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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B23Q 7/04 20060101AFI20220613BHJP
   B23Q 7/14 20060101ALI20220613BHJP
   B23B 15/00 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B23Q7/04 A
B23Q7/14
B23B15/00 A
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2019192304
(22)【出願日】2019-10-21
(65)【公開番号】P2021065956
(43)【公開日】2021-04-30
【審査請求日】2022-03-17
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591014835
【氏名又は名称】高松機械工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092727
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 忠昭
(74)【代理人】
【識別番号】100146891
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 ひろ美
(72)【発明者】
【氏名】浅井 隆平
【審査官】山本 忠博
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-198927(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2015-0121877(KR,A)
【文献】中国実用新案第203542247(CN,U)
【文献】特開平10-138001(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102010034739(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23Q 7/00-7/18,11/08,
37/00-41/08,
B23B 1/00-51/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工装置本体の下部に設けられたベッドと、前記ベッドの上支持面に前記加工装置本体の後側から前側に向けて斜め上方であるY軸方向に移動自在に支持された主軸支持部材と、前記主軸支持部材の主軸支持面に前記ベッドの前記上支持面に対して実質上垂直で且つ前記加工装置本体の後側から前側に向けて斜め下方であるZ軸方向に移動自在に支持された主軸ユニットと、前記ベッドの中間支持面に前記ベッドの前記上支持面及び前記主軸支持部材の前記主軸支持面に対して実質上垂直で且つ前記加工装置本体の横方向であるX軸方向に移動自在に支持された刃物台ユニットと、前記主軸ユニットと前記刃物台ユニットとの間の加工域に加工物を搬送するための搬送装置と、前記ベッド、前記主軸支持部材、前記主軸ユニット及び前記刃物台ユニットを覆うためのハウジングカバーと、を備えており、
前記搬送装置は、前記加工装置本体の前記横方向に延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する搬送チャックとを備えており、
前記ハウジングカバー内の前上部には、前記加工装置本体の前上部を覆う前面カバーと前記主軸ユニットとの間に収容空間が設けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記収容空間内に収容されて前記横方向に延び、前記搬送装置の前記搬送ユニットは、前記前面カバーの内側にて前記架設レールに沿って前記横方向に移動されることを特徴とする加工装置。
【請求項2】
前記ベッドの前中間部には、前記加工装置本体の前記横方向に延びる前中間凹部が設けられ、前記中間凹部に前記中間支持面が設けられ、前記刃物台ユニットの一部は、前記中間凹部内を前記横方向に移動されることを特徴とする請求項1に記載の加工装置。
【請求項3】
前記主軸ユニット及び前記刃物台ユニットと前記搬送ユニットの移動経路との間に、前記加工域を覆うための内側開閉カバーが開閉自在に設けられ、また前記搬送ユニットの前面側に前記収容空間を覆うための外側開閉カバーが開閉自在に設けられ、前記内側開閉カバー及び前記外側開閉カバーが前記加工装置本体の前後方向に重なって配置され、前記外側開閉カバー及び前記内側開閉カバーを通して前記加工域を目視可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加工装置。
【請求項4】
加工装置本体の下部に設けられたベッドベースと、前記加工装置本体の幅方向に前記ベッドベースに設けられた第1及び第2加工装置部と、前記第1及び第2加工装置部の第1及び第2加工域に加工物を搬送するための搬送装置とを具備し、
前記第1及び第2加工装置部は、前記ベッドベースに取り付けられる第1及び第2ベッドユニットと、前記第1及び第2ベッドユニットの第1及び第2上支持面に前記第1及び第2加工装置部の後側から前側に向けて斜め上方であるY軸方向に移動自在に支持された第1及び第2主軸支持部材と、前記第1及び第2主軸支持部材の第1及び第2主軸支持面に前記第1及び第2加工装置部の後側から前側に向けて斜め下方であるZ軸方向に移動自在に支持された第1及び第2主軸ユニットと、前記第1及び第2主軸ユニットに対応して前記第1及び第2ベッドユニットの第1及び第2中間支持面に前記第1及び第2加工装置部の横方向であるX軸方向に移動自在に支持された第1及び第2刃物台ユニットとを備え、
前記第1及び第2ベッドユニット、前記第1及び第2主軸支持部材、前記第1及び第2主軸ユニット及び前記第1及び第2刃物台ユニットはハウジングカバーにより覆われており、
