(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】乱視矯正用のソフトコンタクトレンズにおける剛性が増加した光心
(51)【国際特許分類】
G02C 7/04 20060101AFI20220613BHJP
C08F 220/56 20060101ALI20220613BHJP
C08F 230/08 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
G02C7/04
C08F220/56
C08F230/08
(21)【出願番号】P 2019500347
(86)(22)【出願日】2017-06-13
(86)【国際出願番号】 US2017037326
(87)【国際公開番号】W WO2018009309
(87)【国際公開日】2018-01-11
【審査請求日】2020-06-01
(32)【優先日】2016-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】510294139
【氏名又は名称】ジョンソン・アンド・ジョンソン・ビジョン・ケア・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Johnson & Johnson Vision Care, Inc.
【住所又は居所原語表記】7500 Centurion Parkway, Jacksonville, FL 32256, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】アリ・アザーム
(72)【発明者】
【氏名】シンハ・ドーラ
【審査官】沖村 美由
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-205845(JP,A)
【文献】特開平06-063116(JP,A)
【文献】特開平11-133201(JP,A)
【文献】特開平08-283345(JP,A)
【文献】特表2015-504108(JP,A)
【文献】特開2007-279690(JP,A)
【文献】特開平06-279559(JP,A)
【文献】特表2005-508414(JP,A)
【文献】特開平08-283342(JP,A)
【文献】特表2013-525512(JP,A)
【文献】特表2011-505486(JP,A)
【文献】特表2007-524870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02C1/00-13/00
C08F6/00-246/00;301/00
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼科用装置であって、
中心光学区域、及び前記中心光学区域を囲む周辺区域を有する、コンタクトレンズであって、第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されている、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズの前記中心光学区域内に組み込まれた第2の材料であって、少なくとも6.65MPa(950psi)のヤング係数、及び少なくとも9.5%の含水率を有し、
全ての反応性成分に基づいて、7~25重量%の、以下の式I、
【化1】
式中、R’は、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基、ベンジル又はフェニルから選択され、これらのいずれかは、非置換であるか、又はヒドロキシル、アミノ、及びこれらの組み合わせのいずれかである、追加の官能基によって置換され得る、
を有する、少なくとも1種のN-アルキルメタクリルアミド
と、少なくとも1種のシリコーン含有成分
とを含む第2の反応性混合物から形成されている、第2の材料と、を備え、
前記シリコーン含有成分が、
前記全ての反応性成分に基づいて、合計で、30~50重量%の、式IVaの化合物
、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、
又はこれらの組み合わせ
を含有し、
【化2】
式中、R
1は、水素原子又はメチルであり、
jは、1~20の整数であり、
R
19は、
各メチレン基が、任意に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、及びこれらの組み合わせによって独立して置換され得る、置換若しくは非置換C
1~6アルキレンセグメント(CH
2)
r、又は
オキシアルキレンセグメント(OCH
2)
kであり、
kは、1~3の整数であるか、又はR
19は、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり得、rとkとの合計は、1~9であり、
各R
3及びR
4は、独立して、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
R
5は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はメチル若しくはブチル又はアリール基であり、これらのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子と置換され得る、眼科用装置。
【請求項2】
前記
式Iにおいて、R’は、1~8個の炭素原子を含有する直
鎖アルキル基
であり、こ
れは、非置換で
ある、請求項1に記載の眼科用装置。
【請求項3】
前記N-アルキルメタクリルアミドが、N-メチルメタクリルアミドである、請求項2に記載の眼科用装置。
【請求項4】
前記第2の材料が、19~42
%の含水率を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項5】
前記第2の反応性混合物が、少なくとも1種の光開始剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項6】
前記第2の反応性混合物が、光又は可視光への露光を介して硬化されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項7】
前記シリコーン含有成分が、3~30個のシロキサン反復単位を有する少なくとも1つのシリコーン鎖を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのシリコーン鎖が、ポリジアルキルシロキサン鎖である、請求項7に記載の眼科用装置。
【請求項9】
前記少なくとも1つのシリコーン鎖が、ポリジメチルシロキサン鎖である、請求項7に記載の眼科用装置。
【請求項10】
前記少なくとも1つのシリコーン鎖が、ポリジアリールシロキサン鎖である、請求項7に記載の眼科用装置。
【請求項11】
前記第2の反応性混合物が、
前記全ての反応性成分に基づいて、
42.8重量%の
トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項12】
前記第2の反応性混合物が、
前記全ての反応性成分に基づいて、
15重
量%の
N-メチルメタクリルアミドを含む、請求
項11に記載の眼科用装置。
【請求項13】
前記シリコーン含有成分が、式IIIa、式IIIb、IVcの化合物、及びこれらの組み合わせから選択される成分
【化3】
式中、R
1は、水素原子又はメチルであり、
Zは、O、N、S、又はNR
1CH
2CH
2Oから選択され、Z=O又はSであるとき、R
2は、必要とされず、
jは、1~20の整数であり、
R
19は、
各メチレン基が、任意に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、及びこれらの組み合わせによって独立して置換され得る、置換若しくは非置換C
1~6アルキレンセグメント(CH
2)
r、又は
オキシアルキレンセグメント(OCH
2)
kであり、
kは、1~3の整数であるか、又はR
19は、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり得、rとkとの合計は、1~9であり、
各R
3及びR
4は、独立して、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
R
5は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はメチル若しくはブチル、又はアリール基であり、これらのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子と置換され得る、をさらに含有する、請求項1~12のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項14】
前記第2の材料が、6.65MPa~1447.95MPa(950psi~210,000psi)の係数を有し、前記第2の反応性混合物は、4.75~15.75重量%の少なくとも1種の架橋成分を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項15】
前記係数が、6.65~723.45MPa(950~105,000psi)である、請求項14に記載の眼科用装置。
【請求項16】
前記第2の反応性混合物が、
前記全ての反応性成分に基づいて、19~84重量%の前記シリコーン含有成分を含む、請求項14に記載の眼科用装置。
【請求項17】
前記第2の反応性混合物が、
前記全ての反応性成分に基づいて、4.75重量%~52.5重量%の少なくとも1種のN-アルキルメタクリルアミドを含む、請求項14に記載の眼科用装置。
【請求項18】
前記第2の反応性混合物が、4.75重量%~42重量%の少なくとも1種のヒドロキシル官能性シリコーン含有成分を更に含む、請求項14に記載の眼科用装置。
【請求項19】
前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、ポリジアルキルシロキサン及びポリジアリールシロキサンからなる群から選択されるヒドロキシル官能性ポリシロキサンである、請求項18に記載の眼科用装置。
【請求項20】
前記第2の反応性混合物が、9.5~42重量%のヒドロキシル官能性ポリシロキサンを含む、請求項19に記載の眼科用装置。
【請求項21】
前記ヒドロキシル官能性ポリシロキサンが、少なくとも1種のポリジメチルシロキサンを含む、請求項19又は20に記載の眼科用装置。
【請求項22】
前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、式XXIの単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)からなる群から選択され、
【化4】
式中、Zは、O、N、S、又はNR
1CH
2CH
2Oから選択され、ZがO又はSであるとき、R
2は、存在せず、
R
1は、独立して、水素又はメチルであり、
R
2、R
3、及びR
4は、独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基であり、これらのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基によって更に置換され得、任意に、アミド、エーテル、及びこれらの組み合わせによって置換され得、R
3及びR
4は、独立して、メチル、エチル、又はフェニルから選択され得、
nは、シロキサン単位の数であり、4~8であり、
R
5は、直鎖又は分岐C
1~C
8アルキル基から選択され、これは、任意に、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、及びこれらの組み合わせによって置換され得る、請求項19又は20に記載の眼科用装置。
【請求項23】
前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、
(i)式XXIIaのモノ(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)(式中、nは、4~30である)、と、
(ii)式XXIIb~式XXIIIdのポリジメチルシロキサン、式中、
nは、4~30であり、
n
1、n
2、及びn
3は、独立して、4~100であり、
R
5は、
直鎖又は分岐C
1~C
8アルキル基(これは、任意に、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテルによって置換され得る)、
直鎖又は分岐C
1~C
8基である式C
fH
g(OH)
h(式中、f=1~8であり、g+h=2f+1である)、又は、環状C
1~C
8基である式C
fH
g(OH)
h(式中、f=1~8であり、g+h=2f-1である)、の、ポリヒドロキシル基、又は
それらの組み合わせであるか、あるいは、
R
5は、メチル、ブチル又はヒドロキシル置換C
2~C
5アルキル(前記ヒドロキシル置換C
2~C
5アルキルは、ヒドロキシルエチル、ヒドロキシルプロピル、ヒドロキシルブチル、ヒドロキシルペンチル、又は2,3-ジヒドロキシプロピルであってもよい)、と、
(iii)式XXIVa~XXIVbのポリカルボシロキサン、式中、a及びbは、4~100であり、cは、4~8であり、R
1及びR
5は、上記に定義されるとおりである、と、
からなる群から選択される、1種又は2種以上の化合物を含む、請求項19又は20に記載の眼科用装置。
【化5】
【化6】
【請求項24】
前記第2の反応性混合物が、少なくとも1種のシリコーン含有架橋剤を更に含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項25】
前記第2の反応性混合物が、3.8~15.75重量%の前記シリコーン含有架橋剤を含む、請求項24に記載の眼科用装置。
【請求項26】
前記シリコーン含有架橋剤が、式XXVI~式XXXVIの構造を有し、
【化7】
【化8】
式中、nは、1~200である、請求項24に記載の眼科用装置。
【請求項27】
前記
式Iにおいて、R’は、1~8個の炭素原子を含有する直
鎖アルキル基
であり、こ
れは、非置換で
ある、請求項15~26のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項28】
前記N
-アルキルメタクリルアミドが、N-メチルメタクリルアミドである、請求項27に記載の眼科用装置。
【請求項29】
前記第2の反応性混合物
において、前記シリコーン含有成分が、
前記全ての反応性成分に基づいて、
合計で、30~
42.8重量%の
、前記式IVaの化合物、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項30】
前記第2の反応性混合物が、
前記全ての反応性成分に基づいて、
7~
20重量%の前記少なくとも1種のN-アルキルメタクリルアミドを含む、請求
項29に記載の眼科用装置。
【請求項31】
前記眼科用装置が、トーリックコンタクトレンズを備える、請求項1~30のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項32】
前記第1の材料が、1.47(210psi)未満のヤング係数を含む、請求項1~31のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項33】
前記中心光学区域が、直径9.45mm以下である、請求項1~32のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項34】
前記中心光学区域が、3.8~7.35mmの直径を有する、請求項1~33のいずれか一項に記載の眼科用装置。
【請求項35】
眼科用装置を製造する方法であって、
全ての反応性成分に基づいて、7~25重量%の、以下の式I、
【化9】
式中、R’は、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基、ベンジル又はフェニルから選択され、これらのいずれかは、非置換であるか、又はヒドロキシル、アミノ、及びこれらの組み合わせのいずれかである、追加の官能基によって置換され得る、
を有する、少なくとも1種のN-アルキルメタクリルアミド
と、少なくとも1種のシリコーン含有成分
とを含む第1の反応性混合物を、コンタクトレンズフロントカーブ成形型の中心部分内に注入することと、
前記第1の反応性混合物の上で前記コンタクトレンズフロントカーブ成形型内に、硬化後に1.47MPa(210psi)未満の第2のヤング係数を有する第2の材料を注入することであって、前記第1の反応性混合物が、硬化後に、6.65MPa(950psi)超の第1のヤング係数を有し、前記第1の反応性混合物及び第2の材料が、注入から硬化までの期間中、実質的に非混和性である、注入することと、
コンタクトレンズバックカーブ成形型を前記第2の材料上に位置決めすることと、
前記第1の反応性混合物及び前記第2の材料を硬化させることと、を含み、
前記シリコーン含有成分が、
前記全ての反応性成分に基づいて、合計で、30~50重量%の、式IVaの化合物
、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、
又はこれらの組み合わせ
を含有し、
【化10】
式中、R
1は、水素原子又はメチルであり、
jは、1~20の整数であり、
R
19は、
各メチレン基が、任意に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、及びこれらの組み合わせによって独立して置換され得る、置換若しくは非置換C
1~6アルキレンセグメント(CH
2)
r、又は
オキシアルキレンセグメント(OCH
2)
kであり、
kは、1~3の整数であるか、又はR
19は、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり得、rとkとの合計は、1~9であり、
各R
3及びR
4は、独立して、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
R
5は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子と置換され得る、方法。
【請求項36】
前記第2の材料を注入する前に、前記第1の反応性混合物を、少なくとも部分的に硬化させる工程を更に含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の反応性混合物が前記第2の材料内に被包されるように、前記第2の材料が、前記第1の反応性混合物を注入する前に、前記フロントカーブ成形型上にコーティングされる、請求項35に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の反応性混合物及び第2の材料が、10.5%以内の膨張係数を有する、請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
コンタクトレンズであって、
6.65MPa~1447.95MPa(950psi~210,000psi)の第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されている光学区域であって、前記第1の材料が、
全ての反応性成分に基づいて、7~25重量%の、以下の式I、
【化11】
式中、R’は、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基、ベンジル又はフェニルから選択され、これらのいずれかは、非置換であるか、又はヒドロキシル、アミノ、及びこれらの組み合わせのいずれかである、追加の官能基によって置換され得る、
を有する、少なくとも1種のN-アルキルメタクリルアミド
と、少なくとも1種のシリコーン含有成分
とを含む、反応性混合物から形成されている、光学区域と、
1.47MPa(210psi)未満の第2のヤング係数を有する材料から形成された周辺区域と、を備え、
前記シリコーン含有成分が、
前記全ての反応性成分に基づいて、合計で、30~50重量%の、式IVaの化合物
、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、
又はこれらの組み合わせ
を含有し、
【化12】
式中、R
1は、水素原子又はメチルであり、
jは、1~20の整数であり、
R
19は、
各メチレン基が、任意に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、及びこれらの組み合わせによって独立して置換され得る、置換若しくは非置換C
1~6アルキレンセグメント(CH
2)
r、又は
オキシアルキレンセグメント(OCH
2)
kであり、
kは、1~3の整数であるか、又はR
19は、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり得、rとkとの合計は、1~9であり、
各R
3及びR
4は、独立して、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
R
5は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子と置換され得る、コンタクトレンズ。
【請求項40】
コンタクトレンズであって、
第1の剛性を有する光学区域であって、前記光学区域が、6.65MPa~1447.95MPa(950psi~210,000psi)の第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されており、前記第1の材料が、
全ての反応性成分に基づいて、7~25重量%の、以下の式I、
【化13】
式中、R’は、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基、ベンジル又はフェニルから選択され、これらのいずれかは、非置換であるか、又はヒドロキシル、アミノ、及びこれらの組み合わせのいずれかである、追加の官能基によって置換され得る、
を有する、少なくとも1種のN-アルキルメタクリルアミド
と、少なくとも1種のシリコーン含有成分
とを含む、反応性混合物から形成されている、光学区域と、
1.47MPa(210psi)未満の第2のヤング係数を有する材料から形成された、第2の剛性を有する周辺区域と、を備え、前記第1の剛性が、前記第2の剛性よりも大きく、
前記シリコーン含有成分が、
前記全ての反応性成分に基づいて、合計で、30~50重量%の、式IVaの化合物
、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン、
又はこれらの組み合わせ
を含有し、
【化14】
式中、R
1は、水素原子又はメチルであり、
jは、1~20の整数であり、
R
19は、
各メチレン基が、任意に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、及びこれらの組み合わせによって独立して置換され得る、置換若しくは非置換C
1~6アルキレンセグメント(CH
2)
r、又は
オキシアルキレンセグメント(OCH
2)
kであり、
kは、1~3の整数であるか、又はR
19は、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり得、rとkとの合計は、1~9であり、
各R
3及びR
4は、独立して、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
R
5は、1~8個の炭素原子を有する、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子と置換され得る、コンタクトレンズ。
【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2012年3月27日出願の米国特許出願第13/430,891号の一部継続出願である、2016年7月6日出願の米国特許出願第15/203,414号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、周辺区域に対して中心光学区域でより高い剛性を有するコンタクトレンズ、より具体的には、乱視屈折異常の補正のために周辺区域に対して中心光学区域でより高い係数のヒドロゲル材料、及び角膜の幾何学的形状によって作り出される、可能なより高次の収差を組み込むソフトコンタクトレンズに関する。より高い係数のヒドロゲル材料は、コンタクトレンズの周辺区域に対してより剛性が大きい光学区域を作り出す。
【背景技術】
【0003】
近視(myopia)又は近眼(nearsightedness)は、眼の視力障害又は屈折障害であり、網膜に到達する前に像からの光線が一点に集束する。近視は、概して、眼球又は眼球が長すぎるため、又は角膜の形状又は輪郭の傾斜が急すぎるために生じる。マイナスの屈折力の球面レンズを利用して、近視を矯正することができる。遠視(Hyperopia)又は遠眼(farsightedness)は、眼の視覚障害又は屈折障害であり、網膜に到達した後か、又は網膜の後方で像からの光線が一点に集束する。遠視は、概して、眼球又は眼球が短すぎるか、又は角膜の形状又は輪郭が平らすぎるために生じる。遠視を矯正するために、正のパワーを持つ球面レンズが利用され得る。乱視は、視力障害又は屈折障害であり、眼が点物体に焦点を合わせて、網膜上で焦点が合った像にすることができないため、個体の視野がぼやけてしまう。近視及び/又は遠視とは異なり、乱視は、眼球の大きさ又は角膜の傾斜とは無関係であるが、むしろ、非回転対称性の角膜又は水晶体の不均衡又は位置決めによって引き起こされる。乱視の大部分は、非回転対称性の角膜湾曲によって生じる。完璧な角膜は回転対称性であるが、乱視を有するほとんどの個人において、角膜は回転対称性ではない。言い換えると、角膜は、実際には、他方向よりも一方向で更に湾曲しているか、又は傾斜が急であり、それによって、画像を一点に集中させずに広がらせる。球面レンズではなく、円柱レンズ又円環状レンズを利用して、乱視を解決することができる。
