(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】組合せ秤の直進フィーダ
(51)【国際特許分類】
G01G 19/387 20060101AFI20220613BHJP
B65G 47/14 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G01G19/387 C
B65G47/14 101C
(21)【出願番号】P 2018197128
(22)【出願日】2018-10-19
【審査請求日】2021-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000208444
【氏名又は名称】大和製衡株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086737
【氏名又は名称】岡田 和秀
(72)【発明者】
【氏名】田中 悠太
(72)【発明者】
【氏名】高柳 一夫
【審査官】後藤 順也
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-147320(JP,U)
【文献】国際公開第93/015003(WO,A1)
【文献】実開昭61-148834(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01G 19/00-19/64
B65G 17/00-27/34
B65G 47/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を振動搬送する組合せ秤の直進フィーダであって、
トラフ取付け板を有する加振機構と、前記トラフ取付け板に、脱着可能に装着されるトラフとを備え、
前記トラフは、該トラフの下面の前記物品の搬送方向の上手側に突設されて、前記トラフ取付け板の係止孔に挿通可能な係止部材と、前記トラフ下面の前記係止部材よりも前記搬送方向の下手側に突設されて、前記トラフ取付け板の位置決め孔に挿入される位置決め部材と、前記トラフ下面の前記位置決め部材よりも前記搬送方向の下手側に設けられたフック部材とを有し、
前記トラフ取付け板は、前記係止孔と、前記位置決め孔と、前記フック部材と共にパッチン錠を構成するレバーとを有し、
前記トラフは、該トラフの前記係止部材が、前記トラフ取付け板の前記係止孔の孔縁に下方から係止されると共に、前記位置決め部材が前記位置決め孔に挿入されて、前記フック部材が、前記レバーに係止されて下向きに締め込まれた状態で、前記トラフ取付け板に装着される、
ことを特徴とする組合せ秤の直進フィーダ。
【請求項2】
前記トラフの前記係止部材が、前記トラフ取付け板の前記係止孔の孔縁に下方から係止されていない状態で、前記トラフの前記位置決め部材と前記トラフ取付け板の前記位置決め孔とによる係合を、当接阻止する牽制部を備える、
請求項1に記載の組合せ秤の直進フィーダ。
【請求項3】
前記牽制部が、前記トラフの前記位置決め部材と前記フック部材との間及び/又は前記トラフ取付け板の取付け面の、前記位置決め部材に対応する位置と前記フック部材に対応する位置との間に、突設される、
請求項2に記載の組合せ秤の直進フィーダ。
【請求項4】
前記牽制部の突出高さは、前記トラフの前記係止部材が、前記トラフ取付け板の前記係止孔の孔縁に下方から係止されている状態で、前記トラフの前記位置決め部材と前記トラフ取付け板の前記位置決め孔とによる係合を、当接阻止しない高さである、
請求項3に記載の組合せ秤の直進フィーダ。
【請求項5】
前記牽制部が、前記トラフの下面に突設固定した当て板である、
請求項2ないし4のいずれか一項に記載の組合せ秤の直進フィーダ。
【請求項6】
前記トラフの前記係止部材が、大径頭部を備えたキノコ形の係止ピンである、
請求項1ないし5のいずれか一項に記載の組合せ秤の直進フィーダ。
【請求項7】
前記トラフは、前記位置決め部材を一対有し、前記一対の位置決め部材が、前記トラフの前記物品の搬送方向に直交する方向に一定間隔をもって配置されている、