前記搬送装置は、前記加工装置本体の前記横方向に前記第1及び第2加工装置部を通して延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する搬送チャックとを備えており、
前記ハウジングカバー内の前上部には、前記加工装置本体の前上部を覆う第1及び第2前面カバーと前記第1及び第2主軸ユニットとの間に相互に連通する第1及び第2収容空間が設けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記第1及び第2収容空間に収容されて前記横方向に延び、前記搬送装置の前記搬送ユニットは、前記架設レールに支持されて前記第1及び第2前面カバーの内側にて前記第1及び第2収容空間を通して前記横方向に移動されることを特徴とする加工装置。
【請求項5】
前記ハウジングカバーは、前記加工装置本体の片側面側を覆う第1側面カバーと、その他側面側を覆う第2側面カバーと、その後面側を覆う後面カバーとを備え、前記後面カバーは、前記加工装置本体の前記片面側又は前記他面側の後端部を中心として後方に旋回自在に装着され、前記後面カバーを開状態にすると、前記第1及び第2加工装置部の後部側が開放されることを特徴とする請求項4に記載の加工装置。
【請求項6】
前記後面カバーは、前記加工装置本体の前記片面側の後端部を中心として後方に旋回自在に装着され、前記第2側面カバーは、前記加工装置本体の前記他面側の前部を覆う第2側面前カバー部と、その他面側の後部を覆う第2側面後カバー部とを備え、前記第2側面後カバー部が取外し可能に構成され、前記後面カバーを開状態にした状態にて前記第2側面後カバー部を取り外すと、前記加工装置本体の前記他面側の後部に大きな点検開口が生じることを特徴とする請求項5に記載の加工装置。
【請求項7】
前記第1及び第2加工装置部の前記第1及び第2主軸ユニット並びに前記第1及び第2刃物台ユニットと前記搬送ユニットの移動経路との間に、前記第1及び第2加工域を覆うための第1及び第2内側開閉カバーが開閉自在に設けられ、また前記搬送ユニットの前記移動経路の前面側に前記第1及び第2収容空間を覆うための第1及び第2外側開閉カバーが開閉自在に設けられ、前記第1及び第2内側開閉カバーと前記第1及び第2外側開閉カバーとが前記加工装置本体の前後方向に重なって配置され、前記第1外側開閉カバー及び前記第1内側搬送カバーを通して前記第1加工域を目視可能であるとともに、前記第2外側開閉カバー及び前記第2内側搬送カバーを通して前記第2加工域を目視可能であることを特徴とする請求項4~6のいずれかに記載の加工装置。
【請求項8】
前記ベッドベースには、更に、前記加工装置本体の前記幅方向に第3加工装置部が設けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記横方向に前記第1~第3加工装置部を通して延び、前記ハウジングカバー内の前上部には、前記加工装置本体の前上部を覆う第1~第3前面カバーと第1~第3主軸ユニットの間に相互に連通する第1~第3収容空間が設けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記第1~第3収容空間に収容されて前記横方向に延び、前記搬送装置の前記搬送ユニットは、前記架設レールに支持されて前記第1~第3前面カバーの内側にて前記第1~第3収容空間を通して前記横方向に移動されることを特徴とする請求項4に記載の加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加工物を搬送装置を用いて加工域に搬送して加工を行う加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
加工物を搬送する搬送装置(例えば、ローダ装置)を備えた加工装置(例えば、NC旋盤)が知られている(例えば、特許文献1参照)。この加工装置は、工場の床面などに設置されるベッドベースと、前記ベッドベースに取り付けられた一対の主軸ユニットと、一対の主軸ユニットの両外側に配設された一対のタレット装置とを備えている。一対の主軸ユニットは、所定方向に回転駆動される主軸と、この主軸と一体的に回動する主軸チャックとを備え、加工すべき加工物は、この主軸チャックに取り付けられる。また、一対のタレット装置は、例えば、対応する主軸ユニットの主軸の軸方向(所謂、Z軸方向)に移動自在に且つ加工物の径方向(所謂、X軸方向)に移動自在にベッドベースに支持されたタレット台と、このタレット台に所定角度毎に回転されるタレットとを備え、このタレットの周囲に加工物を加工するための加工工具が取り付けられる。
【0003】
この加工装置では、その前面側、即ち一対の主軸ユニット及び一対のタレット装置の前面側に搬送装置が配設されている。搬送装置は、加工装置の一側端側から他側端側に延びる架設レールと、この架設レールに移動自在に支持された搬送ユニット(ローダ)と、搬送ユニットに取り付けられた搬送チャック(ローダチャック)とを備えている。
【0004】
このような搬送装置を備えた加工装置においては、例えば、加工すべき加工物を2つの加工域で同じように加工する場合、加工物供給域に送給された加工物は、搬送チャックに保持され、搬送ユニットの移動によって一方の主軸ユニット(又は他方の主軸ユニット)の主軸チャックに搬送され、この主軸チャックとの間で加工物の交換が行われ、主軸チャックに保持された加工物に対し、タレットに取り付けられた加工工具により所定の加工が行われ、加工された加工済みの加工物は、搬送装置の搬送チャックに保持され、搬送ユニットによって搬送されて加工物排出域に搬送されて排出される。
【0005】
