(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】釣用リール用キャップ
(51)【国際特許分類】
A01K 89/01 20060101AFI20220613BHJP
A01K 89/0155 20060101ALI20220613BHJP
A01K 89/02 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A01K89/01 A
A01K89/0155
A01K89/02 A
(21)【出願番号】P 2018234792
(22)【出願日】2018-12-14
【審査請求日】2021-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【氏名又は名称】八島 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【氏名又は名称】大坂 知美
(72)【発明者】
【氏名】出口 友哉
(72)【発明者】
【氏名】古屋 伸男
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 啓
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-33402(JP,A)
【文献】特開平9-201152(JP,A)
【文献】特開2010-193782(JP,A)
【文献】特開2007-116912(JP,A)
【文献】実開平5-34665(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01K 89/01
A01K 89/0155
A01K 89/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚釣用リールのリール本体に装着される釣用リール用キャップであって、
前記リール本体に形成されたねじに螺合するねじが形成された筒部、および、前記筒部の外側面に形成された径方向外方に突出する突起、を有する有底筒状のキャップ本体と、
前記キャップ本体の前記突起の一部が嵌まる凹部が形成され、前記突起の少なくとも一部を径方向外方に露出させて、前記キャップ本体の外側面に嵌合する、環状の補強部材と、
を備える釣用リール用キャップ。
【請求項2】
前記キャップ本体の前記筒部は、前記リール本体に形成されたねじに螺合するねじが形成された内筒部と、前記内筒部の径方向外周を囲み、かつ、外側面に前記突起が形成された外筒部と、を有する、請求項1に記載の釣用リール用キャップ。
【請求項3】
前記補強部材は、前記キャップ本体の底部の側の外周を覆う、請求項1に記載の釣用リール用キャップ。
【請求項4】
前記キャップ本体は底部に、前記筒部の軸方向に貫通する係合孔が形成され、
前記補強部材は、前記係合孔に嵌合し、かつ、前記キャップ本体の内側で前記係合孔の縁に係止する爪が形成された、係合突起を有する、
請求項3に記載の釣用リール用キャップ。
【請求項5】
前記補強部材は、前記外筒部の底部とは反対側の縁の外周を覆う、請求項2に記載の釣用リール用キャップ。
【請求項6】
前記補強部材は、前記内筒部と前記外筒部の間の底部まで達する内周部を有し、
前記釣用リール用キャップは、前記内筒部と前記外筒部の間の、前記内筒部の外側面に嵌合するOリングをさらに備える、
請求項5に記載の釣用リール用キャップ。
【請求項7】
前記釣用リール用キャップは、スピニングリールのハンドル装着部に装着される、請求項1から6のいずれか1項に記載の釣用リール用キャップ。
【請求項8】
前記釣用リール用キャップは、両軸受リールのスプール軸支持部に装着される、請求項1から6のいずれか1項に記載の釣用リール用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚釣用リールに装着され、手で回される釣用リール用キャップに関する。
【背景技術】
【0002】
魚釣り用のスピニングリールでは、仕掛けをキャストしたり仕掛けを水中で動かしたりするために、釣り竿を利き手で持ち、ハンドルを他の手で操作することが多い。そのためスピニングリールは通常、ロータを回転させるハンドルの取付位置を、釣り人の利き手に合わせて左右のいずれにも取り付けられるようになっている。スピニングリールでは、左右のハンドル装着軸のいずれにもハンドルを取り付けられるように、リール本体には左右に穴が形成されているが、ハンドルを取り付けていない方の穴にはハンドル装着軸を保護するキャップが装着される。
【0003】