請求項1ないし6のいずれか一項に記載の組合せ秤の直進フィーダ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品や菓子などの各種の物品を所定量ずつ計量する組合せ秤において、物品を載置して振動搬送する直進フィーダに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に組合せ秤は、供給された物品を分散フィーダによって放射状に振動分散し、分散された物品を、複数の直進フィーダによって外方に向けて直線的に振動搬送し、各直進フィーダの終端にそれぞれ臨む複数の供給ホッパに供給する。各供給ホッパは、供給された物品を、排出用のゲートを開放して下方にそれぞれ位置する複数の計量ホッパに供給する。組合せ秤は、複数の計量ホッパに供給された物品の重量を種々に組合せた組合せ重量が、所定重量範囲となる計量ホッパの組合せを選択し、選択した計量ホッパの排出用のゲートを開放して集合シュート等を介して物品を下方の包装装置等に排出する。
【0003】
食品を計量処理する組合せ秤では、食品衛生上、定期的な洗浄作業を欠かすことができず、また、食品の種類が変更される度に、洗浄作業を行う必要がある。そのため、組合せ秤においては、食品が接触する各種の搬送部材やホッパ類が組合せ秤本体から簡易に取り外して洗浄できるように構成されている。
【0004】
直進フィーダでは、樋状のトラフが、電磁式の加振機構における振動ヘッドに脱着されるものであり、その脱着構造の一例が、例えば、特許文献1に示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示されている脱着構造は、トラフ下面における物品搬送方向の前後2箇所に、2組の係合ピンを横向きに支持する。また、加振機構の上端に備えたトラフ取付け板に、一方の係合ピンを係脱する係止部材を固定配備すると共に、他方の係合ピンを受け止め係合して上下に回動するレバー部材を配備し、かつ、レバー部材の回動を片持ち状の板バネで弾性的に牽制制御することで、係止部材とレバー部材に前後の係合ピンを係合保持させるように構成されている。
【0007】
上記構成によると、トラフを強く押し下げることで係合ロック状態を得ることができ、また、トラフを強く引き上げることで簡単に係合ロックを解除することができるものであるが、トラフ脱着構造を構成する部品が多く複雑であると共に、組付け精度を高めるための調整が煩雑なものであった。
【0008】
また、トラフ脱着に際して、部材同士の摩擦箇所が多く、頻繁にトラフ脱着を行うような場合には、部材の摩滅によって係合ロック性能が早期に低下しやすく、性能回復のための調整作業を頻繁に行う必要が生じるものであった。
【0009】
本発明は、このような点に着目してなされたものであって、簡単な構造でトラフを加振機構に対して容易に脱着することができると共に、長期に亘って確実な性能を維持することができる組合せ秤の直進フィーダを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明では次のように構成している。
【0011】
(1)本発明の組合せ秤の直進フィーダは、物品を振動搬送する組合せ秤の直進フィーダであって、
トラフ取付け板を有する加振機構と、前記トラフ取付け板に、脱着可能に装着されるトラフとを備え、
前記トラフは、該トラフの下面の前記物品の搬送方向の上手側に突設されて、前記トラフ取付け板の係止孔に挿通可能な係止部材と、前記トラフ下面の前記係止部材よりも前記搬送方向の下手側に突設されて、前記トラフ取付け板の位置決め孔に挿入される位置決め部材と、前記トラフ下面の前記位置決め部材よりも前記搬送方向の下手側に設けられたフック部材とを有し、
前記トラフ取付け板は、前記係止孔と、前記位置決め孔と、前記フック部材と共にパッチン錠を構成するレバーとを有し、
前記トラフは、該トラフの前記係止部材が、前記トラフ取付け板の前記係止孔の孔縁に下方から係止されると共に、前記位置決め部材が前記位置決め孔に挿入されて、前記フック部材が、前記レバーに係止されて下向きに締め込まれた状態で、前記トラフ取付け板に装着される。
【0012】
本発明によると、加振機構へのトラフ装着に際しては、トラフ下面に突設した係止部材を、加振機構におけるトラフ取付け板の係止孔に上方から挿入して係止孔の孔縁に下方から係止させると共に、トラフ下面に突設した位置決め部材をトラフ取付け板の位置決め孔に上方から挿入して、トラフを前後左右に位置決めする。この状態で、トラフのフック部材に、該フック部材と共にパッチン錠を構成するレバーを引っ掛けて締込み操作を行う。これによってトラフは、係止部材と係止孔との係止によって浮上りが阻止されると共に、位置決め部材によって前後左右への位置決めがなされた適正姿勢でトラフ取付け板に連結固定される。また、パッチン錠のレバーを逆操作することでフック部材への締込みが解除され、トラフを容易に上方に抜き外すことができる。