また、例えば、加工物を一方の加工域で一次加工を行った後に他方の加工域で二次加工を行う場合、加工物供給域に送給された加工物は、搬送チャックに保持され、搬送ユニットの移動によって一方の主軸ユニットの主軸チャックに搬送され、この主軸チャックとの間で加工物の交換が行われ、主軸チャックに保持された加工物に対し、タレットに取り付けられた加工工具により所定の一次加工が行われる。一次加工された加工物は、搬送装置の搬送チャックに保持され、搬送ユニットの移動によって他方の主軸ユニットの主軸チャックに搬送され、この主軸チャックとの間で加工物の交換が行われ、主軸チャックに保持された加工物に対し、タレットに取り付けられた加工工具により所定の二次加工が行われ、二次加工された加工済みの加工物は、搬送装置の搬送チャックに保持され、搬送ユニットによって搬送されて加工物排出域に搬送されて排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開平10-15770号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、このような加工装置では、次のような問題がある。加工装置本体(換言すると、主軸ユニット及びタレット装置)の前面側に搬送装置(架設レール、搬送ユニットなど)が配設される構成であるので、装置全体の前後方向の大きさは、加工装置本体の長さに搬送装置の長さを加えたものとなり、この前後方向の大きさが大きくなる問題がある。
【0008】
本発明の目的は、搬送装置を備えた加工装置において、搬送装置に関連して装置全体の前後方向のサイズを小さくすることができる加工装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の加工装置は、加工装置本体の下部に設けられたベッドと、前記ベッドの上支持面に前記加工装置本体の後側から前側に向けて斜め上方であるY軸方向に移動自在に支持された主軸支持部材と、前記主軸支持部材の主軸支持面に前記ベッドの前記上支持面に対して実質上垂直で且つ前記加工装置本体の後側から前側に向けて斜め下方であるZ軸方向に移動自在に支持された主軸ユニットと、前記ベッドの中間支持面に前記ベッドの前記上支持面及び前記主軸支持部材の前記主軸支持面に対して実質上垂直で且つ前記加工装置本体の横方向であるX軸方向に移動自在に支持された刃物台ユニットと、前記主軸ユニットと前記刃物台ユニットとの間の加工域に加工物を搬送するための搬送装置と、前記ベッド、前記主軸支持部材、前記主軸ユニット及び前記刃物台ユニットを覆うためのハウジングカバーと、を備えており、
前記搬送装置は、前記加工装置本体の前記横方向に延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する搬送チャックとを備えており、
前記ハウジングカバー内の前上部には、前記加工装置本体の前上部を覆う前面カバーと前記主軸ユニットとの間に収容空間が設けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記収容空間内に収容されて前記横方向に延び、前記搬送装置の前記搬送ユニットは、前記前面カバーの内側にて前記架設レールに沿って前記横方向に移動されることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の他の加工装置は、加工装置本体の下部に設けられたベッドベースと、前記加工装置本体の幅方向に前記ベッドベースに設けられた第1及び第2加工装置部と、前記第1及び第2加工装置部の第1及び第2加工域に加工物を搬送するための搬送装置とを具備し、
前記第1及び第2加工装置部は、前記ベッドベースに取り付けられる第1及び第2ベッドユニットと、前記第1及び第2ベッドユニットの第1及び第2上支持面に前記第1及び第2加工装置部の後側から前側に向けて斜め上方であるY軸方向に移動自在に支持された第1及び第2主軸支持部材と、前記第1及び第2主軸支持部材の第1及び第2主軸支持面に前記第1及び第2加工装置部の後側から前側に向けて斜め下方であるZ軸方向に移動自在に支持された第1及び第2主軸ユニットと、前記第1及び第2主軸ユニットに対応して前記第1及び第2ベッドユニットの第1及び第2中間支持面に前記第1及び第2加工装置部の横方向であるX軸方向に移動自在に支持された第1及び第2刃物台ユニットとを備え、
前記第1及び第2ベッドユニット、前記第1及び第2主軸支持部材、前記第1及び第2主軸ユニット及び前記第1及び第2刃物台ユニットはハウジングカバーにより覆われており、
前記搬送装置は、前記加工装置本体の前記横方向に前記第1及び第2加工装置部を通して延びる架設レールと、前記架設レールに移動自在に支持された搬送ユニットと、前記搬送ユニットに設けられて前記加工物を保持する搬送チャックとを備えており、
前記ハウジングカバー内の前上部には、前記加工装置本体の前上部を覆う第1及び第2前面カバーと前記第1及び第2主軸ユニットとの間に相互に連通する第1及び第2収容空間が設けられ、前記搬送装置の前記架設レールは、前記第1及び第2収容空間に収容されて前記横方向に延び、前記搬送装置の前記搬送ユニットは、前記架設レールに支持されて前記第1及び第2前面カバーの内側にて前記第1及び第2収容空間を通して前記横方向に移動されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明の加工装置によれば、ベッド(第1及び第2ベッドユニット)の上支持面にY軸方向(第1の方向)に移動自在に支持された主軸支持部材(又は第1及び第2主軸支持部)と、主軸支持部材(又は第1及び第2主軸支持部材)の主軸支持面(又は第1及び第2主軸支持面)にZ軸方向(第2の方向)に移動自在に支持された主軸ユニット(又は第1及び第2主軸ユニット)と、主軸支持部材の中間支持面(又は第1及び第2中間支持面)にX軸方向(第3の方向)に移動自在に支持された刃物台ユニット(又は第1及び第2刃物台ユニット)と、ベッド(第1及び第2ベースユニット)、主軸支持部材(又は第1及び第2主軸支持部材)、主軸ユニット(又は第1及び第2主軸ユニット)及び刃物台ユニット(又は第1及び第2刃物台ユニット)を覆うためのハウジングカバーと、を備え、ベース(第1及び第2ベースユニット)の上支持面(又は第1及び第2上支持面)は、加工装置本体の後側から前側に向けて斜め上方に傾斜して延び、主軸支持部材(又は第1及び第2主軸支持部材)の主軸支持面(又は第1及び第2主軸支持面)は、加工装置本体の後側から前側に向けて斜め下方に延び、ベッドベースの中間支持面(又は第1及び第2中間支持面)は、加工装置本体の横方向に延びているので、ベッド(第1及び第2ベースユニット)の上支持面(又は第1及び第2上支持面)及び主軸支持部材(又は第1及び第2主軸支持部材)の主軸支持面(又は第1及び第2主軸支持面)に関連して加工装置本体の前後方向のサイズを小さくすることができる。また、上述した配置により、加工装置本体の前面カバーと主軸ユニット(又は第1及び第2主軸ユニット)との間に収容空間(第1及び第2収容空間)が生じ、搬送装置の架設レールは、かかる収容空間(又は第1及び第2収容空間)内に収容されて横方向に延び、搬送装置の搬送ユニットは、前面カバーの内側にて架設レールに沿って横方向に移動されるので、この搬送装置、特に架設レール及び搬送ユニットに関連して加工装置全体の前後方向のサイズを効果的に小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明に従う加工装置の一実施形態を示す正面図。
