(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/50 20100101AFI20220613BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20220613BHJP
【FI】
H01L33/50
H01L33/22
(21)【出願番号】P 2019158792
(22)【出願日】2019-08-30
【審査請求日】2021-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102314
【氏名又は名称】須藤 阿佐子
(74)【代理人】
【識別番号】100123984
【氏名又は名称】須藤 晃伸
(72)【発明者】
【氏名】大西 憲貴
【審査官】村川 雄一
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-514194(JP,A)
【文献】特開2004-096113(JP,A)
【文献】特開2003-297572(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0095426(KR,A)
【文献】特開2018-125464(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0109268(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0207071(US,A1)
【文献】特開2003-046124(JP,A)
【文献】特開2013-197309(JP,A)
【文献】特開2010-087292(JP,A)
【文献】特開2016-072435(JP,A)
【文献】特開2003-249682(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L33/00-33/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明基板と、
前記透明基板の第1の側に配置され、第1波長の光を発する発光部と、
前記透明基板の前記第1の側とは反対側の第2の側の第1領域に接して形成されている、前記第1波長の光の少なくとも一部を第2波長の光に変換する波長変換部と、
前記発光部、前記透明基板の周縁部、および前記透明基板の第2の側の前記第1領域よりも外側の第2領域に接して配置されている封止部と、を備え、
前記透明基板の
前記第2の側には前記第1領域
にのみ凹凸形状が形成されて
おり、
前記封止部は、
前記発光部に接して配置されている第1封止部と、
前記透明基板の前記第2領域、および前記第1封止部に接して配置されている第2封止部とを含み、
前記第1封止部と前記第2封止部との境界面は、前記透明基板の前記第1の側と同一平面上にある、発光装置。
【請求項2】
請求項1に記載の発光装置において、
前記凹凸形状が
ブラスト処理により形成され
た凹凸形状である、発光装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の発光装置において、
前記透明基板の前記第2の側は、前記第1領域が前記第2領域よりも窪んでいる、発光装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記凹凸形状における前記透明基板の表面粗さが、展開面積比として1.1以上である、発光装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の発光装置において、
前記第1封止部と第2封止部とが、異なる材料により構成されている、発光装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
発光層を含む半導体層とサファイア等の透光性基板と蛍光体層とを積層して構成した発光装置が提案されている。発光層を含む半導体層と蛍光体層との間に配置されたサファイア等の透光性基板により、発光装置の機械的強度を高めることができる。(特許文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された発光装置は、透光性基板(透過基板)と蛍光体層(波長変換部)との接合力が十分でなく、蛍光体層が透光性基板から剥離し、これにより発光装置としての耐久性が低下してしまう恐れがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様によると、発光装置は、透明基板と、前記透明基板の第1の側に配置され、第1波長の光を発する発光部と、前記透明基板の前記第1の側とは反対側の第2の側であって、少なくとも一部が前記発光部と対向する第1領域に接して形成されている、前記第1波長の光の少なくとも一部を第2波長の光に変換する波長変換部と、前記発光部、前記透明基板の周縁部、および前記透明基板の第2の側の前記第1領域よりも外側の第2領域に接して配置されている封止部と、を備え、前記透明基板の前記第1領域の少なくとも一部に凹凸形状が形成されている。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、波長変換部の透明基板に対する接合力が強化された、耐久性の高い発光装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、実施形態の発光装置を示す断面図。
