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特許7086865口腔ケア器具用のヘッド及び口腔ケア器具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】口腔ケア器具用のヘッド及び口腔ケア器具
(51)【国際特許分類】
   A46B 9/06 20060101AFI20220613BHJP
   A46B 9/04 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A46B9/06
A46B9/04
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018562922
(86)(22)【出願日】2017-05-31
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-06-24
(86)【国際出願番号】 US2017035188
(87)【国際公開番号】W WO2017210282
(87)【国際公開日】2017-12-07
【審査請求日】2019-01-24
【審判番号】
【審判請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】16172799.5
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16172798.7
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16172797.9
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16177336.1
(32)【優先日】2016-06-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100150717
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 和也
(72)【発明者】
【氏名】ウベ、ユングニッケル
(72)【発明者】
【氏名】イェンス、アリンスキー
(72)【発明者】
【氏名】スベン、アレクサンダー、フランケ
(72)【発明者】
【氏名】カレン、リン、クレア-ジメット
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】佐々木 正章
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/010945(WO,A1)
【文献】特開2015-123245(JP,A)
【文献】特表2005-526555(JP,A)
【文献】特表2000-516822(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0257520(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A46B 9/06 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔ケア器具(10)用のヘッド(14)であって、前記ヘッド(14)が外側周縁部(98)及び内側部分(100)を有し、前記ヘッド(14)が少なくとも1つの第1のタイプのフィラメントの毛束(96)、及び少なくとも1つの第2のタイプのフィラメントの毛束(16、66)を備え、
前記少なくとも1つの第1のタイプの毛束(96)が前記ヘッド(14)の前記内側部分(100)に配置され、複数のフィラメント(74)を備え、各フィラメント(74)が、長手方向軸線と、前記長手方向軸線に対して実質的に垂直な平面にて延在する、実質的に円形形状の断面領域(102)と、を有し、
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)が前記ヘッド(14)の前記外側周縁部(98)に配置され、複数のフィラメント(20、68)を備え、各フィラメント(20、68)が、長手方向軸線と、前記長手方向軸線に対して実質的に垂直な平面にて延在する実質的に十字形状の断面領域(22)と、を有し、前記十字形状の断面領域(22)が4つの突起部(24)及び4つのチャネル(26)を有し、前記突起部(24)及びチャネル(26)が交互に配置され、
前記少なくとも1つの前記第2のタイプのフィラメントの毛束(16、66)が、40%~55%の範囲内の詰込み率を有し、
複数の前記第1のタイプの毛束(96)が、前記ヘッド(14)の前記内側部分(100)における列に配置され、複数の前記第2のタイプの毛束(16、66)が、前記ヘッド(14)の前記外側周縁部(98)における列に配置され、
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)の前記フィラメント(20、68)の各チャネル(26)が、隣接する突起部(24)の側方外側縁の間に位置する凹状の湾曲部(34)を有し、前記凹状の湾曲部(34)が、前記チャネル(26)の底部における前記凹状の湾曲部(34)の曲率半径である半径(30)を有し、前記チャネル(26)の前記凹状の湾曲部(34)の前記半径(30)が0.025mm~0.10mmの範囲内である、口腔ケア器具(10)用のヘッド(14)。
【請求項2】
前記詰込み率が45%~50%の範囲内である、請求項1に記載のヘッド(14)。
【請求項3】
前記チャネル(26)の前記凹状の湾曲部(34)の前記半径(30)が、0.03mm~0.08mmの範囲内である、請求項1又は2に記載のヘッド(14)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)の各フィラメント(20、68)の前記断面領域(22)が、0.15mm~0.40mmの範囲内の外径(28)を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載のヘッド(14)。
【請求項5】
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)の各フィラメント(20、68)の前記断面領域(22)が外径(28)を有し、前記チャネル(26)の前記凹状の湾曲部(34)の前記半径(30)に対する、前記外径(28)の比率が、2.5~12の範囲内である、請求項1~4のいずれか一項に記載のヘッド(14)。
【請求項6】
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)の前記フィラメント(20、68)の前記断面領域(22)の各突起部(24)の端が丸められており、それにより湾曲部を形成し、前記湾曲部が、前記突起部(24)の2つの対向する外側縁(44)と丸められた前記端との接続点における幅として定義される直径(42)を有し、前記突起部(24)の前記湾曲部の前記直径(42)が、0.01mm~0.04mmの範囲内にある、請求項1~5のいずれか一項に記載のヘッド(14)。