図2図1におけるII-II線による断面図。
図3図1の加工装置における第1加工装置部の第1加工域及びその周囲を拡大して示す部分拡大断面図。
図4図3の第1加工装置部の第1加工域及び第1外側開閉カバー並びにその周囲を示す部分断面図。
図5図3の第1加工装置部の第1加工域及び第1外側開閉カバー並びにその周囲を拡大して示す部分拡大断面図。
図6図1の加工装置の後面カバーを開状態にし、第2側面後カバーを取り外した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う加工装置の一実施形態について説明する。図1及び図2において、図示の加工装置は加工装置本体2を備え、この実施形態では、加工装置本体2は、その幅方向(図1において左右方向、図2において紙面に対して垂直な方向)に連続して配設された3つの加工装置部、即ち第1~第3加工装置部4,6,8を備え、これら第1~第3加工装置部4~8がベッドベース7に取り付けられている。この加工装置本体2の一側部(図1において左側部)に加工物供給装置10が設けられ、また第1~第3加工装置部4~8に関連して、加工物供給装置10の供給域に搬送された加工物P(図3参照)を第1~第3加工装置部4~8の第1~第3加工域K(K1~K3)に搬送するための搬送装置11が設けられている。
【0014】
第1~第3加工装置部4~8は、実質上同一の構成であり、それらの一つの加工装置部、即ち第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)について説明する。主として図2を参照して、図示の第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)は、工場の床面に設置されるベッドベース7に取り付けられるベッドユニット12を備え、このベッドユニット12に第1支持機構14を介して主軸支持部材16が第1の方向(所謂、Y軸方向)に移動自在に支持されている。この実施形態では、ベッドユニット12は、第1~第3加工装置部4~8の共通のベッドベース7に取り付けられ、かかる共通のベッドベース7に第1~第3加工装置部4~8のベッドユニット12が取り付けられる。
【0015】
第1支持機構14に関連して、第1駆動源としての第1駆動モータ18が設けられ、この第1駆動モータ18が例えば所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、主軸支持部材16は、第1支持機構14の支持面、即ちベッドユニット12の上支持面に支持されて矢印20(又は22)で示す方向に移動される。
【0016】
この主軸支持部材16に第2支持機構24を介して主軸ユニット26が第2の方向(所謂、Z軸方向)に移動自在に支持されている。この第2支持機構24に関連して、第2駆動源としての第2駆動モータ28が設けられ、この第2駆動モータ28が例えば所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、主軸ユニット26は、第2支持機構24の支持面、即ち主軸支持部材16の主軸支持面に支持されて矢印30(又は32)で示す方向に移動される。
【0017】
また、ベッドユニット12の前中間部に第3支持機構34を介して刃物台ユニット36が第3の方向(所謂、X軸方向)に移動自在に支持されている。この第3の支持機構34に関連して、第3駆動源としての第3駆動モータ38が設けられ、この第3駆動モータ38が例えば所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、刃物台ユニット36は、第3支持機構34の支持面、即ちベッドユニット12の中間支持面に支持されて図2において紙面に対して垂直な方向奥側(又は紙面に対して垂直な方向手前側)に移動される。
【0018】
この加工装置においては、第1支持機構14の支持面、即ちベッドユニット12の上支持面は、加工装置本体2の後側(図2において右側)から前側(図2において左側)に向けて斜め上方に傾斜して延び、その傾斜角度が例えば45度になるように構成されている。また、第2支持機構24の支持面、即ち主軸支持部材16の主軸支持面は、加工装置本体2の後側から前側に斜め下方に傾斜して延び、その傾斜角度が例えば45度になるように構成され、ベッドユニット12の上支持面に対して実質上垂直となるように構成され、このように構成することにより、第1及び第2支持機構14,24に関連して、加工装置本体2(第1~第3加工装置部4~8)の前後方向のサイズを小さくすることができる。尚、ベッドユニット12の傾斜角度を例えば60度に、また主軸支持部材16の主軸支持面の角度を例えば30度になるようにしてもよい。
【0019】
主軸ユニット26は、所定方向に回転駆動される主軸(図示せず)を備え、この主軸と一体的に回動するように主軸チャック40が取り付けられ、加工すべき加工物Pは、この主軸チャック40に着脱自在に保持される。主軸(図示せず)の軸線は、図2において右上から左下に延び、主軸支持部材16の主軸支持面は、この主軸の軸線方向(即ち、加工物Pの送り方向)に実質上平行に延び、ベッドユニット12の上支持面は、この主軸の軸線に対して垂直な方向(即ち、加工物Pの切込み方向)に延びている。更に、ベッドユニット12の中間支持面は、主軸の軸線(換言すると、主軸支持部材16の主軸支持面)と平行となるように斜め下方に傾斜して主軸の軸線に対して垂直な方向(即ち、加工物Pの切込み方向)に延びている。
【0020】
