(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】眼鏡フレームの複数の構成部品を取り付けるための装置およびそのような取付け装置を備える眼鏡
(51)【国際特許分類】
G02C 13/00 20060101AFI20220613BHJP
G02C 1/06 20060101ALI20220613BHJP
G02C 5/02 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G02C13/00
G02C1/06
G02C5/02
(21)【出願番号】P 2018568384
(86)(22)【出願日】2017-06-27
(86)【国際出願番号】 IB2017053822
(87)【国際公開番号】W WO2018007899
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-09
(31)【優先権主張番号】102016000070985
(32)【優先日】2016-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】500064225
【氏名又は名称】サフィーロ・ソシエタ・アツィオナリア・ファブリカ・イタリアナ・ラボラツィオーネ・オッチアリ・エス・ピー・エー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ダミン,マルコ
【審査官】小西 隆
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第201097005(CN,Y)
【文献】特表2001-518205(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0124244(US,A1)
【文献】実開平06-002334(JP,U)
【文献】特開2001-324700(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0132705(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C 1/00 ― 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡フレーム(2)の複数の構成部品を互いに取り付けるための装置であって、
前記眼鏡フレームの第1の構成部品に接続され、且つ前記眼鏡フレームの第2の構成部品に接続された第2の取付け要素内に差込まれる第1の取付け要素と、
前記第1の取付け要素と前記第2の取付け要素との間で、差込み方向(X)に対して横方向に着脱自在に作動して、前記眼鏡フレームの前記第1の構成部品と前記第2の構成部品とを互いに取り付けるロックピン(9)と、
を備え、
前記第1の取付け要素は、前記第1の取付け要素の各端部に設けられ、かつ共通の基部(11)からそれぞれ同じ方向に延在するように互いから離間して形成された一対の分枝部(10a,10b)を備え、
前記第2の取付け要素は、対向する
壁面(14a,14b,15a,15b)を有する座部(13)を備え、
前記座部(13)は、前記差込み方向(X)において、前記分枝部(10a,10b)の対が挿入され、前記座部の対向する前記
壁面同士の間で前記分枝部(10a,10b)の対を保持し、
前記座部(13)は、前記差込み方向(X)に対して横方向に、前記ロックピン(9)を回転可能に保持する開口部(20)と交差し、
前記ロックピン(9)は、前記分枝部(10a,10b)の対が前記座部(13)内に挿入されたときに前記分枝部同士の間に介在するピン中間部(9b)を有し、
前記ピン中間部(9b)は、前記ロックピン(9)が第1の位置まで回転されたときに前記ピン中間部が前記分枝部(10a,10b)と干渉することなく前記分枝部から一定の距離を保つように、また、前記ロックピン(9)が第2の位置まで回転されたときに前記ピン中間部(9b)が前記分枝部(10a,10b)のそれぞれと干渉するようになされ、前記干渉によって、前記分枝部(10a,10b)には、各分枝部が互いから離れて前記座部(13)の対応する壁面にそれぞれ当接するように弾性応力が加えられて、前記
第1の取付け要素
および前記第2の取付け要素同士が相対的に取り付けられ、