【0004】
角膜乱視は、ハード又は硬質ガス透過性コンタクトレンズを使用して矯正することができる。この場合、流体又は涙液レンズが硬質コンタクトレンズの後面と角膜との間に存在してもよい。この流体又は涙液レンズは、コンタクトレンズの後面の形状に沿うか、又はその形状を採る。流体又は涙液レンズの屈折率は、角膜に対してほぼ一致するため、角膜トリシティ(corneal toricity)は、光学的に中和されるか、又は低減される。これらの場合には、トーリックレンズは、必要とされない。しかしながら、硬質ガス透過性コンタクトレンズ及びハードコンタクトレンズは、一般的に、ソフトコンタクトレンズ又はヒドロゲルコンタクトレンズほど快適ではない。ソフトコンタクトレンズ又はヒドロゲルコンタクトレンズは、角膜周辺を包み込むため、流体レンズは、概して、見出されず、涙液は、薄膜に更に類似している。この場合、トーリックレンズのデザインが必要となる。
【0005】
トーリックレンズは、相互に垂直な2つの配向で、2つの異なる度数を有する光学素子である。本質的には、トーリックレンズは、単一のレンズに組み込まれた、近視又は遠視を矯正するための1つの度数を有する球面レンズと、乱視を矯正するための1つの度数を有する円柱レンズと、を有する。これらの度数は、目に対して好ましく維持される異なる角度の曲率によって与えられる。トーリックレンズを、眼鏡、眼内レンズ、及びコンタクトレンズにおいて利用してもよい。眼鏡及び眼内レンズに使用されるトーリックレンズは、目に対して固定位置に保持されることにより、常に最適な視力補正を与える。しかしながら、トーリックコンタクトレンズは、眼上で回転する傾向があるので、準最適な視力矯正を一時的に提供する場合がある。したがって、現在利用されているトーリックコンタクトレンズは、着用者が瞬きするか、又はきょろきょろするときに、コンタクトレンズを眼の上で比較的安定的に保つ機構も含む。多くの高次収差に関して、これらの多くが、非回転対称性であり、最適な視覚矯正を提供するために、位置安定性も必要とされる。
【0006】
トーリックコンタクトレンズは最初に目に装用された時点で、それ自体で自動的に定位置を採る、すなわち自己定位し、その位置を長時間保つ必要がある。しかしながら、トーリックコンタクトレンズはいったん位置決めされた後、瞬きの際にまぶたによって、更にまぶた及び涙液の運動によってコンタクトレンズに作用する力のために、目の上で回転する傾向がある。トーリックコンタクトレンズは、一般的に、トーリックコンタクトレンズの機械的特性を変えることによって目の上におけるその方向が維持される。例えば、コンタクトレンズの前面を後面に対して偏心させること、コンタクトレンズの下部の外周の厚みを大きくすること、コンタクトレンズの表面に凹み又は隆起を形成すること、及びコンタクトレンズエッジを切り詰めることを含むプリズム安定化は、いずれも使用されている方法である。
【0007】
より従来的な安定化法の各々は、それと関連する利点及び不利点がある。これらのタイプの設計の主要な不利点は、これらの設計が、コンタクトレンズを装用者の目の上の適正な位置に向けるうえで、まぶた同士の相互作用及びコンタクトレンズの厚さの差に依存している点である。この問題は、遠視向けのプラスの度数のトーリックコンタクトレンズにおいて特に顕著である。
【0008】
レンズが角膜を飛び越えて、それによって、角膜表面とレンズとの間に空間を作り出す、乱視マスキングレンズがまた開示されている。涙膜は、その空間を満たし、角膜の乱視特性をマスクする。中心領域に十分な剛性を有する現在のマスキングレンズは、不必要に厚いか、又は周辺に使用されるヒドロゲル材料と不適合であるかのいずれかである。
【0009】
US4166255は、可撓性周辺部を有する比較的ソフトな透明プラスチック成分によって囲まれるか、又はそれに埋め込まれた硬質中心光学領域を有する従来のヒドロゲルに基づくハイブリッドコンタクトレンズを開示する。
【0010】
US4701288は、コンタクトレンズが機械加工され得る複合品を製造するために、成形型内の異なる反応性混合物によって連続的紫外線光重合によってハイブリッドコンタクトレンズを製造する方法を開示した。
【0011】
US5923397は、硬質ガス透過ポリマーコア、及びコア区分に周囲に環状に取り付けられた、よりソフトな端区分を備える双率コンタクトレンズを開示した。
【0012】
US6579918は、1つの光学構成要素が、第2の光学構成要素の周囲に注型成形され、それによって第2の光学構成要素を被包する複合コンタクトレンズを製造する方法を開示した。
【0013】
US8662663は、3.00MPa~99.995MPa(435psi~14,503psi)のヤング係数を有する中心部分、及び0.20MPa~3.00MPa(29psi~435psi)のヤング係数を有する周辺部分を含むハイブリッドソフトコンタクトレンズを開示した。
【0014】
しかしながら、中心領域に十分な剛性を有する現在のマスキングレンズは、不必要に厚いか、又は周辺に使用されるヒドロゲル材料と不適合であるかのいずれかである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
したがって、特定の眼上配向に低依存であり、かつそれゆえに安定化手段をほとんど又は全く有しない状態で、乱視、及び角膜の幾何学的形状によって生じる可能性のあるより高次の収差を矯正する、トーリックコンタクトレンズを含むコンタクトレンズを設計することは、有利であろう。
【課題を解決するための手段】
【0016】
ソフトコンタクトレンズが角膜表面を飛び越えるために、レンズの中心部分は、患者の不快感を同時に生じさせることなく、飛び越えるために必要な形状を維持するために十分な剛性でなければならない。本発明は、装着に快適である他のシリコーンヒドロゲルを含む、複合ソフトコンタクトレンズを形成するために、比較的高含水率で飛び越えるための十分な剛性を有するシリコーンヒドロゲルを対象とする。
【0017】
本発明の一実施形態において、中心領域及び周辺領域を有する、複合コンタクトレンズが提供され、中心領域は、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド、少なくとも1つのシリコーン含有成分、及び少なくとも1つの架橋剤を含む反応性混合物から形成されるシリコーンヒドロゲルと、少なくとも1つの親水モノマー、少なくとも1つの湿潤剤を含む任意の成分と、から形成される。これらのシリコーンヒドロゲルは、約10重量パーセント~約40重量パーセントの含水率、及び約103MPa~約517MPa(約15,000psi~約75,000psi)の係数を有する。約10~約40重量パーセントの含水率及び約0.1~約3MPa、約0.3~約1MPa、又は約0.3~約1.0MPa(約20~約500psi、約50~約200psi、又は約50~約150psi)の係数のモノマーを有するシリコーンヒドロゲル製剤が、周辺領域に使用され得る。第1、第2、又は両方のシリコーンヒドロゲルのいずれかは、少なくとも1つの内部湿潤剤及び1つ又は2つ以上の親水性成分を更に含む。
【0018】
別の実施形態において、かかる複合コンタクトレンズを製造するためのプロセスが記載され、これは、(a)請求項1に記載の第1のシリコーンヒドロゲル製剤を第1の成形型内に注入することと、(b)第1のシリコーンヒドロゲル製剤をゲル内に部分的に硬化させることと、(c)第2のシリコーンヒドロゲル製剤を第1の成形型内に注入することと、(d)第2のシリコーンヒドロゲル製剤がゲル内に吸収される時間を許容することと、(e)第2の成形型を第1の成形型の頂部上に配置することと、(f)組み合わせを完全に硬化させて、複合コンタクトレンズを形成することと、を含む。
【0019】
本発明はまた、コンタクトレンズを対象とする。コンタクトレンズは、約10重量パーセント~約40重量パーセントの含水率及び約0.07GPa~約1GPa(約10,000psi~約200,000psi)のヤング係数を有する材料から形成されている光学区域と、約10重量パーセント~約40重量パーセントの含水率及び約0.1~約3MPa、1.4MPa未満又は1.0MPa未満(約20~約500psi、200psi未満又は150psi未満)のヤング係数を有する材料aから形成されている周辺区域と、を備える。
【0020】
眼科用装置を製造する方法であって、
少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む第1の反応性混合物を、コンタクトレンズフロントカーブ成形型の中心部分内に注入することと、
第1の材料の上でコンタクトレンズフロントカーブ成形型内に、硬化時に約1.4MPa(約200psi)未満の第2のヤング係数を有する第2の材料を注入することであって、第1の材料が、硬化時に、約1000超の第1のヤング係数を有し、第1及び第2の反応性混合物が、注入から硬化までの期間中、実質的に非混和性である、注入することと、
コンタクトレンズバックカーブ成形型を第2の材料上に位置決めすることと、反応性混合物を硬化させることと、を含む、方法。
【0021】
本発明はまた、コンタクトレンズであって、約0.007GPa~約1.4GPa(約1,000psi~約200,000psi)の第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されている光学区域であって、第1の材料が、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成されている、光学区域と、約1.4MPa又は約1.0MPa(約200psi又は約150psi)未満の第2のヤング係数を有する材料から形成されている、周辺区域と、を備える、コンタクトレンズを対象とする。
【0022】
本発明はまた、コンタクトレンズであって、第1の剛性を有する光学区域であって、光学区域が、約0.007GPa~約1.4GPa(約1,000psi~約200,000psi)の第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されており、第1の材料が、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から形成されている、光学区域と、約1.4MPa又は約1.0MPa(約200psi又は約150psi)未満の第2のヤング係数を有する材料から形成されている、第2の剛性を有する周辺区域と、を備え、第1の剛性が、第2の剛性よりも大きい、コンタクトレンズを対象とする。
【0023】
本明細書を通して、剛性という用語は、材料のヤング係数、材料の厚さ、材料の形状、及び材料に組み込まれる任意の張力又は応力の関数であることを理解するべきである。したがって、所与の形状及び所与の厚さについては、より高いヤング係数を有する材料が、より低いヤング係数を有するものよりも剛性である。
【0024】
本発明は、光学区域で増加した剛性を有するコンタクトレンズを対象とする。この増加した剛性の光学区域は、硬化時に光学区域のコンタクトレンズを形成するバルク材料よりも高いヤング係数を提供する反応性混合物を利用すること、光学区域内のヤング係数を上昇させるための好適な添加剤を利用すること、レンズにわたって硬化光強度を変化させ、それによってレンズの中心の剛性の増加を生じさせることなどの特定プロセスによってコンタクトレンズを製造することによる、又は眼上に配置されたときの変形に対する抵抗を作り出すためにコンタクトレンズの予張を行うことによる、いくつかの方式で達成され得る。より剛性が大きい光学区域を有することによって、光学区域は、角膜を飛び越えるか、又は角膜の乱視幾何学的形状に適合しないが、一方でコンタクトレンズの残りの部分は、適合する。この飛び越えること、又は適合不足は、涙又は流体レンズが角膜と光学区域との間に形成することを可能にする。この涙又は流体レンズは、コンタクトレンズの後面の形状に沿うか、又はその形状を採り、これは、回転対称性であるか、又は角膜乱視よりも小さい円柱矯正を含有する。涙が角膜のものと実質的に同一の屈折率を有するため、流体レンズ及びコンタクトレンズの組み合わせは、角膜の幾何学的形状によって生じる視覚障害又は屈折異常の全て又は一部分を矯正する光学表面又は素子を形成する。言い換えると、流体又は涙液レンズの屈折率が角膜に対してほぼ一致するため、角膜トリシティは、コンタクトレンズ光学系と組み合わされたとき、光学的に中和又は低減される。
【0025】
本発明のコンタクトレンズは、費用又は複雑度の有意な増加を伴わない任意の好適なプロセスを利用して、製造することができる。この設計は、ソフトコンタクトレンズの任意の数又はタイプにおいて企図され得る。
【図面の簡単な説明】
【0026】
本発明の上述及び他の特徴と利点は、添付図面に例証されるような、本発明の好ましい実施形態の以下のより具体的な記載から明白となるであろう。
【
図1a】本発明に従うコンタクトレンズを製造する工程の図標示である。
【
図1b】本発明に従うコンタクトレンズを製造する工程の図標示である。
【
図2】本発明に従うコンタクトレンズの光干渉断層撮影(optical coherence tomography、OCT)画像である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本開示における用語に関しては、以下に定義が提供される。ポリマー定義は、the Compendium of Polymer Terminology and Nomenclature,IUPAC Recommendations 2008,edited by:Richard G.Jones,Jaroslav Kahovec,Robert Stepto,Edward S.Wilks,Michael Hess,Tatsuki Kitayama,and W.Val Metanomskiに開示されるものからなる。
【0028】
本明細書において、「約」という用語は、変更されている数字の+/-5%の範囲を指す。例えば、「約10」という句は、9.5及び10.5の両方を含むであろう。
【0029】
「(メタ)」という用語は、任意のメチル置換基を指す。したがって、「(メタ)アクリレート」などの用語は、メタクリレート及びアクリレートラジカルの両方を示す。
【0030】
どこに化学構造が記載されていようと、構造における置換基について開示された選択肢を任意の組み合わせで組み合わせてもよいことを理解すべきである。したがって、構造が置換基R*及びR**を含有しており、これらがそれぞれ3個の可能性のある基のリストを含んでいる場合、9個の組み合わせが開示される。特性の組み合わせについても同じことが当てはまる。
【0031】
一般式[***]nの「n」などの添え字がポリマーの化学式の反復単位の数を図示するために使用されるとき、式は、高分子の数平均分子量を表すように解釈されるべきである。
【0032】
「高分子」は、1500超の分子量を有する有機化合物であり、反応性又は非反応性であり得る。
【0033】
「ポリマー」は、鎖又はネットワーク構造に共に架橋された反復化学単位の高分子であり、反応性混合物内に含まれたモノマー及びマクロマー由来の反復単位からなる。
【0034】
「ホモポリマー」は、1つのモノマー又はマクロマーから製造されたポリマーであり、「コポリマー」は、2つ又は3つ以上のモノマー、マクロマー、又はそれらの組み合わせから製造されたポリマーであり、「ターポリマー」は、3つのモノマー、マクロマー、又はそれらの組み合わせから製造されたポリマーである。「ブロックコポリマー」は、組成上異なるブロック又はセグメントからなる。ジブロックコポリマーは、2つのブロックを有する。トリブロックコポリマーは、3つのブロックを有する。「くし形又はグラフトコポリマー」は、少なくとも1つのマクロマーから製造される。
【0035】
「反復単位」又は「反復化学単位」は、モノマー及びマクロマーの重合から結果として生じるポリマー内の原子の最小反復単位である。
【0036】
「生物医学装置」は、哺乳類の組織又は体液のいずれか、及び好ましくはヒトの組織又は体液において用いられるように設計されている任意の物品である。これらの装置の例としては、傷用包帯、シーラント、組織補填材、薬物送達システム、コーティング、癒着防止バリア、カテーテル、インプラント、ステント、並びに、眼内レンズ及びコンタクトレンズなどの眼科用装置が挙げられるが、これらには限定されない。生物医学装置は、シリコーンヒドロゲルから製造されるコンタクトレンズを含むコンタクトレンズなどの眼科用装置であり得る。
【0037】
「個体」は、ヒト及び脊椎動物を含む。
【0038】
「眼の表面」という用語には、角膜、結膜、涙腺、副涙腺、鼻涙管及びマイボーム腺の表面及び腺性の上皮、それらの先端及び基部マトリクス(apical and basal matrices)、点(puncta)及び、神経支配による上皮の連続性並びに内分泌及び免疫系の両方によって、機能的システムとして連結されているまぶたを含む隣接した又は関連する構造が含まれる。
【0039】
「眼科用装置」とは、眼の表面を含む、眼内若しくは眼上、又は眼の任意の一部にある、任意の装置である。これらの装置は、光学補正、美容増進、視力強化、治療効果(例えば、包帯として)、若しくは医薬成分及び栄養補助成分などの活性成分の供給、又は前述の任意の組み合わせを提供することができる。眼用装置の例としては、レンズ、並びに、光学挿入物及び、涙点プラグなどを含む眼内挿入物が挙げられるが、これらに限定されない。「レンズ」は、ソフトコンタクトレンズ、ハードコンタクトレンズ、ハイブリッドコンタクトレンズ、眼内レンズ、及びオーバレイレンズを含む。眼科用装置は、コンタクトレンズを備え得る。
【0040】
「コンタクトレンズ」は、個体の眼の角膜上に配置され得る構造、眼科用装置を指す。コンタクトレンズは、創傷治癒、薬剤若しくは栄養補助剤の供給、診断的評価若しくは監視、又は紫外線遮断及び可視光線若しくはグレアの抑制又はこれらの組み合わせを含む、矯正的、美容的、治療的な利益をもたらし得る。コンタクトレンズは、当該技術分野で既知の任意の適切な材料であり得、ソフトレンズ、ハードレンズ、又は係数、含水率、光吸収特性若しくはそれらの組み合わせなどの、異なる特性を有する少なくとも2つの別個の部分を含有するハイブリッドレンズであり得る。
【0041】
本発明の生物医学装置、眼科用装置、及びレンズは、シリコーンヒドロゲルからなり得る。これらのシリコーンヒドロゲルは通常、硬化済み装置で互いに共有結合した、シリコーン成分並びに/又は、疎水性モノマー及び親水性モノマーを含む。
【0042】
「シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズ」は、少なくとも1つのシリコーンヒドロゲル材料を含むコンタクトレンズを指す。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、概して、従来のヒドロゲルと比較して増加した酸素透過性を有する。シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズは、その含水率及びポリマー含有量の両方を使用して、酸素を眼に届ける。
【0043】
「ポリマーネットワーク」は、ポリマーネットワークが本質的に1つの高分子であるため、膨張し得るが、溶媒内に溶解することができない架橋された高分子である。「ヒドロゲル」又は「ヒドロゲル材料」という用語は、平衡状態において水を含有するポリマーネットワークを指す。ヒドロゲルは、概して、少なくとも約10重量%の水を含有する。
【0044】
「従来のヒドロゲル」は、いかなるシロキシ、シロキサン、又はカルボシロキサン基も有しないモノマーから製造されたポリマーネットワークを指す。従来のヒドロゲルは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(2-hydroxyethyl methacrylate)(「HEMA」)、N-ビニルピロリドン(N-vinyl pyrrolidone)(「NVP」)、N、N-ジメチルアクリルアミド(N-dimethylacrylamide)(「DMA」)又は酢酸ビニルなどの親水性モノマーを主として含むモノマー混合物から調製される。米国特許第4,436,887号、同第4,495,313号、同第4,889,664号、同第5,006,622号、同第5,039,459号、同第5,236,969号、同第5,270,418号、同第5,298,533号、同第5,824,719号、同第6,420,453号、同第6,423,761号、同第6,767,979号、同第7,934,830号、同第8,138,290号、及び同第8,389,597号は、従来のヒドロゲルの形成を開示する。市販のハイドロゲル製剤は、限定されるものではないが、エタフィルコン(etafilcon)、ポリマコン(polymacon)、ビフィルコン(vifilcon)、ジェニフィルコン(genfilcon)、レネフィルコン(lenefilcon)、ヒラフィルコン(hilafilcon)、ネソフィルコン(nesofilcon)、及びオマフィルコン(omafilcon)を含み、それらの変形の全てを含む。
【0045】
「シリコーンヒドロゲル」という用語は、少なくとも1つの親水性成分との少なくとも1つのシリコーン含有成分の共重合によって得られるヒドロゲルを指す。親水性成分はまた、非反応性ポリマーも含み得る。シリコーン含有成分及び親水性成分の各々は、モノマー、マクロマー、又はそれらの組み合わせであり得る。シリコーン含有成分は、少なくとも1つのシロキサン又はカルボシロキサン基を含有する。市販のシリコーンヒドロゲルの例としては、バラフィルコン(balafilcon)、アクアフィルコン(acquafilcon)、ロトラフィルコン(lotrafilcon)、コンフィルコン(comfilcon)、デレフィルコン(delefilcon)、エンフィルコン(enfilcon)、ファンフィルコン(fanfilcon)、フォルモフィルコン(formofilcon)、ガリフィルコン(galyfilcon)、セノフィルコン(senofilcon)、ナラフィルコン(narafilcon)、ファルコンII(falcon II)、アスモフィルコンA(asmofilcon A)、サンフィルコン(samfilcon)、リオフィルコン(riofilcon)、ステンフィクロン(stenficlon)、ソモフィルコン(somofilcon)、かつ米国特許第4,659,782号、同第4,659,783号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,998,498号、同第6,087,415号、同第5,760,100号、同第5,776,999号、同第5,789,461号、同第5,849,811号、同第5,965,631号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第6,867,245号、同第6,943,203号、同第7,247,692号、同第7,249,848号、同第7,553,880号、同第7,666,921号、同第7,786,185号、同第7,956,131号、同第8,022,158号、同第8,273,802号、同第8,399,538号、同第8,470,906号、同第8,450,387号、同第8,487,058号、同第8,507,577号、同第8,637,621号、同第8,703,891号、同第8,937,110号、同第8,937,111号、同第8,940,812号、同第9,056,878号、同第9,057,821号、同第9,125,808号、同第9,140,825号、同第9156,934号、同第9,170,349号、同第9,244,196号、同第9,244,197号、同第9,260,544号、同第9,297,928号、同第9,297,929号、並びに国際公開第03/22321号、国際公開第2008/061992号、及び米国特許出願公開第2010/048847号で調製されたシリコーンヒドロゲルが挙げられる。これらの特許は、この段落で記載される他の特許同様に、それらの全体が参考により本明細書に組み込まれる。
【0046】