スピニングリールで泳がせ釣りを行ったり、仕掛けやルアーを釣り糸に結んだりするときに、スピニングリールを取り付けた釣り竿を地面や船上に置く場合がある。釣り竿を地面に置いたときに、ベールやロータが傷つくのを防ぐために、例えば特許文献1に記載されているように、ハンドルを取り付けていない側の穴に装着するリールスタンドが知られている。リールスタンドは、キャスティングやリール単体での持ち歩きには邪魔なので、スピニングリールに常時装着されるわけではなく、スタンドとして釣り人が使うときだけ装着される。そこで、ハンドル装着軸を保護するキャップは、手で回して脱着できる必要がある。
【0004】
両軸受リールでは、キャスティングコントロール機構でスプールの制動力を調節するために、例えば、特許文献2に記載されているように、摩擦プレートでスプール軸を挟む力を調節できるものがある。摩擦プレートで挟む力を調節するためには、例えば、リール本体のスプール軸の延長に装着されたキャップを回して、摩擦プレートの押圧力を変化させる。仕掛けや周囲の状況に応じて制動力を調節するために、キャップは手で回せることが必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-41138号公報
【文献】特開2013-236606号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
スピニングリールのハンドル装着軸を保護するキャップは、ハンドルを左右で付け替えるとき、およびリールスタンドを着脱するときに、取り外されまた取り付けられる。キャップは通常、ハンドル保護部に形成されているねじに螺合しているので、手でつまんで回される。キャップの外周には、手で操作するための滑り止め凹凸を設けることが望ましい。キャップの外周に形成されたローレットなどの細かい溝では滑りやすいが、キャップが樹脂成形品の場合は、指にかかりやすい凹凸を設けることができる。
【0007】
樹脂成形品の場合、強い力でつまむと変形する虞があり、変形を抑えるために外周に環状の補強部材を嵌合させる場合がある。しかし、環状の補強部材を嵌合させるとその部分には凹凸が設けられない。また、キャップ本体と補強部材との間に回り止めが必要になり、キャップ全体が径方向に大型化する虞がある。両軸受リールの制動力を調節するキャップについても、事情は同様である。
【0008】
本発明は上述の事情に鑑みてなされたもので、魚釣用リールに装着され、手で回されるキャップの滑り止め効果を保ち、かつ、キャップの変形を抑えることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の観点に係る釣用リール用キャップは、魚釣用リールのリール本体に装着される釣用リール用キャップであって、リール本体に形成されたねじに螺合するねじが形成された筒部、および、筒部の外側面に形成された径方向外方に突出する突起、を有する有底筒状のキャップ本体と、キャップ本体の突起の一部が嵌まる凹部が形成され、突起の少なくとも一部を径方向外方に露出させて、キャップ本体の外側面に嵌合する、環状の補強部材と、を備える。
【0010】
好ましくは、キャップ本体の筒部は、リール本体に形成されたねじに螺合するねじが形成された内筒部と、内筒部の径方向外周を囲み、かつ、外側面に突起が形成された外筒部と、を有する。
【0011】
好ましくは、補強部材は、キャップ本体の底部の側の外周を覆う。
【0012】
好ましくはさらに、キャップ本体は底部に、筒部の軸方向に貫通する係合孔が形成され、補強部材は、係合孔に嵌合し、かつ、キャップ本体の内側で係合孔の縁に係止する爪が形成された、係合突起を有する。
【0013】
あるいは、補強部材は、外筒部の底部とは反対側の縁の外周を覆ってもよい。
【0014】
補強部材が外筒部の底部とは反対側の縁の外周を覆う場合、好ましくは、補強部材は、内筒部と外筒部の間の底部まで達する内周部を有し、釣用リール用キャップは、内筒部と外筒部の間の、内筒部の外側面に嵌合するOリングをさらに備える。
【0015】
例えば、釣用リール用キャップは、スピニングリールのハンドル装着部に装着される。
【0016】
あるいは、釣用リール用キャップは、両軸受リールのスプール軸支持部に装着されてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、キャップ本体に嵌合される環状の補強部材に、キャップ本体の突起の一部が嵌まる凹部が形成され、突起の少なくとも一部を径方向外方に露出させるので、キャップの滑り止め効果を保ち、かつ、キャップの変形を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の実施の形態に係る釣用リール用キャップが装着されるスピニングリールの側面図
【
図2】実施の形態に係る釣用リール用キャップが装着されるスピニングリールの背面図
【
図3】実施の形態1に係る釣用リール用キャップの外観斜視図
【
図4】実施の形態1に係る釣用リール用キャップの断面斜視図
【
図5】実施の形態1に係る釣用リール用キャップの分解斜視図
【
図6】本発明の実施の形態2に係る釣用リール用キャップの外観斜視図
【