【0013】
また、本発明では、上記特許文献1に比べて、トラフ脱着操作に伴う部材間での摩擦箇所が少なく、部材の摩滅、等による性能低下が生じにくく、長期間に亘って所期の機能を的確に発揮させることができる。
【0014】
(2)本発明の好ましい実施態様では、前記トラフの前記係止部材が、前記トラフ取付け板の前記係止孔の孔縁に下方から係止されていない状態で、前記トラフの前記位置決め部材と前記トラフ取付け板の前記位置決め孔とによる係合を、当接阻止する牽制部を備える。
【0015】
組合せ秤では、分散フィーダのトップコーンから直進フィーダのトラフへの物品の移載が円滑に行われるように、直進フィーダのトラフの物品の搬送方向の始端部は、分散フィーダのトップコーンの外周部下方に入り込んでいる。このため、トラフを加振機構の上に持ち込んで、その始端部を分散フィーダにおけるトップコーンの外周部下方に入り込ませた際、トラフの始端部がトップコーンの外周部に引っ掛かることで、トラフの上方への浮き上がりが阻止された状態、すなわち、トラフの係止部材が係止孔に係止されて上方への浮き上がりが阻止されたと同様の状態となり、更に、この状態のままで、トラフの位置決め部材の一部が、トラフ取付け板の位置決め孔の一部に係合してしまい、正規の装着位置でないにも関わらず、位置決めされた状態となってしまい、作業者は、正規の装着位置にあると誤認して、パッチン錠による締結操作を行うおそれがある。
【0016】
この実施態様によれば、トラフの始端部を分散フィーダのトップコーンの外周部下方に入り込ませた際、トラフの始端部がトップコーンの外周部に引っ掛かっても、トラフの係止部材が、トラフ取付け板の係止孔の孔縁に下方から係止されていない状態では、少し外下がりに傾斜したトラフ底面の位置決め部材とトラフ取付け板の位置決め孔とによる係合を、牽制部が、当接阻止するので、トラフの位置決め部材一部が、トラフ取付け板の位置決め孔に係合して位置決めされることを牽制阻止することになる。このため、位置決め部材と位置決め孔との係合による位置決めがなされていないトラフは、前後左右に移動可能な状態にあり、このような状態でフック部材に、パッチン錠のレバーを引っ掛けて締結操作を行うと、位置決めされていないトラフは、搬送方向の下手が側へ引きずり移動されることになり、作業者は、誤装着状態であることを容易に認識することができる。これによって、作業者は、トラフの装着をやり直し、正規の位置でトラフを装着することができ、誤装着を防止することができる。
【0017】
(3)本発明の一実施態様では、前記牽制部が、前記トラフの前記位置決め部材と前記フック部材との間及び/又は前記トラフ取付け板の取付け面の、前記位置決め部材に対応する位置と前記フック部材に対応する位置との間に、突設される。
【0018】
この実施態様によれば、牽制部は、トラフの位置決め部材と前記フック部材との間及び/又はトラフ取付け板の取付け面の、位置決め部材に対応する位置とフック部材に対応する位置との間に、突設されるので、トラフの始端部を分散フィーダのトップコーンの外周部下方に入り込ませた際、トラフの始端部がトップコーンの外周部に引っ掛かった状態で、少し外下がりに傾斜したトラフ底面の位置決め部材とトラフ取付け板の位置決め孔とを係合させようにしたときには、突設された牽制部が、トラフ取付け板の取付け面、あるいは、トラフの底面に当接し、これによって、位置決め部材と位置決め孔との係合を阻止することができる。
【0019】
(4)本発明の他の実施態様では、前記牽制部の突出高さは、前記トラフの前記係止部材が、前記トラフ取付け板の前記係止孔の孔縁に下方から係止されている状態で、前記トラフの前記位置決め部材と前記トラフ取付け板の前記位置決め孔とによる係合を、当接阻止しない高さである。
【0020】
この実施態様によると、牽制部の突出高さは、トラフの係止部材が、トラフ取付け板の係止孔の孔縁に下方から係止されている正規の係止状態では、トラフの位置決め部材とトラフ取付け板の係止孔との係合を当接阻止しない高さであるので、牽制部に邪魔されることなく、位置決め部材と位置決め孔との係合による位置決めがなされることになる。
