体部41bと一体に形成された金属製のラッチ固定部41cとを有している。ラッチ固定部41cは、ラッチ本体部41bの室外側の縁より室外側にて下方延出部114の室内側の壁部をなす室内側延出壁部114bに当接される当接面部41dを有している。当接面部41dには、ねじ43が貫通される貫通孔41eが設けられており、貫通孔41eを挿通されたねじ43により下方延出部114の室外側に設けられている金属製の連結部材6に固定されている。上枠11に取り付けられたラッチ機構41は、ラッチボルト41aが下方に突出するように設けられている。
【0024】
連結部材6は、断面形状がL字状をなす2つの板部により形成される連結部60と、2つの板部の一方にカシメ固定された金属カラー61と、を有している。連結部材6は、上枠11の長手方向の長さよりも十分に短いピース部品である。2つの板部は、下面部113bに対面させて当接される下面当接板部60aと、室外側延出壁部114aに対面させて当接される延出壁当接板部60bと、であり、延出壁当接板部60bの室内側に見込み方向に突出させて金属カラー61が設けられている。
【0025】
金属カラー61は、内周面に雌ねじが形成されており、下方延出部114の中連結部114eより上にて室内側延出壁部114bと室外側延出壁部114aとに設けられた貫通孔114fに挿通されている。金属カラー61は、下方延出部114を貫通してその先端が、ラッチ固定部41cの室外側の当接面部41dに当接されて、雌ねじに螺合されるねじ43によりラッチ固定部41cが固定されている。
【0026】
枠補強材5は、上枠11の長手方向のほぼ全長に亘る長さを有する部材である。連結部材6の下面当接板部60aは、下面部113bの上の第1中空部113内に設けられた金属製の枠補強材5に、左右方向に間隔を空けた2箇所、例えば左右方向における両端部側にて固定ねじ62により固定されている。
【0027】
枠補強材5は、断面コ字状をなし、第1中空部113内にて上枠11の下面部113bと対向する枠補強材下板部51と、第1中空部113内にて上枠11の上面部113aと対向する枠補強材上板部52と、枠補強材下板部51の室外側の縁と枠補強材上板部52の室外側の縁とを繋ぐ枠補強材上下板部53と、を有している。枠補強材下板部51には、下面部113b側に加熱発泡材1iが設けられており、枠補強材上下板部53には、室内側及び室外側の面に各々加熱発泡材1iが設けられている。
【0028】
枠補強材5は、図3図5に示すように、枠補強材下板部51に上枠11の下面部113bが皿ねじ54により下方から固定されている。皿ねじ54は、左右方向に間隔を隔てた複数箇所において枠補強材5に螺合されており、枠補強材5に螺合されて連結部材6を固定している2本の固定ねじ62の間の2箇所に螺合されている。このため、連結部材6は、上枠11に枠補強材5を固定している皿ねじ54の頭部54aに、下面当接板部60aの上面が当接されて枠補強材5に固定されている。
【0029】
枠補強材上板部52は、上溝部112の下にも位置しており、上溝部112内に設けられ上枠11の上方突出片111とともに躯体100に固定されている躯体固定金具7と、上溝部112の底をなす上面部113aと、を貫通するねじ70が螺合されている。
【0030】
受け金具42が取り付けられる上框21は、ガラス2aの上端部よりも上方に設けられ、見込み方向に並ぶ室内框中空部211と室外框中空部212とを有している。室内框中空部211と室外框中空部212とには、各々金属製の框補強材80、81が設けられている。室内框中空部211と室外框中空部212とは、框体20の外周側となる上框21の上面に設けられた框補強材連結金具8に各々ビス止めされて連結されている。受け金具42は、室内框中空部211の室内側の面を形成する框室内壁部211aを介して室内框中空部211内の框補強材80に室内側からねじ止めされている。
【0031】
受け金具42は、框室内壁部211aに対面して当接される框固定部42aと、框固定部42aの下縁から室内側に延出されほぼ水平をなす受け金具延出板部42bと、を有している。受け金具延出板部42bには、ラッチ本体部41bから突出されたラッチボルト41aが挿入される挿入孔42cが設けられており、受け金具延出板部42bの室内側の先端部は、先端に向かって低くなる傾斜部42dが設けられている。
【0032】
室内框中空部211内の框補強材80は、框室内壁部211aの内側に当接される框補強材室内壁部80aと、框補強材室内壁部80aの上縁から室外側に延出され、室内框中空部211の上面を形成する框室内上面部211bと対向する框補強材上板部80bとを有している。框補強材上板部80bには、框室内上面部211b側に加熱発泡材1iが設けられている。