「シリコーン含有成分」は、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、添加剤、又はシロキサン[-Si-O-Si]基若しくはカルボシロキサン基の形態の少なくとも1つのシリコーン-酸素結合を含有するポリマーを指す。シリコーン含有成分の例としては、シリコーンマクロマー、プレポリマー、及びモノマーが挙げられるが、これらに限定されない。シリコーンマクロマーの例としては、ペンダント親水基でメタクリル化されたポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxane methacrylated with pendant hydrophilic groups)が挙げられるが、これらに限定されない。本発明において有用なシリコーン含有成分の例は、米国特許第3,808,178号、同第4,120,570号、同第4,136,250号、同第4,153,641号、同第4,740,533号、同第5,034,461号、同第5,962,548号、同第5,244,981号、同第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,371,147号、同第5,760,100号、同第5,849,811号、同第5,962,548号、同第5,965,631号、同第5,998,498号、同第6,367,929号、同第6,822,016号、同第5,070,215号、米国特許第8662,663号、同第7,994,356号、同第8,772,422号、同第8,772,367号、EP080539及び米国特許第2014/123959号に見出され得る。
【0047】
「反応性混合物」及び「反応性モノマー混合物」は、互いに混合され、シリコーンヒドロゲル及び本発明のコンタクトレンズを形成する重合条件におかれるときの成分(反応性及び非反応性の両方)の混合物を指す。反応性混合物は、反応性成分、例えば、モノマー、マクロマー、プレポリマー、架橋剤、開始剤、希釈剤、並びに湿潤剤、離型剤、染料、UV吸収剤などの光吸収化合物、色素、染料、及びフォトクロミック化合物などの追加成分を含み、これらのうちのいずれかは、反応性でも非反応性でもよいが、医薬化合物及び栄養補助化合物、並びに任意の希釈剤などの活性成分と同様に、結果として得られる生物医学装置内に保持されることが可能である。製造される生物医学装置及びその使用方法に基づいて、広範囲の添加物を加え得ることは、理解されるであろう。反応混合物の構成成分の濃度は、希釈剤を除く、反応混合物の全成分の重量%で示される。希釈剤が使用されるとき、それらの濃度は、反応混合物及び希釈剤の全成分の量に基づく重量%として示される。
【0048】
「モノマー」は、非反復官能基を有する分子であり、連鎖重合、特に、遊離ラジカル重合を経験し得る。いくつかのモノマーは、架橋剤として作用し得る二官能不純物を有する。「マクロマー」は、連鎖重合を経験し得る、反復構造及び少なくとも1つの反応性基を有する直鎖又は分岐ポリマーである。モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(mPDMS)、及びモノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(分子量=500~1500g/mol)(OH-mPDMS)は、マクロマーと称される。
【0049】
「反応性成分」は、共有結合、水素結合、又は相互貫入ネットワークの形成によって結果として生じるシリコーンヒドロゲルのポリマーネットワークの構造の一部になる、反応性混合物内の成分である。ポリマーの構造の一部にならない希釈剤及び加工助剤は、反応性成分ではない。典型的には、マクロマーの化学構造は、標的高分子の化学構造とは異なり、つまり、マクロマーの懸垂基の反復単位は、標的高分子の反復単位又はその主鎖とは異なる。
【0050】
「重合性」は、遊離ラジカル重合などの連鎖重合を経験し得る少なくとも1つの反応性基を含む化合物を意味する。反応性基の例としては、以下に列挙される一価の反応性基が挙げられる。「非重合性」は、化合物が、重合性基を含まないことを意味する。
【0051】
「一価の反応性基」は、遊離ラジカル及び/又はカチオン重合などの、連鎖重合を経験し得る基である。遊離ラジカル反応性基の非限定的例としては、(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル基が挙げられる。一実施形態において、遊離ラジカル反応性基は、(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、及びスチリル官能基、又は(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、及び上記のうちのいずれかの混合物を含む。上記の例としては、置換又は非置換のC1~6アルキル(メタ)アクリレート、C1~6アルキル(メタ)アクリルアミド、C2~12アルケニル、C2~12アルケニルフェニル、C2~12アルケニルナフチル、C2~6アルケニルフェニルC1~6アルキルが挙げられ、C1~6アルキルの好適な置換基は、エーテル、ヒドロキシル、カルボキシル、ハロゲン、及びそれらの組み合わせを含む。
【0052】
リビング遊離ラジカル及びイオン重合などの他の重合経路もまた用いられ得る。装置形成モノマーは、ヒドロゲルコポリマーを形成し得る。ヒドロゲルについて、反応性混合物は、典型的には、少なくとも1つの親水性モノマーを含むことになる。
【0053】
親水性成分は、10重量%の濃度で、25℃で、脱イオン水と混合されるとき、透明な単相を得るものである。
【0054】
「相互貫入ポリマーネットワーク」又は「IPN」は、分子スケール上で少なくとも部分的に交絡されるが、互いに共有結合されず、化学結合が破壊されるまで分離させることができない、2つ又は3つ以上のポリマーネットワークを含むポリマーである。
【0055】
「半相互貫入ポリマーネットワーク」又は「半IPN」は、1つ又は2つ以上のポリマーネットワーク、及び直鎖又は分岐鎖のうちの少なくともいくつかによるネットワークのうちの少なくとも1つの分子スケールにおける貫入によって特徴付けられる1つ又は2つ以上の直鎖又は分岐ポリマーを含むポリマーである。
【0056】
「架橋剤」は、分子の2つ又は3つ以上の場所で遊離ラジカル重合を経験し得、それによって、分岐点及びポリマーネットワークを作り出す、二官能又は多官能成分である。一般的な例は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド、トリアリルシアヌレートなどである。
【0057】
本発明の目的上、コンタクトレンズは、少なくとも2つの別個の領域によって画定される。つまり、視覚矯正が得られる内側領域又は光学区域と、目の上におけるコンタクトレンズの機械的安定性をもたらす、コンタクトレンズの外側の周辺区域である。いくつかの場合において、内側の光学区域と外側の周辺区域との間に位置する、任意の中間区域又は領域は、不連続性を生じないような平滑な方式で、上述の2つの区域を混合するために利用され得る。コンタクトレンズはまた、前面又は表面度数、裏面曲線又は基本曲線、及び縁部によっても画定される。
【0058】
内側の領域又は光学区域は、視力矯正をもたらすものであり、単一視の近視若しくは遠視矯正、乱視矯正、二焦点の視力矯正、多焦点の視力矯正、特注の矯正又は視力矯正をもたらし得る任意の他の設計など、特定の必要性に合わせて設計される。外側周辺部又は周辺区域は、セントレーション及び配向を含む、眼の上でのコンタクトレンズの配置及び安定化に影響を及ぼす機械的特徴を提供する。配向安定性は、光学区域が乱視矯正及び/又は高次収差矯正などの非回転対称性の特性を含むとき不可欠である。光学中間領域又は区域は、光学区域及び周辺区域が円滑に融合されることを確実にする。光学区域と周辺区域の両方は独立して設計されてもよいが、それらの設計は、特定の要件が必要となるときには、強く関連することに留意することが重要である。
【0059】
本発明に従う例示的なコンタクトレンズ設計又は構築において、コンタクトレンズは、光学区域と、光学区域を囲む周辺区域と、を備える。この配置又は構成は、標準コンタクトレンズ設計である。しかしながら、本発明によると、光学区域は、以降に詳述されるように、周囲領域、すなわち、周辺区域よりも剛性が大きくなるように変更される。光学区域は、以降に考察されるように、いくつかの方法及び手段を介して、周辺区域よりも大きい剛性で製造され得る。より剛性が大きい光学区域は、周辺区域の材料よりも高いヤング係数又は高い弾性率を有する材料を利用して達成され得る。より高い弾性率に加えて、光学区域の材料はまた、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物が定位置に固定されたままであるように、第2のヒドロゲル反応性混合物よりも高い粘度を有し得る。第1のシリコーンヒドロゲル混合物はまた、第2のヒドロゲル反応性混合物を注入する前に、部分的又は完全に硬化され得る。
【0060】
結果として生じるレンズの第1及び第2のヒドロゲルポリマー間の境界面の応力の発生を最小にすることが望ましい。これは、第1及び第2のヒドロゲル反応性混合物の含水率及び/又は膨張を実質的に一致させることによってなされ得る。
【0061】
調光染料モノマー混合物及び透明モノマー混合物から形成されるポリマーの膨張係数を平衡化することによって望ましい光学及び快適性を有するヒドロゲルコンタクトレンズを製造し得ることが見出されている。一実施形態では、それぞれのモノマー混合物から形成されるポリマーの膨張係数は、約10%以内であり、いくつかの実施形態では約8%以内、また他の実施形態では約5%以内である。膨張係数は、希釈剤濃度、親水性構成成分及び疎水性構成成分の濃度及び親水性又は疎水性、並びに反応開始剤及び架橋剤の濃度、並びにそれらの組み合わせを含む、複数の製剤変数を操作することによって、調節され得る。多くの調光染料は、高度に疎水性であり、また本発明で使用される濃度において、それらを含有するヒドロゲルの膨張係数に影響を及ぼし得る。調光染料が疎水性である一実施形態では、同様の量の別の疎水性構成成分を置き換えることが、製剤計画に追加される。同様に、調光化合物が親水性であれば、同様の量の別の親水性構成成分を置き換えることが、製剤計画に追加されるであろう。例えば、シリコーンヒドロゲルコンタクトレンズが製造されるようないくつかの実施形態では、シリコーン成分の濃度を維持し、また親水性構成成分のうちの1つの一部を置き換えることが望ましいことがある。これらの実施形態では、所望の膨張係数を達成するために、複数の調節が必要な可能性がある。
【0062】
それに加え、所望の膨張係数を達成するために、他の製剤変数が修正されることもある。親水性構成成分の濃度を変化させるいくつかの実施形態では、希釈剤濃度及び反応開始剤濃度、並びにそれらの組み合わせが、望ましい光学及び快適性を有する調光コンタクトレンズを提供するのに効果的である。一実施形態では、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、メタクリル酸、ポリジメチルアクリルアミド、又はポリ(ビニルメタセトアミド)(poly(vinyl methacetamide))等の親水性ポリマーが、調光染料モノマー混合物に添加され得る。
【0063】
中心及び周辺区域の両方で同一又は類似の成分を使用することが望ましい場合がある。例えば、両方の反応性混合物内に同一の親水性成分を含むことが望ましい場合がある。この場合、親水性構成成分の濃度に加えて製剤変数を変化させてよい。
【0064】
片面硬化が使用されたとき、膨張係数は、モノマー、希釈剤濃度、及びそれらの組み合わせを使用して適合され得る。硬化が一方からのみ生じる(光硬化等)場合は、同様に反応開始剤濃度を増加することが望ましいこともある。
【0065】
周辺領域は、シリコーンヒドロゲル及びフルオロヒドロゲルが挙げられるがそれに限定されない、HEMA系ヒドロゲル又はシリコーンヒドロゲル材料から製造されるソフトコンタクトレンズ材料から形成され得る。ソフトコンタクトレンズ製剤の例には、エタフィルコンA(etafilcon A)、ジェニフィルコンA(genfilcon A)、レネフィルコンA(lenefilcon A)、ポリマコン(polymacon)、アクアフィルコンA(acquafilcon A)、バラフィルコンA(balafilcon A)、ガリフィルコンA(galyfilcon A)、セノフィルコン(senofilcon)、ナラフィルコンA(narafilcon A)、ナラフィルコンB(narafilcon B)、コンフィルコン(comfilcon)、フィルコンII 3(filcon II 3)、アスモフィルコン(asmofilcon)、モノマーA(Monomer A)、及びロトラフィルコンA(lotrafilcon A)等の製剤が挙げられるがそれらに限定されない。米国特許第5,998,498号、米国特許出願第09/532,943号、2000年8月30日に出願された米国特許出願第09/532,943号の一部継続出願、及び、米国特許第6,087,415号、米国特許第6,087,415号、米国特許第5,760,100号、米国特許第5,776,999号、米国特許第5,789,461号、米国特許第5,849,811号、米国特許第5,965,631号、米国特許第7,553,880号、国際公開第2008/061992号、米国特許出願公開第2010/048847号に開示されるものなどのシリコーンヒドロゲル製剤も、使用されてもよい。これらの特許は、その中に含まれるヒドロゲル組成物に関し、参照により本明細書に組み込まれる。一実施形態において、コンタクトレンズ製剤は、エタフィルコンA、バラフィルコンA、アクアフィルコンA、ロトラフィルコンA、ガリフィルコンA、センフィルコン(senfilcon)、コンフィルコン、ナラフィルコン、モノマーA、及びシリコーンヒドロゲルから選択される。
【0066】
より高いヤング係数を有する材料は、より低いヤング係数を有する材料よりも剛性が大きい。構成要素、素子及び/又は部分の剛性は、所与の荷重下でどれくらい屈折するかを判定する。より剛性が大きい材料は、それを弾性変形させるためにより大きな荷重を必要とするが、素子の剛性はまた、材料厚さ及び素子の形状の関数でもある。したがって、所与の形状及び厚さに対して、より高いヤング係数は、より高い剛性をもたらす。このタイプの設計により、乱視矯正は、コンタクトレンズ100の光心又は光学区域102を、角膜の乱視幾何学的形状を飛び越えるように提供することによって、角膜乱視の影響を光学的に中和させるか、又は低減するために、回転又は非回転対称性光学区域に対するコンタクトレンズ剛性の増加を介して達成され得る。言い換えると、光学区域102は、角膜の乱視幾何学的形状を飛び越えるか、又はこれに適合しないが、一方で周辺区域104は、より厚い涙液レンズが角膜と光学区域102との間に形成されるように、眼と接触したままである。涙が角膜のものと実質的に同一の屈折率を有するため、涙液レンズ及びコンタクトレンズの組み合わせは、角膜の幾何学的形状によって生じる視覚障害又は屈折異常を矯正する光学表面又は素子を形成する。言い換えると、流体又は涙レンズの屈折率が角膜に対してほぼ一致すると仮定すると、角膜トリシティは、コンタクトレンズ光学系と組み合わせたときに光学的に中和又は低減される。本発明の利点は、コンタクトレンズに対する非回転対称性光学補正を含有する必要性を低減又は排除することであり、安定化特徴が、サイズ低減されるか、又は排除され得、それによって、より快適なレンズを提供する。
【0067】
乱視角膜幾何学的形状の頂部上の特定のレンズ幾何学的形状、例えば、球形、非球形及び/又はトーリックとの組み合わせにおける、約0.07~約1GPa、又は0.1GPa~約0.7GPa(約10,000~約200,000psi、又は15,000psi~約100,000psi)の係数を有する第1のシリコーンヒドロゲル材料を介して達成される特定の剛性に基づいて、この様式で設計されたコンタクトレンズは、低度の乱視の矯正のために利用され得、またより高度な乱視量、及び角膜の幾何学的形状によって作り出される任意の可能性のあるより高次の収差に対する視力を強化するためにも選択的に利用され得る。したがって、本発明は、特定の処方によるが、回転の整列が通常必要とされる場合にレンズが回転的に整列されることを維持することを低減するか、又はそれを必要とせずに視覚障害を矯正するために、約約0.07~約1GPa、又は0.1GPa~約0.7GPa(約10,000~約200,000psi、又は15,000psi~約100,000psi)の係数を有するシリコーンヒドロゲルから形成される光学区域を伴って形成される、コンタクトレンズを利用する。より高い係数値を有するシリコーンヒドロゲルが、より大きい設計の自由度を提供し、かつより薄い光学区域を可能にすることが理解されるべきである。
【0068】
この設計を実現するために、光学区域102は、好ましくは、約0.07GPa~約1GPa、又は約0.1~約0.7GPa(約10,000psi~約200,000psi、又は約15,000~約100,000psi)の係数を有するシリコーンヒドロゲルを含む。驚くべきことに、これらの非常に高い係数値にもかかわらず、シリコーンヒドロゲルはまた、約10重量%~40重量%、又は10重量%~30重量%の含水率を含む。
【0069】
第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物
本発明のシリコーンヒドロゲルは、(a)少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマーと、(b)少なくとも1つのシリコー含有成分と、(e)少なくとも1つの架橋剤と、を含む、反応性混合物から形成される。N-アルキルメタクリルアミドモノマーは、式Iに示される構造を有し、
【0070】
【化1】
式中、R
’は、1~8個の炭素原子、ベンジル又はフェニルを含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基から選択され、これらのいずれかは、非置換であるか、又はヒドロキシル、アミノなどの追加の官能基によって置換され得る。
【0071】
R’はまた、非置換C1~C4アルキル基からなる群から選択され得る。
【0072】
R’がメチルであるとき、N-アルキルメタアクリルアミドモノマーは、N-メチルメタアクリルアミド(N-methyl methacrylamide、NMMA)である。
【0073】
N-アルキルメタクリルアミドモノマーは、全ての反応性成分に基づいて、約1~約50重量パーセント、約5~約50、約7~約30、約7~約25又は約7~約20重量%の濃度で反応性混合物内に存在し得る。
【0074】
少なくとも1つのNアルキルメタクリルアミドモノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む反応性混合物から製造されたヒドロゲルが、著しく増加した係数を呈し、一方で10%又は15%超の含水率値を依然として保持しているということが、驚くことに見出された。係数値は、1Gpa(200,000psi)までの範囲であり得る。それらの驚くほどに増加した係数にかかわらず、本発明のシリコーンヒドロゲルは、脆くはなく、5%超又は10%超の容認可能な%伸長値を有する。これらの材料は、角膜を飛び越える代わりに、眼上に配置されたときにその形状を保持する硬質中心を有する、ハイブリッドコンタクトレンズを作り出すために使用され得る。これは、コンタクトレンズの周辺区域に対してより剛性が大きい中心光学区域を作り出す。剛性は、材料の係数Eが厚さtの3乗によって乗算された、Et3である。
【0075】
コンタクトレンズについて、レンズがより厚くなると、特に、約150又は200ミクロンを超えると、レンズの感覚が増加する。したがって、ハイブリッドレンズを作り出すとき、約1,000、10,000又は100,000超の係数を有する材料を使用することが望ましい場合がある。少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分上のシロキサン基は、互いに相互作用して、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドモノマー及び少なくとも1つのシリコーン含有成分の両方を有しない製剤と比較して増加した係数値を有するヒドロゲルを作り出すと思われる。
【0076】
シリコーン含有成分は、モノマー又はマクロマーであり得、少なくとも1つの一価の反応性基及び少なくとも1つのシロキサン基を含み得る。シリコーン含有成分は、少なくとも4つの反復シロキサン単位を有し得、これらは、以下に定義される基のいずれかであり得る。
【0077】
シリコーン含有成分はまた、少なくとも1つのフッ素原子も含有し得る。シリコーン含有成分は、式IIのポリ二置換シロキサンマクロマーから選択され得、
【0078】
【化2】
式中、
少なくとも1つのR
18は、一価の反応性基であり、残りのR
18は、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、カーボネート、ハロゲン、又はそれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得る、一価の反応性基、一価のアルキル基、又は一価のアリール基、
フルオロアルキルアルキル又はアリール基、部分フッ化アルキル又はアリール基、ハロゲン、直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ又はアリールオキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、ポリプロピレンオキシアルキル基、又はポリ(エチレンオキシ-co-プロピレンオキシアルキル基、及び
アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はそれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得る、1~100個のシロキサン反復単位を含む一価のシロキサン鎖から独立して選択され、
式中、nは、0~500、若しくは0~200、若しくは0~100、若しくは0~20であり、nが0以外であるとき、nが表示値と同等のモードを有する分布であることが理解される。
【0079】
式IIにおいて、1~3個のR18は、一価の反応性基を含み得る。
【0080】
好適な一価のアルキル及びアリール基は、
置換及び非置換メチル、エチル、プロピル、ブチルなどの、非置換及び置換の一価の直鎖、分岐又は環状のC1~C16アルキル基、又は非置換の一価のC1~C6アルキル基、
置換基がアミド、エーテル、アミノ、ハロ、ヒドロキシル、カルボキシル、カルボニル基を含む、置換又は非置換のC6~C14アリール基、又は置換若しくは非置換C6アリール基、又はフェニル又はベンジル基、それらの組み合わせなどを含む。
【0081】
1つのR18が一価の反応性基であるとき、追加のシリコーン含有化合物は、式IIIa又はIIIbのポリ二置換シロキサンマクロマー、式IVa若しくはIVbのスチリルポリ二置換シロキサンマクロマー、又は式IVcのカルボシランから選択され得、
【0082】
【化3】
式中、R
1は、水素原子又はメチルであり、
Zは、O、N、S、又はNR
1CH
2CH
2Oから選択され、Z=O又はSであるとき、R
2は、必要とされず、
jは、1~20の整数であり、
R
19は、
各メチレン基が、任意に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩及びこれらの組み合わせによって独立して置換され得る、置換又は非置換C
1~6、C
1~4又はC
2~4アルキレンセグメント(CH
2)
r、又は
オキシアルキレンセグメント(OCH
2)
kであり、
kは、1~3の整数であるか、又はR
19は、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり得、rとkとの合計は、1~9であり、
各R
3及びR
4は、独立して、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はそれらの組み合わせであり、
R
5は、1~8個の炭素原子、若しくは1~4の炭素原子、又はメチル若しくはブチルを有する、置換又は非置換の直鎖又は分岐アルキル基、あるいはアリール基であり、これらのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子と置換され得る。
【0083】
ポリシロキサンマクロマーの非限定的な例としては、式Vに示される、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)(式中、nが3~15である);式VIa及びVIbに示される、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、モノ-n-アルキル末端、ポリジメチル、ポリエチレングリコールシロキサン(式中、qが50まで、5~30又は10~25であり、n1及びn2が、4~100、4~50、又は4~25であり、n3が、1~50、1~20、又は1~10、及びR2~R4が、上記に定義されたものであり、qが、50まで、5~30又は10~25である);並びに式VIIa~Xbに示される化学構造を有するマクロマー(式中、nが4~100、4~20、又は3~15、R5がC1~C4アルキル、メチル、又はブチルであり得る)が挙げられる。
【0084】
【0085】
【0086】
好適なモノ(メタ)アクリロキシアルキルポリ二置換シロキサンの例としては、モノ(メタ)アクリロキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン、モノ(メタ)アクリロキシプロピル末端モノ-n-メチル末端ポリジメチルシロキサン、モノ(メタ)アクリロキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジエチルシロキサン、モノ(メタ)アクリロキシプロピル末端モノ-n-メチル末端ポリジエチルシロキサン、モノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジアルキルシロキサンモノ(メタ)アクリロキシアルキル末端モノアルキルポリジアリールシロキサン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0087】
