IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トレイサー イメージング エルエルシーの特許一覧

特許7086847印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ
<>
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図1
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図2
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図3
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図4
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図5
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図6
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図7
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図8
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図9
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図10
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図11
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図12
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図13
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図14
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図15
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図16
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図17
  • 特許-印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ 図18
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】印刷されたレリーフを使用した製品位置合わせ
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20220613BHJP
   G03B 35/00 20210101ALI20220613BHJP
【FI】
B41J2/01 109
B41J2/01 305
G03B35/00 A
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018540047
(86)(22)【出願日】2017-01-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-04-18
(86)【国際出願番号】 US2017015314
(87)【国際公開番号】W WO2017132496
(87)【国際公開日】2017-08-03
【審査請求日】2020-01-17
(31)【優先権主張番号】62/288,234
(32)【優先日】2016-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】518266174
【氏名又は名称】トレイサー イメージング エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【弁理士】
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル,ステファン,エス
(72)【発明者】
【氏名】スピロ,スティーブン,エム
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,ダニエル,エル
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-228108(JP,A)
【文献】特開2010-247962(JP,A)
【文献】登録実用新案第3182123(JP,U)
【文献】登録実用新案第3193380(JP,U)
【文献】特開2015-006781(JP,A)
【文献】特開2005-022845(JP,A)
【文献】特開2007-098635(JP,A)
【文献】特開2009-006531(JP,A)
【文献】特開2004-148842(JP,A)
【文献】特開2011-042088(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0151285(US,A1)
【文献】米国特許第06615150(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41M 1/00 - 3/18
B41M 7/00 - 9/04
G03B 35/00 - 37/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンチキュレート化面および対向する裏面を有するレンチキュラーアレイを、印刷ラスターと位置合わせして、正確に位置付けることが可能な印刷システムであって、前記印刷システムが、
印刷可能であり、かつ主支持表面を有するプリンタと、
前記主支持表面によって支持される印刷可能基材に沿って空間的に形成されている一連の隆起した平行なレリーフ特徴であって、前記レンチキュラーアレイが前記隆起した平行なレリーフ特徴上に配置される場合に、各隆起した平行なレリーフ特徴が、前記レンチキュラーアレイの2つのそれぞれの隣接しているレンチキュラー間に形成された谷内に適合して配置されるように、前記隆起した平行なレリーフ特徴が前記印刷可能基材の上に十分な高さまで上げられ、前記一連の隆起した平行なレリーフ特徴が前記プリンタによって形成される、レリーフ特徴と、
を備え
前記主支持表面が、真空テーブルを含み、
前記裏面が、前記プリンタによって形成されたレンチキュレート化画像を含む、印刷システム。
【請求項2】
前記プリンタが、フラットベッドプリンタを含み、かつ前記主支持表面が平面状表面を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項3】
前記プリンタが、
少なくとも1つのインクリザーバと、
インクを前記印刷可能基材上に放出可能な印字ヘッドであって、少なくとも1つのノズルを含む、印字ヘッドと、
前記印字ヘッドを少なくとも1つの軸において移動させるように構成された機械的作動システムと、
前記印字ヘッドの動きを調整する電子システムと、
を備える、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項4】
前記印刷可能基材が、前記プリンタの主支持表面の一部に取外し可能に固定される、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項5】
前記印刷可能基材が、前記主支持表面の一部に、前記印刷可能基材の縁部に沿ってテープによって、取外し可能に固定される、請求項4に記載の印刷システム。
【請求項6】
前記一連の隆起した平行なレリーフ特徴が、前記プリンタによって前記印刷可能基材上に付着されたUV硬化性インクから形成される、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項7】
前記レンチキュラーアレイのレンチキュレート化面がそれらと関連付けられた物理的ピッチを有し、前記一連の隆起した平行なレリーフ特徴が前記レンチキュレート化面の物理的ピッチに実質的に等しいピッチを有する、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項8】
前記印刷可能基材が、少なくとも部分的に空気に透過性である材料から形成される犠牲基材を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項9】
前記一連の隆起した平行なレリーフ特徴が、単に、前記レンチキュラーアレイの一部であるレンズシートと関連付けられたレンズレリーフに対する接触点で前記レンチキュラーに接触するのではなく、代わりに、前記レンズシートの領域に幾何学的に等角なレリーフを実質的に形成する、隆起した突条を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項10】
前記印刷可能基材が、開口部のあるバナーメッシュを含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項11】
前記隆起した平行なレリーフ特徴が、前記プリンタの印刷ラスターに本質的に適合する隆起した平行なレリーフ線を含み、前記レンチキュラーアレイを画定するレンチキュレート化シートのレンズの物理的ピッチにも少なくとも実質的に適合し、前記隆起した平行なレリーフ線が、前記レンチキュラーの軸にわたる前記レンチキュレート化シートの移動を防ぐ、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項12】