前記開口部(20)は、前記眼鏡フレームの前記第2の構成部品の前記座部(13)に対向する側において同軸に形成される一対の円形の孔(20a,20b)によって画定され、
前記孔は、前記ロックピンの前記ピン中間部(9b)の両側から軸方向に延在する一対のピン部分(9a,9c)を回転可能に保持し、
前記孔(20a,20b)の少なくとも一方は、前記開口部(20)内に前記ロックピン(9)を挿入するための貫通孔として形成され、
前記ピン中間部(9b)の断面は、軸方向において、前記ピン中間部(9b)の両側に形成された前記ピン部分(9a,9c)のそれぞれの断面の輪郭より小さい輪郭を有し、
前記分枝部(10a,10b)の対が前記座部(13)内に挿入されて前記分枝部(10a,10b)の対が前記ピン中間部(9b)上に位置するときには、前記分枝部(10a,10b)の対と前記ロックピン(9)の前記ピン部分(9c)との間に干渉を生じる、
ことを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記ピン中間部(9b)は、軸方向に非対称の輪郭を有して形成される、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記ピン中間部(9b)の断面は、楕円形の形状を有する、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ピン中間部(9b)の断面は、部分円形の形状を有する、
請求項2に記載の装置。
【請求項5】
前記ピン中間部(9b)の両側に形成された前記ピン部分の一方(9a)は、一方の自由端において、前記第1の位置と前記第2の位置との間で前記ロックピン(9)を回転させる操作ツールと係合するように形成された表面を有する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記分枝部(10a,10b)は、主に長手方向に延在し、前記分枝部が前記座部内に挿入されたときに、前記座部の対応する壁面に対向するよう意図された表面部分をそれぞれ有し、前記表面部分は、前記ロックピン(9)が前記第2の位置まで移動されたときに、互いに接触する表面同士の間の把持力を増大させる鋸歯状の輪郭(12)をそれぞれ有する、
請求項1~5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記座部(13)は、前記眼鏡フレームの前記第2の構成部品に形成された空洞によって画定され、対向する前記壁面(14a,14b,15a,15b)は、前記空洞の口部(13a)から前記空洞の底部(16)に向けて延在し、前記壁面は、前記底部(16)に向けて、互いに近づくような輪郭または互いから離れるような輪郭を有する、
請求項1~6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
対応するレンズを支持するための前フレーム(4)および前記前フレーム(4)にヒンジ止めされる側方アーム(6)を含む眼鏡フレーム(2)と、
請求項1~7のいずれか1項に記載された前記眼鏡フレームの構成部品を取り付けるための装置と、
を備える、眼鏡。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主請求項1の前提部に記載された特徴を有する、眼鏡フレームの複数の構成部品を取り付けるための装置に関する。
【0002】
また、本発明は、請求項10に従って作製された上記取付け装置を備える眼鏡も含む。
【背景技術】
【0003】
本発明は、特に、フレームの複数の構成部品を相対的に取り付ける手段および装置を用いて組み立てられる眼鏡の分野に含まれる。
【0004】
上記に関連して、「フレームの構成部品」という用語は、例えば、眼鏡のアームの結合突起部、レンズ保持リム同士を中央で接続するように延在する鼻用支持ブリッジ、前フレームの各レンズ保持フレーム半部(each of the front lens-holder half-frames)、各アームまたはその一部、アームを突起部に結合するヒンジ等、フレームにおいて認識可能な全ての構成部品を含むよう意図されている。フレームにおいて互いに隣接するこれらの構成部品の対を、適切な取付け手段を用いてそれぞれ恒久的または着脱自在に互いに接続することにより、眼鏡フレームを作製することができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の主な目的は、眼鏡フレームの複数の構成部品を互いに取り付けるための装置を提供することである。