式IIにおいて、nがゼロであるとき、1つ又は2つ以上のR18は、一価の反応性基を含み得、2つ又は3つ以上のR18は、トリストリC1~4アルキルシロキシシラン基、アルキル、ヒドロキシ、アミノ、オキサ、カルボキシ、アルキルカルボキシ、アルコキシ、アミド、カルバメート、ハロゲン、又はそれらの組み合わせから選択される官能基を更に含み得る、1~100、1~10又は1~5のシロキサン反復単位を含む一価のシロキサン鎖を含み、残りのR18は、1~16、1~6又は1~4の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。シリコーン成分の非限定的例としては、3-メタクリロキシプロピルオキシプロピル(トリメチルシロキシ)シラン(TRIS)、3-メタクリロキシプロピルオキシプロピル(トリメチルシロキシ)メチルシラン、及び、3-メタクリロキシプロピルペンタメチルジシロキサンが挙げられる。
【0088】
シロキサン反復単位の数nはまた、2~50、3~25、又は3~15であり得、少なくとも1つの末端R18は、一価の反応性基を含み、残りのR18は、1~16個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択され、又は1~6個の炭素原子を有する一価のアルキル基から選択される。シリコーン含有化合物はまた、nが3~15であり、1つの末端R18が一価の反応性基を含み、他の末端R18が1~6個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含み、残りのR18が1~3個の炭素原子を有する一価のアルキル基を含むものを含み得る。シリコーン成分の非限定的例としては、モノメタクリルオキシプロピルn-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(Mn=800~1000)、(Vに示されるmPDMS)が挙げられる。
【0089】
式IIはまた、nが5~400又は10~300であり、両末端R18が一価の反応性基を含み、残りのR18が、独立して、1~18個の炭素原子を有する一価のアルキル基であり、これらは、炭素原子間にエーテル結合を有し得、更にハロゲンを含み得る、化合物を含み得る。
【0090】
式IIにおいて1~4個のR18は、式XIのビニルカーボネート又はビニルカルバメートを含み得、
【0091】
【化6】
式中、Yは、O-、S-、又はNH-を示し、R
1は、水素原子又はメチルを示す。
【0092】
シリコーン含有ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーとしては、具体的には、1,3-ビス[4-(ビニルオキシカルボニルオキシ)ブタ-1-イル]テトラメチル-ジシロキサン;3-(ビニルオキシカルボニルチオ)プロピル-[トリス(トリメチルシロキシ)シラン];3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルアリルカルバメート;3-[トリス(トリメチルシロキシ)シリル]プロピルビニルカルバメート;トリメチルシリルエチルビニルカーボネート;トリメチルシリルメチルビニルカーボネート、及び式XIIの架橋剤を含む。
【0093】
【0094】
式中、約0.001GPa(200psi)未満の係数を有する生物医学装置が所望される場合、1つのみのR18が反応性基を含み、残りのR18基のうちの2つ以下が一価のシロキサン基を含む。
【0095】
別の好適なシリコーン含有マクロマーは、式XIIIの化合物であり、式中、x及びyの合計は、10~30の範囲の数である。式XXIIIのシリコーン含有マクロマーは、フルオロエーテル、ヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン、イソホロンジイソシアネート及びイソシアネートエチルメタクリレートの反応によって形成される。
【0096】
【0097】
非ヒドロキシル含有シリコーン含有成分は、米国特許第8,415,405号の非ヒドロキシル含有アクリルアミドシリコーンから選択され得る。本発明での使用に好適な他のシリコーン成分は、ポリシロキサン、ポリアルキレンエーテル、ジイソシアネート、ポリフッ化炭化水素、ポリフッ化エーテル、及び多糖類基を含有するマクロマーなど、WO 96/31792号に記述されているものを含む。好適なシリコーン含有成分の別の種類は、GTPを介して製造されたシリコーン含有マクロマーを含み、例えば、米国特許第5,314,960号、同第5,331,067号、同第5,244,981号、同第5,371,147号、及び同第6,367,929号に開示されているものなどである。米国特許第5,321,108号、同第5,387,662号及び同第5,539,016号は、末端ジフルオロ置換炭素原子に結合した水素原子を有する、極性フッ化グラフト又は側基を有するポリシロキサンについて記述している。US 2002/0016383号は、エーテル及びシロキサニル結合を含有する親水性のシロキサニルメタクリレート、並びにポリエーテル及びポリシロキサニル基を含有する架橋可能なモノマーを記載している。前述のポリシロキサンのいずれもまた、本発明のシリコーン含有成分として使用することができる。
【0098】
非ヒドロキシル含有シリコーン成分は、モノメタクリルオキシプロピル末端、モノ-n-アルキル端子直鎖ポリ二置換シロキサン、メタクリルオキシプロピル末端直鎖ポリ二置換シロキサン、及びそれらの混合物からなる群から選択され得る。
【0099】
非ヒドロキシル含有シリコーン成分はまた、モノメタクリレート末端、C1~C4アルキル末端、直鎖ポリジメチルシロキサン、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0100】
いくつかの事例において、非ヒドロキシル官能化シリコーン含有成分は、約10重量%までの量で使用され得る。例としては、R5がメチル又はブチルである、式XXIIのmPDMS、式XXVIa、XVIIb~XVIIIb、XX、XXIa、XXIbの化合物、及び式XXV又はXXVIに示される、nが1~50、mが1~50、1~20又は1~10である、マクロマーから選択されるものを含む。
【0101】
【0102】
非ヒドロキシル官能化シリコーン含有成分の具体例としては、式VIaのmPDMS、式VIIa若しくはb、又はVIIIの、式中、R1がメチルであり、R5がメチル又はブチルから選択される、化合物、及び式XIVに示される、式中、nが1~50又は4~40、4~20である、マクロマーが挙げられる。
【0103】
シリコーン含有架橋剤の具体例としては、nが4~200、又は4~150であり得るビスメタクリロキシプロピルポリジメチルシロキサン、及び式XVIa~XVIcの以下の化合物が挙げられ、式中、n1及びn2は、4~100、4~50、又は4~25から独立して選択され、n3は、1~50、1~20又は1~10、mが1~100、1~50、1~20、又は1~10であり、qは、50まで、5~30、又は10~25である。
【0104】
【0105】
非ヒドロキシル含有シリコーン成分は、約400~約4000ダルトンの平均分子量を有し得る。
【0106】
ZがOであるとき、シリコーン含有成分は、式VIに示される、式中、nが3~15である、モノ-メタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(mPDMS)、式VIaに示される、式中、nが3=15であり、Rが1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基である、モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-アルキル末端ポリジメチルシロキサン、及び式VIIa~XIIc、又はVIIIに示される、式中、nが4~20、又は3~15、3~30、3~25、3~20若しくは3~15である、化学構造を有するマクロマーであり得る。
【0107】
XがNであるとき、ポリシロキサンマクロマーの更なる例は、US8415405に開示されたもの、及び式XIIIに示されるものから選択され得るモノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジアルキルシロキサン、式XIX~XXIIIのものなどのモノ(メタ)アクリルアミドアルキルポリジメチルシロキサン、及びN-(2,3-ジヒドロキシプロパン)-N’-(プロピルテトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)アクリルアミドを含む。
【0108】
【0109】
【0110】
スチリルモノマーの例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレンが挙げられる。スチリルマクロマーの例は、化学式XXIV~XIXに以下に示され、式中、nは、上記に定義されたものである。
【0111】
【0112】
シリコーン鎖の長さは、結果として生じるシリコーンヒドロゲルの係数に対する影響を有し得、物理的及び機械的特性の所望される平衡を達成するために反応性混合物の他の成分と共に調整され得る。例えば、NMMAの量及びシリコーン鎖の長さは、剛性を適度にし、かつ破断伸びを増加させるシリコーンヒドロゲルの含水率を達成するように選択され得る。ポリジアルキルシロキサン鎖長さが増加すると、係数は、低下することになり、破断伸びは、増加することになる。1~20、1~15、3~30、3~25、3~20又は3~15のポリジアルキルシロキサン鎖長さが選択され得る。
【0113】
シリコーン含有成分は、分岐シロキサン基を有するシリコーン含有モノマーを更に含み得る。例としては、トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン(Styryl-TRIS)、3-トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピルメタクリレート(TRIS)、N-[3-トリス(トリメチルシロキシ)シリル]-プロピルアクリルアミド(TRIS-Am、式XXI)、2-ヒドロキシ-3-[3-メチル-3,3-ジ(トリメチルシロキシ)シリルプロポキシ]-プロピルメタクリレート(SiMAA)、及び式XXa~XXeの、式中、R8及びR9が独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基、又はトリメチルシロキシ基であるものなどの、他のバルキーシリコーンモノマーを含む。
【0114】
【0115】
【0116】
【0117】
上述のマクロマーは、メタクリレート、アクリルアミド、又はメタクリルアミド反応性基を有し得る。これらの反応性基は、アクリレート、スチレン、ビニルエーテル、N-ビニルラクタム類、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル化合物などの遊離ラジカル重合を経験することができる任意の他の反応性基によって置換され得る。約0.03Gpa(5000psi)超の係数が所望される場合、スチリル反応性基を有するモノマー及びマクロマーが有益に含まれる。
【0118】
使用に好適な代替的なシリコーン含有成分としては、WO96/31792及び米国特許第5314960号、米国特許第5331067号、米国特許第5244981号、米国特許第5371147号、米国特許第6367929号、米国特許第5321108号、米国特許第5387662号、米国特許第5539016号、米国特許第6867245号に説明されたものが挙げられ、他のものも、当業者にとって明らかであろう。
【0119】
ヒドロキシル含有シリコーン成分
シリコーン含有成分はまた、1つ又は2つ以上のヒドロキシル含有シリコーン成分を含み得る。ヒドロキシル含有シリコーン成分は、高濃度のシリコーン含有成分を、ポリマー親水性成分を含む親水性成分、及びバルキーシロキサン基又は反復シロキサン単位のより長い鎖と相溶化することを助け得る。ヒドロキシル含有シリコーン成分は、ヒドロキシル含有シリコーンモノマー及びマクロマーを含む。ヒドロキシル含有シリコーン成分は、4~200、4~100又は4~20個のシロキサン反復単位を有し得、単官能性又は多官能性であり得る。
【0120】
シロキサン鎖内に4個のポリ二置換シロキサン反復単位を有するヒドロキシル含有シリコーン成分は、分布ではなく、4個の反復単位を各モノマー内に有する。シロキサン鎖内に4個超のポリ二置換シロキサン反復単位を有する全てのヒドロキシル含有シリコーン成分について、いくつかの反復ユニットは、分布であり、分布のピークは、列挙された数の反復単位周辺を中心とする。
【0121】
ヒドロキシル含有シリコーンモノマーの例としては、プロペン酸-2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]-1-ジシルオキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(「SiGMA」(propenoic acid-2-methyl-2-hydroxy-3-[3-[1,3,3,3-tetramethyl-1-[(trimethylsilyl)oxy]-1-disiloxanyl]propoxy]propyl ester))、2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピルオキシプロピル-トリス(トリメチルシロキシ)シラン、及び式XXdの化合物が挙げられる。
【0122】
ヒドロキシル含有シリコーン成分は、式XXIの単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)から選択され得、
【0123】
【化17】
式中、Zは、O、N、S又はNR
1CH
2CH
2Oから選択され、ZがO又はSであるとき、R
2は、存在せず、
R
1は、独立して、水素又はメチルであり、
R
2、R
3及びR
4は、独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基であり、これらのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基によって更に置換され得、任意に、アミド、エーテル、及びそれらの組み合わせによって置換され得、R
3及びR
4は、独立して、メチル、エチル又はフェニルから選ばれ得るか、又はメチルであり得、
nは、シロキサン単位の数であり、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)モノマーに対して4~8であり、
R
5は、直鎖又は分岐C
1~C
8アルキル基から選択され、これは、任意に、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、及びそれらの組み合わせによって置換され得る。R
5は、直鎖又は分岐C
4アルキルであり得、これらのいずれか一方は、任意に、ヒドロキシルによって置換され得るか、又はメチルであり得る。
【0124】
単官能性ヒドロキシル含有シリコーン含有成分の例としては、式XXIIaに示されるモノ(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)が挙げられ、式中、nは、4~30、4~8又は10~20であり、ポリジメチルシロキサンは、式XXIIb~式XXIIIdに示される化学構造を有し、式中、nは、4~30、4~8又は10~20であり、n1 n2、及びn3は、独立して、4~100、4~50、4~25であり、R5は、直鎖又は分岐C1~C8アルキル基から選択され、これは、任意に、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、CfHg(OH)hの式を有し、式中、f=1~8であり、g+h=2f+1である、直鎖又は分岐C1~C8基、及びCfHg(OH)hの式を有し、式中、f=1~8であり、g+h=2f-1である、環状C1~C8基から選択されるポリヒドロキシル基、並びにそれらの組み合わせによって置換され得、あるいはR5は、ヒドロキシルエチル、ヒドロキシルプロピル、ヒドロキシルブチル、ヒドロキシルペンチル及び2,3-ジヒドロキシプロピルを含む、メチル、ブチル又はヒドロキシル置換C2~C5アルキル、並びに式XXIVのポリカルボンシロキサンから選択され得、式中、第1のヒドロキシル含有シリコーン成分に対して、a及びbは、4~100又は4~8であり、cは、4~8であり、R1及びR5は、上記に定義されたものである。
【0125】
【0126】
【0127】
ヒドロキシル含有シリコーン成分はまた、10~500、10~200、又は10~100個のシロキサン反復単位を有する式XXVの多官能性ヒドロキシル置換、ポリ(二置換シロキサン)から選択され得、
【0128】
【化20】
式XXVにおいて、Zは、O、N、S又はNR
1CH
2CH
2Oから選択され、式中、R
1は、独立して水素原子又はメチル基であり、Z=O及びSについて、R
2は、必要とされず、
R
2、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10は、独立して、水素原子又はR
11~R
14に対して定義された置換基のいずれかからなる群から選択され、
R
11、R
12、R
13、R
14は、独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基であって、これらのうちのいずれかが、少なくとも1つのヒドロキシ基、アミド、エーテル、アミノ、カルボキシ、カルボニル基及び組み合わせと更に置換され得る、直鎖、分岐、又は環状アルキル基と、直鎖又は分岐アルキレンオキシ基であって、具体的には、エチレンオキシ基、[CH
2CH
2O]
pであり、pが、1~200、1~100、1~50、1~25、又は1~20であり、任意に、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシ、及びそれらの組み合わせで置換された、直鎖又は分岐アルキレンオキシ基と、
1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミノ、アミド、エーテル、カルボニル、カルボキシ、及びそれらの組み合わせで任意に置換された、C
1~C
6直鎖又は分岐フルオロアルキル基と、
置換又は非置換アリール基であって、具体的には、フェニル基であり、置換基が、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、カルボキシ、並びにハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシ、アルキルカルボニル、及びカルボキシと更に置換され得る、直鎖、分岐又は環状アルキル基、かつそれらの組み合わせから選択される、置換又は非置換アリール基と、からなる群から選択され、
a、b、c、x、y及びzは、独立して、0~100、0~50、0~20、0~10、又は0~5であり、
nは、シロキサン反復単位の数であり、10~500、10~200、10~100、10~50、10~20である。
【0129】
多官能性ヒドロキシル含有シリコーンの例としては、α-(2-ヒドロキシ-1-メタクリルオキシプロピルオキシプロピル)-ω-ブチル-デカメチルペンタシロキサン、及び式XXVI又は式XXVIIの二官能性ポリシロキサンが挙げられ、
【0130】
【化21】
置換基は、上記に定義されたものであり、
【0131】
【化22】
[式中、
R
1は、独立して水素原子又はメチル基であり、
R
15及びR
16は、独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基であり、これらのうちのいずれかが、少なくとも1つのヒドロキシ基、アミド、エーテル、アミノ、カルボキシ、カルボニル基及びそれらの組み合わせと更に置換され得るか、独立して、非置換C
1~4アルキル基及びヒドロキシル若しくはエーテルと置換されたC
1~4アルキル基から選択されるか、又はメチル、エチル若しくは-(CH
2CH
2O)
n3OCH
3から選択され、
n
1及びn
2は、独立して、4~100、4~50、又は4~25から選択され、n
3は、1~50、1~20、及び1~10である。
【0132】
少なくとも1つのシリコーン含有成分は、シリコーンヒドロゲルの所望される係数及び酸素透過性を提供するために十分な量で反応性混合物中に存在する。N-アルキルメタクリルアミドが、シリコーン含有成分を同様に含む製剤内に含まれるとき、係数の驚くほどの増加を提供することが見出された。この係数の増加は、従来のヒドロゲル製剤では観察されない。シリコーン含有成分は、全て反応性成分の全ての総重量に基づいて、約20~約60重量%、又は約30~約55重量%、約30重量%~約50重量%、約50重量%~約60重量%の量で反応性混合物内に含まれ得る。
【0133】
結果として生じるシリコーンヒドロゲルについて、約50バレル超、約50バレル~約200バレル、約70バレル~約150バレル、又は約80バレル~約150バレルの酸素透過性を呈することがまた、所望され得る。
【0134】
架橋剤
本発明のシリコーンヒドロゲルは、少なくとも1つの架橋剤を含む。シリコーン含有及び非シリコーン含有架橋剤、並びにそれらの混合物を含む、様々な架橋剤が使用され得る。非シリコーン含有架橋剤としては、エチレングリコールジメタクリレート(ethylene glycol dimethacrylate、EGDMA)、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート(trimethylolpropane trimethacrylate、TMPTMA)、テトラエチレングリコールジメタクリレート(tetraethylene glycol dimethacrylate、TEGDMA)、トリアリルシアヌレート(triallyl cyanurate、TAC)、グリセロールトリメタクリレート、1,3-プロパンジオールジメタクリレート、2,3-プロパンジオールジメタクリレート、1,6-ヘキサンジオールジメタクリレート、1,4-ブタンジオールジメタクリレート、メタクリルオキシエチルビニルカーボネート(methacryloxyethyl vinylcarbonate、HEMAVc)、アリールメタクリレート、メチレンビスアクリルアミド(methylene bisacrylamide、MBA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(ポリエチレングリコールは、好ましくは、5,000ダルトンまでの分子量を有する)が挙げられる。上記に開示された多官能性シリコーン含有成分のいずれかは、架橋剤として使用され得る。
【0135】
他の架橋剤が、当業者にとって既知であり、本発明のシリコーンヒドロゲルを製造するために使用され得る。
【0136】
非シリコーン含有架橋剤は、全て反応性成分の全ての総重量に基づいて、約0.5重量%~約20重量%、約3重量%~約20重量%、又は約3重量%~約15重量%の量で使用され得る。正確な量は、機械的特性目標及び反応性混合物内の他の反応性成分に応じて変化する。他の単位において、架橋剤は、100グラムの反応性混合物中の約16ミリモル~100グラムの反応性混合物中の約30ミリモル、好ましくは、反応性混合物の16ミリモル/100グラム~25ミリモル/100グラムに変化し得る。シリコーンヒドロゲルネットワークを形成するために他の成分と同様の反応速度を有する反応性基を有する架橋剤を選択することが所望され得る。したがって、他の反応性成分中に含まれた反応性基と同一である少なくとも1つの反応性基を有する架橋剤を選択することが所望され得る。結果として生じるシリコーンヒドロゲルの構造及び形態はまた、使用される希釈剤及び硬化条件によっても影響され得る。
【0137】
マクロマーを含む多官能性シリコーン含有成分もまた、係数を更に増加させ、かつ引張強度を保持するために含まれ得る。架橋剤を含むシリコーンは、単独で、又は他の架橋剤と組み合わせて使用され得る。架橋剤として作用でき、存在する場合に反応混合物への架橋モノマーの追加を必要としないシリコーン含有モノマーの例としては、α,ω-ビスメタクリロイルプロピル(bismethacryloypropyl)ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
【0138】
シリコーン架橋剤が製剤に使用されるとき、シリコーン架橋剤中のシロキサン反復単位の数を5~200、5~150、5~120に限定することは、酸素透過性、及び伸びなどの他の特性に著しく影響を与えずに、0.1GPa(15,000psi)を超える係数値の保持を可能にする。0.1GPa(15,000psi)を超える係数が所望されるとき、シリコーン架橋剤は、全て反応性成分の全ての総重量に基づいて、0~約25重量パーセント、又は約10重量パーセント~20重量パーセントの量で含まれ得る。
【0139】
シリコーン架橋剤の非限定的例は、式XII、XIII、XVIa~XVIIc、上の及び以下の化学式XXVI~XXXVIIに示され、式中、nは、1~200、好ましくは、nは、50~150、より好ましくは、nは、50~100、最も好ましくは、nは、10~50である。
