(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】最適な食事を評価及び計画するための改善された個人向けの栄養学的健康スコアを算出、表示、修正、及び使用するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
G16H 20/60 20180101AFI20220613BHJP
【FI】
G16H20/60
(21)【出願番号】P 2019524889
(86)(22)【出願日】2017-11-27
(86)【国際出願番号】 EP2017080451
(87)【国際公開番号】W WO2018099838
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-04
(32)【優先日】2016-12-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590002013
【氏名又は名称】ソシエテ・デ・プロデュイ・ネスレ・エス・アー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100140453
【氏名又は名称】戸津 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100144440
【氏名又は名称】保坂 一之
(72)【発明者】
【氏名】マイナルディ, ファビオ
【審査官】竹下 翔平
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/188480(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/050958(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3143571(JP,U)
【文献】特開2014-021723(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの食品及び前記少なくとも1つの食品についての少なくとも1つの量をユーザが指定することを可能にする食品入力制御部を、少なくとも1つの表示デバイスに表示させるように構成された食品入力モジュールと、
前記少なくとも1つの食品において決定された複数の栄養素の各々について、前記複数の栄養素の各々について前記栄養素の記憶されたRDA値及び記憶されたEAR値
の組み合わせに基づくか、或いはRDA値
及びEAR値が利用可能でない場合に、記憶された適正摂取量(AI)値に基づく最小摂取量と、前記複数の栄養素の各々について
少なくとも最小毒性量(LOAEL)又は無毒性量(NOAEL)に基づいて記憶された許容上限値(UL)に基づく最大摂取量とを決定し、
(a)少なくとも1つの栄養素である第1の栄養素について、前記栄養素についてゼロと前記決定された最小摂取量との間で増加し、前記栄養素について前記決定された最小摂取量と前記決定された最大摂取量との間で平坦であり、前記栄養素について前記決定された最大摂取量よりも多い量で減少する、第1の栄養素スコア関数を決定することと、
(b)前記複数の栄養素のうち第2の栄養素又は更なる栄養素について、前記栄養素についてゼロと前記決定された最小摂取量との間で増加し、前記栄養素について前記決定された最小摂取量と前記決定された最大摂取量との間で平坦であり、前記栄養素について前記決定された最大摂取量よりも多い量では減少しない、前記複数の栄養素の各々について第2の栄養素スコア関数又は更なる栄養素スコア関数を決定することとによって、前記複数の栄養素の各々に関する栄養素健康スコアを算出するように構成された栄養素健康スコア算出モジュールと、
前記栄養素健康スコア算出モジュールと共に動作することで、複数の潜在的な摂取可能物について複数の潜在的な栄養学的健康スコアを決定し、最も高い潜在的な栄養学的健康スコアをもたらす少なくとも1つの前記摂取可能物を推奨するように構成されている推奨モジュールと
を備える栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項2】
複数の栄養素のうち前記第1の栄養素、前記第2の栄養素及び更なる栄養素の少なくとも1つの異なる総摂取量に各々基づいて、複数の栄養素のうち前記第1の栄養素スコア関数、前記第2の栄養素スコア関数及び更なる栄養素スコア関数の少なくとも1つを用いてより高い栄養素健康スコアを算出し、前記より高い栄養素健康スコア及び前記異なる総摂取量の指標を表示させるように構成されたフィードバックモジュールを備える、請求項1に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項3】
前記第1の栄養素は、ナトリウムである、請求項1又は2に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項4】
前記第2の栄養素及び第3の栄養素は、繊維及びタンパク質からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項5】
前記栄養素健康スコア算出モジュールは、摂取された前記栄養素の量以外にも、少なくとも1つの追加の入力に基づくように更に構成されている、請求項1~4のいずれか一項に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの追加の入力は、体重及びカロリー摂取量からなる群から選択される少なくとも1つを含む、請求項5に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項7】
前記栄養素健康スコア算出モジュールは、前記複数の栄養素の各々について前記栄養素健康スコアの加重平均を算出することによって、全体的な栄養学的健康スコアを決定する、請求項1~6のいずれか一項に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項8】
前記加重平均は、前記ユーザの活動レベル、前記ユーザの年齢、前記ユーザの性別、前記ユーザの体重、前記ユーザの体格指数(BMI)、及び前記ユーザの健康状態からなる群から選択される、前記ユーザの少なくとも1つの特性に基づく、請求項7に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項9】
前記推奨モジュールは、前記少なくとも1つの推奨された摂取可能物を前記ユーザが食事に追加することを可能にする少なくとも1つの制御部を前記少なくとも1つの表示デバイスに表示させるように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項10】
前記推奨モジュールは、前記少なくとも1つの推奨された摂取可能物のうちの少なくとも一部を前記ユーザが食事から取り除くことを可能にする少なくとも1つの制御部を前記少なくとも1つの表示デバイスに表示させるように構成されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の栄養学的健康スコア判定システム。
【請求項11】
ユーザが少なくとも1つの食品及び前記少なくとも1つの食品に関する少なくとも1つの量を指定することを可能にする食品入力制御部を、少なくとも1つの表示デバイスに表示させるように構成されている食品入力モジュールと、
前記少なくとも1つの食品において決定された複数の栄養素の各々について、前記複数の栄養素の各々について前記栄養素の記憶されたRDA値及び記憶されたEAR値
の組み合わせに基づくか、或いはRDA値
及びEAR値が利用可能でない場合に、記憶された適正摂取量(AI)値に基づく最小摂取量と、前記複数の栄養素の各々について
少なくとも最小毒性量(LOAEL)又は無毒性量(NOAEL)に基づいて記憶された許容上限値(UL)に基づく最大摂取量とを決定し、前記栄養素についてゼロと前記決定された最小摂取量との間で増加し、前記栄養素について前記決定された最小摂取量と前記決定された最大摂取量との間で平坦であり、前記栄養素について前記決定された最大摂取量よりも多い量で減少する栄養素スコア関数を決定することによって栄養素健康スコアを算出するように構成されている栄養素健康スコア算出モジュールと、
(a)前記栄養素スコア関数を使用して、前記栄養素の異なる摂取量に基づいて、少なくとも1つの栄養素についてより高い栄養素健康スコアにおいて算出し、(b)前記より高い栄養素健康スコアと、前記異なる摂取量との指標を表示させるように構成されているフィードバックモジュールと、
前記栄養素健康スコア算出モジュールと共に動作することで、複数の潜在的な摂取可能物について複数の潜在的な栄養学的健康スコアを決定し、最も高い潜在的な栄養学的健康スコアをもたらす少なくとも1つの前記摂取可能物を推奨するように構成されている推奨モジュールと
を備える栄養学的健康スコア判定システム。
【発明の詳細な説明】
【著作権表示】
【0001】
[0001]この特許文書の開示の一部には、著作権保護の対象となる資料が含まれている。著作権者は、特許商標庁の特許ファイル又は記録に記載されている正確な形式での、特許文書又は特許開示の複写複製に異論を唱えないが、それ以外の場合には、全ての著作権を留保するものである。
【技術分野】
【0002】
[0002]本開示は、概ね、集団の栄養学的健康に対する食事摂取の影響を算出するためのシステム及び方法に関するものである。より具体的には、本開示は、食材、食品、食事、又は(一定期間の)食事などの特定の食品の栄養含有量が、個人にカスタマイズされた複数のいわゆる健康範囲内にあるかどうかを判断し、それらの判断に基づいてスコアを算出するためのシステム及び方法に関する。本開示は、推奨摂取量を判定する工程に加えて、栄養摂取の下限及び上限が判定されるように、栄養摂取に関する上端及び下端(upper and lower endpoints)、すなわち範囲について更に説明する。例えば、本開示では、個人が摂取するのに摂取可能な適切な最小量を決定するために、推定平均必要量(Estimated Average Requirement、EAR)及び推奨栄養所要量(Recommended Dietary Allowance、RDA)に有利に依存する実施形態がある。
【背景技術】
【0003】
[0003]過去1世紀にわたって、栄養不足は、特に先進国では概して減少しており、感染症の発生率も低下している。同時に、食事に関連した慢性疾患の割合が上昇している。全国調査(例えば、米国の国民健康栄養調査(National Health and Nutrition Examination Survey))は質の貧弱な摂食パターンを明らかにしている。心血管疾患、高血圧、2型糖尿病、いくつかの癌、及び骨の健康不良は、かかる摂食パターンとある程度の相関関係を有することが示されている。太りすぎ又は肥満の人々の割合は増加している。これらの貧弱な摂食パターンは、飽和脂肪や砂糖などの特定の栄養素の過剰摂取に対応するだけでなく、ビタミンB6や葉酸などの他の重要な栄養素の摂取量が少ないことにも対応することを認識することが重要である。
【0004】
[0004]より健康的な食品を選択することは、肥満、心血管疾患、糖尿病及びいくつかの癌などの非伝染性の疾患を予防するのに役立つ。ガイドラインには、健康的な摂食に関する一般的な集団の推奨事項が記載されている。かかるガイドラインは、栄養表示、健康強調表示、栄養教育、献立計画、並びに食品のマーケティング及び広告、に関するコンテンツを推進することができる。より健康的な食品の選択に対する推奨は、概して2つのレベル精度において、即ち食品群のレベル(例えば、より多くの果物を食べる、より多くの全粒穀物を食べる)又は栄養素レベルにおいて知られている。ただし、これらの一般的なガイドラインは、多量栄養素レベル又は微量栄養素レベルで個人向けの栄養推奨を提供するようには設計されていない。
【0005】
[0005]個人の全体的な健康に、食材、食品、食事、又は(一定期間の)食事などの特定の摂取可能物が及ぼす影響を定量化し追跡するために多大な努力が払われてきた。例えば、1980年から5年ごとに、米国農務省(USDA)は、米国保健福祉省(HHS)とともにいわゆるアメリカ人の食事ガイドラインを発表している。USDAは、これらのガイドラインは、カロリーの摂取を減らし、情報に基づいた食品を選択し、健康的な体重を達成し維持するために身体的に活動的であることに関するアドバイスを提供していることを述べている。(http://www.cnpp.usda.gov/DietaryGuidelines)
【0006】
[0006]同様に、他の多くの国内及び国際機関は、あらゆる年齢の外見上健康な個人のための、1日に摂取する栄養素に関する推奨を発表している。これらの推奨は、以下を含む多くの状況で適用される:学校、刑務所、病院、又は老人ホーム用の食事の構成;業界における新しい食品の開発;医療政策立案者及び公衆衛生当局による意思決定。
【0007】
[0007]この目的のために、米国の医学研究所(IOM)は、食事摂取基準(DRI)と呼ばれる一般的な枠組みを作成した。この基準の枠組みは、その後に他の国々によっても採用されている。IOMの枠組みの下では、十分な知識が利用可能な特定の栄養素について、DRIのセットは次のように定義されている:
・推定平均必要量(EAR):特定の世代区分及び性別グループにおける半数の健常者の必要量を満たすと推定される平均1日栄養素摂取量
・推奨栄養所要量(RDA):特定の世代区分及び性別グループにおけるほぼ全て(例えば、97~98パーセント)の健常者の栄養素必要量を満たすのに十分な平均1日栄養素摂取量
・許容上限摂取量(UL):一般集団のほぼ全ての個人に健康への悪影響のリスクがないと思われる最高平均1日栄養素摂取量;摂取量がULを超えて増加すると、悪影響の潜在的なリスクが増加する。
・適正摂取量(AI):外見上健康と思われる一群(又は複数の群)の人々に摂取される、栄養素摂取量の観測された又は実験的に決定された概算値又は栄養素摂取量の推定値に基づいた、適正であると想定される、推奨平均1日栄養素摂取量;これは、RDAが決定できない場合に使用される。
【0008】