図7】実施の形態2に係る釣用リール用キャップの断面斜視図
【
図8】本発明の実施の形態3に係る釣用リール用キャップの断面斜視図
【
図9】本発明の実施の形態4に係る釣用リール用キャップの断面斜視図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。なお図中、同一または同等の部分には同一の符号を付す。
【0020】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態に係る釣用リール用キャップが装着されるスピニングリールの側面図である。スピニングリール200は、
図1に示すように釣竿Rに取り付けられる。スピニングリール200は、釣竿Rの長手方向に沿った、
図1の左右方向の軸回りに釣り糸を巻き取るリールであって、ハンドル211を備えたリール本体212と、リール本体212の前部に回転自在に支持されたロータ213と、ロータ213の前部に配置され、釣り糸を巻き取るためのスプール214と、を備える。スピニングリール200は、ハンドル211を回すことによってロータ213が回転し、スプール214に釣糸を巻き取るようにするための機構をリール本体212の内部に備えている。
【0021】
リール本体212は、釣竿Rに装着される前後に長い取付部212cと、内部に巻き取り機構を収納したリールボディ212aと、取付部212cとリールボディ212aとを連結する脚部212bとを有している。リール本体212は、たとえば合成樹脂製またはアルミニウム合金やマグネシウム合金などの合金製である。
【0022】
図2は、実施の形態に係る釣用リール用キャップが装着されるスピニングリールの背面図である。リール本体212の左右両側には、ハンドル211が着脱可能に装着される、図示しないハンドル装着軸を保護する円筒状の保護部220a、220bが突出して形成されている。ハンドル211は、ユーザの好みにより左右のハンドル装着軸のいずれにも装着可能であり、
図2では保護部220aの側のハンドル装着軸に装着されている。ハンドル211が装着されていない側の保護部220bには、ハンドル装着軸を保護するキャップ10が装着されている。
【0023】
図2の円内に記載したキャップ10の断面図に示すように、キャップ10には雄ネジ17が形成されている。保護部220a、220bにはその内側に図示しない雌ねじが形成されており、キャップ10の雄ねじ17と螺合可能である。
【0024】
図3は、実施の形態1に係る釣用リール用キャップの外観斜視図である。キャップ10は、有底筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11の底の中心部を露出してキャップ本体11の外側面に嵌合する、環状の補強部材21とから構成される。キャップ本体11には、径方向外方に突出する突起16が外側面に形成されている。
図3の例では、外側面の4箇所に突起16が形成されている。環状の補強部材21には、キャップ本体11のそれぞれの突起16の少なくとも一部を径方向外方に露出させ、突起16の一部が嵌まる凹部22が形成されている。突起16と凹部22の数は4に限らないが、2以上の突起16を有することが好ましい。また、突起16と凹部22の周上の位置は特に限定はないが、回転対称の位置に配置されることが望ましい。
【0025】
図4は、実施の形態1に係る釣用リール用キャップの断面斜視図である。キャップ本体11は、内筒部15と、内筒部15の径方向外周を囲み、かつ、外側面に突起16が形成された外筒部14と、を有する。内筒部15と外筒部14とは、キャップ本体11の筒部13を構成する。
図4にはねじの条が示されていないが、内筒部15には、リール本体212の保護部220a、220bに形成されている雌ねじに螺合する雄ねじ17が形成されている。補強部材21は、キャップ本体11の底部12の側の外周を覆って、外筒部14の外側面に嵌合している。
【0026】
キャップ本体11は底部12に、筒部13の軸方向に貫通する係合孔19が形成されている。補強部材21は、係合孔19に嵌合する係合突起24を有する。係合突起24には、キャップ本体11の内側で係合孔19の縁に係止する爪25が形成されている。係合突起24を係合孔19に挿入して押し込むと、係合突起24の爪25がキャップ本体11の内側で係合孔19の縁に係止され、補強部材21は、キャップ本体11から離脱することがない。
【0027】
図5は、実施の形態1に係る釣用リール用キャップの分解斜視図である。補強部材21には、円環に沿って複数箇所、
図5の例では回転対称の位置に4箇所、係合突起24が形成されている。キャップ本体11には、底部12から筒部13の内側に貫通する係合孔19が、係合突起24の位置に合わせて円周上に複数箇所、形成されている。
【0028】
