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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】エアロゾル発生装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 11/00 20060101AFI20220613BHJP
   A24F 47/00 20200101ALI20220613BHJP
   F04B 43/04 20060101ALI20220613BHJP
   F04B 43/02 20060101ALI20220613BHJP
   A61M 15/06 20060101ALI20220613BHJP
   A24F 40/48 20200101ALI20220613BHJP
【FI】
A61M11/00 A
A24F47/00
F04B43/04 B
F04B43/02 L
A61M11/00 300
A61M15/06 C
A24F40/48
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019508944
(86)(22)【出願日】2017-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 EP2017068691
(87)【国際公開番号】W WO2018033347
(87)【国際公開日】2018-02-22
【審査請求日】2020-07-27
(31)【優先権主張番号】16184283.6
(32)【優先日】2016-08-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】596060424
【氏名又は名称】フィリップ・モーリス・プロダクツ・ソシエテ・アノニム
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100088694
【弁理士】
【氏名又は名称】弟子丸 健
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141553
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 信彦
(72)【発明者】
【氏名】マズール ベン
【審査官】小野田 達志
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-532828(JP,A)
【文献】特表2013-514836(JP,A)
【文献】国際公開第2007/111049(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2009/0242060(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 11/00
A24F 40/00-47/00
F04B 43/04
F04B 43/02
A61M 15/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル発生装置であって、
-エアロゾル形成基体を保持するためのカートリッジと、
-エアロゾル形成基体を噴霧化するためのアトマイザーと、
-流体を送達するためのマイクロポンプとを備え、前記マイクロポンプが前記カートリッジと前記アトマイザーの間に配置され、かつエアロゾル形成基体を前記カートリッジから前記アトマイザーに供給するために前記カートリッジおよび前記アトマイザーと流体接続し、前記マイクロポンプが、
二つの別個のチャンバー容積を有する二つのポンプチャンバーと、
二つのアクチュエータであって、各アクチュエータがそれぞれのチャンバー容積を変更するために前記二つのポンプチャンバーの一つに割り当てられ、
流体経路に沿ったポンピング方向を確立するために少なくとも一つの入口弁および少なくとも一つの出口弁が各ポンプチャンバーに提供され、前記流体経路が90度以下の角度を成さないものと、
共通の入口および共通の出口とを備え、
前記二つのポンプチャンバーが並列に配置され、かつ前記共通の入口および前記共通の出口と流体接続し、
前記二つのポンプチャンバーのそれぞれの中の体積変更が両方のポンプチャンバーで同時に発生するように、前記アクチュエータが並列に動作するように構成されている、装置。
【請求項2】
前記二つのポンプチャンバーが前記共通の入口および前記共通の出口と直に流体接続されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記二つのアクチュエータが、同じ軸上で反対方向に作動させるように、前記二つのポンプチャンバーならびに前記二つのアクチュエータが、相互に対向しかつ隣接して配置されている、請求項1~2のいずれか一項に記載の装置。