[0008]上記のDRIは、個人が自分自身に合うように求めることができる一般的な枠組みを提供するが、それでもなお、栄養学的健康全体に対する摂取可能物の実際の影響を個人が追跡することができるようにするには不十分なツールである。具体的には、これらのメカニズムは単なるガイドラインにすぎないので、個人が達成しようとするべき実際の栄養目標、及びそれらの目標が達成されたかどうか/いつ達成されたかを個人が決定するのは困難である。即ち、所定の期間にわたって摂取されるべき特定の栄養素の健康的な量を決定し、それらの健康的な量が実際に摂取されたかどうかを追跡することは、個人にとって困難である。
【0009】
[0009]特定の既知のツールによれば、ユーザは栄養素の摂取を追跡することができるが、かかる既知のツールでは、摂取された食品からの栄養素摂取量を測定し、スコア付けし、栄養素摂取量をDRIと比較して改善のための指針を提供する機能が得られない。
【0010】
[0010]更に、栄養学的適正度又は悪影響の基準を定義する端点(endpoints)は、栄養素、端点が適用される個人の世代区分及び性別によって異なる。上記のメカニズムの中には、この細分性を欠いているものがある。
【0011】
[0011]栄養学の専門家や個人がより具体的な栄養摂取目標をナビゲートするのを助けるために、食品科学者は食品、食事及び(一定期間の)食事の健康度又は不健康度を評価するためのスコア付けシステムを開発することを試みた。しかし、評論家は、これらが方法論的に弱いことをしばしば指摘してきた。食品にスコアを適用しようとする特定の既存の方式では、食品を摂取する個人又は摂取された食品の量を考慮せずに、単一のスコアが決定されて食品自体に適用される。所定の食品の栄養学的健康は、食品(例えば、個人の、カロリーの又は他の栄養学的な必要量)を摂取する個人及び摂取される食品の量(例えば、アイスクリームの半カップ対アイスクリームの半ガロン)の双方に依存するので、これは役に立たない。
【0012】
[0012]既知のシステムによる大部分の栄養学的スコアは、ほとんど全ての群全体の必要量を網羅するという意味で最も保護的な価値であるという仮定に基づいて、各栄養素の最小摂取量について単一の推奨値、通常RDAを用いる。このアプローチの限界は、計算された栄養学的スコアが集団の最も敏感な個人に合わせて作られているということであり、そして本開示で認識されるように、所定の個人に関する実際の必要量はEARを追跡する可能性が高いという事実を反映していないことである。
【0013】
[0013]George H.Beaton(「Choice of DRI Value for Use in Nutrition Labeling」、Journal of Nutrition、2007)を含む何人かの著者は、EARが栄養学的スコアとしてより良い選択であると主張している。ただし、EARのみを使用しても、このアプローチは、DRIを定義する概念的枠決めによって提供される情報の一部しか利用しないため、満足のいくものではない恐れがある。
【0014】
[0014]EAR又はRDAの値のみを使用するアプローチの弱点のいくつかの具体例は、一例によって見ることができる。妊娠中でも授乳中でもない31~50歳の女性に対して、医学研究所はビタミンDのDRIを以下のように提示している。
・ EAR=625μg/日
・ RDA=900μg/日
・ UL=3000μg/日
これらの数値はビタミンDの「健康的な摂取量」のセットを定義し、およそ900~3000μg/日の範囲である。900をわずかに下回る摂取量は所定の個人にとって適正である可能性が高い一方で、3500μg/日の単回摂取は健常者に悪影響を及ぼす可能性が低いということから、この間隔の端点はあいまいであり、確率的な観点で解釈しなければならない。しかし、3500μg/日の摂取量が一部の個人にとって時間の経過とともに有害になる恐れがあるため、かかるモデルでのかかる「あいまいな」端点を使用でさえも、その事実を考慮できないため、不十分である。言い換えれば、栄養学的スコアを導き出すための単一の点としてEAR又はRDAのいずれかを単独で使用すると、必要量に関する個人間のばらつきに関する情報を無視することになる。したがって、かかるアプローチは使用可能な栄養学的スコアを算出するのに不適切である。
【0015】
[0015]既存のシステム及び方式は、通常、栄養素をいわゆる「適格」栄養素又はいわゆる「不適格」栄養素として分類しようとしてきた。一般に、「適格」栄養素は、下限を有するものとみなされ、下限を超えることは「良い」ことと、下限を下回ることは「悪い」ことと、みなされてきた。同様に、「不適格」栄養素は、上限を有するものとみなされ、上限を下回る状態にあることは一般的に「良い」ことと、上限を超えることは一般的に「悪い」ことと、みなされてきた。これらのスキームは、あらゆる種類の栄養素(又は食品の他の測定可能な側面)への影響を追跡する一般的なメカニズムを提供することができないので、十分ではない。このメカニズムは、適切であれば過剰摂取を説明し、特定の栄養素が求められない場合、過剰摂取を定義する必要がない。
【0016】
[0016]多くの既存の測定法(健康的食事指標(Healthy Eating Index)を含む)との別の重要な違いは、密度測定に依存していることであり、これは、食事成分をスコア付けするために使用される範囲がカロリー摂取(例えば、1000キロカロリー当たり)に対して定義されることを意味する。これは、スコアが実際に摂取された量とは無関係であることを意味する(全ての量に同じ係数を乗じても、指標の値は変化しない)。しかし、食事基準摂取量は一般的に所定期間の絶対量として定義されており、かかる定義のほとんどはエネルギー摂取量に直接関連していない。
【0017】
[0017]他の既知のシステムでは、栄養バランススコアは、摂取された栄養素の完全性の表示を推進するために利用されてきた。これらのシステムはDRI値を利用し得るが、所望の最小限度を有する栄養素のサブセット(典型的にはビタミン及びミネラル)をスコア付けするだけである。摂取されるビタミン及びミネラルの全体的な完全性は、0~100のスコアが与えられるように修正することができる。ここで、全てのビタミンとミネラルがその限界以上に摂取された場合に100が与えられ、栄養素のその限界より少ない摂取に基づいて100の一部が与えられる。これらのスコア付けシステムは健康的な範囲を考慮に入れておらず、それを超えると摂取が不健康になる上限を考慮することができない。多くのビタミンやミネラルは、不健康な中毒性の摂取量を有しており、これらのシステムは不健康な高量として考慮されることができない。更に、脂肪や砂糖のように有益に制限し得る栄養素も考慮されていない。最後に、そして重要なことに、栄養学的スコアを作成するために下限閾値しか利用しないことは、摂取が増加するとスコアだけが増加するので、摂取量の関数として最適化することができないスコアをもたらす結果となる。
【0018】
[0018]既知のシステム及び方式はまた、異種集団又は個人のスコア付けを改善するための適切な精度レベルで構築されていないため、不十分である。それどころか、1組の値を使用して、集団及び全ての個人について、単一のスコアを定義するものである。この精度が欠如するため、既知のシステム及び方式による異なる個々の栄養ニーズを有する異なる個々のユーザへのカスタマイズが妨げられている。
【0019】
[0019]必要とされているのは、特定の開発された最小摂取量の組み合わせを使用して、人の栄養状況及びニーズをより厳密に反映する、個人のための栄養素の最小摂取量を導出するシステムである。
【0020】
[0020]更に必要とされているのは、特定の個人に特有の栄養素必要量を考慮して、この栄養学的健康スコアの複数の値を算出し、摂取された食品の異なる量についてスコアがその個人にカスタマイズされるようなシステムである。
【0021】
[0021]更に必要とされているのは、運動競技におけるパフォーマンスなどの特定の使用ケース又は目的のためのスコアプロファイルを設計するために、調整可能な栄養素のセット及び調整可能な体重/許容値に基づいてカスタマイズされた栄養学的健康スコアを算出するシステムである。
【0022】
[0022]更に必要とされているのは、摂取可能物を追加又は除去することが個人の全体的な栄養学的健康スコアに及ぼす影響を算出することができるシステムである。このシステムによれば、全ての必要な栄養素が(所定の日又は週などの)所定期間の間、健康的な量で摂取されることを確実にするために、個人が摂取することのできる追加の(又はその個人の食事から除去することができる)摂取可能物の推奨を行うことができる。
【0023】
[0023]更に必要とされているのは、栄養素摂取のための有用な端点を決定することができるシステムであり、各栄養素の最小量及び最大量(「良い」か「悪い」かを問わず)を決定し、これらの端点を反映するスコアを介して全体的な栄養学的健康度を評価するために、これらを使用することができる。
【0024】
[0024]本開示は、上記のニーズを満たす栄養学的健康スコア付けシステムを記載するものである。したがって、本開示は、上記の従来の栄養学的管理技術の欠点を克服するシステム及び方法を説明している。
【発明の概要】
【0025】
[0025]本開示は、情報が利用可能であるときはいつでも、集団内の栄養素必要量の分布に基づく。さまざまな実施形態において、開示された方法によって算出されたスコアは、効用関数として解釈することができ、次に、経済分析からの技術及びゲーム理論を栄養及び食事計画の状況に適用することができる。したがって、本明細書に開示されているシステム及び方法は、典型的な栄養ニーズに関して、食事がいかにバランスが取れて適切であるかの有効かつ信頼性のある指標として使用することができるものと考えられる。
【0026】
[0026]さまざまな実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、DRI又は他の摂取推奨方式の完全な知識及び分布特性を用いて食事の質を評価する。いくつかの実施形態では、開示されたシステム及び方法は、その栄養素が一般に「良い」又は「悪い」として特徴付けられるかどうかに関わらず、各栄養素についての推奨摂取量の「上限」及び「下限」を考慮に入れる。特に、本明細書に開示されているシステムの実施形態は、EARとRDAの組み合わせを使用している。次に、開示されたシステムは、所定の期間にわたり個人のために個人化された最小摂取量を決定し、そしてこの量に基づいて栄養学的健康スコアを算出することができる。このようにして、いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法によれば、実際に摂取される栄養素量が食事基準摂取量からどれだけ離れているかを測定することができる。
【0027】
[0027]いくつかの実施形態では、基準摂取量からの距離は、以下に詳細に記載するように、全体的な栄養学的健康度を評価するために更に使用することができる。これによって、単一の値ではなく集団内の栄養必要量の分布により大きく重点を置くべきであって、確率及びリスクの概念がDRIの決定を明確に支持し、評価及び計画におけるそれらの適用について情報を提供する、という医学研究所のさまざまな報告書の推奨に対して、本明細書に開示されたシステム及び方法はより厳密に従うことができる。
【0028】
[0028]さまざまな実施形態において、本明細書に開示されるシステム及び方法は、その栄養素の推奨量が絶対重量の単位で表される場合(例えば、DRIにおいて)、栄養素摂取量の絶対量(上限及び下限並びに推奨摂取量)を導出及び使用する。
【0029】
[0029]開示されたシステムの実施形態では、個人ごと(又は集団ごと)のベースで食事を評価、計画、及び最適化するためのさまざまなソフトウェア及び分析ツールを提供し、推奨摂取量と、最小及び最大摂取量の端点と、の双方を考慮する。さまざまな実施形態において、開示されたシステムは、摂取されるべき最小限の量に関して、栄養学的適正度を決定する。
【0030】
[0030]いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、栄養士、ヘルスケア専門家、及び個々のユーザ(例えば、スマートウォッチ又はフィットネストラッカなどの装着型デバイスのユーザ)によって使用することができる。例示的な実施形態では、本明細書で開示されるシステムは、食事及び(一定期間の)食事の栄養バランスを測定するための単一のスコアを算出するためのアルゴリズムを実行するように構成された少なくとも1つのプロセッサを備える。この実施形態では、アルゴリズムは、個人(又は個人の集団)に特有の要因を考慮し、その個人(又は集団)の食事内の複数の栄養素に基づいてスコアを決定する。一実施形態では、「栄養バランス」は、一般的な食事の推奨量、主に医学研究所からの食事基準摂取量に関して使用される用語である。
【0031】
[0031]さまざまな実施形態において、開示されたシステムへのユーザ固有の(又は集団固有の)入力はプログラム可能かつ構成可能であり、性別、年齢、体重、身長、身体活動レベル、妊娠中か授乳中かどうか、などを含む。
【0032】
[0032]いくつかの実施形態において、本明細書に開示されるシステムは、最大量に関して栄養素摂取量の適切度を評価するように構成される。これらの実施形態では、システムは毒性及び特定の栄養素又は摂取可能物を大量に摂取することによる悪影響を考慮に入れる。いくつかのかかる実施形態では、全体的な健康スコアを算出するときに、認識された有害な最大摂取量を有する栄養素又は摂取可能物(即ち、過度に摂取することが有害であり得る品目)のみが考慮に入れられる。他の実施形態では、認識された有害な最大摂取量のない栄養素が、全体的な健康スコアを決定するために使用される。これらの栄養素について、個々の栄養素健康スコアは、栄養素が更に摂取されても減少しないが、これは認識された最大量が存在しないという事実を表す。
【0033】
[0033]一実施形態では、開示されたシステムは、食品又は食品成分品目及び各々の栄養素含有量を含むデータベースを含む又はそれに接続されている。この実施形態では、開示されたシステムは、摂取した(又は摂取予定の)食品をユーザが入力することを可能にして、その後ユーザ提供の品目に最も近い品目を見つけるためにデータベースを検索するファジー検索機能を備える。この実施形態では、開示されたシステムは、後述するように、一致した食品に関する記憶された栄養学的情報を使用してスコアを決定する。
