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特許7086861プレノプティックカメラを用いた三次元再構成方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】プレノプティックカメラを用いた三次元再構成方法
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/24 20060101AFI20220613BHJP
   G06T 7/557 20170101ALI20220613BHJP
   H04N 5/225 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G01B11/24 K
G06T7/557
H04N5/225 410
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2018560103
(86)(22)【出願日】2017-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-20
(86)【国際出願番号】 FR2017051184
(87)【国際公開番号】W WO2017198945
(87)【国際公開日】2017-11-23
【審査請求日】2020-03-17
(31)【優先権主張番号】1654548
(32)【優先日】2016-05-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】306047664
【氏名又は名称】サフラン
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】特許業務法人 信栄特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ル ギルー、ヤン
【審査官】眞岩 久恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-007730(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00-11/30
G06T 7/557
H04N 5/225
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光学系(110)と、複数の画素を備えたマトリクス光学センサ(130)と、前記入射光学系と前記マトリクス光学センサとの間に配置された光学素子(121,221,321,421)のマトリクス(120,220,330,420)とを備えたプレノプティックカメラを用いた対象面(200)の三次元再構成の方法であって、
前記方法は、
前記プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドの一連のポイント(以下、サンプリングポイント(P))の三次元座標を決定するステップと、
各サンプリングポイント(P)に前記マトリクス光学センサの少なくとも2つの画素(p)の組を関連付けた較正データを決定するステップと、
前記プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドを拡張した三次元格子(以下、再構成格子)を定義するステップと、ここで、前記再構成格子の各ポイントが1以上のサンプリングポイント(P)に関連付けられており、
前記プレノプティックカメラ(100)によって前記対象面の少なくとも1つの画像を取得するステップ(401)と、
前記較正データ及び前記対象面の少なくとも1つの画像から、前記再構成格子の各ポイントに対して1以上の分散の関数である非類似度(C)の値を計算するステップ(402)と、ここで、各分散は、前記再構成格子の前記ポイントに関連付けられたサンプリングポイント(P)に関連付けられた画素若しくは前記再構成格子の前記ポイントに関連付けられた複数のサンプリングポイント(P)のうち1つに関連付けられた画素によって、前記対象面の画像上で取られた強度値間の距離を示し、
各々に前記非類似度(C)の値が割り当てられた前記再構成格子のポイントの三次元分布を決定するステップ(403)と、
各々に前記非類似度(C)の値が割り当てられた前記再構成格子のポイントの前記三次元分布を用いつつ、前記プレノプティックカメラの前記オブジェクトフィールドを拡張し、前記非類似度(C)の最小蓄積値に関連する面を探索することで、前記対象面の三次元再構成を行うステップ(404)と、を含み、
前記サンプリングポイント(P )の三次元座標を決定するステップ及び前記較正データを決定するステップは、
前記光学素子のマトリクスの光学素子(121,221,321,421)および当該光学素子に関連付けられたマトリクス光学センサの画素(p )の各カップルに対して、前記光学素子の光学的中心と前記画素の中心を結ぶイメージレイ(R’ )を決定するステップと、
このように決定された各イメージレイ(R’ )に対して、前記入射光学系(110)によって前記イメージレイに共役した対応するオブジェクトレイ(R )を計算するステップと、
前記プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドに位置する少なくとも2つのオブジェクトレイ(R )間の全ての交点(P )を決定するステップと、ここで、当該交点が前記サンプリングポイントを形成し、
各サンプリングポイントに対して、少なくとも2つの対応するオブジェクトレイを特定することによって前記較正データを決定するステップと、を含み、
前記オブジェクトレイは、少なくとも2つのイメージレイ及び前記マトリクス光学センサ(130)の少なくとも2つの画素(p )に関連付けられている、
方法。
【請求項2】
前記再構成格子のポイントは、前記サンプリングポイント(P)で構成され、
前記再構成格子のポイントの非類似度(C)は、前記対応するサンプリングポイント(P)に関連付けられた画素によって前記対象面の画像上で取られる強度値間の分散の関数である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記再構成格子は規則格子であり、
前記再構成格子の各ポイントに対して非類似度(C)の値を計算するステップは、
サンプリングポイントから所定のしきい値より大きい距離だけ離れて配置された前記再構成格子の全てのポイントに同一の非類似度の値(以下、極値)を帰属させるステップと、
前記再構成格子の他のポイントの各々に関して、前記再構成格子のポイントに関連付けられた各サンプリングポイントに対して前記サンプリングポイントに関連付けられた画素によって前記対象面の画像上で取られる強度値間の分散及び前記非類似度を得るために計算されたいくつかの分散の組み合わせを計算するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記三次元再構成は、
前記非類似度(C)の値の最小累積値に関連付けられた一連の前記再構成格子のポイントを通過する前記プレノプティックカメラ(100)のオブジェクトフィールド内に位置する面(200’)の検索を実行する、請求項1から3のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記三次元再構成(404)は、最小カットのアルゴリズムを実行する、
請求項1から4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記三次元再構成(404)は、前記光学素子のマトリクスの光学素子(121,221,321,421)のサブセットを考慮した上でダイナミックプログラミングアルゴリズムを実行する、請求項1から4のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記サンプリングポイント(P)の三次元座標を決定するステップ及び前記較正データを決定するステップは、