図1(a)は、第1実施形態の発光装置1の断面図。
図1(b)は、第2実施形態の発光装置1aの断面図。
【
図2】
図2(a)~
図2(e)は、第1実施形態の発光装置の製造方法を説明するための図。
【
図3】
図3(a)~
図3(d)は、
図2に続く第1実施形態の発光装置の製造方法を説明するための図。
【
図4】
図4(a)~
図4(d)は、
図3に続く第1実施形態の発光装置の製造方法を説明するための図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発光装置の第1実施形態)
図1(a)は、第1実施形態の発光装置1の断面図を示す図である。以下、
図1(a)および
図1(b)に関する説明では、「上側」および「下側」とは、
図1(a)の紙面内の上方向および下方向をそれぞれ指すものとする。また、「側面」とは、対象物体の紙面内の上下方向に直交する方向における端面を指すものとする。
【0009】
発光装置1は、透明基板11と、透明基板11の下側に形成されている発光ダイオード(LED)等を含む第1の波長の光を発する発光部10を備えている。発光部10の構成の詳細については後述するが、発光部10は、GaN(窒化ガリウム)等の半導体を含むLEDであり、透明基板11に近い側から、n型半導体層、発光層、p型半導体層、および透明電極が順次積層されたものである。発光部10の下側、すなわち透明基板11とは反対側は、一例としてポリイミドから成る絶縁部材14により封止されている。発光部10の側面、および絶縁部材14に接して、第1封止部22が設けられている。従って、発光部10の周囲は、透明基板11、絶縁部材14、および第1封止部22により封止されている。
【0010】
第1封止部22および絶縁部材14の一部を貫通して、いずれも導体からなる柱状電極19、導電層17、およびシード層15が設けられている。シード層15は、発光部10のn型電極パッド3およびp型電極パッド8に接続している。柱状電極19の下端には、はんだボール24が設けられており、外部の電源からの電力は、はんだボール24、柱状電極19、導電層17、およびシード層15を介して、発光部10のn型電極パッド3およびp型電極パッド8に供給される。
【0011】
透明基板11の上側、すなわち発光部10とは反対側の面であって、発光部10と概ね対向する領域である第1領域12cに接して、波長変換部25が形成されている。波長変換部25は、発光部10が発する第1の波長の光の少なくとも一部を第2の波長の光に変換する。波長変換部25の周囲には、波長変換部25の側面に接して、第2封止部23が設けられている。第2封止部23はさらに、透明基板11の上側の面の第1領域12c以外の部分である第2領域12e、透明基板11の周縁部、すなわち側面、および第1封止部22とも接している。
以下では、第1封止部22、第2封止部23、および絶縁部材14を併せて、またはそれぞれ、封止部30とも呼ぶ。
【0012】
波長変換部25と接する透明基板11の上側の面の第1領域12cには、図中にジグザグ線で示した凹凸形状が設けられている。この凹凸形状は、透明基板11の表面に、一例として、展開面積比(Sdr) が1.1以上程度の凹凸が形成されたものである。ここで展開面積比とは、凹凸形状を有する面の実際の表面積を上面視した場合の面積で除算した結果から1を引いた値である。
波長変換部25は一例として透明樹脂と蛍光材料とを含み、波長変換部25を構成する透明樹脂が、透明基板11の第1領域12cの凹凸形状に入り込むことにより、透明基板11と波長変換部25との接合力が強化される。
【0013】
なお、凹凸形状は、第1領域12cの全ての部分に形成されていても良く、または、波長変換部25との間に十分な接合力が確保できる程度に第1領域12cの中に部分的に形成されていても良い。
また、第1領域12cは、その全面に渡って発光部10と対向していても良く、部分的に発光部10と対向していても良い。すなわち、第1領域12cは、少なくとも一部が前記発光部と対向する第1領域に接して形成されていれば良い。
【0014】
(発光装置の第2実施形態)
図1(b)は、第2実施形態の発光装置1aの断面図を示す図である。第2実施形態の発光装置1aの構成は、上述の第1実施形態の発光装置1の構成と殆ど共通している。従って、以下では、同一の構成には同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
第2実施形態の発光装置1aにおいて、透明基板11の上側の面の第1領域12cが、第2領域12eに対して窪んでいる点が、上述の第1実施形態の発光装置1とは異なっている。