前記隆起した平行なレリーフ特徴が、前記レンチキュラーアレイの隆起したレンチキュラー表面に対して補完的な量子化形状を提供するインクの多層塗布によって形成された量子化突条を含む、請求項1に記載の印刷システム。
【請求項13】
各量子化突条がインクの複数の層から形成され、各インク層は、異なる線幅を提供するために付着される、請求項12に記載の印刷システム。
【請求項14】
レンチキュレート化面および対向する裏面を有する球面レンズアレイを、印刷ラスターと位置合わせして、正確に位置付けることが可能な印刷システムであって、前記印刷システムが、
印刷可能であり、かつ主支持表面を有するプリンタと、
前記主支持表面によって支持される印刷可能基材に沿って空間的に形成されている複数の量子化凹面であって、前記量子化凹面が、前記プリンタによって形成され、かつ、前記球面レンズアレイが前記量子化凹面上に配置される場合に、各球面レンズが、前記印刷可能基材上に形成された1つのそれぞれの量子化凹面内に適合して配置されるように構築され、それにより、前記球面レンズアレイを位置付けて、前記主支持表面に対する移動を防ぐ、量子化凹面と、
を備え
前記主支持表面が、真空テーブルを含み、
前記裏面が、前記プリンタによって形成されたレンチキュレート化画像を含む、印刷システム。
【請求項15】
レリーフパターンをその面の1つにもつ既製の物体上に、デザインが前記レリーフパターンと位置合わせして印刷されるように、前記デザインを印刷する方法であって、前記印刷が、前記レリーフパターンがフラットベッド印刷装置によって形成される面と向かい合った面上で実行され、前記方法が、
前記フラットベッド印刷装置を使用して隆起した位置合わせパターンを印刷するステップであって、前記隆起した位置合わせパターンが、前記フラットベッド印刷装置のベッドと平行な平面に保持された座面上に逆レリーフ特徴のパターンによって画定され、前記逆レリーフ特徴が、幾何学的かつ寸法的に逆で等角に、前記既製の物体における凹部に対応するステップと、
前記既製の物体の表面レリーフパターンを、前記座面の逆レリーフ特徴と機械的に係合するステップであって、それにより、前記既製の物体と前記座面の相対位置が少なくとも1つの軸において実質的に制限されるステップと、
デザインを、前記フラットベッド印刷装置を用いて、前記レリーフパターンが形成される、前記既製の物体の面と反対側の前記面上に印刷するステップと、
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、既製のレンチキュラーレンズアレイの、フラットベッドインクジェットプリンタなどの印刷装置のラスター軸に対する位置合わせに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの例では、特に、短期の印刷グラフィックに関して、オフセットリソグラフ印刷がデジタル印刷によって取って代わられている。デジタル印刷は、機械的または化学的に変更されたプレートの使用によってではなく、インク分布の局所制御によって、画像を生成することを伴う。デジタル印刷システムの利点は、画像を標的基材に伝達するために機械式プレートが必要ないので、各印刷物が異なり得ることである。
【0003】
デジタル印刷は、インクジェット印刷の様々な実施態様を包含するが、昇華型印刷、乾式もしくは液体静電印刷法、または着色剤が、ラスター化デジタル画像によって提供される情報からプリンタ内に付着される任意の他の方法も含み得る。
【0004】
デジタルプリンタ、および特に、それらの印刷可能な材料を支持するためのフラットベッドを含むもの、さらに紫外線(UV)放射によってそれらのインクを硬化するものは、レンチキュラー業界にとって特に興味深い。UVインクジェットプリンタは、レンチキュラーアレイの作製で使用されるものなどの、プラスチック材料に直接印刷できる。UVインクジェットプリンタは、多くの場合、印刷プロセスカラーを反転することもでき、次いで、プロセスカラーが乳白色で重ね合わされ、それにより完全なレンチキュラー印刷が連続操作で考案され得る。
【0005】
効果的なレンチキュラー印刷は、少なくとも2つの狭いバンドが、レンチキュラーレンズシートの平面状の裏面上に各レンズの後方および各レンズと平行に印刷される必要がある。レンズレリーフをもつ側から見ると、拡大された画像バンドの集合効果で、見る角度によって変化する画像を生じる。
【0006】
一般に、レンチキュラー印刷に対して準備されるものなど、事前に形成された線形レンズシートの、任意の印刷装置との位置合わせにおける課題は、該業界で周知である。様々な光学的および機械的な方法が提案されている。典型的な光学的アプローチでは、印刷されたパターンがレンズを通して観察されて、位置調節が、人間の観察者によって、または自動操作によってのいずれかで、行われる。
【0007】
機械的アプローチでは、位置合わせの相対的な状態が、ローラーまたはテーブルなどの、既知の位置を有するプリンタの構造要素とレンチキュラーレンズ材料との間で達成される。本発明は、主に後者に属するが、正しい位置合わせを検証する視覚効果も観察できることが理解される。
【0008】
これまでの慣例では、レンチキュラーレンズは、正確にカットされた基準エッジを有し製造業者によって提供される。印刷施設では、基準エッジは、隆起した定規またはフェンスに耐えるように作られており、そのため、レンズシートの位置は、それが、オフセット印刷機などの印刷装置に入るときに、確実に確立される。
【0009】
しかし、単一の外側エッジを基準として使用することは、いくつかの理由から、理想的ではない。第1に、基準エッジは、極めて正確に、かつ一貫性をもって、カットする必要があり、そうでなければ、レンチキュラー画像は、印刷されて見られるときに、不規則で一貫性がないように見える。
【0010】
また、レンズピッチにおける不一致は、レンチキュラーエンボスシリンダの不完全なツーリング、押出しラインの速度および温度における変動、温度および湿度などの環境要因、またはその保管の状態から生じ得る。単一の基準エッジが使用される場合、これらの誤差は、シート全体にわたる累積的および要約的な方法で表現されるであろう。結果として、完成したレンチキュラー画像の実効中心が、ポイントごとに異なるように見えることが多い。
【0011】
前述の説明から、最適な事例は、レンズ材料が何らかの手段によってその中心線で印刷装置と位置合わせされたものであり得ることが理解され得る。この状況では、位置合わせは、注目の中心で最適化されるが、ピッチにおける変動はどちらかの側に分配される。レンズとプリンタとの間のいかなる非相関も、従って、本質的に半分に低減されて、印刷シートの周辺に移動される。
【0012】
従来技術において、かかる構造的位置合わせがプリンタ構成要素とレンチキュラーシートとの間で行われる例がある。Leachに対する米国特許3678833では、ガイドロール上の2つの突条が、互換作製されたレンチキュラーシート上の事前に形成されたチャネルに収まる。Azumaらに対する米国特許5764266では、溝付きまたは歯付きシリンダが、印字ヘッドの下でレンチキュラーシートを前に進めるために使用される。Bravanecに対する米国特許6276269では、レンズシートがプリンタを通過するときに、レンズシートの位置を固定するために溝付きシリンダが使用される。Piluに対する米国特許6460993は、同様の溝付き配置を採用する。Landaの米国特許9021947では、印刷されるシートと同じピッチを有するレンズ材料のシートがローラーに取り付けられ、それにより、印刷中、2つのレンチキュラーシートのレリーフ面がメッシュ状態に保持され得る。Trapaniの米国特許20020187215は、複数の部分のレンチキュラー材料がトレー内に並べられ得るような溝付きプラットフォームを提案する。
【0013】
しかし、これらのソリューションは、一般に、固定レンズピッチに適合され、2.5mm(約10レンズ/インチ)~0.085mm(約300レンズ/インチ)まで変わり得る、広範な適用可能なレンチキュラー材料に容易には適合できない。
【発明の概要】
【0014】
本発明では、周期的に隆起したレリーフが、1つの硬化性化合物、または一連の硬化性化合物を使用して基材上に印刷される。硬化性化合物は、紫外線または他の活性化放射の適用によって硬化される、インクまたはインクセットを含み得る。これらのインクは、通常粘性であり、100%固体から成るので、それらは、任意の設計の構造的レリーフパターンを提供するために適切な基材上で使用され得る。
【0015】
本発明は、デスクトップ装置から産業システムまで多様である、フラットベッドプリンタでの使用に適している。産業インクジェット装置は、各方向に数メートル延出するテーブルを有し得る。それは、近いうちにロールフィード式システムでロールを印刷するためにも適用されるようになるであろう。
【0016】
本発明の予期される適用では、例えば、CMYK印刷装置で使用されるものなど、事前に据え付けられたカラーインクセットが、レンチキュラーシート上のレンズ間の谷の予期される位置に対応するレリーフ線のセットを迅速に作り上げるために使用される。
【0017】
本発明のさらに複雑な適用では、シアン、マゼンタ、イエロー、およびブラック出力が、幅が異なるように入念に行われ得、そのため、4色の重ね刷りの効果は、予期されるレンズアレイの逆形状に実質的に従うレリーフの累積である。
【0018】
印刷される線は、公称ピッチではなく、レンズアレイの測定された物理的ピッチで明示的に形成される。公称ピッチは、通常、事前に選択された視距離を予期するので、公称ピッチは通常、構造的なピッチとは異なる。
【0019】