前記プレノプティックカメラ(100)のオブジェクトフィールドにおける光点を変位させるステップと、
前記光点の各位置に対して、前記マトリクス光学センサ(130)上の少なくとも2つの照明された画素(p)の有無を判断することで前記サンプリングポイント(P)を特定するステップと、
こうして特定された各サンプリングポイント(P)に対して前記少なくとも2つの照明された画素(p)を特定することで、前記マトリクス光学センサの少なくとも2つの画素の対応する組を決定するステップと、を含む、請求項1からのうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記対象面の画像を取得するステップは、プレノプティックカメラによって行なわれ、
前記プレノプティックカメラでは、
光学素子のマトリクス(220)の前記光学素子(221)の光学的中心は、分布格子(640)に従って、前記分布格子の第1系列の直線(641)と第2系列の直線(642)との交点に分布し、
前記分布格子の第1系列線の線(641)は、不規則な間隔で分布し、及び/又は、
前記分布格子の第2系列線の線(642)は、不規則な間隔で分布している、
請求項1からのうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記対象面の画像を取得するステップは、プレノプティックカメラによって行なわれ、
前記プレノプティックカメラでは、
前記分布格子(640)の第1系列の線(641)のうち2つの直接隣接する線間の距離が、第1の平均値の95%から105%の間であって、及び/又は、
前記分布格子(640)の第2系列の線(642)のうち2つの直接隣接する線間の距離が、前記第1の平均値に等しくあり得る第2の平均値の95%から105%の間にある、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記対象面の画像を取得するステップは、プレノプティックカメラによって行なわれ、
前記分布格子(640)の第1系列の線(641)のうち2つの直接隣接する線間の距離が、ランダムに分布している、及び/又は、
前記分布格子(640)の第2系列の線(642)のうち2つの直接隣接する線間の距離が、ランダムに分布している、請求項またはに記載の方法。
【請求項11】
前記対象面の画像を取得するステップは、プレノプティックカメラによって行なわれ、
前記プレノプティックカメラでは、
前記光学素子のマトリクス(320)の前記光学素子(321)の光学的中心は、分布格子(740)に従って、前記分布格子の第1系列の線と第2系列の線との交点に分布し、
前記分布格子が前記入射光学系(110)によってイメージングされるオブジェクト格子(750)は、互いに平行な第1系列の直線と、互いに平行であると共に前記第1系列線の線に交差する第2系列の直線によって構成され、
前記分布格子(740)の第1系列の線と第2系列の線が複数の曲線を含む、
請求項1から10のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記対象面の画像を取得するステップは、プレノプティックカメラによって行なわれ、
前記プレノプティックカメラでは、
前記オブジェクト格子の第1系列線の線が不規則な間隔で分布し、及び/又は、
前記オブジェクト格子の第2系列線の線が不規則な間隔で分布している、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記対象面の複数の照明条件に関連付けられた、前記プレノプティックカメラ(100)による前記対象面のいくつかの画像を取得するステップを含み、
前記再構成格子の各ポイントと関連する非類似度は、同一のサンプリングポイントに関連付けられると共に、前記照明条件の各々に関連付けられた分散を組み合わせることによって得られる、請求項1から12のうちいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
プレノプティックカメラ(100)を備え、請求項1から13のうちいずれか一項に記載の方法のステップを実行するように構成された三次元再構成装置であって、
較正データを記憶するためのメモリと、
前記サンプリングポイントの三次元座標及び前記較正データを決定し、
前記プレノプティックカメラおよび前記較正データによって取得された画像を入力部で受け取り、
前記再構成格子の各ポイントに対して前記非類似度(C)の値を計算し、
各々に非類似度(C)の値が割り当てられた前記再構成格子のポイントの三次元分布を決定し、
前記対象面の三次元再構成を出力部で提供する、
ように構成された計算手段と、
を備える、三次元再構成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元シーンを取得するためのプレノプティックカメラの分野に関する。
【0002】
より詳細には本発明は、そのようなカメラを用いた三次元再構成方法の分野に関する。
【0003】
対象面(surface of interest)の三次元再構成は、この面のポイントの三次元座標の推定を提供することからなる。
【背景技術】
【0004】
プレノプティックカメラは、単一の感光性センサを用いて相当なコンパクトさをもたらす三次元ビジョンシステムである。
【0005】
特許文献1は、そのようなカメラの特定的な一例を記載している。
【0006】
プレノプティックカメラは、いくつかの画素がオブジェクト空間内の同じポイントに関連する二次元画像を取得するように構成される。
【0007】
図1A乃至1Cは、従来技術によるプレノプティックカメラ100と三次元再構成方法を模式的に示す。
【0008】
プレノプティックカメラ100は、撮像対象物または対象面200から来る光線を受けるように構成された入射光学系110を備える。
【0009】
入射光学系110は単一のレンズによって構成され得る。
【0010】
変形例として、入射光学系110は、対象面200から入射光学系方向への光の伝播軸に則して相前後して配置された一組のレンズによって構成されてもよい。
【0011】
入射光学系110は、オブジェクト空間πと、光学素子のマトリクス120を受ける画像面π’との光学共役を達成する。
【0012】
光学素子121は例えば、画像面π’内に共面に分布したマイクロレンズまたはピンホールである。
【0013】
マイクロレンズ121はそれぞれ、例えば、隣接するマイクロレンズ間の距離を減少させるために非円形の断面を有してよい。これらは、平凸、両凸、非球面マイクロレンズなどであり得る。
【0014】
光学素子121はそれぞれ、対象面200から出力され入射光学系110を通過した光線を受ける。
【0015】
光学素子121を通過した後で、光線はマトリクス光学センサ130まで拡散する。
【0016】
マトリクス光学センサ130は、光子の入射流を電気信号に変換して画像を形成するように構成された、例えばセンサCCDタイプの感光性センサである。
【0017】
マトリクス光学センサ130の検出面は、好ましくは行と列に配置された複数の画素で構成される。
【0018】
マトリクス光学センサは、マトリクス120の付近、例えば光学素子121の後面より0.4から0.6mm後ろに配置されている(入射光学系の光軸に従って測定された距離)。
【0019】
光学素子のマトリクス120は、対象面から出て入射光学系を通過した光線を、マトリクス光学センサ130の画素上に分布させるように構成される。
【0020】
マトリクス光学センサの画素の選択は、各光学素子121に対応する。対象面200から出た光線は、これらの画素のうち1つに、光学素子121へのそれらの入射角の関数として向けられる。
【0021】
同じ光学素子と関連付けられた前記画素の選択がマクロ画素131を形成する。
【0022】
好ましくは、異なるマクロ画素間での重複はない。この重複は、特に、入射光学系110と光学素子121の焦点距離の適切な選択によって回避される。
【0023】