【0015】
第2実施形態の発光装置1aでは、透明基板11の概ね中央に配置される第1領域12cの厚さを薄くすることができる。これにより、第1領域12cに第1実施形態の発光装置1と同じ厚さの、すなわち高効率の波長変換に必要な厚さの波長変換部25を配置しても、発光装置1aの厚さ(上下方向の長さ)を小型化することができる。
一方、透明基板11の周辺に配置される第2領域12eの厚さを厚く保つことにより、透明基板11に十分な機械強度を持たせることができるため、発光装置1aの機械的強度も十分に高く保つことができる。
【0016】
(各実施形態の発光装置の製造方法)
以下、
図2から
図4を参照して、上述した各実施形態の発光装置1、1aの製造方法について説明する。ただし、第2実施形態の発光装置1aの製造方法は、第1実施形態の発光装置1の製造方法とほとんど共通しているので、以下では、主に第1実施形態の発光装置1の製造方法について説明を行う。
なお、以下の製造方法の説明における各変形例も、上述した各実施形態の変形例に含まれる。
【0017】
(工程1)
同一面内に複数の発光部10が配置されている、被加工基板9を用意する。
図2(a)は、被加工基板9の断面図を示している。
なお、
図2(a)から
図2(e)、および
図3(a)、
図3(b)では、上述の
図1とは上下方向が逆転して示されている。以下では、「上」および「下」の語は、参照する各図の紙面上下方向に従ったものである。
【0018】
複数の発光部10は、サファイア基板等の透明基板11aの面上に配置されている。発光部10はGaN(窒化ガリウム)等の半導体を含むLEDであり、透明基板11aに近い側から、n型半導体層2、発光層4、p型半導体層5、および透明電極6が順次積層されている。n型半導体層2、発光層4、p型半導体層5、および透明電極6を覆って、保護膜7が形成されている。
発光部10には、n型半導体層2に電力を供給するためのn型電極パッド3、およびp型半導体層5に電力を供給するためのp型電極パッド8も形成されている。n型電極パッド3、およびp型電極パッド8の上面は保護膜7から露出している。
発光層4を含む発光部10の少なくとも一部は、有機材料で構成されていてもよい。
【0019】
発光部10は、
図2(a)および以降の各図の左右方向のみでなく、奥行き方向にも複数並んで形成されており、発光部10が形成された透明基板11aの面に垂直な方向から見れば、その面上には複数の発光部10が格子状に配列して形成されている。
また、
図2(a)および以降の各図においては、左右方向に並ぶ3個の発光部10を示しているが、発光部10の数は左右方向および奥行き方向のいずれについても3個より多くて良く、例えば数百個以上であっても良い。
【0020】
なお、
図2(a)においては、各発光部10に含まれるn型半導体層2は、透明基板11aの面内方向に連続して形成されている。しかし、n型半導体層2は各発光部10毎に分離して形成されていても良い。
図2(a)に示した被加工基板9は、透明基板上に複数のLEDを形成するための公知の方法により製造することができる。
【0021】
(工程2)
透明基板11a上に、発光部10を覆って一例としてポリイミドから成る絶縁部材14を形成し、フォトリソグラフィ工程により、n型電極パッド3およびp型電極パッド8上の絶縁部材14に、開口部を形成する。そして、絶縁部材14上および上記の開口部に、無電解メッキまたはスパッタ等により銅等の導体を成膜することによりシード層15を形成する。
図2(b)は、シード層15が形成された状態を示している。
【0022】
(工程3)
透明基板11a上に、シード層15を覆ってレジスト16を形成する。そして、所定のフォトマスクを用いてレジスト16を露光し、現像を行い、レジスト16上の所定位置に開口部を形成する。この開口部から露出したシード層15を電極として、この開口部に銅等の導体を電解メッキすることにより導電層17を形成する。
図2(c)は、導電層17が形成された状態を示している。
【0023】
(工程4)
図2(c)に示した状態から、レジスト16を剥離し、シード層15および導電層17を覆って、新たにレジスト18を形成する。そして、所定のフォトマスクを用いてレジスト18を露光し、現像を行い、レジスト18上の所定位置に開口部を形成する。この開口部から露出した導電層17を電極として、この開口部に銅等の導体を電解メッキすることにより柱状電極19を形成する。
図2(d)は、柱状電極19が形成された状態を示している。
【0024】
導電層17および柱状電極19はどちらも、透明基板11aの面内方向(図中の左右方向および奥行方向)に配線を行うための配線層とすることができる。配線層である導電層17および柱状電極19により、後述するはんだボール24を、n型電極パッド3およびp型電極パッド8の直下以外の位置に形成することができる。
【0025】
(工程5)
図2(d)に示した状態から、レジスト18を剥離し、導電層17と重複する部分以外のシード層15を除去する。シード層15の除去は、導電層17をマスクとしてシード層15をエッチングすることにより行う。