【0034】
[0034]さまざまな実施形態において、開示されたシステムは、食事を構成する各食品において利用可能な各栄養素の量を表示するためのインターフェース(例えば、グラフィカルユーザインターフェース)を更に備える。いくつかの実施形態において、このインターフェースは、ユーザが摂取すべきさまざまな食品の量を修正することを可能にし、それに対応して修正された摂取されるべき食品の量に基づいて健康スコアを表示する。他の実施形態では、システムは、1つ以上のバーコード、QRコード、又はRFIDタグをスキャンすることによって、又はメニューから注文された品目又は食料品店で購入された品目を追跡することなどによって、ユーザ入力以外のデータを使用して摂取される食品の量を決定するように構成される。
【0035】
[0035]いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、特定の個人又は個人の集団について、食品の栄養含有量の適切度を算出するように構成される。これらの実施形態では、食品又は他の摂取可能物の栄養価の「適正度」は、性別、年齢、身体測定値、及び妊娠又は授乳などの他の健康関連状態などの情報を含むユーザプロファイルに基づく。
【0036】
[0036]いくつかの実施形態では、その十分な摂取量が適正摂取量(AI)値に関して定義される特定の栄養素についての栄養素スコアは、最大スコアと個人によって摂取されるAI値の百分率とのうちの小さい方として算出される。したがって、本明細書に開示されるシステムは、確立されたEAR及びRDA値を栄養素が持たない場合でも、その栄養素に関するスコアを計算することができる。
【0037】
[0037]いくつかの実施形態では、開示されたシステムは、個人(又は集団)の全体的な栄養バランスを最大化することになる、個人(又は集団)に特定の食品を推奨する推奨機能を備えている。かかる実施形態では、開示されたシステムによって実行されるアルゴリズムは、栄養バランスを改善するための推奨リストを生成し、食事の計画及び評価に関する、栄養士にとって価値のあるツールとなることができる。
【0038】
[0038]さまざまな実施形態では、本明細書に開示されたシステムは、所定の期間の個人のカロリー摂取範囲及び対応する栄養摂取量の健康的な範囲に基づいて、個人に合わせた1つ以上の栄養学的健康スコアを算出する。算出されたスコアは、栄養素摂取量が健康的な範囲内にあるかどうかに基づいており、栄養素の過小摂取量だけでなく、栄養素の過大摂取量によっても影響される。これらのスコアによれば、十分な栄養素を摂取しているかどうか個人が判断することができ、そして、そうでない場合には、どの追加の栄養素を摂取する必要があるかをその個人が判断することができる。開示されたシステムはまた、摂取された(又は食事から削除された)場合にその個人にとって健康的な栄養素範囲内にあると判断された量の栄養素を個人に提供する摂取可能物を追加又は除去するための提案を行う。
【0039】
[0039]さまざまな実施形態では、開示されたシステムによって算出された栄養学的健康スコアは、スコアが算出される個人の栄養学的健康度を示す。これらの実施形態で使用される栄養学的健康度とは、個人が摂取した栄養素が、特定の期間にわたり個人の健康的な栄養素の範囲内にある程度を指す。これらの実施形態では、例示的な栄養素は、微量栄養素(例えば、カルシウム、コレステロール、繊維)及び/又は多量栄養素(例えば、炭水化物、タンパク質及び飽和脂肪)を含むことができる。開示されたシステムを使用して評価することができる栄養素の種類は、以下で更に詳細に説明する。
【0040】
[0040]開示されたシステムのさまざまな実施形態は、全ての栄養素が健康的な摂取範囲を有するという前提に基づいている。即ち、開示されたシステムの実施形態は、良い又は悪い栄養素はなく、したがって本質的に良い又は悪い食品はないという前提に基づいている。その代わりに、各栄養素(又は食品)について、人は摂取量の健康的な範囲内又は範囲外の量を摂取する。これらの実施形態では、栄養素の健康的な範囲は個人ごとに異なる可能性があり、これは栄養学的健康度の評価が特定の個人のニーズに依存することを意味する。例えば、特定の栄養素の健康的な範囲は、人が妊娠しているか授乳中であるかどうか、人が糖尿病を有するかどうか、肥満であるかどうか、重大な介護患者であるかどうか、アレルギーがあるかどうか、又は、運動選手であるかどうかに応じて、人が違えばさまざまである。以下に説明するように、人にカスタマイズする方法で、異なる栄養素の健康的な範囲を変化させることによって、開示されたシステムによって提供される算出された栄養学的健康スコアは、各個人のユーザにもカスタマイズされる。
【0041】
[0041]開示されたシステムのさまざまな実施形態では、ユーザのカロリー摂取量又は決定された適用可能なDRI(毎日の基準摂取量)値のセットなどのユーザの栄養ニーズに基づいてカスタマイズされたダッシュボード又は他の適切なユーザインターフェースをユーザに表示する。開示されたシステムは、(食材、食物、食事、又は(一定期間の)食事などの)摂取可能物の栄養価を示すスコアを算出し、ダッシュボードによってユーザにそのスコアを表示する。これらの実施形態では、算出されたスコアは、所定の期間にわたって摂取される食品(したがって栄養素)の量の関数であり、スコアが、個人の集団に消費製品の一般的な栄養価を示すのとは対照的に、単一の特定の個人に対する摂取可能物の栄養価を示すように、個々のユーザにもまた合わせて調整される。かかる実施形態では、開示されたシステムは、摂取可能物に含まれる各栄養素について、摂取可能物の栄養素含有量がユーザに適合する範囲内にあるかどうかを判定することによって、構成成分の栄養素健康スコアを算出する。次いで、システムは、個人に対する摂取可能物の全体的な栄養学的健康量による影響を反映する各栄養素に起因する加重パラメータ及び/又は感度値の個人化されたセットに基づいて、構成成分のスコアを合成又は集計して、総計スコアを求める。したがって、さまざまな実施形態において、栄養学的健康スコアは、栄養摂取量が、栄養素の健康的範囲外にある個々の栄養素スコアの加重平均として、画定された栄養学的健康範囲内に存在する程度を表すと言える。
【0042】
[0042]さまざまな実施形態では、開示されたシステムは、複数の栄養学的健康スコアを算出し表示して、特定の摂取可能物を摂取することによる栄養学的影響の完全なイメージを提供するように構成される。一実施形態では、スコアは、所定の期間にわたって摂取された食品の量、及びスコアが算出される個人の特性を考慮に入れた式に従って算出される。一実施形態では、特定の個人について、異なる目的のために複数のスコアを提供することができる。一実施形態では、開示されたシステムは、所定の摂取可能物について少なくとも2つの異なるスコアを算出する。1つは、摂取された食品の現在又は実際の量の栄養含有量を示すスコアであり、もう一つは、設定された期間にわたって摂取される食品の量が変化する場合の、その食品の最高可能スコアである。したがって、例えば、本システムは、個人が1日に1/4ポンドの鶏肉を摂取したので、この人のスコアはXであるが、この人がその日に追加の鶏肉1/4ポンドを摂取すれば、鶏肉に関するこの人のスコアは、最大値Y>Xになるであろうという表示を提供することができる。言い換えれば、開示されたシステムは、構築された食事のスコアを提供することができ、追加の食品品目が摂取された場合、又は特定の摂取食品が食事から除去又は縮減された場合に達成される最適スコアを提供することができる。
【0043】
[0043]開示されたシステムのさまざまな実施形態はまた、助言機能も提供する。これらの実施形態では、所定の期間(例えば、所定の日)の個人の栄養及びカロリーのニーズを画定する範囲に基づいて特定の個人の栄養学的健康スコアを計算した後、開示されたシステムは、その個人が必要とする栄養素を得るために残りの期間にわたって摂取され得る摂取可能物の組み合わせを提案する。例えば、朝食及び昼食について特定の食品を食べたことを個人が示した場合、開示されたシステムは、その個人に適用可能なカロリー摂取量範囲内にあるカロリー量をその個人がなお摂取する間に、その個人がその日に必要な栄養素を全て得ることを確実にする夕食メニューを提案することができる。この実施形態では、開示されたシステムによって提供される推奨内容が最適化される。本システムは、そのデータベースに記憶された複数の食品が全体的な栄養学的健康スコアに及ぼす影響を判断し、栄養学的健康スコアを最適に増加させる結果となる食品を提案する。
【0044】
[0044]一実施形態では、本システムは、各栄養素の栄養素健康スコアを決定する前に、摂取可能物又は摂取可能物のグループの栄養素含有量の合計を決定する。この実施形態では、各栄養素の栄養素健康スコアは、栄養素含有量がその個人の範囲外の場合は1(又はいくつかの他の最大値)未満であり、栄養素含有量がその個人の範囲内である場合は1(又はいくつかの他の最大値)である。栄養学的健康スコアが、ある量だけ1(又はいくつかの他の最大値)と異なる場合のその量は、摂取可能物内の栄養素が個人に理想的であると判断される範囲の範囲外である程度を示す。このスコア付けの算出はまた、栄養素が過小に摂取されている(即ち、栄養素の健康的な範囲よりも少ない量で摂取されている)量、及び、その栄養素が過大に摂取されている(即ち、栄養素の健康的な範囲よりも多い量で摂取されている)量の双方を考慮に入れている。
【0045】
[0045]摂取可能物の個々の栄養素の構成成分栄養学的健康スコアが与えられると、開示されたシステムは更に、栄養素のスコアの加重平均を算出することによって、総計栄養学的健康スコアを算出する。さまざまな実施形態では、これは、スコア付けプロファイルにおける各栄養素に加重値を割り当て、その栄養素の栄養学的健康スコアにその加重を乗じて、摂取可能物の栄養素の全スコアを合計することによって行われる。一実施形態では、加重スコアは合計100になる。結果として、この実施形態における全体的な栄養学的健康スコアは、100以下の数となる。摂取可能物の各栄養素の成分栄養学的健康スコアが各々1(摂取可能物の各栄養素がその個人の健康範囲内にあることを意味する)である場合、全体的な栄養学的健康スコアは100となる(即ち、栄養素成分の加重値の合計)。したがって、一実施形態では、スコア100は、個人の栄養素必要量の各々が満たされていることを示し、100未満の数は、それらが満たされていないことを示し、その差は、その量だけ栄養素必要量が満たされていないことを表す。
【0046】
[0046]したがって、摂取される個々の食品は、単一の静的なスコアを有しておらず、むしろ、(異なるカロリー摂取必要量又は摂取される食品の異なる量などの)異なる条件下での食品のスコアを決定するために使用することができる、個人に合わせたスコア付けのプロファイル又は関数を有する、という点において、開示されたシステムは既知のシステムにまさる利点を提供することを理解されたい。更に、スコア付けプロファイルを算出する際に、開示されたシステムは、最小量未満又は最大量を超える量を摂取することによって個人の全体的な健康に害を及ぼさないように、個人が摂取すべき最小値及び最大値の双方を表す端点を考慮する点で有利であることを更に理解されたい。
【0047】
[0047]さまざまな実施形態では、開示されたシステムは、栄養学的健康スコアを算出するために必要な値の一部又は全部を1つ以上のデータベースに記憶する。例えば、開示されたシステムは、個人の年齢、性別、及び、体重又は体格指数(BMI)に基づいて、個人のカロリー摂取量範囲のテーブルを記憶してもよい。この実施形態では、所定の期間の個人のカロリー摂取量範囲を決定するために、その個人は、年齢、性別、体重又はBMIをシステムに提供しなければならない。したがって、開示されたシステムは、データベースのルックアップ又は計算を実行することによって、所定の個人の所定の期間のカロリー摂取量範囲を決定することができる。
【0048】
[0048]一実施形態では、開示されたシステムを用いれば、ユーザは、年齢、性別、及び体重/BMIを示すことによって、自分に合うように栄養学的健康スコアをカスタマイズすることができる。これは個人のカロリー摂取量範囲に影響を及ぼし、したがって、システムによって追跡される各栄養素の下側及び上側健康限界値に影響を及ぼす。別の実施形態では、開示されたシステムでは、身体タイプ、身体活動レベルなどの追加の情報をユーザが指定できるようにすることによって、更なるカスタマイズが得られる。この実施形態では、開示されたシステムにより、これらの追加の入力を使用して、異なる個人の最適なカロリー摂取量範囲だけでなく、システムによって追跡される栄養素の下側及び上側の健康限界値をも調節するものである。例えば、個人が、自分は比較的運動量が多く強健であることを示す場合、システムでは、その人の追加の炭水化物の必要性を考慮して、炭水化物の栄養素範囲を上方に調節することができる。
【0049】
[0049]したがって、開示されたシステムのさまざまな実施形態を用いれば、有利なことに、以下のステップを実行することによって、個人の栄養学的健康スコアを算出することができる。
(1)スコア付けする複数の栄養素の指標を記憶するステップ。
(2)個人に特有の方法でさまざまな適切な組織からのさまざまな推奨を組み合わせることによって決定される下限の摂取量を含む、保存された各栄養素の健康的な範囲の指標を記憶するステップ。
(3)各栄養素について適切であるように、システムが端点を超えた過大消費と過小消費を調節できるようにするために、栄養素摂取の端点の指標を保存するステップ。
(4)各栄養素及び/又は各個人ごとのスコアの重み付けと個人の許容値を保存するステップ。
(5)特定の摂取可能物について、各成分栄養素の栄養素健康スコアを算出するステップ。
(6)各栄養素の加重値を適用して、摂取可能物の総合栄養学的健康スコアを算出するステップ。
【0050】
[0050]開示されたシステムのさまざまな実施形態では、更に有利なことに、算出された栄養学的健康スコアに基づいて、ユーザに栄養学的アドバイスを提供する。例えば、開示されたシステムの実施形態では、個人がそれらの栄養素の健康量範囲内に位置するために必要とされる栄養素の量を決定する。次に、これらの実施形態では、摂取可能物(例えば、食品又は食材)のデータベースを分析して、その個人に関する最適なカロリー摂取量範囲内にそのユーザがまだ留まっている間に、そのユーザが健康量範囲に位置するために必要な量の栄養素を提供する摂取可能物の組み合わせを決定する。
