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▶ レセプトス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニーの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】狼瘡を処置するための化合物および方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/4245 20060101AFI20220613BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A61K31/4245
A61P37/06
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019517027
(86)(22)【出願日】2017-09-28
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2019-10-17
(86)【国際出願番号】 US2017054053
(87)【国際公開番号】W WO2018064356
(87)【国際公開日】2018-04-05
【審査請求日】2020-07-28
(31)【優先権主張番号】62/401,762
(32)【優先日】2016-09-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】521440389
【氏名又は名称】レセプトス・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Receptos LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【弁理士】
【氏名又は名称】品川 永敏
(72)【発明者】
【氏名】スコット, フィオナ ロレイン
(72)【発明者】
【氏名】メドース, クリステン アール. テイラー
(72)【発明者】
【氏名】ピーチ, ロバート
【審査官】高橋 樹理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/066515(WO,A3)
【文献】British Journal of Pharmacology,2016年06月,Vol.173,p.1778-1792
【文献】F1000Prime Reports,2014年,Vol.6:109,p.1-7
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の構造:
【化1】
を有する化合物、またはその薬学的に許容され得る塩、ホモログ、水和物もしくは溶媒和物を含む、全身性エリテマトーデスを治療するための医薬組成物。
【請求項2】
前記化合物が、ラセミ混合物の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記化合物が、単離された光学異性体の形態である、請求項1に記載の医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
技術分野
全身性エリテマトーデスの処置のためのスフィンゴシン-1-リン酸受容体サブタイプ1(S1P1)のモジュレーター、ならびにそれに関連する組成物および方法が提供される。
【背景技術】
【0002】
関連技術の説明
全身性エリテマトーデス(以下、「SLE」または「狼瘡」)は、健常「自己」組織が抗原性であると誤認される慢性自己免疫疾患である。SLEは、最も重度には、「フレア」として公知の顕著な炎症の周期的発作(これは、関節痛、関節腫脹、胸痛、発熱、口内炎、リンパ節腫大、疲労、および/または顔に最も多く出現する緋色皮膚発疹として現れ得る)で現れる。SLEの病因の指標としては、腎臓、皮膚、脳、心臓および肺における免疫複合体の沈着が挙げられ、それらの組織において炎症を引き起こす。腎臓が最も頻繁に罹患し、ヒトSLE患者は、典型的には、糸球体腎炎を発症する。SLEの他の徴候としては、抗二本鎖DNA IgG自己抗体の存在(SLEにおけるこれらの自己抗体の病因的役割は、あったとしても、依然として調査対象である(Isenbergら、Rheumatology 46:1052-1056,2007)を参照のこと)、ならびにSLE患者の特定のサブ集団では、インターフェロン-アルファ(IFNα)シグネチャーおよびインターフェロン応答遺伝子発現の増加(例えば、Yungら、J. Am. Soc. Nehprol. 11:1912-27,2010;Niewoldら、J. Biomed Biotechnol. Epub 2010:948364を参照のこと)が挙げられる。
【0003】
関連症候の多くはまた、関節リウマチなどの他の疾患の指標であるので、SLEは、診断の成功を免れることが多い。また、患者サブ集団は、IFNαなどのマーカーの発現の変動を示し、このようなマーカーの活性および発現は、1人の患者内の静止期と「再燃」期との間でさらに変動し得る。様々なリスク因子が同定されているが、SLE罹患者の全体像はさらに複雑であり、疾患の根本原因は依然として不明である。現在のところ、治療法は存在せず、SLEの管理は、様々な医療および個人医療専門家による支援を必要とすることが多い複雑な長期的努力である。
【0004】
現在の処置としては、NSAID、免疫抑制物質、メトトレキサート、アザチオプリン、シクロホスファミド、ヒドロキシクロロキニンおよびコルチコステロイドが挙げられる。しかしながら、現在のSLE治療は、これらの薬物の1つまたはそれよりも多くの長期使用を伴うことが多く、有効性の程度が様々であり得、重度の副作用を伴い得る。したがって、当技術分野では、SLEのための新たな処置モダリティの重大な必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【文献】Isenbergら、Rheumatology 46:1052-1056,2007
【文献】Yungら、J. Am. Soc. Nehprol. 11:1912-27,2010
【文献】Niewoldら、J. Biomed Biotechnol. Epub 2010:948364
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
簡単な概要
本開示は、S1P1モジュレーターを使用して全身性エリテマトーデス(以下、「SLE」または「狼瘡」とも称する)を処置する方法、ならびにその発現がSLEに関連する遺伝子の発現レベルを減少させる方法、ならびにSLEの診断および/または処置のための関連キットを対象とする。
【0007】
一態様では、SLEの処置を必要とする被験体におけるSLEを処置するための方法であって、式I-RまたはI-Sの構造:
【化1】
(式中、
Xは、-NR’R’’または-OR’’’であり、Yは、-CN、-Clまたは-CFであり;
R’は、H、C1-4アルキル、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-SO-Rまたは-CO-Rであり;
R’’は、H、-SO-R、1個もしくはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキル、またはRで場合により置換されている環部分であり、ここで、このような環部分は、ピペリジニル、シクロヘキシル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリルまたはフェニルであり;
R’’’は、H、C1-4アルキルまたは-CO-Rであり;
またはR’およびR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個または1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5または6員飽和複素環式環を形成し、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、オキソ、-NH、n-ヒドロキシ-C1-4アルキル、-COOH、-(CH)m-COOH、-(CH)m-COOR、-N(R)および-(CH)m-CO-N(R)から独立して選択される置換基で場合により一置換または複数置換されており;
は出現ごとに、C1-4アルキルまたはHであり;
は出現ごとに、H、ハロ、OH、オキソ、=NH、NH、-COOH、F、-NHR、-N(R)、-SO-R、-SO-N(R)、-N(R)-SO-R、COOR、-OCO-R、-CO-N(R)、-N(R)-COR、C1-3アルキル、C1-3アルコキシおよびRで場合により置換されている環部分であり、ここで、このような環部分は、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アゼチジニル、シクロブチニルまたはフェニルであり;
は出現ごとに、R、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、または1個もしくはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキルであり;
は出現ごとに、ハロ、OH、-NH、-NHR、-N(R)、COOH、-COOR、-NHCO-Rであり;
は出現ごとに、C1-4アルキルもしくはHであるか、またはあるいは2個のRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個もしくは1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5もしくは6員飽和複素環式環を形成し得、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、NH、-N(R)、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-(CH)m-COOH、-(CH)m-COORで場合により置換されており;ならびに
mは出現ごとに、0、1、2または3である)を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、ホモログ、水和物もしくは溶媒和物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法が提供される。
【0008】
別の態様では、全身性エリテマトーデスを有するかまたは有すると疑われる被験体におけるSLEに関連する遺伝子(例えば、免疫反応遺伝子、線維症関連遺伝子またはSLEに関連する別の遺伝子)の発現レベルをモジュレートする(例えば、増加または減少させる)ための方法であって、式I-RまたはI-S:
【化2】
(式中、
Xは、-NR’R’’または-OR’’’であり、Yは、-CN、-Clまたは-CFであり;
R’は、H、C1-4アルキル、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-SO-Rまたは-CO-Rであり;
R’’は、H、-SO-R、1個もしくはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキル、またはRで場合により置換されている環部分であり、ここで、このような環部分は、ピペリジニル、シクロヘキシル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリルまたはフェニルであり;
R’’’は、H、C1-4アルキルまたは-CO-Rであり;
またはR’およびR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個または1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5または6員飽和複素環式環を形成し、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、オキソ、-NH、n-ヒドロキシ-C1-4アルキル、-COOH、-(CH)m-COOH、-(CH)m-COOR、-N(R)、および-(CH)m-CO-N(R)から独立して選択される置換基で場合により一置換または複数置換されており;
は出現ごとに、C1-4アルキルまたはHであり;
は出現ごとに、H、ハロ、OH、オキソ、=NH、NH、-COOH、F、-NHR、-N(R)、-SO-R、-SO-N(R)、-N(R)-SO-R、COOR、-OCO-R、-CO-N(R)、-N(R)-COR、C1-3アルキル、C1-3アルコキシおよびRで場合により置換されている環部分であり、ここで、このような環部分は、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アゼチジニル、シクロブチニルまたはフェニルであり;
は出現ごとに、R、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、または1個もしくはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキルであり;
は出現ごとに、ハロ、OH、-NH、-NHR、-N(R)、COOH、-COOR、-NHCO-Rであり;
は出現ごとに、C1-4アルキルもしくはHであるか、またはあるいは2個のRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個もしくは1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5もしくは6員飽和複素環式環を形成し得、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、NH、-N(R)、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-(CH)m-COOH、-(CH)m-COORで場合により置換されており;ならびに
mは出現ごとに、0、1、2または3である)を有する化合物またはその薬学的に許容され得る塩、ホモログ、水和物もしくは溶媒和物の有効量を前記被験体に投与することを含む方法が提供される。
【0009】
様々な実施形態では、遺伝子は、IL-10、IL-1β、CCL5、TNFSF13b/BAFF、CXCL9、CXCL10、TGFβ2、LCN2/Lipocalin2、TAGLN/Transgelin、Timp1、LOXL1またはCD88a/Girdinである。
【0010】
様々な実施形態では、開示される方法において使用される化合物は、式II-RもしくはII-Sの構造:
【化3】
【化4】
(式中、
R’は、H、C1-4アルキル、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-SO-Rまたは-CO-Rであり;
R’’は、H、-(CR-Rまたは-SO-Rであり;
またはR’およびR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個または1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5または6員飽和複素環式環を形成し、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、-NH、n-ヒドロキシ-C1-4アルキル、-COOH、-(CH-COOH、-(CH-COOR、-N(R)、-CO-N((R)で場合により一置換または複数置換されており;
およびRはそれぞれ出現ごとに、H、ヒドロキシルまたはメチルであり;
または同じ炭素に結合しているRおよびRは、オキソであり;
は出現ごとに、C1-3アルキルまたはHであり;
は出現ごとに、H、OH、オキソ、NH、-COOH、F、-NHR、-N(R)、-SO-R、-SO-N(R)、-COOR、-OCO-R、-CO-N(R)、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリル、またはRで場合により置換されているフェニルであり;
は出現ごとに、-(CR-RまたはC1-4アルキルであり;
は出現ごとに、ハロ、OH、-NH、-NHR、-N(R)、-COOH、-COORまたは-NHCO-Rであり;
nは出現ごとに、1、2または3であり;
mは出現ごとに、0、1、2または3であり;ならびに
pは出現ごとに、0、1、2または3である)またはその薬学的に許容され得る塩、ホモログ、水和物もしくは溶媒和物を有する。
【0011】
より具体的な実施形態では、開示される方法において使用するための化合物は、以下の表1に記載されている化合物のうちの1つまたは複数である。
【0012】
様々な実施形態では、薬学的に許容され得る塩は塩酸塩であり、マレイン酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、フマル酸塩またはメタンスルホン酸塩である。
【0013】
様々な実施形態では、化合物は、ラセミ混合物の形態である。
【0014】
様々な実施形態では、化合物は、単離された光学異性体の形態である。
【0015】
様々な実施形態では、単離された光学異性体は、その対応する光学異性体と比べて少なくとも約90重量%純粋である。
【0016】
様々な実施形態では、単離された光学異性体は、その対応する光学異性体と比べて少なくとも約99重量%純粋である。
【0017】
別の態様では、本開示は、被験体における全身性エリテマトーデスの処置において使用するためのキットであって、前記被験体への投与のために本明細書に記載される1つまたはそれよりも多くの化合物の有効量と、場合により、前記全身性エリテマトーデスを処置するために前記化合物を前記被験体に投与するための説明書とを含むキットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1Aは、このSLEマウスモデルにおける本開示のS1P1モジュレーター(「化合物148」と称される)の効果を調査する22週間の研究の間のNZBWF1マウスにおける平均タンパク尿スコアを示す。20週目に毎週測定を開始し、ビヒクル対照PO QD(黒色の丸);50mg/kgシクロホスファミドIP 1×/週(白色の四角形));0.3mg/kg化合物148 PO QD(白色の「正」三角形);1.0mg/kg化合物148 PO QD(白色の「逆」三角形);または3.0mg/kg化合物148 PO QD(白色の菱形)をマウスに投与した。図1Bは、図1Aに示されている平均スコアからの曲線下面積(AUC)スコアを示す。
【0019】
図2図2A~2Cは、フローサイトメトリーによって決定した、血清リンパ球数に対する化合物148の効果を示す。図2A:CD4T細胞。図2B:CD8T細胞。図2C:CD19B細胞。
【0020】
図3図3は、終了時に測定した血清血中尿素窒素(BUN)レベルを示す。
【0021】
図4図4Aおよび4Bは、終了時に処置マウスから採取した平均腎臓重量(左腎、4A;右腎、4B)を示す。
【0022】
図5図5は、ナイーブNZBWF1マウスおよびビヒクル、シクロホスファミド、0.3、1.0または3.0mg/kg化合物148で処置したNZBWF1マウスの腎臓からの三次リンパ組織(TLT)スコア化を示す。
【0023】
図6図6は、処置およびナイーブNZBWF1マウスにおける糸球体、尿細管および間質病変の複合組織学的スコア化を示す。H&E(試験マウスにおける尿細管および間質病変のスコア化のためにヘマトキシリンおよびエオシン)またはPAS(試験およびナイーブマウスにおける糸球体病変のスコア化のために過ヨウ素酸シッフ)で腎臓切片を染色した。ビヒクル、シクロホスファミド、0.3、1.0または3.0mg/kg化合物148で試験マウスを処置した。スコア化基準は、本明細書に記載されている。
【0024】
図7図7は、研究の間にわたってビヒクル、シクロホスファミド、0.3mg/kg化合物148、1.0mg/kg化合物148または3.0mg/kg化合物148で処置したNZBWF1マウスにおける抗dsDNA抗体力価を示す。22、29、36および42週時に採取したマウス血清中の光学密度を測定することによって、力価を決定した。
【0025】
図8図8Aは、ビヒクル、シクロホスファミド、0.3mg/kg化合物148、1.0mg/kg化合物148または3.0mg/kg化合物148で処置したNZBWF1マウスから採取した終了時の脾臓重量を示す。図8Bは、RBC溶解後の脾細胞数を示す。
【0026】
図9図9は、ビヒクル、シクロホスファミド、0.3mg/kg化合物148、1.0mg/kg化合物148または3.0mg/kg化合物148で処置したNZBWF1マウスの脾臓由来の形質細胞様樹状細胞(pDC)数を示す。
【0027】