補強部材21の係合突起24のそれぞれを、キャップ本体11の係合孔19に挿入して押し込み、補強部材21をキャップ本体11に嵌合させると、係合突起24の爪25をキャップ本体11の内側で係合孔19の縁に係止させることができる。それぞれの爪25が係止されると、爪25は相反する方向に向いているので、係止がはずれることはなく、補強部材21はキャップ本体11から容易に離脱しない。爪25の向きは径方向外方には限らず、径方向内方に向かっていてもよい。また、一部の係合突起24に径方向外方の爪25を形成し、他の係合突起24には径方向内方の爪25を形成することもできる。
【0029】
補強部材21がキャップ本体11に嵌合した状態では、突起16はそれぞれ補強部材21の凹部22に一部が嵌まっているので、補強部材21はキャップ本体11に対して回ることがない。突起16はそれぞれ、一部が径方向外方に補強部材21から露出しているので、キャップ10を操作する手の指先が突起16にかかって指先の滑るのが防止される。キャップ本体11を外側面の対向する2箇所で挟むと、キャップ本体11は挟んだ方向に圧縮され、直交する方向に拡がろうとするが、環状の補強部材21で抑えられるので、直交する方向の拡張が抑えられ、その結果、圧縮する方向の変形が抑制される。キャップ10を回そうとするときに、キャップ10の変形が抑えられるので、キャップ10をスムーズに回すことができる。
【0030】
補強部材21には、突起16が嵌合する凹部22のほかに、係合突起24に周方向に隣接して切り欠き26が形成されている。この切り欠き26が形成されることによって、係合突起24の先端が径方向に弾性変形しやすくなり、係合突起24を係合孔19に挿入したときに係合突起24がたわんで、爪25を係止させやすい。
【0031】
キャップ本体11に補強部材21を固定する方法は、係合孔19と係合突起24の組み合わせには限らない。例えば、外筒部14の外側面に、周方向に延びる溝を形成し、補強部材21の縁の内周に、径方向内方に向かう凸部を形成して、溝と凸部を係合させる方法でもよい。溝と凸部を逆にして、外筒部14の外側面に凸部を形成し、補強部材21の内周面に溝を形成して、凸部と溝を係合させることもできる。係合孔19および係合突起24と溝および凸部を併用してもよい。その他、接着剤でキャップ本体11に補強部材21を固定してもよい。また、係合孔19および係合突起24と接着剤を併用してもよいし、溝および凸部と接着剤を併用してもよい。
【0032】
実施の形態1のキャップ10の構造は、スピニングリール200の保護部220a、220bに嵌合するだけに限らない。例えば、両軸受リールのキャスティングコントロール機構で、リール本体のボス部の内周に雌ねじを形成して、キャスティングコントロール機構のキャップとして用いることができる。
【0033】
実施の形態2.
図6は、本発明の実施の形態2に係る釣用リール用キャップの外観斜視図である。実施の形態1と同様に、キャップ10は、有底筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11の外側面に嵌合する、環状の補強部材21とから構成される。実施の形態2では、補強部材21は、キャップ本体11の底部12とは反対側の縁の外周を覆う。
【0034】
キャップ本体11には、実施の形態1と同様に、径方向外方に突出する突起16が外側面に形成されている。
図6の例では、外側面の4箇所に突起16が形成されている。環状の補強部材21には、キャップ本体11のそれぞれの突起16の少なくとも一部を径方向外方に露出させ、突起16の一部が嵌まる凹部22が形成されている。実施の形態2では、筒部13の縁の側で、突起16の一部が凹部22に嵌まる。突起16と凹部22の数は4に限定されないが、2以上であることが好ましい。
【0035】
図7は、実施の形態2に係る釣用リール用キャップの断面斜視図である。キャップ本体11は、内筒部15と、内筒部15の径方向外周を囲み、かつ、外側面に突起16が形成された外筒部14と、を有する。内筒部15と外筒部14とは、キャップ本体11の筒部13を構成する。
図7にはねじの条が示されていないが、内筒部15には、リール本体の保護部に形成されている雌ねじに螺合する雄ねじ17が形成されている。補強部材21は、キャップ本体11の外筒部14の底部12とは反対側の縁の外周を覆って、外筒部14の外側面に嵌合している。
【0036】
補強部材21は、内筒部15と外筒部14の間の底部12まで達する内周部23を有する。補強部材21は、外筒部14の外側面に嵌合する外周部と内周部23とで、外筒部14の縁を挟む構造である。内筒部15と外筒部14の間には、内筒部15の外側面に嵌合する弾性体のOリング30が嵌められている。Oリング30は、キャップ本体11から補強部材21が離脱するのを防止している。Oリング30は、リール本体212に形成されている保護部220a、220bの端面に当接して、キャップ10の緩み止めを兼ね、また、水と塵がリール本体に侵入するのを防止する。
【0037】