【0021】
(5)本発明の更に他の実施態様では、前記牽制部が、前記トラフの下面に突設固定した当て板である。
【0022】
この実施態様によると、当て板の厚さを任意に設定することで、所望の突出高さを有する牽制部を所望の位置に容易に設けることができ、所期の牽制機能を的確に発揮させることができる。
【0023】
(6)本発明の他の実施態様では、前記トラフの前記係止部材が、大径頭部を備えたキノコ形の係止ピンである。
【0024】
この実施態様によると、トラフ取付け板における係止孔の孔縁に下方から係止する上向き段部を備えた係止部材を安価に製作することができる。
【0025】
(7)本発明の更に他の実施態様では、前記トラフは、前記位置決め部材を一対有し、前記一対の位置決め部材が、前記トラフの前記物品の搬送方向に直交する方向に一定間隔をもって配置されている。
【0026】
この実施態様によると、トラフ取付け板の位置決め孔を、位置決め部材が密に挿入されるように形成することで、トラフを前後左右に確実に位置決めし、かつ、平面的な回動を阻止した状態で支持することができる。
【発明の効果】
【0027】
このように、本発明によれば、簡単な構造でトラフを加振機構に対して容易に脱着することができると共に、長期に亘って確実な性能を維持することができる組合せ秤の直進フィーダを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】
図1は本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す縦断面図である。
【
図3】
図3は直進フィーダの加振機構の平面図である。
【
図5】
図5は直進フィーダの加振機構の斜視図である。
【
図7】
図7はトラフの誤装着状態を示す側面図である。
【
図8】
図8は本発明の他の実施形態の
図4に対応する斜視図である。
【
図10】
図10はトラフの誤装着の阻止を説明するための側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0030】
図1に、本発明の一実施形態に係る組合せ秤の概略構成を示す縦断面図が示されている。この組合せ秤は、食品や菓子などの各種の物品を所定量ずつ計量して排出するものであり、計量された物品を下方に設置した図示されていない包装装置に投入して袋詰めする包装ラインに利用される。
【0031】
中空短柱形のセンター基体2が、中央部が上下に貫通した開口部を有する基台1の上方に、脚部3を介して支持されている。このセンター基体2の上部中心には、図示されていない供給コンベヤの終端から投下供給される物品を振動によって放射状に分散搬送する分散フィーダ4が装備される。
【0032】
この分散フィーダ4の周囲に、分散搬送された物品を受け取って、振動によって外方に向けて直進搬送する複数の直進フィーダ5が放射状に設けられている。更に、センター基体2の外周壁部に、各直進フィーダ5からの物品を一旦貯留して排出する供給ホッパ6と、各供給ホッパ6から排出された物品を計量する計量ホッパ7とが装備されている。そして、これら直進フィーダ5、供給ホッパ6、及び、計量ホッパ7を一連とする複数連の計量ユニットが構成される。組合せ秤では、組合せ演算によって、複数の計量ホッパ7に供給された被計量物の重量を種々に組合せた組合せ重量が、所定重量範囲となる計量ホッパ7の組合せを選択し、選択した計量ホッパ7のゲートを開放して物品を排出する。
【0033】
各計量ホッパ7の下方には、組合せ演算によって選択された計量ホッパ7から排出された物品を集める集合シュート8が配備されると共に、集合シュート8の下端部には、集合シュート8から滑落してきた物品をセンター基体2の中心下方に集める集合ファネル9が配備されている。更に集合ファネル9の下方に、集合ファネル9で集められた物品を一旦受け止め貯留し、包装装置側からの排出要求指令に基づいて排出作動する集合ホッパ10が配置されている。
【0034】
分散フィーダ4は、円錐状のトップコーン11と、これを振動駆動する電磁式の加振機構12とを備えている。加振機構12はセンター基体2の内部中央に設置されている。トップコーン11は加振機構12の振動ヘッド部に脱着可能に連結されている。加振機構12は、重量センサ13を介して支持されており、その重量センサ13によって分散フィーダ5上の物品重量が検知されるようになっている。そして、その重量検知情報に基づいて図示されていない供給コンベヤがオン/オフ制御されて、分散フィーダ5上に常に設定範囲内の重量の物品が供給されるようになっている。