図2(e)は、シード層15が除去された状態を示している。
【0026】
(工程6)
図3(a)に示すように、複数の発光部10の境界に沿って、絶縁部材14、保護膜7、およびn型半導体層2をダイシングソーで切断し、第1空隙部20を形成する。この切断においては、透明基板11aを切断はしないが、透明基板11aの一部がダイシングソーにより部分的に切除されても良い。
【0027】
第1空隙部20は、絶縁部材14、保護膜7、n型半導体層2が、ダイシングソーにより切除された部分に相当する。第1空隙部20は、発光部10の
図3(a)中の左右の境界のみではなく、紙面の奥行き方向の境界にも形成する。
複数の発光部10は、個々に切断された後も、透明基板11により一体的に保持されている。
【0028】
(工程7)
切断された複数の発光部10を、第1封止部22で封止する。
図3(b)は、複数の発光部10が第1封止部22により封止された状態を示している。この封止においては、第1封止部22を形成する封止材料を、複数の発光部10を覆って柱状電極19の上端面と同じ高さまで充填する。これにより、第1空隙部20の内部にも封止材料が充填され、すなわち、複数の発光部10、および複数の絶縁部材14に接して、第1封止部22が形成される。
第1封止部22として、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料を使用する。また、第1封止部22として高反射率の特性をもったエポキシ樹脂等を使用しても良い。
【0029】
(工程8)
図3(c)に示したとおり、複数の発光部10の境界に沿って、透明基板11aをダイシングソーで切断し、第2空隙部21を形成する。透明基板11aがダイシングソーにより切断された個片を、透明基板11と呼ぶ。この切断においては、第1封止部22を切断はしないが、第1封止部22の一部がダイシングソーにより部分的に切除されても良い。
なお、
図3(c)および以降の図は、
図2(a)から
図3(b)までの図とは、上下方向を反転して示している。
図3(c)および以降の図においては、上下方向は、
図1(a)および
図1(b)と一致している。
【0030】
(工程9)
切断された複数の透明基板11を、第2封止部23で封止する。
図3(d)は、複数の透明基板11が第2封止部23により封止された状態を示している。この封止においては、第2封止部23を形成する封止材料が、第1封止部22および複数の透明基板11の全面を覆うように充填する。これにより、第2空隙部21の内部にも封止材料が充填され、すなわち、複数の透明基板11に接して第2封止部23が形成される。
第2封止部23として、例えばエポキシ樹脂等の樹脂材料を使用する。
【0031】
(工程10)
図4(a)に示すように、第2封止部23のうち、複数の透明基板11の第1領域12cの直上に形成されている部分を、ブラスト処理により除去し、開口28を形成する。開口28以外の部分には、第2封止部23が残存している。
第2封止部23の除去に際し、透明基板11の第1領域12cには、上述のブラスト処理により、凹凸形状が形成される。あるいは、第2封止部23を削除した後に、残存する第2封止部23をマスクとして、第1領域12c上に凹凸形状を形成するためのエッチング処理やプラズマ処理を行っても良い。
透明基板11aがサファイアである場合、エッチング処理としてはリン酸等を含む溶液による処理を行う。
なお、上述の凹凸形状の形成をブラスト処理で行う場合には、第2封止部23
の除去と、透明基板11の第1領域12cに対する凹凸形成を、連続してブラスト処理で行うことができるため、生産性を高めることができる。
【0032】
凹凸形状は、その表面粗さが、一例として上述のとおり、展開面積比(Sdr) が1.1以上である。
【0033】
(工程11)
図4(b)に示すように、
図4(a)に示した開口28の内部に、波長変換部25を形成する。すなわち、波長変換部25は、透明基板11の発光部10とは反対側の面であって、概ね発光部10と対向する第1領域12c、および第2封止部23の側面と接するように形成される。
波長変換部25は、一例として透明樹脂と蛍光材料とを含み、波長変換部25を構成する透明樹脂が、透明基板11の第1領域12cの凹凸形状に入り込むことにより、透明基板11と波長変換部25との接合力が強化される。
【0034】
(工程12)
図4(c)に示したとおり、それぞれの発光部10に形成されている柱状電極19の下端面に、はんだボール24を形成する。そして、はんだボール24を含む第1封止部22の下面に、ダイシング用テープ26を貼り付ける。
【0035】
(工程13)
図4(d)に示したとおり、複数の発光部10の境界に沿って、波長変換部25の形成されている側から、ダイシングソーにより第2封止部23および第1封止部22を切断することにより、第3空隙部27が形成される。これにより、発光部10、透明基板11、柱状電極19等を含む、