また、刃物台ユニット36は刃物台42を備え、この刃物台42に加工物Pを加工(例えば、切削加工)するための加工工具(図示せず)が取り付けられる。主軸ユニット26(具体的には、主軸チャック40に取り付けられた加工物P)と刃物台ユニット36(具体的には、刃物台42に取り付けられた加工工具)との間に第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)が存在し、刃物台ユニット36の加工工具(図示せず)は、第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)において、主軸チャック40に保持されて所定方向に回動する加工物Pに作用して加工を施す。
【0021】
この実施形態では、第3支持機構34に関連して、次のように構成されている。ベッドユニット12の前中間部には、加工装置本体2の後側から前側に向けて斜め上方に開口する前中間凹部44が設けられ、この前中間凹部44に一対の案内支持レール46が取り付けられ、かかる一対の案内支持レール46は前中間凹部44内を第3の方向に延び、それらの上面が中間支持面を規定する。そして、刃物台ユニット36の一部(この形態では、その下部)がこの前中間凹部44に収容されて一対の案内支持レール46に支持され、このような構成により、刃物台ユニット36を加工装置本体2の後側に配置することができ、この構成によっても加工装置本体2の前後方向のサイズを小さくすることができる。
【0022】
尚、上述した説明では、第1~第3加工装置部4~8の構成が実質上同一であるので、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)に関する構成を説明するに際し、ベッドユニット12、主軸支持部材16、主軸ユニット26、主軸チャック40、加工域K、刃物台ユニット36などと説明しているが、この明細書全体を通して、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)に関するこれらの構成を第1ベッドユニット12(第2ベッドユニット、第3ベッドユニット)、第1主軸支持部材16(第2主軸支持部材、第3支持部材)、第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)、第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)、第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)、第1刃物台ユニット36(第2刃物台ユニット、第3刃物台ユニット)などと称することもある。
【0023】
再び、図1及び図2を参照して、加工物Pを搬送するための搬送装置11について説明すると、図示の搬送装置11は、加工物供給装置10から加工装置本体2に延びる架設レール52を備え、この架設レール52は、加工物供給装置10及び加工装置本体2の第1~第3加工装置部4~8内を通して加工装置本体2の横方向(図1において左右方向、図2において紙面に対して垂直な方向)に延びている。
【0024】
この搬送装置11は、更に、加工物Pを搬送するための搬送ユニット54を備え、この搬送ユニット54はチャック取付部56を有し、このチャック取付部56に一対の搬送チャック58,60が取り付けられている。この搬送ユニット54の上端部は架設レール52に移動自在に支持され、この支持された上端部からチャック取付部56に向けて下方に延び、例えば、搬送駆動源としての搬送駆動モータ(図示せず)が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回動されると、この搬送ユニット54は架設レール52に沿って矢印62(又は矢印64)で示す方向に移動される。
【0025】
この搬送装置11の搬送ユニット54は、例えば、次のように位置付けられる。加工物供給装置10から加工物Pを受け取るときには、受取り位置(図示せず)に位置付けられ、加工物Pを受け渡すための受渡し手段(図示せず)により、搬送装置11の供給域(図示せず)に搬送されてきた加工物Pが、受渡し手段(図示せす)を介して搬送ユニット54の一方の搬送チャック58(又は他方の搬送チャック60)に受け渡される。
【0026】
加工物Pを第1加工装置部4の第1主軸チャック40に保持するときには、搬送ユニット54は架設レール52に沿って移動されて図1に実線で示す第1受渡し位置に位置付けられる。この第1の受渡し位置においては、図2に示すように、搬送装置11の一対の搬送チャック58,60が第1加工装置部4の第1加工域K1に対応する位置に位置し、第1加工装置部4の第1主軸ユニット26が第2支持機構24を介して搬送ユニット54のチャック取付部56に近接する方向(矢印30で示す方向)に移動することにより行われる。
【0027】
加工物Pを第1加工装置部4第1主軸チャック40に保持するときには、搬送ユニット54は架設レール52に沿って移動されて図1に実線54(54A)で示す第1受渡し位置に位置付けられる。この第1の受渡し位置においては、図2に示すように、搬送装置11の一対の搬送チャック58,60が第1加工装置部4の第1加工域K1に対応する位置に位置付けられ、第1加工装置部4の第1主軸ユニット26が第2支持機構24を介して搬送ユニット54のチャック取付部56に近接する方向(矢印30で示す方向)に移動することにより行われる。
【0028】
加工物Pを第2加工装置部6の第2主軸チャック40に保持するときには、搬送ユニット54は架設レール52に沿って移動されて図1に破線54Bで示す第2受渡し位置に位置付けられる。この第2の受渡し位置においては、上述したと同様に、搬送装置11の一対の搬送チャック58,60が第2加工装置部6の第2加工域K2に対応する位置に位置付けられ、第2加工装置部6の第2主軸ユニット26が第2支持機構24を介して搬送ユニット54のチャック取付部56に近接する方向(矢印30で示す方向)に移動することにより行われる。
【0029】