【請求項4】
前記二つのポンプチャンバーおよび前記二つのアクチュエータが、前記二つのポンプチャンバーのそれぞれにおける同一の体積変更が、前記二つのアクチュエータの動作に伴い発生するように構成されている、請求項1~3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記二つのポンプチャンバーのチャンバー容積が同一である、請求項1~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記マイクロポンプは、1μL/S~7μL/Sの流量を提供することができる、請求項1~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記二つのアクチュエータが圧電膜アクチュエータである、請求項1~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記マイクロポンプがポンプチャンバー一つ当たり、二つの入口弁および二つの出口弁を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記マイクロポンプが、前記二つのポンプチャンバーの間に平行に配置された平面に対して対称なセットアップを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記共通の入口の入口接続部および前記共通の出口の出口接続部が前記マイクロポンプの同じ側に配置されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記マイクロポンプの前記共通の出口における流体の流れを制御するために制御電子回路に接続された流れセンサーをさらに備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記アトマイザーが、音波霧化要素、超音波振動装置または気化器(ヒーターなど)のうちのどれか一つまたは組み合わせを含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
ニコチン含有エアロゾル形成基体およびたばこ風味含有エアロゾル形成基体のうちの一つまたは組み合わせを含む請求項1~12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
粘性が1mPas~200mPas、好ましくは1mPas~150mPasである粘性液体エアロゾル形成基体を含む、請求項1~13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
電子喫煙システムにおける前記請求項1~14のいずれか一項に記載の装置の使用。
【請求項16】
エアロゾル発生装置であって、
-エアロゾル形成基体を保持するためのカートリッジと、
-エアロゾル形成基体を噴霧化するためのアトマイザーと、
-流体を送達するためのマイクロポンプとを備え、前記マイクロポンプが前記カートリッジと前記アトマイザーの間に配置され、かつエアロゾル形成基体を前記カートリッジから前記アトマイザーに供給するために前記カートリッジおよび前記アトマイザーと流体接続し、前記マイクロポンプが、
二つの別個のチャンバー容積を有する二つのポンプチャンバーと、
二つのアクチュエータであって、各アクチュエータがそれぞれのチャンバー容積を変更するために前記二つのポンプチャンバーの一つに割り当てられ、
ポンピング方向を確立するために少なくとも一つの入口弁および少なくとも一つの出口弁が各ポンプチャンバーに提供されるものと、
共通の入口および共通の出口とを備え、
前記二つのポンプチャンバーが並列に配置され、かつ前記共通の入口および前記共通の出口と流体接続し、
前記共通の入口の入口接続部は前記マイクロポンプの一方の側に配置されており、前記共通の出口の出口接続部は、前記マイクロポンプの反対側に配置されており、
前記二つのポンプチャンバーのそれぞれの中の体積変更が両方のポンプチャンバーで同時に発生するように、前記アクチュエータが並列に動作するように構成されている、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エアロゾル発生装置、特にマイクロポンプを備えるエアロゾル発生装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エアロゾル発生装置において、液体を含むカートリッジの開口部の隣に配置されたアトマイザー(例えば、発熱体)内で、液体は気化または霧化される。一般に液体は、毛細管材料の毛細管作用によってアトマイザーに移動される。ところが、こうしたシステムにおいて、液体の移動は短距離に限定されるため、カートリッジおよびアトマイザーの配置が限定される。
【0003】