本発明に従った隆起した位置合わせ線のセットは、フラットベッドプリンタのテーブル上に直接印刷され得る。しかし、様々なピッチに適応できるようにするため、および作業を削減してベッドに対する摩耗を避けるために、隆起した線パターンを犠牲基材上に印刷することは有用であることが分かっている。真空テーブルが使用される場合、犠牲材料が少なくとも部分的に空気に透過性であることは好都合である。
【0020】
位置合わせパターンがベッド上に印刷されるか、または犠牲中間材上に印刷されるかに関わらず、レンチキュラーレンズ材料のシートが、印字ヘッドによって付着されている隆起した線をもつ表面にレンズを向けて、配置される。レンズシートは次いで、レンズ間の谷が物理的に隆起した線のパターンと係合するまで、移動される。レリーフ位置合わせパターンおよびレンズレリーフが補完的な形状である場合、レンズシートは、プリンタのベッドに対して決定的な位置に自然に配置される。ある状況では、レンズシートとレリーフ線が位置合わせされている場合、色と色調の調和も、レンズシートを通して観察され得る。
【0021】
フラットベッドUVインクジェットプリンタが真空テーブルを備えている場合、レンチキュラーシートが平らに引っ張られて、印刷プロセス中、動かないように固定されるように真空が印加される。隆起した線の、および所与の視距離に対して公称ピッチでインタレース画像のデジタルプリントファイルが、それらの確立された共通の中央線に沿って本質的に位置合わせされるように、電子装置内で相関されることは、本発明の態様である。
【0022】
通常、位置合わせパターンに対する所与のピッチが、最終的に見られるインタレース画像のピッチよりもわずかに高い。この差は、印刷画像内の画像バンドをレンチキュラーシートの2つの向かい合ったエッジに向かってわずかにオフセットされたままにする。そのオフセットは、予期される視野角に対応し、実際には、非常に近くを見るためのレンズ幅の半分から、非常に遠くを見るためのレンズ幅の10分の1まで変わり得る。
【0023】
本発明の実施では、インタレース画像が、レンチキュラー材料の平らな裏面に印刷され、インタレース画像はレンズと正確に位置合わせされて適用される。プリンタが乳白色インク流路を備えている場合、印刷されたインタレース画像は、局所的または全体的に白層でコーティングされ得る。一旦、所望のカラーセットの印刷が完了すると、真空が取り除かれて、完了したレンチキュラー画像がフラットベッドプリンタのテーブルから持ち上げられる。
【0024】
本発明は、プリンタおよびレンズ材料の両方の製造におけるわずかな欠陥に対する自己修正であると考えられる。例えば、レンズ材料にわずかな不一致があり得、印字ヘッドの経路が絶対直線性から逸脱し得る。しかし、プラスチックのレンチキュラー材料は幾分協力的であり、また、線は、理想的な線形ではなく、印字ヘッドの実際の経路に従うので、本発明の位置合わせ方法は、印刷のための最適条件を直接促進する。
【発明の効果】
【0025】
実際に、位置精度は実質的に、以前のアプローチよりも信頼でき、そのため、より細かいピッチを有するレンズが採用できる。従って、比較的薄く、柔軟で、安価な材料が、正確な位置合わせを保持したまま、比較的大きなフォーマットに印刷され得る。本発明のシステムの実際的結果は、その柔軟で大規模なフォーマットのレンチキュラー印刷が出荷のために巻かれ得ることであり、それは、扱いを簡単にして、大規模なフォーマットのレンチキュラー画像に対する出荷コストを著しく削減する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の実施と互換性のあるレンチキュレート化材料のシートの断面を示す。
図2】レンチキュラーシート上に印刷すべき数値的にひとまとめにされた空間周波数パターンの一部を示しており、レンチキュラーアレイの物理的ピッチと一致するバンドを強調表示している。
図3】レンチキュラーの等距離による物理的レンズピッチおよび印刷されたピッチバンドのセット内の1つのバンドにおける規則的に間隔の空いた線の識別を示す。
図4図2に示すのと同じ数値的にひとまとめにされた空間周波数パターンの一部を示しており、この例では、所定の視距離に対して最適なピッチと一致するバンドを強調表示している。
図5】本発明に従い、物理的レンズピッチで形成されている比較的単純な隆起したグリッドの断面図を示す。
図6】レンチキュレート化シートとグリッドが係合される場合の、レンズアレイのレンチキュレート化面と印刷された位置合わせグリッドとの間での物理的な周波数一致を示す。
図7】以前に印刷された位置合わせグリッドからの既知の基準位置を使用した、レンチキュレート化シートの平面状の裏面上へのインタレース画像フィールドの位置合わせされた印刷を示す。
図8】インタレース画像フィールドの位置合わせされた印刷中に、色付きインクおよび白インクを供給するノズル配列の前進を示す。
図9】位置合わせグリッドが中心線を真ん中の画像フィールドと共有する、本発明に従って形成されたレンチキュラー印刷を示す図である。
図10】インタレース印刷層の真ん中の画像フィールドが対応する位置合わせグリッドの中心線から明示的にオフセットされる、本発明に従って形成されたレンチキュラー印刷を示す図である。
図11】隆起したレンチキュラー表面に対して補完的な量子化形状を提供するインクの多層塗布を示す。
図12】レンズアレイのレンチキュレート化面と印刷された量子化位置合わせグリッドとの間での空間周波数一致を示し、さらに、進行中の印刷動作を示す。
図13】量子化位置合わせ特徴を形成するインク層の積重ねの詳細を示す概略斜視図である。
図14】量子化位置合わせグリッドの領域を形成するインク層の積重ねの詳細を示す概略斜視図である。
図15】以前に付着された量子化インク層の上にコーティングを提供するさらなる層を有するインクの多層塗布を示しており、そのため、位置合わせグリッドのレリーフ表面が予期されるレンチキュラー表面に対して実質的に等角(conformal)にされる。
図16】本発明に従って形成された中央位置合わせグリッドと位置合わせされたレンチキュラーシートを示す。
図17】球面レンズアレイシートの領域の概略斜視図を示す。
図18図17に示すレンズアレイに対して補完的な位置合わせレリーフパターンの概略斜視図を示し、例示されるシステムは、空気透過性、犠牲基材およびインク受容層の両方を含む。
【発明を実施するための形態】
【0027】
インクジェット印字ヘッドは、通常規則的な幾何学的格子上に配列された微細加工ノズルのアレイを含む。業界では、一般的な公称ノズル間隔は、1インチあたり300、360、600、および720ノズルを含む。ノズルの行および列は、製造業者の選択で、交互に配列され得るか、またはオフセットされ得る。いずれにしても、インクジェット印字ヘッドの出力解像度は、実際上、ノズル間隔の倍数に制限される。
【0028】
例えば、1インチあたり300ノズルを有するノズル配列は、300ドット/インチ(DPI)、600dpi、900dpi、1200dpi、1500dpi、1800dpi、2100dpi、2400dpiなどで印刷し得る。有効解像度は、xおよびy軸で非対称であり得る。放出頻度および液滴軌道は、印字ヘッドが画像にわたって左右に動く軸において非常に重要であるので、一般に、液滴付着の空間周波数は、異なる機構によって決定される。
【0029】
例えば、動いている印字ヘッドの移動軸(慣習的にx軸)における液滴放出は、密集した線のパターンをもつエンコーダストリップとの光学センサーの相互作用によってトリガーされ得る。移動の方向と垂直なラスター軸(慣習的にy軸)では、付着された液滴パターンの空間周波数は、相対的な直線運動の増大によって決定される。直線運動は、通常、ステッパーモーター、アクチュエータ、ベルト、歯車、および電力の直線駆動への他の変換によって提供される。
【0030】
インクジェットプリンタは、固定印字ヘッドもしくは印字ヘッドアレイ、または移動印字ヘッドもしくは印字ヘッドアレイのいずれかを有する。インクジェット液滴を受け取る印刷可能媒体は、画像を生成するために印字ヘッドが画像にわたって移動される必要がある、固定であるか、または印刷可能媒体が機械的に進められ得、その場合、印刷画像は、液滴のパターンを放出する装置に関して、材料を漸進的に移動させることによって生成される。実施態様のモードに関わらず、最終画像を作り上げる完了した液滴パターンは、実質的に、アクティブなインクジェットノズルと印刷可能媒体との間の相対運動によって決定される。
【0031】
通常のロールフィード式インクジェットプリンタでは、紙またはフィルムのスプールがほどかれて、印字ヘッドの下に供給される。シートフィード式インクジェットプリンタでは、シートは、紙またはフィルムのスタックから連続して引き出されて、印字ヘッドの下に供給される。これらの構成は、本発明のある修正と互換性があると想像され得るが、本発明はフラットベッドプリンタとして業界で知られているインクジェットプリンタのカテゴリでの使用に特に適用可能である。
【0032】
フラットベッドプリンタの本質的な特質は、印刷装置が、印刷される材料または物体を、印刷が実行されるときに、テーブル上に、またはテーブルに立てかけて保持することである。プリンタの設計に応じて、ベッドまたはテーブルがインク源の下に進められるか、またはインク源が材料または物体の上に移動される。
【0033】
複数のアイテムが効率的な連続操作で印刷され得るように、フラットベッドのテーブルは、トレーまたは保持具を備え得る。アイテムは、サイズおよび設計において同一であり得るか、またはベッドの印刷可能領域にわたって変化し得る。かかる配置に対する適用は、一般に、プリンタに対するソフトウェア制御に含まれる。
【0034】