また、加工物Pを第3加工装置部8の第3主軸チャック40に保持するときには、搬送ユニット54は架設レール52に沿って移動されて図1に破線54Cで示す第3受渡し位置に位置付けられる。この第3の受渡し位置においては、上述したと同様に、搬送装置11の一対の搬送チャック58,60が第3加工装置部8の第3加工域K3に対応する位置に位置付けられ、第3加工装置部8の第3主軸ユニット26が第2支持機構24を介して搬送ユニット54のチャック取付部56に近接する方向(矢印30で示す方向)に移動することにより行われる。
【0030】
第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)における加工物Pの受渡しは、空の搬送チャック58(又は60)でもって第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)に保持された加工済みの加工物Pを受け取った後に、他方の搬送チャック60(又は58)に保持された未加工の加工物Pを空状態の第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)に受け渡すことにより行われ、この受渡しの際に、搬送ユニット54が架設レール52に沿って幾分移動されるとともに、第1主軸ユニット26(第2主軸ユニニット、第3主軸ユニット)が第2支持機構24に沿って幾分往復移動される。
【0031】
図6をも参照して、この加工装置では、加工装置本体2、即ち第1~第3加工装置部4~8を覆うようにハウジングカバー66が設けられている。このハウジングカバー66は、加工装置本体2の前面を覆う前面カバー(第1~第3前面カバー68から構成される)、その片側面(図1において左側面、図6において左上側面)を覆う第1側面カバー70と、その他側面(図1において右側面、図6において右下側面)を覆う第2側面カバー72と、その後面を覆う後面カバー74と、その上面を覆う上面カバー76とを有し、これらの4つのカバー68,70,72,74によって、加工装置本体2の4側面を覆い、残りのカバー76により加工装置本体2の上面を覆っている(図6参照)。尚、このハウジングカバー66により、第1~第3加工装置部4~8のベッドユニット12とともにベッドベース7も覆うようにしてもよい。
【0032】
この加工装置では、搬送装置11の搬送ユニット54を上述した如くに移動させるために、更に、次のように構成されている。主として図2及び図3を参照して、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)の第1主軸支持部材16(第2主軸部材、第3主軸部材)が第1の方向(Y軸方向)である斜め上方に移動自在に支持され、第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)が斜め下方である第2の方向(Z軸方向)に移動自在に支持されているので、ハウジングカバー66内の前上部、即ち、第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)の前上カバー部78と第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)との間に、略三角形状の第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)が生じている(この収容空間80の上面は、上面カバー76の内側の上傾斜カバー壁77により覆われている)。尚、第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)の前上カバー部78の前面側には、加工条件などを入力操作するための操作パネル79が配設されている。
【0033】
この三角形状の第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)は第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)の横方向(図1において左右方向)にその一端から他端まで延びており、このように構成することにより、第1加工装置部4の第1収容空間80、第2加工装置部6の第2収容空間及び第3加工装置部8の第3収容空間は、相互に連通して加工装置本体2の一側端部から他側端部まで連続して延びる搬送空間82を規定する。そして、図3に示すように、搬送装置11の架設レール52は、この搬送空間82の上端部に配置され、架設レール52に支持された搬送ユニット54(これに取り付けられた一対の搬送チャック58,60)は、この搬送空間82内を加工装置本体2の横方向に往復移動される。
【0034】
この搬送空間82に関連して、更に、次の通りに構成されている。第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)の第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)が存在する第1加工室84(第2加工室、第3加工室)とその第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)とを仕切るために、第1中間仕切り壁86図3参照)(第2中間仕切り壁、第3中間仕切り壁)が設けられている。この実施形態では、第1中間仕切り壁86(第2中間仕切り壁、第3中間仕切り壁)は上傾斜カバー壁77から下方に延び、その下端部が第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)の前下カバー部88の内面に取り付けられている。尚、図2図5に示すように、この第1加工室84(第2加工室、第3加工室)には、第1主軸支持部材16(第2主軸支持部材、第3主軸支持部材)、第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)及び第1刃物台ユニット36(第2刃物台ユニット、第3刃物台ユニット)などが収容される。
【0035】