こうして、対象面200の同一ポイントから出た光線は、入射光学系110を通り、光学素子のマトリクス120を通って、マトリクス光学センサ130の異なる画素まで伝播する。
【0024】
図1Aは、オブジェクト空間π内に位置する対象面200のポイント200から出た光線のアウトラインを示す。このポイントの画像は、画像面π’内に、光学素子121の光学的中心に位置している。光線は、光学素子121への光線の入射角の関数として、対応するマクロ画素131の画素のうち1つまたは他の画素まで伝播する。
【0025】
このポイント200に関連付けられたマトリクス光学センサ130の画素は全て、この同じマクロ画素131に属する。
【0026】
図1Bは、オブジェクト空間πの外部に、この面から距離D1だけ下流に位置する対象面200のポイント200から出た光線のアウトラインを示す。このポイントの画像は画像面π’の外部に位置している。光線は、ポイント200から異なる光学素子121の光学的中心を通過してこのポイントの画像のほうに伝播する。
【0027】
このポイント200に関連付けられたマトリクス光学センサ130の画素は全て異なるマクロ画素131に属し、幅L1の面にわたって分散される。
【0028】
図1Cは、オブジェクト空間πの外部に、この面から、D1より大きい距離D2だけ下流に位置する対象面200のポイント200から出た光線のアウトラインを示す。このポイントの画像は画像面π’の外部に位置している。光線は、ポイント200から異なる光学素子121の光学的中心を通過してこのポイントの画像のほうに伝播する。
【0029】
このポイント200に関連付けられたマトリクス光学センサ130の画素は全て異なるマクロ画素131に属し、L1より大きい幅L2の面にわたって分散される。
【0030】
こうして、対象面の同じポイントに関連付けられたマトリクス光学センサの画素の空間内での分散は、このポイントとオブジェクト空間πの間の距離に関連付けられる。
【0031】
この距離は、このポイントの深さの座標に対応する。
【0032】
深さ座標と、マトリクス光学センサの画素への分散との依存性を探求する、異なる三次元再構成方法が従来技術から知られている。
【0033】
これはエピポーラ画像の再構成に関する。
【0034】
これは、プレノプティックカメラによって取得された画像から、光学素子121の同じ行ならびにセンサのマクロ画素131の関連する行に関連付けられた画像の画素の分布を鋭敏に認識することに関する。
【0035】
画像の画素の一連の列は特に、マクロ画素131の各行に関連付けられた画像の画素から形成され得る。画像の画素の各列はセンサのマクロ画素に対応し、その場合画素はマクロ画素上の画素の位置の関数として配置されている。
【0036】
オブジェクト空間内に位置するポイントがイメージングされる場合(図1A)、このポイントに関連付けられた画像の画素は画素の同じ列に属する。
【0037】
オブジェクト空間の外部に位置するポイントがイメージングされる場合(図1Bまたは1C)、このポイントに関連付けられた画像の画素は画素の隣接する列に属し、合同して傾斜したセグメントを形成する。このセグメントの傾斜は、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドにおけるポイントの深さ座標を生成する。
【0038】
そのような方法の一例が、論文(非特許文献2)に記載されている。
【0039】
この方法の欠点は、マクロ画素131と光学素子121によって1つのセグメントのみが形成されるということである。したがって、光学素子121によって単一の深さ座標のみが得られる三次元再構成の分解能はかなり低い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0040】
【文献】仏国特許出願公開第1558338号明細書
【非特許文献】
【0041】
【文献】Sven Wanner, Janis GehrおよびBernd Jaehne ,“Generating EPI Representations of 4D Light Fields with a Single Lens Focused Plenoptic Camera”, ISVC 2011, Part I, LNCS 6938, pp 90-101
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0042】
本発明の目的は、プレノプティックカメラによって取得される画像を用いて、光学素子のマトリクスの分解能よりも良い分解能を提供する三次元再構成方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0043】
この目的は、入射光学系と、複数の画素を備えたマトリクス光学センサと、入射光学系とマトリクス光学センサの間に配置された光学素子のマトリクスを備えたプレノプティックカメラを用いた対象面の三次元再構成の方法で達成される。
【0044】
本発明による方法は以下のステップを含む:
-プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドの一連のポイント、所謂サンプリングポイントの三次元座標の決定のステップと、
-各サンプリングポイントにマトリクス光学センサの少なくとも2つの画素の組を関連付けた、較正データの決定のステップと、
-プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドに延在する三次元格子、所謂再構成格子を定義し、各ポイントが1つ以上のサンプリングポイントに関連付けられているステップと、
-プレノプティックカメラによる、対象面の少なくとも1つの画像の取得のステップと、
-再構成格子の各ポイントに関する、較正データと、対象面の画像からの、非類似度の値の計算のステップであって、その非類似度の値は、1つ以上の分散の関数であり、各分散は、再構成格子の前記ポイントに関連付けられた1つのサンプリングポイント(P)または複数のサンプリングポイント(P)のうち1つに関連付けられた画素によって対象面の画像上で取られた強度値間の分散であるステップと、
それぞれが非類似度の独自の値を割り当てられている、再構成格子のポイントの三次元分布の決定のステップと、
対象面の三次元再構成のステップ。
【0045】
これはポイントのサンプリングに関するが、それは、それらが、プレノプティックカメラの全オブジェクトフィールドのポイントの空間におけるサンプリングを実行するからである。
【0046】
再構成格子の各ポイントは、1つ以上のサンプリングポイントに関連付けられている。
【0047】
用語「再構成格子」は、空間内に分布したポイントのクラウドを指す。
【0048】
これは、不規則格子である可能性があり、ポイントは例えば、サンプリングポイント自体によって構成される。
【0049】
変形例として、これは規則格子である可能性があり、ポイントは、要素体積画素によって画定される規則的な噛み合い(meshing)に従って空間内に分布している。再構成格子の各ポイントは、1つ以上の隣接するサンプリングポイント、すなわち、空間内で最も近接している1つのサンプリングポイントまたは複数のサンプリングポイントに関連付けられている。
【0050】
いずれの場合も、再構成格子のポイントの数は、サンプリングポイントの数以上である。
【0051】
各分散は1つのサンプリングポイントに関連する。
【0052】
特に、これは、取得された画像上のこのサンプリングポイントに関連付けられた画素によって取られる強度値の分散である。
【0053】
分散は、大体互いに対する、または選択された中央値または平均値に対する一連の項の実質的な距離を表す。
【0054】
2つの強度値の間での分散は、例えばこれらの2つの強度値の間での差または偏差、または、この差または偏差が増加すると値が増える関数を示す。
【0055】