【請求項7】
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)のフィラメント(20、68)の前記断面領域(22)の各突起部(24)の端が丸められており、それにより湾曲部を形成し、前記湾曲部が、前記突起部(24)の2つの対向する外側縁(44)と丸められた前記端との接続点における幅として定義される直径(42)を有し、前記チャネル(26)の前記湾曲部(34)の前記半径(30)に対する、前記突起部(24)の前記湾曲部の前記直径(42)の比率が、0.2~1.5である、請求項1~6のいずれか一項に記載のヘッド(14)。
【請求項8】
前記チャネル(26)の前記湾曲部(34)の前記半径(30)に対する、前記突起部(24)の前記湾曲部の前記直径(42)の前記比率が、0.3~1.0である、請求項7に記載のヘッド(14)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)の各フィラメント(20、68)の前記十字形状の断面領域(22)の各突起部(24)が、外向き方向にて先細になっている、請求項1~8のいずれか一項に記載のヘッド(14)。
【請求項10】
各突起部24が、6°~25°の範囲で画定された角度で、外向き方向にて先細になっている、請求項9に記載のヘッド(14)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの前記第2のタイプの毛束(16、66)の各フィラメント(20、68)が、その長手方向軸線に沿って延びる本体部分及び先細部分を備え、前記先細部分が、前記本体部分に対して前記フィラメントの自由端の側に位置し、前記自由端に向かって先細になり、前記本体部分が、前記断面領域(22)を有する、請求項1~10のいずれか一項に記載のヘッド(14)。
【請求項12】
前記第2のタイプの前記毛束(16、66)が、長手方向軸線と、前記長手方向軸線に対して垂直である平面にて延在する断面領域と、を有し、前記第2のタイプの前記毛束(16、66)の全体の前記断面領域が実質的に十字形状を有する様式にて、前記複数のフィラメント(20、68)が配置される、請求項1~11のいずれか一項に記載のヘッド(14)。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載のヘッド(14)を備える、口腔ケア器具(10)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、口腔ケア器具用のヘッドに関わり、当該ヘッドは、少なくとも1つの第1のタイプの毛束、及び少なくとも1つの第2のタイプの毛束を備える。第1のタイプの毛束は、実質的に円形の断面領域を有する複数のフィラメントを備え、ヘッドの内側部分に配置され、第2のタイプの毛束は、十字形状の断面領域を有する複数のフィラメントを備え、ヘッドの外側周縁部に配置される。本開示は更に、このようなヘッドを備える口腔ケア器具に関する。
【背景技術】
【0002】
手動式又は電動式歯ブラシのような口腔ケア器具用の、複数の繊維で構成される毛束は、当該技術分野において周知のものである。一般的に、こうした毛束は、使用者の口腔内に挿入されることを意図したヘッドの剛毛支持部に取り付けられている。通常は、ヘッドに把持部ハンドルが取り付けられ、歯磨きの際にはこのハンドルが使用者により握られる。ヘッドはハンドルに永久的に連結されている、又はハンドルに繰り返し着脱可能となっている。
【0003】
歯を効果的に清掃するために、フィラメントの自由端と歯との間に適切な接触圧力が与えられなければならない。一般的に、単一のフィラメントの曲げ剛性がその長さ及び断面積に依存する一方で、接触圧力はフィラメントの曲げ剛性及び変位に依存する。通常、より長いフィラメントは、より短いフィラメントと比較して、より低い曲げ剛性を示す。しかし、比較的薄いフィラメントは、容易に屈曲して離れてしまう傾向にあり、また比較的低い曲げ剛性は、歯の表面における歯垢除去の効率性を減少させ、加えて、歯間貫入特性及び洗浄性能を低下させる。より長いフィラメントの曲げ剛性の低下を補償するために、フィラメントの断面積の寸法を増大させることができる。しかし、比較的太いフィラメントは、不快な歯磨き感覚を生じさせる場合があり、また口腔内の歯茎を傷つけやすい。なお、より太いフィラメントは低い曲げ回復性を示す場合があり、比較的短期間の使用後に、前記フィラメントの使用による毛束パターンの使い古した印象が生じる場合がある。
【0004】
更に、非円形断面領域、例えば多角形の、又は十字形状の断面領域をもたらす、それらの長さ延在部分に沿った輪郭を有するフィラメントが、当該技術分野において周知である。このようなフィラメントは、通常の使用中、口腔ケア器具の洗浄特性を向上させ得る。特に、輪郭づけられた端部は、歯磨きプロセス中により頑丈な摩擦作用を提供して、歯垢及び歯の表面上の残留物の除去を向上させるべきである。
【0005】
従来のタイプの毛束を備える歯ブラシは、歯の外側の頬側面を適切に洗浄する一方で、これらは、一般的に、歯間空隙内への貫入が依然として比較的困難な故に、隣接歯間領域並びにその他の到達しづらい口腔領域からの歯垢並びに残骸の適切な除去には、同様に適していない。特に、これらは、通常、歯垢が成長を開始する歯茎縁を十分に洗浄するには、良好に適していない。したがって、口腔の健康状態を得て良好に保つために、また歯茎炎を防止するために、歯茎線に沿って洗浄することが重要であり、また特に、歯と歯周組織との間の間隙、いわゆる歯茎溝を洗浄することが重要である。歯茎溝における歯垢の良好な除去の欠如は、歯肉炎、即ち歯茎組織の炎症を引き起こし得る、ということが知られている。なお、標準的な毛束は、歯磨き中に、歯及び歯茎の表面から歯垢及び残骸を除去するのに十分な毛管効果を提供しない。しかし、良好な洗浄結果を得るために、毛束/フィラメントにより歯垢に到達しなければならず、次に、歯垢を破壊し、かつ最終的に歯垢を取り除かなければならない。更に、毛束は、歯磨き中に、歯茎において良好な感覚的感触を提供し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本開示の目的は、前述の欠点のうち少なくとも1つを克服する、口腔ケア器具ためのヘッドを提供することである。このようなヘッドを備える口腔ケア器具を提供することもまた、本開示の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一態様によれば、口腔ケア器具用のヘッドが提供され、当該ヘッドは外側周縁部及び内側部分を有し、当該ヘッドは、少なくとも1つの第1のタイプのフィラメントの毛束及び少なくとも1つの第2のタイプのフィラメントの毛束を備え、少なくとも1つの第1のタイプの毛束はヘッドの内側部分に配置され、複数のフィラメントを備え、各フィラメントは、長手方向軸線と、当該長手方向軸線に対して実質的に垂直な平面にて延在する、実質的に円形の断面領域と、を有し、少なくとも1つの第2のタイプの手束はヘッドの外側周縁部に配置され、複数のフィラメントを備え、各フィラメントは長手方向軸線と、当該長手方向軸線に対して実質的に垂直な平面にて延在する、実質的に十字形状の断面領域と、を有し、当該十字形状の断面領域は4つの突起部及び4つのチャネルを有し、当該突起部及びチャネルは交互に配置され、少なくとも1つの第2のタイプのフィラメントの毛束は、約40%~約55%の範囲内の詰込み率を有する。