この装置は、フレームの部品を簡単且つ迅速に互いに嵌合するのに有効であると同時に、恒久的な取付けシステムまたは一時的な取付け手段のいずれかが望ましい場合において、接続された部品が適切に保持されることを確実にする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下でより明らかになる上述した目的および他の目的は、添付の請求項に記載された特徴を有する装置によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の特徴および利点は、添付図面を参照して、非制限的な一例として以下に例示する本発明のいくつかの好適な実施例の詳細な説明によって明らかになるであろう。
【
図1】本発明に従って作製された、フレームの複数の構成部品を取り付けるための装置を有する眼鏡の斜視図である。
【
図2】本発明の装置を用いて取り付けられる
図1のフレーム構成部品の拡大斜視図である。
【
図5】本発明の取付け装置を用いて
図2の構成部品に接続される、
図1のフレームの第2の構成部品の部分断面斜視図である。
【
図8】
図7のVIII-VIII線に沿った断面図である。
【
図9】
図6の細部の変形例であり、
図8の断面図に相当する断面図である。
【
図10】
図6の細部が嵌合された状態を示す、
図5の細部の断面図である。
【
図11】本発明の装置を用いてフレームの複数の構成部品を互いに取り付ける工程を示す操作シーケンスの模式図である。
【
図12】本発明の装置を用いてフレームの複数の構成部品を互いに取り付ける工程を示す操作シーケンスの模式図である。
【
図13】本発明の装置を用いてフレームの複数の構成部品を互いに取り付ける工程を示す操作シーケンスの模式図である。
【
図14】本発明の装置を用いてフレームの複数の構成部品を互いに取り付ける工程を示す操作シーケンスの模式図である。
【
図15】本発明の装置を用いてフレームの複数の構成部品を互いに取り付ける工程を示す操作シーケンスの模式図である。
【
図16】本発明の装置を用いてフレームの複数の構成部品を互いに取り付ける工程を示す操作シーケンスの模式図である。
【
図17】
図15の取付け工程に関連する装置の部分模式図である。
【
図18】
図16の取付け工程に関連する装置の部分模式図である。
【
図19】本発明による装置の別の部分斜視図である。
【
図20】取付け工程における装置の変形例の模式図である。
【
図21】別の取付け工程における
図20に示す装置の模式図である。
【
図22】取付け工程における装置の別の変形例の模式図である。
【
図23】別の取付け工程における
図22の装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
上述した図を参照すると、本発明の眼鏡が、全体として符号1によって示されている。眼鏡1は、取付け装置によって互いに取り付けられる一対または二対以上の構成部品を有するフレーム2を備える。当該装置は、全体として符号3によって示され、本発明に従って作製される。
【0009】
フレーム2は、レンズ(図示せず)をそれぞれ支持する一対のレンズ保持リム5を有する前フレーム4と、一対の関節アーム6と、レンズ保持リム同士を中央で接続する中央ブリッジ7と、を備える。
【0010】
各アーム6は、特定の技術分野では「突起部」としても知られる特定のヒンジ要素8によって、前フレームの両側のそれぞれの対応する端部にヒンジ止めされる。このヒンジ接続は、例えば、互いに対向する突起部/アームの対のそれぞれの端部に形成されるアイレットに係合するヒンジピンによって提供することができる。
【0011】
上記に関連して、「フレームの構成部品」という用語は、例えば、前フレーム(または特定のレンズ保持リムの各フレーム半部)、中央接続ブリッジ、各アームまたはその一部(例えば、アームの端部)、各結合突起部、アームを結合させる各ヒンジ等、全ての単独の構成部品に関するよう意図されている。本発明は、互いに隣接して配置されたこれらのフレーム構成部品の対を互いに接続するための共通の取付け装置3に関する。
【0012】