3つまたはそれ以上の強度値の間での分散は、例えばこれらの3つまたはそれ以上の強度値の間での標準偏差、または、この差または偏差が増加すると値が増える関数を示す。一変形例として、標準偏差は、各強度値と、前記3つまたはそれ以上の強度値の平均値との差の絶対値の任意の他の関数と置換され得る。
【0056】
こうして、強度値の分散は、例えば、2つの値の間の偏差、または3つ以上の値の間の標準偏差を示し得る。
【0057】
分散が低いことは、画素が、対象面の同じポイントから生じた光線を受けている可能性が高く、したがって、サンプリングポイントが対象面に属するという可能性が高いことに対応する。
【0058】
分散が高いことは、画素が、対象面の同じポイントから生じた光線を受けている可能性が低く、したがって、サンプリングポイントが対象面に属するという可能性が低いことに対応する。
【0059】
再構成格子のポイントに関連付けられた非類似度の値は、再構成格子のポイントが1つのサンプリングポイント、またはそれ以上のサンプリングポイントに関連付けられているかによって、そのような分散の関数であるか、または、そのような分散の組み合わせの関数である。
【0060】
対象面に属している可能性が高い、またはその可能性が低い再構成格子のポイントが特定され得る。
【0061】
したがって再構成の分解能は、再構成格子のポイントの数に依存し、光学素子のマトリクスの光学素子の数によっては限定されない。
【0062】
これは、光学素子のマトリクスの分解能よりも高い分解能を提供する三次元再構成方法を容易にもたらす。
【0063】
特に、この分解能は、光学素子のマトリクスの分解能より少なくとも50倍高くなり得る。
【0064】
各サンプリングポイントは、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドに配置され、マトリクス光学センサの少なくとも2つの画素に関連付けられている。言い換えると、これは、この時点で入射システムと光学素子を通してそれぞれマトリクス光学センサの画素まで拡散している2つの光線の、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドに位置する交点である。
【0065】
サンプリングポイントは、オブジェクト空間から下流に、および/またはオブジェクト空間から上流に、および/またはオブジェクト空間内に、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内に延在する。言い換えると、本発明による方法は、オブジェクト空間から下流に、および/またはオブジェクト空間から上流に、および/またはオブジェクト空間内に延在し得る対象面の三次元再構成を実行する。
【0066】
本発明の第1の実施形態によれば、再構成格子のポイントはサンプリングポイントで構成され、再構成格子のポイントの非類似度は、対応するサンプリングポイントに関連付けられた画素によって対象面の画像上で取られる強度値間の分散の関数である。
【0067】
変形例として、再構成格子は規則格子であり、各再構成格子のポイントに関する、非類似度の値の計算ステップは:
-サンプリングポイントから、所定のしきい値より大きい距離だけ離れて配置された全ての再構成格子のポイントへの、同じ非類似度の値、所謂極値の帰属、
-再構成格子の他のポイントそれぞれにつき、再構成格子のこのポイントに関連付けられた各サンプリングポイントに関して、前記サンプリングポイントに関連付けられた画素によって対象面の画像上で取られる強度値と、非類似度を得るために計算されたいくつかの分散の組み合わせの間の分散の計算、
を含む。
【0068】
好ましくは、三次元再構成は、非類似度の値の最小累積値に関連付けられた一連の再構成格子のポイントを通過する、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内に位置する面の検索を実行する。
【0069】
三次元再構成は最小カットのアルゴリズムを実行できる。
【0070】
変形例として、三次元再構成は、光学素子のマトリクスの光学素子のサブセットを考慮してダイナミックプログラミングアルゴリズムを実行できる。
【0071】
サンプリングポイントの三次元座標の決定のステップおよび較正データの決定のステップは有利には以下のサブステップを含む:
-光学素子のマトリクスの光学素子と、この光学素子に関連付けられたマトリクス光学センサの画素の各カップルに関して、光学素子の光学的中心と画素の中心を繋ぐイメージレイの決定、
-こうして決定された各イメージレイに関して、入射光学系によってイメージレイに共役した対応するオブジェクトレイの計算、
-プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドに位置する少なくとも2つのオブジェクトレイ間の全ての交点の決定、これらの交点がサンプリングポイントを形成する、
-各サンプリングポイントについて、少なくとも2つの対応するオブジェクトレイを特定することによる較正データの決定、これらのオブジェクトレイ自体が少なくとも2つのイメージレイ、およびマトリクス光学センサの少なくとも2つの画素に関連付けられている。
【0072】
付加的にまたは変形例として、サンプリングポイントの三次元座標の決定と較正データの決定のステップは、有利には以下のサブステップを含む:
-プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドにおける光点の変位、
-光点の各位置に関して、サンプリングポイントを特定するために、マトリクス光学センサ上の少なくとも2つの照明された画素の存在または欠如の判断、
-こうして特定された各サンプリングポイントに関して、対応する少なくとも2つの組のマトリクス光学センサの画素を決定するために、少なくとも2つの照明された画素の特定。
【0073】
対象面の画像の取得ステップは、プレノプティックカメラによって行なわれてよく、プレノプティックカメラでは、
-光学素子のマトリクスの光学素子の光学的中心は、分布格子(distribution grid)に従って、この分布格子の第1系列の直線と第2系列の直線との交点に分布し、
-分布格子の第1系列線の線は不規則な間隔で分布している、および/または第2系列線の線は不規則な間隔で分布している。
【0074】
特に、対象面の画像の取得ステップは、分布格子の第1系列の線の2つの直接隣接する線間の距離が第1の平均値の95%から105%の間である、および/または、分布格子の第2系列の2つの直接隣接する線間の距離が、第1の平均値に等しくあり得る第2の平均値の95%から105%の間にあるプレノプティックカメラによって実行され得る。
【0075】
付加的にまたは変形例として、対象面の画像の取得ステップは、分布格子の第1系列の線の2つの直接隣接する線間の距離がランダムに分布している、および/または分布格子の第2系列の線の2つの直接隣接する線間の距離がランダムに分布しているプレノプティックカメラによって実行され得る。
【0076】
対象面の画像の取得ステップはプレノプティックカメラによって行なわれてよく、プレノプティックカメラでは、
-光学素子のマトリクスの光学素子の光学的中心が、分布格子に従って、この分布格子の第1系列の線と第2系列の線との交点に分散され、
-その分布格子が入射光学系による画像であるオブジェクト格子が、互いに平行な第1系列の直線と、互いに平行であり、第1系列線の線に交差する第2系列の直線によって構成され、
分布格子の第1系列の線と第2系列の線が複数の曲線を含む。
【0077】
有利な実施形態によれば、対象面の画像の取得ステップは、オブジェクト格子の第1系列線の線が不規則な間隔で分布しているおよび/またはオブジェクト格子の第2系列線の線が不規則な間隔で分布しているプレノプティックカメラによって行なわれる。
【0078】
本発明による方法は、プレノプティックカメラによる、対象面の複数の照明条件に関連付けられた、対象面のいくつかの画像の取得を含み得るものであり、各再構成格子のポイントと関連する非類似度が、同じサンプリングポイントに関連付けられた、また、いくつかの照明条件それぞれに関連付けられた分散を組み合わせることによって得られる。