フラットベッドインクジェットプリンタは、多くの場合、印字ヘッドが比較的厚い材料の上に上がるのを可能にするように設計される。ベッド上の印字ヘッドの最大間隔は、一般に、70mm~100mmの範囲内である。
【0035】
この適応性は、大規模なフォーマット画像で使用されるレンチキュラーシートが4mm以上の厚さであり得る、レンチキュラー画像で有用であることが分かっている。さらに、プラスチックに直接付着するためのUVインクの能力は、プラスチックの下塗りまたは他の特別な準備なしで、ある程度は、効率的で信頼できるレンチキュラー印刷と互換性のある技術的経路を提供することが分かっている。
【0036】
しかし、レンチキュラー印刷の全ての形式におけるように、見られる画像の品質は、印刷画像の、周期的なレンチキュラーレリーフとの成功した相関に高度に依存する。レンズが、プリンタのラスター軸と正確に平行していない場合、対角線の中断が仕上がった画像に見られる。レンズがラスター軸に平行であるが、周期的に印刷されたパターンからオフセットされる場合、画像遷移は、斜角においてのみ見ることが可能で、中心に置かれた視位置では、所望の変化するかまたは立体的な効果ではなく、心地よくない、視野闘争を生じる。
【0037】
ハロゲン化銀材料のためのらせん状プレートセッターおよびレーザー露光システムなどの、いくつかのレンチキュラー画像システムは、連続可変解像度を提供できるが、これは、ノズルの単一行がアクティブな場合に限り、インクジェットシステムで可能である。実際には、従って、任意の経済的に競争力のあるインクジェットシステムは、現在のところ、印字ヘッドおよびその駆動電子機器、なたびに所与のプリンタのファームウェアおよびソフトウェアの言語に固有な解像度の使用に依存する。
【0038】
実際には、従って、通常、インクジェット装置の空間周波数と任意の製造された材料の空間周波数との間に非相関がある。レンチキュラーシートは、固定解像度の装置に適合するように製造できる。例えば、公称60レンズ/インチを有するレンズシートは、600dpiプリンタと相関するように製造でき、各レンチキュラーの背後に、整数の、つまり10の、ビューを提供する。しかし、実際のレンチキュラー印刷では、レンズアレイの空間周波数は、インタレース画像の空間周波数よりもわずかに低い必要がある。これは、視線が、有限視距離において見る人の予期される位置上に集中するために要求される。
【0039】
印刷装置の解像度が固定されている場合、従って、異なる製造業者のレンズシートが、各表示状況に対して要求され得る。実際には、これは面倒で、経済的に非常に高い。代わりに、レンズと固定プリンタ解像度との間の周波数一致が補間を通してエミュレートされるように、インタレース画像がリサンプリングされ、ディザリングされて、プリンタ言語にレンダリングされる。
【0040】
この補間プロセスは連続的に変化するので、任意のレンズ材料および表示条件に対応できる。しかし、任意に実装される場合、かかる補間は、低水準のレンチキュラー印刷を生じさせ得る。一般的な補間画像処理の欠陥は、異なるビュー間での区別の喪失、または観察される画像におけるモアレバンディングの散乱を含む。
【0041】
これらの補間画像処理は、本発明内で使用される隆起したレリーフの生成において類似的に使用されるが、隆起した線のある位置合わせパターンはプリンタの常設部分ではない。レンチキュラー画像を作成するための補間インタレースと同様、サンプリングレートを最大限にして補間損失を最小限にするために、比較的高い画像およびプリンタ解像度を使用することは通常好都合である。
【0042】
例えば、公称40レンズ/インチを有するレンチキュラー材料は、40.1/インチの測定された物理的ピッチを有し得る。30ラスター線/レンズの代わりに、1200DPIプリンタは、約29.925線/レンズを提供する。この事例では、位置合わせ線が、プリンタのラスターグリッドによって定義される位置にのみ印刷できるので、周波数における整数比からのわずかな逸脱があるはずである。
【0043】
次の例は、本発明内で一貫して効果的で、インクジェットプリンタが一般的に備えている固定インクセットと直接互換性があると分かっている、バイナリカラーチャネルを考える。バイナリカラーチャネルは、割り当てられた解像度でのラスター座標の各セットで、液滴を付着させるか、またはその位置を空白するように、プリンタに指示する。本発明は、グレースケールデータを使用しても採用され得ること、およびグレースケールファイルは、ドライバおよびディザリングソフトウェアによって様々に解釈され得ることが理解されよう。
【0044】
多くのプリンタは様々な液滴サイズを使用し、そのためチャネルがモノクロであり得る間、所与の位置に送達されるインクの密度は、もっと複雑な命令セットによって制御され得ることも理解されよう。本発明の説明および例示では、従って、より大きなサイズの液滴または混合サイズの液滴が、容積的に同等な任意のもっと小さい液滴のセットの代わりに使用され得ること、およびこれらの液滴は空間的または時間的のいずれかで、本発明の意図する範囲から逸脱することなく、様々に分散され得ることが理解されるべきである。
【0045】
それに応じて、印字ヘッドから供給される、利用可能な液滴の体積およびシーケンスの範囲のために、所与のノズルに提供されるデータは複雑であり得、単純なバイナリ命令セットと関連付けられた単純なオン/オフ状態に対応する必要がないことが理解され得る。
【0046】
しかし、説明を簡潔にするため、次の例は、バイナリデータを参照する。前述の事例では、30本の線が周波数サイクルの大部分に対して印刷され得るが、略13本ごとに印刷される線には29本の線だけが割り当てられ得る。この調整は、位置合わせパターン内の任意の2つの隣接する線の間の3.3%の線ピッチにおける最大差を表す。
【0047】
補足的な事例では、線自体が同じ割合で幅が変化し得、そのため、変動は、線間の印刷されていない領域においてではなく、線自体に生じる。
【0048】
本発明の比較的単純な実施形態では、隆起した位置合わせパターンを作り上げるために単一幅の線が使用される。この事例では、各隆起した線が2つの隣接するレンチキュラーの表面に接触するように隆起した線が付着され、そのため、隆起したパターンと係合されるレンチキュラーの領域は実質的に、レンチキュラーの直線軸に対する横の軸において動くのを防ぐ。
【0049】
実際には、摩擦接触および真空締付けの選択的な適用も、レンチキュラーに沿った軸における移動を阻止するが、レンチキュラーシートの相対位置および長手方向軸内の位置合わせグリッドは画像の総合的な視覚品質にとってあまり重要ではないことに留意すべきである。
【0050】
前述の事例は、位置合わせグリッドの付着中に形成された隆起した突条が、それらの先端間の位置において3.3%を超えない差で形成されることを保証する。実際には、わずかなレベルの周波数変動は本発明の有効性を妨げないことが分かっている。このわずかな変動さえ、リサンプリングおよび補間を通して軽減され得ることに留意すべきである。
【0051】
隆起した線が共通の幅である単純な事例から進んで、共通であるが、断続的に異なる空間周波数を有する、異なる幅の平行線の階層化が、レンチキュラーシートの表面形状にもっと密接に一致するように作られ得ることが理解され得る。単純なグリッドおよびもっと複雑な層状グリッドの両方が、以降で、図面を参照して説明される。
【0052】
ここで位置合わせグリッドの層状実施形態を参照すると、かかる一連の異なる幅の重畳線が実装され得、そのため、隆起した突条がレンズレリーフに対する接触点で単に、レンチキュラーに接触するのではなく、代わりに、レンズシートの領域に幾何学的に等角なレリーフを実質的に形成する。
【0053】
この配列は各レンチキュラーと位置合わせ突条のその対応するペアとの間で複数の表面位置での接触を提供するので、位置精度、係留、および変位に対する抵抗が全て、単純な隆起した線の単純な事例と比較して向上される。本発明では、UVインクが、レリーフ線の輪郭を成形するために入念に使用され得る。
【0054】
UVインクは、通常、ほぼ100%固体である。このクラスのインクは、透過性および不透過性媒体の両方上で使用される。両方とも本発明内でうまく使用されているが、最も予測可能なレリーフ輪郭は比較的不透過性材料上で作製される。
【0055】
液滴が基材上に付着されると、表面張力によって液滴は正メニスカスを形成する。液滴は分離され得るか、または相互に接触して、メニスカスが主にインクの微細なプールの縁部に存在するように、硬化前に一緒に流れ得る。この特性は、理解され、多くの場合、プリンタで提供されるコントロールによって調整できる。
【0056】
例えば、透明インクチャネルを備えたプリンタは、多くの場合、完成した印刷の反射性に対する制御を提供できる。液滴が比較的小さく、相互に分離されていて、比較的高速で硬化される場合、硬化した液滴の接触角度は比較的急なままで、印刷はマット感を有する。しかし、同じ透明インクが比較的大きい液滴を供給するために使用され、それにより、液滴が相互に流れ込んで、それらの液滴が、硬化放射線の適用前に、流れ出すのを可能される場合、最終表面は、光沢のある外観をもつ。微細なレリーフに対する制御の度合いは、レンチキュラーシートの領域のレリーフと補完的で、効果的にそれに続くレリーフを成形するために、本発明内で互換的に使用されている。
【0057】
本発明では、インクは、凸状レンチキュラーレンズに等角に、またはレンズに対する十分な数の位置の接触で、接触する凸状レリーフ線を形成するために使用され、そのため、一旦、レンチキュラーの頂点が、レンズと同じ空間周波数をもつ隆起した線の間に設定されると、レンズは、印字ヘッドの固有の経路と平行に保持されて、位置合わせされる。