以下、取付け装置3を詳細に説明する。取付け装置3は、中央ブリッジ7を前フレーム4の各レンズ保持リム5に取り付けるようになされる。したがって、当該装置3は、上述した「フレームの構成部品」のそれぞれの対を互いに取り付けるように構成され得ることに留意されたい。
【0013】
図2を参照すると、中央ブリッジ7の両側の端部は、特定のレンズ保持リム5にそれぞれ取り付けられようなされており、これにより、一対の取付け装置が構成される。各取付け装置は、同様の構造を有しながらブリッジ7の中央対称面に対して左右対称に配置されるため、以下ではその一方のみを説明する。
【0014】
各装置3は、ブリッジ7に関連する第1の取付け要素を備える。第1の取付け要素は、対応するレンズ保持リム5に関連する第2の取付け要素に、Xによって示される軸方向に差し込まれる。さらに、各装置3は、第1の取付け要素と第2の取付け要素との間で差込み方向Xに対して横方向に作動して、ブリッジ7とそれに対応するリム5とを互いに取り付けるロックピン9を備える。
【0015】
より具体的には、第1の取付け要素は、ブリッジ7の一方の端部と一体形成された共通の基部11から同じ方向に延在するように互いから離間して形成された一対の分枝部10a,10bを備える。
【0016】
互いに平行且つ互いから離間する上記分枝部10a,10bは、一対の細長いアームの形状となるように主に長手方向に延在する。各分枝部は、その自由端を始端とし、垂直且つ細長い第1の部分およびより小さい第2の部分を介して、取付け基部11を終端とするように形成される。
【0017】
分枝部のそれぞれの形状と大きさは、特に、分枝部が互いから離れるように移動した際に、弾性的に変形可能であるように選択される。
【0018】
各分枝部10a,10bは、それぞれの第1の部分に沿って、鋸歯状の輪郭12を含む特定の表面部分を有する。その機能については後述する。
図3に明確に示すように、鋸歯状の輪郭は、分枝部10a,10bの外側の互いに反対側の表面部分にそれぞれ形成される。
【0019】
第2の取付け要素は、リム5の対応する位置に形成される座部13を備える。座部13は、差込み軸方向Xに差し込まれた分枝部10a,10bの対を保持する。座部13は、長方形の断面形状を有する口部13aを構成する貫通しない空洞として、リム5の肉厚部に形成さる。空洞内では、口部13aから空洞の底部16に向けて、対向する二対の壁面14a,14bおよび15a,15bが延在する。
【0020】
分枝部10a,10bは、対向する壁面の対の間で結合遊びを少々有しながら座部13内で保持され、各分枝部10a,10bの鋸歯状の表面輪郭は、対応する壁面15a,15bにそれぞれ対向して実質的に当接する。
【0021】
また、座部13の空洞は、差込み軸方向に対して横方向に開口部20と交差し、開口部20内では、ロックピン9が回転可能に保持される。開口部は、レンズ保持リム5の肉厚部に横方向に形成され、同軸に形成される一対の孔20a,20bによって画定される。孔20a,20bは、同じ直径を有し、共に空洞の内部と連通するように空洞の両側に形成される。孔20aは、止まり穴として形成され、孔20bは、貫通孔として形成される。すなわち、孔20bは、ロックピンが挿入されるようにレンズ保持リム5の外側に開口する。有利には、孔20bは、開口部20に挿入されたロックピン9が外側から見えないように前フレーム4の内側に開口する。
【0022】
孔20a,20bは、適切な円形の輪郭を有し、ピン9を回転可能に支持するように同じ直径を有する。
【0023】
ピンは、互いに隣接して同軸になるよう軸方向に延在する3つの部分を有する。すなわち、ピンは、ピンのヘッド部を画定する第1の部分である円筒部9aと、第2の部分である中間部9bと、第3の部分である円筒状の端部9cと、からなる。部分9aおよび9cは、開口部20の孔20b,20aにそれぞれ回転可能に結合するように、同じ直径の円形の断面形状を有する。
【0024】
ピン部分9aは、その自由端において、ピンを回転させる操作ツールと係合するように適切に形成された表面を有する。
図6に示すように、上記表面を、例えば、ドライバー用の溝として形成することができる。
【0025】
中間部9bは、各部分9a,9cより小さいため、中間部9bの断面の輪郭は、軸方向において、各部分9a,9cの断面の輪郭より小さい。このような形状によって、ピン9は、ピン中間部9bによる干渉を受けることなく開口部20内に挿入され、中間部9bは、座部13の空洞内に収容される。