【0140】
【0141】
【0142】
上述のシリコーン架橋剤はまた、アクリレート、メタクリレート、O-ビニルカーボネート、又はメタクリルアミド反応性基も有し得る。これらの反応性基は、スチレン、ビニルエーテル、N-ビニルラクタム類、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニル尿素、O-ビニルカルバメート、及び他のビニル化合物などの遊離ラジカル重合を経験することができる任意の他の反応性基によって置換され得る。いくつかの実施形態において、スチリル反応性基を有するシリコーン架橋剤が好ましい。
【0143】
硬質化学構造を有する架橋剤、及び遊離ラジカル重合を経験する反応性基もまた使用され得る。好適な硬質構造の非限定的例としては、フェニル及びベンジル環を含む架橋剤が挙げられ、これは、1,4-フェニレンジアクリレート、1,4-フェニレンジメタクリレート、2,2-ビス(4-メタクリルオキシフェニル)-プロパン、2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン、及び4-ビニルベンジルメタクリレート、並びにそれらの組み合わせである。硬質架橋剤は、反応性成分の全ての総重量に基づいて、約2~約15、又は2~10、3~7の量で含まれ得る。
【0144】
より多くのNMMAが使用されると、より多くの架橋剤が使用され得るが、一方で依然として標的含水率及び係数に到達する。
【0145】
本発明のシリコーンヒドロゲルの物理的及び機械的特性は、反応性混合物の成分を調整することによって特定の用途に最適化され得る。本発明の利点は、所望される係数が、単官能性シリコーン含有成分を使用して達成され得ることである。
【0146】
親水性モノマー
本発明のシリコーンヒドロゲルは、1つ又は2つ以上の親水性モノマーを更に含み得る。親水性モノマーは、ヒドロゲルを製造するのに有用であることが知られている親水性モノマーのいずれであってもよい。好適な親水性モノマーの種類としては、アクリル含有モノマー及びビニル含有モノマーが挙げられる。親水性モノマーの好適な族の例としては、N-ビニルアミド、N-ビニルイミド、N-ビニルラクタム、親水性(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、親水性スチレン、ビニルエーテル、O-ビニルカーボネート、O-ビニルカルバメート、N-ビニル尿素、他の親水性ビニル化合物、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0147】
本発明のポリマーを製造するために使用され得る親水性モノマーは、少なくとも1つの重合可能な二重結合及び少なくとも1つの親水性官能基を有する。かかる親水性モノマーはそれ自体、架橋剤として使用されることが可能であるが、その場合、2つ以上の重合性官能基を有する親水性モノマーが使用され、その濃度は、所望の弾性率を有するコンタクトレンズを提供するために、上述のように制限されなければならない。「ビニル型」又は「ビニル含有」モノマーという用語は、ビニル基(-CH=CH2)を有するモノマーを意味し、一般的に反応性が高い。かかる親水性ビニル含有モノマーは、比較的容易に重合することが知られている。
【0148】
「アクリル系」又は「アクリル含有」モノマーは、アクリル基(CH2=CRCOX)を含有するモノマーであり、ここでRはH又はCH3であり、XはO又はNであり、アクリル基は、容易に重合することも知られており、例えば、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、メタクリル酸、アクリル酸、それらの混合物などである。
【0149】
少なくとも1つのヒドロキシル基(ヒドロキシルアルキルモノマー)を有する親水性モノマーが使用され得る。ヒドロキシルアルキル基は、C2~C4モノ又はジヒドロキシ置換アルキル、及び1~10個の反復単位を有するポリ(エチレングリコール)から選択され得るか、又は2-ヒドロキシエチル、2,3-ジヒドロキシプロピル、若しくは2-ヒドロキシプロピル、及びそれらの組み合わせから選択される。
【0150】
ヒドロキシアルキルモノマーの例としては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート(HEMA)、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、1-ヒドロキシプロピル2-(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-2-メチル-プロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N-(2-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N-(3-ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、グリセロール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノメタクリレート、及びそれらの混合物が挙げられる。
【0151】
ヒドロキシルアルキルモノマーはまた、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピルメタクリレート、及びそれらの混合物からなる群より選択され得る。
【0152】
ヒドロキシアルキルモノマーは、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、3-ヒドロキシ-2,2-ジメチル-プロピルメタクリレート、ヒドロキシブチルメタクリレート又はグリセロールメタクリレートを含み得る。
【0153】
約3重量%超の量の親水性ポリマーが所望されるとき、ヒドロキシル含有(メタ)アクリルアミドは、概して、過度に親水性であるため、ヒドロキシアルキルモノマーを相溶化する際に含まれることができず、ヒドロキシル含有(メタ)アクリレートは、反応性混合物中に含まれ得、より少ない量のヒドロキシアルキルモノマーが、最終的なレンズに約50%未満又は約30%未満のヘイズ値を提供するように選択され得る。
【0154】
ヒドロキシル成分の量は、ヒドロキシアルキルモノマーにおけるヒドロキシル基の数、シリコーン含有成分における親水性官能基の量、分子量、及び存在を含む多数の要因に依存して変動することが理解される。親水性ヒドロキシル成分は、約15%まで、約10重量%まで、約3~15重量%、又は約5~15重量%の量で反応性混合物中に存在し得る。
【0155】
ヒドロゲルに組み込まれ得る親水性ビニル含有モノマーとしては、親水性N-ビニルラクタム及びNビニルアミドモノマーなどのモノマーが挙げられ、これらは、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-2-ピペリドン、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-ピペリドン、N-ビニル-4-メチル-2-カプロラクタム、N-ビニル-3-エチル-2-ピロリドン、N-ビニル-4,5-ジメチル-2-ピロリドン、N-ビニルアセトアミド(N-vinyl acetamide、NVA)N-ビニル-N-メチルアセトアミド(N-vinyl-N-methylacetamide、VMA)、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、1-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-メチル-5-メチレン-2-ピロリドン、5-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-エチル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-メチル-3-メチレン-2-ピロリドン、5-エチル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-N-プロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-3-メチレン-2-ピロリドン、1-イソプロピル-5-メチレン-2-ピロリドン、N-ビニル-N-エチルアセトアミド、N-ビニル-N-エチルホルムアミド、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルイソプロピルアミド、N-ビニルカプロラクタム、N-カルボキシビニル-β-アラニン(N-carboxyvinyl-β-alanine、VINAL)、N-カルボキシビニル-α-アラニン、N-ビニルイミダゾール、及びそれらの混合物を含む。
【0156】
N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート及びN-カルボキシ-β-アラニンNビニルエステルを含む、親水性Oビニルカルバメート及びO-ビニルカーボネートモノマー。親水性ビニルカーボネート又はビニルカルバメートモノマーの更なる例は、米国特許第5,070,215号に開示され、親水性オキサゾロンモノマーは、米国特許第4,910,277号に開示されている。
【0157】
N-2-ヒドロキシエチルビニルカルバメート、N-カルボキシ-β-アラニンN-ビニルエステルを含む、ビニルカルバメート及びカーボネート、
ビニルイミダゾール、エチレングリコールビニルエーテル(ethylene glycol vinyl ether、EGVE)、ジ(エチレングリコール)ビニルエーテル(di(ethylene glycol)vinyl ether、DEGVE)、アリールアルコール、2-エチルオキサゾリン、酢酸ビニル、アクリロニトリル、及びそれらの混合物を含む、他の親水性ビニルモノマー。
【0158】
(メタ)アクリルアミドモノマーもまた、親水性モノマーとして含まれ得る。例としては、N-N-ジメチルアクリルアミド、アクリルアミド、N,N-ビス(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、アクリロニトリル、N-イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、上記に挙げられたヒドロキシル官能性(メタ)アクリルアミドのいずれかが列挙される。
【0159】
本明細書に開示されるポリマー中に組み込まれ得る親水性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ビスヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルピロリドン(NVP)、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルメタセトアミド(VMA)、及びポリエチレングリコールモノメタクリレートから選択され得る。
【0160】
親水性モノマーは、DMA、NVP、VMA、NVA、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0161】
本発明の親水性マクロマーは、直鎖若しくは分岐ポリ(エチレングリコール)、ポリ(プロピレングリコール)、又はエチレンオキシド及びプロピレンオキシドの統計的ランダム若しくはブロックコポリマーのマクロマーであり得る。これらのポリエーテルのマクロマーは、1つの反応性基を有する。かかる反応性基の非限定的例は、アクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、アクリルアミド、メタアクリルアミド、及び他のビニル化合物である。一実施形態において、これらのポリエーテルのマクロマーは、アクリレート、メタクリレート、アクリルアミド、メタクリルアミド、及びそれらの混合物を含む。他の好適な親水モノマーは、当業者には明らかであろう。
【0162】
親水性モノマーはまた、限定されるものではないが、アクリル酸、メタクリル酸、3-アクリルアミドプロピオン酸(3-acrylamidopropionic acid、ACA1)、4-アクリルアミドブタン酸、5-アクリルアミドペンタン酸(5-acrylamidopentanoic acid、ACA2)、3-アクリルアミド-3-メチルブタン酸(3-acrylamido-3-methylbutanoic acid、AMBA)、N-ビニルオキシカルボニル-α-アラニン、N-ビニルオキシカルボニル-β-アラニン(VINAL)、それらの組み合わせなどを含む荷電モノマーも含み得る。
【0163】
親水性モノマーは、N,N-ジメチルアクリルアミド(DMA)、N-ビニルピロリドン(NVP)、2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)、N-ビニルメタセトアミド(VMA)、及びN-ビニルN-メチルアセトアミド(NVA)、N-ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、モノ-グリセロールメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリルアミド、2-ヒドロキシエチルメタクリルアミド、ビスヒドロキシエチルアクリルアミド、2,3-ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリルアミド、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0164】
親水性モノマーは、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びそれらの混合物から選択され得る。
【0165】
親水性モノマー(ヒドロキシルアルキルモノマーを含む)は、反応性成分の全ての総重量に基づいて、約60重量%まで、約1~約60重量%、約5~約50重量%、又は約5~約40重量%の量で存在し得る。
【0166】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、少なくとも1つの湿潤剤を更に含み得る。本明細書で使用する場合、湿潤剤は、約5,000ダルトン超、約150,000ダルトン~約2,000,000ダルトン、約300,000ダルトン~約1,800,000ダルトン、又は約500,000ダルトン~約1,500,000ダルトンの重量平均分子量を有する親水性ポリマーである。
【0167】
本発明の反応性混合物に添加される湿潤剤の量は、使用される他の成分及び結果として生じるシリコーンヒドロゲルの所望される特性に応じて変更され得る。存在するとき、反応性混合物中の内部湿潤剤は、全て反応性成分の全ての総重量に基づいて、約1重量パーセント~約20重量パーセント、約2重量パーセント~約15パーセント、又は約2~約12パーセントの量で含まれ得る。
【0168】
湿潤剤としては、限定されるものではないが、ホモポリマー、統計的ランダムコポリマー、ジブロックコポリマー、トリブロックコポリマー、セグメント化ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、及びそれらの混合物が挙げられる。内部湿潤剤の非限定的例は、ポリアミド、ポリエステル、ポリラクトン、ポリイミド、ポリラクタム、ポリエーテル、ポリ酸ホモポリマー、並びにアクリレート、メタクリレート、スチレン、ビニルエーテル、アクリルアミド、メタクリルアミド、N-ビニルラクタム、N-ビニルアミド、O-ビニルカルバメート、O-ビニルカーボネート、及び他のビニル化合物を含む好適なモノマーの遊離ラジカル重合によって調製されたコポリマーである。湿潤剤は、本明細書に列挙されたものを含む、任意の親水性モノマーから製造され得る。
【0169】
湿潤剤は、ペンダント非環状アミド基を含む非環状ポリアミドを含み得、ヒドロキシル基との関連付けが可能である。環状ポリアミドは、環状アミド基を含み、ヒドロキシル基との関連付けが可能である。
【0170】
好適な非環状ポリアミドの例としては、式XXXVII又は式XXXVIIIの反復単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0171】
【化25】
式中、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CO)-NHR
e-であり、R
eは、C
1~C
3アルキル基であり、R
aは、H、直鎖又は分岐、置換又は非置換のC
1~C
4アルキル基から選択され、R
bは、H、直鎖又は分岐、置換又は非置換のC
1~C
4アルキル基、2個までの炭素原子を有するアミノ基、4個までの炭素原子を有するアミド基、及び2個までの炭素基を有するアルコキシ基から選択され、R
cは、H、直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換のC
1~C
4アルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
dは、H、直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換のC
1~C
4アルキル基、又はメチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され、R
a及びR
bの炭素原子の数は共に、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下であり、R
c及びR
dの炭素原子の数は共に、7、6、5、4、3、又はそれ未満を含む、8以下である。R
a及びR
bの炭素原子の数は共に、6以下又は4以下であってもよい。R
c及びR
dの炭素原子の数は共に、6以下であってもよい。本明細書で使用する場合、置換アルキル基は、アミン、アミド、エーテル、ヒドロキシル、カルボニル、カルボキシ基又はそれらの組み合わせと置換されたアルキル基を含む。
【0172】
Ra及びRbは、独立して、H、置換又は非置換のC1~C2アルキル基から選択され得る。Xは、直接結合であり得、Ra及びRbは、独立して、H、置換又は非置換のC1~C2アルキル基から選択され得る。
【0173】
Rc及びRdは、独立して、H、置換又は非置換のC1~C2アルキル基、メチル、エトキシ、ヒドロキシエチル、及びヒドロキシメチルから選択され得る。
【0174】
本発明の非環状ポリアミドは、式XXXVII又は式XXXVIIIの反復単位の大部分を含み得るか、又は非環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも80モル%を含む、式XXXVII又は式XXXVIIIの反復単位の少なくとも約50モル%を含み得る。
【0175】
式XXXVII又は式XXXVIIIの反復単位の具体例としては、N-ビニル-N-メチルアセトアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-N-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-N-メチル-2-メチルプロピオンアミド、N-ビニル-2-メチル-プロピオンアミド、N-ビニル-N,N’-ジメチル尿素、N,N-ジメチルアクリルアミド、メタクリルアミド及び構造(C)及び(D)の非環状アミド由来の反復単位が挙げられる。
【0176】
【0177】
環状ポリアミドを形成するために使用され得る好適な環状アミドの例としては、α-ラクタム、β-ラクタム、γ-ラクタム、δ-ラクタム、及びε-ラクタムが挙げられる。好適な環状ポリアミドの例としては、式XLIの反復単位を含むポリマー及びコポリマーが挙げられ、
【0178】
【化27】
式中、fは、1~10の数であり、Xは、直接結合、-(CO)-、又は-(CO)-NH-Reであり、Reは、C1~C3アルキル基である。式XLIにおいて、fは、7、6、5、4、3、2、又は1を含む、8以下であり得る。式Eにおいて、fは、5、4、3、2、若しくは1を含む6以下であり得るか、又は2、3、4、5、6、7、若しくは8を含む2~8であり得るか、又は2若しくは3であり得る。
【0179】
Xが直接結合であるとき、fは、2であり得る。かかる事例において、環状ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(polyvinylpyrrolidone、PVP)であり得る。
【0180】
本発明の環状ポリアミドは、式Eの反復単位の50モル%以上を含み得るか、又は環状ポリアミドは、少なくとも約70モル%、及び少なくとも約80モル%を含む、式Eの反復単位の少なくとも約50モル%を含み得る。
【0181】
式XLIの反復単位の具体例としては、PVPホモポリマー、及びビニルピロリドンコポリマー又はホスホリルコリンなどの親水性置換基と置換されたN-ビニルピロリドンを形成する、N-ビニルピロリドン由来の反復単位が挙げられる。
【0182】
ポリアミドはまた、環状アミド、非環状アミド反復単位を含むコポリマー、又は環状及び非環状アミド反復単位の両方を含むコポリマーであり得る。追加の反復単位は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アルキル(メタ)アクリレート、又は他の親水性モノマー及びシロキサン置換アクリレート若しくはメタクリレートから選択されたモノマーから形成され得る。好適な親水性モノマーとして列挙されたモノマーのいずれかは、追加の反復単位を形成するためにコモノマーとして使用され得る。ポリアミドを形成するために使用され得る追加のモノマーの具体例としては、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、酢酸ビニル、アクリロニトリル、ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、メチルメタクリレート及びヒドロキシブチルメタクリレート、GMMA、PEGSなど、並びにそれらの混合物が挙げられる。イオン性モノマーもまた、含まれ得る。イオン性モノマーの例としては、アクリル酸、メタクリル酸、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、3-(ジメチル(4-ビニルベンジル)アンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-(dimethyl(4-vinylbenzyl)ammonio)propane-1-sulfonate、DMVBAPS)、3-((3-アクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-((3-acrylamidopropyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、AMPDAPS)、3-((3-メタクリルアミドプロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-((3-methacrylamidopropyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、MAMPDAPS)、3-((3-(アクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート(3-((3-(acryloyloxy)propyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、APSAPS)、メタクリロイルオキシ)プロピル)ジメチルアンモニオ)プロパン-1-スルホネート((methacryloyloxy)propyl)dimethylammonio)propane-1-sulfonate、MAPDAPS)が挙げられる。
【0183】
反応性モノマー混合物は、非環状ポリアミド及び環状ポリアミドの両方、又はそれらのコポリマーを含み得る。非環状ポリアミドは、本明細書に説明される非環状ポリアミド又はそれらのコポリマーのいずれかであり得、環状ポリアミドは、本明細書に説明される環状ポリアミド又はそれらのコポリマーのいずれかであり得る。ポリアミドは、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリビニルメチルアセトアミド(polyvinylmethyacetamide、PVMA)、ポリジメチルアクリルアミド(polydimethylacrylamide、PDMA)、ポリビニルアセトアミド(polyvinylacetamide、PNVA)、ポリ(ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリアクリルアミド、並びにそれらのコポリマー及び混合物から選択され得る。
【0184】
湿潤剤は、DMA、NVP、HEMA、VMA、NVA、及びそれらの組み合わせから製造され得る。湿潤剤はまた、例えば、内部湿潤剤のHEMA反復単位上のペンダントヒドロキシル基とメタクリロイルクロリド又はメタクリロイル無水物との間のアシル化反応によって製造される、反応性基を有することによって、本明細書に定義されるように、反応性成分でもあり得る。官能化の他の方法が当業者にとって明らかであろう。
【0185】
かかる内部湿潤剤は、米国特許第6367929号、米国特許第6822016号、同第7,052,131号、米国特許第7666921号、米国特許第7691916号、米国特許第7786185号、米国特許第8022158号、及び米国特許第8450387号に開示されている。