実施の形態2でも、補強部材21がキャップ本体11に嵌合した状態では、突起16はそれぞれ補強部材21の凹部22に一部が嵌まっているので、補強部材21はキャップ本体11に対して回ることがない。突起16はそれぞれ、一部が径方向外方に補強部材21から露出しているので、キャップ10を操作する手の指先が突起16にかかって指先の滑るのが防止される。キャップ本体11を外側面の対向する2箇所で挟むと、キャップ本体11は挟んだ方向に圧縮され、直交する方向に拡がろうとするが、環状の補強部材21で抑えられるので、直交する方向の拡張が抑えられ、その結果、圧縮する方向の変形が抑制される。キャップ10を回そうとするときに、キャップ10の変形が抑えられるので、キャップ10をスムーズに回すことができる。
【0038】
実施の形態2の補強部材21は、外筒部14の外側面に嵌合する外周部と内周部23とで、キャップ本体11の外筒部14を挟む構造なので、内周部23が内筒部15と外筒部14の間の底部12まで達していなくても、キャップ本体11から容易に離脱することはない。
図6および
図7に示されるキャップ本体11は、内筒部15と外筒部14の間の底部12に隙間27が空いている。補強部材21の内周部23は、その隙間27を塞いでおり、外から隙間27を通して内周部23が見える。内周部23の内筒部15と外筒部14の間の底部12に達する部分は、Oリング30が隙間27に入り込むのを抑えている。
【0039】
実施の形態3.
図8は、本発明の実施の形態3に係る釣用リール用キャップの断面斜視図である。実施の形態3のキャップ10は、例えば両軸受リールのキャスティングコントロール機構のキャップのように、リール本体から突出して形成されているボス部に螺合される。あるいは、スピニングリール200の保護部220a、220bの外周に雄ねじが形成され、キャップ10に雌ねじが形成されている場合である。実施の形態1と同様に、キャップ10は、有底筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11の外側面に嵌合する、環状の補強部材21とから構成される。実施の形態3のキャップ10の外観は、
図3に類似する。実施の形態3では、筒部13は外筒部と内筒部の2重構造ではなく、1重の筒部13で構成される。
図8にはねじの条が示されていないが、筒部13の内周面に雌ねじ18が形成されている。キャップ本体11の内周面に形成された雌ねじ18は、リール本体のボス部に形成された雄ねじに螺合する。
【0040】
キャップ10は、実施の形態1と同様に、有底筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11の底の中心部を露出してキャップ本体11の外側面に嵌合する、環状の補強部材21とから構成される。キャップ本体11には、径方向外方に突出する突起16が外側面の4箇所に形成されている。環状の補強部材21には、キャップ本体11のそれぞれの突起16の少なくとも一部を径方向外方に露出させ、突起16の一部が嵌まる凹部22が形成されている。突起16と凹部22の数は4に限定されないが、2以上であることが好ましい。
【0041】
補強部材21は、キャップ本体11の底部12の側の外周を覆って、筒部13の外側面に嵌合している。実施の形態1と同様に、キャップ本体11は底部12に、筒部13の軸方向に貫通する複数の図示しない係合孔が形成されている。補強部材21は、係合孔に嵌合する係合突起24を有する。係合突起24には、キャップ本体11の内側で係合孔の縁に係止する爪25が形成されている。係合突起24を係合孔に挿入して押し込むと、係合突起24の爪25がキャップ本体11の内側で係合孔の縁に係止され、補強部材21は、キャップ本体11から離脱することがない。
【0042】
補強部材21がキャップ本体11に嵌合した状態では、突起16はそれぞれ補強部材21の凹部22に一部が嵌まっているので、補強部材21はキャップ本体11に対して回ることがない。突起16はそれぞれ、一部が径方向外方に補強部材21から露出しているので、キャップ10を操作する手の指先が突起16にかかって指先の滑るのが防止される。キャップ本体11を外側面の対向する2箇所で挟むと、キャップ本体11は挟んだ方向に圧縮され、直交する方向に拡がろうとするが、環状の補強部材21で抑えられるので、直交する方向の拡張が抑えられ、その結果、圧縮する方向の変形が抑制される。キャップ10を回そうとするときに、キャップ10の変形が抑えられるので、キャップ10をスムーズに回すことができる。
【0043】
実施の形態3でも、実施の形態1で説明したように、キャップ本体11に補強部材21を固定する方法は、係合孔と係合突起24の組み合わせには限らない。筒部13の外側面と補強部材21の縁の内周に形成された、溝と凸部を係合させる方法でもよい。接着剤でキャップ本体11に補強部材21を固定してもよい。また、それらの固定方法を併用してもよい。
【0044】
実施の形態4.