図10図10A~16Bは、炎症および/もしくは免疫反応(10A~12B)または線維症(13A~16B)に関連するいくつかの遺伝子に関する、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA発現データを示す。
図11図10A~16Bは、炎症および/もしくは免疫反応(10A~12B)または線維症(13A~16B)に関連するいくつかの遺伝子に関する、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA発現データを示す。
図12図10A~16Bは、炎症および/もしくは免疫反応(10A~12B)または線維症(13A~16B)に関連するいくつかの遺伝子に関する、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA発現データを示す。
図13図10A~16Bは、炎症および/もしくは免疫反応(10A~12B)または線維症(13A~16B)に関連するいくつかの遺伝子に関する、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA発現データを示す。
図14図10A~16Bは、炎症および/もしくは免疫反応(10A~12B)または線維症(13A~16B)に関連するいくつかの遺伝子に関する、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA発現データを示す。
図15図10A~16Bは、炎症および/もしくは免疫反応(10A~12B)または線維症(13A~16B)に関連するいくつかの遺伝子に関する、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA発現データを示す。
図16図10A~16Bは、炎症および/もしくは免疫反応(10A~12B)または線維症(13A~16B)に関連するいくつかの遺伝子に関する、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA発現データを示す。
【0028】
図17図17は、処置マウスにおいて測定した血清IFNαレベルを示す。23、29、36および42週目に、レベルを測定した。
【0029】
図18図18Aは、IFNAR1を発現するpDC脾細胞の割合を示す。図18Bは、pDCにおけるIFNAR1発現の平均MFI(平均蛍光強度)を示す。
【0030】
図19図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図20図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図21図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図22図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図23図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図24図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図25図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図26図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図27図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図28図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図29図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図30図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図31図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
図32図19A~32は、ナイーブおよび処置マウスからのmRNA遺伝子発現データを示す。IFNαに対して応答性であることが公知のいくつかの遺伝子のmRNA発現を決定した。
【0031】
図33図33は、研究の間にわたって取った、様々な処置群からの平均体重を示す。
【0032】
図34図34A図38B図8Bに関し、処置マウスにおけるいくつかの脾細胞の絶対細胞数を示す:CD19+B細胞(図34A);辺縁帯B細胞(図34B);胚中心B細胞(図35A);濾胞性B細胞(図35B);形質細胞(図36);CD4+T細胞(図37A);CD8+T細胞(図37B);活性化CD4+T細胞(図38A);ナイーブCD4+T細胞(図38B)。
図35図34A図38B図8Bに関し、処置マウスにおけるいくつかの脾細胞の絶対細胞数を示す:CD19+B細胞(図34A);辺縁帯B細胞(図34B);胚中心B細胞(図35A);濾胞性B細胞(図35B);形質細胞(図36);CD4+T細胞(図37A);CD8+T細胞(図37B);活性化CD4+T細胞(図38A);ナイーブCD4+T細胞(図38B)。
図36図34A図38B図8Bに関し、処置マウスにおけるいくつかの脾細胞の絶対細胞数を示す:CD19+B細胞(図34A);辺縁帯B細胞(図34B);胚中心B細胞(図35A);濾胞性B細胞(図35B);形質細胞(図36);CD4+T細胞(図37A);CD8+T細胞(図37B);活性化CD4+T細胞(図38A);ナイーブCD4+T細胞(図38B)。
図37図34A図38B図8Bに関し、処置マウスにおけるいくつかの脾細胞の絶対細胞数を示す:CD19+B細胞(図34A);辺縁帯B細胞(図34B);胚中心B細胞(図35A);濾胞性B細胞(図35B);形質細胞(図36);CD4+T細胞(図37A);CD8+T細胞(図37B);活性化CD4+T細胞(図38A);ナイーブCD4+T細胞(図38B)。
図38図34A図38B図8Bに関し、処置マウスにおけるいくつかの脾細胞の絶対細胞数を示す:CD19+B細胞(図34A);辺縁帯B細胞(図34B);胚中心B細胞(図35A);濾胞性B細胞(図35B);形質細胞(図36);CD4+T細胞(図37A);CD8+T細胞(図37B);活性化CD4+T細胞(図38A);ナイーブCD4+T細胞(図38B)。
【0033】
図39図39は、研究の間にわたって取った、様々な処置群からの平均体重を示す。
【0034】
図40図40A~Cは、研究の間にわたって取った、様々な処置群からのマウスの生存率を示す。
【0035】
図41図41Aは、研究の間にわたる平均タンパク尿スコアを示し、図41Bは、試験化合物を受けたマウスが用量依存的により低いタンパク尿スコアを示したことを示す。
【0036】
図42図42は、ビヒクル処置マウスにおける血清血中尿素窒素(BUN)レベルの増加を示し、試験化合物によるマウス処置では、血清BUNの減少が有意である。
【0037】
図43図43は、研究終了時(42週時)時における様々な処置群の左腎重量を示す。
【0038】
図44図44Aは、様々な処置群の糸球体病変の重症度の変化を示し、図44Bは、その尿細管および間質病変の減少を示す。
【0039】
図45図45は、研究終了時(42週時)時における様々な処置群の脾臓重量を示す。
【0040】
図46図46は、研究の異なる時点(すなわち、22、30、36および42週時)における様々な処置群の血清抗dsDNA抗体力価の濃度を示す。
【0041】
図47図47Aは、活性化CD4+T細胞におけるS1P1R発現を示し、図47Bは、様々な処置群のナイーブCD4+T細胞におけるS1P1R発現を示す。
【発明を実施するための形態】
【0042】
開示の詳細な説明
本開示は、スフィンゴシン-1-リン酸(S1P)受容体サブタイプ1(S1P1)のモジュレーターとして作用するように適合された特定の複素環式化合物がSLEの処置において有効であるという認識を端緒とする。その構造を以下に示されているスフィンゴシン-1-リン酸(S1P)は、細胞内シグナル伝達を含む広範囲の生物学的活性を有するリン脂質である。
【化5】
【0043】
例えば、S1Pは、表皮細胞などの細胞増殖をモジュレートする。S1Pの生物活性は、複数の受容体サブタイプによって媒介される。受容体サブタイプ1および3(それぞれS1P1およびS1P3)は両方とも内皮細胞において発現され、肺およびリンパ内皮機能において役割を果たす。S1P1受容体のアゴニスト刺激は、受容体分解によってモジュレートされる。リガンド刺激は、受容体リン酸化、内在化、ポリユビキチン化および分解を誘導する。オキサジアゾールおよびオキサゾールは、スフィンゴシン-1-リン酸受容体リガンドとしての使用について記載されている(例えば、国際公開第2006/131336号、国際公開第2008/037476号および国際公開第2008/074821号を参照のこと)。S1P1活性をモジュレートするために有効な他の化合物は、米国特許第8,481,573号、米国特許第8,796,318号および米国特許第8,362,048号に開示されている。
【0044】
本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、特に文脈上明確な指示がない限り、複数の指示対象を含む。
【0045】
本明細書で使用される場合、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」、「から構成される」という用語は非限定的な用語であり、さらなる要素または構成要素の存在を排除しない。請求項の要素では、「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」または「から構成される」という形態の使用は、含む(comprised)、有する、含む(included)または構成される要素が何であれ、その文言を含有する項の主題によって包含される唯一の要素では必ずしもないことを意味する。
【0046】
本明細書で使用される場合、「被験体」(処置の被験体など)は、哺乳動物および非哺乳動物の両方を意味する。哺乳動物の例としては、ヒト;非ヒト霊長類、例えば類人猿およびサル;ウシ;ウマ;ヒツジ;およびヤギが挙げられる。非哺乳動物の例としては、魚類および鳥類が挙げられる。「被験体」および「患者」は、本明細書では互換的に使用される。
【0047】
本明細書で使用される場合、「S1P1」という用語は、スフィンゴシン-1-リン酸受容体のサブタイプ1を指し、他のスフィンゴシン-1-リン酸受容体サブタイプは、対応する方法で称され、例えば、スフィンゴシン-1-リン酸受容体サブタイプ3は、「S1P3」と称される。
【0048】
当技術分野で周知の「受容体」は、生物中のリガンドまたは単一ネイティブリガンドの構造クラスに特異的に結合するタンパク質を通常含む生体分子実体であり、この結合により、受容体は、結合シグナルを別の種類の生物学的作用に変換する(例えば、結合事象の発生を細胞にシグナル伝達し、これにより、細胞は、いくつかの方法でその機能を変化させる)。変換の例は、生細胞の細胞質中の「Gタンパク質」の活性の変化を引き起こすリガンドの受容体結合である。天然に存在するまたは天然に存在しない任意の分子であって、受容体に結合し、シグナル変換のためにそれを活性化する分子は、「アゴニスト」または「アクチベーター」と称される。天然に存在するまたは天然に存在しない任意の分子であって、受容体に結合するが、シグナル変換の発生を引き起こさず、アゴニストの結合およびその結果として起こるシグナル変換を遮断し得る分子は、「アンタゴニスト」と称される。
【0049】
「S1P1化合物」または「S1P1アゴニスト」または「S1P1アクチベーター」または「S1P1阻害剤」または「S1P1アンタゴニスト」は、これらの用語が本明細書で使用される場合、いくつかの方法でS1P受容体サブタイプ1と相互作用する化合物を指す。それらは、アゴニストもしくはアクチベーターであり得るか、またはそれらは、アンタゴニストもしくは阻害剤であり得る。本開示の「S1P1化合物」は、S1P受容体ファミリーのサブタイプ1に対する作用に選択的であり得る;例えば、本開示の化合物は、S1P受容体ファミリーの他のサブタイプよりも低濃度で、S1P受容体ファミリーのサブタイプ1に作用し得る;より具体的には、本開示の「S1P1化合物」は、サブタイプ3または「S1P3」受容体に対するその作用と比較して、サブタイプ1受容体に選択的に作用し得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、特に指示がない限り、示されている範囲、値または構造の±20%を意味する。
【0051】
「実質的に」は、この用語が本明細書で使用される場合、完全にまたはほぼ完全にを意味する;例えば、成分を「実質的に含まない」組成物は、前記成分を全く有しないか、もしくは微量の存在によって前記組成物のいかなる関連機能特性も影響を受けないような微量を含有するか、または「実質的に純粋な」化合物は、存在する不純物が無視可能なほどに微量であるに過ぎないことである。
【0052】
実質的にエナンチオマー的に純粋は、他方のエナンチオマーに対する一方のエナンチオマーのエナンチオ濃縮レベルが少なくとも90%、95%、98%、99%、99.5%または99.9%であることを意味する。
【0053】
「処置する」または「処置」は、本明細書の意味では、障害もしくは疾患に関連する症候の緩和、またはこれらの症候のさらなる進行もしくは悪化の阻害、または疾患もしくは障害の予防もしくは予防法を指す。
【0054】
「有効量」という表現は、サブタイプ1のスフィンゴシン-1-リン酸受容体により媒介される障害または体調不調を患っている被験体への治療の提供において本開示の化合物の使用を説明するために使用される場合、アゴニストまたはアンタゴニストとして、個体の組織中のS1P1受容体に結合するために有効な本開示の化合物の量を指し、S1P1は障害に関与し、このような結合は、有益な治療効果を被験体にもたらすために十分な程度で起こる。同様に、本明細書で使用される場合、本開示の化合物の「有効量」または「治療有効量」は、障害もしくは症状に関連する症候を全体的もしくは部分的に緩和し、またはこれらの症候のさらなる進行もしくは悪化を停止もしくは遅延し、または障害もしくは症状を予防しもしくはその予防法を提供する化合物の量を指す。特に、「治療有効量」は、必要な投与量および期間において、スフィンゴシン-1-リン酸受容体サブタイプ1(S1P1)活性のアゴニストとして作用することによって、所望の治療結果を達成するために有効な量を指す。治療有効量はまた、本開示の化合物の任意の毒性または有害効果を治療的に有益な効果が上回るものでもある。例えば、S1P1の活性化により媒介される体調不調の処置との関連において、本開示のS1P1モジュレーターの治療有効量は、体調不調を制御し、体調不調の進行を和らげ、または体調不調の症候を軽減するために十分な量である。そのように処置され得る体調不調の例としては、例えば、SLEが挙げられる。
【0055】
特定の立体化学または異性体形態が具体的に示されていない限り、構造のすべてのキラル、ジアステレオマー、ラセミ形態が意図される。本開示において使用される化合物は、任意の濃縮度で、説明から明白な任意のまたはすべての不斉原子において、濃縮または分割された光学異性体を含み得る。ラセミおよびジアステレオマー混合物の両方ならびに個々の光学異性体は、それらのエナンチオマーまたはジアステレオマーパートナーを実質的に含まないように合成され得、これらはすべて、本開示の特定の実施形態の範囲内である。
【0056】
「単離された光学異性体」は、同じ式の対応する光学異性体から実質的に精製された化合物を意味する。好ましくは、単離された異性体は、少なくとも約80重量%、より好ましくは少なくとも90重量%純粋、特により好ましくは少なくとも98重量%純粋、最も好ましくは少なくとも約99重量%純粋である。
【0057】
一般に、「置換されている」は、その中に含まれる水素原子に対する1つまたはそれよりも多くの結合が、非水素原子、例えば限定されないが、ハロゲン(すなわち、F、Cl、Br、およびI);ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アラルキルオキシ基、オキソ(カルボニル)基、カルボン酸、カルボン酸塩およびカルボン酸エステルを含むカルボキシル基などの基における酸素原子;チオール基、アルキルおよびアリール硫化物基、スルホキシド基、スルホン基、スルホニル基、およびスルホンアミド基などの基における硫黄原子;アミン、ヒドロキシアミン、ニトリル、ニトロ基、N-オキシド、ヒドラジド、アジド、およびエナミンなどの基における窒素原子;様々な他の基における他のヘテロ原子に対する1つまたはそれよりも多くの結合で置き換えられている本明細書で定義される有機基を指す。置換炭素(または他の)原子に結合され得る置換基の非限定的な例としては、F、Cl、Br、I、OR’、OC(O)N(R’)、CN、CF、OCF、R’、O、S、C(O)、S(O)、メチレンジオキシ、エチレンジオキシ、N(R’)、SR’、SOR’、SOR’、SO2N(R’)、SO3R’、C(O)R’、C(O)C(O)R’、C(O)CHC(O)R’、C(S)R’、C(O)OR’、OC(O)R’、C(O)N(R’)、OC(O)N(R’)、C(S)N(R’)、(CH)O-NHC(O)R’、(CH2)0-2N(R’)N(R’)、N(R’)N(R’)C(O)R’、N(R’)N(R’)C(O)OR’、N(R’)N(R’)CON(R’)、N(R’)SOR’、N(R’)SO2N(R’)、N(R’)C(O)OR’、N(R’)C(O)R’、N(R’)C(S)R’、N(R’)C(O)N(R’)、N(R’)C(S)N(R’)、N(COR’)COR’、N(OR’)R’、C(=NH)N(R’)、C(O)N(OR’)R’またはC(=NOR’)R’が挙げられ、R’は、水素または炭素系部分であり得、炭素系部分は、それ自体がさらに置換されていてもよい。
【0058】
置換されているアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、およびシクロアルケニルならびに他の置換されている基としては、水素原子に対する1つまたはそれよりも多くの結合が、炭素原子に対する、またはヘテロ原子、例えば限定されないが、カルボニル(オキソ)、カルボキシル、エステル、アミド、イミド、ウレタン、および尿素基における酸素;ならびにイミン、ヒドロキシイミン、オキシム、ヒドラゾン、アミジン、グアニジン、およびニトリルにおける窒素に対する1つまたはそれよりも多くの結合(二重または三重結合を含む)で置き換えられている基も挙げられる。置換されている基の置換基は、それら自体がさらに置換されていてもよい本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアルキニル基によりさらに置換されていてもよい。例えば、C1-4アルキル基はアミドで置換されていてもよく、アミドは、さらに置換されていてもよい別のC1-4アルキル基でさらに置換されていてもよい。
【0059】
置換されているアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基などの置換されている環基としては、水素原子に対する結合が、炭素原子に対する結合で置き換えられている環および縮合環系も挙げられる。したがって、置換されているアリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリール基はまた、それら自体がさらに置換されていてもよい本明細書で定義されるアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、およびアルキニル基で置換されていてもよい。
【0060】
本明細書で使用される場合、「ヘテロ原子」という用語は、炭素と共有結合を形成することができる非炭素および非水素原子を指し、他の点で限定されない。典型的なヘテロ原子は、N、O、およびSである。硫黄(S)が言及される場合、特に酸化状態の指定がない限り、硫黄は、それが見られる酸化状態のいずれかであり得るので、スルホキシド(R-S(O)-R’)およびスルホン(R-S(O)2-R’)を含むと理解される;したがって、「スルホン」という用語は、硫黄のスルホン形態のみを包含する;「スルフィド」という用語は、硫黄のスルフィド(R-S-R’)形態のみを包含する。「O、NH、NR’およびSからなる群より選択されるヘテロ原子」または「[可変部分]がO、S・・・」などの語句が使用される場合、それらは、硫黄のスルフィド、スルホキシドおよびスルホン酸化状態のすべてを包含すると理解される。
【0061】