【0186】
本発明のシリコーンヒドロゲルは、強化剤を含み得る。上記に説明されたように、強化剤は、対応するホモポリマーが40℃よりも高いガラス転移温度を呈し、反応性混合物に添加されたとき、結果として生じるシリコーンヒドロゲルの伸びを改善するモノマーである。かかるモノマーの非限定的例は、メチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、スチレン、置換スチレン、N-4-ビニルベンジル-N-アルキルアセトアミド、N-4-ビニルベンジルピロリドン、及びそれらの組み合わせである。
【0187】
反応混合物は、限定されるものではないが、紫外線吸収剤、可視光吸収剤、フォトクロミック化合物、医薬品、栄養補助食品、抗菌物質、着色剤、色素、共重合性及び非重合性染料、離型剤、並びにそれらの組み合わせなどの追加の反応性又は非反応性成分を含有し得る。
【0188】
シリコーンヒドロゲル反応混合物用の好適な希釈剤の種類には、2~20個の炭素を有するアルコール、一級アミン由来の10~20個の炭素原子を有するアミド、及び8~20個の炭素原子を有するカルボン酸が含まれる。一級及び三級アルコールが使用され得る。好ましい種類は、炭素5~20個を有するアルコール及び炭素原子10~20個を有するカルボン酸を含む。
【0189】
使用することができる具体的な希釈剤には、1-エトキシ-2-プロパノール、ジイソプロピルアミノエタノール、イソプロパノール、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-デカノール、1-ドデカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、tert-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-プロパノール、1-プロパノール、エタノール、2-エチル-1-ブタノール、(3-アセトキシ-2-ヒドロキシプロピルオキシ)-プロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン、1-tert-ブトキシ-2-プロパノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、tert-ブトキシエタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、2-(ジイソプロピルアミノ)エタノール、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0190】
好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、3-メチル-3-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、エタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、デカン酸、オクタン酸、ドデカン酸、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0191】
更に好ましい希釈剤には、3,7-ジメチル-3-オクタノール、1-ドデカノール、1-デカノール、1-オクタノール、1-ペンタノール、1-ヘキサノール、2-ヘキサノール、2-オクタノール、1-ドデカノール、3-メチル-3-ペンタノール、1-ペンタノール、2-ペンタノール、t-アミルアルコール、tert-ブタノール、2-ブタノール、1-ブタノール、2-メチル-2-ペンタノール、2-エチル-1-ブタノール、3,3-ジメチル-2-ブタノール、2-オクチル-1-ドデカノール、及びこれらの混合物などが含まれる。
【0192】
N-メチルピロリドン、N-エチルピロリドン、N,N-ジメチルプロピオンアミド、ヒドロキシルピロリドンなどを含む、環状及び非環状アミドを含む、アミド溶媒、ヒドロキシル置換、アミド部分におけるアルキル置換を含む、非プロトン溶媒。
【0193】
希釈剤の混合物を、使用してもよい。希釈剤は、反応混合物中の全成分の合計の、約55重量%までの量で使用してもよい。更に好ましくは、反応混合物中の全成分の合計の約45重量%未満の量、更に好ましくは、約15~約40重量%の量で使用される。
【0194】
重合開始剤は、好ましくは、コンタクトレンズなどの基材を形成するのに使用される反応混合物に含まれる。非限定的な開始剤としては、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、過炭酸イソプロピル、アゾビスイソブチロニトリルなどの、中程度の高温でフリーラジカルを発生させる化合物、及び、芳香族アルファ-ヒドロキシケトン、アルコキシオキシベンゾイン、アセトフェノン、酸化アシルフォスフィン、酸化ビスアシルホスフィン、三級アミンを含むジケトン、それらの混合物などの光開始剤系が挙げられる。
【0195】
光重合開始剤の具体例は、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-プロパン-1-オン、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(2-hydroxy-2-methyl-1-phenyl-propan-1-one, bis(2,6-dimethoxybenzoyl)-2,4-4-trimethylpentyl phosphine oxide、DMBAPO)、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819)、2,4,6-トリメチルベンジルジフェニルホスフィンオキシド、及び2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ベンゾインメチルエステル、並びに、カンファーキノンとエチル4-(N,N-ジメチルアミノ)ベンゾエートの配合物である。市販の可視光開始剤系には、Irgacure 819、Irgacure 1700、Irgacure 1800、Irgacure 819、Irgacure 1850(いずれもCiba Specialty Chemicalsより)及びLucirin TPO開始剤(BASFより販売)が挙げられる。市販のUV光重合開始剤は、Darocur 1173及びDarocur 2959(Ciba Specialty Chemicals)を含む。使用され得るこれら及び他の光開始剤は、Volume III,Photoinitiators for Free Radical Cationic & Anionic Photopolymerization,2nd Edition by J.V.Crivello & K.Dietliker;edited by G.Bradley;John Wiley and Sons;New York;1998に開示され、これは、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0196】
開始剤は、反応混合物の重合を開始するために有効な量、典型的には、反応性混合物の約0.1~約2重量パーセントの量で、反応混合物中で使用される。反応混合物の重合は、使用する重合開始剤に応じて熱、可視光、紫外線照射、又は他の手段を適切に選択して開始され得る。代替的に、開始は、光開始剤を使用せずに、例えば、電子ビームを使用して実施され得る。しかし、光開始剤を使用するとき、好ましい開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))などの酸化ビスアシルホスフィン、又は1-ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトンとビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4-4-トリメチルペンチルホスフィンオキシド(DMBAPO)との組み合わせであり、好ましい方法は、可視光照射である。最も好ましい光開始剤は、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド(Irgacure 819(登録商標))である。
【0197】
反応混合物は、振とう又は撹拌などの当業者に既知である任意の方法で形成され得、その後、既知の方法によるポリマー物品又は装置の形成に使用され得る。例えば、生物医学装置は、反応性成分及び希釈剤を重合開始剤と混合し、適切な条件下で硬化させて、その後、旋盤加工、切断などによって適切な形状に形成され得る生成物を形成することによって調製され得る。代替的に、反応混合物は、型に入れた後に硬化させ、適切な物品とすることができる。
【0198】
第2のヒドロゲル反応性混合物
周辺区域で使用される第2のヒドロゲル反応性混合物は、任意の既知の従来の製剤又はシリコーンヒドロゲル製剤から形成され得る。第2のヒドロゲル反応性混合物は、シリコーンヒドロゲル反応性混合物であってもよく、上記に説明された第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物について説明されたものと同様の成分を有する反応性混合物であってもよい。
【0199】
第2の反応性混合物は、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物について上記に説明された成分を含み得るが、Nアルキルメタクリルアミドモノマーを含まない。
【0200】
第2の反応性混合物は、
a.約1~約15重量%の少なくとも1つの非環状ポリアミドと、
b.4~8個のシロキサン反復単位を有する少なくとも1つの第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)と、10~200又は10~100シロキサン反復単位を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)、及び10~200又は10~100個のシロキサン反復単位を有する多官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)、並びにそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)と、
d.約5~約30重量%の少なくとも1つの追加の親水性ポリマーと、を備え得、
e.第1のヒドロキシル置換直鎖ポリ(二置換シロキサン)及び第2の単官能性ヒドロキシル置換直鎖ポリ(二置換シロキサン)は、全ての1つの第2のヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)の重量%に対する全ての第1のヒドロキシル置換直鎖ポリ(二置換シロキサン)の重量%の比率、0.4~1.3又は0.4~1.0を提供する濃度で存在する。
【0201】
反応性モノマー混合物はまた、異なる分子量又は異なる組成のヒドロキシル含有シリコーン成分の混合物も含む。第1のヒドロキシル含有シリコーン成分は、ヒドロキシル含有シリコーンモノマー、少なくとも4個のポリ二置換シロキサン反復単位又は4~8個のポリ二置換シロキサン反復単位を有するヒドロキシル含有ポリ二置換シロキサン、及び少なくとも1つの一価の反応性基から選択され得る。第1のヒドロキシル含有シリコーン成分が、ヒドロキシル含有シリコーンモノマーであるとき、第2のヒドロキシル含有シリコーン成分は、4~8個のシロキサン反復単位を有するヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)、10~200、10~100又は10~20個のシロキサン反復単位を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)、及び10~200又は10~100個のシロキサン反復単位を有する多官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)、並びにそれらの混合物から選択され得る。第1のヒドロキシル含有シリコーン成分が、4~8個のシロキサン反復単位を有するヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)であるとき、第2のヒドロキシル含有シリコーン成分は、10~200、10~100又は10~20個のシロキサン反復単位を有する単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)、及び10~200又は10~100個のシロキサン反復単位を有する多官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)、並びにそれらの混合物から選択され得る。ヒドロキシル含有シリコーン成分は、上記に説明されたもののいずれかであり得る。存在するとき、ヒドロキシル含有シリコーン成分は、約40~約70、又は約45~約70重量%の量で存在し得る。
【0202】
親水性成分(荷電成分及び親水性ヒドロキシル成分を含むが、非環状ポリアミドを除く)は、反応性モノマー混合物中の反応性成分の総重量に基づいて、約50重量%の量、又は約10~約50重量%の範囲、若しくは約10~約40重量%の範囲の量で第2の反応性混合物中に存在し得る。
【0203】
第2のヒドロゲル反応性混合物は、反応性混合物中の反応性成分の100グラム当たり、約0.000415~約0.0156モルの量の架橋剤を含有し得る。
【0204】
第2のヒドロゲル反応性混合物は、全て上記に説明されたように(上記に説明された量を含む)、湿潤剤、非ヒドロキシルシリコーン含有成分、追加の成分及び希釈剤を含み得る。
【0205】
マイクロドージング技術が、周囲のレンズよりも高いヤング係数を有する光学区域102を有するコンタクトレンズ100を作製又は製造するために利用され得る。第1の工程において、所与の処方のための標準フロントカーブが、コンタクトレンズを形成するための反応性混合物を受容するために位置決めされる。第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物が、コンタクトレンズフロントカーブ成形型の中心部分に注入される。第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物が、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物の頂部に注入される。第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物は、概して、第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物よりも高い粘度を有する。これは、第1及び第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物に使用される混和又は部分混和反応性混合物を可能にする。混和又は部分混和反応性混合物の使用は、2つの反応性混合物が混合する変遷区域を提供するため、有益である。これは、より漸進的な変遷を提供し、硬化されたコンタクトレンズの周辺区域と光学区域との間の界面応力を低下させ得る。
【0206】
コンタクトレンズ成形型は、ベースカーブ成形型の配置によって閉じられる。閉じた成形型は、その後、反応性混合物が、上記に明らかにされたヤング係数を有する光心又は光学区域を含む最終的なコンタクトレンズに硬化され得るように、位置決めされる。
【0207】
図1A及び
図1Bを参照すると、コンタクトレンズを製造する2つの方法が概略的に示される。
図1Aに示される第1の方法では、工程10aにおいてフロントカーブ11aが提供される。フロントカーブ11aは、配置される材料が重力によってその成形型の中心に保持されるように凹形状である、2部品成形型のうちの1部品である。工程12aにおいて、少量の正確な用量の第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物混合物13aが、フロントカーブ成形型11aの表面上に、好ましくは実質的に中心の位置で、かつ実質的に環状の構成で供給又は注入される。
【0208】
第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物は、コンタクトレンズの光学区域内の中心環状領域に注入され得る。中心環状領域は、光学区域と同一の大きさであってもよく、典型的なコンタクトレンズでは直径約9mm以下である。一実施形態では、中心環状領域は、約4~約7mmの直径を有し、また別の実施形態では、約4~約6mmの直径を有する。
【0209】
任意に、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物は、工程12aで、制御された硬化メカニズムを通じて少なくとも部分的に重合され得る。その後、第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物の用量が、ステップ14aにおいて第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物13aの頂部に注入される。第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物15aの用量は、凹部フロントカーブ11aを所望の量まで充填し、次に、工程16aにおいてベースカーブ17aが提供され、次に、成形型の半型11a、17aが、最終硬化位置に置かれ、モノマー混合物が硬化及び/又は重合され、鋳造プロセスが完了する。重合プロセスが光重合メカニズムを含む場合は、放射線が、フロントカーブ成形半型若しくはベースカーブ成形半型のどちらか、又はその両方に向けられてもよい。鋳造されたレンズは次に、抜き取られ、不要な化学成分が除去され、かつ水和される。
【0210】
代替的な方法が
図1bに示され、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物13bの第1の用量が、工程12bにおいてフロントカーブ成形型11bの中心に提供され、次に、第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物15bの環状輪が、工程14bにおいてフロントカーブ成形型11bの端に注入される。結果として生じる第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物15bの環状輪は、重力によってフロントカーブの中心に引き込まれる。次に、ベースカーブ成形型17bが供給され、工程16bにおいて硬化が開始及び完了され、最終的なヒドロゲルコンタクトレンズ製品を形成するために、抜き取り及び水和工程(図示なし)が続く。
【0211】
2つの領域の許容可能な分離(印刷品質)及び低歪みを有するヒドロゲルコンタクトレンズを提供するために、概して、中心に集められた第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物11分布に関して、モノマー混合物13、15の粘度を増加させること、また特に、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物13の粘度を第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物15と比較して増加させることは、モノマー13、15の分子拡散を低減させ、それによって第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物を中心領域に維持することが見出されている。第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物より高い粘度を有する第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物を使用することは、2つのモノマー混合物の境界面の剪断力を低減することを助け、それによって物理的混合を低減する。下記のStokes-Einstein式による解析は、材料の拡散率に影響するパラメータを説明する。
【0212】
【数1】
式中、Dは分子拡散率、kはBoltzmann定数、Tは温度、μは粘度、かつrは分子の半径である。より低温で操作すること、及びより高粘度のモノマーを使用することは、分子拡散率を低減させる傾向にある。一実施形態では、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物の粘度は、第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物の粘度より少なくとも約1000cp高く、また別の実施形態では、少なくとも約1500cp高い。
【0213】
本発明のプロセスはまた、第1のシリコーンヒドロゲル材料を注入する前に第2のシリコーンヒドロゲル材料によってレンズ成形型をコーティングすることも含み得る。代替的に、第3の材料が、成形型転写コーティングとして塗布され得る。コーティングは、第1のシリコーンヒドロゲル反応性混合物を注入する前に部分的又は完全に硬化され得るか、又はコーティングされた成形型は、コーティング組成物から溶媒を除去するために加熱され得る。
【0214】
上記に説明されたヤング係数及び含水率を有する既存のシリコーンヒドロゲル製剤は、第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物のために使用され得る。商品化されたシリコーンヒドロゲル製剤の例としては、ガリフィコン、セノフィルコン、ナラフィルコン、ロトラフィルコン、バラフィルコン、コンフィルコン、サンフィルコン、アクアフィルコン、ステンフィルコン、エンフィルコン、フォルモフィルコンが挙げられる。
【0215】
より硬質又は剛性が大きい光学区域102材料及びより剛性が小さい周辺104レンズ材料は、組み立て中に2つの材料の融合が存在し得るため、明確な変遷を有する必要はない。これは、レンズ100の剛性が、コンタクトレンズの中心からの位置の関数として、光学区域の外側で漸進的に変化し得ることを意味することになる。更に、より剛性が大きい光学区域102材料は、コンタクトレンズの光心の前面から光心の後面に連続的であることになる。これは、ソフトレンズ材料シェルの内側で硬質レンズ挿入物を被包し、かつより剛性が大きい光学区域からよりソフトな周辺部への明確な変遷を有するハイブリッドコンタクトレンズとは異なる。これはまた、コンタクトレンズの周辺部が硬質光心上に注型成形されないが、2つの材料が共に注型成形されて、1つの異種ソフトコンタクトレンズを作り出すため、スカート付き硬質ガス透過性コンタクトレンズ(rigid gas permeable contact lens、RGP)とも異なる。
【0216】
第1及び第2のシリコーンヒドロゲル反応性混合物は、透明、互いに適合性があり、互いの10%以内の屈折率を互いに有する。コンタクトレンズを形成するための従来のプロセスは、本発明に従って、コンタクトレンズを製造するために、容易に改善することができる。
【0217】
第2のヒドロゲル反応性混合物は、部分的に硬化された第1のヒドロゲル反応性混合物と適合性がある。これは、ハイブリッドレンズ中のポリマー間の応力を最小にすることに有益である。しかしながら、第2のRMMは、第1のRMMと適合性があるため、硬化前に、完全又は部分的に硬化された第1のRMM中に入り込み得る。完全又は部分的に硬化されたRMMの完全な混合は、係数を低下させることを含む、第1のSHの特性を不必要に変化させ得る。したがって、硬化前に第2のRMMが第1の部分的又は完全に硬化されたRMMに接触する時間(「滞留時間」)を制限することが好ましい場合がある。滞留時間は、約5分未満、好ましくは、約1分未満である。滞留時間は、温度が増加するのに伴い、減少され得る。
【0218】
本発明の複合レンズの硬化は、中心注入材料を完全又は部分的に硬化させることによって、第1のレンズを硬化させ、中心材料を挿入して硬化させることによって、又は中心及び周辺領域に対して異なる反応性基を有する反応性成分を使用して体積要素毎に硬化させることによって、続いて行われ得る。レンズ挿入物がまた、中心領域に使用され得、上記の方法のいずれかが組み合わされ得る。
【0219】
光学区域及び周辺モノマーの粘度差が、例えば、レンズ成形型が閉じたときに周辺部に外方に流れない、より高い粘度の中心モノマーを使用する際に、レンズ製造プロセス中の分離を維持するために使用され得る。許容されるレンズを形成するために、両方の材料の収縮及び膨張速度への考慮がなされなければならない。
【0220】
硬化光強度は、異なる領域に実現される剛性を更に変化させるように、コンタクトレンズ全体にわたって変化され得る。したがって、選択的硬化によって、周辺区域に対してより剛性が大きい光学区域が達成され得る。
【0221】
図1A及び
図1Bを参照すると、複合フォトクロミックコンタクトレンズを製造する2つの方法が概略的に示される。
図1aに示される第1の方法では、工程10aにおいてフロントカーブ11aが提供される。フロントカーブ11aは、配置される材料が重力によってその成形型の中心に保持されるように凹形状である、2部品成形型のうちの1部品である。工程12aにおいて、N-アルキルメタクリルアミドを含む、少量の正確な用量の第1のモノマー混合物13aが、フロントカーブ成形型11aの表面上に、好ましくは実質的に中心の位置で、実質的に環状の構成で供給又は注入される。
【0222】