【0008】
一態様によれば、このようなヘッドを備えた口腔ケア器具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明を、種々の実施形態及び図面に関して、以下により詳細に記載する。
図1】本開示によるヘッドを備える口腔ケア器具の概略透視図を示す。
図2図1に示すような、第2のタイプの毛束の1つのフィラメントの、概略断面図を示す。
図3】現況技術によるフィラメントの、概略断面図を示す。
図4】第2のタイプの毛束の代表的実施形態の、概略断面図を示す。
図5】第1の代表的比較実施形態による毛束の、概略断面図を示す。
図6】第2の代表的比較実施形態による毛束の、概略断面図を示す。
図7図2によるフィラメントを備える毛束の歯磨きの結果を、2つの代表的比較実施形態による毛束の歯磨き結果と比較した図を示す。
図8図2によるフィラメントを備える毛束の「スラリー取り込み質量」を、2つの代表的比較実施形態による毛束の「スラリー取り込み質量」と比較した図を示す。
図9図2によるフィラメントを備える毛束の「スラリー取り込み速度」を、2つの代表的比較実施形態による毛束の「スラリー取り込み速度」と比較した図を示す。
図10】現況技術によるダイヤモンド形状のフィラメントの、概略断面図を示す。
図11】十字形状のフィラメントの歯肉線の下での貫入認識を、円形形状のフィラメントの貫入認識と比較した図を示す。
図12図11の十字形状の歯茎マッサージ認識を、図11の円形形状のフィラメントの歯茎マッサージ認識と比較した図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示によるヘッドは、ヘッドの内側部分に配置された少なくとも1つの第1のタイプの毛束、及びヘッドの外側周縁部に配置された、即ち、当該外側周縁部に隣接して近接した、少なくとも1つの第2のタイプの毛束を備える。少なくとも1つの第1のタイプの毛束は、長手方向軸線と、当該長手方向軸線に対して実質的に垂直な平面にて延在する、実質的に円形形状の断面領域と、を有する複数のフィラメントを備える。少なくとも1つの第2のタイプの毛束は複数のフィラメントを備え、当該フィラメントのそれぞれは、長手方向軸線と、当該長手方向軸線に対して実質的に垂直な平面にて延在する、実質的に十字形状の断面領域と、を有する。十字形状の断面領域は、交互に配置される4つの突起部及び4つのチャネルを有する。フィラメントの長手方向軸線は、フィラメントの主要な延在により画定される。以下、その長手方向軸線に沿ったフィラメントの延在はまた、「フィラメントの長手方向の延在」と称される場合がある。
【0011】
少なくとも1つの第2のタイプの毛束のフィラメントは、約40%~約55%の範囲内、又は約45%~約50%の範囲内の、比較的低い詰込み率で提供される。本開示との関連において、用語「詰込み率」とは、毛束孔の横断断面領域により割った、毛束孔におけるフィラメントの横断断面領域の合計と定義される。毛束を毛束孔内に取り付けるために、ステープルなどの固定具が使用される実施形態では、固定手段領域は、毛束孔の横断断面領域から除外される。
【0012】
フィラメントが依然として、外側の横方向表面の一部に沿って互いに接触を有する一方で、約40%~約55%、若しくは約45%~約50%、又は約49%の詰込み率は、毛束内で特定の間隙容積を保つ。間隙容積は、より多くの練り歯磨きを歯磨きプロセスへと送達し得て、かつ練り歯磨きがより長い時間歯と相互作用することができ、向上した歯磨き効果に寄与する。加えて、間隙容積、即ち、フィラメント間の空隙は、向上した毛管作用故に、緩んだ歯垢の向上した取り込みを可能にする。換言すれば、このような低い詰込み率により、歯磨きプロセス中、より長い時間、より多くの歯磨き剤/練り歯磨きが、フィラメントに保持される/フィラメントへと付着される可能性がもたらされる。更に、より低い毛束の密度は、歯磨き剤が拡散して向上した全体的な歯磨きプロセスがもたらされる可能性を回避してしまう場合がある。歯に接触して洗浄する際に、チャネルにおいて練り歯磨きがより良好に受容され得て、直接送達され、これにより、特に、歯の変色の除去に関して望ましい、多大な研磨効果が達成される。
【0013】
約40%~約55%、若しくは約45%~約50%、又は49%の範囲内の比較的低い詰込み率は、向上した毛管効果故に、向上した歯磨き効果、即ち、歯の表面からのより良好な歯垢及び残骸の除去を提供し得る。これらの毛管効果は、歯磨き剤がフィラメントの先端/自由端に向かって流れることを可能にし、したがって、歯磨き中に、歯磨き剤をより有効に歯及び歯茎に与えることができる。同時に、歯及び歯茎の表面からの歯垢及び残骸の取り込みが向上する。
【0014】
なお、フィラメントの十字形状の形態故に、同一量の材料から製造された場合に、各単一のフィラメントは、円形形状のフィラメントよりも硬い。しかし、約40%~約55%、若しくは約45%~約50%、又は49%の範囲内の低い詰込み率故に、十字形状のフィラメントから製造された毛束全体の剛性は、円形形状のフィラメントの毛束と比較して低下する。驚くべきことに、このような毛束は、向上した洗浄効率を提供しつつ、向上した感覚的体験、即ち、歯磨き中に、口腔内でより柔らかな感覚を提供する、ということが見出された。
【0015】
少なくとも1つの第2のタイプの毛束は、ヘッドの外側周縁部、即ち剛毛領域の外側縁に配置されるため、当該毛束は歯肉線に向けられ、したがって、歯茎縁と容易に関わり合い、典型的に歯垢の成長が始まる歯茎溝を完全に洗浄できる。換言すれば、より優れた体感歯磨き効果、即ち歯磨き感覚を提供しつつ、歯肉線に沿った洗浄が著しく向上される。口内の最も重要かつ敏感な領域、即ち歯肉線に沿って標的化された洗浄を提供する、口腔ケア器具用のヘッドが提供される。十字形状のフィラメントの突起部は、歯茎溝に容易に進入することができ、歯垢を緩めるために表面上を掻き、また毛束全体の向上した毛管効果故に、歯垢がより良好に取り除かれ得る。特殊な形状故に、十字形状のフィラメントは、歯茎溝へと深く貫入することができる。なお、第2のタイプの毛束の相対的に低い詰込み率は、個々の十字形状のフィラメントがより良好に歯肉線及び歯茎溝の輪郭へと適応することを可能にする。同時に、円形のフィラメントから製造された少なくとも1つの第1のタイプの毛束は、歯の外側表面上に追加的に洗浄磨き効果を提供して、実質的に平坦かつ敏感度の少ない歯の表面を適切に洗浄してよい。