【0079】
本発明は、プレノプティックカメラを備え、本発明による方法のステップを実行するように構成された三次元再構成装置にも関し、
-較正データを記憶するためのメモリと、
-サンプリングポイントの三次元座標ならびに較正データを決定し、プレノプティックカメラによって取得された画像および較正データを入力部で受け取り、各再構成格子のポイントに関して非類似度の値を計算し、それぞれが自身の非類似度の値を割り当てられた再構成格子のポイントの三次元分布を決定し、対象面の三次元再構成を出力部で提供するように構成された計算手段と、
を備える。
【0080】
本発明は、添付図面を参照した、純粋に提示のために提供され限定的ではない実施形態の記述からより明確に理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0081】
図1A】プレノプティックカメラの模式図である。
図1B】プレノプティックカメラの模式図である。
図1C】プレノプティックカメラの模式図である。
図2】本発明によるサンプリングポイントの模式図である。
図3】本発明によるサンプリングポイントの詳細図である。
図4】本発明による方法のステップの模式図である。
図5A】本発明による方法で用いられる光学素子のマトリクスの第1の実施形態を示す図である。
図5B】プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドにおけるサンプリングポイントの対応する分布の図である。
図6A】本発明による方法で用いられる光学素子のマトリクスの第2の実施形態を示す図である。
図6B】プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドにおけるサンプリングポイントの対応する分布の図である。
図7A】本発明による方法で用いられる光学素子のマトリクスの第3の実施形態を示す図である。
図7B】本発明による方法で用いられる光学素子のマトリクスの第3の実施形態を示す図である。
図8】本発明による方法で用いられる光学素子のマトリクスの第4の実施形態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0082】
本発明の基礎となる概念は、マトリクス光学センサの画素のスケールに作用することからなり、もはやマクロ画素のスケールには作用することにはない。
【0083】
図2はプレノプティックカメラ100を模式的に示す。
【0084】
各光学素子121に、マクロ画素131と、この光学素子121の光学的中心を通る直線で拡散する複数のイメージレイR’が対応する。
【0085】
各イメージレイR’は入射光学系110の画像空間内で、直線状に拡散して、光学素子121の光学的中心を通過し、対応するマクロ画素131の画素の中心pを通過する。
【0086】
入射光学系110の画像空間は、対象面から入射光学系への光の伝播方向に従って、入射光学系から下流に配置された空間を規定する。
【0087】
光学素子121がピンホールである場合、光学的中心は、ピンホールを形成するホールの幾何学的中心を指す。
【0088】
光学素子121がマイクロレンズである場合、光学的中心はマイクロレンズの光軸に位置し、このポイントでの光線入射がこのマイクロレンズによって外れないように、マイクロレンズのポイントに対応する。
【0089】
各イメージレイR’には、入射光学系110のオブジェクト空間に位置する、入射光学系110によってイメージレイR’から共役されたオブジェクトレイRが対応する。
【0090】
入射光学系110のオブジェクト空間は、対象面から入射光学系への光の伝播方向に従って、入射光学系から上流に配置された空間を規定する。
【0091】
マトリクス120の全光学素子121に関連付けられたオブジェクトレイRの組は、入射光学系110のオブジェクト空間に位置する多数の交点pを画定する。
【0092】
これらの交点Pが、入射光学系110のオブジェクト空間のサンプリングポイント、より特定的にはプレノプティックカメラのオブジェクトフィールドのサンプリングポイントを形成する。
【0093】
プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドは、その視野を規定し、それは、入射光学系から上流に位置する空間であり、プレノプティックカメラによってイメージングされ得る空間である。
【0094】
交点pはマトリクス光学センサ上でイメージングされたポイントに対応するため、それらはプレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内に位置している。
【0095】
各サンプリングポイントPは、少なくとも2つのオブジェクトレイRに関連付けられ、したがって、イメージレイR’およびマトリクス光学センサの対応する画素pに関連付けられている。
【0096】
本発明の基礎となる概念は、プレノプティックカメラについて、特にこれらの全サンプリングポイントを箇条書きにし(itemizing)、また、これらのサンプリングポイントそれぞれについて、少なくとも2つの関連するマトリクス光学センサの画素を箇条書きにすることからなる。
【0097】
次に、プレノプティックカメラによって取得された画像上の所定の画素を比較することは、どのサンプリングポイント付近が対象面を通るかということを特に示し得る。
【0098】
これらのサンプリングポイントPの三次元座標の決定、また、これらの各ポイントに関する、関連する画素pの決定が、プレノプティックカメラ100の較正の予備的ステップで実行される。
【0099】
実際、これらのデータはプレノプティックカメラ100の光学的および幾何学的特性の関数である。
【0100】
この較正は、光学素子のマトリクスとマトリクス光学センサの幾何形状から全てのイメージレイR’を計算し、次に、全ての対応するオブジェクトレイRを、また最終的に、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドにおけるオブジェクトレイ間の全ての交点を計算することによって達成され得る。
【0101】
第1のステップで、オブジェクトレイ間の交点の三次元座標が、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内で決定され、これらの交点はサンプリングポイントPを形成している。
【0102】
第2のステップで、各サンプリングポイントPは少なくとも2つの対応するマトリクス光学センサ130の画素と関連付けられる。それぞれが少なくとも2つの対応するマトリクス光学センサ130の画素に関連付けられたサンプリングポイントPによって形成される組が較正データを形成する。
【0103】
付加的にまたは変形例として、これらの較正データはプレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内の光点をシフトすることによって得られる。
【0104】
光点の位置は、マトリクス光学センサの少なくとも2つの画素が照明されるように特定される。これらのポイントがサンプリングポイントPを形成する。
【0105】
このようにして決定された各サンプリングポイントに関して、対応するマトリクス光学センサの画素が、光点のこの位置に関連付けられた照明された画素である。マトリクス光学センサの少なくとも2つの画素は、各サンプリングポイントに関連付けられて較正データを形成する。
【0106】
実際には、プレノプティックカメラ100の光軸に対して垂直にスクリーンが配置されてよく、光軸に沿ったスクリーンの異なる位置に関して選択的にスクリーンの各画素を代わる代わるオンにしてよい。
【0107】
値が所定のしきい値(最も明るく照明された)より大きい2つ以上の画素が、スクリーンの各画素およびスクリーンの各位置に関して決定される。
【0108】
スクリーンの異なる位置は、プレノプティックカメラ100にとって望ましい分解能より低いピッチで間隔を空けている。