【0026】
また、ピン部分9bは、分枝部10a,10bの対が座部13内に挿入されたときに、分枝部の対の間に位置することができる。さらに、ピン部分9bの形状は、ピン9が第1の位置まで回転されたときに当該部分9bが分枝部10a,10bから一定の距離を保つように、また、ピン9が第2の位置まで回転されたときにピン部分9bが分枝部と干渉するように、選択される。この干渉によって、分枝部には、各分枝部が互いから離れて座部13の対応する壁面15a,15bにそれぞれ当接するように弾性応力が加えられて、第1の取付け要素と第2の取付け要素とが相対的に係合される。
【0027】
上述した機能を実現するために、ピン中間部9bは、軸方向に非対称な輪郭を有するように適切に形成される。
図8を参照すると、好ましい実施例において、ピン中間部9bは、楕円形の断面形状を有し、特に、ピン9の軸を中心とする楕円状の輪郭9dを有するように形成される。
【0028】
図9に示す第2の実施例では、ピン部分9bは、部分円形の断面形状を有し、具体的には、2つの基部を含む部分円部の形状を有する。その断面の輪郭は、対向する一対の円弧部9eを含む。円弧部9eは、部分円形部の基部を画定する一対の直線部9fに繋がる。
【0029】
当該取付け装置は、以下のように機能する。
【0030】
図10および
図11に示すように、最初の組立て工程において、ピン9は、開口部20内に挿入され、これにより、ピン部分9a,9cは、開口部20の孔20b,20aに回転可能に係合する。この位置では、ピン中間部9bは、座部の対向する壁面15a,15bの間で、横方向の寸法がより小さい部分(例えば、
図8に示す楕円状の輪郭の短軸、または
図17に示す部分円形部の基部同士の間の距離)を示すように向けられ、これにより、分枝部を干渉なしに確実に座部に差し込むことができる。
【0031】
ブリッジ7を特定のリム5(
図13)に近づけることによって、分枝部10a,10bは、口部13aを介して座部13内に摺動可能に挿入される。各分枝部は、結合遊びを少々有しながらピン部分9bと対応する壁面15a,15bとの間に配置される。
【0032】
この位置からピン9を、例えばヘッド部の溝に係合したドライバーを用いて、時計回りまたは反時計回りに90度回転させると、ピン中間部の横方向の寸法がより大きい部分(楕円状の輪郭の長軸、または
図18に示す部分円形部の円弧部同士の間の直径距離)が分枝部同士の間に介在するように、中間部9bが分枝部と干渉する。この位置では、ピン9は、分枝部10a,10bを弾性的に互いから離れるように移動させ、座部の対応する壁面15a,15bにそれぞれ当接させ、接触する表面同士を互いにロックさせる。
【0033】
鋸歯状の輪郭12が設けられる場合、壁面15a,15bのそれぞれの表面に押圧される鋸歯部分によって、座部の壁面に対する表面把持力が改善される。
【0034】
ロックは、装置に接続される構成部品を形成するために選択された材料にもよるが、恒久的なものであっても一時的なものであってもよい。
【0035】
金属材料のような比較的硬い材料から形成されたブリッジ7と、プラスチック材料のような比較的柔らかいまたは柔軟な材料から形成されたリム(または前フレームの半部)とを組み合わせた場合、ブリッジ7の各分枝部10a,10b上の鋸歯状の輪郭を用いることは、(相対的な把持のために輪郭の鋸歯部分がプラスチックに当接するため)一種の実質的に恒久的なロックのために有利に役立つ。
【0036】
また、前フレーム4が、金属のような比較的硬い材料から形成された場合、または非常に硬いプラスチック材料から形成された場合、一時的なロックを実現することができる。この場合、ロック動作は、分枝部に対するピンの圧力のみに基づくため、鋸歯状の輪郭を設けなくてもよい。
【0037】
なお、一時的な取付け手段を設けた場合、ピン9を第2の位置から第1の位置まで回転させて分枝部10a,10bに対するピン9の推力を相殺させることによって、装置3のロックを解除することができることに留意されたい。
【0038】
また、分枝部がピン中間部9b上に位置するときには、分枝部とピンの端部9cとの間に生じる干渉によって、分枝部は、開口部20に先に挿入されたピンが抜け落ちることを防止することに留意されたい(