【0016】
複数の第1のタイプの毛束は、ヘッドの内側部分における列に配置されてよく、複数の第2のタイプの毛束は、ヘッドの外側周縁部における列に配置されてよい。このような毛束構成は、前述したように、洗浄効果を更に高め得る。
【0017】
少なくとも1つの第2のタイプの毛束のフィラメントの各チャネルは、隣接しかつ合流する突起部により形成された凹状の湾曲部を有してよい。前記凹状の湾曲部は、約0.025mm~約0.10mm、又は約0.03mm~約0.08mm、又は約0.04mm~約0.06mmの範囲内の半径を有してよい。換言すれば、2つの隣接する突起部、即ち、前記突起部の2つの隣接する側方外側縁は、チャネルの底部において合流してよく、かつ「合流領域」を画定してよい。隣接する突起部は、凹状の湾曲部の様式にて、即ち、内側に向かって湾曲した半径がチャネルの底部において形成される様式にて、前記合流領域において合流してよい。このような範囲内の半径は、標準的な十字形状のフィラメント(図3を参照、及び更に後述する)と比較すると、相対的に大きい。
【0018】
過去において、従来の十字形状のフィラメント(例えば、図3にて示すように、また更に後述するように)が、これらのタイプのフィラメントが、製造及び歯磨き中の両方で、それらの間で容易に絡まってしまうという欠点を有する、ということが観察された。しかし、驚くべきことに、所謂「ピッキングプロセス」中に、複数のフィラメントが撚り合って1つの毛束を形成する場合に、フィラメントが絡まってしまうという可能性が著しく減少する故に、本開示によるフィラメントの外側表面の特定の形状/輪郭が、向上した製造可能性を可能にする、ということが見出された。
【0019】
更に、チャネルの底部における半径が比較的大きい故に、フィラメントの安定性が増し、またしたがって、例えば、ステープリング留め又は高温の毛束付けプロセス中に、フィラメントがブラシヘッドの取り付け表面上に突いて固定される場合に、ブラシの製造プロセス中に発生するフィラメントの損傷が減少する。過去において、ピッキングプロセス中に、比較的多数の従来の十字形状のフィラメントが損傷を受けることが観察されてきた。特に、突起部がフィラメントから切断されて離れてしまう、又はチャネルの底部における合流領域においてフィラメントが撚り継いでしまう場合がある。撚り継いだフィラメントは、比較的鋭い端部を提供し得るが、これは、歯磨き中に口腔組織を傷つけてしまう/痛めてしまう場合がある。
【0020】
なお、驚くべきことに、凹状の湾曲部の半径の特定の形状故に、2つの隣接したフィラメントの間の間隙が最大となり得る際に、毛束内のフィラメントが比較的低い詰込み率内、即ち、約40%~約55%%の範囲内でより良好に詰込まれ得ることが見出された。依然として互いに接触を有する一方で、フィラメントが特定の空隙領域にて隙間を保つことが重要であることが見出された。規定要件に従い、かつ外観全体に関して消費者により評価される歯ブラシを製造するために、典型的には、高詰込み率(円形のフィラメントに関しては約70%~約80%、ダイヤモンド形状のフィラメントに関しては、約80%、三葉型のフィラメントに関しては、約89%)が必要とされる。ステープリング留めプロセスにより製造された歯ブラシに関しては、約70%よりも低い率では、毛束孔内に不十分に圧縮されたフィラメントをもたらすこととなり、またしたがって、毛束の保持が不十分となる。したがって、円形のフィラメントが約70%よりも低い詰込み率を伴う場合には、規定要件が満たされない。高温で毛束づけられた歯ブラシに関しては、約70%よりも低い詰込み率により、溶融液の圧力が、フィラメントが互いに接触するまでもう一方へと毛束のフィラメントを押す際に、成形プロセスにわたって、プラスチック溶融液が毛束内へと進入することを可能にし得る。所謂、多棘はそれにより形成され、歯茎を痛めてしまう/傷つけてしまう場合があり、したがって、製品が不安全となってしまう。規定及び安全性の見解の他に、円形のフィラメントの低詰込み毛束は、「粗野」かつ破壊された外観を有し得、また消費者により許容され得ない。しかし、チャネルの凹状の湾曲部の、約0.025mm~約0.10mmの範囲内の半径を有する十字形状のフィラメントの使用により、向上した洗浄特性を提供しつつ、許容可能な全体の外観を有する、規定に従った、かつ安全な製品に関して、低詰込み率が達成され得る。
【0021】
十字形状の断面領域の各突起部は、フィラメントの長手方向の延在に沿った2つの外側側方縁を備える。これらの外側縁は、歯の表面上に比較的高い集中応力を発生させて、歯垢を破壊し、かつ除去し得る。外側縁は、歯垢及び残骸がより効果的に緩むように、摩擦効果を提供することができる。チャネルの底部における凹状の湾曲部の半径が比較的大きい故に、歯の表面から歯垢をより容易に/効果的に緩める/除去する、向上した剛性/安定性を伴う突起部が提供される。チャネルは、次に、破壊された歯垢を捕獲し、かつ歯から取り除き得る。図7にて示されるように、また以下で更に説明するように、本開示による複数のフィラメントを備える毛束は、円形のフィラメント、又は従来の十字形状のフィラメントの毛束と比較して、頬面の、舌側の、咬合面の、及び歯間の、並びに歯肉線に沿った表面からの向上した歯垢除去を提供する。
【0022】
第2のタイプの毛束の、各フィラメントの十字形状の断面領域は、外径を有してよい。本開示との関係では、外径は、フィラメントの断面領域の中心を通過する直線の長さにより画定され、またその終点は、断面領域の最も外側の円周上に位置する。換言すれば、十字形状の断面領域は、円の形状にて仮想の外側円周(即ち、外側外囲円)を有し、かつ外径は、円の中心を通過する、円の最も長い直線区分として画定される。
【0023】
外径は、約0.15mm~約0.40mm、若しくは約0.19mm~約0.38mmの範囲内であってよい、又は外径は、約0.22mm~約0.35mm、若しくは約0.24mm~約0.31mmの範囲内であってよい。
【0024】
チャネルの湾曲部の半径に対する外径の比率は、約2.5~約12の範囲内であってよい。あるいは、チャネルの湾曲部の半径に対する外径の比率は、約2.7~約9の範囲内であってよい。
【0025】
驚くべきことに、このようなフィラメントの形状は、口腔内におけるブラシの快適性を維持しつつ、更になお向上した洗浄性能を提供する、ということが見出された。加えて、このような形状は、歯磨き中に、フィラメントが絡まってしまう可能性が更に減少する故に、フィラメント/毛束の外観の摩耗が減少することを更になお手助けする、ということが見出された。なお、歯ブラシの製造プロセス中の、このようなフィラメントの製造可能性は、更に向上する。
【0026】
第2のタイプの毛束の、フィラメントの十字形状の断面領域の各突起部は端が丸められていてよく、それにより湾曲部を形成する。前記湾曲部は、直径を有してよい。突起部の湾曲部の直径は、約0.01mm~約0.04mmの範囲内であってよい、又は約0.018mm~約0.026mmの範囲内であってよい。