【0051】
[0051]さまざまな実施形態では、開示されたシステムは、開示されたシステムを使用して個人に関する実際のデータを生成する研究所又は、他の試験施設と連携して動作する。例えば、一実施形態では、開示されたシステムによって、個人がさまざまな栄養素を過大に摂取しているか又は過小に摂取しているかを含む個人の血液の組成を判定するために、ユーザは血斑試験(blood spot test)を受けることができる。かかる実施形態では、この試験及び研究所の作業により、システムは自分の推奨内容が機能していることを検証すること、即ち、スコア付け関数がユーザの摂取量範囲が所望の範囲内であることを示す場合に、ユーザが実際に十分な栄養素を摂取していることをシステムは検証することができる。さまざまな実施形態において、他の体液(例えば、尿、脳液など)を用いてこれらの検証を実施することができる。これらの実施形態では、ユーザの実際の体液構成のデータによって、個人について算出された「良い」スコアが、その個人が実際に十分な栄養を摂取していることを意味することを確実にするように、システムは自らを較正することができる。例えば、特定の栄養素に対する100のスコアが、本明細書に記載される未較正の式に基づいて算出される場合、システムは、体液測定を使用して、個人が十分な栄養素を実際に摂取しているかどうかを判定することができる。個人が所定の栄養素を過小に(又は過大に)摂取している場合には、体液測定結果を使用してスコア付けアルゴリズムを変更して、100のスコアが、特定の個人の特定の栄養素の理想的な摂取量を実際に表すことを確実にすることができる。
【0052】
[0052]本開示の更なる利点は、以下の「発明を実施するための形態」及び関連する図面から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【
図1】本明細書で開示されるコンピュータ化された栄養学的健康スコアシステムを実装するのに使用可能なホストデバイスの電気システムの実施例を例示するブロック図である。
【
図2a】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2b】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2c】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2d】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2e】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2f】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2g】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2h】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図2i】開示されたシステム及び方法によって追跡可能なさまざまな栄養素に関する本明細書に記載のスコア付け関数のプロットである。
【
図3】本明細書に開示されるシステムの一実施形態に係る、牛レバーの摂取された部分に基づくビタミンAに関するスコア付け関数のプロットの例である。
【
図4】上記の方程式によって算出された特定量のカルシウムに対する栄養素スコアを、推奨摂取量(RDA)の百分率と比較した比較プロットを示す図であり、双方共に米国における人々のカルシウムの摂取量の相対パーセンタイルと比較したものである。
【
図5】例示的な食事の摂取に関する複数の栄養素健康スコアのスクリーンショットである。
【
図6】特定のモデル栄養素の摂取量データを使用した栄養学的健康スコアの複数の箱ひげ図である。
【
図7-1】
図6の作成に使用されたデータに関する個々の栄養素スコアの内訳を示している。
【
図7-2】
図6の作成に使用されたデータに関する個々の栄養素スコアの内訳を示している。
【
図7-3】
図6の作成に使用されたデータに関する個々の栄養素スコアの内訳を示している。
【
図8】
図6を作成するために使用されたデータに関する栄養素スコアの散布図を示す。
【
図9】
図6を作成するために使用されたデータに関する栄養素スコアの相関プロットである。
【
図10】
図6を作成するために使用されたデータの中のデータに基づく、一日の間の合計スコア、ナトリウム栄養素スコア、及び繊維栄養素スコアの変化を示すチャートである。
【
図11】単一の食事(即ち、昼食)のみに基づいて一日の食事に関する複数のスコアの表示例を示す例示的なダッシュボードのスクリーンショットである。
【
図12】
図11のようなダッシュボード例のスクリーンショットであり、1日分の摂取量が示されている。
【
図13】ユーザが自分自身に関する情報を入力することができる例示的なデータ入力画面のスクリーンショットである。
【
図14】開示されたシステムの一実施形態を示す画面例のスクリーンショットであり、この画面では、開示されたシステムのユーザによって、数日分の摂取量を調節することができる。
【
図15】異なるライフスタイルを有する一対の個人に関する複数の栄養素健康スコアのスクリーンショットを示す。
【
図16】異なるライフスタイルを有する一対の個人に関する複数の栄養素健康スコアのスクリーンショットを示す。
【発明を実施するための形態】
【0054】
[0068]概して、本明細書に開示されるシステムは、栄養素の摂取の影響を示すスコアを算出し表示するものである。これらのスコアは、個人の特定のニーズを考慮した摂取の影響を反映するように、消費製品を摂取する特定の個人に合わせて調整される。更に、摂取量が端点によって画定された範囲内にない場合、スコアは摂取可能物の過大摂取又は過小摂取によって端点を超えたかどうかを反映して適切に調整される(例えば、大幅に変更)。本明細書に開示されるシステムの特定の実施形態では、下限の端点(即ち、最小摂取量)は、EAR値とRDA値との組み合わせを使用して、個人について決定される。特定の実施形態では、上限の端点(即ち、摂取されるべき最大量)が存在する場合、この上限の端点はUL値を使用して決定される。
【0055】
[0069]特定の実施形態において、開示されたシステムは、食事の全体的な栄養含有量を改善するために、特定の食事が与えられた場合、その所定の食品の一組の別の量、そして結局は一組の別の食品を推奨するという全般的な目的を満たす。総合スコアは個人の全般的な特性(性別、年齢、体重など)に依存するため、全体的なスコアを改善するための推奨内容も同様に個人の特性に依存する。これらの実施形態における開示されたシステム及び方法は、基準の食事への減少又は追加のいずれかを推奨し、摂取が推奨される上限を上回る栄養素を更に探し、次いで、各栄養素をその上限未満に保つために、食事から除去されるべき各食品の最小量を算出する。追加の場合、システムは食品データベースを探して、食事に追加された場合にどの食品が全体的なスコアを増加させるかを決定する。特定の食品群又は特定の検索用語を避けるために、フィルタのセットを選択することができる。かかるフィルタリングによれば、より個人化された食事アドバイスができる。これらの推奨内容は、最も単純なレベルでは、あらゆる栄養素について、基準の食事をできるだけ健康的な範囲に近づけるように試みる。
【0056】
[0070]いくつかの実施形態では、システムは、個人が所定の期間にわたって摂取すべき特定の栄養素の最小量及び最大量を反映して、栄養素摂取量の下限及び上限の端点を決定し記憶する。概して、本明細書に開示されたスコア付け関数は、摂取された栄養素の量が端点の範囲内、上側の端点より上、又は下側の端点より下であるかどうか、そして、それがどの程度であるかに基づく。したがって、本明細書に記載されているスコア付けは、個人による過大摂取又は過小摂取の量を反映している。
【0057】
[0071]いくつかの実施形態では、開示されたシステムによれば、ユーザは、自分が摂取したか又は摂取する予定の食品品目を示すことができる。示された各食品品目について、開示されたシステムのデータベース又はデータストアは、その食品品目の量あたりの栄養素含有量の指標を記憶する。システムは、経時的に摂取される食品品目の量を乗じた栄養含有量情報を使用して、その特定の食品品目に関する経時的な栄養摂取量の合計を決定する。
【0058】
[0072]さまざまな実施形態において、特定の個人にとって最適である栄養素の範囲を決定した後、及び少なくとも1つの摂取された又は摂取予定の食品品目を認識した後、システムはその個人について1つ以上の栄養学的健康スコアを算出する。これらの栄養学的健康スコアは、指定された食品品目の栄養学的影響を示している。概して、これらのスコアは、システムによって追跡される各栄養素について、その食品品目の栄養素含有量がその栄養素にとって最適な範囲内又は健康的な範囲内にあるかどうかを判定することによって算出される。一般に、個人が栄養素を過大又は過小に摂取する場合、開示されたシステムは、その栄養素のスコア(したがって全体的な栄養学的健康スコア)を更に大幅に変更することによって、その過大又は過小の摂取を有益に反映する。
【0059】
[0073]一実施形態では、栄養素健康スコアは、食品品目に含まれる各栄養素について算出される。その後、システムは、個人の全体的な栄養学的健康度に対する各栄養素の相対的な重要性を示す重み関数を使用して、栄養素スコアを集計する。いくつかのかかる実施形態では、重み付け関数は、個人が任意の個々の栄養素を過大摂取又は過小摂取したかどうかを考慮に入れる。個人が(任意の個々の栄養素を過大摂取又は過小摂取)した場合、いくつかの実施形態における開示されたシステムは、過大摂取又は過小摂取が個人の全体的な栄養学的健康度に比較的大幅な影響を及ぼす可能性があるという事実を反映するために、その栄養素の栄養学的健康スコアが全体的な栄養学的健康スコアに及ぼす影響を増加させる。一実施形態では、重み付け関数は、0~100のスケールで総計栄養学的健康スコアを提供し、100に近いスコアは、特定の期間にわたる個人の栄養ニーズをより大きく充足していることを示す。
【0060】
[0074]以下のさまざまな実施形態に更に詳細に記載されるように、開示されたシステムは助言機能も提供し、システムは最適な栄養学的健康スコアをもたらすであろう食品の組み合わせを提案する。例えば、ユーザが朝食後にシステムにアクセスし、自分が朝食用に食べた食物を示す場合、開示されたシステムは、朝食用食品の栄養学的健康スコアを算出することができるが、その日に追跡される全ての栄養素の最適範囲内の栄養素を個人が摂取するために、その日の残りでどんな栄養素を摂取する必要があるかを決定することもできる。この実施形態では、その個人の最適なカロリー摂取量範囲内でいくらかのカロリーをなお摂取する一方で、システムは、これらの算出された栄養素の量を使用して、その個人の栄養目標が可能な限り完全に達成されることを確実にするために、その日の残りを通して摂取可能な食品の組み合わせを決定する。したがって、本明細書に開示されるシステムは、追跡システムとしてだけでなく、個人が自らの栄養目標を達成するのを助けるために摂取可能物を推奨するための推奨エンジンとしても動作することができる。
【0061】
[0075]開示されたシステムの実施形態では、栄養学的健康スコアは複数の個々の成分栄養素スコアを決定することによって算出され、それは次に全体的な栄養学的健康スコアに集約される。本明細書に開示されるシステム及び方法のさまざまな実施形態において、栄養学的健康スコアアルゴリズムは、以下を含む複数の入力に基づいて栄養学的健康スコアを算出するために使用される。
・ 摂取された栄養素のリスト
・ 摂取された栄養素の量
・ 性別
・ 年齢
・ 体重
・ 特別な条件(例えば、妊娠、授乳など)
【0062】
[0076]「栄養素」という句は本明細書で繰り返し使用される。以下の表には栄養素のリストが含まれるが、このリストに対して、栄養素スコアを算出することができ(これらの栄養素の「健康的な範囲」が利用可能であると想定)、このリストから、開示されたシステムの特定の実施形態における栄養学的健康スコアが集計される。
【表1】
【0063】
[0077]他の実施形態では、栄養素のサブセット又は他のセットが使用される。栄養学的健康スコアの算出に関して本明細書に記載されている原理は、開示されたスコア付けアルゴリズムにおいてどの栄養素が考慮されているかに関わらず適用される。更に、さまざまな栄養学的団体(例えば、医学研究所)がそれらの推奨を更新するか又は新しい栄養素についての推奨を追加するにつれて、かかる更新を反映するように栄養素の重み付けを変更することなどによって、本明細書に開示されるアルゴリズムを変更してもよいことを理解されたい。
【0064】
[0078]さまざまな実施形態において、上記で参照された入力のうちの1つ以上は、栄養情報のデータベースから引き出される。例えば、摂取された栄養素のリストは、特定の実施形態では、ユーザが摂取品目を入力することを可能にすること、及び、その摂取品目に含まれる栄養素のリストを適切な摂取可能物のデータベースで調べること、によって生成することができる。他の実施形態では、ユーザは摂取した栄養素を直接入力する。更に他の実施形態では、ユーザは食品(例えば、ハンバーガ)を入力し、その食品がデータベース内にない場合、ユーザはその食品内の栄養素の量(例えばナトリウムの量)もまた入力する。その後、画定された食品(例えば、ハンバーガ)の将来の入力は、ユーザに栄養情報を再入力することを要求するのではなく、前回に入力された栄養素を調べることができる。
【0065】
[0079]いくつかの実施形態では、開示されたシステムは、特定の食品に固有のいくつかの測定単位及び提供サイズを使用し、それらの間で自動的に変換する機能を含んでいる。したがって、1つの食品の一部は、所定量のグラム、キロカロリー、又は、何らかの予め定義された提供サイズ(カップ、テーブルスプーン等)に従って入力することができ、また、データベースに記憶されたその食品に関するデータと互換性のある摂取食品の量に変換(又は、正規化)することができる。