【0109】
プレノプティックカメラによって形成された実システムの不完全性は、較正を考慮され得る。オブジェクトレイRの計算から得られた較正データの粗測定は、こうして再定義され得る。
【0110】
図3は、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドに位置する、本発明によるサンプリングポイントPを詳細図で示す。
【0111】
4つのオブジェクトレイの交点にあり、したがって4つのマトリクス光学センサの画素に関連するサンプリングポイントPと、2つのオブジェクトレイの交点にあり、したがって2つのマトリクス光学センサの画素に関連するサンプリングポイントPj+1が特に示されている。
【0112】
ここで図4を参照して、本発明による方法のステップを説明する。
【0113】
方法を、フローチャートと、プレノプティックカメラの一連の模式図で示す。
【0114】
図4には、サンプリングポイントの座標の決定と較正データの予備的決定については示していない。
【0115】
いずれも、対象面の再構築に次いで用いられる、示された再構成格子の定義の決定のステップではない。
【0116】
図4に図示された例では、また、説明を単純にするために、再構成格子のポイントがサンプリングポイント自体によって構築される特定の事例が詳述される。
【0117】
第1のステップ401において、対象面200の画像がプレノプティックカメラ100によって取得され、対象面200はこのカメラのオブジェクトフィールド内に位置している。
【0118】
対象面200とプレノプティックカメラ100は右側に示されており、前記カメラ100に関連するサンプリングポイントの一連の構成光線も右側に示されている。
【0119】
プレノプティックカメラ100は、上記で規定し以前に決定されたような較正データと関連付けられている。
【0120】
これらの較正データは、各サンプリングポイントPをプレノプティックカメラのマトリクス光学センサの少なくとも2つの画素に関連付けさせる。
【0121】
特に、各サンプリングポイントPは、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内の三次元座標によって定義される。
【0122】
第2のステップ402において、各再構成格子のポイントに関して、つまり、各サンプリングポイントPに関して非類似度Cの値が計算される。
【0123】
この計算は、ステップ401で、プレノプティックカメラの較正データによって、また、取得された画像の較正データによって実行される。
【0124】
非類似度Cは、ここでは単一のサンプリングポイントPに相対する指数であり、その値は、このサンプリングポイントに関連するマトリクス光学センサの画素によって取られる強度値間の分散に依存する。
【0125】
例えば、1つのサンプリングポイントPに2つのみの画素が関連する場合、非類似度Cは、これら2つの画素によって取られる強度値の間の絶対値での差であってよく、あるいは、この差の別の関数(例えば差の二乗)または強度値のカップルの別の関数であってよい。
【0126】
変形例として、3つ以上の画素に関連するサンプリングポイントに関して、非類似度Cは、これら3つの画素によって取られる強度値と、これらの強度値の平均との平均二乗偏差であってよい。変形例として、これは、これらの画素によって取られる強度値と、これらの強度値の平均との、絶対値での差の別の関数であってよく、または、強度値のこの組の別の関数であってよい。
【0127】
いずれの場合にも、再構成格子のポイントの非類似度Cの値は、各関連するサンプリングポイントに関して、対応する画素の強度値が近いため全て低くなる。
【0128】
ここで、サンプリングポイントに等しい再構成格子のポイントの非類似度Cの値は、対応する画素の強度値が近いため全て低くなる。
【0129】
画素によって取られる強度値は好ましくはグレースケールである。
【0130】
これは、8ビットの画像を符号化するために、0から255以内にある値である。
【0131】
理想的な条件では、特に対象面がランベルト源を形成する場合、サンプリングポイントPが対象面に属する場合、対応する画素の値は等しくなる。
【0132】
実際には、これらの値は必ずしも等しくなくてよいが、サンプリングポイントPが対象面に属していなかった場合より近くなる。
【0133】
サンプリングポイントが対象面のポイントに近いほど、対応する画素の強度値が近くなる。
【0134】
したがって、非類似度によって取られる値は、対応する再構成格子のポイントが対象面200に属するという可能性を指しているということは明白である。非類似度は、この可能性の推定の関数として考慮され得る。
【0135】
ステップ402が完了すると、ここではサンプリングポイントと結合している、再構成格子のポイントとそれぞれ関連付けられた一連の非類似度Cの値が存在する。
【0136】
ステップ403において、再構成格子のポイントの三次元分布が構築され、ここでは、非類似度Cの対応する値をそれぞれ割り当てられたサンプリングポイントPが構築される。
【0137】
この三次元分布は右側に示されている。
【0138】
言い換えると、これは非類似度Cの値の三次元分布であり、各値は、再構成格子のポイントの三次元座標、ここではサンプリングポイントPに関連付けられている。
【0139】
ステップ404において、この分布を用いて対象面の三次元再構成を実行する。
【0140】
言い換えると、対象面200の三次元座標の推定200’が提供される。
【0141】
このステップ再構成は、非類似度の値が、対応する再構成格子のポイントが対象面200に属しているか否かの可能性を示唆しているという事実を利用する。
【0142】
三次元再構成は、非類似度指数Cおよび関連する三次元座標を用いて最適化アルゴリズムを実行する。
【0143】
一般的概念は、対象面に属するという高い可能性に関連するサンプリングポイントの付近を通り、また、対象面に属するという低い可能性に関連するサンプリングポイントからは距離を置いて通過する面を探すということである。
【0144】
好ましくは、非類似度指数Cの値の三次元分布は、最適化アルゴリズムのコスト関数を形成する。
【0145】
特に、ステップ404において、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドをカバーし、非類似度指数の最小累積値に関連する面が探索される。
【0146】
三次元再構成は、非類似度指数Cおよび関連する三次元座標によって、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内に規定されるコストの関数を最小にすることを目指して、最小カットタイプの最適化アルゴリズムを実行できる。
【0147】
そのようなアルゴリズムは高精度の三次元再構成を提供する。
【0148】
変形例として、三次元再構成はダイナミックプログラミングタイプの最適化アルゴリズムを実行できる。
【0149】
そのようなアルゴリズムは非常に速い計算を提供する。
【0150】
そのようなアルゴリズムは、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドの最適化を、各部分が光学素子121の選択に関連する、光学素子のサブセットと呼ばれる、このオブジェクトフィールドを形成するいくつかの部分における最適化の組み合わせとして考慮することからなる。
【0151】
特に、光学素子の光学的中心は分布格子に従って、この分布格子の第1系列の線と第2系列の線の交点のところで分布し、サブセットは、第1系列の同じ線、対応して第2系列の線に関連付けられた光学素子に対応する。
【0152】
例えば、光学素子のマトリクスの光学素子は行と列に配置され、光学素子の各行、対応して各列に関連付けられたオブジェクトフィールドの部分は別個に考慮される。
【0153】
三次元再構成は、対象面に関する仮説を利用できる。