図1(a)に示した第1実施形態の発光装置1が形成される。ただし、この切断に際し、ダイシング用テープ26は切断しない。従って、個片化された発光装置1は、はんだボール24および柱状電極19等を介して、ダイシング用テープ26に保持されている。ダイシング用テープ26から、発光装置1を剥離することにより、
図1(a)に示した第1実施形態の発光装置1が完成する。
なお、以上の製造方法におけるそれぞれの工程は、必ずしも上述の説明の順序通りに実施される必要はなく、いくつかの工程の順番を入れ替えて実行しても良い。
【0036】
以上の製造方法において、工程10、すなわち第2封止部23の一部に開口28を形成する工程において、透明基板11の厚さが、第1領域12cにおいて第2領域12eよりも薄くなるように、透明基板11を部分的に彫り込んで除去しても良い。透明基板11の部分的な除去も、上述のブラスト処理やリソグラフィにより行うことができる。
この結果、第2実施形態の発光装置1aにおいては、透明基板11の上側の面の第1領域12cが、第2領域12eに対して窪んで形成されている。
【0037】
(各実施形態の発光装置に関する補足説明)
以上で説明した第1実施形態の発光装置1および第2実施形態の発光装置1aのいずれにおいても、発光部10が発する第1波長の光は、単一波長の光であっても良く、波長幅を有する光であっても良い。波長変換部25は、第1波長の光の全てを第2波長の光に変換しても良く、第1波長の光の一部を第2波長の光に変換しても良い。第2波長の光は、第1波長の光とは波長が異なる光であり、単一波長の光であっても良く、波長幅を有する光であっても良い。波長変換部25として蛍光体を含む材料を使用する場合には、一般的に第2波長は、第1波長よりも波長が長くなる。
【0038】
以上で説明した、第1実施形態および第2実施形態の発光装置1、1aにおいては、発光装置1の柱状電極19の端面にはんだボール24を備えることにより、発光装置1、1aの電子基板等への実装時のコストの低減が図れるが、発光装置1、1aを実装すべき電子基板等に予めはんだが形成されている場合には、はんだボール24は不要である。
【0039】
(実施形態の発光装置の効果)
(1)以上の各実施形態の発光装置1、1aは、透明基板11と、透明基板11の第1の側(下側)に配置され第1波長の光を発する発光部10と、透明基板11の第1の側とは反対側の第2の側(上側)であって、少なくとも一部が発光部10と対向する第1領域12cに接して形成されている、第1波長の光の少なくとも一部を第2波長の光に変換する波長変換部25と、発光部10、透明基板11の周縁部、および透明基板11の第2の側(上側)の第1領域12cよりも外側の第2領域12eに接して配置されている封止部30(第1封止部22、第2封止部23、絶縁部材14)と、を備えている。そして、透明基板11の第1領域12cの少なくとも一部に凹凸形状が形成されている。
この構成により、波長変換部25の透明基板11に対する接合力が強化された、耐久性の高い発光装置を実現することができる。
また、透明基板11を有することにより、機械的強度の高い発光装置を実現することができる。
【0040】
(2)さらに、透明基板11の第1領域12cの全体に凹凸形状が形成されている構成とすることにより、波長変換部25の透明基板11に対する接合力が一層強化された、耐久性のさらに高い発光装置を実現することができる。
(3)さらに、透明基板11の第2の側(上側)は、第1領域12cが第2領域12eよりも窪んでいる構成とすることで、透明基板11に高い機械的強度を持たせつつ第1領域12cを薄くすることができ、発光装置1aの厚さ(上下方向の長さ)を小型化することができる。
(4)さらに、凹凸形状における透明基板11の表面粗さを、展開面積比(Sdr) として1.1以上とすることで、波長変換部25の透明基板11に対する接合力を一層強化し、より耐久性の高い発光装置を実現することができる。
【0041】
(5)さらに、封止部30は、発光部10に接して配置されている第1封止部22と、透明基板11の第2領域12e、および第1封止部22に接して配置されている第2封止部23とを含む構成とすることで、第1封止部22および第2封止部23に対して、それぞれ適した封止材を使用することができ、封止性能を一層向上させることができる。
【0042】
上記では、種々の実施の形態および変形例を説明したが、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。本発明の技術的思想の範囲内で考えられるその他の態様も本発明の範囲内に含まれる。
【符号の説明】
【0043】
1,1a…発光装置、2…n型半導体層、3…n型電極パッド、4…発光層、5…p型半導体層、6…透明電極、7…保護膜、8…p型電極パッド、9…被加工基板、10…発光部、11,11a…透明基板、12c…第1領域、12e…第2領域、14…絶縁部材、15…シード層、16,18…レジスト、17…導電層、19…柱状電極、20…第1空隙部、21…第2空隙部、22…第1封止部、23…第2封止部、24…はんだボール、25…波長変換部、26…ダイシング用テープ、27…第3空隙部、30…封止部