エアロゾル形成基体のための貯蔵部およびエアロゾル形成基体を噴霧化するためのアトマイザーの配置で、より高い融通性を提供するエアロゾル発生装置のニーズがある。また、特に粘性のエアロゾル形成流体について適正な性能を提供する装置のニーズがある。
【発明の概要】
【0004】
本発明によると、エアロゾル発生装置が提供されている。装置は、エアロゾル形成基体を保持するためのカートリッジと、エアロゾル形成基体を噴霧化するためのアトマイザーとを備える。装置は流体を送達するためのマイクロポンプをさらに備え、ここでマイクロポンプはカートリッジとアトマイザーの間に配置され、かつエアロゾル形成基体をカートリッジからアトマイザーに供給するためにカートリッジおよびアトマイザーと流体接続している。マイクロポンプは、二つの別個のチャンバー容積を有する二つのポンプチャンバーおよび二つのアクチュエータを備え、各アクチュエータは、それぞれのチャンバー容積を変更させるために、二つのポンプチャンバーのうちの一つに割り当てられている。各ポンプチャンバーには、ポンピング方向を確立するための少なくとも一つの入口弁および少なくとも一つの出口弁が提供されている。マイクロポンプは共通の入口および共通の出口をさらに備える。二つのポンプチャンバーは並列に配置され、かつ共通の入口および共通の出口と流体接続しており、またアクチュエータは、二つのそれぞれのポンプチャンバー内での体積変更が両方のポンプチャンバーで同時に発生するように、並列に動作するように構成されている。例えば、エアロゾル発生装置内にある制御電子回路は、マイクロポンプまたはマイクロポンプのアクチュエータをそれぞれ制御しうる。
【0005】
アクチュエータを同時に動作させることによって、および好ましくはアクチュエータストロークによる同一の体積変更を有することによって、ポンピング圧力は、一つのポンピングチャンバーのみを有する場合と比較して基本的に2倍になりうる。ポンピング圧力はまた、例えば直列に接続された二つのポンプと比較して2倍になりうる。こうした単一または直列のマイクロポンプは、例えばBartels Mikrotechnik GmbH製であり、一つのアクチュエータを有するBartels mp5マイクロポンプ、および二つの直列に配置されたポンプチャンバー内に二つのアクチュエータを有するBartels mp6マイクロポンプが周知である。
【0006】
二つのポンプチャンバーを並列に配置することはまた、マイクロポンプの高い性能、および粘性の液体でも高流量を提供することを可能にする。最大流量は一般に、粘性が高めの流体で減少するため、高めのポンピング圧力での二つのポンプチャンバーは、粘性の流体または高い粘性の流体でも明確な高流量を可能にする。
【0007】
二つのポンプチャンバーを並列に配置することはまた、マイクロポンプのコンパクトで小型の設計、およびマイクロポンプが使用されるエアロゾル発生装置のコンパクトで小型の設計を容易にする。これは、スペースが制限され、かつ装置が小型化されるべき手持ち式装置に特に適している。こうした手持ち式装置は、例えば医療用の吸入器、または喫煙用のベイピング装置もしくは喫煙装置でありうる。こうした手持ち式装置は、例えばベイピング装置でもよく、ベイピング装置ではeリキッドが気化され、こうしたeリキッドは一般に粘性の流体である。
【0008】
マイクロポンプのアクチュエータは、マイクロポンプに接続された制御電子回路によって駆動されうる。この制御電子回路は、エアロゾル発生装置を制御するための同装置の制御電子回路と組み合わせてもよい。
【0009】
アクチュエータは、圧電膜アクチュエータ、機械式アクチュエータ、熱式アクチュエータ、磁気式アクチュエータ、またはポンプチャンバーの体積変更をもたらすその他の適切なアクチュエータとしうる。ディスク形状またはプレート形状のアクチュエータが使用されることが好ましい。本発明による装置において、二つの圧電膜アクチュエータがマイクロポンプ内で使用されることが好ましい。
【0010】
圧電膜アクチュエータにおいて、アクチュエータに印加される電圧の振幅がアクチュエータのストロークを画定し、そのためポンプサイクル当たりのポンピングされる媒体の変位を画定する。コントローラ電圧の振幅を増大させると、流量は最大流量に線形的に増える。
【0011】
流量はまた、定義された振動数範囲内で線形的に増大する。振動数は、単位時間当たりのポンプのストローク数を決定する。共振振動数で最大流量に達した後は、振動数が共振点を超えて高くなるのに伴い流量は再び減少する。
【0012】
信号、振幅および振動数の組み合わせが、マイクロポンプの性能を規定する。従って、動作パラメータは、マイクロポンプによって移動される流体に従い適合されうる。
【0013】