【0154】
例えば、対象面200は平滑面であると仮定される。
【0155】
付加的にまたは変形例として、対象面200は接続面であると仮定される。
【0156】
本発明による方法は、光学素子のマトリクスの分解能に限定されずに、高分解能三次元再構成を実行する。
【0157】
得られる分解能は典型的に10μm程度であり、それに対し光学素子のピッチは1mmまたは両方の間の比100である。
【0158】
さらに、本発明による方法は、オブジェクトフィールドの同じポイントに関連するいくつかの画素の、プレノプティックカメラによって取得された画像上の識別に付随する困難によって制限されない。
【0159】
実際、画像から開始する代わりに、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドの同じポイントに関連する画素を探索し、オブジェクトレイ間の対応する交点を三角測量で計算し、その始点は、オブジェクトフィールドの同じポイントに関連するとわかっている画素の組から直接由来する。
【0160】
本発明による方法は、対象面の同じポイントから出る光線の交点への調査に基づくという点において、立体視に近い原理を実行すると考えられうる。しかし、本発明による方法は、2つの異なるサイトに配置した2つの従来型カメラを用いないということにおいて、この分野とは基本的に異なっている。従来型カメラでは、光学素子のマトリクスはない。
【0161】
本発明は、図示しない三次元再構成装置にも関し、三次元再構成装置は、
-対象面200の画像の取得のためのプレノプティックカメラ100と、
-前記プレノプティックカメラにリンクした較正データを受け取り、必要に応じ、再構成格子の定義データを受け取るメモリと、
-プレノプティックカメラによって入力部で取得された画像ならびに較正データを受け取り、必要に応じて再構成格子に関するデータを受け取り、出力部で対象面の三次元再構成を供給する計算手段と、を備える。
【0162】
計算手段は特にプロセッサを備え、上記で説明したようなステップ402、403および404を実行するように構成される。
【0163】
計算手段はさらに、サンプリングポイントの座標と、プレノプティックカメラに関連する較正データを決定して、次にそれらをメモリに記憶するように構成される。
【0164】
次に、再構成格子のポイントが、例えば立体的噛み合い(cubic meshing)に従って空間内に規則的に分布している本発明の変形例について説明する。
【0165】
したがってそれらはサンプリングポイントPとは異なる。したがって、再構成格子のポイントと関連付けられた非類似度の値は、この再構成格子のポイントの隣接するサンプリングポイントPと関連付けられた、上記で説明したような分散の組み合わせである。
【0166】
このように、ここでも、非類似度によって取られる値は、対応する再構成格子のポイントが対象面に属するという可能性に関連する。
【0167】
有利には、分散は、各サンプリングポイントPに関して、上記に記載したように計算され、次に再構成格子のポイントの非類似度の値が、各サンプリングポイントPに関連する、オブジェクトフィールド内のこれらのサンプリングポイントの位置の関数としての分散値の挿置によって決定される。
【0168】
これらの分散値の任意の他の組み合わせも可能であり得る。
【0169】
隣接するサンプリングポイントの分散の貢献は例えば、関連する再構成格子のポイントからのその距離の逆数によって加重され得る。
【0170】
各再構成格子のポイントに関する非類似度は、サンプリングポイントPそれぞれの分散の個々の計算のステップを正式にしなくても直接計算され得る。
【0171】
こうして得られた見込み指数値の三次元分布が、上記で説明したように対象面の三次元再構成を生成する。
【0172】
最も近いサンプリングポイントからの最大距離、所謂しきい値が決定され得る。
【0173】
このしきい値を超える、最も近いサンプリングポイントからの距離のところに位置する全ての再構成格子のポイントが特定される。
【0174】
これら全てのポイントに、非類似度Cの同じ値が割り当てられる。
【0175】
再構成格子のポイントの非類似度の最大値がこうして決定される。
【0176】
これは、サンプリングポイントPに関連する分散の最大値より大きい値であり得る。
【0177】
本発明による方法によって得られた結果を調整するために、対象面は異なるタイプの照明で相次いで、プレノプティックカメラ100によって異なる画像が取得される度に照明されることができる。
【0178】
照明のタイプは、照明の光強度によって、光源の位置によって、テクスチャーによって異なり得る(テクスチャーは、方向に従って異なる強度を放射する単一の光源から投影されても、または、異なる光強度で放射するいくつかの光源から投影されてもよい)。
【0179】
プレノプティックカメラはこの一連の取得中に対象面に対して固定された状態を保つ。
【0180】
各再構成格子のポイントに関して非類似度が計算され、それはこの時点で、いくつかの画像から生じた情報を組み合わせる。
【0181】
特に、サンプリングポイントに関連する分散は、この同じサンプリングポイントに関連する分散と、取得された画像のうち1つからそれぞれ計算された分散との組み合わせと置換される。
【0182】
分散の組み合わせは例えば、いくつかの取得された画像上で得られた分散の、例えば平均または別の関数である。
【0183】
図5Aおよび5Bはそれぞれ、本発明による方法で用いられるプレノプティックカメラの光学素子のマトリクス120の第1の実施形態と、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドにおけるサンプリングポイントPの対応する分布を示す。
【0184】
光学素子の光学的中心221は第1系列の直線(ここでは縦線)と、第1系列の直線と交差する(好ましくは垂直に)第2系列の直線(ここでは横線)の間の交点において、分布格子540(点線で示す)に従って分散している。
【0185】
ここで、第1系列の線の線は反復ピッチMに従って規則的に分布しており、第2系列の線の線は反復ピッチM(任意選択的にMと等しい)に従って規則的に分布している。
【0186】
言い換えると、光学素子は行と列で分布しており、2つの隣接する行、対応して2つの隣接する列を分離する距離は、光学素子のマトリクスを通して同じである。
【0187】
オブジェクトフィールド内のサンプリングポイントの分散は、図3で示したものと同じタイプである。
【0188】
多くの多重交点が存在する。
【0189】
多重交点付近に、非常に少ないサンプリングポイントを受けるプレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内の領域があり、これらの領域内における対象面の三次元再構成の品質を制限している。
【0190】
図6Aおよび図6Bはそれぞれ、本発明による方法で用いられるプレノプティックカメラの光学素子のマトリクス220の第2の実施形態と、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドにおけるサンプリングポイントPの対応する分布を示す。
【0191】
光学素子221の光学的中心は、上記で説明したように、分布格子640に従って分散している。
【0192】
ここで、分布格子の第1系列線の線641は不規則に分布している。
【0193】
これは、より詳細には、第1の平均値周辺且つ第1の所定間隔内のランダムな分散であり得る。
【0194】
第1の平均値は、2つの直接隣接する線641間の距離の平均値である。
【0195】
値のランダムな分散は、ランダムの対象になる値の分散を指す。
【0196】
例えば、第1の間隔の低いほうの端は前記第1の平均値の95%であり、第1の間隔の高いほうの端は前記第1の平均値の105%である。
【0197】
変形例として、低いほうの端は前記第1の平均値の90%であり、高いほうの端は前記第1の平均値の110%である。