中心環状領域は、光学区域と同一の大きさであってもよく、典型的なコンタクトレンズでは直径約9mm以下である。一実施形態では、中心環状領域は、約4~約7mmの直径を有し、また別の実施形態では、約4~約6mmの直径を有する。
【0223】
任意に、第1のモノマー混合物は、工程12aで、制御された硬化メカニズムを通じて少なくとも部分的に重合され得る。その後、約0.001GPa、又は約0.001GPa未満(200psi、又は約150psi未満)の係数を有するヒドロゲルを形成することになる、ある用量の第2のモノマー混合物15aが、ステップ14aにおいて、第1のモノマー混合物13aの頂部に注入される。第2のモノマー混合物15aの用量は、凹部フロントカーブ11aを所望の量まで充填し、次に、工程16aにおいてベースカーブ17aが提供され、次に、成形型の半型11a、17aが、最終硬化位置に置かれ、モノマー混合物が硬化及び/又は重合され、鋳造プロセスが完了する。重合プロセスが光重合メカニズムを含む場合は、放射線が、フロントカーブ成形半型若しくはベースカーブ成形半型のどちらか、又はその両方に向けられてもよい。鋳造されたレンズは次に、抜き取られ、不要な化学成分が除去され、かつ水和される。
【0224】
代替的な方法が
図1bに示され、第1のモノマー混合物13bの用量が、工程12bにおいてフロントカーブ成形型11bの中心に提供され、次に、第2のモノマー混合物15bの環状輪が、工程14bにおいてフロントカーブ成形型11bの端に注入される。得られた第2の反応性混合物15bの環状輪は、重力によってフロントカーブの中心に引き込まれる。次に、ベースカーブ成形型17bが供給され、工程16bにおいて硬化が開始及び完了され、最終的なヒドロゲルコンタクトレンズ製品を形成するために、抜き取り及び水和工程(図示なし)が続く。
【0225】
中心及び周辺区域の所望される係数値を保持するために第1及び第2のモノマー混合物の実質的な混合を防止することが望ましい。第2の周辺モノマー混合物15と比較した第1のモノマー混合物13の粘度の増加は、中心区域での第1のモノマー混合物の硬化(部分的又は完全のいずれか)が利用されないとき、モノマー13、15の分子拡散を低減し得る。透明モノマー混合物より高い粘度を有する第1のモノマー混合物を使用することは、2つのモノマー混合物の境界面の剪断力を低減することを助け、それによって物理的混合を低減する。下記のStokes-Einstein式による解析は、材料の拡散率に影響するパラメータを説明する。
【0226】
【数2】
式中、Dは分子拡散率、kはBoltzmann定数、Tは温度、μは粘度、かつrは分子の半径である。より低温で操作すること、及びより高粘度のモノマーを使用することは、分子拡散率を低減させる傾向にある。一実施形態では、第1のモノマー混合物の粘度は、周辺のモノマー混合物の粘度より少なくとも約1000cp高く、また別の実施形態では、少なくとも約1500cp高い。
【0227】
しかしながら、US2003/0142267に開示されるようにモノマー混合物の粘度を制御することは、好適な光学及び快適性を有するヒドロゲルコンタクトレンズを提供するには不十分であった。第1のモノマー混合物の部分的又は完全な効果を用いること、並びに望ましい光学系及び快適性を有する第1及び第2のモノマー混合物ヒドロゲルコンタクトレンズから形成されたポリマーの膨張係数を平衡化することがもたらされ得ることが見出されている。一実施形態では、それぞれのモノマー混合物から形成されるポリマーの膨張係数は、約10%以内であり、いくつかの実施形態では約8%以内、また他の実施形態では約5%以内である。膨張係数は、希釈剤濃度、親水性構成成分及び疎水性構成成分の濃度及び親水性又は疎水性、並びに反応開始剤及び架橋剤の濃度、並びにそれらの組み合わせを含む、複数の製剤変数を操作することによって、調節され得る。シリコーン成分の濃度を維持し、かつ親水性成分のうちの1つの一部を置き換えることが望ましい場合がある。これらの実施形態では、所望の膨張係数を達成するために、複数の調節が必要な可能性がある。
【0228】
それに加え、所望の膨張係数を達成するために、他の製剤変数が修正されることもある。例えば、親水性成分、希釈剤濃度及び開始剤濃度、並びにそれらの組み合わせの濃度を変化させることは、望ましい光学系及び快適性を有する調光コンタクトレンズを提供する際に効果的であった。一実施形態において、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、メタクリル酸、ポリジメチルアクリルアミド、又はポリ(ビニルメタセトアミド)などの親水性ポリマーが、モノマー混合物に添加され得る。
【0229】
同一又は同様の成分が、第1及び第2のモノマー混合物の両方に使用され得る。例えば、両方のモノマー混合物に同一の親水性構成成分を含むことが望ましい場合がある。この場合、親水性構成成分の濃度に加えて製剤変数を変化させてよい。
【0230】
片面硬化が使用されるとき、膨張係数は、モノマー、希釈剤濃度、及びそれらの組み合わせを使用して適合され得る。硬化が一方からのみ生じる(光硬化中など)場合は、同様に反応開始剤濃度を増加することが望ましいこともある。
【0231】
中心及び周辺にヤング係数の差を有する二材料コンタクトレンズを使用することに加えて、レンズの予張もまた、眼上に配置されたときの変形に対する追加の抵抗を作り出し得る。予張レンズは、内部張力が、係数、レンズ形状、及びレンズ厚さからの弾性力と共に超えなければならないため、変形するためにより大きい力を必要とすることになる。予張されたレンズを製造する方法は、例えば、異なるレベルの酸素又は他の反応抑制剤をレンズ成形型の前面及び後面に導入することによって、反応率を変化させることを含む。結果として生じるレンズは、「ドーム」形状を完全に維持するが、断面は、カール又は平らになる傾向にある。前及び後の成形型表面全体を異なる酸素レベルに曝すことに加えて、酸素又は別の抑制剤の濃度は、前面及び後面の両方にわたって変化され得、レンズを通してカスタムされた張力又は応力プロファイルを作り出す。
【0232】
この予張プロセスの背後にある基本的前提は、異なるプラスチック注型成形材料が、異なる比率で酸素又は他の反応抑制剤を吸収し、かつ異なる結合性で酸素又は他の反応抑制剤を保持することである。異なる材料を利用して、フロント及びバックカーブ成形型を形成すること、又はフロント及び/若しくはバックカーブ成形型を酸素又は他の反応抑制剤に選択的に曝すことによって、反応比率が変化し得、それによって、コンタクトレンズに応力を誘起させる。例えば、ポリプロピレンは、酸素を即座に吸収するが、一方でゼオノア及びポリスチレンは、極めて少ない量を吸収する。したがって、酸素へのアクセスが等しい状態で、フロントカーブ成形型にポリスチレンを利用し、バックカーブ成形型にポリプロピレンを利用することによって、バックカーブ成形型は、フロントカーブ成形型よりも多くの酸素を吸収することになり、したがって、この表面に接触するモノマーは、異なる特性を有することになり、コンタクトレンズの前面と後面との間に異なる応力を作り出す。酸素又は他の反応抑制剤の濃度は、時間、温度、フロント及びバックカーブ成形型表面を囲む媒体(環境)の濃度及び圧力のうちの少なくとも1つ、全て、又は任意の組み合わせを制御することによって更に操作され得る。加えて、他の反応阻害剤の吸収された酸素の濃度は、例えば、吸収されるガスに曝す前、又は吸収されるガスを選択的に除去する前に、一部をマスキングすることによって、表面にわたって変化され得る。
【0233】
光心若しくは光学区域の増加したヤング係数による、又は本明細書に詳細に説明されたようにコンタクトレンズの硬化光強度及び予張を変化させるなどの任意の他の好適な手段による、ソフトコンタクトレンズの増加した剛性によって回転対称性光学系を有するこの設計によって、角膜乱視が有効に低減されることを提供することで、コンタクトレンズは、眼上の任意の特定の配向を必要とせず、それゆえに、コンタクトレンズに対する機械的安定化をほとんど、又は全く必要としない。角膜乱視及び/又は高次の収差が低減されたが、無視できない場合、機械的安定化が依然として必要であり得るが、レンズ位置の変化は、視覚品質により小さい影響を有することになる。上記に明らかにされたように、本発明の利点は、安定化特徴が、サイズ低減され得るか、又は実質的に排除され得、それによって、より快適なコンタクトレンズを提供することである。本発明は、乱視矯正のための単純かつ明快な解決策を提案する。
【0234】
試験法
標準偏差は、丸括弧内に示される。本明細書で明記される試験の全てが、一定量の必然的に生じる誤差を有することは、理解されるであろう。したがって、本明細書で報告される結果は、絶対数として利用されないが、特定の試験の精度に基づく数値の範囲とされる。
【0235】
含水率は、次のように測定した:テストすべきレンズを24時間包装用溶液中に静置した。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装用溶液から取り出し、包装用溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させた。ピンセットを使用して、テストレンズを秤量皿(計量済み)に置き、湿潤レンズの重量を取得した。更に2セットの試料を準備して、上記のように秤量した。
【0236】
乾燥重量は、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。少なくとも1キロパスカル(0.4インチHg)の真空が達成されるまで減圧した。真空バルブ及びポンプをオフにし、レンズを最低12時間乾燥した。パージ弁を開け、オーブンを大気圧に戻した。秤量皿を取り出し、秤量した。含水率は、次のように計算した。
湿潤重量=皿とレンズの合計湿潤重量-秤量皿の重量
乾燥重量=皿とレンズの合計乾燥重量-秤量皿の重量
【0237】
【0238】
試料の含水率の平均値及び標準偏差が計算され報告されている。
【0239】
ヘイズを、平坦な黒色背景の上に周囲温度で透明のガラスセル内のホウ酸緩衝生理食塩水中に水和テストレンズを配置し、下から光ファイバーランプ(直径1.3cm(0.5インチ)の光導波路付きのDolan-Jenner PL-900光ファイバー光源)を使用して、レンズのセルの法線に対して66°の角度でこれを照射し、レンズホルダの14mm上方に配置されたビデオカメラ(DVC 1300C:19130 RGBカメラ又は好適なズームカメラレンズを備える同等物)で、上から、このレンズの法線上のレンズの画像を撮影することによって測定した。バックグラウンド散乱は、EPIX XCAP V3.8ソフトウェアを使用して、ホウ酸緩衝生理食塩水(基準値)によってブランクセルの画像を控除することによって、テストレンズの散乱から控除される。高端散乱(すりガラス)の値は、900~910平均グレースケールに光強度を調整することによって得られる。バックグラウンド散乱(background scatter、BS)の値は、生理食塩水で満たしたガラスセルを用いて測定される。控除された散乱光像は、レンズの中心10mmにわたって、高端散乱標準としてすりガラスの標準を統合することによって、定量的に解析される。光強度/電源設定を、すりガラス標準に対して900~910の範囲の平均グレースケール値を達成するように調整し、この設定において、基準平均グレースケール値を、50~70の範囲とした。基準及びすりガラス標準の平均グレースケール値は、それぞれ、0~100のスケールを作り出すために記録及び使用される。次に、平均グレースケール値及び標準偏差を、テストレンズについて測定し、すりガラス標準と比較した。光強度/電源設定を、すりガラス標準に対して900~910の範囲の平均グレースケール値を達成するように調整し、この設定において、基準平均グレースケール値を、50~70の範囲とした。基準及びすりガラス標準の平均グレースケール値は、それぞれ、0~100のスケールを作り出すために記録及び使用される。グレースケール解析において、基準、すりガラス、及び各テストレンズの平均及び標準偏差を記録した。各レンズについて、スケーリングされた値を、スケーリングされた値が、平均グレースケール値(すりガラス-基準値)によって除算された平均グレースケール値(レンズ-基準値)を100倍したものに等しいという方程式に従って計算した。3~5個のテストレンズが解析され、結果が平均化される。
【0240】
含水率を重量測定した。レンズを24時間、包装用溶液中で平衡に保った。先端がスポンジ状のスワブを使用して、3枚のテストレンズのそれぞれを包装用溶液から取り出し、包装用溶液で湿らせておいた吸い取り紙上に置く。レンズの両面をこの紙と接触させる。ピンセットを使用して、テストレンズが秤量皿に置かれ、秤量される。更に2セットのサンプルが調製及び秤量される。全ての重量測定を三つ組で行い、それらの値の平均を計算に使用した。湿潤重量は、秤量皿と湿潤レンズとの合計重量-秤量皿単独の重量として定義される。
【0241】
乾燥重量を、60℃で30分間予熱した真空オーブンに試料皿を置いて測定した。圧力が少なくとも3キロパスカル(1インチHg)に達するまで減圧し、より低圧も許容される。真空バルブ及びポンプがオフにされ、レンズが少なくとも12時間、乾燥され、典型的には、一晩乾燥される。パージ弁は、乾燥空気又は乾燥窒素ガスが入るように開口される。オーブンは、大気圧に到達させる。秤量皿を取り出し、秤量する。乾燥重量は、秤量皿と乾燥レンズとの合計重量-秤量皿単独の重量として定義される。テストレンズの含水率は、次のように計算した。
【0242】
【0243】
含水率の平均及び標準偏差を計算して、平均値を、テストレンズの含水率として報告した。
【0244】
コンタクトレンズの屈折率(refractive index、RI)をLeica ARIAS 500 Abbe屈折計の手動モード、又はLeica ARIAS 500 Abbe屈折計の自動モードで、100ミクロンのプリズムギャップ距離で測定した。機器を、脱イオン水を使用して20℃(+/-0.2℃)で較正した。プリズムアセンブリを開き、テストレンズを光源に最も近い磁性ドット間でより低いプリズム上に置いた。プリズムが乾燥している場合、数滴の食塩水を底のプリズムに付着させた。レンズのフロントカーブを底のプリズムに対向させた。プリズムアセンブリを、次に、閉じた。影線がレチクルフィールド内に現れるようにコントロールを調整した後、屈折率を測定した。RI測定を5個のテストレンズで行った。5回の測定から計算された平均RIを、その標準偏差と共に屈折率として記録した。
【0245】
酸素透過度(Dk)を、ISO 9913-1:1996及びISO 18369-4:2006に概説されているポーラログラフィー法に以下の変更を加えて決定した。測定を、テストチャンバーに適切な比率、例えば窒素1800mL/minと空気200mL/minに設定して窒素及び空気の注入を同時に行うことにより作り出された2.1%の酸素を含有する環境で行った。t/Dkは、調整酸素濃度を使用して計算する。ホウ酸緩衝生理食塩水を使用した。MMAレンズを使用する代わりに、純粋加湿窒素環境を使って暗電流を測定した。レンズは、測定前に拭き取らなかった。様々な厚さ(t)のレンズを使用する代わりに、4枚のレンズを束にして、センチメートル単位で測定した。フラットセンサの代わりにカーブセンサを使用し、半径は、7.8mmであった。7.8mm半径のセンサ及び10%(v/v)空気流の計算は、以下のとおりである。
DK/t=(測定された電流-暗電流)×(2.97×10-8mL O2/(μA-sec-cm2-mmHg)
【0246】
エッジ補正を材料のDkに関連させた。
【0247】
90バレル未満の全Dk値に対して:
t/Dk(エッジ補正済み)=[1+(5.88×t)]×(t/Dk)
90~300バレルのDk値に対して:
t/Dk(エッジ補正済み)=[1+(3.56×t)]×(t/Dk)
300バレル超のDk値に対して:
t/Dk(エッジ補正済み)=[1+(3.16×t)]×(t/Dk)
【0248】
非エッジ補正Dkを、データの線形回帰分析から得られた傾きの逆数から計算し、xの変数をセンチメートル単位の中心厚さ、yの変数をt/Dk値とした。一方で、エッジ補正Dkを、データの線形回帰分析から得られた傾きの逆数から計算し、xの変数をセンチメートル単位の中心厚さ、yの変数をエッジ補正t/Dk値とした。結果として得られたDk値をバレル単位で報告した。
【0249】
レンズの湿潤性を以下の方法を使用して決定した。動的接触角(Dynamic contact angle、DCA)を、室温でCahn DCA-315機器を使用して、かつプローブ溶液として脱イオン水を使用してウィルヘルミープレート法によって決定した。実験を、感度が高い天秤によって湿潤による試料に対する力を測定しながら、既知のパラメータのレンズ標本を既知の表面張力の包装溶液内に浸漬することによって行った。レンズ上の包装溶液の前進接触角は、試料浸漬中に収集された力のデータから決定される。後退接触角は、同様に、試料を液体から取り出している間の力のデータから決定される。ウィルヘルミープレート法は、以下の式、Fg=γρcosθ-Bに基づき、式中、F=液体とレンズとの間の湿潤力(mg)、g=重力加速度(980.665cm/sec2)、γ=プローブ液体の表面張力(dyne/cm)、ρ=液体/レンズメニスカスのコンタクトレンズの周囲長(cm)、θ=動的接触角(度)、B=浮力(mg)である。Bは、浸漬のゼロ深さにおいてゼロである。4個のテスト片を、コンタクトレンズの中心領域から切断した。各片を、幅約5mmとし、包装溶液中で平衡に保った。次に、各試料について4回繰返し、結果の平均をとってレンズの前進及び後退接触角を得た。
【0250】
レンズの湿潤性もまた、液滴法を使用し、室温で、KRUSS DSA-100 TM機器を使用し、精査溶液として脱イオン水を使用して測定し、判定した。テストすべきレンズ(3~5/試料)を、脱イオン水中ですすぎ、包装用溶液を取り除いた。それぞれのテストレンズを包装用溶液で湿らせておいた糸くずの出ない吸い取り紙上に置いた。レンズの両面をこの紙と接触させて、レンズを乾燥させることなく、表面の水を取り除いた。適切な平坦化を確保するために、レンズは、コンタクトレンズのプラスチック成形型の凸面上に「皿部を下(bowl side down)」に置いた。プラスチック成形型及びレンズを、適切な中心への注射器の整列を確実にする、液滴機器ホルダ内に置いた。3~4マイクロリットルの脱イオン水の液滴を、その液滴がレンズから離れて垂れることを確実にする、DSA 100-Drop Shape Analysisソフトウェアを使用して注射器の先端上に形成した。その液滴は、その針を下に移動することによって、レンズの表面上に円滑に放出された。その針は、液滴を分注した後、直ちに回収された。液滴を、5~10秒間レンズ上に平衡に保つことを可能にし、接触角を、液滴画像とレンズ表面との間で測定した。
【0251】
コンタクトレンズの機械的特性を、ロードセル及び空気圧グリップコントロールを備えたInstron model 1122又は5542などの引張試験機を使用して測定した。マイナス1の視度レンズが、その中心均一厚さプロファイルにより、好ましいレンズ幾何学的形状である。1.326センチメートル(0.522インチ)の長さ、0.7010センチメートル(0.276インチ)の「耳」幅、及び0.5410センチメートル(0.213インチ)の「首」幅を有する、-1.00の倍率のレンズから切断されたドッグボーン形状の試料を、グリップ内に載置して、一定の歪み速度5センチメートル/分(2インチ/分)で、破断するまで引き伸ばした。ドッグボーン試料の中心厚さを、テスト前に電子厚さ計を使用して測定した。試料の初期ゲージ長さ(Lo)及び破断時の試料長さ(Lf)を測定した。各組成物の少なくとも5個の標本を測定し、平均値を、パーセント破断伸びを計算するために使用した。パーセント破断伸び=[(Lf-Lo)/Lo]×100。引張係数を、応力-歪み曲線の初期直線部分の傾きとして計算し、係数の単位は、ポンド/立方インチ又はpsiである。引張強度をピーク荷重及び元の断面積から計算した。引張強度=ピーク荷重を元の断面積で除算したものであり、引張強度の単位は、psiである。強靭性を破断エネルギー及び試料の元の体積から計算した。強靭性=破断エネルギーを元の試料体積で除算したものであり、強靭性の単位は、in-lbs/in3である。
【0252】
平坦に鋳造された試料もまた、Instronテストによって測定したが、しかしながら、本発明のテスト品を、コンタクトレンズを製造するために使用される成形型と同様の平坦な円形プラスチック成形型(直径約15mm)から調製したが、これは、平坦な丸い円板を生成するように湾曲を有していない。成形型を、注入される反応性混合物の体積に応じて、250~550ミクロンの中心厚さを有する円板を製造するように設計した。円板を、所望される試料サイズ(幅3.1mm、長さ約7mm)に切断した。一定運動速度タイプの試験機のクロスヘッドが、100ニュートンロードセル及びダイヤモンド鋸歯顎面を有する空気圧動作グリップ(最大250ニュートン)を備えた。標本をグリップ内に装填し、次に、それが破断するまで2.5センチメートル/分(1インチ/分)で伸長した。引張特性は、結果として生じる応力-歪み曲線から得られる。加えて、全ての機械試験実験について、試料を、脱水の影響を最小にするために解析前まで即座に包装溶液中に保管した。
【0253】
中心厚さを、電子厚さ計を使用して個々に測定した。
【0254】
以下の略語を、実施例全体を通して使用する
BC:バックカーブプラスチック成形型
FC:フロントカーブプラスチック成形型
NVP:Nビニルピロリドン(Acros Chemical)
DMA:N,N-ジメチルアクリルアミド(Jarchem)
HEMA:2-ヒドロキシエチルメタクリレート(Bimax)
NMMA:N-メチルメタクリルアミド
VMA:N-ビニル-N-メチルアセトアミド(Aldrich)
ブルーHEMA:米国特許第5944853号の実施例4に説明される、1-アミノ-4-[3-(4-(2-メタクリロイルオキシ-エトキシ)-6-クロロトリアジン-2-イルアミノ-4-スルホフェニルアミノ]アントラキノン-2-スルホン酸
Styryl-TRIS:トリス(トリメチルシロキシ)シリルスチレン
pVMA:ポリ(N-ビニル-N-メチルアセトアミド)
PVP:ポリ(N-ビニルピロリドン)K90(ISP Ashland)
EGDMA:エチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TEGDMA:トリエチレングリコールジメタクリレート(Esstech)
TMPTMA:トリメチロールプロパントリメタクリレート(Esstech)
BMPP:2,2-ビス(4-メチルアクリルオキシフェニル)-プロパン(PolySciences)
BAPP:2,2-ビス[4-(2-アクリルオキシエトキシ)フェニル]プロパン(PolySciences)
BHMPP:2,2-ビス[4-(2-ヒドロキシ-3-メチルアクリルオキシプロポキシ)フェニル]プロパン(PolySciences)
Tegomer V-Si 2250:平均20個のジメチルシロキシ反復ユニットを有する、ジアクリルオキシポリジメチルシロキサン(Evonik)
D3O:3,7-ジメチル-3-オクタノール(Vigon)
Irgacure 819:ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド
Irgacure 1870:ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリトリメチル-ペンチルホスフィンオキシドと1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンとの混合
mPDMS:モノメタクリルオキシプロピル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン、(800~1000MW)(Gelest)
HO-mPDMS:モノ-(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(400~1000MW)(DSM)
SiMAA:2-メチル-2-ヒドロキシ-3-[3-[1,3,3,3-テトラメチル-1-[(トリメチルシリル)オキシ]ジシロキサニル]プロポキシ]プロピルエステル(Toray)
SA2:N-(2,3-ジヒドロキシルプロピル)-N-(3-テトラ(ジメチルシロキシ)ジメチルブチルシラン)プロピル)アクリルアミド
TAM:t-アミルアルコール(BASF)
3E3P:3-エチル3-ペンタノール
DI水:脱イオン水
IPA:イソプロピルアルコール
Norbloc:2-(2’-ヒドロキシ-5-メタクリルイルオキシエチルフェニル)-2H-ベンゾトリアゾール(Janssen)
PP:ポリプロピレン
Zeonor:ポリシクロオレフィン熱可塑性ポリマー(Nippon Zeon Co Ltd)
ホウ酸緩衝液:1Lの脱イオン水(Mailli Q製)中に8.3gmのNaCl(Sigma Aldrich製)、9.1gmのホウ酸(Mallinckrodt製)及び1gmのホウ酸ナトリウム(Mallinckrodt製)を溶解することによって調製された溶液。
【実施例】
【0255】
(実施例1~10)