【0027】
チャネルの湾曲部の半径に対する、突起部の湾曲部の直径の比率は、約0.2~約1.5、又は約0.3~約1.0、又は約0.5~約0.7の範囲内であってよい。前記比率は、現況技術による標準的な十字形状のフィラメントと比較して、相対的に低い(図3を参照、及び更に後述する)。換言すれば、突起部の湾曲部の直径に関して、即ち、突起部の幅延在部分に関して、チャネルの凹状の湾曲部の半径は比較的大きい-又は換言すれば、チャネルの凹状の湾曲部の半径と比較して、突起部の湾曲部の直径は比較的薄くあり得る。この比較的大きい半径は、向上した安定性を伴う比較的薄い突起部を提供する。したがって、ブラシの製造プロセス中、特に、フィラメントが突かれる場合に、フィラメント/突起部が損傷を受ける可能性が少ない、又は比較的薄い突起部が破損して離れる可能性が少ない。換言すれば、歯ブラシの製造プロセス中の、このようなフィラメントの製造可能性は、更に向上する。
【0028】
なお、驚くべきことに、このようなフィラメントの形状は、口腔内におけるブラシの快適性を維持しつつ、更になお向上した洗浄性能を提供する、ということが見出された。加えて、このような形状は、歯磨き中に、フィラメントが絡まってしまう可能性が更に減少する故に、フィラメント/毛束の外観の摩耗が減少することを更に手助けする、ということが見出された。
【0029】
突起部の湾曲部の直径は、フィラメントの外径の約6%~約15%、又は約8%~約12%の範囲内であってよい。驚くべきことに、このようなフィラメントは、なおより良好な方法で歯の輪郭に適合し得、またより容易に歯間空隙内へと貫入して、より完全に歯垢及び残骸を除去し得る、ということが見出された。
【0030】
十字形状のフィラメントの突起部は、外向き方向にて、即ち、断面領域の中心から離れ、かつ外側円周に向かった方向にて、放射状に先細になってよい。このような先細突起は、狭い空隙及び到達しづらい領域への接近を更に確実にし得、また、なおより深いかつ効果的な歯間領域への貫入/進入を可能にし得る。同一量の材料から製造された円形形状のフィラメントと比較して、十字形状のフィラメントの曲げ剛性が高い故に、より高い曲げ剛性はフィラメントの突起部を強めて、歯間領域内へとより容易に滑り込ませ得る。
【0031】
突起部は、約6°~約25°の範囲内の角度により、又は約8°~約20°の範囲内の角度により、外向きに放射状に先細になってよい。驚くべきことに、このような先細になることは、最適な歯間貫入特性を可能にする、ということが見出された。更に、このようなフィラメントは、隣接するフィラメントの輪郭上で絡まってしまうことなく、より容易に毛束に束ねることができる。
【0032】
第2のタイプの毛束のフィラメントは、実質的に円筒状のフィラメントであってよい、即ち、フィラメントは、実質的に円筒状の、外側の横方向表面を有してよい。換言すれば、その長手方向軸線に沿ったフィラメントの断面領域の形状及び寸法は、実質的に変化しなくてよい、即ち、断面領域の形状及び寸法は、フィラメントの長手方向の延在にわたって実質的に一定であってよい。本開示との関連において、用語「フィラメントの外側の横方向表面」とは、その側面における、フィラメントの外側面又は外側表面を意味する。このタイプのフィラメントは、先細フィラメントと比較して、向上した曲げ剛性を提供し得る。より高い曲げ剛性は、フィラメントの歯間間隙/空隙内への貫入を更に促進し得る。なお、円筒状のフィラメントは、一般にゆっくりと使い古され、フィラメントのより長い耐用期間を提供し得る。
【0033】
円筒状のフィラメントは、実質的に端が丸められた先端/自由端を有して、穏やかな洗浄特性を提供し得る。端が丸められた先端は、歯磨き中に、歯茎が傷つけられるのを防ぎ得る。本開示との関係内で、端が丸められたフィラメントは、依然として、実質的に円筒状のフィラメントの定義の分類に入り得る。
【0034】
あるいは、第2のタイプの毛束のフィラメントは、その長手方向軸線に沿った、実質的に円筒状の部分及び先細部分を備えてよく、先細部分は、フィラメントの自由端に向かって、長手方向にて先細になり、また円筒状の部分は、本開示による断面領域を有する。換言すれば、第2のタイプの毛束のフィラメントは、先が尖った先端を有する、先細フィラメントであってよい。先細フィラメントは、歯磨き中に、2本の歯の間の領域内並びに歯周ポケット内へと最適に貫入することができ、したがって、向上した洗浄特性を提供し得る。先細フィラメントは、約8mm~約16mm、任意に約12.5mmの範囲内で、ヘッドの取り付け表面上に延在した全体の長さを有してよく、また先細部分は、フィラメントの先端から測定して約5mm~約10mmの範囲内で、長さを有してよい。先が尖った先端は、針形状であってよく、枝分かれ状又は羽根状の端部を有してもよい。先細になる部分は、化学的及び/又は機械的な先細形成プロセスにより製造することができる。
【0035】
第1の及び/又は第2の毛束のフィラメントは、外側表面において着色された、カオリン粘土などの研摩材を伴う、又は伴わないポリアミド、例えば、ナイロン、カオリン粘土などの研摩材及び/又はポリアミド指示薬材料、例えばナイロン指示薬材料を伴う、又は伴わないポリブチレンテレフタレート(PBT)から製造されてよい。ポリアミド指示薬材料の着色は、フィラメントが徐々に使用されると緩やかに摩耗し得て、フィラメントが摩耗した程度を示す。
【0036】
第1及び/又は第2の毛束のフィラメントは、少なくとも2つの、異なる材料の区分を備える。少なくとも1つの区分は、熱可塑性エラストマー材料(TPE)を含み、また少なくとも1つの区分は、外側表面において着色された、カオリン粘土などの研摩材を伴う、又は伴わないポリアミド、例えば、ナイロン、カオリン粘土などの研摩材又はポリアミド指示薬材料、例えばナイロン指示薬材料を伴う、又は伴わないポリブチレンテレフタレート(PBT)を含む。これらの少なくとも2つの区分は、平行した構造にて、又はコア-外装構造にて配置されてよく、これはフィラメント全体の剛性の減少をもたらし得る。より硬い材料、例えば、ポリアミド又はPBTを含む内側/コア区分、及びコア区分を取り囲み、より柔らかい材料、例えばTPEを含む外側/外装区分を伴うコア-外装構造は、穏やかな洗浄特性をもたらす比較的柔らかい外側横方向表面を伴う、フィラメントを提供し得る。
【0037】
第1及び/又は第2のタイプの毛束のフィラメントは、フッ化物、亜鉛、ストロンチウム塩、香料、シリカ、ピロリン酸塩、過酸化水素、硝酸カリウム、又はこれらの組み合わせから選択される構成要素を備えてよい。例えば、フッ化物は、鉱化効果を提供し得、したがって、虫歯を防止し得る。亜鉛は、使用者の免疫系を強化し得る。過酸化水素は、歯を漂白/白くし得る。シリカは、より効果的に歯の歯垢及び残骸を除去する研磨効果を有し得る。ピロリン酸塩は、歯肉線に沿った新しい歯垢、歯石及び歯の結石の形成を阻害し得る。ピロリン酸塩を含むフィラメントは、歯茎及び口腔粘膜の炎症に対する持続的な保護を提供し得る。