【0066】
[0080]ここで
図1を参照すると、本明細書に開示されるコンピュータ化された栄養学的健康スコア及び推奨システムの少なくとも一部を実施するのに使用可能なホストデバイス100の電気システムの例を示すブロック図が示される。一実施形態では、
図1に示すデバイス100は、以下の機能の一部又は全部を提供する1つ以上のサーバ及び/又は他のコンピューティングデバイスに該当する。(a)システムの遠隔ユーザによる開示システムへのアクセスを可能にすること。(b)リモートユーザが開示されたシステムとインターフェースすることを可能にするウェブページ(単数又は複数)を提供すること。(c)開示されたシステムを実装するのに必要な、推奨カロリー摂取量範囲、推奨栄養素摂取範囲、及び食品の栄養素含有量などの基礎データを記憶及び/又は算出すること。(d)構成要素又は総合の栄養学的健康スコアを算出し表示すること。及び/又は、(e)個人が最適な栄養学的健康スコアを達成するのを助けるために摂取することができる食品又は他の摂取可能物の推奨をすること。
【0067】
[0081]
図1に示すアーキテクチャの実施例では、デバイス100は、好ましくは、アドレス/データバス113によって、1つ以上のメモリデバイス108、他のコンピュータ回路110、及び/又は1つ以上のインターフェース回路112に電気的に連結された1つ以上のプロセッサ106を含むメインユニット104を備えている。1つ以上のプロセッサ106は、INTEL PENTIUM(登録商標)又はINTEL CELERON(登録商標)ファミリのマイクロプロセッサなどの、任意の好適なプロセッサとすることができる。PENTIUM(登録商標)及びCELERON(登録商標)は、Intel Corporationに登録された商標で、市販のマイクロプロセッサのことを言う。他の実施形態では、プロセッサ106として、他の市販の、又は特別に設計されたマイクロプロセッサを使用することができることを理解されたい。一実施形態では、プロセッサ106は、開示されたシステムで使用するために特に設計されたシステムオンチップ(「SOC」)である。
【0068】
[0082]一実施形態では、デバイス100はメモリ108を更に備える。メモリ108は、揮発性メモリと不揮発性メモリを含むことが好ましい。メモリ108は、後述するように、ホストデバイス100のハードウェア及びシステム内の他のデバイスと相互作用する1つ以上のソフトウェアプログラムを記憶することが好ましい。それに加えて又はその代わりに、メモリ108に記憶されたプログラムは、クライアントデバイス102(以下で詳細に説明する)などの1つ以上のクライアントデバイスと対話して、それらのデバイスにデバイス100に記憶されたメディアコンテンツへのアクセスを提供する。メモリ108に記憶されたプログラムは、任意の好適な方法で、プロセッサ106によって実行することができる。
【0069】
[0083]インターフェース回路112は、イーサネット(登録商標)インターフェース及び/又はユニバーサルシリアルバス(USB)インターフェースなどの任意の好適なインターフェース規格を使用して、実装することができる。1つ以上の入力デバイス114は、データ及び命令をメインユニット104に入力するためにインターフェース回路112に接続することができる。例えば、入力デバイス114は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、トラックパッド、トラックボール、アイソポイント、及び/又は音声認識システムとしてもよい。デバイス100が遠隔デバイスによってのみ操作され又は対話されるように設計されている一実施形態において、デバイス100は入力デバイス114を含まなくてもよい。他の実施形態では、入力デバイス114は、データ入力をホストデバイス100に提供する、1つ以上のフラッシュドライブ、ハードディスクドライブ、ソリッドステートドライブ、クラウドストレージ、又は他の記憶デバイスもしくはソリューションなどの1つ以上の記憶デバイスを含む。
【0070】
[0084]1つ以上の記憶デバイス118もインターフェース回路112を介してメインユニット104に接続することができる。例えば、ハードドライブ、CDドライブ、DVDドライブ、フラッシュドライブ、及び/又は他の記憶デバイスをメインユニット104に接続することができる。記憶デバイス118は、ブロック150によって示されるような、デバイス100によって使用される任意の種類のデータ(好ましい栄養素範囲に関するデータ、さまざまな食品品目の栄養素含有量に関するデータ、システムのユーザに関するデータ、以前に生成された栄養学的健康スコアに関するデータ、栄養学的健康スコアを算出するための加重値を表すデータ、栄養学的健康スコアを算出するための感度値、を含む)、及び開示されたシステムを実装するために必要な任意の他の適切なデータを記憶することができる。これに代えて又は加えて、記憶デバイス118は、記憶デバイス118へのアクセスがインターネット、又はイーサネット回路112などの他のネットワーク接続回路、を介して行われるように、クラウドベースのストレージとして実装されてもよい。
【0071】
[0085]1つ以上のディスプレイ120、及び/又はプリンタ、スピーカ、又は他の出力デバイスである119はまた、インターフェース回路112を介してメインユニット104に接続されてもよい。ディスプレイ120は、液晶ディスプレイ(LCD)、好適なプロジェクタ、又は任意の他の好適な種類のディスプレイとすることができる。ディスプレイ120は、ホストデバイス100の動作中に、ホストデバイス100のさまざまなデータ及び機能の視覚的表現を生成する。例えば、ディスプレイ120を使用して、好ましい栄養素範囲のデータベース、さまざまな食品品目の栄養素含有量のデータベース、システムのユーザのデータベース、以前に生成された栄養学的健康スコアのデータベース、及び/又は、デバイス100の管理者が上記の他のデータベースと対話できるようにするデータベース、に関する情報を表示することができる。
【0072】
[0086]図示した実施形態では、コンピュータ化された栄養学的健康スコア及び推奨システムのユーザは、クライアントデバイス102などの好適なクライアントデバイスを使用して、デバイス100と対話する。さまざまな実施形態におけるクライアントデバイス102は、ホストデバイス100によって提供又は供給されるコンテンツにアクセスすることができる任意のデバイスである。例えば、クライアントデバイス102は、ホストデバイス100へのウェブベースのインターフェースにアクセスするために好適なウェブブラウザを実行することができる任意のデバイスであってもよい。これに代えて、又はこれに加えて、本明細書で説明される機能のいくつかを提供する1つ以上のアプリケーション又はアプリケーションの一部は、クライアントデバイス102上で動作することができ、この場合、クライアントデバイス102は、ホストデバイス100に記憶されたデータ(健康栄養素範囲又はさまざまな食品品目の栄養素の含有量に関するデータなど)にアクセスするためだけに、ホストデバイス100と接続する必要がある。
【0073】
[0087]一実施形態では、デバイス(即ち、デバイス100及びクライアントデバイス102)のこの接続は、クラウド116によって
図1に例示されるインターネット及び/又は他のネットワーク上のネットワーク接続によって容易になる。このネットワーク接続は、イーサネット(登録商標)接続、デジタル加入者回線(DSL)、WiFi接続、セルラーデータネットワーク接続、電話回線ベース接続、同軸ケーブルを介した接続、又は別の好適なネットワーク接続などの任意の好適なネットワーク接続とすることができる。
【0074】
[0088]一実施形態では、ホストデバイス100は、クラウドベースの認証及びアクセス制御、ストレージ、ストリーミング、及びフィードバックの提供などのクラウドベースのサービスを提供するデバイスである。この実施形態では、ホストデバイス100の特定のハードウェアの詳細は、開示されたシステムの実施者にとって重要ではなく、それよりも、かかる実施形態では、開示されたシステムの実施者は、1つ以上のアプリケーションプログラマインターフェース(API)を利用して、簡便な方法で、ホストデバイス100と対話(健康的な栄養範囲を決定するのに役立つそのユーザの属性に関する情報を入力すること、摂取される食品に関する情報を入力すること、及び以下でより詳細に説明する他の対話、など)する。
【0075】
[0089]デバイス100及び/又はクライアントデバイス102へのアクセスは、適切なセキュリティソフトウェア又はセキュリティ手段によって管理することができる。個々のユーザのアクセスは、デバイス100によって設定され、個人の素性に応じて、摂取された食品を入力するか、又は算出されたスコアを見る、などの特定のデータ及び/又は動作に限定される。ホストデバイス100又はクライアントデバイス102のいずれかの他のユーザは、それらのユーザの素性に応じて、加重、感度、又は健康な範囲値などの他のデータを変更することができる。したがって、本システムのユーザは、開示されたシステムによって提供されるコンテンツにアクセスする前に、デバイス100に登録することが必要な場合がある。
【0076】
[0090]好ましい実施形態では、各クライアントデバイス102は、デバイス100に関して上述したのと同様の構造的又は設計上の構成を有する。即ち、一実施形態における各クライアントデバイス102は、表示デバイス、少なくとも1つの入力デバイス、少なくとも1つのメモリデバイス、少なくとも1つの記憶デバイス、少なくとも1つのプロセッサ、及び、少なくとも1つのネットワークインターフェースデバイス、を備えている。周知のデスクトップ、ラップトップ、又は(スマートフォン、タブレットコンピュータなどを含む)モバイルコンピュータシステム、に共通のかかる構成要素を含めることにより、クライアントデバイス102では、対応するシステムのユーザによる相互間の対話が容易になることを理解されたい。
【0077】
[0091]さまざまな実施形態では、
図1に例示されるようなデバイス100及び/又はデバイス102は、実際には、複数の異なるデバイスとして実装することができる。例えば、デバイス100は、実際には、本明細書に記載のメディアコンテンツアクセスシステムを実装するために共に動作する複数のサーバデバイスとして実装してもよい。さまざまな実施形態では、
図1には示されていない1つ以上の追加のデバイスが、本明細書で開示されるシステムへのアクセスを可能にするか、又は容易にするために、デバイス100と対話する。例えば、一実施形態では、ホストデバイス100は、ネットワーク116を介して、1つ以上の公開の、私的な、又は固有の、情報リポジトリ(栄養情報、栄養素含有量情報、健康範囲情報、環境影響情報などの公開の、私的な、又は固有の、情報リポジトリなど)と通信する。
【0078】
[0092]一実施形態では、開示されたシステムはクライアントデバイス102を含まない。この実施形態では、本明細書に記載された機能は、ホストデバイス100上で提供され、システムのユーザは、入力デバイス114、表示デバイス120、及び出力デバイス119を使用してホストデバイス100と直接対話する。この実施形態では、ホストデバイス100は、本明細書に記載された機能のうちのいくつか又は全てをユーザ向けの機能として提供する。
【0079】
[0093]
図1のシステムは、スコアを算出するために以下により詳細に説明される式を実施するアルゴリズムを実行するため、例示されたハードウェアを使用することによって、栄養素健康スコア及び全体的な栄養学的健康スコアを算出するように構成される。この機能は汎用コンピュータの機能ではないが、この機能は、下記の式の結果を算出するための命令でコンピュータを特別にプログラムすること、さもなければ本明細書のさまざまな形態で説明されるさまざまなアルゴリズムをコンピュータが実行すること、を必要とすることを当業者であれば理解するであろう。
【0080】
[0094]さまざまな実施形態では、本明細書で開示されるシステムは、複数のモジュールとして設定され、各モジュールは特定の機能又は機能のセットを実行する。これらの実施形態におけるモジュールは、汎用プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、専用プロセッサによって実行されるソフトウェアモジュール、適切な専用ハードウェアデバイス上で実行されるファームウェアモジュール、又は、完全に回路によって本明細書に列挙する機能を実行するハードウェアモジュール(特定用途向け集積回路(「ASIC」など))、とすることができる。本明細書で説明する機能の一部又は全部を実行するために特殊なハードウェアが使用される実施形態では、開示されたシステムは、設定を制御するか、又はかかる特殊なハードウェアの機能を調整するために、1つ以上のレジスタ又は他のデータ入力ピンを使用することができる。例えば、第1のセグメントで増加し、第2のセグメントで平坦であり、第3のセグメントで減少している区分的連続関数に基づいて、栄養素の健康スコアを分析するようにプログラムされたハードウェアモジュールを使用することができる。この実施例では、このハードウェアは、関数を求めるようにプログラムされ、ハードウェアへの1つ以上の入力は、例えば、第1のセグメントが第2のセグメントと合流する入力値、第2のセグメントが第3のセグメントと合流する入力値、及び第3のセグメントが減少している割合を示すパラメータ(例えば、第3のセグメントの形状を画定する勾配又は関数)、の入力を受信するように構成することができる。更に他の実施形態では、本明細書で説明するさまざまな機能を実行するモジュールがハードウェアによって実行可能なソフトウェアモジュールである場合、これらのモジュールは、特定の事前に決められたオペレーティングシステム環境を実行するプロセッサ上で動作するように設計され得るアプリケーション又はアプリケーションのサブセットの形態を取ることができる。
【0081】