アルキル基としては、1~約20個の炭素原子(C1-20アルキル)、典型的には1~12個の炭素(C1-12アルキル)、またはいくつかの実施形態では、1~8個の炭素原子(C1-8アルキル)、またはいくつかの実施形態では、1~4個の炭素原子(C1-4アルキル)、またはいくつかの実施形態では、1~3個の炭素原子(C1-3アルキル)を有する直鎖および分枝状アルキル基およびシクロアルキル基が挙げられる。直鎖アルキル基の例としては、限定されないが、メチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシル、n-ヘプチル、およびn-オクチル基が挙げられる。分枝状アルキル基の例としては、限定されないが、イソプロピル、イソ-ブチル、sec-ブチル、t-ブチル、ネオペンチル、イソペンチル、および2,2-ジメチルプロピル基が挙げられる。代表的な置換アルキル基は、上に列挙されている基、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシ、およびハロゲン基のいずれかで1回またはそれより多くの回数置換されていてもよい。「n-ヒドロキシC1-4アルキル」基は、末端ヒドロキシ基で置換されているC1-4アルキルを表す。
【0062】
シクロアルキル基は、環構造を形成するアルキル基であり、置換されていてもよいしまたは置換されていなくてもよい。シクロアルキルの例としては、限定されないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチル基が挙げられる。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は3~8個の環メンバーを有するのに対して、他の実施形態では、環炭素原子の数は、3~5、3~6または3~7の範囲である。シクロアルキル基としてはさらに、多環式シクロアルキル基、例えば限定されないが、ノルボルニル、アダマンチル、ボルニル、カンフェニル、イソカンフェニル、およびカレニル基ならびに縮合環、例えば限定されないが、デカリニルが挙げられる。シクロアルキル基としては、上記で定義される直鎖または分枝鎖アルキル基で置換されている環も挙げられる。代表的な置換シクロアルキル基は、一置換または複数置換されているもの、例えば限定されないが、2,2-、2,3-、2,4-、2,5-もしくは2,6-二置換シクロヘキシル基、または一置換、二置換もしくは三置換ノルボルニルもしくはシクロヘプチル基であり得、これらは、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシ、およびハロゲン基で置換されていてもよい。
【0063】
「炭素環式」および「炭素環」という用語は、環の原子が炭素である環構造を表す。いくつかの実施形態では、炭素環は3~8個の環メンバーを有するのに対して、他の実施形態では、環炭素原子の数は、4個、5個、6個または7個である。特に具体的な反対の指示がない限り、炭素環式環は、N個ほどの置換基で置換されていてもよく、Nは、例えば、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、アルコキシ、およびハロゲン基を有する炭素環式環のサイズである。
【0064】
シクロアルキルアルキルとも表記される(シクロアルキル)アルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記で定義されるシクロアルキル基に対する結合で置き換えられている上記で定義されるアルキル基である。
【0065】
アルケニル基は、2個の炭素原子間に少なくとも1つの二重結合が存在することを除いて、上記で定義される直鎖および分枝鎖ならびに環状アルキル基を含む。したがって、アルケニル基は、2~約20個の炭素原子、典型的には2~12個の炭素原子、またはいくつかの実施形態では2~8個の炭素原子を有する。例としては、限定されないが、とりわけ、CH=CH(CH)、CH=C(CH、C(CH)=CH、C(CH)=CH(CH)、C(CHCH)=CH、ビニル、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、シクロヘキサジエニル、ブタジエニル、ペンタジエニルおよびヘキサジエニルが挙げられる。
【0066】
「シクロアルケニル」という用語は、単独でまたは組み合わせで、少なくとも1つの二重結合が環構造に存在する環状アルケニル基を表す。シクロアルケニル基は、2個の隣接炭素原子間に少なくとも1つの二重結合を有するシクロアルキル基を含む。したがって、例えば、シクロアルケニル基としては、限定されないが、シクロヘキセニル、シクロペンテニル、およびシクロヘキサジエニル基が挙げられる。
【0067】
(シクロアルケニル)アルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記で定義されるシクロアルケニル基に対する結合で置き換えられている上記で定義されるアルキル基である。
【0068】
アルキニル基は、2個の炭素原子間に少なくとも1つの三重結合が存在することを除いて、直鎖および分枝鎖アルキル基を含む。したがって、アルキニル基は、2~約20個の炭素原子、典型的には2~約12個の炭素原子、またはいくつかの実施形態では2~約8個の炭素原子を有する。例としては、限定されないが、とりわけ、-C≡CH、-C≡C(CH)、-C≡C(CHCH)、CHC≡CH、CHC≡C(CH)およびCHC≡C(CHCH)が挙げられる。
【0069】
アリール基は、ヘテロ原子を含有しない環状芳香族炭化水素である。したがって、アリール基としては、限定されないが、フェニル、アズレニル、ヘプタレニル、ビフェニル、インダセニル、フルオレニル、フェナントレニル、トリフェニレニル、ピレニル、ナフタセニル、クリセニル、ビフェニレニル、アントラセニル、およびナフチル基が挙げられる。いくつかの実施形態では、アリール基は、基の環部分に6~14個の炭素を含有する。「アリール基」という語句は、縮合環、例えば縮合芳香族脂肪族環系(例えば、インダニル、テトラヒドロナフチルなど)を含有する基を含み、環原子の1つに結合されている他の基(限定されないが、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、またはアルコキシ基を含む)を有する置換アリール基も含む。代表的な置換アリール基は、一置換または複数置換されているもの、例えば限定されないが、2-、3-、4-、5-または6-置換フェニルまたはナフチル基であり得、これらは、限定されないが、上に列挙されているものを含む基で置換されていてもよい。
【0070】
アラルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記で定義されるアリール基に対する結合で置き換えられている上記で定義されるアルキル基である。代表的なアラルキル基としては、ベンジルおよびフェニルエチル基ならびに縮合(シクロアルキルアリール)アルキル基、例えば4-エチル-インダニルが挙げられる。アリール部分またはアルキル部分またはその両方は、限定されないが、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、またはアルコキシ基を含む他の基で場合により置換されている。アラルケニル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記で定義されるアリール基に対する結合で置き換えられている上記で定義されるアルケニル基である。
【0071】
ヘテロシクリル基は、環メンバーの1個または複数がヘテロ原子、例えば限定されないが、N、O、SまたはPである3個またはそれよりも多くの環メンバーを含有する芳香族および非芳香環化合物(複素環式環)を含む。いくつかの実施形態では、ヘテロシクリル基は、3~20個の環メンバーを含むのに対して、他のこのような基は、3~15個の環メンバーを有する。少なくとも1つの環はヘテロ原子を含有するが、多環系のすべての環がヘテロ原子を含有する必要はない。例えば、ジオキソラニル環およびベンゾジオキソラニル環系(メチレンジオキシフェニル環系)は両方とも、本明細書の意味内のヘテロシクリル基である。C2-ヘテロシクリルと表記されるヘテロシクリル基は、2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子および4個のヘテロ原子を有する6員環などであり得る。同様に、C4-ヘテロシクリルは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環などであり得る。炭素原子の数+ヘテロ原子の数の合計は、環原子の総数に等しい。飽和複素環式環は、不飽和炭素原子を含有しない複素環式環を指す。
【0072】
「ヘテロシクリル基」という語句は、縮合芳香族および非芳香族基を有するものを含む縮合環種を含む。この語句はまた、ヘテロ原子を含有する多環式環系、例えば限定されないが、キヌクリジルを含み、環メンバーの1つに結合されている置換基(限定されないが、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、またはアルコキシ基を含む)を有するヘテロシクリル基も含む。本明細書で定義されるヘテロシクリル基は、少なくとも1個の環ヘテロ原子を含む、ヘテロアリール基または部分もしくは完全飽和環式基であり得る。ヘテロシクリル基としては、限定されないが、ピロリジニル、フラニル、テトラヒドロフラニル、ジオキソラニル、ピペリジニル、ピペラジニル、モルホリニル、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、インドリル、ジヒドロインドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アザベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、キノキサリニル、およびキナゾリニル基が挙げられる。ヘテロシクリル基は置換されていてもよい。代表的な置換ヘテロシクリル基は、限定されないが、一置換または複数置換されているもの、例えば限定されないが、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、およびアルコキシ基を含む上に列挙されているものなどの置換基で一置換、二置換、三置換、四置換、五置換、六置換またはそれを超えて置換されている少なくとも1個のヘテロ原子を含有する環であり得る。
【0073】
ヘテロアリール基は、環メンバーの1個または複数がヘテロ原子、例えば限定されないが、N、OおよびSである5個またはそれよりも多くの環メンバーを含有する芳香環化合物である。C2-ヘテロアリールと表記されるヘテロアリール基は、2個の炭素原子および3個のヘテロ原子を有する5員環、2個の炭素原子および4個のヘテロ原子を有する6員環などであり得る。同様に、C4-ヘテロアリールは、1個のヘテロ原子を有する5員環、2個のヘテロ原子を有する6員環などであり得る。炭素原子の数+ヘテロ原子の数の合計は、環原子の総数に等しい。ヘテロアリール基としては、限定されないが、ピロリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソキサゾリル、チアゾリル、ピリジニル、チオフェニル、ベンゾチオフェニル、ベンゾフラニル、インドリル、アザインドリル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アザベンゾイミダゾリル、ベンゾオキサゾリル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、イミダゾピリジニル、イソキサゾロピリジニル、チアナフタレニル、プリニル、キサンチニル、アデニニル、グアニニル、キノリニル、イソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、キノキサリニル、およびキナゾリニル基などの基が挙げられる。「ヘテロアリール」および「ヘテロアリール基」という用語は、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、インドリルおよび2,3-ジヒドロインドリルを含む、必ずしもすべての環ではなく少なくとも1つの環が芳香族であるものなどの縮合環化合物を含む。この用語はまた、環メンバーの1つに結合されている他の基(限定されないが、アルキル、ハロ、アミノ、ヒドロキシ、シアノ、カルボキシ、ニトロ、チオ、またはアルコキシ基を含む)を有するヘテロアリール基を含む。代表的な置換ヘテロアリール基は、上に列挙されているものなどの基で1回またはそれより多くの回数置換されていてもよい。
【0074】
アリール基およびヘテロアリール基のさらなる例としては、限定されないが、フェニル、ビフェニル、インデニル、ナフチル(1-ナフチル、2-ナフチル)、N-ヒドロキシテトラゾリル、N-ヒドロキシトリアゾリル、N-ヒドロキシイミダゾリル、アントラセニル(1-アントラセニル、2-アントラセニル、3-アントラセニル)、チオフェニル(2-チエニル、3-チエニル)、フリル(2-フリル、3-フリル)、インドリル、オキサジアゾリル、イソキサゾリル、キナゾリニル、フルオレニル、キサンテニル、イソインダニル、ベンズヒドリル、アクリジニル、チアゾリル、ピロリル(2-ピロリル)、ピラゾリル(3-ピラゾリル)、イミダゾリル(1-イミダゾリル、2-イミダゾリル、4-イミダゾリル、5-イミダゾリル)、トリアゾリル(1,2,3-トリアゾル-1-イル、1,2,3-トリアゾル-2-イル、1,2,3-トリアゾル-4-イル、1,2,4-トリアゾル-3-イル)、オキサゾリル(2-オキサゾリル、4-オキサゾリル、5-オキサゾリル)、チアゾリル(2-チアゾリル、4-チアゾリル、5-チアゾリル)、ピリジル(2-ピリジル、3-ピリジル、4-ピリジル)、ピリミジニル(2-ピリミジニル、4-ピリミジニル、5-ピリミジニル、6-ピリミジニル)、ピラジニル、ピリダジニル(3-ピリダジニル、4-ピリダジニル、5-ピリダジニル)、キノリル(2-キノリル、3-キノリル、4-キノリル、5-キノリル、6-キノリル、7-キノリル、8-キノリル)、イソキノリル(1-イソキノリル、3-イソキノリル、4-イソキノリル、5-イソキノリル、6-イソキノリル、7-イソキノリル、8-イソキノリル)、ベンゾ[b]フラニル(2-ベンゾ[b]フラニル、3-ベンゾ[b]フラニル、4-ベンゾ[b]フラニル、5-ベンゾ[b]フラニル、6-ベンゾ[b]フラニル、7-ベンゾ[b]フラニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]フラニル))、ベンゾ[b]チオフェニル(2-ベンゾ[b]チオフェニル、3-ベンゾ[b]チオフェニル、4-ベンゾ[b]チオフェニル、5-ベンゾ[b]チオフェニル、6-ベンゾ[b]チオフェニル、7-ベンゾ[b]チオフェニル)、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル(2-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、3-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、4-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、5-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、6-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル)、7-(2,3-ジヒドロ-ベンゾ[b]チオフェニル))、インドリル(1-インドリル、2-インドリル、3-インドリル、4-インドリル、5-インドリル、6-インドリル、7-インドリル)、インダゾール(1-インダゾール、3-インダゾール、4-インダゾール、5-インダゾール、6-インダゾール、7-インダゾール)、ベンゾイミダゾリル(1-ベンゾイミダゾリル、2-ベンゾイミダゾリル、4-ベンゾイミダゾリル、5-ベンゾイミダゾリル、6-ベンゾイミダゾリル、7-ベンゾイミダゾリル、8-ベンゾイミダゾリル)、ベンゾオキサゾリル(1-ベンゾオキサゾリル、2-ベンゾオキサゾリル)、ベンゾチアゾリル(1-ベンゾチアゾリル、2-ベンゾチアゾリル、4-ベンゾチアゾリル、5-ベンゾチアゾリル、6-ベンゾチアゾリル、7-ベンゾチアゾリル)、カルバゾリル(1-カルバゾリル、2-カルバゾリル、3-カルバゾリル、4-カルバゾリル)、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン(5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-1-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-2-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-3-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-4-イル、5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-5-イル)、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン(10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-1-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-2-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-3-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-4-イル、10,11-ジヒドロ-5H-ジベンゾ[b,f]アゼピン-5-イル)などが挙げられる。
【0075】
ヘテロシクリルアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記で定義されるヘテロシクリル基に対する結合で置き換えられている上記で定義されるアルキル基である。代表的なヘテロシクリルアルキル基としては、限定されないが、フラン-2-イルメチル、フラン-3-イルメチル、ピリジン-2-イルメチル(α-ピコリル)、ピリジン-3-イルメチル(β-ピコリル)、ピリジン-4-イルメチル(γ-ピコリル)、テトラヒドロフラン-2-イルエチル、およびインドール-2-イルプロピルが挙げられる。ヘテロシクリルアルキル基は、ヘテロシクリル部分、アルキル部分またはその両方において置換されていてもよい。
【0076】
ヘテロアリールアルキル基は、アルキル基の水素または炭素結合が、上記で定義されるヘテロアリール基に対する結合で置き換えられている上記で定義されるアルキル基である。ヘテロアリールアルキル基は、ヘテロアリール部分、アルキル部分またはその両方において置換されていてもよい。
【0077】
「環系」は、この用語が本明細書で使用される場合、1つ、2つ、3つまたはそれよりも多くの環を含む部分であって、非環基または他の環系またはその両方で置換されていてもよく、完全飽和、部分不飽和、完全不飽和または芳香族であり得、環系が単一の環よりも多くの環を含む場合、環が縮合、架橋またはスピロ環であり得る部分を意味する。
【0078】
「アミン」という用語は、例えば、各基が独立してHまたは非H、例えばアルキル、アリールなどであり得る式N(基)3を有する第一級、第二級および第三級アミンを含む。アミンとしては、限定されないが、RNH、例えば、アルキルアミン、アリールアミン、アルキルアリールアミン;RNH(各Rは独立して選択される)、例えばジアルキルアミン、ジアリールアミン、アラルキルアミン、ヘテロシクリルアミンなど;およびRN(各Rは独立して選択される)、例えばトリアルキルアミン、ジアルキルアリールアミン、アルキルジアリールアミン、トリアリールアミンなどが挙げられる。「アミン」という用語はまた、本明細書で使用される場合、アンモニウムイオンを含む。
【0079】
「アミノ」基は、形態-NH、-NHR、-NR、-NR3+(各Rは独立して選択される)および各々のプロトン化形態の置換基である。したがって、アミノ基で置換されている任意の化合物は、アミンとみなされ得る。
【0080】
「アンモニウム」イオンは、非置換アンモニウムイオンNH を含むが、特に指定がない限り、それはまた、アミンの任意のプロトン化または第4級化形態を含む。したがって、トリメチルアンモニウム塩酸塩および塩化テトラメチルアンモニウムは両方とも、本明細書の意味内では、アンモニウムイオンおよびアミンである。
【0081】
「アミド(amide)」(または「アミド(amido)」という用語は、それぞれC-およびN-アミド基、すなわち-C(O)NR’R’’基、および-NR’C(O)R’’基を含む。C-アミドのR’およびR’’は一緒に結合して、窒素原子を有する複素環式環を形成し得る。したがって、アミド基としては、限定されないが、カルバモイル基(-C(O)NH)およびホルムアミド基(-NHC(O)H)が挙げられる。「カルボキシアミド」基は、式C(O)NRの基(Rは、H、アルキル、アリールなどであり得る)である。