この第1中間仕切り壁86(第2中間仕切り壁、第3中間仕切り壁)には、第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)に対応して内側確認用開口90(図3参照)が設けられ、この内側確認用開口90に第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)が開閉自在に設けられている。この実施形態では、図示していないが、第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)が上下方向に移動して内側確認用開口90を開閉するように構成されているが、横方向に移動して内側確認用開口90を開閉するようにしてもよい。
【0036】
この第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)が開状態のときには、図3に示すように、この内側確認用開口90を通して第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)と第1加工室84(第2加工室、第3加工室)とが連通され、例えば、搬送装置11の搬送ユニット54と第1主軸ユニット26(第2主軸ユニット、第3主軸ユニット)の第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)との加工物Pの受渡し、第1刃物台ユニット36の加工工具の取替えなどを行うことができる。尚、加工工具の取替えについては、後述する第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)を開状態にする必要がある。
【0037】
また、第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)が閉状態にあるときには、図2に示すように、この内側確認用開口90が閉塞され、第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)と第1加工室84(第2加工室、第3加工室)との連通状態が遮断され、第1加工室84(第2加工室、第3加工室)からの加工液が第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)に飛散するのを防止することができる。
【0038】
この第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)に、透明材料から形成された内側確認用窓(図示せず)を設けるのが好ましく、このように構成することにより、このように内側確認用窓を通して第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)の加工状態を目視することができる。
【0039】
第1~第3内側開閉カバー92に関連して、次のように構成される。即ち、搬送装置11の搬送ユニット54が第1加工装置部4の第1収容空間80に位置するときには、第1内側開閉カバー92の開動作は禁止されるが、第2及び第3内側開閉カバーの開動作は許容され、またこの搬送ユニット54が第2加工装置部6の第2収容空間に位置するときには、第2内側開閉カバーの開動作は禁止されるが、第1及び第3内側開閉カバーの開動作は許容され、更にこの搬送ユニット54が第3加工装置部8の第3収容空間に位置するときには、第3内側開閉カバーの開動作は禁止されるが、第1及び第2内側開閉カバー92の開動作が許容されるように構成される。
【0040】
この実施形態では、図示していないが、第1~第3加工装置部4~8の第1~第3加工室84は相互に連通しているが、第1~第3加工装置部4~8の間に加工室仕切り壁(図示せず)を設け、第1~第3加工室84を独立した室となるようにしてもよい。
【0041】
図4図6を参照して、この実施形態では、更に、ハウジングカバー66の第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)に第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)に対応して外側確認用開口94が設けられ、この外側確認用開口94に第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)が開閉自在に取り付けられている。第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)の両側部には案内突部(図示せず)が設けられ、一方外側確認用開口94の両側部には、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)側の案内突部に対応して案内凹条97図4において、それらの一つのみ示す)が設けられ、これらの案内突部(図示せず)が案内凹条97に収容されて第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)が上下方向に開閉される。
【0042】
第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)が開状態にあるときには、図5に示すように、外側確認用開口94が開放され、この外側確認用開口94を通して搬送装置11の搬送チャック58,60の点検などを行うことができ、更に第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)をも開状態のときには、外側からの加工工具の交換などを行うことができる。
【0043】
また、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)が閉状態にあるときには、図2図4及び図6に示すように、外側確認用開口94が閉塞され、第1収容空間80(第2収容空間、第3収容空間)と外側(作業者側空間)との連通状態が遮断され、加工作業中の安全を確保することができる。
【0044】
この実施形態では、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)の外側上部に取っ手部98が設けられており、この取っ手部98を把持することにより、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)の開閉動作を容易に行うことができる。また、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)の上端部と第1前面カバー88(第2前面カバー、第3前面カバー)の内側下部との間に、バランス用シリンダ100が介在されている。このバランス用シリンダ100は、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)の開閉動作の際に伸縮してその重量を支えて軽くなるように作用する。