【0033】
室内框中空部211の内の框補強材80は、框補強材上板部80bに、框室内上面部211bの上に設けられている框補強材連結金具8、框室内上面部211b、及び、加熱発泡材1iを貫通するねじ82が螺合されて、室外框中空部212の框補強材81と連結されて設けられている。受け金具42は框固定部42aの室外側の面が框室内壁部211aの室内側の面に当接され、框固定部42aと框室内壁部211aとを挿通するねじ83が框補強材室内壁部80aに螺合されて固定されている。
【0034】
本実施形態の建具1は、障子2が開口10aを閉塞する状態で、上枠11に設けられているラッチ機構41の下に受け金具42が配置されており、ラッチ本体部41bから下方に突出するラッチボルト41aが受け金具42の挿入孔42cに挿入されて係止されることにより、障子2が開口10aを閉塞している状態が維持されている。そして、解除操作機構1aを操作することにより、ラッチボルト41aが上方に引き上げられて挿入孔42cから脱けるとともにダンパー3に付勢されて障子2の上部側が室外側に移動して閉塞状態が解除される。
【0035】
本実施形態の建具1によれば、障子2が開口10aを閉塞した状態を維持可能なラッチ機構41を合成樹脂製の枠体10に固定する連結部材6は、金属製の枠補強材5に固定されている金属製のねじ54の頭部54aに下面当接板部60aが当接されているので、火炎等に晒されて枠体10の下面部113bが溶融したとしても、下面当接板部60aが枠補強材5を固定されている金属製のねじ54に当接している状態が保たれる。このため、枠体10が溶融したとしても、枠補強材5に固定されたラッチ機構41にがたつきが生じることはない。このため、たとえ、火炎に晒されたとしても、障子2により開口10aが閉塞されている状態を維持することが可能である。
【0036】
また、下面当接板部60aが当接される皿ねじ54は、枠補強材5を上枠11に固定するための皿ねじ54なので、ラッチ機構41が設けられていなくとも必ず用いられる。このため、必ず設けられる皿ねじ54を下面当接板部60aが当接される位置に配置するだけで、火炎に晒されたとしても、障子2により開口10aが閉塞されている状態を維持することが可能な構成を備えた建具1を実現することが可能である。このため、火炎等に晒されても障子2が閉塞された状態を維持する構造を、コストを抑えつつも容易に備えることが可能な建具1を提供することが可能である。
【0037】
このとき、ラッチ機構41は、金属製の連結部材6に連結されているので、火炎に晒されたとしても、ラッチ機構41と連結部材6との連結状態は変わらず、ラッチ機構41は連結部材6と緩みなく固定されている。また、連結部材6が有している当接板部としての下面当接板部60aが金属製のねじ54の頭部54aに当接されているので、ラッチ機構41と枠補強材5との間に連結部材6が介在される構成の建具1が火炎に晒されたとしても、ラッチボルト41aが受け金具42に係合した状態を維持して、障子2により開口10aが閉塞されている状態を維持することが可能である。このため、上述した建具1のように、上枠内壁部115aから室内側に突出する室内突出片115bが枠体10の室内側に設けられている額縁1hに固定されて、ラッチ機構41などの閉塞維持ユニットを直接、枠補強材5に取り付けられない位置であっても、連結部材6を介して閉塞維持ユニットを取り付け、障子2により開口10aが閉塞されている状態を維持することが可能である。
【0038】
また、下面当接板部60aが当接されるねじを頭部54aが平坦な皿ねじ54としたので、連結部材6に固定されているラッチ機構41をより安定した状態に保つことが可能である。
【0039】
上記実施形態においては、閉塞維持ユニット4が、係止ユニット40と、連結部材6とを有している例について説明したが、連結部材は必ずしも設けられていなくとも構わない。この場合には、係止ユニットが枠補強材を枠体に固定するねじの頭部に当接される当接板部が設けられている。また、上記実施形態においては、係止ユニット40のラッチ機構41が下面当接板部60aを有する連結部材6を介して枠補強材5に固定される例について説明したが、これに限らず、受け金具または障子が開口を閉塞した状態を維持させる他の部材が、当接板部を有する連結部材を介して、または、框補強材に固定されているねじに当接させて框補強材に固定されていても構わない。
【0040】
上記実施形態においては、枠補強材及び框補強材を金属製としたが、これに限らず、例えば、難燃性または不燃性の材料により形成されていれば構わない。
【0041】