【0038】
複数のこのようなフィラメントは共に束ねられて毛束を形成し、毛束の中心に配置されたフィラメントがフッ化物を含んで、歯磨きプロセス中に歯を鉱化するのに対して、それらは、毛束の外側横方向表面におけるフィラメントがピロリン酸塩を含んで、歯肉線に沿った歯垢、歯石及び歯の結石の形成を阻害し得る様式にて配置されてよい。
【0039】
少なくとも1つの上記に掲載された構成要素を、外装上で、即ち、フィラメントの外側区分上で、コーティングしてよい。換言すれば、少なくともいくつかの毛束のフィラメントは、内側/コア区分がTPE、ポリアミド、又はPBTを含んでよく、また外側/外装区分が少なくとも1つの上記に掲載された構成要素を含んでよい、コア-外装構造を備えてよい。このようなコア-外装構造は、比較的高濃度にて、構成要素(複数可)が直接歯に有効となるようにし得る、即ち、歯磨き中に、構成要素(複数可)が歯に直接接触し得る。
【0040】
あるいは、少なくとも1つの上記に掲載された構成要素は、TPE、ポリアミド、例えばナイロン、及び/又はPBTと共に共押し出しされ得る。このような実施形態は、使用中にフィラメント材料がゆっくりと摩耗して離れる場合に、構成要素(複数可)が徐々に歯に有効となるようにし得る。
【0041】
口腔ケア器具用のヘッドに取り付けられた、少なくとも1つの第2のタイプの毛束は、長手方向軸線と、当該長手方向軸線に垂直な平面において延在する断面領域と、を有してよい。複数のフィラメントは、毛束の断面領域が、毛束を作り上げる、各個々のフィラメントのそれぞれの形状の拡大した形状を有する様式にて、配置されてよい。換言すれば、毛束は、そのフィラメントの拡大した変形型である、即ち、毛束の断面領域の形状は、各個々のフィラメントではあるがより大きな寸法のフィラメントとして、実質的に同一の十字形状の断面領域を有してよい。毛束の断面領域の形状は、そのフィラメントの断面領域の形状に対応してよい。本開示との関連において、用語「拡大した形状を有する断面領域」とは、同一の形状だが増大した寸法を備える断面領域を意味する。換言すれば、形状のタイプは同一であってよいが、断面領域の寸法は異なる、即ち増大する。毛束の断面領域の外側円周にて、2つの隣接する個々のフィラメントの間に存在し得るいずれかの間隙、ばらつき、起伏、又は溝穴は、前記断面領域の実質的な形状に寄与せず、またしたがって、注意しなくてよい。
【0042】
このような毛束は、向上した洗浄特性を提供し得る。前述で概略を述べたように、個々のフィラメントの特定の形状/形態は、円形の断面領域を伴う正規のフィラメントの特性とは異なる、特定の洗浄特性を有する。これらの特定の洗浄特性は、各個々のフィラメントの断面形状の拡大された変形型である毛束全体の断面形状をフィラメントが形成するような様式にて、当該フィラメントを配置させることにより、強化されてよい。なお、各単一のフィラメントの特定の形態は一般には使用者に目視され得ず、本開示による毛束はそれぞれの形態を使用者に伝え、またしたがって、前記毛束を作り上げるフィラメントの対応する洗浄特性を伝え得る。
【0043】
第2のタイプのフィラメント及び毛束が、それぞれ、非円形形状を伴う各断面領域を有する故に、フィラメント並びに毛束全体は、歯磨きプロセス中に、異方性の曲げ剛性特性を提供し得る。所与された接触圧力がフィラメント/毛束の自由端へと加えられた場合、フィラメント/毛束の偏向/変位の量は、フィラメント/毛束の直径/半径に依存する。直径/半径がより小さいと、フィラメント/毛束の自由端の偏向/変位が大きくなり、また逆に、直径/半径がより大きいと、フィラメント/毛束の自由端の偏向/変位が小さくなる。毛束は、より大きい洗浄力が必要であり得る方向にて、より大きい曲げ剛性が提供されるような様式にて、ヘッドの取り付け表面上に配置されてよい。穏やかな洗浄力又はマッサージ効果が必要とされ得る方向にて、より小さい曲げ剛性が提供され得る。
【0044】
本開示による口腔ケア器具は、ハンドル及びヘッドを備える歯ブラシであってよい。ヘッドはハンドルから延在し、またハンドルに繰り返し着脱可能なものであってよい、又はヘッドは取り外しできないようにハンドルに連結されていてよい。歯ブラシは、電動式歯ブラシ又は手動式歯ブラシであってよい。
【0045】
ヘッドは、実質的に円形又は楕円形の形状を有する剛毛支持部を備えてよい。このような刷毛支持部は、回転振動運動を行うことができる電動式歯ブラシ用に提供することができる。電動式歯ブラシの剛毛支持部は、運動軸の周囲を回転し、かつ運動軸に沿って振動する様式で軸方向に運動するように駆動することができ、そのような運動軸は、剛毛支持部の上側の上面により画定される平面に対して、実質的に垂直に延在してよい。本開示による毛束を、剛毛支持部に取り付けてよい。少なくとも1つの第2タイプの毛束のフィラメントの突起部は、ヘッドの更なる向上した洗浄特性を提供するヘッドの回転振動運動中に、歯間領域及び到達しづらい領域内へとより容易に貫入し得る。歯の表面に対して実質的に垂直なフィラメントの振動動作により、歯垢及びその他の残留物を緩めつつ、回転運動により歯垢及び更なる残留物を押し流すことができる。
【0046】
本開示による口腔ケア器具用のヘッドは、毛束孔、例えば盲端穴を備える剛毛支持部を備えてよい。本開示による毛束は、ステープル留めプロセス/定着毛束付け法により、前記毛束孔に固定/定着させてよい。これは、毛束のフィラメントが、固定具、例えば金属製の固定ワイヤ又は固定プレートなどの周囲で、実質的にU形状の様式にて曲げられる/折りたたまれることを意味する。固定具と共にフィラメントを毛束孔内へと押し込み、これにより、固定具が毛束孔の反対側の壁内へと貫入し、それにより、フィラメントを剛毛支持部へと定着/固定/締結する。正係合及び摩擦係合により、固定具を反対側の壁に固定してよい。毛束穴が盲端穴である場合、固定具は、フィラメントを穴の底部に対して保持する。換言すれば、実質的に垂直の様式にて、U形状の湾曲にわたって固定具を位置させてよい。毛束のフィラメントが、実質的にU形状の構成にて固定具の周囲で湾曲する故に、各フィラメントの第1リム及び第2リムは、フィラメントの方向にて剛毛支持部から延在する。ステープル留めプロセスに使用してよい/ステープル留めプロセスおける使用に好適なフィラメントのタイプはまた、「両端フィラメント」とも称される。ステープル留めプロセスにより製造される口腔ケア器具用のヘッドは、比較的低コストかつ時間的に効率のよい様式にて提供することができる。本開示による少なくとも1つの第2のタイプの毛束のフィラメントの向上した形態故に、ステープル留めプロセス中に、フィラメントがブラシヘッドの取り付け表面上に突いて固定される場合に、例えば切断など、少数のフィラメントが損傷するにとどまる。更に、複数のフィラメントが突かれて1つの毛束を形成する場合に、隣接するフィラメントの外側表面上で、少数のフィラメントが絡まるにとどまる。
【0047】