各反応性混合物を、表1に列挙された反応性成分を混合し、加熱又は非加熱のステンレス鋼又はガラス注射器を使用して3μmフィルタを通して濾過して形成し、次に、周囲温度で約15分間、真空を適用して脱気した。窒素ガス雰囲気及び酸素ガス0.1パーセント未満のグローブボックスにおいて、75~100μLの反応性混合物を、次に、室温でFC内に注入した。BCを、次に、フロントカーブ成形型上に配置した。成形型を、注入前にグローブボックス内で最低12時間、平衡に保った。トレイを、60~65℃に維持された隣接グローブボックス内に移し、レンズを、4~5mW/cm2の強度を有するTLO3蛍光電球を使用して20分間、頂部から硬化させた。光源を、約15センチメートル(6インチ)、トレイの上にした。硬化プロセス及び装置の詳細な説明は、米国特許第8,937,110号に見出され得る。
【0256】
レンズを、大部分のレンズがFCに付着した状態で、手動で離型し、64個のレンズを約1リットルの水性IPA溶液中に約1又は2時間、浮遊させて放出させ、続いて、別の水性IPA溶液で、DIで2回、最終的にホウ酸緩衝包装溶液で2回、洗浄した。水性IPA溶液の濃度は、表1に列挙される。各洗浄工程は、約30分間続けた。レンズを122℃で30分間、オートクレーブによって無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を、測定し、これは、表2に列挙される。
【0257】
【0258】
【0259】
本発明の製剤は、幅広い範囲の係数を提供する。架橋剤(TMTPAなどの短鎖のより高い官能性架橋剤含むような)の濃度及びタイプを変化させることによって、約0.1GPa(20,000psi)までの係数が達成され得る。
【0260】
(実施例11~22)
各反応性混合物を、表3及び4に列挙される反応性成分を混合することによって形成し、次に、約20分間、周囲温度で真空を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び酸素ガス0.1パーセント未満のグローブボックスにおいて、約100μLの反応性混合物を、次に、表3及び表4に示される材料から製造されたFC内に室温で注入した。表3及び表4に示される材料から製造されたBCを、次に、フロントカーブ成形型上に配置した。石英板を8個のかかる成形型アセンブリのトレイの頂部上に配置し、適切な嵌め合いを維持した。成形型を、注入前にグローブボックス内で最低12時間、平衡に保った。トレイを、60~65℃に維持された隣接グローブボックス内に移し、レンズを、4~5mW/cm2の強度を有するTLO3蛍光電球を使用して12分間、頂部から硬化させた。
【0261】
レンズを、大部分のレンズがBCに付着した状態で、手動で離型し、40% IPAを使用して放出させ、続いて、表に記載されたものを除いて、約0.5~1時間、40% IPAで2回、約0.5~1時間、DI水で2回、最終的に約30分間、ホウ酸緩衝包装溶液で2回、洗浄した。レンズを122℃で30分間、オートクレーブによって無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を、測定し、これは、表5に列挙される。
【0262】
【0263】
【0264】
【0265】
0.4GPa(60,000psi)超の係数を有するが、依然として15~約25%の含水率を呈するシリコーンヒドロゲルを生成した。シリコーンヒドロゲルは、望ましいヘイズ、Dk及び接触角を呈した。
【0266】
(実施例23~32)
各反応性混合物を、表6に列挙される反応性成分を混合することによって形成し、次に、約20分間、周囲温度で真空を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び酸素ガス0.1パーセント未満のグローブボックスにおいて、約100μLの反応性混合物を、次に、Zeonorから製造されたFC内に室温で注入した。Zeonor:ポリプロピレンの55:45(w/w)の混合から製造されたBCを、次に、フロントカーブ成形型上に配置した。成形型を、注入前にグローブボックス内で最低12時間、平衡に保った。トレイを、60~65℃に維持された隣接グローブボックス内に移し、レンズを、4~5mW/cm2の強度を有する420nm LED光を使用して20分間、頂部から硬化させた。
【0267】
レンズを、大部分のレンズがBCに付着した状態で、手動で離型し、一晩、40% IPAを使用して放出させ、続いて、40% IPAで0.5~1時間、約0.5~1時間、DI水で2回、最終的に約30分間、ホウ酸緩衝包装溶液で2回、洗浄した。レンズを122℃で30分間、オートクレーブによって無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を、測定し、これは、表7に列挙される。
【0268】
【0269】
【0270】
(実施例33~37)
各反応性混合物を、表8に列挙される反応性成分を混合することによって形成し、次に、約20分間、周囲温度で真空を適用することによって脱気した。窒素ガス雰囲気及び酸素ガス0.1パーセント未満のグローブボックスにおいて、約100μLの反応性混合物を、次に、Zeonorから製造されたFC内に室温で注入した。Zeonor:ポリプロピレンの55:45(w/w)の混合から製造されたBCを、次に、フロントカーブ成形型上に配置した。石英板を8個のかかる成形型アセンブリのトレイの頂部上に配置し、適切な嵌め合いを維持した。成形型を、注入前にグローブボックス内で最低12時間、平衡に保った。トレイを、60~65℃に維持された隣接グローブボックス内に移し、レンズを、4~5mW/cm2の強度を有するTL03光を使用して20分間、底部から硬化させた。
【0271】
レンズを、大部分のレンズがBCに付着した状態で、手動で離型し、40% IPAを一晩、50% IPAを一晩使用して放出させ、続いて、約0.5~1時間、40% IPAで2回、約0.5~1時間、DI水で2回、最終的に約30分間、ホウ酸緩衝包装溶液で2回、最終的に約30分間、ホウ酸緩衝包装溶液で2回、洗浄した。レンズを122℃で30分間、オートクレーブによって無菌化した。実施例33~36の無菌レンズの物理的及び機械的特性を、測定し、これは、表9に列挙される。
【0272】
【0273】
【0274】
実施例33~36のシリコーンヒドロゲルは、0.30GPa(43,000psi)までの係数、及び約20~30%の含水率を呈する。
【0275】
(実施例38~53)
各反応性混合物を、表10及び表11に列挙された反応性成分を混合し、加熱又は非加熱のステンレス鋼又はガラス注射器を使用して3μmフィルタを通して濾過して形成し、次に、周囲温度で約10~20分間、真空を適用して脱気した。窒素ガス雰囲気及び酸素ガス0.1パーセント未満のグローブボックスにおいて、約75~100μLの反応性混合物を、Eppendorfピペットを使用して室温でFC内に注入した。BCを、次に、FC上に配置した。成形型を、注入前にグローブボックス内で最低12時間、平衡に保ち、成形型材料は、表10~表11に列挙される。各々8個のかかる成形型アセンブリを含有する8個のトレイを鏡面金属板上に配置し、石英板をトレイの上に配置して適切な嵌め合い及び整列を維持した。板を、60~65℃に維持された隣接グローブボックス内に移し、レンズを、4~5mW/cm2の強度を有するTLO3光を使用して12~15分間、表10~表11に列挙されるように、頂部から硬化させた。
【0276】
レンズを、大部分のレンズがFCに付着した状態で、手動で離型し、64個のレンズを約1リットルの水性IPA溶液中に約2又は3時間、浮遊させて放出させ、続いて、別の水性IPA溶液で2又は3回、DIで2回、最終的にホウ酸緩衝包装溶液で2回、洗浄した。実施例39のレンズ放出プロセスは、40% IPAに一晩放出すること、次に、DI及びPS洗浄工程の前に40%及び50% IPAを使用する2つのIPA洗浄工程を含んだ。実施例45のレンズ放出プロセスは、4~5時間続く2回の70% IPA洗浄を含んだ。水性IPA溶液の濃度は、表10~表11に列挙される。各洗浄工程は、約30分間続けた。レンズ放出は、典型的には、実験室ローラー上の瓶内で実施される。レンズを、薬瓶内に移し、続いて、122℃で30分間、オートクレーブによって無菌化した。無菌レンズの物理的及び機械的特性を、測定し、表12に列挙した。NM=未測定。
【0277】
【0278】
【0279】
【0280】
(実施例54)
窒素ガス雰囲気及び酸素ガス0.1パーセント未満のグローブボックスにおいて、約20μL~約35μLの実施例15の脱気された反応性混合物を、Zeonor:ポリプロピレンの55:45(w/w)の混合から製造されたFC内に60~65℃で注入した。実際の体積を、光学区域を制御するために使用した。FCを、次に、4~5mW/cm2の強度を有する420nmLED光の下で2分間、照射して、部分的に硬化されたゲルを生成した。その後、約125μLの表13の脱気された反応性混合物を、上記の部分的に硬化されたゲルの頂部上でFC内に注入した。Zeonorから製造されたBCを、フロントカーブ成形型上に配置した。石英板を8個のかかる成形型アセンブリのトレイの頂部上に配置し、適切な嵌め合いを維持した。成形型を、注入前にグローブボックス内で最低12時間、平衡に保った。レンズを、4~5mW/cm2の強度を有する420nmLED光を使用して18分間、底部から硬化した。
【0281】
レンズは、以下の方法によって成形型から放出された溶媒であり、これは、2つの製剤の差により、レンズに対するいかなる損傷も防止した。(1)20% IPAに一晩、20% IPAに1時間、30% IPAに2~4時間、40% IPAに一晩、30% IPAに2~4時間、20% IPAに一晩、最終的にDI水に一晩、浮遊させた。レンズを122℃で30分間、オートクレーブによって無菌化した。
【0282】
周辺及び中心区域で使用されたヒドロゲルの特性は、以下に、表14に列挙される。結果として得られるコンタクトレンズを、インビトロテスト方法を使用して矯正マスキングについて評価し、コンタクトレンズは、眼モデル上に取り付けられ、光干渉断層撮影(OCT)を使用して、モデル眼上のコンタクトレンズの画像を生成した。
図2において、実施例49で調製されたコンタクトレンズが眼モデルの角膜領域を飛び越えることができ、それによって、光学的観点からの人工涙液によって満たされたギャップを提供することを示すOCT画像が、角膜上の任意の乱視をマスクする。
【0283】
【0284】
【0285】
ここで図示及び説明した実施形態は、最も実用的で好適な実施形態と考えられるが、当業者であれば、ここに図示及び開示した特定の設計及び方法からの変更はそれ自体当業者にとって自明であり、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく使用できることは明らかであろう。本発明は、説明し例証した特定の構成に限定されないが、添付の特許請求の範囲に含まれ得る全ての修正と一貫するように構成されているべきである。
【0286】
〔実施の態様〕
(1) 眼科用装置であって、
中心光学区域、及び前記中心光学区域を囲む周辺区域を有する、コンタクトレンズであって、第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されている、コンタクトレンズと、
前記コンタクトレンズの前記中心光学区域内に組み込まれた第2の材料であって、少なくとも約7MPa(約1000psi)のヤング係数、及び少なくとも約10%の含水率を有し、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む第2の反応性混合物から形成されている、第2の材料と、を備える、眼科用装置。
(2) 前記第2の材料が、約20~約40%の含水率を更に含む、実施態様1に記載の眼科用装置。
(3) 前記第2の反応性混合物が、少なくとも1つの光開始剤を更に含む、実施態様1又は2に記載の眼科用装置。
(4) 前記シリコーンヒドロゲルが、光又は可視光への露光を介して硬化されている、実施態様1に記載の眼科用装置。
(5) 前記シリコーン含有成分が、3~30、3~25、3~20又は3~15個のシロキサン反復単位を有する少なくとも1つのシリコーン鎖を含む、実施態様1~4のいずれかに記載の眼科用装置。
【0287】
(6) 前記少なくとも1つのシリコーン鎖が、ポリジアルキルシロキサン鎖である、実施態様5に記載の眼科用装置。
(7) 前記少なくとも1つのシリコーン鎖が、ポリジメチルシロキサン鎖である、実施態様5に記載の眼科用装置。
(8) 前記少なくとも1つのシリコーン鎖が、ポリジアリールシロキサン鎖である、実施態様5に記載の眼科用装置。
(9) 前記第2の反応性混合物が、全ての反応性成分に基づいて、約20~約60重量%又は約30~約50重量%の前記シリコーン含有成分を含む、実施態様1~8のいずれかに記載の眼科用装置。
(10) 前記第2の反応性混合物が、全ての反応性成分に基づいて、約5重量%~約50重量%、約7重量%~約30重量%、約7重量%~約25重量%又は約7重量%~約20重量%の少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様1~9のいずれかに記載の眼科用装置。
【0288】
(11) 前記シリコーン含有成分が、式IIIa~IVcの化合物、及びこれらの組み合わせから選択され、
【化28】
式中、R
1は、水素原子又はメチルであり、
Zは、O、N、S、又はNR
1CH
2CH
2Oから選択され、Z=O又はSであるとき、R
2は、必要とされず、
jは、1~20の整数であり、
R
19は、
各メチレン基が、任意に、エーテル、アミン、カルボニル、カルボン酸塩、カルバミン酸塩、及びこれらの組み合わせによって独立して置換され得る、置換若しくは非置換C
1~6、C
1~4、又はC
2~4アルキレンセグメント(CH
2)
r、又は
オキシアルキレンセグメント(OCH
2)
kであり、
kは、1~3の整数であるか、又はR
19は、アルキレンセグメント及びオキシアルキレンセグメントの混合物であり得、rとkとの合計は、1~9であり、
各R
3及びR
4は、独立して、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルキル基、1~6個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、若しくは環状アルコキシ基、直鎖若しくは分岐ポリエチレンオキシアルキル基、フェニル基、ベンジル基、置換若しくは非置換アリール基、フルオロアルキル基、部分フッ化アルキル基、ペルフルオロアルキル基、フッ素原子、又はこれらの組み合わせであり、
R
5は、1~8個の炭素原子、若しくは1~4の炭素原子、又はメチル若しくはブチルを有する、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐アルキル基、又はアリール基であり、これらのいずれかは、1つ又は2つ以上のフッ素原子と置換され得る、実施態様1~10のいずれかに記載の眼科用装置。
(12) 前記少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドが、以下の式を有し、
【化29】
式中、R’は、1~8個の炭素原子、ベンジル又はフェニルを含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基から選択され、これらのいずれかは、非置換であるか、又はヒドロキシル、アミノ、及びこれらの組み合わせなどの追加の官能基によって置換され得る、実施態様1~11のいずれかに記載の眼科用装置。
(13) 前記N-アルキルメタクリルアミドが、N-メチルメタクリルアミドである、実施態様12に記載の眼科用装置。
(14) 前記第2の材料が、約7MPa~約1379MPa(約1000psi~約200,000psi)の係数を有し、前記第2の反応性混合物は、約5~約15重量%の少なくとも1つの架橋成分を含む、実施態様1~13のいずれかに記載の眼科用装置。
(15) 前記係数が、約7~約689MPa、又は約34~約689MPa(約1000~約100,000psi、又は約5000~約100,000psi)である、実施態様14に記載の眼科用装置。
【0289】
(16) 前記第2の反応性混合物が、全ての反応性成分に基づいて、約20~約80重量%又は30~80重量%の前記シリコーン含有成分を含む、実施態様14に記載の眼科用装置。
(17) 前記第2の反応性混合物が、全ての反応性成分に基づいて、約5重量%~約50重量%、約7重量%~約30重量%、約7重量%~約25重量%又は約7重量%~約20重量%の少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様14に記載の眼科用装置。
(18) 前記第2の反応性混合物が、約5重量%~約40重量%又は20~約40重量%の少なくとも1つのヒドロキシル官能性シリコーン含有成分を更に含む、実施態様14に記載の眼科用装置。
(19) 前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、ポリジアルキルシロキサン及びポリジアリールシロキサンからなる群から選択されるヒドロキシル官能性ポリシロキサンである、実施態様18に記載の眼科用装置。
(20) 前記第2の反応性混合物が、約10~約40重量%のヒドロキシル官能性ポリシロキサンを含む、実施態様19に記載の眼科用装置。
【0290】
(21) 前記ヒドロキシル官能性ポリシロキサンが、少なくとも1つのポリジメチルシロキサンを含む、実施態様19又は20に記載の眼科用装置。
(22) 前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、式XXIの単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)からなる群から選択され、
【化30】
式中、Zは、O、N、S、又はNR
1CH
2CH
2Oから選択され、ZがO又はSであるとき、R
2は、存在せず、
R
1は、独立して、水素又はメチルであり、
R
2、R
3、及びR
4は、独立して、1~8個の炭素原子を含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基であり、これらのいずれかは、少なくとも1つのヒドロキシ基によって更に置換され得、任意に、アミド、エーテル、及びこれらの組み合わせによって置換され得、R
3及びR
4は、独立して、メチル、エチル、又はフェニルから選択され得るか、又はメチルであり得、
nは、シロキサン単位の数であり、第1の単官能性ヒドロキシル置換ポリ(二置換シロキサン)モノマーに対して4~8であり、
R
5は、直鎖又は分岐C
1~C
8アルキル基から選択され、これは、任意に、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、及びこれらの組み合わせによって置換され得、R
5は、直鎖又は分岐C
4アルキルであり得、これらのいずれか一方は、任意に、ヒドロキシルによって置換され得るか、又はメチルであり得る、実施態様19又は20に記載の眼科用装置。
(23) 前記ヒドロキシル官能性シリコーン含有成分が、式XXIIaに示されるようにモノ(2-ヒドロキシ-3-メタクリルオキシプロピル)-プロピルエーテル末端モノ-n-ブチル末端ポリジメチルシロキサン(OH-mPDMS)を含み、式中、nは、4~30、4~8又は10~20であり、ポリジメチルシロキサンは、式XXIIb~式XXIIIdに示される化学構造を有し、式中、nは、4~30、4~8又は10~20であり、n
1 n
2、及びn
3は、独立して、4~100、4~50、4~25であり、R
5は、直鎖又は分岐C
1~C
8アルキル基から選択され、これは、任意に、1つ又は2つ以上のヒドロキシル、アミド、エーテル、C
fH
g(OH)
hの式を有し、式中、f=1~8であり、g+h=2f+1である、直鎖又は分岐C
1~C
8基、及びC
fH
g(OH)
hの式を有し、式中、f=1~8であり、g+h=2f-1である、環状C
1~C
8基から選択されるポリヒドロキシル基、並びにそれらの組み合わせによって置換され得、あるいはR
5は、ヒドロキシルエチル、ヒドロキシルプロピル、ヒドロキシルブチル、ヒドロキシルペンチル及び2,3-ジヒドロキシプロピルを含む、メチル、ブチル又はヒドロキシル置換C
2~C
5アルキル、並びに式XXIVのポリカルボシロキサンから選択され得、式中、a及びbは、4~100又は4~8であり、cは、4~8であり、R
1及びR
5は、上記に定義されるとおりである、実施態様19又は20に記載の眼科用装置。
【化31】
【化32】
(24) 前記第2の反応性混合物が、少なくとも1つのシリコーン含有架橋剤を更に含む、実施態様1~23のいずれかに記載の眼科用装置。
(25) 前記第2の反応性混合物が、約4~約15重量%又は約5~約10重量%の前記シリコーン含有架橋剤を含む、実施態様1~24のいずれかに記載の眼科用装置。
【0291】
(26) 前記シリコーン含有架橋剤が、式XXVI~式XXXVIの構造を有し、
【化33】
【化34】
式中、nは、1~200、50~150、50~100、又は10~50である、実施態様24に記載の眼科用装置。
(27) 前記少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドが、以下の式を有し、
【化35】
式中、R
1は、1~8個の炭素原子、ベンジル又はフェニルを含有する直鎖、分岐、又は環状アルキル基から選択され、これらのいずれかは、非置換であるか、又はヒドロキシル、アミノなどの追加の官能基によって置換され得る、実施態様15~26のいずれかに記載の眼科用装置。
(28) 前記Nアルキルメタクリルアミドが、N-メチルメタクリルアミドである、実施態様27に記載の眼科用装置。
(29) 前記第2の反応性混合物が、全ての反応性成分に基づいて、約20~約80重量%又は30~60重量%の前記シリコーン含有成分を含む、実施態様1~28のいずれかに記載の眼科用装置。
(30) 前記第2の反応性混合物が、全ての反応性成分に基づいて、約5重量%~約50重量%、約7重量%~約30重量%、約7重量%~約25重量%又は約7重量%~約20重量%の前記少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミドを含む、実施態様1~29のいずれかに記載の眼科用装置。
【0292】
(31) 前記眼科用装置が、トーリックコンタクトレンズを備える、実施態様1~30のいずれかに記載の眼科用装置。
(32) 前記第1の材料が、約1.4MPa又は1.0MPa(約200psi又は150psi)未満のヤング係数を含む、実施態様1~31のいずれかに記載の眼科用装置。
(33) 前記中心区域が、直径約9mm以下である、実施態様1~32のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
(34) 前記中心区域が、約4~約7mmの直径を有する、実施態様1~33のいずれかに記載のコンタクトレンズ。
(35) 眼科用装置を製造する方法であって、
少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む第1の反応性混合物を、コンタクトレンズフロントカーブ成形型の中心部分内に注入することと、
前記第1の材料の上で前記コンタクトレンズフロントカーブ成形型内に、硬化時に約1.4MPa(約200psi)未満の第2のヤング係数を有する第2の材料を注入することであって、前記第1の材料が、硬化時に、約1000超の第1のヤング係数を有し、前記第1及び第2の反応性混合物が、注入から硬化までの期間中、実質的に非混和性である、注入することと、
コンタクトレンズバックカーブ成形型を前記第2の材料上に位置決めすることと、
前記反応性混合物を硬化させることと、を含む、方法。
【0293】
(36) 前記第2の反応性混合物を注入する前に、前記第1の反応性混合物を、少なくとも部分的に硬化させる工程を更に含む、実施態様35に記載の方法。
(37) 前記第1の材料が前記第2の材料内に被包されるように、前記第2の反応性混合物が、前記第1の反応性混合物を注入する前に、前記フロントカーブ成形型上にコーティングされる、実施態様35に記載の方法。
(38) 前記第1及び第2の材料が、約10%以内の膨張係数を有する、実施態様35~37のいずれかに記載の方法。
(39) コンタクトレンズであって、
約7MPa~約1379MPa(約1,000psi~約200,000psi)の第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されている光学区域であって、前記第1の材料が、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から形成されている、光学区域と、
約1.4MPa又は約1.0MPa(約200psi又は約150psi)未満の第2のヤング係数を有する材料から形成された周辺区域と、を備える、コンタクトレンズ。
(40) コンタクトレンズであって、
第1の剛性を有する光学区域であって、前記光学区域が、約7MPa~約1379MPa(約1,000psi~約200,000psi)の第1のヤング係数を有する第1の材料から形成されており、前記第1の材料が、少なくとも1つのN-アルキルメタクリルアミド及び少なくとも1つのシリコーン含有成分を含む、反応性混合物から形成されている、光学区域と、
約1.4MPa又は約1.0MPa(約200psi又は約150psi)未満の第2のヤング係数を有する材料から形成された、第2の剛性を有する周辺区域と、を備え、前記第1の剛性が、前記第2の剛性よりも大きい、コンタクトレンズ。