[0095]別の実施形態では、ユーザが携帯する1つ以上のデバイスは、ユーザが食料品店又はレストランなどの食品購入施設にいるときに、リアルタイム情報を本システムに提供する。RFIDリーダ、NFCリーダ、装着型カメラデバイス、及び携帯電話などのデバイスは、特定の食料品店又はレストランでユーザが利用可能な食品を(RFIDタグのスキャン、バーコードの読み取り、又はユーザの物理的位置の決定などによって)受信し、又は判定することができる。次に、開示されたシステムは、ユーザがどんな食品を直ちに購入又は摂取することができるかを考慮して、推奨を行う。かかる実施形態の1つでは、ユーザがレストランの席に座ったとき、開示されたシステムは、所定の期間にわたるユーザの栄養学的健康スコアを最適化するために、メニューから特定の品目をユーザが選択することを推奨する情報をユーザの携帯電話に送信してもよい。更に他の実施形態では、音声認識機能は、ユーザによって音声で提供された入力を認識する。かかる一実施形態では、音声認識システムは、ユーザがレストランで注文するときに聞き取る。他の実施形態では、音声認識システムによれば、ユーザは、自分が摂取した又は摂取する予定の品目を直接話すことができる。
【0082】
[0096]一実施形態では、本明細書に開示されるシステムは、各栄養素について0.0から1.0の間のスコアを算出する。この実施形態では、摂取範囲(したがってスコア付け関数)は3つの異なる領域に分割される。(1)0.0と下限の摂取量との間の栄養素の摂取量。これはEARとRDAの組み合わせに基づく。(2)下限摂取量とULに相当する上限摂取量との間の摂取量。(3)上限摂取量を超える摂取量。この実施形態では、第1の範囲の摂取量は潜在的に不足していることを示している。摂取量がRDAに近いほど、実際には摂取量が不足する可能性が低くなる。第2の範囲は、「hemostasis region」として説明することができ、ここで、スコアは、その栄養素の最大値(例えば、1.0)に接近し、及び/又は等しくなる。第3の範囲は、過大摂取を表しており、この範囲の慢性的な摂取は一般的に推奨されていない摂取量範囲である。記載された実施形態では、第3の範囲内の特定の栄養素についてのスコアは、それらが最小スコア(例えば、0)に達するまで減少する。これらのスコア付け関数を算出するための具体的な方程式は以下に詳述する。また、
図2a、
図2b、
図2c、
図2d、
図2e、
図2f、
図2g、
図2h、及び
図2iは、EAR、RDA、UL、及びAIの例示的な値を用いて開示されたスコア付け関数のいくつかのプロットを示す。適切な場合には、これらの図は、以下の説明においてさまざまな式を説明する際に参照される。
【0083】
[0097]以下を含む多くの要因が減少の速さに影響を与える可能性があることを認識されたい。(a)ULを設定する際の不確実性。(b)ULを超えることから生じる恐れのある悪影響の重大性又は重篤度。及び、(c)摂取している個人に特有の要因(例えば、年齢)。更に、いくつかの追加の要因が、関数が最小値に近づく速度と最小値に近づく曲線の形状との双方に影響を与える可能性があることを理解されたい。
【0084】
[0098]以下に記載されるアルゴリズムは、さまざまな実施形態において、食事基準摂取量の分布特性を反映するために平滑化プロセス又は手順を使用する。特に、特定の栄養素について十分な情報が利用可能である場合、EARとRDAは、所定の集団(例えば、所定の性別/年齢集団)について正規分布必要量を仮定することに基づいて、利用可能である。一実施形態では、これら2つの量の間の関係は、以下の式に従って説明することができる。
【数1】
式1において、「σ」は標準偏差である。したがって、この実施形態における最小必要量は、平均μ=EAR及び標準偏差σ=(RDA-EAR)/1.96の正規分布に従う。
【数2】
【0085】
[0099] 本明細書に開示されるシステム上で動作するアルゴリズムは、いくつかの実施形態では、f(x)=x/RDAとして定義される区分的線形関数である。これらの実施形態では、式3に示すように、その後、ガウス平滑化カーネルが使用される。
【数3】
上記の関数は、本明細書に開示されるアルゴリズム(及びシステム)に特有のいくつかの特性を含み、それには以下のものが含まれる。
・ Sは区間[0、RDA]の滑らかな関数である。
・ Sは凹関数である。
・ S(0)=0及びS(RDA)=1.0
・ S’(RDA)=0であり、これはx=RDAでの接線が水平であることを意味する。
いくつかの実施形態では、上記の関数は、x=RDAのときにその値が1.0になるように再スケーリングされる。この再スケーリングは、この関数のさまざまな特性に有意な影響を及ぼさないことを理解されたい。
図2a、
図2b、
図2c、及び
図2eによって例示される、カルシウム、銅、鉄、及びビタミンAについてのスコア付け関数は、これらのタイプの関数の例である。
【0086】
[0100]タンパク質摂取の必要量の推定は特別な場合を表すことを理解されたい。第一に、必要とされるタンパク質摂取量は個人の体重に依存し、一般的にはg/kg/日によって表される。第二に、タンパク質必要量の分布は対数正規分布であると推定され、ここでRDAとEARとの間の関係は以下の式4によって近似することができる。
【数4】
したがって、健康な集団の百分位数Pに対する適切なタンパク質摂取の推定摂取量は、以下の式5によって与えられる。
【数5】
式5では、z(P)はパーセンタイルPにおける標準化正規分布の値である。RDAは、対数正規分布の16パーセンタイルと84パーセンタイルとの間の中間点として推定される。これらのパーセンタイルは、以下の式6に従ってタンパク質の量xについての栄養スコアを算出するための区分的線形補間のための基準点としても使用することができる。
【数6】
総タンパク質のRDAは、19~50歳の男女で0.8g/kg/日と推定することができる。特に、このRDA値は個人の体重に依存し、体重が異なれば、タンパク質のRDAは異なる。タンパク質のRDA値は個人の体重と共に変化するという事実に基づいて、
図2dは、異なる体重を有する個人のタンパク質に関する複数のスコア付け関数(したがって、さまざまな量の摂取されたタンパク質に対してわずかに異なるスコア)を示す。
【0087】
[0101]場合によっては、特定の栄養素のEARとRDAが知られていない場合があることを理解されたい。例えば、ナトリウム、カリウム、及びビタミンKなどの一部の重要な栄養素には、既知のEAR値及びRDA値がないものがある。これらの種類の栄養素については、推奨される最小摂取量(適正摂取量又はAIと呼ばれる)を設定してもよい。AIに関して、医学研究所は、個人の通常の摂取量がAIに等しいかそれを超える場合、食事はほぼ確実に適切であると結論付けることができると述べている。しかし、その摂取量がAIを下回ると、栄養素不足の可能性を定量的(又は定性的)に推定することはできない。したがって、AIは健康な個人のニーズを満たすのに十分な量の栄養素を表すと考えられているが、十分に正確なデータがないことは、このAI値によってカバーされる個人の割合を推定することが困難又は不可能であることを意味する。
【0088】
[0102]本明細書に開示されるシステム及び方法の実施形態によれば、その摂取レベルが「適切な」摂取量に関して定義される栄養素についての栄養素スコア付けアルゴリズムは、以下の簡略化された式7によって定義される曲線の低い部分を有する。
【数7】
この簡略化された方程式では、xは、0とその栄養素のUL値との間の摂取量(適切な単位で)として定義される。
【0089】
[0103]さまざまな実施形態では、開示されたシステムはまた、栄養素ナトリウムのための特別なアルゴリズムを実行する。ナトリウムに関しては、医学研究所はAIとULを定義しているが、医学研究所の報告書が書かれた時点では十分なデータが欠如しているため、この要素についてEAR/RDAの組み合わせを定義していない。ナトリウムは細胞外液の主要陽イオンであり、細胞外液量の調節における浸透圧決定基として機能する。ナトリウムは細胞の膜電位の重要な決定因子でもあり、細胞膜を横切る分子の能動輸送を調節する。したがって、ナトリウム摂取が細胞外液中の適切な濃度を維持するのに十分であることを保証することが重要である。一方、ナトリウムを多く摂取すると、高血圧によく知られている悪影響を及ぼすので、それは同様に上限を含めることが重要である。
【0090】
[0104]生理学的観点及び公衆の健康の観点からこの要素の重要性を考慮すると、本明細書に開示されたシステムは、それにも関わらず、ナトリウムの栄養素スコアを算出すること、及び全体的な栄養学的健康スコアにおけるそのスコアを考慮することにより、総合栄養学的健康スコアにナトリウムを含めている。開示されたシステムのさまざまな実施形態において、本アルゴリズムは、米国の母集団における食品及び飲料からの通常の摂取量に関する情報を使用することによって、ナトリウムについての最小スコア0に関する基準を決定する。このアプローチを使用して、次の式8を使用してナトリウムの栄養素健康スコアを決定することができる。
【数8】
この式では、1.5の値が母集団に推奨されるAI(ここでは、妊娠も授乳もしていない31~50歳の女性)を表し、2.3の値が許容上限レベルを表し、-(x-2.3)/2.3+1の線は水平軸と約4.6グラムで交差する。これは、米国の飲食物からの通常の摂取量の95パーセンタイルに相当する。したがって、ナトリウムに関して、式8は、ナトリウム摂取量が多すぎると実際には有害であり、全体的な栄養学的健康スコアに悪影響を及ぼす(良い影響はないが悪い影響もないという0の値とは対照的)恐れがあるという事実を反映している。
図2hは、ナトリウムについての複数の栄養素健康スコアのプロット例を示す。
【0091】
[0105]開示されたシステムのさまざまな実施形態において、食物繊維の摂取量は全体のエネルギー摂取量に関して求められる。概して、食物繊維AIの推奨値は、19歳以上の成人の場合、1000kcalあたり14グラムである。医学研究所は食物繊維の摂取量の上限を設定していない。したがって、本明細書に開示されるシステムの実施形態は、総エネルギー摂取量Eに14を乗じて1000で除することにより最初に食物繊維のAIを決定することによって、食物繊維の栄養素スコアを求める。食物繊維について算出されたAIを用いて、開示されたシステムは以下の式9に従ってスコアを求める。
【数9】
【0092】
[0106]したがって、開示されたシステムの実施形態は、とりわけ、他の栄養素健康スコアについてのスコアの算出方法とは異なる方法で、タンパク質、ナトリウム、及び/又は食物繊維についてのスコアを算出することによって、既知のスコア付け技術を改善する。
図2iは、異なる量のエネルギー摂取量に基づく、繊維についての栄養素健康スコアの例示的プロットを示す。
【0093】
[0107]ビタミンB12やリボフラビンのような特定の栄養素について、医学研究所は許容上限摂取量(UL)を設定するのに十分な科学的根拠を発見していないことを理解されたい。多くの場合、これは特定の栄養素に対する比較的低い(又はゼロ)既知の毒性しか示さないことを理解されたい。したがって、これらの栄養素については、スコア曲線はRDA値を超える摂取量に対しては平坦である。この形状は、例えば
図2f(ビタミンB 12に関して)に見ることができる。
【0094】
[0108]本明細書に開示されるシステム及び方法のいくつかの実施形態では、特定の栄養素の摂取量は、さまざまにULと呼ばれる推奨最大摂取量に関して査定又は評価される。概して、ULの推定値は、用量反応評価に基づいており、化学物質への危険度リスクの評価に通常使用されている3つの毒性学的概念に基づいて構築される。
・ LOAEL(最小毒性量):有害作用が確認された最低連続摂取量を表す。
・ NOAEL(無毒性量):調査された個人又は集団において有害作用が観察されていない栄養素の最も高い連続摂取量を表す。入手可能なデータが特定のNOAELを明らかにするのに十分ではない場合、LOAELに頼ることが必要である。
・ UF(不確実係数):データのギャップと必要な推論に関する不完全な知識との双方に対処するために、NOAELを決定するとき、及び必要に応じてLOAELを決定するときに適用される係数である。ULは一般にNOAEL/UF、又はNOAELが利用できない場合はLOAEL/UFと呼ばれる。
ULは一般にNOAEL以下又はLOAEL以下であるという事実を反映して、全ての栄養素についてUF≧1であることを理解されたい。UFの典型的な値は1~5であるが、特別な場合にはもっと高くすることもできる(例えば、α=トコフェロールの場合、UF=36)。
【0095】
[0109]適切な許容量を設定することの重要性を説明するために、通常の食品の通常の摂取で上限に達する次の2つの例を考えてほしい。
【0096】
[0110]一例では、28グラムのブラジルナッツ(1オンス、約6ナッツ)は537マイクログラムのセレンを含有し、これは従来許容されている上限(1日当たり400マイクログラム)をはるかに超えている。しかし、NOAELは1日当たり800マイクログラムであるので、開示されたシステムによって決定されたスコアはそれほど不利益とはならない。算出例では、28グラムのブラジルナッツがセレンに対して0.83という比較的良いスコアを与えている。しかし、セレンに対する許容量が低いとすると、開示されたシステムは、1200マイクログラムのセレンを含有する63グラムのブラジルナッツ(13ナッツを超える)が摂取されたときに0のスコアを算出するであろう。
【0097】
[0111]2番目の例は、煮込んだ牛肉レバーの摂食からのビタミンAの栄養素健康スコアの算出を含むものであるが、