上記実施形態においては、下面当接板部60aが当接されるねじを皿ねじ54とした例について説明したが、これに限るものではない。なべねじやバインドねじなど頭部が平坦なねじでなくとも、例えば、例えば、3本のねじの頭部に当接させるなど、閉塞維持ユニット4を安定した状態で固定できる構成であれば構わない。
【0042】
上記実施形態においては、外倒し窓用の建具を例に挙げて説明したが、これに限るものではなく、内倒し窓、突き出し窓など、回動することにより開放される窓を構成する建具であれば構わない。
【0043】
また、上記実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはいうまでもない。
【0044】
本実施形態には、少なくとも以下の発明が含まれる。
開口を形成し合成樹脂製の枠体と、合成樹脂製の框体を有し前記開口を閉塞可能に支持された障子と、前記枠体及び前記框体の少なくともいずれか一方に金属製のねじにより固定されている難燃性または不燃性の補強材と、前記補強材に固定され前記障子が前記開口を閉塞した状態を維持可能な閉塞維持ユニットと、を有し、前記閉塞維持ユニットは、前記ねじの頭部に当接される当接板部を有し、前記当接板部が前記補強材に固定されていることを特徴とする建具である。
【0045】
このような建具によれば、難燃性または不燃性の補強材に固定され障子が開口を閉塞した状態を維持可能な閉塞維持ユニットは、合成樹脂製の枠体又は框体に補強材が固定されている金属製のねじの頭部に当接板部が当接されているので、火炎等に晒されて枠体又は框体が溶融したとしても、当接板部が補強材を固定されている金属製のねじに当接している状態が保たれる。このため、枠体又は框体が溶融したとしても、補強材に固定された閉塞維持ユニットにがたつきが生じることはない。このため、たとえ、火炎に晒されたとしても、障子により開口が閉塞されている状態を維持することが可能である。
【0046】
また、当接板部が当接されるねじは、補強材を枠体に固定するためのねじなので、閉塞維持ユニットが設けられていなくとも必ず用いられる。このため、必ず設けられるねじを当接板部が当接される位置に配置するだけで、火炎に晒されたとしても、障子により開口が閉塞されている状態を維持することが可能な構成を備えた建具を実現することが可能である。このため、火炎等に晒されても障子が閉塞された状態を維持する構造を、コストを抑えつつも容易に備えることが可能な建具を提供することが可能である。
【0047】
かかる建具であって、
前記閉塞維持ユニットは、前記枠体に前記框体を係止する係止ユニットと、前記係止ユニットと前記補強材とを連結する難燃性または不燃性の連結部材と、を有し、前記連結部材が前記当接板部を有していることを特徴とする。
【0048】
このような建具によれば、係止ユニットは、難燃性または不燃性の連結部材に連結されているので、火炎に晒されたとしても、係止ユニットと連結部材との連結状態は変わらない。また、連結部材が有している当接板部が金属製のねじの頭部に当接されるので、係止ユニットと補強材との間に連結部材が介在される構成であっても、火炎に晒されたとしても、障子により開口が閉塞されている状態を維持することが可能である。このため、構造上、閉塞維持ユニットを直接取り付けられない位置であっても、連結部材を介して閉塞維持ユニットを取り付けることが可能である。
【0049】
かかる建具であって、前記係止ユニットは、出没可能なラッチボルトを有するラッチ機構、または、前記ラッチボルトが係合離脱する受け金具であることを特徴とする。
【0050】
このような建具によれば、火炎に晒されてもラッチ機構または受け金具はガタつかないように取り付けられているので、ラッチボルトが受け部材に係合した状態を維持することが可能である。このため、障子が開口を閉塞した状態を維持することが可能である。
【0051】
かかる建具であって、前記ねじは皿ねじであることを特徴とする。
このような建具によれば、火炎に晒されて枠体または框体が溶融したときには当接板部はねじの頭部に支持されることになる。このとき、補強材を固定しているねじは、頭部が平坦な皿ねじなので、閉塞維持ユニットをより安定した状態に保つことが可能である。
【0052】
かかる建具は、外倒し窓を構成することを特徴とする。
このような建具によれば、火炎に晒されても、障子が開放されにくい外倒し窓を提供することが可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 建具、2 障子、4 閉塞維持ユニット、5 枠補強材、
6 連結部材、10 枠体、10a 開口、11 上枠、20 框体、
40 係止ユニット、41 ラッチ機構、41a ラッチボルト、
42 受け金具、54 皿ねじ(ねじ)、54a 頭部、60 連結部、
60a 下面当接板部、61 金属カラー、
図1
図2
図3
図4
図5