【0035】
図2に示すように、直進フィーダ5は、樋形のトラフ(フィーダパン)14と、これを振動駆動する電磁式の加振機構15とを備えている。各直進フィーダ5の加振機構15が、分散フィーダ5の加振機構12をとり囲むように配備されている。
【0036】
センター基体2の外周部には、
図1に示すように、供給ホッパ6及び計量ホッパ7のゲート開閉用の駆動機構、及び、計量ホッパ7内の物品の重量を計測する重量センサ、等を組み込んだ駆動ユニット16が装着され、この駆動ユニット16に、供給ホッパ6及び計量ホッパ7が脱着可能に装着支持されている。
【0037】
この実施形態の組合せ秤では、直進フィーダ5におけるトラフ14の脱着構造を以下のように構成している。なお、以下の説明において、直進フィーダ5における物品の搬送方向の上手(始端)側(分散フィーダ4側)を前側(前方)、前記搬送方向の下手(終端)側(供給ホッパ6側)を後側(後方)、前記搬送方向と直交する水平方向を左右方向(幅方向)と呼称する。
【0038】
図4に示すように、直進フィーダ5のトラフ14は、薄板材を上拡がりに開放した前後に長い樋状に屈折形成してなるトラフ本体14aの外側面及び下面に亘って、厚板材からなる支持板14bを溶接固定して補強したものである。支持板14bにおける下面の前方から後方に亘って、加振機構15へ装着するための係止部材としての係止ピン21、位置決め部材としての位置決めピン22、及び、フック部材23とがこの順に突設されている。
【0039】
係止ピン21は、
図6に示すように、軸部21aの先端に大径頭部21bを備えたキノコ形に構成され、軸部21aの下端に上向き段部dが備えられている。位置決めピン22は、基部に大径の下向き段部eを備えた段付きに構成され、トラフ幅方向に一定間隔をもって左右一対突設されている。
【0040】
図3、
図5及び
図6等に示すように、前記加振機構15は、ベース部材25に前後一対のバネ板材26を介して水平に支持した振動ヘッド27を、ベース部材25に装着した励磁部28によって斜め前後方向に振動駆動するように構成されており、3つの緩衝バネ29を介してセンター基体2内の固定部に連結支持されている。そして、振動ヘッド27の上面に、円柱状のボス部30を介してトラフ取付け板31が連結固定されている。
【0041】
トラフ取付け板31は、厚板材を逆L形に屈曲形成したものであり、その水平部における前方箇所に、前記係止ピン(係止部材)21に対する単一の係止孔32が貫通形成されると共に、その後方箇所に、前記位置決めピン(位置決め部材)22に対する左右一対の位置決め孔33が設けられている。
【0042】
係止孔32は、係止ピン21における大径頭部21bの外径よりも大きい左右幅を有する前後に長い長円孔に形成され、また、位置決め孔33は、位置決めピン22をガタつき無く挿入できる円形孔に形成されている。そして、係止ピン21における大径頭部21bの上向き段部dが係止孔32の前端縁に下方から係止された状態で、位置決めピン22が位置決め孔33に挿入されるように、係止孔32の前端位置と位置決め孔33の中心位置とが設定されている。
【0043】
トラフ取付け板31の後部において下方に屈曲延出された縦辺部には、トラフの前記フック部材23に作用するパッチン錠40が装着されている。このパッチン錠40は、前記フック部材23と、横向きの支点a周りに上下揺動可能な操作レバー41と、この操作レバー41に、横向きの支点b周りに上下揺動可能に連結された係止アーム42とを備えている。係止アーム42は伸縮可能に構成されると共に、外挿したバネ43によって一定長さに短縮付勢されている。また、係止アーム42の遊端には、トラフ14のフック部材23に係合する係止レバー44が備えられている。
【0044】
次に、トラフ14を加振機構15に装着する手順について説明する。
【0045】
先ず、
図6に示すように、トラフ14を、その前端部が分散フィーダ4におけるトップコーン11の外周下方に入り込むよう加振機構15の上に持ち込み、その後、トラフ14を下げて係止ピン21を係止孔32に挿通させる。次に、トラフ14を前方へ移動させ、係止ピン21の上向き段部dを係止孔32の前端孔縁に下方から係止させる。