図9は、本発明の実施の形態4に係る釣用リール用キャップの断面斜視図である。実施の形態4に係るキャップ10は、実施の形態3と同様に、リール本体から突出して形成されているボス部に螺合される。実施の形態1と同様に、キャップ10は、有底筒状のキャップ本体11と、キャップ本体11の外側面に嵌合する、環状の補強部材21とから構成される。実施の形態4のキャップ10の外観は、
図6に類似する。実施の形態4では、筒部13は外筒部と内筒部の2重構造ではなく、1重の筒部13で構成される。
図9にはねじの条が示されていないが、筒部13の内周面に雌ねじ18が形成されている。キャップ本体11の内周面に形成された雌ねじ18は、リール本体のボス部に形成された雄ねじに螺合する。
【0045】
キャップ本体11には、実施の形態2と同様に、径方向外方に突出する4つの突起16が外側面に形成されている。
図9の例では、外側面の4箇所に突起16が形成されている。環状の補強部材21には、キャップ本体11のそれぞれの突起16の少なくとも一部を径方向外方に露出させ、突起16の一部が嵌まる凹部22が形成されている。
実施の形態4では、筒部13の縁の側で、突起16の一部が凹部22に嵌まる。補強部材21は、キャップ本体11の筒部13の底部12とは反対側の縁の外周を覆って、筒部13の外側面に嵌合している。突起16と凹部22の数は4に限定されないが、2以上であることが好ましい。
【0046】
補強部材21は、筒部13の外側面に嵌合する外周部と内周部23とで、筒部13の縁を挟む構造である。キャップ本体11の筒部13は、内周面に段が付けられて、内径の大きい周縁に補強部材21が嵌まり、内径が一段小さくなった部分に雌ねじ18が形成されている。
【0047】
実施の形態4でも、補強部材21がキャップ本体11に嵌合した状態では、突起16はそれぞれ補強部材21の凹部22に一部が嵌まっているので、補強部材21はキャップ本体11に対して回ることがない。突起16はそれぞれ、凹部22から一部が径方向外方に露出しているので、キャップ10を操作する手の指先が突起16にかかって指先の滑るのが防止される。キャップ本体11を外側面の対向する2箇所で挟むと、キャップ本体11は挟んだ方向に圧縮され、直交する方向に拡がろうとするが、環状の補強部材21で抑えられるので、直交する方向の拡張が抑えられ、その結果、圧縮する方向の変形が抑制される。キャップ10を回そうとするときに、キャップ10の変形が抑えられるので、キャップ10をスムーズに回すことができる。
【符号の説明】
【0048】
10 キャップ
11 キャップ本体
12 底部
13 筒部
14 外筒部
15 内筒部
16 突起
17 雄ねじ
18 雌ねじ
19 係合孔
21 補強部材
22 凹部
23 内周部
24 係合突起
25 爪
26 切り欠き
27 隙間
30 Oリング
200 スピニングリール
211 ハンドル
212 リール本体
212a リールボディ
212b 脚部
212c 取付部
213 ロータ
214 スプール
220a、220b 保護部
R 釣竿