図3に関して説明されている。具体的には、USDAの食事研究用食品・栄養成分データベース(FNDDS)の項目「牛レバー、煮込み」には、19グラム(1オンス)あたり1779マイクログラムのビタミンAが含まれている。典型的な牛レバーのスライスは約69gであり、これは、典型的なスライスが6367マイクログラムのビタミンAを含有することを意味する。31~50歳の女性のRDAとULは,ビタミンAが予め生成されている場合,それぞれ1日当たり700及び3000マイクログラム/日である。しかし、ビタミンAは脂溶性であるため,身体は主に肝臓に過剰量を貯蔵し,これらのレベルはより有害なレベルまで蓄積することがある。RDAとNOAELとの間でビタミンAを時折摂取しても、ビタミンAの毒性の重大なリスクとはみなされないが、過剰に形成されたビタミンAは重大な毒性を持つ恐れがある(ビタミンA過剰症)。過剰なビタミンAを慢性的に摂取すると、頭蓋内圧の上昇、めまい、吐き気、頭痛、及びその他の症状が引き起こされることがある。結果として生じる肝障害は必ずしも可逆的ではない。本システムは、ビタミンAに関するそのスコアを算出するさいに、上限を超える摂取に対して低い許容範囲を設定することによって、この事実を考慮に入れる。更に、本システムは、特定の栄養素の慢性的な大量摂取に関連する潜在的な危険性について、使用者に警告することができる。いくつかの実施形態において、開示されたシステムは、ユーザが頻繁に大量のビタミンAを摂取しているかどうかを決定するために定期的に適切な摂取量を分析する。これらの実施形態では、システムは、かかる頻繁な摂取を潜在的で全体的な食事の問題として、警告を与える。他の実施形態では、システムは、一日よりも長い期間にわたって(例えば、一ヶ月にわたって)食事をスコア付けするように構成される。これらの実施形態では、システムは、一ヶ月にわたるビタミンAの過大摂取を検出しないかもしれないが、ユーザがその月の10個の異なる日において、ビタミンAの上限を大幅に超えたという警告を与えることができる。したがって、これらの実施形態では、システムは、ビタミンAの(毎日ではないが)度重なる過大摂取を示す警告をユーザに表示する。
【0098】
[0112]いくつかのビタミンやミネラルについては、食物摂取からの毒性の可能性は低いことに留意することは重要である。しかし、補助摂取量に追加された食品摂取量は非常に高いレベルに達する可能性があり、その悪影響は深刻な危険を表し、場合によっては恒久的な被害を引き起こす恐れがある。一実施形態では、本システムは、ユーザに自分が摂取している可能性があるサプリメントを入力することを可能にすることによって、この事実を考慮に入れる。その後、システムは、適切なデータストア(例えば、包括的なサプリメントデータベース)からサプリメントの製品組成を決定する。システムはその後、これらのサプリメントを個人の全体的な食事に考慮して、それに応じて全体的な食事をスコア付けする。
【0099】
[0113]本明細書に開示されるシステムの実施形態は、UL値を超えるNOAEL及びLOAELを考慮に入れる。かかる一実施形態では、以下の式10は、ULを超える摂取量xに対する栄養素スコアの算出を表す。
【数10】
この式10において、kは特定の必要性に従って調整することができる自由パラメータである。一般に、この実施形態では、kの値が高いほど、スコアはUL値を超えると0まで急速に減少する。いくつかの実施形態では、開示されたシステムは、スコアSの負の値は考慮しない。かかる実施形態では、スコアSは、特定の栄養素の非常に高い摂取量については単に0に設定される。即ち、上記の式10の値が負の値をとるとき、アルゴリズムはその特定の栄養素についての栄養素スコアを自動的にゼロに設定する。
【0100】
[0114]さまざまな実施形態において、NOAELではなくLOAEELが特定の栄養素について指定されると、開示されたシステムによって実行されるアルゴリズムは、ULを超える栄養素摂取量について以下の式11を実行する。
【数11】
一実施形態では、式11は、UL≠LOAELの場合にのみ適用可能であることに留意されたい。更に、さまざまな実施形態において、開示されたシステムは式11に対してSの負の値を認めない。この場合、算出されたスコアがゼロより小さいとき、関数は単にゼロの値を設定する。
【0101】
[0115]一実施形態では、多量栄養素の主要グループについて、別々のスコアが算出される。ヒトの代謝機能と生理機能のエネルギーは、4つのグループの多量栄養素(炭水化物、脂肪、タンパク質、エタノール)に結合した化学エネルギーから得られる。これらのグループ分けは、人間の代謝機能及び生理機能に関するエネルギーが、4つのグループの多量栄養素に結合した化学エネルギーから得られるという事実から生み出される。脂肪と炭水化物は主な食事エネルギー源である。個人が摂取する任意の所定の食事について、炭水化物、脂肪、タンパク質、及びアルコールの総摂取量の、エネルギー摂取量に対する百分率としての寄与率の合計は、100パーセントに等しくなければならない。これは以下の式12に要約される。
【数12】
この式で、Eはエネルギー量、Pはタンパク質のエネルギーへの寄与量、Cは炭水化物のエネルギーへの寄与量、Fは脂肪のエネルギーへの寄与量、Δはエタノールのエネルギーへの寄与量である。
【0102】
[0116]一般的に、エネルギーに関する既知の食事基準摂取量は存在しない。体重は、各個人に習慣的なエネルギー摂取の適正度又は不適正度の容易にモニターされる指標を提供する。エネルギー収支から日々大きく逸脱することは、このように容易に許容され、そして主に体脂肪の増減によって調節される。エネルギー必要量を予測するためのさまざまな方程式が存在する。例えば、医学研究所は、性別、年齢、体重、身長及び身体活動レベルに基づいて、個人のエネルギー必要量を推定する。
【0103】
[0117]この大まかな手法は個人のエネルギーニーズを大まかに見積もるのに便利なことがあるが、個人間のエネルギー必要量の変動は大きく、1日のエネルギー摂取量の個人間のばらつきの変動係数は平均約23%である。これらの考察を考慮すると、本開示では、集団レベルで行われた推定値のみに基づいてエネルギーについてのスコアを算出することは不適正であることが分かった。したがって、開示されたシステムのさまざまな実施形態では、エネルギー摂取量は通常スコアの算出に含まれない。しかし、以下により詳細に示すように、食事を最適化するとき、エネルギーの許容値の範囲を制約として使用することができる。
【0104】
[0118]所定のエネルギー摂取量についてエネルギー摂取量を分析すると、1つの多量栄養素の割合が増加すれば、必然的に他の多量栄養素の割合が減少することになる。典型的には、脂肪と炭水化物は互いに逆の関係にあり、脂肪の摂取量が増加すると炭水化物の必要な摂取量は低減する。多量栄養素の相対的割合の大きな不均衡が慢性疾患のリスクを増大させ、微量栄養素の摂取に悪影響を及ぼす恐れがあるという根拠が増えている。医学研究所は、タンパク質はエネルギー摂取量の10%~35%を占め、45%~65%は炭水化物により、20%~35%は脂肪によるべきであることを推奨している。これらの関係にはある程度の相互依存が伴うことに留意することが重要である。例えば、タンパク質によるエネルギーが35%を占め、炭水化物によるエネルギーが65%を占める場合、脂肪によるエネルギーは必然的に0%である。更に、炭水化物及びタンパク質はまた、エネルギー生成とは無関係の理由で、毎日摂取すべき最小グラム量として定義される推奨食事許容量を満たさなければならない。エタノールが主なエネルギー源になるべきではないので、さまざまな実施形態における本開示は、アルコール飲料によるエネルギーを考慮するために、全体的な栄養学的健康スコアに「ペナルティ」を課す。
【0105】
[0119]したがって、本明細書に開示されるシステムの一実施形態では、開示されたスコア付けアルゴリズムは、上述の4つの多量栄養素について別々のスコアを算出するように構成される。以下の式は、4つのさまざまなエネルギー源によるエネルギーに基づいて栄養素スコアを決定するために、本明細書に開示されるシステムのこの実施形態によって使用することができる。この説明では、xPはタンパク質から得られるエネルギーの割合を示すために使用され、xFは脂肪から得られるエネルギーの割合を示すために使用され、xCは炭水化物から得られるエネルギーの割合を示すために使用される。総エネルギーはタンパク質、脂肪、炭水化物、及びエタノールによるエネルギーの合計であるため、xP+xF+xCの合計は1以下でなければならない。合計が1未満の場合、合計と1の差はエタノールによるエネルギーの割合である。
【0106】
[0120]本明細書に開示されるシステムの実施形態では、アルゴリズムは、エネルギーの20%~35%は脂肪によるべきであるという制約を課す。この制約は、以下の式13によって実現される。
【数13】
【0107】
[0121]本明細書に開示されるシステムの実施形態では、アルゴリズムは、エネルギーの10%~35%はタンパク質によるべきであるという制約を課す。この制約は、以下の式14によって実現される。
【数14】
【0108】
[0122]本明細書に開示されるシステムの実施形態では、アルゴリズムは、エネルギーの45%~65%は炭水化物によるべきであるという制約を課す。この制約は、以下の式15によって実現される。
【数15】
【0109】
[0123]開示されたシステムの一実施形態では、全体的な多量栄養素スコアは、3つのエネルギー源の個々のスコア又は3つのエネルギー源の合計のうちの最小値として算出され、以下の式16によって表すことができる。
【数16】
【0110】
[0124]式13、式14、式15、及び式16は全て0から1の間の結果をもたらし、所望であれば、開示されるシステムでは、式16の結果(多量栄養素の総合スコア)に100を乗じることによって、0~100の範囲内になるようにスケーリングすることができる。
【0111】
[0125]多量栄養素による総合スコアを説明するために、以下の例を提示する。
例1 エネルギーが完全に炭水化物、タンパク質、又は脂肪による場合、多量栄養素スコアは0である。
例2 xF=xC=xP= 0の場合、多量栄養素スコアは0である。
例3 xF=0.35、xC=0.55、xP=0.1の場合、多量栄養素スコアは100である。
【0112】
[0126]さまざまな実施形態において、上記のように、開示されたシステムでは、いくつかの個々の栄養素スコアは、集約された単一の全体的な栄養学的健康スコアに集約される。n個の個々の栄養素スコアs1、...、snを含む例では、栄養学的健康スコアは、S=M(s1,...,sn)として表される個人の食事の栄養学的適切度の全体的な目安を表す。本明細書に開示されるシステムの実施形態では、以下の4つの全般的な条件が集約されたスコアSに適用される。
1. 各個別のスコアがある特定の値である場合、全体的な値Sが同じこの特定の値に等しいように、値を保存する。これはM(a,a,...,a)=aと表すことができる。
2. 単一の栄養素が非常に悪いスコアを有する場合、全体的な栄養学的健康スコアは低くするべきであり、食事の質は低いとみなされるべきであるように、Sは極端な個々の栄養素スコアに敏感でなければならない。
3. 総合スコアは、最低個人栄養素スコアと最高個人栄養素スコアの間になければならない。これは、min(s1,...,sn)≦M(s1,...,sn)≦max(s1,...,sn)と表すことができる。
4. 入力s1、...、snのうちの1つが0の場合、M(s1,...,sn)も0にならなければならない。
【0113】
[0127]本明細書に開示されるシステムのさまざまな実施形態によって適用される、上記に示された条件を満たす式は、以下の式17に表される。
【数17】
この式17は、凹状の曲線を表し、これは最適化理論にとって重要であることを理解されたい。本明細書で開示されるシステム及び方法の更なる実施形態では、上記の式17は、各栄養素について特定の加重値を導入することによって更に一般化することができ、これはシステムに記憶されて、必要に応じて、ユーザ、環境、又は摂取される食品の特定の特性を反映するために使用することができる。これらの加重値は本明細書の他の箇所で説明されている。
【0114】
[0128]さまざまな実施形態において、本明細書に開示されるシステムは、脂肪酸についての栄養スコアを決定するように構成されている。いくつかのかかる実施形態では、アルゴリズムは、健康的食事指標において使用されるものと同じアルゴリズムであり、スコアは、不飽和脂肪酸対飽和脂肪酸の比を反映し、この比が少なくとも2.5である場合には最大値(例えば、1)を有し、この比が1.2未満である場合には最小値(例えば、0)を有する。
【0115】
[0129]一実施形態では、開示されたシステムは、栄養上の内訳における欠落値によってもたらされる可能性のある偏りを補償する。即ち、本明細書に開示されるアルゴリズムは、栄養素摂取に関するデータの欠如のために特定の栄養素スコアが欠落している場合でも、使用可能な栄養学的健康スコアを算出することができる。所定の栄養素が栄養素の内訳においていくつかの欠落値を有する場合、特定の実施形態において開示されたシステムは、平均値を再加重することによって欠落情報を補償する。α
iが食事中の栄養素iについての欠落値の割合である場合、開示されたシステムは加重w
i=1-α
iの指標を記憶し、それによって総合スコア計算が以下の式18に示される。
【数18】
【0116】
[0130]極端な場合には、αi=0(欠落値がないことを意味する)であることを理解されたい。この場合、wi(各スコアsiに与えられる加重)は1であり、これは、各栄養素スコアが妥当性をもって算出されることを表す。他の極端な場合には、αi=1(全ての値が欠落していることを意味する)である。この場合、wi(各スコアsiに与えられる加重)は0であり、これは、妥当なスコアはないという事実を反映している。
【0117】
[0131]一実施形態では、本明細書に開示されるシステム及び方法は、スコア付けがデフォルトで毎日の摂取推奨量に基づくように構成されているという事実にも関わらず、数日間にわたって食事をスコア付けするように構成されている。開示されたシステムは、2つの方法のうちの1つで数日間にわたって食事を処理することができる。
【0118】
[0132]第1に、いくつかの実施形態におけるシステムは、n日間にわたるn個のスコアの平均を算出し、それらのn日間のスコアとして平均スコアを返すように構成される。
【0119】
[0133]第2に、いくつかの実施形態におけるシステムは、全ての食事基準摂取量にnを乗じて、全ての食事を一緒に加えた後に(一定期間の)食事をスコア付けするように構成される。
【0120】
[0134]これら2つの方法から得られた計算は、全ての栄養素1日摂取量が最小推奨摂取量(RDA又はAI)を下回る場合、実際には同じn日スコアを生成する。しかし、実際問題として、1日の摂取量の少なくともいくつかはRDAとULの間に入る可能性があり、いくつかはULを超える可能性がある。この場合、スコア関数の非線形性を考えると、方法1と2の結果は異なる。いくつかの実施形態では、第2の方法は、例えば、異なる日の量を合計すれば、RDA未満の1日をULを超える別の日で補うことが可能になるので、第1の方法よりも大きなスコア数を生成する。したがって、n日スコアの解釈は2つの場合で異なる。実際には、単一の日ごとに低いスコアを有することは理論的に可能であり、更に、方法(2)を用いて全体的に高いスコアを有することも可能である。