【0046】
次に、トラフ14を左右に少し動かして位置決めピン22で位置決め孔33を探り当てて挿入させる。これによって、トラフ14は、係合ピン21によって上方への浮き上がりが阻止されると共に、位置決めピン22によって前後左右に位置決めされた状態となる。
【0047】
また、このように位置決め係合した状態では、左右の位置決めピン22の下向き段部eがトラフ取付け板31の上面にそれぞれ当接することで、トラフ14がトラフ取付け板31と平行な左右水平姿勢に保持される。
【0048】
トラフ14をトラフ取付け板31に位置決め係合させた後、パッチン錠40の操作レバー41を振り上げると共に、起立搖動させた係止アーム42の係止レバー44をトラフ14のフック部材23に引っ掛け、操作レバー41を揺動限度まで下方揺動させる。このレバー操作に伴って係止アーム42はバネ43に抗して伸ばされながら死点越え作動し、伸ばされたバネ43の張力によってフック部材23を下方に強く引下げ、
図2に示される締結状態が保持される。
【0049】
これによって、トラフ14は、係止ピン21と一対の位置決めピン22による3点支持状態で、トラフ取付け板31に所定の位置及び姿勢に安定よく、かつ、強固に連結される。なお、パッチン錠40の操作レバー41を振り上げ操作して係止アーム42を逆向きに死点越え作動させることで、フック部材23への締結を解除することができ、トラフ14をトラフ取付け板31から容易に取り外すことができる。
【0050】
このようにして複数のトラフ4を簡単かつ速やかに脱着することができる。
【0051】
また、本実施形態によれば、上記特許文献1に比べて、トラフ脱着操作に伴う部材間での摩擦箇所が少なく、部材の摩滅、等による性能低下が生じにくく、長期間に亘って所期の機能を的確に発揮させることができる。
【0052】
次に、本発明の他の実施形態の直進フィーダ5について説明する。
【0053】
上記実施形態の直進フィーダ5では、トラフ14の誤装着が生じる場合がある。
【0054】
すなわち、
図7に示すように、トラフ14を加振機構15の上に持ち込んで、その前端部を分散フィーダ4におけるトップコーン11の外周部下方に入り込ませた際、トラフ14の前端部がトップコーン11の外周部に引っ掛かることで、トラフ14の上方への浮き上がりが阻止された状態になると共に、位置決めピン22における先端の面取り部位の一部が、位置決め孔33の孔縁に係入して、トラフ14が左右に動かない状態がもたらされる。これを、係止ピン21が係止孔31に係止され、かつ、位置決めピン22が位置決め孔33に挿入されて位置決めされたものと作業者が誤認し、この状態のままで、パッチン錠40による締結操作を行うおそれがある。
【0055】
このような状態で締結されたトラフ14は、その前端部がトップコーン11の外周部に下方から接触干渉するために、運転時に接触騒音が発生するのみならず、トラフ14の姿勢が不安定であるために、振動ヘッドの振動がトラフ14に的確に伝達されなくなって搬送力が低下する。また、姿勢が不安定なトラフ14は、不意に外れてしまう虞れがある。
【0056】
図8は、かかる誤装着を防止する他の実施形態の直進フィーダのトラフ14を示す図であり、上記実施形態の
図4に対応する図であり、
図9は、加振機構15に装着した状態を示す図であり、上記実施形態の
図2に対応する図である。
【0057】
この実施形態では、トラフ14の下面の位置決めピン22とフック部材23との間には、誤装着防止用の牽制部としての当て板24が所定高さで突出するように溶接固着されている。この当て板24は、位置決めピン22とフック部材23との間であって、
図7に示される誤装着される際に、トラフ14の下面が、トラフ取付け板31の取付け面(上面)に最も近接する位置に設けるのが好ましい。
【0058】
この実施形態では、
図10に示されるように、トラフ14を加振機構15の上に持ち込んで、その前端部を分散フィーダ4におけるトップコーン11の外周部下方に入り込ませた際、トラフ14の前端部がトップコーン11の外周部に引っ掛かることで、トラフ14の上方への浮き上がりが阻止された状態となった場合に、トラフ14の当て板24がトラフ取付け板31の上面に当接する。
【0059】