【0058】
ここで図面を参照すると、図1は、本発明の実施と互換性のあるレンチキュレート化材料のシートの断面を示す。レンチキュレート化材料10は、一連の平行な凸状シリンドリカルレンズ12を含み、各レンズは、レンチキュラー14を有し、隣接するレンズの各ペアはレンチキュラー谷16を画定する。一連の隣接するレンチキュラーは、レンチキュラーアレイレリーフ18を構成する。レンチキュラー材料20の裏側が、通常、レンチキュラーの有効焦点距離に、またはその近くに配置される。適切に準備された画像がレンチキュラーと位置合わせされて印刷されるか、または配置されると、視野角と共に変化する画像がレンズを通して観察され得る。
【0059】
図2は、その物理的ピッチの評価のために、レンチキュラーシート上に印刷すべき数値的にひとまとめにされた空間周波数パターン30の一部を示す。かかるパターンは、一般に、ピッチ検査として知られており、通常、レンチキュラー材料においてレンチキュラーの物理的ピッチに近い空間周波数の連続で印刷された線の範囲を含む。
【0060】
この空間周波数パターンは、本発明の操作に関連する2つの値を識別するために使用される。第1は、図2で四角形によって強調表示されている、レンズの物理的ピッチバンド32である。第2は、図4で四角形によって強調表示されている、レンズの視ピッチバンド34である。
【0061】
第1の値は、レンチキュレート化材料10の犠牲シートをプリンタのベッド上に配置して、ピッチ検査パターンをレンチキュラー上に直接印刷することによって選択される。レンチキュラーシートは、印字ヘッドの軸に可能な限り近く位置合わせされる。
【0062】
これは、例えば、基準線をプリンタのベッドに沿って印刷することによって達成され得る。レンチキュラーシートは、通常、既知の基準エッジを備え、それにより、レンズの軸は、機械的に印刷装置と位置合わせされ得る。犠牲シートは、その基準エッジを、印刷された基準線と位置合わせして設定されて、印字ヘッドの移動方向に実質的に沿ってレンチキュラーを配置する。シートは、テープおよび材料をテーブルの上に平らに保持するために適用された真空で、適切な位置に固定され得る。
【0063】
真空テーブルを備えたフラットベッドインクジェットプリンタは、負の空気圧の締付け力のために、シートと印字ヘッドとレンチキュレート化シートとの間の間隔が比較的小さく、液滴付着がそれに応じて正確であるので、本発明内で有用である。
【0064】
UV硬化性インクは、プラスチックおよびガラスなどの、光沢のある材料に直接付着できる。本発明では、各バンド内の線がレンチキュラーに平行になり、それらの線から成るバンドがレンチキュラー軸と垂直になるように、ピッチ検査パターンが、レンチキュレート化材料のレリーフ面上に直接印刷できる。
【0065】
レンチキュラーレリーフの周波数から最小の逸脱を有すると認められるバンドが、その物理的ピッチを識別する。犠牲検査シートがクロスレンズ軸において広ければ、値はより正確になり得る。レンチキュラーとピッチバンドとの間のずれは、較正線と共に印刷されるレンズの数にわたって累積される。一般に、最適なピッチは、直接観察することによって見られ得る。しかし、コンピュータビジョンシステムも採用され得る。
【0066】
図3は、レンチキュラーの等距離による物理的レンズピッチのこの識別および関連する印刷されたピッチバンドの規則的に間隔の空いた線を示す。この段階で、レンチキュラーシートは、印字ヘッドの移動軸に平行にされているが、レンズにわたって特定の相対位置で位置合わせされている。それに応じて、レンズ上の印は、必ずしも、図のようにレンチキュラーの頂点に現れず、レンチキュラーの表面形状上のどこかであり得る。しかし、関連するピッチバンドは、線が、各インスタンスで、レンチキュラーの利用可能なスパンにわたって幾何学的に類似の位置に印刷されるものである。
【0067】
図4は、図2に示す数値的にひとまとめにされた空間周波数パターンの同じ部分を示しており、この例では、所定の視距離に対して最適なピッチと一致するバンドを強調表示している。一般に、このパターンは、フィルムの紙のシート上に印刷され得、レンチキュレート化材料の透明なシートがその上に配置される。観察者は次いで、対象とする視距離を占有して、ソリッドバンドが出現するバンドを実験的に決定する。このプロセスはレンチキュラー印刷の当業者には良く知られている。
【0068】
本発明では、従来方式でレンズ/インチ(LPI)で測定される、ピッチ値は、物理的レンズピッチに対しては、視ピッチに対してよりもわずかに高く、ここでは、39.915LPIおよび39.900LPIのそれぞれの値で示唆される。比較的短い焦点距離を有する公称40lpiレンズ材料では、これらの値は通常、約2メートルの視距離に対応する。
【0069】
図5は、本発明に従い、物理的レンズピッチで形成されている比較的単純な隆起したグリッドの断面図を示す。真空テーブル40は、真空力300がそれを通して印加され得る真空ポート44を有して形成されるベッド42を含む。
【0070】
透過性シート材料50は、真空力が透過性シートを平らに保持できるようにし、同時に、真空効果が部分的に通るのも可能にする。適切な空気透過性材料の例は、防水紙、クラフト紙、連続気泡発泡体、融合プラスチックビーズを使用した犠牲CNC被覆、および開口部を備えたバナー材料を含む。
【0071】
採用する透過性シートのタイプに関係なく、材料は粘着テープ52を使用してテーブルのベッドに取り付けられ得る。透過性材料のシートは、印刷すべき位置合わせグリッドよりも大きくなるような大きさにされる。隆起したグリッドは、テーブルの表面上にも直接印刷され得るが、これは、プロジェクト要件が変わるたびにグリッドが手動で除去されることを必要とする。
【0072】
12~20%の開口領域を有する開口部を備えたバナーメッシュは、本発明内で特に適用可能であることが分かっている。かかるバナーメッシュは、多くの場合、ビニルでコーティングされている織布である。コーティングプロセスは、空気が通過し得るようにメッシュが微小な開口を保持するように明確に実行される。本発明では、メッシュは、隆起した印刷パターンをしっかりと受け取る印刷可能な表面を提供し、同時に、真空力が、印刷されたメッシュを通してレンチキュレート化シートに印加できるようにもする。16%の開口領域を有する、Britten Studios(米国ミシガン州トラバースシティー)によるAdMeshは、本発明内での使用に適していることが分かっている。
【0073】
一旦、透過性材料が適切な位置にあると、レンチキュレート化シートの以前に識別された物理的ピッチでインタレースされた、位置合わせグリッドが、電子的にプリンタに送られ、透過性基材(シート)50上に付着されたパターンは、隆起した線のレリーフが形成される十分な深さに送られる。インクジェットシステム60は、印字ヘッド64に通じるインクリザーバ62を含む。
【0074】
印字ヘッド64は、プリンタのヘッドに向かってインクを放出できる少なくとも1つのノズルを含む。インクリザーバ70は、液滴72が連続して放出されるように、ノズル66と流体連結されている。未硬化のグラフィック要素74は、UV放射200が適用されて硬化されたグラフィック要素76を形成するまで、流体のままである。これらの液滴は、個々のプリンタのラスターに本質的に適合する規則的なパターンの平行線に蓄積し、それは、レンズの物理的ピッチに適合する。
【0075】
図6は、レンチキュレート化シートとグリッドが係合される場合の、レンズアレイのレンチキュレート化面と、印刷された位置合わせグリッドとの間での物理的な周波数一致の効用を示す。平行線の形での複数の硬化されたグラフィック要素76は、適切な厚さおよび幅に印刷される場合、レンチキュレート化シートのレンチキュラーの軸にわたるいかなる移動も阻止する。真空力300の印加は、レンチキュレート化シートを透過性シートに引き寄せ、それは次いで、プリンタテーブルに押さえつけられる。
【0076】
その上、グリッドパターンは、プリンタのラスターに効果的にインデックス付けされる。プリンタラスター上の任意の位置が、プリンタの解像度内で、原点として、または基準軸として選択され得る。本発明では、グリッドおよび画像ファイルの両方を装置の印刷可能領域の中心にインデックス付けすることは有用であることが分かっている。中心軸Cは図中で破線によって印を付けられている。位置は、通常、選択された解像度でのラスターアドレスによって定義され得る。例えば、1270(50”)のアドレス指定可能な幅を有するフラットベッドプリンタは、1200dpiで、635mm(25”)に中心があり得る。プリンタは、次いで、グリッドファイルおよびインタレース画像ファイルの両方を原点から30,000ピクセルの位置でセンタリングするように指示され得る。
【0077】
この位置合わせは、プリンタのソフトウェア言語を通して実現できる。グリッドは、2本の真ん中のグリッド線が選択された中心軸から等距離になるように、プリンタ命令によって配置される。インタレースファイルは、中央の画像フィールドが同じ中心インデックス値によって均等に分割されるように生成される。このようにして、レンチキュラーの頂点が隆起したグリッド線の間に置かれて、インタレース画像がインデックス付けされた軸上にセンタリングされる。印刷されると、画像バンドが自然かつ漸進的に画像の各側にオフセットされて、選択された視距離で最適な視覚効果を生じる。
【0078】
図7は、以前に印刷された位置合わせグリッドからの既知の基準位置を使用した、インタレース画像フィールドのレンチキュレート化シートの平面状の裏面上への位置合わせされた印刷を示す。グリッドファイルおよびインタレース画像ファイルはCで同じ中心を共有することが理解され得る。