マイクロポンプの各ポンプチャンバーは、少なくとも一つの入口弁および少なくとも一つの出口弁を備える。各ポンプチャンバーは、二つの入口弁および二つの出口弁を備えることが好ましい。ポンプチャンバー当たり二つの弁は、信頼性の高いマイクロポンプ動作を提供することが示されてきた。
【0014】
動作時、流体は流体経路に沿って、共通の入口から共通の出口に向かい、二つのポンプチャンバーのそれぞれを通過し、それぞれの入口弁および出口弁を経由して流れる。すなわち、流体経路は、流体がマイクロポンプ内で移動される時に流体がたどる経路または軌道として画定されうる。弁によって引き起こされる流体経路に沿った流体ストリームの方向の変化が最小限に抑えられるような方法で、弁が配置・設計されることが好ましい。従って、流体を移動するためのエネルギーは最小限に抑えられ、また追加的に、気泡の溜まりが低減される。その上、より滑らかな流体経路は乱流を低減し、またマイクロポンプの壁での流体の衝突量を減らし、そのためユーザーが経験する機械的振動やノイズの量の低減に役立つ。流体経路の角度変化は急激でないことが好ましい。流体経路には、90度以下の角度がないことが好ましい。例えば、ポンプチャンバーおよびそのそれぞれの弁の設計は、流体が鈍角で弁を通過して流れることを確実にする。有利なことに、流体経路に沿った共通の入口から共通の出口への流体の流れの方向は、90度以上に変化しない。加えて、異なる流体面を接続するマイクロポンプの装置要素の穴は、穴の長さ以上の直径を有することが好ましい。
【0015】
有利なことに、二つのポンプチャンバーは、共通の入口および共通の出口に直接流体接続されている。従って、各ポンプチャンバーは、中間の流体チャネルなしに共通の入口および共通の出口に直接接続されている。従って、有利なことに、ポンプチャンバーおよび共通の入口または共通の出口の流体接続部は、ポンプチャンバーのそれぞれ少なくとも一つの入口弁または少なくとも一つの出口弁によってのみ分離されている。
【0016】
装置において、二つのポンプチャンバーだけでなく、二つのアクチュエータも、相互に反対に配置されうる。二つのアクチュエータおよび二つのポンプチャンバーは、相互に正反対に配置されることが好ましい。こうした配置は、マイクロポンプの製造を容易にし、また非常にコンパクトなマイクロポンプの製造を可能にする。
【0017】
二つのポンプチャンバーおよび二つのアクチュエータは、二つのポンプチャンバーのそれぞれにおいて同じ体積変更が、二つのアクチュエータの動作に伴い発生するように構成されうる。
【0018】
二つのポンプチャンバーのチャンバー容積は、同じサイズを有する必要はなく、異なってもよい。しかしながら、二つのポンプチャンバーの容積は同一であることが好ましい。
【0019】
好ましい実施形態において、マイクロポンプの一つのポンプチャンバーの製造に必要な構成要素、特に弁およびアクチュエータは、同じマイクロポンプの第二のポンプチャンバーの構成要素として、実質的に互換性があるか、または同一なものとして設計される。すなわち、各ポンプチャンバー内にあるすべてのアクチュエータ、弁および随意にその他の構成要素は同一なものとして設計されることが好ましい。これによって、組立中の混同のリスクが低減され、かつ製造コストが最小化されうる。
【0020】
マイクロポンプは、二つのポンプチャンバーに平行に、かつそれらの間に配置された平面から見て、対称なセットアップを含むことが好ましい。
【0021】
二つのポンプチャンバーを対称に、かつ特に同一にセットアップすることは、マイクロポンプの制御および動作の簡略化を可能にする。
【0022】
この対称なセットアップは、共通の入口および共通の出口を含みうる。従って、共通の入口の入口接続部はマイクロポンプの一方の側に配置されることができ、また共通の出口の出口接続部はマイクロポンプの反対側に配置されうる。しかしながら、共通の入口の入口接続部および共通の出口の出口接続部はまた、マイクロポンプの同じ側に配置されてもよい。これは、なおさらにコンパクトなマイクロポンプの製造を可能にする。
【0023】
流体と接触するすべての構成要素は、同じの材料から成ることが好ましい。ポンプチャンバー、弁および共通の入口および出口は、同じ材料から製造されることが好ましい。こうした材料は、ポンピングされる流体の物理的特性および化学的特性に適合されうる。例えば、流体と接触するすべての構成要素はポリフェニレンスルホン(PPSU)から成りうる。この材料は、好ましくは本発明による装置内のマイクロポンプを結合するために使用される結合および組立技術に関して利点をもたらす。しかしながら、例えばポリプロピレン(PP)またはポリイミド(PI)といったその他の適切な材料が使用されてもよい。例えば、医療分野において、装置を特定の要件に適合させるために、例えば生体適合性またはその他の特に不活性の材料によって、流体と接触する部品を被覆することが必要な場合がある。また、シリコン、金属、またはガラスなどのその他の材料が使用されてもよく、ここで低い伸展性しか有しない材料の場合、アクチュエータがなおもチャンバー容積の変更をもたらしうることを確実にしなければならない。