【0198】
同様に、分布格子の第2系列線の線642は不規則に分布している。
【0199】
2つの直接隣接する線642間の距離値は、第2の平均値周辺且つ第2の所定間隔内にランダムに分布している。
【0200】
第2の間隔の低いほうの端と高いほうの端は、第1の間隔と同じ方式で定義される。
【0201】
第2の平均値は、2つの直接隣接する線642間の距離の平均値である。
【0202】
第1の平均値と第2の平均値は等しくてよい。
【0203】
言い換えると、光学素子は行と列に配置され、2つの隣接する行、それぞれ2つの隣接する列を隔てる距離は不規則である。この距離は、隣接する行の少なくとも2つの対の、隣接する列のそれぞれ少なくとも2つの対に関して別個である。
【0204】
図6Bに、オブジェクトフィールドにおけるサンプリングポイントの分布が示されている。
【0205】
このサンプリングポイントは、図5Bにおけるよりも均一に分布している。
【0206】
結果として、対象面がこの領域にある場合、三次元再構成の品質を制限するプレノプティックカメラのオブジェクトフィールド内の領域は存在しない。
【0207】
したがって不規則性は、プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドの任意のポイントと、最も近いサンプリングポイントとの間の最大距離を最小化する。
【0208】
この実施形態は、サンプリングポイントの均一な分布を有することが有利である本発明への、仏国特許出願公開第1558338号の基本概念の巧妙な適用に対応する。
【0209】
図5Aと6Aの実施形態を組み合わせてもよく、ある系列線の線は均一に分布し、他の系列線の線は不均一に分布してよい。
【0210】
図7Aおよび7Bは、本発明による方法によって用いられるプレノプティックカメラの光学素子のマトリクス320の第3の実施形態を示す。
【0211】
この実施形態によれば、プレノプティックカメラの入射光学系110は、光学的歪み収差を示す。
【0212】
上記に規定したような分布格子740はこの場合、第1系列の直線751(ここでは縦線)と第2系列の直線752(ここでは横線)によって構成されるオブジェクト格子750の、入射光学系110による画像である。
【0213】
分布格子740は入射光学系の歪みによって変形する。各連の線はここでは、たる形歪曲に典型的な、中心直線の両側が曲線で包囲されたものから形成される。
【0214】
この分布格子740は、入射光学系によって示される歪み収差がプレノプティックカメラのオブジェクトフィールドのサンプリングポイントの数を減少させないことを可能にする。
【0215】
本発明はそのような歪みに限定されず、入射光学系は、糸巻形歪みか、または、たる形歪みと糸巻き形歪みの組み合わせを示してよい。
【0216】
ここで、用語「格子」は、第1系列の横線と第2系列の縦線によって形成される正方形または長方形の格子に限定されない。
【0217】
本発明によれば、分布格子740は特に、変形した正方形または長方形の格子を指し得る。この場合、分布格子は交差しない第1系列線と、交差しない第2系列線から形成される。第1系列線の各線は、第2系列線の全ての線と交差する。第1および/または第2系列線の線は曲線である。
【0218】
図7Aに、入射光学系110から上流のオブジェクト空間が、第1の視野角による斜視図で示され、また、入射光学系110から下流の画像空間が、第2の視野角による斜視図で示されている。
【0219】
図7Bに、この第3の実施形態による光学素子321のマトリクス320が正面図で示されている。
【0220】
図8は、本発明による方法で用いられるプレノプティックカメラの光学素子のマトリクスの第4の実施形態を示す。
【0221】
この実施形態は、図6A,6Bおよび7A,7Bの実施形態の組み合わせである。
【0222】
特に、分布格子840は、歪みを示す入射光学系によるオブジェクト格子の画像である。
【0223】
オブジェクト格子は第1系列の直線と第2系列の直線から形成される。
【0224】
オブジェクト格子の第1系列線の2つの直接隣接する線間の距離は不規則に分布している、および/またはオブジェクト格子の第2系列線の2つの直接隣接する線間の距離は不規則に分布している。
【0225】
好ましくは、不規則な分散はランダムである。
【0226】
オブジェクト格子の第1系列の線の2つの直接隣接する線間の距離は有利には第1の平均値の95%から105%の間である、および/または、オブジェクト格子の第2系列の線の2つの直接隣接する線間の距離は有利には、第1の平均値に等しくあり得る第2の平均値の95%から105%の間である。
【0227】
図示しない別の変形例によれば、本発明による方法で用いられるプレノプティックカメラは、第1の光学素子のマトリクスと、第1のマトリクスと共面の第2の光学素子のマトリクスを備えている。光学素子の第1と第2のマトリクスは互いに光学的にオフセットしている。
【0228】
これら2つのマトリクスそれぞれにおいて、光学素子の光学的中心は、上記で詳述した例のうちいずれかまたは他に従って分布してよい。
【0229】
プレノプティックカメラのオブジェクトフィールドのサンプリングポイントの個数をさらに増幅するために、ダイナミックサンプリングが実行されてよい。
【0230】
言い換えると、オブジェクト空間のサンプリングの総数が増加するように、プレノプティックカメラの時間または空間多重化が、オブジェクト空間の異なる一連のサンプリングポイントと関連付けられた異なる方式に従って実行される。
【0231】
例えば、面π’内の光学素子の変位を、他の光学素子の位置と別個に制御するために、各光学素子は、アクチュエータに接続されたモバイル支持体に搭載されてよい。
【0232】
光学素子は、異なる分布格子に従って連続的に配置するためにシフトされてよい。オブジェクト空間の或るサンプリングは各分布格子に対応する。オブジェクト空間のより密なサンプリングが最終的にこうして実行される。
【0233】
変形例として、マトリクス光学センサの面における変位を制御するために、光学素子のマトリクスは固定状態にされ、マトリクス光学センサは、アクチュエータに接続されたモバイル支持体に搭載されてよい。
【0234】
変形例として、異なる光学素子に関連するマクロ画素が部分的に重複する。こうして同じ画素がいくつかの光学素子に対応し得る。
【0235】
各瞬間に画素が単一の光学素子のみに対応するように、光が光学素子のほうに拡散するのを遮断または通すために、光学素子のマトリクスから上流に液晶スクリーンなどの制御可能なシャッターのアレイが配置される。
【0236】
ネットワークシャッターの複数の状態が定義される。オブジェクト空間の異なる一連のサンプリングポイントが各状態に対応する。シャッターのアレイの状態を経時的に変化させると、最終的にオブジェクト空間のより高密度のサンプリングを生成する。
【0237】
別の変形例によれば、プレノプティックカメラは、同面に並置されたまたはインターロックされた、それぞれ異なる波長専用の光学素子の少なくとも2つのマトリクスを備える。
【0238】
各光学素子から上流に、各光学素子を特に1つの波長の検出に関連付け、前記光学素子のいくつかのマトリクスを定義するための帯域フィルタがある。
【0239】
オブジェクト空間の異なるサンプリングは各光学素子のマトリクスに対応する。動作時、オブジェクトはいくつかの波長によって逐次照明される。
【符号の説明】
【0240】
100 プレノプティックカメラ
110 入射光学系
120,220,330,420 光学素子のマトリクス
121,221,321,421 光学素子
130 マトリクス光学センサ
131 マクロ画素
200 対象面
640 分布格子
641 第1系列の直線
642 第2系列の直線
非類似度
画素の中心
オブジェクトレイ
R’ イメージレイ
交点、サンプリングポイント
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8