【0079】
カラーインク印字ヘッド80は、複数のノズル配列を含む。各配列内のノズルは、通常、規則的なパターンで配置される。モノリシック印字ヘッドは、多くの場合、適切なノズルに向けられている一連の異なる色付きインクを受け取る。4チャネルシステムに対する例示的な構成は、シアン/マゼンタ/イエロー/ブラック、すなわち、CMYKである。4つの別個のインクシステムは、第1のカラーインクチャネル82、第2のカラーインクチャネル84、第3のカラーインクチャネル86、および第4のカラーインクチャネル88によって示されている。
【0080】
乳白色インクは、不透明度を提供するための十分な厚さまで付着を促進するために、複数のチャネルを通して向かわされ得る。白インクは多くの場合、その顔料を懸濁状態で保つために、定期的な攪拌など、特別な取扱いを必要とする。それに応じて、それは、白インク印字ヘッド90によって示されるように、それ自身の印字ヘッド、インク供給部、および制御を有し得る。白の印字ヘッドは、ここでは、第1の白インクチャネル92、第2の白インクチャネル94、第3の白インクチャネル96、および第4の白インクチャネル98によって示されるように、複数のノズル配列を含む。
【0081】
カラー印字ヘッドおよび白印字ヘッドは、通常、同じキャリッジ上に取り付けられて、モノリシックに製造されたノズルシステムを共有するように製作され得る。
【0082】
図7は、さらにインタレース画像フィールドの位置合わせされた印刷中に、色付きインクおよび白インクを供給するノズル配列の前進を示す。隆起したグリッドはレンズアレイを、各レンズが任意の2本の隆起したグリッド線の間の1つの位置にだけ関連して位置し得るように、しっかりと位置付けることが見られ得る。
【0083】
印刷されたインタレース画像100は、複数のインタレース画像フィールドを含み、ここでは、カラー印字ヘッド80による真ん中の画像フィールド102および第1のオフセット画像フィールド104の印刷によって例示される。白インクのバッキング層の並列印刷が、白インク印字ヘッド90の前進によって示される。白インク層110も別の操作で印刷され得る。
【0084】
図8は、インタレース画像フィールドの位置合わせされた印刷中に、色付きインクおよび白インクを供給するノズル配列の移動を示し、第2のオフセット画像フィールド106および第3のオフセット画像フィールド108の漸進的印刷(progressive printing)を含む。説明を簡略にするため、インタレース画像フィールドは本明細書では別個のエンティティとして示されているが;実際には、画像フィールドは、通常、連続的に印刷され、個々のフィールドは、それらのグラフィックコンテンツによってのみ区別される。
【0085】
一旦、印刷動作が完了すると、真空はオフにされてプリントがテーブルから取り除かれる。
【0086】
図9は、位置合わせグリッドが中心線を真ん中の画像フィールドと共有する、本発明に従って形成されたレンチキュラー印刷を見ているところを示す。中心位置V1にいる見ている人は、正確に位置合わせされたレンチキュラー画像を見るだろう。
【0087】
図10は、インタレース印刷層400のオフセットされた真ん中の画像フィールド402が、連続するフィールドが漸進的であるように、対応する位置合わせグリッドの中心線から明示的にシフトされる、本発明に従って形成されたレンチキュラー印刷を見ているところを示す。オフセット画像白インク層410は、前の図における白インク層110に類似している。
【0088】
オフセットインタレース画像は、印刷物が、オフセットビューア位置V2によって示されるように、見る人の分かっている経路に対して斜めに配置される場合に望ましくあり得る。それはまた、印刷物が、最大領域(edge-to-edge)を満たすタイル状の一連の印刷物内の一構成要素である場合、その印刷物が中心から外れた位置に取り付けられるように設計される場合はいつでも、有用であり得る。
【0089】
複数の隣接したパネルが、単一の連続した視覚的印象を伝えるために使用される場合、見る人の視線が適切に画像フィールドに集まるように、位置オフセットが画像内で可能にされ得る。これは、連続画像をインタレースし、それを分割することによるか、またはタイル状フォーマットを見込んで、関連する画像フィールドを選択された視ピッチおよび予期される視位置からの横軸における逸脱に応じてシフトすることにより、達成され得る。
【0090】
例えば、3パネルのディスプレイでは、右および左の画像の最も外側の縁に向かって入念に計算されたシフトで、3つのパネルの視線を本質的に調整する。この画像準備の利点は、同じ位置合わせグリッドが一連のパネルの各々に対して使用され得ることである。前述の原理は、任意の数のパネルに、および同等でない幅のパネルに適用され得る。
【0091】
これらの理解は本発明内に広く適用され得、本発明の実施内で、位置合わせグリッドは、インタレース画像をレンズアレイ上にセンタリングするためにもっぱら採用する必要はないことが理解され得る。
【0092】
図11は、隆起したレンチキュラー表面に対して補完的な量子化形状を提供するインクの多層塗布を示す。本例における量子化形状は、印字ヘッドが単一位置の上を移動している間に、インクの累積がより複雑な形状を達成できるように、提示された異なるデータによって起動されたインクの層から構成されたレリーフ特徴である。
【0093】
図11は、カラーインク印字ヘッド80内のカラーインクチャネルによって4つのステップで付着されたインクのかかる層を示す。量子化位置合わせグリッド500は、複数の平行な量子化突条510を含む。各量子化突条は、インクの4つの層を含み、各層は、異なる線幅を提供するために付着される。
【0094】
図示例では、第1の線502が最も幅が広く、その後に、毎回、幅が狭くなった線が続く。第2の線504は、幅が減少しており、第3の線506がその後に続く。第4の線508は、4つのうちで最も狭い。各線は、複数行のプリンタデータによってアドレス指定され得る。累積された表面形状は、図13および図14を同時に参照することによってさらに理解され得る。
【0095】
図12は、レンズアレイのレンチキュレート化面と、印刷された量子化位置合わせグリッドとの間での空間周波数一致を示し、さらに、進行中の印刷動作を示す。図から、量子化位置合わせグリッド500は、複数の接触位置をレンチキュラー12上に提供することが理解され得る。印刷は、以前の図に示すものに類似した方法で進む。
【0096】
図13は、量子化位置合わせ特徴を形成するインク層の積重ねの詳細を示す概略斜視図である。浅い円筒は、プリンタのラスター上の液滴の位置を表す。実際には、液滴は、表面張力および個々の液滴間の流出のために、さらに連続した表面形状に融合され得る。
【0097】
図から、インクの各層は、複数の行の液滴の付着によって形成されることが見られ得る。第1の線502は、14行の液滴を含む。第2の線504は、8行の液滴を含む。第3の線506は、4行の液滴を含む。第4の線508は、2つの液滴を含む。様々な幅のこれら4本の線の累積が量子化突条510を形成する。
【0098】
図14は、ひとまとめにして量子化位置合わせグリッド500を形成する、一連の量子化突条510を示す概略斜視図である。凸状シリンドリカルレンチキュラーは量子化位置合わせグリッドの補完的形状に直接位置付けられることが理解され得る。
【0099】
図15は、以前に付着された量子化インク層500の上の選択的なコーティング610を含む、さらなる層を有するインクの多層塗布を示しており、それによって、位置合わせグリッドのレリーフ表面が予期されるレンチキュラー表面に対して実質的に等角にされる。
【0100】
UV硬化性インクとの使用のために準備されたフラットベッドインクジェットプリンタは、多くの場合、流れ出て高光沢仕上げになるように配合されたクリアーワニスまたは下塗剤(primer)を含む。かかるインクサブシステムは、仕上がった突条が、等角の位置合わせグリッド600によって示されるように、さらに連続した表面形状を得られるように、累積された量子化インク層をコーティングするために採用され得る。
【0101】
図16は、本発明に従って形成された等角の位置合わせグリッドと位置合わせされたレンチキュラーシートを示す。重心軸Cが、平行な直線軸C1およびC2をレンチキュレート化シート上に定義し、従って、レンチキュラーレリーフパターンをシートの平面状裏面上の既知のインデックスと位置合わせすることが見られ得る。
【0102】
図17は、球面レンズアレイのための本発明の修正を示す。球面レンズアレイは、プルパララックス3D画像、または様々な他の変化する効果のために使用され得る。球面レンズアレイシートの領域の概略斜視図では、レンズアレイシート700は、各々が頂点714を有する、凸状開口712を有する球面レンズ710の配置をもつ。レンズの隙間(lens interstice)716がレンズ間に配置され、図のように、交差する凸状レンズ形状によって提供される幾何学的尖点、または平坦地(flat land)のいずれかであり得る。レンズアレイシート700は平面状アレイ裏面720を備える。
【0103】
図18は、図17に示すレンズアレイに対して補完的な位置合わせレリーフパターンの概略斜視図を示し、例示されるシステムは、空気透過性、犠牲基材およびインク受容層の両方を含む。図を参照することにより、本発明は、既製のレリーフ材料を位置付けて、その位置を2本の軸における既知のプリンタラスターに対して固定するように適合され得ることが理解され得る。
【0104】