これによって、トラフ14の係止ピン21が、トラフ取付け板31の係止孔31の前端縁に下方から係止されていない状態、すなわち、正規の係止状態でないときには、外下がりに傾斜したトラフの底面がトラフ取付け板31にそれ以上接近することが牽制阻止され、位置決めピン22が位置決め孔33に挿入されることを阻止することになる。つまり、位置決めピン22と位置決め孔33との係合による位置決めがなされない。
【0060】
位置決めされていないトラフ14は、前後に移動可能な状態にあり、このような状態でフック部材23にパッチン錠40の係止レバー44を引っ掛けて締結操作を行うと、位置決め係合されていないトラフ14は、係止アーム42によって後方へ引きずり移動されることになり、誤装着状態であることが、作業者に容易に認識されることになる。誤装着を認識した作業者は、トラフ14の装着をやり直し、正規の位置にトラフ14を装着することができる。
【0061】
なお、当て板24の突出高さは、トラフ14がトラフ取付け板31に正しく3点支持された状態、すなわち、トラフ14の係止ピン21が、トラフ取付け板31の係止孔31の前端縁に下方から係止されると共に、位置決めピン22による位置決めがされている状態において、位置決めピン22の下向き段部eがトラフ取付け板31の上面に当接するのを妨げない寸法、つまり、位置決めピン22における下向き段部eを形成する大径基部の高さを越えない寸法に設定されている。
【0062】
これによって、位置決めピン22を、トラフ取付け板31の位置決め孔33に挿入した際、当て板24に邪魔されることなく、位置決めピン22の基部の下向き段部eをトラフ取付け板31の上面に当接させて、トラフ取付け板31に対して一定の高さ位置にトラフ14を受止め支持することができる。従って、トラフ14の幅方向の二箇所において、一定の高さ位置にトラフ14を受止め支持することで、トラフ14をトラフ幅方向において、トラフ取付け板31と平行に安定支持することができる。
【0063】
この実施形態によれば、トラフ14の誤装着による弊害を、当て板(牽制部)24を設けることによって、未然に回避することができる。
【0064】
[その他の実施形態]
本発明は、以下のような形態で実施することもできる。
【0065】
(1)誤装着防止用の牽制部(当て板)24は、トラフ取付け板31側に設けてもよい。この場合、牽制部(当て板)24は、トラフ取付け板31の取付け面(上面)の、トラフ14の下面の位置決めピン22及びフック部材23にそれぞれ対応する各位置の間に設けるのが好ましい。なお、トラフ14及びトラフ取付け板31の両者に、牽制部を設けてもよい。
【0066】
(2)牽制部24は、当て板に限らず、例えば、支持板14bあるいはトラフ取付け板31に打出しプレス成型によって突設することもできる。この場合、牽制部24を膨らむように突出させてもよい。
【0067】
(3)牽制部24を複数の突起で形成することもできる。
【0068】
(4)トラフ14の浮上りを阻止する係止部材21や位置決め部材22は、必ずしもピン状である必要はなく、係止用の段部を備えたフック状の板材で形成することもでき、また、位置決め部材22を舌片で形成することもできる。
【0069】
(5)上記実施形態では、直進フィーダ5、供給ホッパ6、及び、計量ホッパ7を一連とする計量ユニットの複数連を分散フィーダ4の周囲に沿って配備した円形配列型の組合せ秤を例示しているが、多数連の計量ユニットを横一列状に配備した直線配列型の組合せ秤に適用することもできる。
【0070】
(6)直線配列型の組合せ秤において、複数の直進フィーダを階段状に縦列配備して長い物品搬送径路を構成する場合、下段の直進フィーダにおけるトラフの始端部を、上段の直進フィーダにおけるトラフの終端部の下に入り込ませて配備することになるので、分散フィーダの外周部下方にトラフの始端部を入り込ませる上記実施形態の場合と同様な誤装着が発生するおそれがあるが、上記のように、牽制部を導入することで誤装着を回避し、長い物品搬送径路を容易に組み上げることができる。
【符号の説明】
【0071】
4 分散フィーダ
5 直進フィーダ
6 供給ホッパ
7 計量ホッパ
11 トップコーン
14 トラフ
15 加振機構
21 係止部材(係止ピン)
22 位置決め部材(位置決めピン)
23 フック部材
24 牽制部(当て板)
31 トラフ取付け板
32 係止孔
33 位置決め孔
40 パッチン錠