【0024】
相互に結合されなければならないマイクロポンプのすべての構成要素は、例えば適切な接着剤によって、または好ましくはレーザー溶接を使用して結合されうる。後者の技法は、特にプラスチックの結合に適切であり、また製造時間の短さ以外に、原材料の強度に近い密封された接続部を接着剤なしで生成する可能性を提供する。
【0025】
好ましい一つの実施形態において、マイクロポンプは以下の要素を備え、基本的に組立順序に対応した順序である。
-それぞれくぼみおよび入口の半分と出口の半分を含む二つの基盤要素、
-電極および電気端子を備える二つのアクチュエータであって、各アクチュエータがくぼみのうちの一つ内に配置されているもの、
-各ポンプチャンバーの一側面に形成される各アクチュエータを覆って配置される二つの保護層、
-くぼみに挿入可能であり、かつポンプチャンバーの入口弁および出口弁の移動可能な部品を運ぶ弁用箔、
-同じくくぼみに挿入可能であり、かつ入口弁および出口弁の不動部品を形成する開口部を有する二つの中間層。中間層は、それぞれの保護層およびくぼみ側壁とともに、ポンプチャンバーを形成する。
【0026】
アクチュエータおよび保護箔だけでなく、弁用箔および中間箔も、シールによって、例えば溶接シールまたは接着剤シールによって、所定位置に保持されうる。
【0027】
流れ分離要素が、入口と出口の間の位置、および二つの基盤要素間の位置に位置付けられると、二つの基盤要素がひとまとめにされて組み立てられてもよい。二つの基盤要素には流体密封のシーリング(好ましくはレーザー溶接)が施され、また二つの基盤要素のくぼみは、基盤要素の内部にある構成要素が環境の影響から保護されるような方法で閉じられることが好ましい。組み立てられると、入口および出口のそれぞれの二つの半分もまた、組み合わされて、共通の入口および共通の出口、ならびに対応する入口接続部および出口接続部を形成する。これらは、マイクロポンプを貯蔵部およびアトマイザーに接続すること、または貯蔵部およびアトマイザーのそれぞれに接続された対応するチューブに接続することを可能にする。
【0028】
エアロゾル発生装置は、マイクロポンプの共通の出口における流体の流れを制御するための流れセンサーをさらに備えうる。流れセンサーは制御電子回路に接続されている。これによって、流体の流れは制御されることができ、例えば必要に応じてマイクロポンプパラメータを変更させることによって、例えば一定に保たれうる。よって装置は、制御されたループシステムを備えうる。
【0029】
装置のアトマイザーは、エアロゾル形成基体を任意の適切な手段によって霧化または気化するように設計されうる。例えば、アトマイザーは、熱によって基体を気化してもよく、超音波またはその他の振動手段によって基体を霧化または霧状化してもよい。本発明による装置のアトマイザーは、音波霧化要素、超音波振動装置、気化器(ヒーターなど)、またはエアロゾル形成基体を霧化するのに適切なその他任意のアトマイザーのうちの任意の一つまたは組み合わせを備えうる。
【0030】
装置は、霧化される任意の流体を含みうる。流体は気体または液体またはその組み合わせとしうる。エアロゾル発生基体は液体であることが好ましい。しかしながら、液体がマイクロポンプによってアトマイザーに移動されうるように、エアロゾル発生基体はまた元々固体であり、これが例えば加熱によって液化されてもよい。
【0031】
エアロゾル形成基体は、例えば医薬、風味または刺激物質を含みうる。
【0032】
液体エアロゾル形成基体は、少なくとも一つのエアロゾル形成体および液体添加剤を含みうる。
【0033】
エアロゾル形成体は、例えばプロピレングリコールまたはグリセロールであってもよい。
【0034】
液体エアロゾル形成基体は水を含んでもよい。
【0035】
エアロゾル形成基体は、ベイピングシステムで使用されるeリキッドであることが好ましい。
【0036】
こうしたシステムにおいて、液体添加剤は、液体風味または液体刺激物質のうちのいずれか一つまたは任意の組み合わせであってもよい。液体風味は、例えばたばこ風味、たばこ抽出物、果実風味、またはコーヒー風味を含んでもよい。液体添加剤は、例えばスイート系の液体(例えば、バニラ、キャラメル、およびココアなど)、ハーブ液、スパイス系の液体、または刺激的な液体(例えば、カフェイン、タウリン、ニコチン、もしくは食品業界で使用される周知の他の刺激剤を含有する液体)であってもよい。
【0037】
装置は、ニコチン含有エアロゾル形成基体、およびたばこ風味含有エアロゾル形成基体のうちの一つまたはそれらの組み合わせを含むことが好ましい。
【0038】
本発明による装置は、粘性が1mPas~200mPas、好ましくは1mPas~150mPas、例えば80mPas~130mPasの粘性液体エアロゾル形成基体を含むことが好ましい。