図19)。さらに、リム5の肉厚部に形成され且つピン挿入孔20bに対向する孔20a内に、ピンの端部9cが収容されるため、ピンの横方向の移動も防止される。したがって、分枝部10a,10bが座部内に挿入されたときには、ピンは、それ自体の軸周りでのみ、移動自在である第1の位置からロック位置となる第2の位置まで回転可能となる。
【0039】
本発明を理解し易いように細部の形状を意図的に強調して示した
図20および
図21を参照すると、本発明による装置の変形例では、座部13が口部13aから底部16に向けて徐々に広がっている。これは、具体的には、対向する壁面15a,15bの輪郭を底部に向けて互いから離れるように形成することで実現される。
図21は、ロック状態を模式的に示しており、(この場合、楕円状の断面形状を有する)ピン中間部9bが、分枝部10a,10bを(弾性変形を引き起こすように)対応する壁面15a,15bに押圧している状態を示す。
【0040】
図22および
図23は、座部13が口部から底部16に向けて徐々に狭まっているという点で上述した実施例と異なる別の実施例を示す。これは、対向する壁面15a,15bの輪郭を底部に向けて互いに近づくように形成することで実現される。この場合、分枝部10a,10bは、自由端に向けてテーパ状に形成された(座部13に係合するよう意図された)端部をそれぞれ有するように形成される。変形していない状態の分枝部を図示する
図22が明確に示すように、分枝部のそれぞれのテーパ部は、壁面15a,15bのそれぞれの傾斜する輪郭に実質的に対応する傾斜輪郭線を有する。
図23は、ロック状態を模式的に示しており、(楕円状の断面形状を有する)ピン中間部9bが、分枝部10a,10bを(弾性変形を引き起こすように)対応する壁面15a,15bに押圧している状態を示す。
【0041】
上述した中央ブリッジとレンズ保持リム(または前フレームのフレーム半部)との接続は、本発明の装置を用いて互いに取り付けることができるフレームの一対の構成部品の一例である。本発明を適用することができるフレームの構成部品の他の組み合わせ例を、以下に例示する。
【0042】
組み合わせの一例では、ロック分枝部が、前フレームのフレーム半部に取り付けることができる上部ブリッジと一体形成され、座部とロックピンとが共にフレーム内に設けられる。上部ブリッジは、フレームの審美的効果のみのために設けられてもよく、または「汗止め」要素の支持体として機能するために設けられてもよい。
【0043】
別の組み合わせ例では、ロック分枝部が、側方突起部(ヒンジ支持構造)内に配置され、前フレームのフレーム半部(または単一部品である前フレーム)に設けられた座部と係合する。突起部は、前フレームの半部(または前フレーム)に差し込まれ、アームは、ヒンジによって突起部に連結される。
【0044】
別の組み合わせ例では、ヒンジ構造が、前フレーム(またはフレーム半部)をロックする座部とアームをロックする座部とに係合するよう意図されたロック分枝部を有する。ヒンジの一方の端部には、前フレームのためのプラグが設けられる。または、ヒンジの他方の端部には、アームのためのプラグが設けられる。
【0045】
別の組み合わせ例では、ヒンジが、アームに形成された座部に係合するよう意図されたロック分枝部を有する。ヒンジは、突起部を用いた一般的な手段によって前フレームに取り付けられ、アームに差し込まれる。
【0046】
別の組み合わせ例では、アームが、ヒンジ構造に形成された座部に係合するよう意図されたロック分枝部を有する。ヒンジの一方の端部は、突起部に取り付けられ、他方の端部には、アームに接続されるプラグが設けられる。
【0047】
別の組み合わせ例では、アームは、アーム本体とは異なるアーム端部を有し、アーム端部には、アーム本体に形成されたロック座部に差し込まれるよう意図されたロック分枝部が設けられる。
【0048】
したがって、本発明は、公知の解決手段と比較して前述した利点をもたらす一方で、提案された目的を達成する。
【0049】
主な利点は、本発明の取付け装置によって、フレームの構成部品同士の簡単且つ迅速な嵌合を実現することができることであり、これは、互いに取り付けることができ且つ一時的または恒久的な取付けのために設計されるフレームの複数の構成部品の対に適用することができる。
【0050】
さらなる利点は、本発明の取付け装置を作製するために必要な部品において、必要とされる機械加工の複雑さおよび準備される部品の数を低減することができることである。