凹状位置合わせグリッド800は、様々な寸法の円形領域が入念に未印刷のまま残されるインク層の漸進的印刷によって形成された複数の量子化凹面810を含む。球面レンズアレイの略逆の形状がこのように生成され得、球面レンズアレイ材料はそれにより、凸状レンズ口径の、グリッド内の対応する凹面との係合によって既知の位置に固定される。後続の印刷中、レンズフィールドが、レンチキュラー事例の説明に類似した方法で位置合わせおよびオフセットされ得る。
【0105】
この図は、真空テーブルの本発明内でのその使用における注意および保守を支援する特徴も示す。開口部を備えたメッシュおよび他の犠牲透過性材料は、小さい液滴が真空ポート44に引き込まれるのを可能にできる。受容層900は、迷い出た液滴が真空ポートに引き込まれる前に、それらを捕捉するために提供される。
【0106】
受容層は、いかなる迷い出た液滴も、真空ポートに引き込まれ得る前に、それらの縒り合された繊維内に捕捉される十分な厚さおよび細かさの空気透過性不織布材料で作られ得る。スルーホールのない不織スパンレースがこの能力で採用され得る。
【0107】
本発明の動作
本発明の使用では、レンチキュラー材料は、位置合わせの触覚確認が操作者によって感じられるまで、線のセット上に単に置かれ得る。位置合わせ線がそれらの背景と対比させるように印刷されていると仮定し、レンズがベッドの方に下向きに面しているという事実にもかかわらず、レンズが不完全に位置合わせされている場合、目に見えるバンディングまたは色調における変動がよくあり得る。
【0108】
本発明のさらに詳細な実施形態では、一連のインクを含むインクセットが、レンズアレイの表面レリーフに漸進的に一致するレリーフを構築するために使用されて、凸状レンチキュラーに正確に一致する凹状に溝の付いた表面を生じる。インクパターンの漸進的な累積は、使用されているレンズのピッチおよび曲率に合わせることができ、所与の光学シート材料に対して最適な係合を提供できる。
【0109】
グラフィックアートにおける大部分のインクジェットプリンタは、カラーで印刷するように設計されるので、通常、各流体源専用のノズル配列のセットがあり得る。これらの流体源は、顔料インクまたは染料インクに制限されず、硬化性下塗剤、コーティングまたはワニスも含み得る。いずれの場合でも、本発明は、様々な相互運用可能な付着順序を使用して実装され得ることが理解され得る。いずれの場合でも、異なる幅の複数の線が印字ヘッドの単一パスで付着できることは、本位置合わせシステムの生産性にとって好都合である。
【0110】
本発明の使用では、隆起した線のパターンは、印刷されるレンチキュラーシートの予期される領域全体を占める必要はなく、好都合にも、中央バンドに限定され得ることが分かっている。実際には、100mm幅の線のパターンが、1m幅以上の画像に対して一貫して効果的であることが分かっている。隆起した線のバンドは、通常、予期されるレンチキュラーシートの長さに沿って、レンズと平行な方向に延在するように作られるが、この全長は厳密には必要ない。
【0111】
また、本発明は、画像と関連付けられた画像ファイル、すなわち、直線グリッドファイルおよびインタレース画像ファイルの幾何学的原点が、慣例により得るようには、画像の左上隅に位置付けられないという点において、グラフィックアートの慣例から逸脱する。
【0112】
代わりに、レンズに沿った軸における一般的な原点が、レンチキュラーに平行な軸において画像の中心線に近接して定義される。この方法により、例えば、中央のインタレース画像バンドが正確かつ確実に位置付けられ、それが物理的に係合される層状レリーフ線パターンに相対してレンチキュラーアレイの裏に印刷できる。印刷されたインタレース画像は次いで、画像の真正面にいる見る人に最適に合わせられる。
【0113】
この相対的センタリングが、デジタルファイルおよび物理的印刷画像の両方に適切に導入される。画像およびグリッドデータの位置合わせは、プリプレス作業の様々な段階で選択的に実行され得る。例えば、その2つの協働ファイルは、レンチキュラーインタレースソフトウェアアプリケーション内で生成され得る。あるいは、グリッドおよび画像ファイルの調整が、ラスター化画像処理(RIP)アプリケーションによるレンダリング中に実行され得る。デジタル画像では、ソフトウェアRIPは、画像、カラー、およびインク濃度を、直接インク付着を制御する命令に変換する。
【0114】
中央原点を確立することの1つの利点は、隆起した線パターンと画像との間で上首尾の位置合わせを行うために必要な線パターンの幅だけを有する、グリッドファイルが生成され得ることである。例えば、インタレース画像ファイルは1000mm幅であり得るが、グリッドパターンは、多くの場合、100mmの範囲内である必要があるだけである。そうでなければグリッドのデジタルファイルのエッジ間の領域を占め得るnullデータが結果として除去されて、ファイルのサイズが削減されるが、プリンタに対するデータ転送速度は比較的速い。
【0115】
この考慮事項は、レンチキュラー画像が多くの場合、少なくともレンズにわたる軸において、印刷装置がその最大解像度で操作されることを必要とすると仮定すると、特に意味をもつ。この高解像度要件は、レンチキュラーアレイによる印刷画像の別個のビューへの光学的分割の結果である。見られる画像における深さまたはアニメーションの量は、各レンズの光学的画像フィールドと共に供給できる印刷物の別個の線数に直接関連する。
【0116】
実際に、この要件は、大規模なフォーマットのレンチキュラー画像では、画像データが、標準的なファイルフォーマットによって許容される最大ファイルサイズを超え得るので、非常に重要なことがある。例えば、TIFF(tagged information file format)画像ファイルは定義により、4ギガバイトを超えることができず、しかも、1200×1200dpiで、このボリュームのデータは1m四方に満たない画像を生じる。フラットベッドプリンタおよびレンチキュラーシートの両方は数メートルの印刷可能領域で利用可能である。
【0117】
さらに、いかなる光学拡大も提供しないレンズの軸における解像度の多くは、最終的に見る人にとって余分である。40レンズ/インチのピッチを有するレンチキュラーシートの裏面に1200×1200dpiで印刷された、従来の方式で、対称的に処理された画像は、40×1200dpiの観測解像度を提供する。人間の目はかかる極端に非対称な解像度を平均化することができず、そのため、対称的に処理された画像における高解像度の主な結果は、画像処理、画像転送、印刷サイクル時間を遅くして、最大印刷領域に上限を設けることである。
【0118】
本発明内での協調利用では、非対称解像度を有するためにインタレース画像がレンダリングされる。すなわち、インタレースファイルの解像度は、レンズに沿った軸における低い方の数値に制限される。この低い値は、通常、印字ヘッドのノズルピッチをもつ整数関数に選択される。
【0119】
例えば、固有の1200×1200dpiアドレス指定可能解像度と一致させるのではなく、画像解像度は、1200×600dpi、1200×300dpi、または1200×150dpiに指定され得る。これらの非対称画像ファイルは、単一のTIFFファイルが、それぞれ、約2、4、および8平方メートルの画像を印刷できるようにする。
【0120】
この非対称ファイル処理方式は、従って、詳細な多視点レンチキュラー印刷をほとんどの大型フラットベッドプリンタのフル寸法まで広げる。それはまた、このクラスのプリンタのマーケットリーチを、ポスターサイズ画像から壁サイズ画像まで広げて、現在利用可能なレンチキュラー材料のフル寸法範囲の使用を可能にする。
【0121】
修正、分岐(ramification)、および範囲
本発明の原理は、レンチキュラーアレイ以外のレリーフパターン形成された物体に適用され得る。実際に、その1つの面上にレリーフパターンをもつ任意の既製の物体が、本発明の適用を通して、そのレリーフパターンと位置合わせして印刷できる。位置合わせ印刷は、レリーフ特徴のパターンによって画定された隆起した位置合わせパターンを、物体のレリーフパターン形成表面の形状に逆に対応する、プリンタのフラットベッドまたはその覆いなどの、座面(bearing surface)に印刷することによって、レリーフパターンが形成される面と向かい合った面上で確実に実行される。
【0122】
印刷中、パターン形成された物体は、ベッドに押し付けられ、フラットベッド印刷装置のベッドに平行な面において、逆レリーフ特徴により、移動するのを阻止される。印刷レリーフは、物体上の表面レリーフパターンと機械的に係合し、それにより、パターン形成された物体と座面上に印刷された位置合わせパターンの相対位置が実質的に制約される。
【0123】
本原理の多様な適用が容易に想像され得る。例えば、回路基板または可撓性導電フィルムが両面上に配線パターンを保持することは多くの場合、有用である。プリンタは、電子パネルの一面上にレリーフを生成するために使用され得る。結果として印刷されたレリーフは、例えば、抵抗または導電性インクから成り得る。レリーフは、材料の層の選択的エッチング加工によっても生じ得る。
【0124】
いずれの場合でも、対応する逆パターンが座面上に印刷され得、一連の幾何学的に等しいレリーフパターン形成アイテムが、次いで、逆パターンと物理的に係合されて、位置合わせされた状態で印刷される。かかるシステムは、表示装置および太陽電池パネルなどの、電子適用に対して使用でき、それらは一般に、パネルの両面上に導電性マトリックスを必要とする。
【0125】
本発明は、光学的または電子的な表示以外の分野に適用され得る。既製のレリーフ表面は、鍛造、スタンピング、エンボス加工、鋳造、または押出しによることを含む、任意の実用的な方法で形成され得る。
【0126】
本発明の位置合わせ機能は、既製の材料シートの両面上に配置された印刷表面の位置合わせにおいて、視覚的または機能的有用性がある任意の用途で様々に適用されることが予期される。