【0082】
「ハロ」、「ハロゲン」および「ハライド」は、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を含む。
【0083】
「塩」は、当技術分野で周知のように、対イオンと組み合わせて、イオン形態の有機化合物、例えばカルボン酸、スルホン酸、またはアミンを含む。例えば、陰イオン形態の酸は、陽イオン、例えば金属陽イオン、例えばナトリウム、カリウムなど;アンモニウムイオン、例えばNH または様々なアミン(テトラアルキルアンモニウム塩、例えばテトラメチルアンモニウムおよびアルキルアンモニウム塩、例えばトロメタミン塩を含む)の陽イオン、または他の陽イオン、例えばトリメチルスルホニウムなどと塩を形成し得る。「薬学的に許容され得る」または「薬理学的に許容され得る」塩は、ヒト消費について承認されているイオンから形成された塩であり、一般に、非毒性のもの、例えば塩化物塩またはナトリウム塩である。「両性イオン」は内部塩であり、例えば、少なくとも2つのイオン性基であって、一方が陰イオンを形成し、他方が陽イオンを形成する少なくとも2つのイオン性基(これらは互いにバランスするように働く)を有する分子中で形成され得る。例えば、グリシンなどのアミノ酸は、両性イオン形態で存在し得る。「両性イオン」は、本明細書の意味内では塩である。本開示の化合物は、塩の形態をとり得る。「塩」という用語は、本開示の化合物である遊離酸または遊離塩基の付加塩を包含する。塩は、「薬学的に許容され得る塩」であり得る。「薬学的に許容され得る塩」という用語は、医薬用途における有用性を付与する範囲内で毒性プロファイルを有する塩を指す。それにもかかわらず、薬学的に許容され得ない塩は、本開示の実施における有用性、例えば本開示の化合物の合成、精製または製剤化のプロセスにおける有用性を有する特性、例えば高結晶性を有し得る。
【0084】
適切な薬学的に許容され得る酸付加塩は、無機酸または有機酸から調製され得る。無機酸の例としては、塩化水素酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硝酸、炭酸、硫酸、およびリン酸が挙げられる。適切な有機酸は、有機酸の脂肪族、環式脂肪族、芳香族、環付き脂肪族、複素環、カルボン酸およびスルホン酸クラスから選択され得、例としては、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、グルコン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、グルクロン酸、マレイン酸、フマル酸、ピルビン酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、安息香酸、アントラニル酸、4-ヒドロキシ安息香酸、フェニル酢酸、マンデル酸、エンボン酸(パモ酸)、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、パントテン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、2-ヒドロキシエタンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、スルファニル酸、シクロヘキシルアミノスルホン酸、ステアリン酸、アルギン酸、β-ヒドロキシ酪酸、サリチル酸、ガラクタル酸およびガラクツロン酸が挙げられる。薬学的に許容され得ない酸付加塩の例としては、例えば、過塩素酸塩およびテトラフルオロホウ酸塩が挙げられる。
【0085】
本開示の化合物の適切な薬学的に許容され得る塩基付加塩としては、例えば、アルカリ金属、アルカリ土類金属および遷移金属の塩を含む金属塩、例えばカルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩および亜鉛塩などが挙げられる。薬学的に許容され得る塩基付加塩としては、例えば、塩基性アミンから作製された有機塩、例えばN,N’-ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N-メチルグルカミン)およびプロカインなども挙げられる。薬学的に許容され得ない塩基付加塩の例としては、リチウム塩およびシアン酸塩が挙げられる。薬学的に許容され得ない塩は、一般に、医薬として有用ではないが、このような塩は、例えば、再結晶化による精製において例えば化合物の合成における中間体として有用であり得る。これらの塩はすべて、従来の手段によって、対応する化合物から、例えば、適切な酸または塩基を化合物と反応させることによって調製され得る。「薬学的に許容され得る塩」という用語は、非毒性無機または有機酸および/または塩基付加塩を指す。例えば、Gouldら、Salt Selection for Basic Drugs(1986), Int J. Pharm., 33, 201-217(これは、参照により本明細書に組み込まれる)を参照のこと。
【0086】
本開示の潜在的な塩の非限定的な例としては、限定されないが、塩酸塩、クエン酸塩、グリコール酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メシル酸塩、エシル酸塩、経皮酸塩、イセチオン酸塩、硫酸塩、リン酸塩、二リン酸塩、シュウ酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、コハク酸塩、フマル酸塩、酢酸塩、ジクロロ酢酸塩、乳酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パルミチン酸塩、ピドル酸塩、パモ酸塩、サリチル酸塩、4-アミノサリチル酸塩、安息香酸塩、4-アセトアミド安息香酸塩、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩、グリコール酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスコルビン酸塩、ベシル酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、カンシル酸塩、カプリン酸塩、カプロン酸塩、シクラミン酸塩、ラウリル硫酸塩、エジシル酸塩、ゲンチジン酸塩、ガラクタル酸塩、グルセプチン酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、オキソグルタル酸塩、ヒプル酸塩、ラクトビオン酸塩、マロン酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、ナプシル酸塩、ナパジシル酸塩、オキサル酸塩、オレイン酸塩、セバシン酸塩、ステアリン酸塩、コハク酸塩、チオシアン酸塩、ウンデシレン酸塩、およびキシナホ酸塩が挙げられる。
【0087】
「水和物」は、水分子を有する組成物として存在する化合物である。組成物は、化学量論量で水を含み得るか(例えば、一水和物または二水和物)、または無作為量で水を含み得る。この用語が本明細書で使用される場合、「水和物」は、固体形態を指す(すなわち、この用語が本明細書で使用される場合、水溶液中の化合物は、水和されていてもよいが、水和物ではない)。
【0088】
本開示の化合物の「ホモログ」は、化合物の1個またはそれよりも多くの原子が、当該原子の同位体で置き換えられている化合物である。例えば、ホモログは、化合物の1個またはそれよりも多くの水素原子の代わりに重水素を有する化合物、例えば、式I-RおよびI-Sのイソプロポキシ部分のメチル基が完全にまたは部分的に重水素化されている本開示の化合物(例えば、(DC)CHO-)を含む。本開示のホモログの形成において作製され得る同位体置換基としては、非放射性(安定)原子、例えば重水素および炭素13ならびに放射性(不安定)原子、例えば三重水素、炭素14、ヨウ素123、ヨウ素125などが挙げられる。
【0089】
「溶媒和物」は、水以外の溶媒が水を置き換えることを除いて、類似組成物である。例えば、メタノールまたはエタノールは、「アルコラート」(これもやはり、化学量論的または非化学量論的であり得る)を形成し得る。この用語が本明細書で使用される場合、「溶媒和物」は、固体形態を指す(すなわち、この用語が本明細書で使用される場合、溶媒溶液中の化合物は、溶媒和されていてもよいが、溶媒和物ではない)。
【0090】
様々な実施形態では、開示される方法において使用するための化合物は、式I-RまたはI-Sの構造:
【化6】
(式中、
Xは、-NR’R’’または-OR’’’であり、Yは、-CN、-Clまたは-CFであり;
R’は、H、C1-4アルキル、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-SO-Rまたは-CO-Rであり;
R’’は、H、-SO-R、1個もしくはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキル、またはRで場合により置換されている環部分であり、ここで、このような環部分は、ピペリジニル、シクロヘキシル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリルまたはフェニルであり;
R’’’は、H、C1-4アルキルまたは-CO-Rであり;
またはR’およびR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個または1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5または6員飽和複素環式環を形成し、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、オキソ、-NH、n-ヒドロキシ-C1-4アルキル、-COOH、-(CH)m-COOH、-(CH)m-COOR、-N(R)および-(CH)m-CO-N(R)から独立して選択される置換基で場合により一置換または複数置換されており;
は出現ごとに、C1-4アルキルまたはHであり;
は出現ごとに、H、ハロ、OH、オキソ、=NH、NH、-COOH、F、-NHR、-N(R)、-SO-R、-SO-N(R1)、-N(R)-SO-R、COOR、-OCO-R、-CO-N(R)、-N(R)-COR、C1-3アルキル、C1-3アルコキシおよびRで場合により置換されている環部分であり、ここで、このような環部分は、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、ピラゾリル、イミダゾリル、ベンゾイミダゾリル、アゼチジニル、シクロブチニルまたはフェニルであり;
は出現ごとに、R、C1-4アルキル、C3-6シクロアルキル、または1個もしくはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキルであり;
は出現ごとに、ハロ、OH、-NH、-NHR、-N(R)、COOH、-COOR、-NHCO-Rであり;
は出現ごとに、C1-4アルキルもしくはHであるか、またはあるいは2個のRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個もしくは1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5もしくは6員飽和複素環式環を形成し得、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、NH、-N(R)、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-(CH)m-COOH、-(CH)m-COORで場合により置換されており;ならびに
mは出現ごとに、0、1、2または3である)を有するか、またはその薬学的に許容され得る塩、ホモログ、水和物もしくは溶媒和物である。
【0091】
より具体的な実施形態では、化合物は、構造式II-RまたはII-S:
【化7】
(式中、
R’は、H、C1-4アルキル、n-ヒドロキシC1-4アルキル、-SO-Rまたは-CO-Rであり;
R’’は、H、-(CR-Rまたは-SO-Rであり;
またはR’およびR’’は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、0個または1個のさらなるヘテロ原子を含有する4、5または6員飽和複素環式環を形成し、ここで、このようなさらなるヘテロ原子は、OまたはNであり、ここで、このような複素環は、-OH、-NH、n-ヒドロキシ-C1-4アルキル、-COOH、-(CH-COOH、-(CH-COOR、-N(R)、-CO-N((R)で場合により一置換または複数置換されており;
およびRはそれぞれ出現ごとに、H、ヒドロキシルまたはメチルであり;
または同じ炭素に結合しているRおよびRは、オキソであり;
は出現ごとに、C1-3アルキルまたはHであり;
は出現ごとに、H、OH、オキソ、NH、-COOH、F、-NHR、-N(R),-SO-R、-SO-N(R)、-COOR、-OCO-R、-CO-N(R)、C1-3アルキル、C1-3アルコキシ、ピペラジニル、ピペリジニル、モルホリニル、ピロリジニル、イミダゾリルまたはRで場合により置換されているフェニルであり;
は出現ごとに、-(CR-RまたはC1-4アルキルであり;
は出現ごとに、ハロ、OH、-NH、-NHR、-N(R)、-COOH、-COORまたは-NHCO-Rであり;
nは出現ごとに、1、2または3であり;
mは出現ごとに、0、1、2または3であり;ならびに
pは出現ごとに、0、1、2または3である)を有するか、またはその薬学的に許容され得る塩、ホモログ、水和物もしくは溶媒和物である。
【0092】
様々な実施形態では、本開示は、YがClである化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、YがCFである化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、YがCNである化合物を提供する。
【0093】
様々な実施形態では、本開示は、Xが-NR’R’’である化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、Xが-OR’’’である化合物を提供する。
【0094】
様々な実施形態では、本開示は、Xが-OR’’’である化合物を提供する。
【0095】
様々な実施形態では、本開示は、Xが-OHである化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、Xが-OCO-Rである化合物を提供する。
【0096】
様々な実施形態では、本開示は、RがC1-3アルキルである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、R’がHである化合物を提供する。
【0097】
様々な実施形態では、本開示は、R’が-CORである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、R’がSO-Rである化合物を提供する。様々な実施形態では、本開示は、R’’がHである化合物を提供する。
【0098】
様々な実施形態では、本開示は、R’’が-SO-Rである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、R’’がC1-4アルキルであり、C1-4アルキルが、Rによって定義される1個またはそれよりも多くの置換基で場合により置換されている化合物を提供する。
【0099】
様々な実施形態では、本開示は、R’’が、-(CR-Rであり、各Rおよび各Rは独立して、H、ヒドロキシルおよびメチルのいずれかであり得るか、またはRおよびRが同じ炭素に結合している場合、それらは一緒になってオキソを形成し得る(すなわち、それらが結合している炭素と共にカルボニル部分を形成する)である化合物を提供する。様々なこのような実施形態では、nは、0、1、2または3であり得、様々な実施形態では、nは、2である。様々なこのような実施形態では、Rは、-OH、-NH、-NHR、-N(R)または-COOHであり得る。
【0100】
様々な実施形態では、本開示は、Rが、1個またはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキルである化合物を提供する。
【0101】
様々な実施形態では、本開示は、RがOHである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、RがC1-3アルコキシである化合物を提供する。
【0102】
様々な実施形態では、本開示は、Rが(CH-ORである化合物を提供する。
【0103】
様々な実施形態では、本開示は、YがCNであり、Xが-NH-SO-Rである化合物を提供する。様々な実施形態では、本開示は、Rが-C-N((R)または-CH-CO-N(R)である化合物を提供する。様々な実施形態では、本開示は、YがCNであり、Xが-NH-CO-N(R)である化合物を提供する。
【0104】
様々な実施形態では、Xは-NHであり、様々なこのような実施形態では、YはCNである。
【0105】
様々な実施形態では、本開示は、YがClである化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、YがCFである化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、YがCNである化合物を提供する。
【0106】
様々な実施形態では、本開示は、Xが-NR’R’’である化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、Xが-OR’’’である化合物を提供する。
【0107】
様々な実施形態では、本開示は、Xが-OR’’’である化合物を提供する。
【0108】
様々な実施形態では、本開示は、Xが-OHである化合物を提供し、他の実施形態では、本開示は、Xが-OCO-Rである化合物を提供する。
【0109】
様々な実施形態では、本開示は、RがC1-3アルキルである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、R’がHである化合物を提供する。
【0110】
様々な実施形態では、本開示は、R’が-CORである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、R’がSO-Rである化合物を提供する。様々な実施形態では、本開示は、R’’がHである化合物を提供する。
【0111】
様々な実施形態では、本開示は、R’’が-SO-Rである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、R’’がC1-4アルキルであり、C1-4アルキルが、Rによって定義される1個またはそれよりも多くの置換基で場合により置換されている化合物を提供する。
【0112】
様々な実施形態では、本開示は、R’’が、-(CR-Rであり、各Rおよび各Rは独立して、H、ヒドロキシルおよびメチルのいずれかであり得るか、またはRおよびRが同じ炭素に結合している場合、それらは一緒になってオキソを形成し得る(すなわち、それらが結合している炭素と共にカルボニル部分を形成する)である化合物を提供する。様々なこのような実施形態では、nは、0、1、2または3であり得、様々な実施形態では、nは、2である。様々なこのような実施形態では、Rは、-OH、-NH、-NHR、-N(R)または-COOHであり得る。
【0113】
様々な実施形態では、本開示は、Rが、1個またはそれよりも多くのRで場合により置換されているC1-4アルキルである化合物を提供する。
【0114】
様々な実施形態では、本開示は、RがOHである化合物を提供する;他の実施形態では、本開示は、RがC1-3アルコキシである化合物を提供する。
【0115】
様々な実施形態では、本開示は、Rが(CH-ORである化合物を提供する。
【0116】
様々な実施形態では、本開示は、YがCNであり、Xが-NH-SO-Rである化合物を提供する。様々な実施形態では、本開示は、Rが-C-N((R)または-CH-CO-N(R)である化合物を提供する。様々な実施形態では、本開示は、YがCNであり、Xが-NH-CO-N(R)である化合物を提供する。
【0117】
様々な実施形態では、Xは-NHであり、様々なこのような実施形態では、YはCNである。
【0118】
より具体的な実施形態では、化合物は、以下の表1に列挙されている1つもしくは複数の化合物またはその薬学的に許容され得る塩、ホモログ、水和物もしくは溶媒和物である。
【表1-1】
【表1-2】
【表1-3】
【表1-4】
【表1-5】
【表1-6】
【表1-7】