あるいは、毛束は、高温の毛束付けプロセスの手段により、ヘッドに取り付け/固定されてよい。口腔ケア器具のヘッドを製造する1つの方法は、次の工程を含んでよい。第1に、本開示による所望の量のフィラメントを提供することにより、毛束を形成してよい。第2に、毛束を型穴内に定置させて、それにより、ヘッドに取り付けられると推定されるフィラメントの端部が前記穴内へと延在するようにしてよい。第3に、射出成形プロセスにより、ヘッド又は前記ヘッド及びハンドルを備える口腔ケア器具の本体を、型穴内へと延在するフィラメントの端部の周囲に形成して、それにより、毛束をヘッドに定着させてよい。あるいは、射出成形プロセスにより、口腔ケア器具の残りの部分が形成される前に、型穴内へと延在するフィラメントの端部の周囲にヘッドの第1の部分-所謂「シールプレート」-を形成することにより、毛束を定着させてよい。射出成形プロセスを開始する前に、型穴内へと延在する少なくとも1つの毛束の端部を任意に溶融/融着させて、溶融密集体又は溶融球にしてフィラメントと一緒に連結させ、これにより、溶融密集体又は溶融球が穴内に配置されてよい。毛束は、口腔ケア器具の仕上げヘッド上の毛束の所望の位置に対応する盲穴を有する型支柱により、型穴内に保持されてよい。換言すれば、高温の毛束付けプロセスの手段によりヘッドに取り付けられた毛束のフィラメントは、それらの長さに沿った中間部分に折り重ならなくてよく、また固定具/ステープルを使用することによりヘッドに取り付けられなくてよい。毛束は、固定具無しの毛束付けプロセスの手段により、ヘッド上に取り付けられてよい。高温の毛束付け製造プロセスは、複雑な毛束形態を可能にする。例えば、毛束は、その自由端、即ち、その上部表面にて特定のトポグラフィー/形態を有してよく、歯の輪郭に最適に適合するように形状づけられてよく、また歯間の貫入を更に強化するように形状づけられてよい。例えば、トポグラフィーは、1つ又は2つの方向にて角がとられる若しくは丸みをつけられてよい、先が尖ってよい、又は線状、凹状若しくは凸状に形成されてよい。本開示による少なくとも1つの第2のタイプの毛束のフィラメントの向上した形態故に、高温の毛束付けプロセス中に、フィラメントがブラシヘッドの取り付け表面上に突いて固定される場合に、例えば切断など、少数のフィラメントが損傷するにとどまる。更に、複数のフィラメントが突かれて1つの毛束を形成する場合に、隣接するフィラメントの外側表面上で、少数のフィラメントが絡まるにとどまる。
【0048】
以下は、図面を参照した、本開示による口腔ケア器具及びその部品の代表的実施形態の非限定的な考察である。
【0049】
図1は、ハンドル12及びハンドル12から長手方向に延在するヘッド14を備える、手動式又は電動式歯ブラシ10であり得る口腔ケア器具10の下向き斜視図を示す。ヘッド14は、ハンドル12に近い近位端部41、及びハンドル12から最も遠い、即ち、近位端部41の反対側の遠位端部40を有する。ヘッド14は、長さ延在部分52、及び前記長さ延在部分52に対して実質的に垂直な幅延在部分51を伴う、実質的に楕円の形状を有してよい。複数の円形形状のフィラメント74を備える複数の第1のタイプの毛束96(例えば、図5にて示されるように)、及び複数の十字形状のフィラメント20を備える複数の第2のタイプの毛束16は、高温の毛束付けプロセス又はステープル留めプロセスの手段により、ヘッド14に固定されてよい。毛束16、96は、実質的に直交する様式にて、ヘッド14の取り付け表面18から延在してよい。第2のタイプの毛束16は、外側周縁部98における列にて、即ち、外側周縁部98に隣接して近接して、ヘッド14の長さ延在部分52に沿って、取り付け表面18上に配置される。第1のタイプの毛束96は、ヘッド14の内側部分100において、即ち、第2のタイプの毛束16の列の間にて配置される。第2のタイプの毛束16は、約40%~約55%、若しくは約45%~約50%、又は約49%の範囲内の詰込み率を有する。「詰込み率」は、毛束孔の断面領域により割った、フィラメント20の断面領域22の合計として定義される。
【0050】
図1に示すような第2のタイプの毛束16は、複数の端が丸められた十字形状のフィラメント20を備え、それらのうち1つを図2に示す。あるいは、フィラメント20は、長手方向軸線に沿った、実質的に円筒状の部分及び先細部分を備える、先細フィラメントであってよい。先細部分は、フィラメント20の自由端向かって先細になり、また円筒状の部分は、本開示による断面領域22を有する。
【0051】
図2は、毛束16のフィラメント20の概略断面図を示す。フィラメント20は、長手方向軸線と、前記長手方向軸線に対して実質的に垂直な平面にて延在する、実質的に十字形状の断面領域22と、を有する。十字形状の断面領域22は、4つの突起部24及び4つのチャネル26を有する。突起部24及びチャネル26は、交互に配置されている。各突起部24は、約6°~約25°又は約8°~約20°の範囲内の角度αにより、外向きの方向にて、先細になる。
【0052】
断面領域22は、フィラメントの断面領域22の中心36を通る外径28を有する。外径28の終点は、断面領域22の最も外側の円周38上に位置する。外径28は、約0.15mm~約0.40mm、約0.19mm~約0.38mm、約0.22mm~約0.35mm、又は約0.24mm~約0.31mmの範囲内の、長さ延在部分を有する。
【0053】
各チャネル26は、凹状の湾曲部34、即ち、断面領域22の中心36に向かって内側に湾曲した湾曲部を有する。凹状の湾曲部34は、2つの隣接しかつ合流する突起部24により、各チャネル26の底部において形成される。凹状の湾曲部34は、約0.025mm~約0.10mm、又は約0.03mm~約0.08mm、又は約0.04mm~約0.06mmの範囲の半径30を有する。
【0054】
凹状の湾曲部34の半径30に対する外径28の比率は、約2.5~約12、又は約2.7~約9の範囲内である。
【0055】
各突起部24は端が丸められおり、それにより、特定の直径42を伴う湾曲部を形成する。前記直径42はまた、突起部24の2つの対向する外側縁44との間に延在する幅延在部分42として定義され得る。チャネル26の湾曲部34の半径30に対する、突起部24の湾曲部の直径42の比率は、約0.2~約1.5、又は約0.3~約1.0、又は約0.5~約0.7の範囲内である。
【0056】
更に、突起部24の丸められた端の直径42は、フィラメント20の外径28の約6%~約15%、又は約8%~約12%の範囲で画定される。例えば、突起部24の丸められた端の直径42は、約0.01mm~約0.04mmの範囲内であってよい、又は約0.018mm~約0.026mmの範囲内であってよい。
【0057】
図3は、現況技術による十字形状のフィラメント54の、概略断面図を示す。フィラメント54は、次の寸法を備える。
外径56:0.295mm
チャネルの凹状の湾曲部の半径58:0.01mm
凹状の湾曲部の半径58に対する外径56の比率:29.5
突起部の先細りα:15°
突起部の湾曲部の直径62:0.04mm