【0045】
第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)と第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)とは、図4及び図5に示すように、加工装置本体2の前後方向に重なるように配置されるのが好ましく、このように構成することにより、第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)及び第1内側開閉カバー92(第2内側開閉カバー、第3内側開閉カバー)の開状態のときに、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)の第1前面カバー88(第2前面カバー、第3前面カバー)の外側から第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)までを直線状に目視することができ、これにより、この第1作業域K1(第2作業域K2、第3作業域K3)に作業者の手、工具などを容易に挿入することができ、第1主軸チャック40(第2主軸チャック、第3主軸チャック)の点検、また第1刃物台42(第2刃物台、第3刃物台)の点検、そこに取り付けた加工工具の交換などを容易に行うことができる。
【0046】
この第1外側開閉カバー96(第2外側開閉カバー、第3外側開閉カバー)に、第1内側開閉カバーの内側確認用窓(図示せず)に対応して、透明材料から形成された外側確認用窓102(図6参照)が設けられ、かかる外側確認用窓102と内側確認用窓とが加工装置本体の前後方向に重なるように配置するのが好ましく、このように構成することにより、第1前面カバー68(第2前面カバー、第3前面カバー)の外側から外側確認用窓102及び内側確認用窓(図示せず)を通して第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)を目視することができ、これにより第1加工域K1(第2加工域K2、第3加工域K3)における加工状態を外側から容易に確認することができる。
【0047】
この加工装置では、加工装置本体2の点検などが容易となるように、更に次の通りに構成されている。主として図6を参照して、加工装置本体2のハウジングカバー66の後面カバー74は、加工装置本体2の片側部側(図6において左上側部側)(即ち、第1加工装置部4側)を中心として後方に旋回自在に装着されている。この実施形態では、加工装置本体2の後部に制御ボックス111が設けられ、この制御ボックス111の内部に、第1加工装置部4(第2加工装置部6、第3加工装置部8)を作動制御するための第1制御装置113(第2制御装置115、第3制御装置117)が配設されており、この制御ボックス111の外面ハウジングが加工装置本体2の後面カバー74として機能している。
このように構成されているので、この後面カバー74を開状態にすると、第1~第3加工装置部4~8の後面が同時に開放され、かくして第1~第3加工装置部4~8の点検などを容易に行うことができる。尚、この後面カバー74は、加工装置本体2の他側部側(第3加工装置部8側)を中心に後方に旋回自在となるようにしてもよい。
【0048】
この実施形態では、後面カバー74が上述した如く開閉自在であることに関連して、次のように構成されている。加工装置本体2のハウジングカバー66の第2側面カバー72は、加工装置本体2の他側面の前部を覆う第2側面前カバー部112と、その他側面の後部を覆う第2側面後カバー部114とから構成され、この第2側面後カバー部114が、図6に示すように、加工装置本体2に取外し可能に構成されている。従って、後面カバー74を開状態にした状態にて、この第2側面後カバー部114を加工装置本体2から取り外すと、図6に示すように、加工装置本体2の他側面の後部に大きな点検開口116が生じ、従って、作業者はこの点検開口116から加工装置本体2(第1~第3加工装置部4~8)の背面側に容易に入って作業をすることができ、この加工装置本体2の点検などを容易に行うことができる。
【0049】
この実施形態では、更に、加工装置本体2の第1側面カバー70も、加工装置本体2の一側面の前部を覆う第1側面前カバー部119と、その他一側面の後部を覆う第1側面後カバー部118とから構成され、この第1側面後カバー部118が、図6に示すように、加工装置本体2の一側部側の後端部を中心として側方に開閉自在に装着されている。従って、図6に示すように、第1側面後カバー118を開状態にすることにより、加工装置本体2の一側面後部が開放され、これにより、加工物供給装置10の内部の点検などを容易に行うことができる。
【0050】
以上、本発明に従う加工装置の一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変更乃至修正が可能である。
【0051】
例えば、上述した実施形態では、加工装置本体2が3つの加工装置部(第1~第3加工装置部4~8)を備えたものに適用して説明したが、このような実施形態に限定されず、加工装置部を2つ又は4つ以上備えたものにも同様に適用することができる。また、例えば、加工装置を小型化する技術については、一つの加工装置部を備えたものにも適用することができ、この場合、ベッドベース7は省略され、ベッドユニット12が加工装置本体2のベッドとして機能する。
【符号の説明】
【0052】
2 加工装置本体
4,6,8 加工装置部
7 ベッドベース
10 加工物供給装置
11 搬送装置
12 ベッドユニット
16 主軸支持部材
26 主軸ユニット
36 刃物台ユニット
52 架設レール
54 搬送ユニット
66 ハウジングカバー
80 収容空間
82 搬送空間
84 加工室
92 内側開閉カバー
96 外側開閉カバー
K,K1,K2,K3 加工域
P 加工物
図1
図2
図3
図4
図5
図6