【0039】
エアロゾル発生装置は、電子喫煙システムで使用される電子喫煙装置であることが好ましい。喫煙装置は手持ち式装置でもよい。喫煙システムは、たばこが燃焼されるのではなく加熱される喫煙システムでもよい。
【0040】
本発明による装置で使用されることが好ましいマイクロポンプの模範的な値は次の通りである。
-チャンバー容積1ml~2ml、
-流量1μL/Sおよび7μL/S、
-ポンピング圧力500mBar~700mBar、
-マイクロポンプのサイズ(コネクターなし)約14×14×6.5mm3
【0041】
マイクロポンプの模範的な動作パラメータは次の通りである。
-振動数0~300Hz
-電圧、最大320Vpp
-正弦、長方形のまたは中間的な形状のアクチュエータ電圧曲線。アクチュエータの上昇する位相と下降する位相は、同一ではないことが好ましい。アクチュエータ電圧曲線は、流体の所定の流量および粘性で、ノイズおよび泡の発生を考慮して、マイクロポンプを最適化するために適合されることが好ましい。
【0042】
本発明を実施形態に関してさらに説明し、それらの実施形態を下記の図面によって例示する。
【図面の簡単な説明】
【0043】
図1図1は、二つの直列に配置されたアクチュエータを有するマイクロポンプのセットアップの分解図であり、マイクロポンプの模範的な部品が示されている。
図2図2は、並列のアクチュエータを備えるマイクロポンプを示す。
【発明を実施するための形態】
【0044】
図1は、米国特許出願第US 2011/0005606号に記載のBartels mp6マイクロポンプの分解図を示す。マイクロポンプ1’は、層状の組立品から成り、これは二つの直列に配置されたポンプチャンバー2を備える。図1において、組立品1’は詳細には、基盤要素7、弁用箔8、中間層9、保護層10、二つのアクチュエータ6およびリッド要素11といった構成要素から成る。
【0045】
特に好ましい基盤要素7はプラスチックで作製されている。基盤要素は、後続のすべての構成要素が挿入されるか、または置かれるくぼみ7’を含む。基盤要素はまた、流体の送達用に提供され、かつ本明細書で図示されている通り、例えばホース様のコネクターとして設計された、入口4および出口5を含む。それぞれの用途に適合されるその他のコネクタータイプも同様に可能である。基盤要素7はまた、弁3用に必要な流体チャネルの部品を備え、これは射出成形によって製造され、そのため基盤要素自体と同じプロセスで製造されることが好ましい。さらに、基盤要素7は突き出した部品7’’を有し、これは取付補助具7’’’のくぼみと連動する方法で配置された幾何学的特徴の形態の取付補助具と同じである。従って、例えば弁用箔8などの後続の構成要素の組立は、一定の方向でのみ起こることができ、不正確な取り付けが大幅に排除される。
【0046】
弁用箔8は弁3の移動可能な部品を有する。弁用箔8は基盤要素7内に挿入されている。図示した実施形態において、弁用箔8は、各ポンプチャンバーの入口弁3’の移動可能な部品と、それぞれの出口弁3’’の移動可能な部品とを備える。さらに、弁用箔はまた、弁用箔を無傷で挿入するのに役立つ取付補助具7’’’のくぼみを備える。
【0047】
中間層9はプラスチックで作製されることが好ましい。これは、基盤要素7のくぼみ7’に挿入できるように設計される。中間層内のくぼみによってそれぞれ形成される各ポンプチャンバー2の中央において、それぞれの一つの開口部9’は、流体がそれぞれのポンプチャンバーに流れ込むか、またはそこから流れ出すことができるように位置している。
【0048】
保護層10は、中間層に適用され、そのため上部のポンプチャンバーと流体的に接する。従って、保護層は、流体が周辺にもポンプチャンバー間の領域にも流出したり、溢れ出したりしないように、中間層9としっかりと接続されている必要がある。それ故に、貫通レーザー溶接が使用されていることが好ましい。代替的な製造技術には、それぞれの構成要素の接着、超音波溶接、または機械的クランプ留めがある。
【0049】
二つのアクチュエータ6は、図示した実施形態において、ディスク形状の圧電アクチュエータとして提供されている。それぞれのアクチュエータは、下に配置されたポンプチャンバー2に幾何学的に適合されており、また電気的な接触のための一致した電極6’を有する。これらに接続されているのは、組立品1’のハウジングから導出でき、各アクチュエータ6を接続するために十分な数の個別のワイヤーを提供する電気端子6’’である。
【0050】
リッド要素11は、装置のハウジングのシールとしての役目をし、このハウジングは実質的に基盤要素7から成る。リッド要素はまた、プラスチックから製造され、かつ貫通レーザー溶接によって基盤要素7と接続できるように設計されることが好ましい。
【0051】