【表1-8】
【表1-9】
【表1-10】
【表1-11】
【表1-12】
【表1-13】
【表1-14】
【表1-15】
【表1-16】
【表1-17】
【表1-18】
【0119】
別の態様では、本開示は、全身性エリテマトーデスを有するかまたは有すると疑われる被験体における免疫反応もしくは線維症に関連するかまたは全身性エリテマトーデスに別様に関連する遺伝子の発現レベルをモジュレートするための方法であって、本明細書に開示される化合物の有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む方法を提供する。様々な実施形態では、遺伝子の発現レベルのモジュレートは、遺伝子の発現レベルの増加をもたらす。様々な実施形態では、遺伝子の発現レベルのモジュレートは、遺伝子の発現レベルの減少をもたらす。様々な実施形態では、化合物は、表1から選択される。様々な実施形態では、化合物は、化合物148である。免疫反応もしくは線維症に関連するかまたは全身性エリテマトーデスに別様に関連する遺伝子は、当業者に公知である。この態様の様々な実施形態では、遺伝子は、IL-10、IL-1β、CCL5、TNFSF13b/BAFF、CXCL9、CXCL10、TGFβ2、LCN2/Lipocalin2、TAGLN/Transgelin、Timp1、LOXL1またはCD88a/Girdinである。
【0120】
遺伝子発現を決定するためのアッセイは当技術分野で周知であり、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、DNAマイクロアレイおよびノーザンブロットが挙げられる。例えば、目的の1つまたは複数の遺伝子に特異的なプライマーを使用したRT-PCRは、Qiagen OneStep RT-PCRキット(登録商標)を使用して実施され得る。免疫反応、炎症、線維症およびSLEの他の徴候に関連する遺伝子は公知であるか、または当業者によって容易に同定されるであろう。RT-PCRを実施して目的の遺伝子の発現レベルを決定するためのプライマーは、例えば、Ensembl、OMIM、UniProtおよび他の公的に利用可能なゲノムデータベースで利用可能な遺伝子配列に基づくルーチンなプライマー設計技術を使用して生成され得る。
【0121】
さらに別の態様では、本開示は、SLEの処置において使用するためのキットを提供する。様々な実施形態では、キットは、本開示の化合物と、SLEを処置するために前記化合物をそれを必要とする被験体に投与するための説明書とを含む。様々な実施形態では、化合物は、表1から選択される。様々な実施形態では、化合物は、化合物148である。
【0122】
上記のように、SLEは、経時的に被験体ごとに強度が変動し得るこの疾患の古典的な症候が関節リウマチなどの他の症状にも関連するので、診断を免れることが多い。したがって、さらなる態様では、本開示は、SLEを含む自己免疫疾患のための診断キットであって、SLEに関連するバイオマーカーのパネルを含む診断キットを提供する。バイオマーカーは、例えば、遺伝子(mRNA)および/またはタンパク質発現の産物であり得る。遺伝子発現を決定するためのアッセイは当技術分野で周知であり、例えば、逆転写ポリメラーゼ連鎖反応(RT-PCR)、DNAマイクロアレイ、およびおよびキャピラリー電気泳動(CE)または臨床送達のための次世代シーケンスのいずれかと組み合わせた化学連結依存的プローブ増幅(CLPA)が挙げられる。したがって、様々な実施形態では、診断キットは、目的のRNA分子の逆転写に適切なRT-PCRプライマーと、逆転写から生じるcDNAを増幅するために適切なプライマーと、キャピラリー電気泳動試薬および条件と、場合により他のRT-PCR試薬とを含む。様々な実施形態では、診断キットは、被験体サンプル、例えば被験体から得られた血清からRNAを抽出するためのRNA抽出試薬および材料をさらに含む。
【0123】
様々な実施形態では、診断キットは、インターフェロン誘導性(IFI)遺伝子のmRNA産物を特異的に増幅するための1セットまたはそれよりも多くのセットのRT-PCRプライマーを含む。様々な実施形態では、IFI遺伝子は、IFI27、IFI44、IFI33L、RSAD2、EPSTI1、SPATS2LおよびEIF2AK2からなる群より選択される。キットは、1つまたはそれよりも多くの構成的発現(対照)遺伝子に特異的なRT-PCRプライマーをさらに含み得る。様々な実施形態では、1つまたはそれよりも多くの対照遺伝子は、18S、ACTBおよびGAPDHからなる群より選択される。様々な実施形態では、キットは、(a)サンプル中の1つまたはそれよりも多くのIFI遺伝子および1つまたはそれよりも多くの対照遺伝子の発現レベルを比較し、(b)比較に基づいて、被験体から得られたサンプルが、対照と比べてIFI遺伝子発現の臨床関連増加を示す(この場合、被験体は、SLEを有するかまたは有するリスクが高いと診断される)かを決定することをコンピュータに行わせることができるプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体をさらに含む。
【0124】
タンパク質発現を決定するためのアッセイは当技術分野で周知であり、例えば、ウエスタンブロッティング、2-Dゲル電気泳動およびイムノアッセイが挙げられる。したがって、様々な実施形態では、診断キットは、インターフェロン誘導性タンパク質、例えば上記のようにIFI遺伝子の発現によって産生されるタンパク質産物に対する特異的親和性を有する1つまたはそれよりも多くの抗体を含む。様々な実施形態では、診断キットは、対照タンパク質、例えば上記のように対照遺伝子の発現によって産生されるタンパク質産物に対する特異的親和性を有する1つまたはそれよりも多くの抗体をさらに含む。様々な実施形態では、キットは、(a)サンプル中の1つまたはそれよりも多くのIFIタンパク質および1つまたはそれよりも多くの対照タンパク質の発現レベルを比較し、(b)比較に基づいて、被験体から得られたサンプルが、対照と比べてIFIタンパク質発現の臨床関連増加を示す(この場合、被験体は、SLEを有するかまたは有するリスクが高いと診断される)かを決定することをコンピュータに行わせることができるプログラムを格納する非一時的コンピュータ可読媒体をさらに含む。
【実施例
【0125】
本開示の方法およびキットにおいて使用するための化合物は、本明細書ならびに米国特許第8,481,573号、米国特許第8,362,048号および米国特許第8,796,318号(これらは、その全体が参照により組み込まれる)に記載されているバイオアッセイにおいて合成および評価され得る。本開示の方法において使用するための例示的な化合物(表1の化合物148)は、以下の実施例1に記載されている技術を使用して合成され得る。化合物を使用してSLEを処置するための方法は、実施例2~13に例示されている。
【0126】
実施例1
化合物148の合成
一般的な合成方法
ジュウテリオクロロホルム(CDCl)、ジュウテリオメタノール(CDOD)またはジメチルスルホキシド-D(DMSO)の溶液において、H NMR(400MHz)および13C NMR(100MHz)を得た。Mestrec 5.3.0および6.0.1を使用して、NMRスペクトルを処理した。括弧内の13C NMRのピークは、同じ炭素の2つの回転異性体のものである。移動相Aとして0.1%のギ酸を有する水、および移動相Bとして0.1%のギ酸を有するアセトニトリルを使用した、Thompson ODS-A、100A、5μ(50×4.6mm)カラムを備えるAgilent 1100/6110 HPLCシステムを使用して、質量スペクトル(LCMS)を得た。勾配は、2.5分間にわたり移動相Bで20~100%であり、次いで、100%で2.5分間維持した。流量は、1mL/分であった。より疎水性の化合物では、方法1と表記される以下の勾配を使用した:0.5分間でわたり40~95%、95%で8.5分間維持し、次いで、2分間で40%に戻し、流量は1mL/分である。方法2を使用して、純度について、最終的化合物を検査した:1分間にわたり5%、9分間にわたり5~95%、次いで、95%で5分間維持し、流量は1mL/分である。Chiralpak AD-H、250×4.6mmカラム、5μmの粒径で分離したピークの積分によって、エナンチオマー過剰率を決定した。1mL/分の流量および定組成移動相。特に指示がない限り、提供されるキラルデータは、この方法を使用する。あるいは、キラル方法1と表記される以下の条件下で、キラル分離を実施した:Chiralpak AY-H、250×4.6mmカラム、5μmの粒径。1mL/分の流量および定組成移動相。キラル方法2:0.75mL/分の流量で、Chiralcel OZ-3、250×4.6mmカラム、3μmの粒径。これらの手法で使用したピリジン、ジクロロメタン(DCM)、テトラヒドロフラン(THF)、およびトルエンは、窒素(N)雰囲気下に保持したAldrich Sure/Sealボトルからのものであった。すべての反応物を磁気撹拌し、温度は外部反応温度である。Redisep(Teledyne Isco)シリカゲル(SiO)カラムを備えるCombiflash Rfフラッシュ精製システム(Teledyne Isco)を使用して、カラムクロマトグラフィーを行った。移動相Aとして0.05%のトリフルオロ酢酸を含有する水、および移動相Bとして0.05%のトリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリルを使用して、Varian ProStar/PrepStarシステムで、分取HPLC精製を行った。勾配は、12分間にわたり移動相Bで10~80%、80%で2分間維持し、次いで、2分間で10%に戻し、流量は22mL/分の流量であった。これと同様の他の方法を使用し得る。Varian Prostarフラクションコレクタを使用して画分を収集し、SpeedVac Plus真空ポンプを使用して蒸発させた。塩になり得る中心を有する化合物は、トリフルオロ酢酸(TFA)塩であると推測された。Biotageマイクロ波容器を備えるBiotage Initiatorマイクロ波反応装置を使用して、マイクロ波加熱を行った。以下の略語が使用される:酢酸エチル(EA)、トリエチルアミン(TEA)、ジエチルアミン(DEA)、ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC)、イソプロパノール(IPA)、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド(DMA)。Noritは活性炭である。
【0127】
1.1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル(INT-1)
【化8】
4-ブロモ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-オン(100.0g、0.48mol)を含む150mLの1-メチル-2-ピロリジン(NMP)の撹拌溶液に、シアン化亜鉛(111.8g、0.95mol)およびテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム[Pd(PPh](2.75g、0.024mol)を添加した。溶液をNで脱気し、反応混合物を95℃で7時間加熱した。冷却したら、反応混合物を氷水(3.5L)に注いだ。化合物および無機Zn塩が沈殿した。固体を収集し、DCM(3×100mL)と水との間で分配した。有機層をろ過してZn塩を除去し、ろ液を濃縮し、EtOHおよびMeOHの4:1混合物(400mL)から結晶化させて、45.5g(60%)の1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルINT-1を淡黄色固体として得た。C10NOのLCMS-ESI(m/z)計算値:157.2;実測値158.1[M+H],t=2.67分. H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.00-7.90(m,1H),7.86(dd,J=7.5,1.1,1H),7.50(t,J=7.6,1H),3.40-3.19(m,2H),2.90-2.61(m,2H). 13C NMR(101MHz,CDCl)δ 204.70,157.90,138.38,137.88,128.44,128.28,116.31,111.70,36.01,25.49.
【0128】
2.(S)-1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル(INT-2)
【化9】
内部温度計および添加漏斗を備える3つ口フラスコに、(R)-(+)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジン溶液を含むトルエン(3.0mL)およびボラン-ジメチルスルフィド(300μL)を添加した。反応物を室温で10分間撹拌し、次いで、DCM(25mL)で希釈した。ボラン-ジメチルスルフィド(6.0mL)を添加し、5分間撹拌した後、反応物を-20℃に冷却した。反応を-20±5℃に維持しながら、1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルINT-1(4.7g、30mmol)を含むDCM(25mL)を、添加漏斗によって20分間かけて滴下により添加した。反応物を1時間撹拌し、次いで、MeOH(20mL)を滴下によって添加することによってクエンチした。水素発生が停止した後、MeOH(30mL)を添加し、大気圧で加熱することによって除去した。MeOH(50mL)を2回で添加し、2回加熱することによって除去した。すべての溶媒を蒸発させて固体を得、これをEA(9mL)およびヘキサン(22mL)から再結晶化した。化合物をろ過し、5:1ヘキサン/EA(30mL)で洗浄して、3.73g(78%)の(S)-1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルINT-2を白色粉末として得た。C10NOのLCMS-ESI(m/z)計算値:159.1;実測値160.1[M+H]、t=2.39分. H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.62(d,J=7.6Hz,1H),7.53(d,J=7.6Hz,1H),7.32(t,J=7.6Hz,1H),5.28(d,J=4.1Hz,1H),3.23(ddd,J=17.0,8.7,4.4Hz,1H),3.04-2.90(m,1H),2.64-2.51(m,1H),2.00(dddd,J=13.4,8.7,7.1,5.7Hz,1H),1.91(d,J=5.4Hz,1H).キラルHPLC:(S)-1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルをヘキサン中20%IPAで溶出した:>99.9%ee、t=7.42分.(S)-(-)-2-メチル-CBS-オキサザボロリジンと同様の方法を使用して、(R)-エナンチオマーを得た。(R)-エナンチオマーのt=6.79分.
【0129】
3.(+/-)1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル
【化10】
1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリル(1.2g、7.64mmol)およびシリカゲル(触媒)を含むEtOHの撹拌懸濁液に、NaBH(237.2mg、7.64mmol)を添加した。反応物を室温に加温し、2時間撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、生成物をクロマトグラフィー(50%EA/ヘキサン)によって精製して、1.02g(82.3%)の1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルを白色固体として得た。C10NOのLCMS-ESI(m/z)計算値;159.18;実測値160.1[M+H]、t=2.39分.
【0130】
4.(S)-N,1-ジヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボキシイミドアミド(INT-3)
【化11】
ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(0.87g、12.5mmol)および炭酸ナトリウム(1.32g、12.5mmol)を含むEtOH(20mL)に、(S)-1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルINT-2(1.59g、10mmol)を一度に添加し、溶液を加熱還流した。16時間後、反応物を冷却し、ろ過して固体を除去した。EtOHを除去し、化合物をクロマトグラフィー(MeOH/DCM)によって精製して、1.74g(90%)の(S)-N,1-ジヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボキシイミドアミドINT-3を白色泡状物として得た。C1012のLCMS-ESI(m/z)計算値:192.1;実測値:193.1[M+H]、t=0.56分. H NMR(400MHz,MeOD)δ 10.30(s,1H),9.97(s,1H),7.72-7.58(m,1H),7.46-7.37(m,2H),5.22(t,J=6.5,1H),3.17-3.03(m,1H),2.99-2.83(m,1H),2.49(dddd,J=11.4,8.0,7.0,4.4,1H),2.02-1.88(m,1H).(R)-1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルと同様の方法で、(R)-N,1-ジヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボキシイミドアミドを作製する。
【0131】
5.インダノールの調製
安息香酸(1当量)を含むDMF(0.15M)に、HOBt(1.5当量)およびEDC(1.5当量)を添加した。酸が完全に活性化されるまで、反応物を室温で2~16時間撹拌した。(R)-または(S)-N,1-ジヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボキシイミドアミドを一度に添加し、前環化中間体が完全に形成されるまで、反応物を2時間室温で撹拌した。次いで、反応混合物を18時間かけて85℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、水を添加し、混合物を放置した。得られた沈殿物をろ過した。この物質をクロマトグラフィー(EA/ヘキサン)によって精製するかまたは再結晶化して、5-(3-(1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-ベンゼンを白色固体として得た。
【0132】
6.インダノールからのインダンアミンの調製
ラセミ5-(3-(1-ヒドロキシ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシベンゾニトリル(1当量)を含むDCM(0.14M)を含有するフラスコに、SOCl(2当量)を0℃で添加した。30分間撹拌した後、反応混合物を真空中で濃縮し、高真空下に2時間置いた。得られた粗塩化物をDMA(0.02M)に溶解した。アミン(3当量)、DIEA(3当量)およびいくつかの場合ではNaBr(3当量)を添加し、得られた反応物を55~60℃で一晩撹拌し、分取HPLCまたはカラムクロマトグラフィーによって精製した。アミンがエーテルを含有する場合、物質をNaOHで酸にさらに加水分解し得る。Boc基で保護されたジアミンを、TFAを使用して脱保護し得る。
【0133】
7.(R)-N-(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(INT-4)
【化12】
1-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-カルボニトリルINT-1(42.5g、0.27mol)および(R)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(36.0g、0.30mol)を含むトルエン(530mL)に、チタンテトラエトキシド(84.1mL、92.5g、0.40mol)を添加し、反応混合物をN下、60℃で12時間加熱した。粗(R)-N-(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドINT-4を次の実験で直接使用した。C1416OSのLCMS-ESI(m/z)計算値:260.3;実測値261.1[M+H]、t=3.19分.