半径58に対する直径62の比率:4
内径64:0.1mm。
【0058】
図4は、本開示による第2のタイプの毛束66の、概略断面図を示す(代表的実施形態1)。毛束66は、約49%の詰込み率を有する。毛束66のフィラメント68は、次の寸法を有する。
外径28:0.309mm
凹状の湾曲部の半径30:0.06mm
凹状の湾曲部の半径30に対する外径28の比率:5.15
突起部の先細りα:10°
突起部42の湾曲部の直径42:0.04mm
半径30に対する直径42の比率:0.67
内径70:0.12mm。
【0059】
図5は、現況技術による複数の円形形状のフィラメント74を備える毛束72の、概略断面図を示す。フィラメント74の直径は、約0.178mm(7mil)である。このような毛束72は、約77%の詰込み率を有する(比較実施例2)。
【0060】
図6は、図3による、複数のフィラメント54を備える毛束76の、概略断面図を示す。このような毛束76は、約58%の詰込み率を有する(比較実施例3)。
【0061】
比較実験
ロボット試験:
複数のフィラメント68を備える図4に従った毛束66(毛束の直径:1.7mm)(代表的実施形態1)、複数のフィラメント74を備える図5に従った毛束72(毛束の直径:1.7mm)(代表的実施例2)、複数のフィラメント54を備える図6に従った毛束76(毛束の直径:1.7mm)(代表的実施例3)を、人工歯(タイポドント)上での歯垢の代替除去におけるそれらの有効性に関して、比較した。
【0062】
以下の条件下でロボットシステムKUKA 3を用いて、歯磨き試験を行った(表1を参照)。
【0063】
【表1】
【0064】
図7は、代表的実施形態1、比較実施例2、及び比較実施例3の歯垢の代替除去の量を、それぞれ歯の表面全体78、頬側表面80、舌側表面82、舌側及び頬側表面84、咬合表面86、歯肉線88、及び歯間表面90に関して、%にて示したものである。
【0065】
図7は、代表的実施形態1が、歯の表面全体78、頬側表面80、舌側表面82、舌側及び頬側表面84、咬合表面86、歯肉線88、及び歯間表面90に関して、比較実施例2及び3と比較して著しく向上した歯垢除去特性を提供することを、明らかに示すものである。洗浄性能の最も著しい向上は、それぞれ、22%及び9%の向上を伴って、咬合表面86上で生じた。
【0066】
スラリー取り込み試験:
図8は、約46%の詰込み率を有する第2のタイプの毛束(毛束の直径:1.7mm)(代表的実施形態4)の「スラリー取り込み質量」を、ダイヤモンド形状のフィラメント(図10を参照)を備え、かつ約80%の詰込み率を有する毛束(毛束の直径:1.7mm)(比較実施例5)の「スラリー取り込み質量」、及び比較実施例2による約77%の詰込み率を有する毛束72の「スラリー取り込み質量」と比較した図を示す。
【0067】
代表的実施例4のフィラメントは、次の寸法を有する。
外径:0.269mm
チャネルの凹状の湾曲部の半径:0.05mm
凹状の湾曲部の半径に対する外径の比率:5.38
突起部の先細りα:14°
突起部の湾曲部の直径:0.029mm
チャネルの凹状の湾曲部の半径に対する、突起部の湾曲部の直径の比率:0.58
内径:0.102mm
【0068】
比較実施例5のフィラメントは、次の寸法を有する(図10を参照)。
長い方の対角線長さ92:0.29mm
短い方の対角線長さ94:0.214mm
【0069】
図9は、代表的実施形態4の「スラリー取り込み速度」を、比較実施例2及び5の「スラリー取り込み速度」と比較した図を示す。
【0070】
試験の説明
代表的実施形態4並びに比較実施例2及び5による毛束を備えるブラシヘッドを、フィラメントが下向きに尖った水平位置にて固定した。練り歯磨きスラリーの皿(練り歯磨き:水=1:3)を、はかりと共に、ブラシヘッド直下に定置させた。このスケールを用いて、皿内のスラリー量を測定した。試験が開始されると、ブラシは100mm/sで下方に移動し、かつスラリー中に2mmの深さで浸液した。次に、ブラシを練り歯磨きスラリー中で5秒間保持して、再び100mm/sで引き上げた。この垂直方向の力を、時間の経過に伴って測定した。
【0071】
図8及び9は、比較実施例2及び5と比較して、質量及び速度の観点から、代表的実施形態4が著しく向上した「スラリー取り込み」を提供することを明らかに示している。代表的実施形態4の毛束内の増大した空隙容量は、向上した毛管作用を可能にする。これは練り歯磨き(スラリー)の取り込み量の増大をもたらし、これにより、練り歯磨きが、歯磨きプロセスにより長く相互作用を与える/寄与することになる。代表的実施形態4の毛束は、約50%速い取り込み速度にて、約50%多い練り歯磨きスラリーを吸収することが可能であり、これは向上した歯の洗浄効果をもたらす。換言すれば、より多くの練り歯磨きを歯磨きプロセスへと送達するのみならず、代表的実施形態4の毛束内の特定の空隙容量はまた、緩んだ歯垢の向上した取り込みをも可能にする。これは、本開示による毛束構成を伴うヘッドを備える歯ブラシの、全体の向上した臨床的性能をもたらす。
【0072】
更に、11人のパネリストを含む、訓練を積んだ官能パネルにより、歯肉線の下での十字形状のフィラメントの向上したフィラメントの貫入/及び到達を感じる能力を試験した。官能分析はDIN ISO 10967-1に従って実行し、評価はDIN ISO 10964に従って説明した。図11は、十字形状のフィラメントを備えるブラシ200が、円形形状のフィラメントを備えるブラシ202と比較して、歯肉線の下での向上したフィラメントの貫入の感覚をもたらしたことを明らかに示す。
【0073】
加えて、同一の官能試験では、十字形状のフィラメントを備えるブラシ200が、ブラシ202と比較して向上した歯肉マッサージ効果をもたらしたことを示した(図12を参照)。これらの官能試験に従って、ブラシ200は、ブラシ202と比較して向上した歯肉マッサージ及び貫入認識の両方を示したが、より剛性であるとは認識されなかった。
【0074】
ブラシ200及び202の構成
【0075】
【表2】
【0076】
本開示との関連では、用語「実質的に」とは、理論上は正確な一致又は挙動を示すことが期待されるが、実際にはわずかに正確ではないものとして具体化され得る要素又は機構の構成を意味する。そのようなものであるから、本用語は、定量的な値、測定値、又はその他の関連する表現が、問題とされる対象物の基本的機能に変化をもたらすことなく、記載される基準から変動し得る程度を示すものである。
【0077】
本明細書にて開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に指示がない限り、このような各寸法は、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味することが意図される。例えば「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12