図2は、並列に配置された二つのアクチュエータ6を備えるマイクロポンプ1を示す。マイクロポンプもまた、層状の組立品であり、ここで一つのポンプチャンバーの基本要素は、図1に関連して説明した個別のポンプチャンバーおよびアクチュエータと類似したものでもよい。
【0052】
図2において、二つの基盤要素7はそれぞれ、一つのポンプチャンバーを形成するすべての構成要素が挿入されるか中に置かれるくぼみを備える。二つの基盤要素7はまた、入口40の半分および出口50の半分を含むことが好ましく、これらは二つの基盤要素7が組み立てられると、図2に示す通り共通の入口4および共通の出口5を形成する。入口4および出口5は、流体をマイクロポンプに送達、およびマイクロポンプ1から送達するために、チューブ44、55(例えば、プラスチックホース)に接続されうる。
【0053】
二つのアクチュエータ6は、図示した実施形態において、ディスク形状の圧電アクチュエータとして提供されている。それぞれ一つのアクチュエータは、それぞれの基盤要素7のくぼみに挿入されている。圧電アクチュエータは、例えば黄銅膜に取り付けられた圧電セラミックでもよく、この場合、圧電セラミックは電圧が印加された時に膜を変形させる。
【0054】
それぞれのアクチュエータ6は、そのくぼみのサイズに幾何学的に適合され、これは基本的に、下に配置されるポンプチャンバー2の横方向の延長部を画定する。それぞれのアクチュエータ6は電極に接続されており、アクチュエータと電気的に接触するための配線60を備える。ワイヤー60はマイクロポンプ1のハウジングから導出される。
【0055】
保護層10(例えば、Kaptonテープ)は、くぼみ内に提供されており、ポンプチャンバー2の一側面を形成する。保護層10は圧電アクチュエータの動きをポンプチャンバー2に伝達する。保護層10はシール95(例えば、溶接シール、クランプ留めまたは接着剤シール)によって所定位置に保持され、またポンプチャンバー2を密封する。
【0056】
プラスチックで作製されることが好ましい中間層90は、基盤要素7のそれぞれのくぼみにそれぞれ挿入されている。中間層90は弁用箔を有し、別のシール95(例えば、溶接シールなど)によって所定位置に保持され、またポンプチャンバー2を密封する。中間層90と保護層10の間の隙間およびくぼみの壁は、ポンプチャンバー2のサイズを画定する。
【0057】
入口開口部91は中間層90において入口4の方向に中心を外れて位置しており、流体はこれを通って共通の入口4からそれぞれのポンプチャンバー2へと流れることができる。出口開口部92は中間層90において出口5の方向へと中心を外れて位置しており、流体はこれを通ってそれぞれのポンプチャンバー2から共通の出口5へと流れることができる。中間層90の中心部には、流れ分離要素98が配置されている。
【0058】
一つの流れ分離要素98が両方のポンプチャンバーに使用され、また二つのポンプチャンバーの間に配置されて、流れ方向から見て共通の入口4を共通の出口5から分離している。共通の入口4から共通の出口5に向かう流体100の流れは、図2で矢印で示す通り、流体経路を画定する。流体経路は、90度以下の角度を含まないように、すなわち流れ経路が鈍角のみを含むように示されており、その理由は流れ分離要素98が、共通の入口4から入口弁30を通って、および出口弁31から共通の出口5に入る滑らかな流体の流れを補助する形状および構造を有するためである。
【0059】
第一の弁用箔80は、各ポンプチャンバーの入口弁または弁30の移動可能な部品を備える。第二の弁用箔81は、それぞれの出口弁31の移動可能な部品を備える。第一の弁用箔80は、中間層90に取り付けられうる。第二の弁用箔81は、流れ分離要素98に取り付けられうる。
【0060】
圧電アクチュエータ6を並行かつ同時に作動させることによって、その変形は保護箔10を後ろに下げる。発生された圧力下のため入口弁30が開き、共通の入口4からそれぞれのポンプチャンバー2内に入る流体の流れ100ができる。反対方向への圧電アクチュエータの作動は、保護層10の可撓性のためポンプチャンバー2を圧縮し、流体をポンプチャンバー2から押して、押されて開いた出口弁31を通して、ポンプチャンバー2から出し、共通の出口5へと押し出す。弁の配置のため、入口弁30は出口弁31が開いた時に自動的に閉じ、またその逆も起こる。
【0061】
ポンプチャンバー2は、同じチャンバー容積および同じ幾何学形状を有することが好ましい。図1のマイクロポンプ1は、二つのアクチュエータ6の間に配置、およびそれらと平行に配置され、かつ共通の入口および共通の出口を通って延びる仮想の中央の平面に対して対称である。こうした構造は、少数の部品のみで、好ましくは一つの基盤要素およびポンプチャンバーを備える二つの同一の個別のマイクロポンプの半分によって、マイクロポンプを製造することを可能にする。
図1
図2