【0134】
8.(R)-N-((R)-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミド(INT-5)
【化13】
(R)-N-(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イリデン)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドINT-4の粗懸濁液を含有するフラスコに、THF(1.0L)をN下で添加し、反応混合物を-78℃に冷却した。水素化ホウ素ナトリウム(40.9g、1.08mol)を30分間かけて少しずつ添加した。(添加中、内部温度は上昇しなかった)。反応混合物を-78℃で30分間撹拌し、浴を30分間で半分にし、次いで、1時間かけて0℃に加温した。0℃の反応混合物を氷浴に入れ、ブライン(100mL)、続いて飽和酒石酸カリウムナトリウム(420mL)でクエンチし、Ti塩を沈殿させた。反応混合物をEA(1.5L)で希釈し、室温で一晩撹拌した。有機層をデカントし、飽和NHCl、水およびブラインで連続して洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、MgSOのパッドでろ過した。ろ液を濃縮して、52.9gの粗(R)-N-((R)-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドINT-5を褐色油状物として得、これを次の工程で直接使用した。C1418OSのLCMS-ESI(m/z)計算値:262.3;実測値263.1[M+H]、t=2.99分. H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.89(d,J=7.7,1H),7.56(t,J=6.8,1H),7.36(t,J=7.7,1H),4.97(q,J=7.5,1H),3.50(d,J=7.6,1H),3.22(ddd,J=16.9,8.8,3.9,1H),3.01(dt,J=22.4,6.9,1H),2.70-2.53(m,1H),2.15-1.95(m,1H),1.33-1.20(m,9H).
【0135】
9.(R)-1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-カルボニトリル(INT-6)
【化14】
粗(R)-N-((R)-4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドINT-5(52.9g、0.20mol)を含むMeOH(200mL)に、4N HClを含むジオキサン(152.0mL、0.60mol)を添加し、得られた黄色懸濁液を室温で1.5時間撹拌した。粗反応混合物をMeOH(500mL)で希釈し、ろ過して、いくらかのTi副生成物を除去した。ろ液を濃縮し、得られた固体をアセトニトリル(500mL)で還流した。得られた白色固体を収集して、13.0g(3工程で31%)の(R)-1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-カルボニトリルINT-6のHCl塩を得た。C1010のLCMS-ESI(m/z)計算値:158.2;実測値142.0[M-NH、t=0.84分. H NMR(400MHz,DMSO)δ 8.61(s,3H),7.96(d,J=7.7,1H),7.83(d,J=7.5,1H),7.52(t,J=7.7,1H),4.80(s,1H),3.23(ddd,J=16.6,8.7,5.2,1H),3.05(ddd,J=16.6,8.6,6.3,1H),2.62-2.51(m,1H),2.15-2.01(m,1H). 13C NMR(101MHz,DMSO)δ 148.09,141.15,132.48,130.32,127.89,117.27,108.05,54.36,39.08,29.64.1N NaHCOおよびDCMで抽出することによって、遊離塩基を調製し得る。C1010のLCMS-ESI(m/z)計算値:158.2;実測値142.0[M-NH、t=0.83分. H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.52-7.38(m,2H),7.23(dd,J=17.4,9.8,1H),4.35(t,J=7.6,1H),3.11(ddd,J=16.8,8.7,3.2,1H),2.89(dt,J=16.9,8.5,1H),2.53(dddd,J=12.8,8.1,7.3,3.2,1H),1.70(dtd,J=12.8,8.8,8.0,1H). 13C NMR(101MHz,DMSO)δ 150.16,146.67,130.19,128.74,127.38,117.77,107.42,56.86,38.86,29.14.キラルHPLC:ヘキサン中5%EtOH+0.05%TEAを使用して、(R)-1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-カルボニトリルを溶出した:95%ee、t=23.02分.(S)-2-メチルプロパン-2-スルフィンアミドを使用して同様の方法で、(S)-エナンチオマーINT-7を調製した。(S)-エナンチオマーのt=20.17分.
【0136】
10.(R)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメート(INT-8)
【化15】
(R)-1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-カルボニトリルHCl INT-6(11.6g、59.6mmol)を含むDCM(100mL)に、TEA(12.0mL、131.0mmol)を0℃で添加した。得られた溶液に、Boc無水物(14.3g、65.6mmol)を含むDCM(30mL)の溶液を添加し、反応混合物を室温で1.5時間撹拌した。反応混合物をブラインで洗浄し、有機層をMgSOで乾燥させ、ろ過した。さらなるDCMを添加して250mLの総容量とし、ノーリット(4.5g)を添加した。生成物を15分間還流し、熱い混合物をセライト/シリカのパッドでろ過した。ろ液を濃縮し、EA(50mL)およびヘキサン(150mL)から再結晶化して、12.93g(84%)の(R)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートINT-8を灰白色固体として得た。C1518のLCMS-ESI(m/z)計算値:258.3;実測値281.1[M+Na]、t=3.45分.C1518について決定した元素分析;C計算値=69.74%;実測値=69.98%. H計算値=7.02%;実測値=7.14%. N計算値=10.84%;実測値=10.89%. H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.64-7.49(m,2H),7.34(dt,J=7.7,3.8,1H),5.36-5.20(m,1H),4.78(d,J=6.8,1H),3.20(ddd,J=16.9,8.9,3.3,1H),3.02(dt,J=25.4,8.4,1H),2.82-2.53(m,1H),1.88(dq,J=13.2,8.6,1H),1.55-1.44(m,9H). 13C NMR(101MHz,DMSO)δ 155.52,146.68,146.32,130.89,128.70,127.63,117.51,107.76,77.98,55.09,31.88,29.11,28.19.キラルHPLC:ヘキサン中2.5%EtOHを使用して、(R)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートを溶出した:>99.9%ee、t=19.36分.(S)-1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-4-カルボニトリルHClを使用して同様の方法で、(S)-エナンチオマーINT-9を調製した。(S)-エナンチオマーのt=28.98分.
【0137】
11.インダンアミドオキシムの合成
(R)-または(S)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメート(1当量)を含むEtOH(0.56M)に、ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(3当量)およびTEA(3当量)を添加し、反応混合物を85℃で1~2時間加熱した。溶媒を除去し、水とDCMとの間で分配することによって、有機可溶性アミドオキシムを単離した。水溶性アミドオキシムをクロマトグラフィーにかけるか、または環化で直接使用した。アルコール溶媒から再結晶化することによって、純粋なアミドオキシムを得ることができる。
【0138】
B.(R)-tert-ブチル4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメート(INT-10)
【化16】
【0139】
C.(R)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートINT-8(15.0g、58.2mmol)を含むEtOH(100mL)に、ヒドロキシルアミンヒドロクロリド(12.1g、174.2mmol)およびTEA(17.6mL、174.2mmol)を添加し、反応混合物を85℃で2時間加熱した。溶媒を除去し、得られた白色固体を水とDCMとの間で分配した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮し、イソプロパノール(50mL)から再結晶化して、14.4g(85%)の(R)-tert-ブチル4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートINT-10を白色結晶固体として得た。C1521のLCMS-ESI(m/z)計算値:291.4;実測値292.1[M+H]、t=2.04分. H NMR(400MHz,DMSO)δ 9.53(s,1H),7.38-7.32(m,1H),7.32-7.12(m,3H),5.68(s,2H),4.97(q,J=8.5,1H),3.07(ddd,J=16.6,8.7,2.6,1H),2.86(dt,J=16.8,8.4,1H),2.30(ddd,J=12.6,7.6,3.6,1H),1.75(dq,J=12.3,9.0,1H),1.44(s,9H).
【0140】
12.インダンオキサジアゾールアミンへの環化
適切な酸(1当量)、HOBt(1.3当量)およびEDC(1.3当量)を含むDMF(酸中0.08M)の溶液をN雰囲気下、室温で撹拌した。HOBt-酸錯体が完全に形成された後(1~3時間)、(R)-または(S)-アミドオキシム(1.1当量)を混合物に添加した。カップリング中間体が完全に形成された後(約0.5~2時間)、環化が完了するまで(8~12時間)、混合物を75~95℃に加熱した。反応混合物を飽和NaHCOで希釈し、EAで抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ、濃縮し、クロマトグラフィー(EA/ヘキサン)によって精製するかまたは直接用いた。オキサジアゾールをHCl(ジオキサン中5N、5当量)によって50~60℃で0.5~6時間処理した。反応混合物を抽出(DCM/NaHCO)し得たか、または得られたHCl塩を濃縮し、EtOに懸濁し、収集し得た。アルコール溶媒からの再結晶によって、またはクロマトグラフィーによって、純粋なインダンアミンを得ることができる。
【0141】
13.(R)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-40イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメート(INT-12)
【化17】
上記工程12に記載されている環化手順を使用して調製した。3-シアノ-4-イソプロポキシ安息香酸(7.74g、37.7mmol)を含むDMF(50mL)の溶液に、HOBt(6.02g、44.6mmol)およびEDC(8.53g、44.6mmol)を室温で添加した。HOBt-酸錯体が完全に形成されるまで、反応物を2時間撹拌した。(R)-tert-ブチル4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートINT-10(10.0g、34.3mmol)を添加し、INT-11、(R)-tert-ブチル4-(N-(3-シアノ-4-イソプロポキシベンゾイルオキシ)カルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートが形成されるまで、反応混合物を室温で2時間撹拌した。混合物をEAとNaHCOとの間で分配し、有機層を収集し、MgSOで乾燥させた。INT-11(16.3g、34.0mmol)をDMF(50mL)に再溶解し、混合物を12時間かけて95℃に加熱した。反応物をNaHCO(200mL)で希釈し、EA(3×50mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、減圧下で濃縮して、12.8g(81%)の(R)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートINT-12を淡褐色固体として得、さらに精製せずに次の工程で使用した。C2628のLCMS-ESI(m/z)計算値:460.5;実測値483.2[M+Na]、t=4.25分. H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.43(d,J=2.1,1H),8.34(dd,J=8.9,2.2,1H),8.09(d,J=7.6,1H),7.51(d,J=7.5,1H),7.39(t,J=7.6,1H),7.12(d,J=9.0,1H),5.28(d,J=8.2,1H),4.80(hept,J=6.0,1H),3.47(ddd,J=17.4,8.9,3.5,1H),3.27-3.03(m,1H),2.68(d,J=8.7,1H),1.87(td,J=16.7,8.5,1H),1.53-1.43(m,15H). 13C NMR(101MHz,CDCl3)δ 173.00,168.82,162.70,155.68,145.31,142.96,134.05,133.83,128.25,127.21,126.79,123.09,116.78,115.24,113.52,103.87,79.52,72.70,55.72,33.86,31.47,28.39,21.70.キラルHPLC:ヘキサン中20%i-PrOHを使用して、(R)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートを溶出した:>99.9%ee、t=13.33分.上記工程11および12に記載されている手順を使用し、(S)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートを使用して同様の方法で、(S)-エナンチオマーINT-13を調製した((S)-エナンチオマーのt=16.31分).
【0142】
14.(R)-5-(3-(1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシ-ベンゾニトリルヒドロクロリドおよび(S)-5-(3-(1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシ-ベンゾニトリル
【化18】
(R)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメート(12.8g、27.8mmol)を含むジオキサン(200mL)に、4N HClを含むジオキサン(69mL)を添加した。溶液を1時間かけて55℃に加熱し、生成物を沈殿させた。ジオキサンを除去し、得られた固体をエーテルに懸濁し、収集した。この物質をMeOH(200mL)から再結晶化して、8.11g(81%)の(R)-5-(3-(1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシベンゾニトリルをHCl塩として得た。C2120のLCMS-ESI(m/z)計算値:360.4;実測値383.2[M+Na]、t=2.49分.C2121Cl*0.5HOについて決定した元素分析およびNMRスペクトル;C計算値=62.14%;実測値=62.25%. H計算値=5.46%;実測値=5.30%. N計算値=13.80%;実測値=13.84%. Cl計算値=8.73%;実測値=8.34%. H NMR(400MHz,DMSO)δ 8.71(s,3H),8.49(d,J=2.3,1H),8.39(dd,J=9.0,2.3,1H),8.11(d,J=7.6,1H),7.91(d,J=7.6,1H),7.55(t,J=8.5,2H),4.97(hept,J=6.1,1H),4.80(s,1H),3.47(ddd,J=17.4,8.7,5.3,1H),3.23(ddd,J=17.4,8.6,6.4,1H),2.55(ddd,J=13.7,8.3,3.2,1H),2.22-1.97(m,1H),1.38(d,J=6.0,6H). 13C NMR(101MHz,CDCl)δ 173.28,167.98,162.53,143.69,141.29,134.59,133.80,128.93,128.11,127.55,122.72,115.87,115.24,114.91,102.46,72.54,54.38,31.51,29.91,21.47.遊離塩基のキラルHPLC:ヘキサン中15%i-PrOH+0.3%DEAを使用して、(R)-5-(3-(1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシベンゾニトリルを溶出した:>99.9%ee、t=30.80分.(S)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートと同様の方法で、(S)-5-(3-(1-アミノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシ-ベンゾニトリル(化合物148)を調製した:>99.9%ee、(S)-エナンチオマーのt=28.58分.