【0127】
それに応じて、位置合わせグリッドまたはパターンと係合したレリーフ表面自体は、レリーフ印刷によって形成され得るか、または、代替として、押出し、圧縮成形、エンボス加工、流延成形、または射出成形などの手段によって前もって製造され得る。
【0128】
周期的屈折アレイ(periodic refractive array)と共に使用する変更可能画像の事例では、印刷は顔料インクに制限される必要がなく、透明、半透明、色フィルタ、玉虫色(iridescent)、もしくは反射性材料、またはそれらの全体もしくは部分パターンの使用を含み得る。これらのパターンは、レンチキュラーインタレースによって、および類似の、または異なるレイアウトもしくは組成の材料の連続適用によって、得られ得る。
【0129】
例えば、インタレースされた、印刷画像の適用の前に、透明レリーフが最終的にレンチキュラーレンズの真の焦点面に近接する、繰り返される隆起した異なるパターンの連続に段階的に適用され得る。この表面は、光学設計ソフトウェアで容易に形作られる。
【0130】
所与のレンチキュラーレンズの焦点面は、実質的に、屈折レンチキュラーレンズの半径の2~4倍の間の半径を有する円筒形状の表面である。それは、従って、従来型のレンチキュラーシートの平面状裏面から、レンズのピッチとおおまかに等しい空間的周期で、局所的に逸脱する。
【0131】
この状態は、あらゆるレンチキュラーシステムに存在するが、主レンズ表面の含まれる弧が比較的大きい場合、必要な補正レリーフが最も重要である。レンチキュラーレンズ曲率に関係なく、適切に湾曲した焦点面は、改善された視距離を提供でき、3D効果を求める画像の事例では、深さのより大きなレンダリングを提供できる。機能的に、主レンズ収差は効果的に除去できるので、それは、選択されたレンチキュラーシートの厚さも減らすことができる。
【0132】
さらに、上で示した通り、レンチキュラー画像は、平面上に印刷された不透明な画像に制限されない。実際に、焦点領域に、または焦点領域近くに配置された画像は、平面、または局所的に湾曲した焦点フィールドに制限される必要がない。例えば、見せ掛けの浅浮き彫り主題が、1つ以上のインタレース画像チャネルの連続を使用し、次いで、薄く色が付いているか、または色付きインクで充填され得る、物理的に刻印されたパターンを形成することによって、見る人に表示され得る。
【0133】
刻印グラフィック装置は、一連の層から構築され得、レリーフ画像要素の表面形状の細部、質感および鋭さは、デジタル入力ファイル、ならびにインクまたは局所的な透明コーティングの付着および硬化方法の両方によって調整され得る。前の説明の通り、UV硬化印刷システムでは、流体材料の流出が、適用される化学線放射のタイミングおよび強度によって制御され得る。
【0134】
かかる適用のさらなる変形では、シートのレンチキュレート化側から見る場合に、錯視的な(illusionistic)視覚的レリーフを提供するインタレースパターンを加えるために、不透明インクが刻印された透明表面を充填するために使用され得る。焦点面の近くに適用された任意のレリーフまたは質感は、レンチキュラーアレイによって再構成された合成画像によって継承される。再構成されたレリーフ画像は次いで、顔料画像において差を再現できるだけでなく、ある程度は、方向性周囲照明源によるそのハイライトおよび陰影のモデリングに対応できる。
【0135】
もっと包括的に、レンチキュレート化シートの平面状裏面への印刷は、物理的な裏平面を画定する軸だけでなく、z軸における解像度を有するボリュームとして広く想像できる。それに応じて、印刷装置の解像度および付着容量内の任意の微細構造光学パターンが透明マトリックス内に累積的に付着され得る。従って、任意の種類の主題、エンブレム、または証印(indicia)に、視覚的に最も後の表面からの上昇または分離の見せ掛けが与えられる。
【0136】
透明マトリックスの使用は、z軸において高アスペクト比を有する特徴をサポートする際に有用であり、シート材料と透明インクとの間の光学的結合の利点を提供する。しかし、機能的自立機能的特徴が本発明によって可能にされることが想像される。これらは、印刷可能液体の硬化レリーフへの直接累積の結果であり得るか、または、例えば、可溶性犠牲マトリックス内で硬化され得る。
【0137】
さらに、溶媒に対して、保持されたレリーフ特徴とは異なる耐化学性を有する可溶性支持マトリックスの使用は、カンチレバー、ブリッジ、バルブ、および交差部、任意の達成可能な軸において構成すべき相互接続回路、または絶縁回路などの、構造を可能にする。かかる用途は、画像の局所的照明に対して、または更新可能なグラフィック表示において、間もなく使用できる。
【0138】
従来の方式では、最も近い近似において、レンチキュラーアレイの本質的に湾曲した焦点面で区切る(intercept)ために、レンチキュラー画像の連続画像平面が配置される。画像は、従来方式では、レンズが無限の倍率で動作するという仮定で、インタレースされる。しかし、光学的に理想的な事例でさえ、レンチキュラーレンズは、倍率における幾分の変動を示す。これらの変動の一部は、レンズの実際の焦点距離が、前述したように、容量的に印刷画像を区切る場合に生じ得る。
【0139】
それに応じて、z平面におけるインタレース画像のスケーリングが、容量画像フィールド内の任意の点でレンチキュラー倍率に反比例して変わるように行われ得る。この方法により、観察者によって見られる再構成画像は、意図した主題の自然の比率を保持できる。
【0140】
さらに、容量画像がレンズの湾曲した焦点面によって区切られる場合、焦点距離の前方の容量画像の部分がレンズによって逆にされず、他方、焦点距離の後ろの部分は逆にされる。焦点距離の手前にある容量画像要素は、画像平面の後ろに有限倍率で投影され、他方、焦点距離を超えて位置付けられる容量画像要素は、逆にされて、物理的な画像平面の前方に有限倍率で投影される。従って、本明細書で説明する容量画像の最適化された処理は、理想的には、倍率、画像方向、および視差において結果として生じる、いかなる変化にも対応すべきである。
【0141】
参照により全体として本明細書に組み込まれる、米国特許出願第20020114078号は、表示されている物体の特性およびディスプレイ自体を一致させるようにディスプレイの設計を最適化するために、レンチキュラー(1次元)およびマイクロレンズ(2次元)のレンズアレイディスプレイの両方の焦点が従来の位置からどのように離れることができるかを開示した。関与する要因は、レンズアレイの設計、そのバックプレーンに記録される画像の解像度、および表示されている物体の3次元解像度を含む。
【0142】
本発明は、本発明の印刷方法の能力および適応性によって許容される追加の自由度によって可能にされるこれらの理解の拡張を含む。本発明は、印刷インタレース画像の顔料成分が、表面的に加えられるかまたは容量的に加えられるかに関わらず、選択されたレンズアレイの屈折形状と最適に協働できるようにする。屈折アレイは、レンチキュラーもしくはマイクロレンズ要素、またはそれらの任意の中間もしくは結合形のいずれか、から選択的に構成され得る。
【0143】
前述の図および例は、他の実施形態が、説明または例示した要素の一部もしくは全部の交換によって可能であるので、本発明の範囲を単一の実施形態に制限することを意図していない。その上、本発明のある要素が既知の構成要素を使用して部分的または完全に実装できる場合、本発明の理解のために必要な、かかる既知の構成要素のそれらの部分だけが説明され、かかる既知の構成要素の他の部分の詳細な説明は、本発明を不明瞭にしないために省略される。本明細書では、単数の構成要素を示す実施形態は、本明細書で特に断らない限り、必ずしも複数の同じ構成要素を含む他の実施形態に制限されるべきでなく、逆もまた同様である。その上、出願者は、明細書またはクレーム内のどの用語も、かかるものとして明示的に記載されていない限り、一般的でないか、または特別な意味に帰せられることを意図しない。さらに、本発明は、実例として本明細書で参照した既知の構成要素に対する現在または将来の既知の同等物を包含する。
【0144】
特定の実施形態の前述の説明は、本発明の一般的性質を非常に完全に明らかにしているので、他の人は、関連技術(複数可)のスキルの範囲内の知識(本明細書で参照により引用および組み込まれた文書の内容を含む)を適用することにより、過度の実験なしで、本発明の一般概念から逸脱することなく、様々な適用に対して、かかる特定の実施形態を容易に修正および/または適合できる。かかる適合および修正は、従って、本明細書で提示する教示およびガイダンスに基づき、開示する実施形態の同等物の意味および範囲内であることを意図する。本明細書の語法または用語は、制限ではなく、説明を目的としており、そのため、本明細書の語法または用語は、当業者により、本明細書で提示される教示およびガイダンスに照らし、当業者(複数可)の知識と組合わせて、解釈されるべきであることを理解されたい。
【0145】
本発明の様々な実施形態を上で説明してきたが、それらは、制限ではなく、例として提示されていることを理解すべきである。当業者(複数可)には、形式および詳細における様々な変更が、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、行われ得ることが明らかであろう。従って、本発明は、前述した例示的な実施形態のいずれによっても制限されるべきではなく、以下のクレームおよびそれらの同等物に従ってのみ定義されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18