【0143】
実施例2
マウスモデルにおけるSLEの処置
当技術分野で認められているSLEのマウスモデルにおいて、有効性について化合物148を試験した:NZB×NZW F1(「NZBWF1」)マウスは、SLEによく似た自己免疫疾患を発症する。これらのマウスは、20週齢後から、高レベルの抗dsDNA抗体(SLEの指標)を自発的に産生する。これらのマウスは、糸球体基底膜における免疫複合体沈着によって媒介される溶血性貧血、タンパク尿および進行性糸球体腎炎を発症する。
【0144】
6つ群のNZBWF1マウス(Jackson Laboratories,stock # 100008)を研究で使用し、研究開始前7週間にわたって研究施設に順化させた。20週齢時に、タンパク尿(尿中に存在する過剰な血清タンパク質)および体重の毎週測定を開始した。23週齢時に、群間で平均体重および平均タンパク尿測定を達成するために、マウスを群にバランスよく割り当てた。処置開始時に、10匹のマウスからなる1つの「ナイーブ」群を安楽死させ、分析のための組織源として使用した。23週齢時に、処置を開始した。
【0145】
23週齢時から、シクロホスファミド(陽性対照、20匹のマウス;徐々に導入して毒性を軽減(腹腔内(IP)、週1回、23週目10mg/kg、24週目20mg/kg;25週目から終了まで50mg/kg))、ビヒクル(陰性対照、20匹のマウス)または化合物148(20匹のマウスの3つの群)を5つの処置群に投与し、20週間にわたって観察した。化合物148を投与した3つの群には、それぞれ0.3、1.0および3.0mg/kgを1日1回(QD)経口(PO)投与した(投与量当たり20匹のマウス)。42週時に、生存動物を屠殺した。図1Aを参照のこと。シクロホスファミドによる処置は体重を増加させたが、ビヒクルおよび化合物148処置マウスは、同様の体重を有しており、全体的な体重減少が最小であった。図34を参照のこと。以下の実施例に開示されているように、疾患発症を評価した。
【0146】
実施例3
タンパク尿スコアの減少
高レベルのタンパク尿は、SLEの強力な指標である。図1Aに示されているように、20週時から、検尿棒(Roche Diagnostics Chemstrip 2GP,cat.no.11895397160、製造業者のプロトコールによる)を使用して、タンパク尿を毎週測定した。0~4のスコア(0=タンパク質なし;1=微量のタンパク質(<30mg/dL);2=30~100mg/dL;3=100~500mg/dL;4=>500mg/dL)としてタンパク尿を表した。研究の間にわたる平均タンパク尿スコアは、図1Bに示されている。予想通り、ビヒクルで処置したマウスは、処置開始時にナイーブ群と比較してタンパク尿を発症した。化合物148を投与したマウスは、ビヒクルマウスと比較して用量依存的に低いタンパク尿スコアを示し、3.0mg/kg化合物148を投与した群およびシクロホスファミドを投与した群は両方とも、ビヒクルと比べて有意な改善を示した(p<0.05;ダネット比較による一元ANOVA)。3.0mg/kg化合物148による処置は、シクロホスファミドと同様の有効性を示した。
【0147】
実施例4
末梢リンパ球数および血清BUNレベルの減少
フローサイトメトリーを使用して23、31および36.5週時に採取した全血から、リンパ球数を測定した。CD4+T細胞、CD8+T細胞およびCD19+B細胞について、細胞をゲーティングした。図2A~2Cに示されているように、3つの用量の化合物148はすべて、ビヒクルと比べて、全リンパ球数を有意に(>90%)減少させた(p<0.05;両側スチューデントT検定)。化合物148では、シクロホスファミドと比べて、CD4T細胞およびCD8T細胞の有意な減少が観察された。終了時に、血清血中尿素窒素(BUN)も測定して、腎臓機能を評価した。図3に示されているように、ビヒクル処置マウスでは、予想血清レベル(正常BUN範囲=8~33mg/dl)と比べて、血清BUNは上昇し、すべての他の処置群では減少した。3mg/kg化合物148またはシクロホスファミドによる処置では、血清BUNの有意な減少が観察された(p<0.05、ダネット比較による一元ANOVA)。
【0148】
実施例5
腎臓重量、三次リンパ組織および腎炎病変の減少
SLEでは、三次リンパ組織(TLT)として公知の炎症性浸潤が、他の組織の中でも特に腎臓および脾臓に蓄積する。疾患進行の間接的な尺度として、42週時の終了後に左右の腎臓を計量した(図4A~4B)。3.0mg/kg化合物148またはシクロホスファミドによる処置は、ビヒクルと比べて、腎臓重量を有意に減少させたが(p<0.05;ダネット比較による一元ANOVA)、これは、これらのマウスでは、疾患進行が有意に遅延したことを示している。
【0149】
疾患進行を直接的にアッセイするために、左腎組織学を観察し、H&E(浸潤PMN、リンパ球およびTLTについて染色する前に、4%PFAで左腎を固定)またはPAS(糸球体グリコーゲンおよび糖タンパク質の分析用)を使用して、切片を染色した。好中球は観察されなかった。切片ごとに凝集体の数を計数した。図5に示されているように、シクロホスファミドよりも程度は低いが、化合物148は、ビヒクルと比べて、TLTスコアを有意に減少させた(p<0.05;ダネット比較による一元ANOVA)。1.0mg/kgまたは3.0mg/kg化合物148を投与したマウスは、ナイーブマウスと同様のTLTスコアを有していたが、これは、これらのマウスの腎臓では、炎症性浸潤が少ないことを裏付けている。
【0150】
腎臓病変は、SLE進行の別の指標である。試験マウス由来の腎臓スライドをH&EおよびPASで染色して、間質浸潤、尿細管萎縮および間質性線維症(総称して、「尿細管および間質病変」)、メサンギウム拡大、毛細管内および毛細管外増殖、糸球体沈着(総称して、「糸球体病変」)を評価した。4段階評価:0=非存在、1=軽度、2=中等度および3=重度を使用して、各病変サブタイプをスコア化した。各グレードの発生率に7つの各病変のグレード値を掛け、次いで、群のスコアを加算することによって、平均スコアを計算した。したがって、グレード3の病変の3匹の動物の発生率は、9のスコアに等しい。次いで、群でスコア化した動物の数でスコアを割った。
【0151】
乱数を各動物に割り当て、次いで、乱数を含む仮ラベルをスライドに添付することによって、すべてのスライドを盲検的にスコア化した。Graham StarToxソフトウェア、バージョン3.1.0を使用して、スコアを記録した。StarToxソフトウェアは、スライドの読み取り中に使用するための群または動物番号情報を伴わずに、画面表示を乱数のみに制限する設定を有する。1.0mg/kgおよび3.0mg/kg化合物148による処置は、糸球体病変の重症度の用量依存的な減少をもたらしたが、0.3mg/kgで処置した動物は、ビヒクル対照のものと同様の糸球体病変スコアを有していた(データは示さず)。未処置動物の最小スコア0.2は、糸球体の正常細胞性の生物学的変動に起因していた。化合物148による処置は、尿細管および間質病変の用量依存的な減少をもたらし(p<0.05、ダネット比較による一元ANOVA)、シクロホスファミドによる処置と統計的差異がなかった。各群のマウスの複合組織学的スコア(糸球体病変スコア+尿細管および間質病変スコア)は、図6に示されている。図6に示されているように、化合物148による処置は、ビヒクルと比較して、3つの処置群すべてについて、複合腎臓病変スコアの用量依存的な減少を示した。
【0152】
実施例6
脾臓重量および脾細胞数の減少
脾臓における炎症性浸潤に対する化合物148の効果を決定するために、42週時に、脾臓を計量した。図8Aに示されているように、すべての化合物148処置群において、ビヒクルと比べて、脾臓重量は有意に低かったが、これは、この臓器における炎症性浸潤がより少ないことを示している(ダネット比較による一元ANOVA)。次いで、脾細胞懸濁液を調製した。RBCを溶解し、脾細胞を計数した。図8Bに示されているように、すべての化合物148処置群において、ビヒクルと比べて、総脾細胞数も減少していた。
【0153】
脾細胞サブタイプの細胞数は図34A~38Bに示されており、3.0mg/kg化合物148による処置が、CD19B細胞集団の67%の減少(図34A;シクロホスファミドによる92%の減少との比較;生の数値は示さず);辺縁帯(「MZ」)B細胞集団の61%の減少(図34B;シクロホスファミドによる74%の減少との比較;生の数値は示さず);胚中心(「GC」)B細胞集団処置の51%の減少(図35A;シクロホスファミドによる99%の減少との比較;生の数値は示さず);濾胞性(「FO」)B細胞の79%の減少(図35B;シクロホスファミドによる96%の減少との比較;生の数値は示さず);形質細胞集団の30%の減少(図36;シクロホスファミドによる18%の減少との比較;生の数値は示さず);CD4T細胞集団の75%の減少(図37A;シクロホスファミドによる84%の減少との比較;生の数値は示さず);CD8T細胞集団の62%の減少(図37B;シクロホスファミドによる46%の減少との比較;生の数値は示さず);活性化CD4T細胞集団の75%の減少(図38A;シクロホスファミドによる93%の減少との比較;生の数値は示さず);およびナイーブCD4T細胞の驚異的な81%の減少(図38B;シクロホスファミドによる47%の減少との比較;生の数値は示さず)をもたらしたことを実証している。
【0154】
実施例7
脾臓pDC細胞数の減少
形質細胞様樹状細胞(pDC)は、狼瘡に関連する1型インターフェロン(例えば、IFNα)に対する炎症促進性反応を増幅するIFNAR1(インターフェロンアルファ受容体1)を発現する。IFNAR活性は、pDCにおけるシグナル強度および持続期間ならびに炎症反応におけるTおよびB細胞のその後の活性化の重要なモジュレーターであると考えられる。終了時に、pDC数を測定した。図9に示されているように、3.0mg/kg化合物148を投与したマウスでは、ビヒクルと比べて、pDC数はほぼ用量依存的に減少していた。注目すべきことに、これは、ビヒクルと比べた62%の減少に相当していたのに対して、シクロホスファミドによる処置は、ビヒクルと比べた47%の減少をもたらした(生のスコアは示さず)。
【0155】
実施例8
抗dsDNA抗体力価の減少
ほとんどの(すべてではないが)患者集団において(Isenbergら、Rheumatology 46:1052-1056,2007を参照のこと)、血清抗dsDNA抗体力価は、SLE状態の指標として使用される(例えば、Kavanaughら、’’Guidelines for Clinical Use of the Antinuclear Antibody Test and Tests for Specific Autoantibodies to Nuclear Antigens’’,Archives of Pathology&Laboratory Medicine,124:1,71-81(2000)を参照のこと)。23、31、36.5および42週時に、力価を測定した。製造業者のプロトコールにしたがって抗dsDNA ELISAキット(Shibayagi Co.,Ltd.,cat.no.RSHAKRDD061)を使用して、ELISAを実施した。光学密度(OD)および任意単位/mLとして、結果を表した。既知の高濃度の抗dsDNA抗体を用いた以前の研究で使用したマウス由来の血清のプールから、ELISA標準曲線を作成した。標準曲線において使用した最高濃度は、そのプール血清の1:100であった。試験のために、すべての試験サンプルを1000倍希釈した。http://www.elisaanalysis.comを使用して、データを分析した。図7に示されているように、3つの投与量の化合物148はすべて、29週目の抗体力価の減少をもたらしたが、シクロホスファミドを投与したマウスとは異なり、この減少は、研究の間にわたって持続しなかった。
【0156】
しかしながら、他のイムノモジュレーターは、SLEマウスモデルにおける血清抗dsDNA抗体力価に対して同様の限定的効果を示した(Alperovichら、Lupus 16(1):18-24(2007)、NZBWF1マウスにおけるフィンゴリモドの試験を参照のこと;Andoら、Biochem. Biophys. Res. Commun. 394(3):804-810(2010)、BXSBマウスにおけるフィンゴリモドの試験も参照のこと)。
【0157】
実施例9
炎症および免疫遺伝子の発現の減少
上記で説明されているように、SLEは、抗原としての健常「自己」組織の異常認識を特徴とする。生じる免疫反応は、炎症を特徴とする。SLE状態を測定するために、終了時または23週目(ナイーブ)に収集してRNAlaterに保存した腎臓由来の一連の炎症および免疫反応遺伝子について、mRNAレベルを測定した(n=5)。QuantiGene Multiplex Assayを使用して、mRNAを定量した。3mpk PO化合物148で処置したマウスは、対照と比べて、IL-10(図10A)、IL-1β(図10B)、CCL5(図11A)、TNFSF13b/BAFF(図11B)、CXCL9(図12A)およびCXCL10(図12B)のレベルの減少を示した。これらのデータは、化合物148による処置が、いくつかの炎症および免疫反応遺伝子の発現を減少させたことを示している。
【0158】
実施例10
線維症遺伝子の発現の減少
SLE関連炎症は、線維性瘢痕をもたらし得る。一連の線維化促進遺伝子について、mRNAレベルを測定した。3mpk PO化合物148を投与したマウスは、対照と比べて、TGFβ2(図13A)、Lipocalin2(図13B)、Transgelin(図14A)、TIMP1(図14B)、LOXL1(図15)およびCdcd88a/Girdin(図16B)のレベルの減少を示した。MMP10、IL-2、IL-6およびTNFの発現シグナルも測定したが、LLOQ未満であった(データは示さず)。対照的に、IFGBP2レベルは、化合物148の投与後にいくらか増加するように思われた(図16A)。これらのデータは、化合物148による処置が、いくつかの線維化促進遺伝子の発現を減少させたことを示している。
【0159】
実施例11
IFNαおよびIFNARの発現の減少
上記のように、IFNAR1(インターフェロンアルファ受容体1)およびそのリガンドIFNαは、ヒトにおける狼瘡関連自己免疫反応の重要なモジュレーターである。23、29、36および42週時に、ELISA(eBioscience kit)によって、血清IFNαを測定した(図17)。アッセイ感度は、7.48pg/mlであった(点線)。化合物148を投与した処置群はすべて、処置の間にわたってビヒクルと比較して低い血清IFNαレベルを示した。しかしながら、NZBWF1モデルは弱いIFNαシグネチャーを有するという報告と一致して、複数時点におけるいくつかのサンプルは、アッセイ感度未満であった(データは示さず)。化合物148がIFNAR1発現に影響を与えるかを決定するために、終了時に、pDC細胞において、表面発現およびMFI発現のパーセントを測定した(それぞれ図18Aおよび18B)。5カ月間の処置後、いずれの測定についても、群間の差異はほとんどなかった。
【0160】
実施例12
1型インターフェロンシグナル伝達に対して応答性の遺伝子の発現
1型インターフェロンシグナル伝達によってアップレギュレートされることが報告されているいくつかの遺伝子についても、発現プロファイルを決定した(図19A~32)。3mpk PO化合物148による処置は、いくつかのIFN誘導性遺伝子のmRNA発現レベルをわずかに減少させ、他の遺伝子の発現を増加させたが、これらの変化の大部分は、統計的有意性に達しなかった。全体として、化合物148による処置は、IFN誘導性遺伝子の発現レベルに対して有意な効果を有しなかった。しかしながら、これらのデータは、このマウスモデルが低い内因性IFNα発現を有することを示す報告と一致している(例えば、Mathianら、J. Immunol. 174:5,2499-2509(2005)を参照のこと(IFNαのアデノウイルス媒介性導入は、NZBWF1マウスにおいて早期致死狼瘡を誘発する))。したがって、IFNαは、このマウスモデルにおいて疾患推進因子である可能性が低い。
【0161】
実施例13
化合物5の合成
(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)-カルバメート(INT-14)
【化19】
下の炎乾燥フラスコに、(R)-tert-ブチル4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イルカルバメートINT-8(8.3g、32.1mmol)を含む無水DMF(240mL)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、水素化ナトリウム(3.8g、油中60%、160.6mmol)を少しずつ添加した。0℃で2.75時間撹拌した後、(2-ブロモエトキシ)(tert-ブチル)ジメチルシラン(16.9mL、70.7mmol)を添加した。5分後に氷浴を除去し、反応混合物を室温に加温した。1.5時間後、飽和NaHCOを0℃で徐々に添加することによって、反応混合物をクエンチした。ガス発生が終了したら、反応物をEAで抽出した。有機層を水およびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥させ、濃縮した。生成物をクロマトグラフィー(EA/ヘキサン)によって精製して、10.76g(80%)の(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-14を無色油状物として得た。C2336SiのLCMS-ESI(m/z)計算値:416.6;実測値317.2[M-Boc]および439.0[M+Na]、t=4.04分(方法1). H NMR(400MHz,CDCl)δ 7.46(d,J=7.6,1H),7.38-7.32(m,1H),7.33-7.18(m,1H),5.69(s,0.5 H),5.19(s,0.5 H),3.70(ddd,J=48.8,26.6,22.9,1.5 H),3.50-3.37(m,1H),3.17(ddd,J=16.7,9.4,2.2,2H),2.93(m,1.5 H),2.45(s,1H),2.21(dd,J=24.5,14.5,1H),1.56-1.37(bs,4.5H),1.22(bs,4.5H),0.87-0.74(m,9H),-0.04(dd,J=26.6,8.2,6H). 13C NMR(101MHz,CDCl)δ 155.03,146.55,145.54,131.16,130.76,[128.11,127.03],117.58,109.20,79.88,[63.93,61.88],[61.44,60.34],[49.73,46.76],30.30,29.70,28.44,28.12,[25.87,25.62],-5.43.INT-9を使用して同様の方法で、(S)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-15を調製する。
【0162】
(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメート(INT-16)
【化20】
一般手順3を使用して調製した。(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-14(12.0g、28.9mmol)を含むEtOH(120mL)の溶液に、N雰囲気下で、ヒドロキシルアミン-HCl(6.0g、86.5mmol)およびトリエチルアミン(13.4mL、9.7g、86.5mmol)を添加した。反応混合物を80℃で4時間還流した。反応混合物を室温に冷却し、濃縮乾固し、次いで、DCM(500mL)で希釈した。有機層をNaHCO、水およびブラインで洗浄した。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮して、11.8gの(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-16を白色泡状固体として得、これを精製せずに次の実験で使用した。C2339SiのLCMS-ESI(m/z)計算値:449.7;実測値350.2[M-Boc]および472.2[M+Na]、t=1.79分(方法1). H NMR(400MHz,CDCl3)δ 7.32(t,J=7.3Hz,1H),7.21-7.07(m,2H),5.69(s,0.5 H),5.19(s,0.5 H),4.89(s,2H),3.85-3.50(m,2H),3.31(ddd,J=12.2,9.2,2.5Hz,2H),3.28-3.03(m,2H),3.03-2.70(m,1H),2.29(t,J=23.6Hz,1H),1.43(bs,4.5H),1.28(bs,4.5H), 1.16-1.04(m,1H), 0.90-0.71(m,9H),0.08--0.14(m,6H). 13C NMR(101MHz,CDCl)δ 170.99,[156.20,155.62],152.38,[144.53,143.57],[141.82,141.21],129.61,126.78,[126.59,126.25],[125.02,124.77],[79.91,79.68],64.04,61.88,[61.57,61.23],[46.03,45.76],30.76,30.21,[28.53,28.28],25.95,[25.66,25.29],25.13,[18.28,17.94],3.72,-5.34.INT-15を使用して同様の方法で、(S)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-17を調製する。
【0163】
(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートおよび(R)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)(2-ヒドロキシエチル)カルバメート
【化21】
一般手順4を使用して調製した。3-シアノ-4-イソプロポキシ安息香酸(4.5g、21.9mmol)を含む無水DMF(100mL)の溶液に、HOBt(5.4g、40.0mmol)およびEDC(5.6g、29.6mmol)を添加した。1時間後、(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(N-ヒドロキシカルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-16(11.8g、26.3mmol)を添加し、反応混合物を室温で2時間撹拌した。LCMS分析により、中間体(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(N-(3-シアノ-4-イソプロポキシベンゾイルオキシ)カルバムイミドイル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-18への完全な変換が示された。次いで、反応混合物を12時間かけて80℃に加熱した。反応混合物を室温に冷却し、EA(250mL)で希釈した。すべての固体が溶解するまで、NaHCO(250mL)および水(350mL)を添加した。混合物をEAで抽出し、有機層を水およびブラインで連続して洗浄した。有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮して、(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-19と、TBS保護基を有しない対応する物質(R)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)(2-ヒドロキシエチル)カルバメートINT-20との15.3gの混合物を得た。混合物は褐色油状物であり、これをさらに精製せずに直接使用し得るか、またはクロマトグラフィー(EA/ヘキサン)によって精製し得る。INT-19:C3446SiのLCMS-ESI(m/z)計算値:618.8;実測値519.2[M-Boc]および641.3[M+Na]、t=7.30分(方法1). H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.43(d,J=2.1,1H),8.34(dd,J=8.9,2.2,1H),8.07(d,J=8.1,1H),7.46-7.26(m,2H),7.12(d,J=9.0,1H),5.85(s,0.5H),5.37(s,0.5H),4.80(dt,J=12.2,6.1,1H),3.92-3.32(m,3.5 H),3.17(s,2H),2.95(s,0.5 H),2.62-2.39(m,1H),2.38-2.05(m,1H),1.53(s,4.5H),1.48(d,J=6.1,6H),1.33-1.27(m,4.5H),0.94-0.77(m,9H),0.01(d,J=20.9,6H). 13C NMR(101MHz,DMSO)δ 173.02,169.00,162.75,[156.22,155.52],[145.18,144.12],[143.39,142.76],134.16,133.89,128.20,[128.01,127.85],[127.04,126.90],126.43,123.31,116.93,115.30,113.55,103.96,[79.95,79.68],72.73,67.61,63.42,[61.91,61.77],60.99, 46.11,31.78,[30.47,29.87],[28.55,28.26],25.93,21.75,18.30,0.00,-5.37.INT-20:C2832のLCMS-ESI計算値:504.6;実測値527.2[M+Na]、t=2.65分(方法1). H NMR(400MHz,CDCl)δ 8.36(d,J=2.1,1H),8.27(dd,J=8.9,2.2,1H),8.03(d,J=7.2,1H),7.35-7.26(m,2H),7.06(d,J=9.0,1H),5.44(s,1H),4.73(dt,J=12.2,6.1,1H),3.64(s,2H),3.44(ddd,J=17.5,9.5,3.2,2H),3.11(dt,J=17.4,8.6,3H),2.54-2.38(m,1H),2.04(td,J=17.6,8.8,1H),1.50-1.24(m,15H).同様の方法で、(S)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-21および(S)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)(2-ヒドロキシエチル)カルバメートINT-22を作製した。
【0164】
(R)-5-(3-(1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシベンゾニトリル(化合物2)
【化22】
(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-19および(R)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)(2-ヒドロキシエチル)カルバメートINT-20(13.9g、27.5mmol)を含むジオキサン(70mL)の溶液に、4N HClを含むジオキサン(68.8g、275.4mmol)を0℃で添加した。反応混合物を室温に加温し、次いで、1時間かけて50℃に加熱した。得られた懸濁液を室温に冷却し、EtO(75mL)を添加した。沈殿物をろ過によって収集し、EtOで洗浄し、乾燥させて、10.5gの灰白色固体を得た。HCl塩をMeOH(165mL)から再結晶化して、5.98g(全収率56%)の(R)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-シアノ-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメート)の(R)-5-(3-(1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシベンゾニトリル2を白色固体として得た。C2324のLCMS-ESI(m/z)計算値:404.5;実測値405.4[M+H]、t=2.44分. H NMR(400MHz,DMSO)δ 9.25(s,2H),8.53(d,J=2.3,1H),8.42(dd,J=9.0,2.3,1H),8.17(d,J=7.7,1H),7.97(d,J=7.6,1H),7.63-7.50(m,2H),5.28(t,J=5.0,1H),4.99(hept,J=6.1,1H),4.92(s,1H),3.72(q,J=5.2,2H),3.57-3.43(m,1H),3.27(ddd,J=17.6,9.1,5.0,1H),3.15-2.85(m,J=24.2,2H),2.53(dtd,J=9.0,5.5,5.3,3.6,1H),2.30(ddd,J=13.4,8.9,4.6,1H),1.39(d,J=6.0,6H). 13C NMR(101MHz,DMSO)δ 173.25,167.86,162.47,144.56,139.13,134.53,133.77,129.30,128.93,127.45,122.83,115.79,115.15,114.84,102.40,72.46,61.04,56.51,46.38,31.53,27.74,21.37.C2325Clの元素分析:C計算値=62.65%;実測値=62.73%;H計算値=5.71%;実測値=5.60%;N計算値=12.71%;実測値=12.64%;Cl計算値=8.04%;実測値=8.16%. 遊離塩基のキラルHPLC:ヘキサン中10%i-PrOH+0.3%DEAを使用して、(R)-5-(3-(1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシ-ベンゾ-ニトリルを溶出した。>99.9%ee、t=37.72分.(S)-tert-ブチル2-(tert-ブチルジメチルシリルオキシ)エチル(4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)カルバメートINT-21および(S)-tert-ブチル4-(5-(3-シアノ-4-イソプロポキシフェニル)-1,2,4-オキサジアゾール-3-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル)(2-ヒドロキシエチル)カルバメートINT-22から同様の方法で、(S)-5-(3-(1-(2-ヒドロキシエチルアミノ)-2,3-ジヒドロ-1H-インデン-4-イル)-1,2,4-オキサジアゾール-5-イル)-2-イソプロポキシベンゾニトリル(化合物5)を得た:>99.9%ee、(S)-エナンチオマーのt=35.86分.
【0165】
実施例14
マウスモデルにおけるSLEの処置
実施例2のように、化合物148と同じSLEのNZB×NZW F1(「NZBWF1」)マウスモデルにおいて、有効性について化合物5を試験した。6つの群のNZBWF1マウス(Jackson Laboratories,stock # 100008)を研究で使用し、研究開始前6週間にわたって研究施設に順化させた。20週齢時に、タンパク尿(尿中に存在する過剰な血清タンパク質)および体重の毎週測定を開始した。22週齢時に、群間で平均体重および平均タンパク尿測定を達成するために、マウスを群にバランスよく割り当てた。処置開始時に、10匹のマウスからなる1つの「ナイーブ」群を安楽死させ、分析のための組織源として使用した。22週齢時に、処置を開始した。
【0166】
22週齢時から、シクロホスファミド(陽性対照、20匹のマウス;徐々に導入して毒性を軽減(腹腔内(IP)、週1回、22および23週目10mg/kg、ならびに24週目から研究終了まで50mg/kg))、ビヒクル(陰性対照、20匹のマウス)または化合物5(20匹のマウスの3つの群)を5つの処置群に投与し、20週間にわたって観察した。化合物5を投与した3つの群には、それぞれ0.3、1.0および3.0mg/kgを1日1回(QD)経口(PO)投与した(投与量当たり20匹のマウス)。42週時に、生存動物を屠殺した。シクロホスファミドによる処置は体重を増加させたが、ビヒクルおよび化合物5処置マウスは、同様の体重を有しており、全体的な体重減少が最小であった。図39を参照のこと。シクロホスファミドによる処置および化合物5による処置は両方とも、ビヒクル処置動物と比較して、生存を改善した(ログランク:0.3mg/kg:p=0.0229。1.0mg/kg:p=0.0308。3.0mg/kg:p=0.0201。シクロホスファミド:p=0.0017)。図40A~Cを参照のこと。以下の実施例に開示されているように、疾患発症を評価した。
【0167】
実施例15
タンパク尿スコアの減少
実施例3に示されているように、20週時から、検尿棒(Roche Diagnostics Chemstrip 2GP,cat.no.11895397160、製造業者のプロトコールによる)を使用して、タンパク尿を毎週測定した。0~4のスコア(0=タンパク質なし;1=微量のタンパク質(<30mg/dL);2=30~100mg/dL;3=100~500mg/dL;4=>500mg/dL)としてタンパク尿を表した。研究の間にわたる平均タンパク尿スコアは、図41Aに示されている。予想通り、ビヒクルで処置したマウスは、処置開始時にナイーブ群と比較してタンパク尿を発症した。化合物5を投与したマウスは、ビヒクルマウスと比較して用量依存的に低いタンパク尿スコアを示し、3.0mg/kg化合物5を投与した群およびシクロホスファミドを投与した群は両方とも、ビヒクルと比べて有意な改善を示した。図41Bを参照のこと。(このおよびその後の実験では、1群当たりのマウスの数は約20匹であり、ダネット比較による一元ANOVAによって、統計を決定した。)
【0168】
実施例16
血清BUNレベル
実施例4のように、血清血中尿素窒素(BUN)を測定して、腎臓機能を評価した。図42に示されているように、ビヒクル処置マウスでは、予想血清レベル(正常BUN範囲=8~33mg/dl)と比べて、血清BUNは上昇し、すべての他の処置群では減少した。すべての用量の化合物5またはシクロホスファミドによる処置では、血清BUNの有意な減少が観察された。
【0169】
実施例17
腎臓重量、三次リンパ組織および腎炎病変の減少
実施例5のように、42週時の終了後に左右の腎臓を計量した(図43)。1.0および3.0mg/kg用量の化合物5またはシクロホスファミドによる処置は、ビヒクルと比べて、腎臓重量を有意に減少させたが、これは、これらのマウスでは、疾患進行が有意に遅延したことを示している。1.0mg/kgおよび3.0mg/kg化合物5による処置は、糸球体病変の重症度の用量依存的な減少をもたらしたが、0.3mg/kgで処置した動物は、ビヒクル対照のものよりも低い(しかし有意ではない)糸球体病変スコアを有していた(図44A)。未処置動物の最小スコアは、糸球体の正常細胞性の生物学的変動に起因していた。化合物5による処置は、尿細管および間質病変の用量依存的な減少をもたらし、1.0および3.0mg/kgでは、この効果は有意であった。3.0mg/kg用量は、シクロホスファミドによる処置と統計的差異がなかった(図44B)。
【0170】
実施例18
脾臓重量および脾細胞数の減少
脾臓における炎症性浸潤に対する化合物5の効果を決定するために、42週時に、脾臓を計量した。図45に示されているように、いずれの用量の化合物5でも、ビヒクルと比べて、脾臓重量はより低かったが有意ではなかった。3mg/kg用量の化合物5はより低い傾向があったが、これは、この臓器における炎症性浸潤がより少ないことを示している。3つの用量すべてについて、脾細胞懸濁液を調製した。RBCを溶解し、脾細胞を計数した。表2に示されているように、化合物5で処置したすべて群において、ビヒクルと比べて、総脾細胞数は減少していた。
【表2】
【0171】
脾細胞サブタイプの細胞数も表2に示されており、特に、3.0mg/kg化合物5による処置が、有意な細胞サブタイプ減少:CD19B細胞集団の74%の減少(シクロホスファミドによる91%の減少との比較);辺縁帯(「MZ」)B細胞集団の54%の減少(シクロホスファミドによる57%の減少との比較);辺縁帯前駆体B細胞集団の85%の減少(シクロホスファミドによる78%の減少との比較);胚中心(「GC」)B細胞集団処置の64%の減少(シクロホスファミドによる99%の減少との比較);濾胞性(「FO」)B細胞の72%の減少(シクロホスファミドによる93%の減少との比較);形質細胞集団の70%の減少(シクロホスファミドによる90%の減少との比較);CD4T細胞集団の81%の減少(シクロホスファミドによる77%の減少との比較);CD8T細胞集団の75%の減少(シクロホスファミドによる48%の減少との比較);活性化CD4T細胞集団の80%の減少(シクロホスファミドによる89%の減少との比較);ナイーブCD4T細胞の驚異的な88%の減少(シクロホスファミドによる45%の減少との比較);pDC数の68%の減少(シクロホスファミドによる64%の減少との比較);CD11b+Ly6Chi単球の28%の減少(シクロホスファミドによる25%の減少との比較);Tfh細胞の68%の減少(シクロホスファミドによる97%の減少との比較);およびTreg細胞の81%の減少(シクロホスファミドによる80%の減少との比較)をもたらしたことを実証している。
【0172】
実施例19
抗dsDNA抗体力価の減少
実施例8のように、22、30、36および42週時に、血清抗dsDNA抗体力価を測定した。抗dsDNA ELISAキットを使用して、ELISAを実施した。図46に示されているように、3mg/kg投与量の化合物5は、42週目の抗体力価の減少をもたらしたが、シクロホスファミドを投与したマウスのものよりも少なかった。
【0173】
実施例20
CD4+T細胞におけるS1P1R発現
S1P1Rは、TおよびBリンパ球上で発現され、化合物5によるモジュレーションの標的である。化合物5による受容体のアゴニスト作用の後、受容体は内在化および分解される。化合物のインビボ投与後にT細胞において内在化が起こっているかを決定するために、S1P1Rの細胞表面発現について、ナイーブおよび活性化CD4+T細胞の両方を調べた。終了時に脾臓を摘出し、脾細胞を単離し、抗体染色およびフローサイトメトリーによって、免疫細胞集団について分析した。活性化CD4+T細胞(CD3+CD4+CD44+CD62L-)およびナイーブT細胞(CD3+CD4+CD44-CD62L+)の両方において、S1P1R発現を測定した。図47Aおよび47Bに示されているように、化合物5で処置したマウスでは、活性化およびナイーブCD4+T細胞の両方において、S1P1R発現が用量依存的に減少していた。
【0174】
本出願が優先権を主張する2016年9月29日に出願された米国仮特許出願第62/401,762号は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0175】
上記様々な実施形態を組み合わせて、さらなる実施形態を提供し得る。本明細書で参照されおよび/または出願データシートに列挙されている米国特許、米国特許出願公開、米国特許出願、外国特許、外国特許出願および非特許刊行物はすべて、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。必要に応じて、様々な特許、出願および刊行物の概念を用いてさらに別の実施形態を提供するために、実施形態の態様を改変し得る。上記詳細な説明を考慮して、これらのおよび他の変更を実施形態に行い得る。一般に、以下の特許請求の範囲において、使用される用語は、特許請求の範囲を本明細書および特許請求の範囲に開示される特定の実施形態に限定するように解釈されるべきではなく、このような特許請求の範囲が権利を有する全範囲の均等物と併せて、すべての可能な実施形態を含むと解釈されるべきである。

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