【0121】
[0135]本明細書に記載されたスコア付けを更に説明するために、
図4は、上記式によって算出されたカルシウムの特定量に対する栄養素スコアを、推奨摂取量(RDA)の百分率と比較した比較プロットを示す図であり、双方共に米国における人々のカルシウムの摂取量の相対パーセンタイルと比較したものである。図から分かるように、75パーセンタイルまでのスコアは、スクリーニングされた母集団のカルシウムに関するRDA摂取量の%よりも高くなっている。75パーセンタイルを超えると、栄養素の健康スコアは100になり、スコア付けされた個人はカルシウムのRDAの100%を摂取したことになる。これは、個人の基準値としてRDAを選択すると、実際の個人の必要量を大幅に過大に推定する恐れがあることを示している。USDAは、明らかに不適切な摂取の有病率を、通常の摂取量が(RDA未満ではなく)EAR未満の個人の割合として推定している。この有病率は一般的に、通常の摂取量がRDA未満の個人の割合よりかなり低い。したがって、
図4から明らかなように、RDAの達成は、大多数の人々にとって十分ではない摂取量だけを得るためには不要である。
【0122】
[0136]
図5は、本明細書に開示されるシステムによって表示される画面の例示的なスクリーンショットであり、単一の食事の過程で摂取される複数の栄養素についての栄養素スコアを表す。
図5のスクリーンショットでは、この食事にはチーズとベーコンのついたフライドポテト、水道水、レモンクリームのパイ、トマトがのったハンバーガ、ケチャップ、パンとパンノキ(フライ)、チョコレートミルクが含まれている。左端の列は、左端の列に列挙されているさまざまな栄養素の、アルファカロチンからナトリウムまでのアルファベット順の個々の栄養素の健康スコアを示している。この実施形態では、いくつかの栄養素スコアは100(例えば、カルシウム)であり、少なくとも1つのスコア(飽和脂肪)は負であり、特定の栄養素が最適な仕方で摂取され、特定の栄養素が過大摂取されていることを示している。
図5の実施形態では、列挙された栄養素、量、及びスコアの下にあるバーは栄養素の量を示し、色はスコアの値を示す。具体的には、負の飽和脂肪スコアは負であるため、赤で表示される。一方、カルシウムスコアは100であり、したがってスコアバーは緑色である。
【0123】
[0137]
図5はまた、食事の各部分の総合スコアへの寄与率を示すためのグラフの仕組みを示す。具体的には、カルシウムに関しては、フライドポテトの列の後ろのボックスが比較的暗く、これはフライドポテトに起因する77%のカルシウム全体的な摂取量が食事から摂取されるカルシウムの大部分を占めていることを示している。それとは反対に、水道水の列では、追跡されている栄養素の大部分に対して水道水が寄与する栄養素がないことを示すために、ボックスの大部分は白色である。ハンバーガの列については、ハンバーガが、示された食事で摂取された鉄全体の34%を占めていることを示すために、ボックスは比較的暗い。
【0124】
[0138]いくつかの実施形態では、
図5に示される個々の栄養素スコアに加えて(又はその代わりに)、開示されたシステムは上述のように総合健康スコアを算出し表示することができる。この実施形態では、個々の食事構成要素の各々について同じ又は実質的に同じ情報を表示することができるが、個々の栄養素に関するものではなく、グラフィック及び色は、食事品目の全体的な栄養学的健康スコアに対する寄与率を示すことができる。したがって、例えば、個人は、例えばハンバーガが食事の総合スコアにどの程度寄与しているかを知ることができる。
【0125】
[0139]一実施形態では、以前に定義されたスコアは、ソフトウェアツールで実際に実施することができる数学的推奨システムの基礎として使用され、医師及び摂取者が食事計画を立てるのを助ける。完全なユーザ指向の推奨エンジンはまた、個人的な好み、食事制限を活用し、BMR、エネルギー消費などの個人的な目標及び特性を考慮に入れるべきであることを強調しなければならない。かかるソフトウェアツールの詳細については、以下で更に詳細に説明する。
【0126】
[0140]上記の式の実際例への適用を説明するために、以下の表2に示す米国健康栄養診断調査(National Health and Nutrition Examination Survey(NHNES))2011-2012データセットの実食を用いて、以下の例を示す。NHANESは、CDCの国立健康統計センターによって実施されている継続的なデータ収集の取り組みである。その目的は、全米を代表する米国市民の横断的サンプルの健康と食事に関する情報を収集することであり、表2の対象者は身長147cm、体重76.4kgの27歳の女性である。
【表2】
【0127】
[0141]以下の表3は、表2に示される例示的な食事中のさまざまな多量栄養素についての栄養素スコアを例示する。
【表3】
【0128】
[0142]表4は、表2に示される例示的な食事中のさまざまなミネラルについての栄養素スコアを例示する。
【表4】
【0129】
[0143]表5は、表2に示される例示的な食事中のさまざまなビタミンについての栄養素スコアを示す。
【表5】
【0130】
[0144]表2~表5に示されたデータに関して、多量栄養素のバランスに対する総合スコアは97.5であった。一方、食事の全体的なスコアは80と算出された。これは、一部には、いくつかの微量栄養素(例えば、ナトリウム)における低いスコアが、本明細書の開示に従って計算された総合スコアに比較的大きな影響を及ぼす可能性があることを示している。
【0131】
[0145]ここで、
図2a、
図2b、
図2c、
図2d、
図2e、
図2f、
図2g、
図2h、及び
図2iを詳細に参照すると、これらの図は、開示されたシステムを使用して追跡可能なさまざまな栄養素のスコア付け関数を示している。
図2aはカルシウムのスコア付け関数であり、
図2bは銅のスコア付け関数であり、
図2cは鉄のスコア付け関数であり、
図2dはタンパク質のスコア付け関数であり、
図2eはビタミンAのスコア付け関数であり、
図2fはビタミンB12のスコア付け関数であり、
図2gはリボフラビンのスコア付け関数であり、
図2hはナトリウムのスコア付け関数であり、及び
図2iは繊維のスコア付け関数である。さまざまな実施形態において、
図2a、
図2b、
図2c、
図2d、
図2e、
図2f、
図2g、
図2h、及び
図2iに示されたスコア付けプロットは、上述の式に示された計算を実行するためのアルゴリズムのステップを実行する
図1に関して開示されたシステムによって算出されることを理解されたい。
【0132】
[0146]特に、
図2d(タンパク質)、
図2f(ビタミンB12)、
図2g(リボフラビン)、及び
図2i(繊維)は、摂取される各々の栄養素の量に関わらず、より多くの栄養素が摂取されても、それらの栄養素に対する栄養素スコアは減少しないことを示す。つまり、これらのスコアは、過大摂取がこれらの栄養素にとっての懸念ではないという事実を示す。
【0133】
[0147]一方、例えば
図2hに示すように、上限を超えてナトリウムを摂取すると、最終的にナトリウムスコアがゼロになる恐れがある。また、
図2d及び
図2iは、タンパク質及び繊維についてのスコア付け関数が、単に摂取された量の他に、別の要因に部分的に依存することを例示している。
図2dに関して、タンパク質についてのスコア付け関数は、部分的には、タンパク質の摂取者の体重に依存する。
図2iに関して、繊維についてのスコア付け関数は、部分的には、一日に摂取者によって摂取されるエネルギーに依存する。これらの2つの図は、特定の栄養素についてのスコア付け関数におけるその他の違いを示している。つまり、一部の栄養素については、その栄養素の栄養素健康スコアを決定するためにその他の入力が必要であることを示している。
【0134】
[0148]さまざまな実施形態において開示されるシステムは、個々の人々に対してできるだけ個人化された栄養素範囲摂取値を記憶する。医学研究所は、性別や年齢に基づいた集団の特定の栄養素に対する集団レベルのDRI値の推奨を発表している。例えば、医学研究所は、0~6ヶ月の乳児、6~12ヶ月の乳児、1~3歳の子供、4~8歳の子供、9~13歳の男性、9~13歳の女性などに関する少数の推奨栄養値を指定することができる。しかし、これらの特定された値は、実際に個人に合わせていないので、個人の全体的な栄養学的健康度を分析するには不十分である。具体的には、それらは、人の健康レベル(例えば、その人が強健であるか活動的であるか)、健康状態(例えば、肥満、糖尿病、アレルギー)、医療上の制限(例えば、その人が重大な介護患者であるかどうか)、身体生理(身長及び体重)、又は任意の他の個々の特定の考慮事項、を考慮していない。代わりに、既知の推奨摂取値は年齢と、(特定の年齢の場合には)性別に基づいている。本明細書に開示されたシステムによれば、個人が、その特定の状況に応じて、各栄養素に関する自分の個人的な健康的範囲を有することができる点で、更なる利点が得られる。この個人化は、特定の状態(例えば、糖尿病前症又は心血管系の問題)又は特定の目標(例えば、体重減少又は体重維持)を考慮に入れることができる。
【0135】
[0149]更なる実施形態では、個人は、自分の個人的健康状態に合わせた加重値及び/又は感度値に関して独自の構成を有することができる。これらの個人化された範囲及び/又は加重/感度の値により、開示されたシステムは、完全に個人化された栄養学的健康スコアを算出することができる。実際、一部の人にとっては、特定の栄養素はまったく必要ではないことがあり得るか、あるいは、下側健康限界量を超えて栄養素の追加の量を摂取しても、悪影響はないことがあり得る。特定の栄養素の健康的な範囲を画定することにより、開示されたシステムは、既知のシステムではできなかった方法で、栄養素の必要性のその欠如を説明することができる。
【0136】
[0150]一実施形態では、開示されたシステムは、システムによって追跡された各栄養素に関連して、いわゆる「感度」値又は「許容」値を記憶する。例えば、本システムは、各栄養素についての「感度」値又は「許容」値を含む栄養素情報のデータ構造体又は他のデータベースを記憶することができる。いくつかの実施形態では、いくつかの栄養素については感度値が存在せず、これは栄養素の追加摂取は有害ではないことを意味する。別の実施形態では、同じ結果を達成するために、即ち特定の栄養素の過大摂取が有害でないことを示すために、本システムにより、いくつかの栄養素について、無限の感度値を割り当てるか、又は無限の上側健康限界値を画定する。
【0137】
[0151]さまざまな実施形態では、開示されたシステムは、栄養学的健康スコアHの考慮に入れる各栄養素について、複数の加重値を記憶する。概して、栄養素の加重値が大きいほど、その栄養素が全体的な栄養学的健康スコアに及ぼす影響は大きくなる。これは、過小/過大摂取並びに健康的な摂取に当てはまる。換言すれば、栄養素が過小又は過大に摂取されている場合、より大きな加重値は、より小さい加重値よりも、栄養学的健康スコアを低下させる程度が大きい。同様に、栄養素が健康的な量で摂取されている場合、より大きな加重値は、より小さな加重値よりも、栄養学的健康スコアを増加させる程度が大きい。
【0138】
[0152]例えば、「砂糖」などの栄養素に、ビタミンと比較して、比較的高いスコア付けの加重が与えられた場合、砂糖が少ない食品は、概して高い栄養学的健康スコアを受ける。全体的な栄養学的健康スコアは、砂糖スコアにより依存するので、他の栄養素が少ない食品であっても、これは当てはまるであろう。したがって、開示されたシステムを個人に個人化するときに、異なる栄養素に関する加重の適切な均衡が非常に重要である。
【0139】
[0153]さまざまな実施形態では、開示されたシステムによれば、ユーザは、サブ食品又は食品の材料から、食品又は食事を構築することができる。例えば、開示されたシステムにユーザの「通常の朝食」が何であるかを示すことによって、ユーザは、「朝食」の食事を保存して、自分が食べようとしているか、又はすでに食べた食品の表示を入力するときに、その1つの食事を単に選択することができる。即ち、開示されたシステムによれば、ユーザは、食品から食事を、又は食事から(一定期間の)食事を構築し、後で容易に選択及び入力するために、それらの多成分摂取可能物を記憶することができる。いくつかの実施形態では、本システムによれば、また、ユーザは、自分の通常の朝食の半分を食べたことを示すことなどによって、摂取される特定の多成分摂取可能物の量を調節することもできる。
【0140】
[0154]
図6は、NHANES 2011-2012 day1のデータセットに示される31~50歳の女性の集団に関する複数の個々の栄養素についての栄養学的健康スコアの一連の箱ひげ図及び合計の合計スコアを示す。
図7は、NHANESデータで追跡されたさまざまな個々の栄養素の個々の栄養素スコアの内訳並びに合計栄養学的健康スコアをヒストグラムとして示しており、
図6の箱ひげ図を裏づけている。
図6及び7から分かるように、いくつかの個々の栄養素スコアが最大値100であったという事実にも関わらず、合計スコアはいずれも80を超えなかった。同様に、個々の栄養素スコアが0の数は比較的少なかったが、それでもなお0の合計スコアの数は(箱が0の値に伸びることから分かるように)かなり多かった。これは、全体的な栄養学的健康度が、高い合計栄養学的健康スコアをスコア付けするために必要であることを示し、一方で、低い0でない個々の栄養素スコアは、0の合計栄養学的健康スコアをもたらし得る。
【0141】
[0155]
図8は、上記の
図6及び
図7にプロットされたNHANES2011-2012データにおけるエネルギー摂取に対するナトリウム摂取の栄養素スコアを示す散布図である。
図8から分かるように、エネルギー摂取量が増加するとナトリウムスコアは概して減少し、最終的には3000kcalを超えるとナトリウムスコアは0に低下する。
【0142】
[0156]
図9は、上記のNHANES 2011-2012(day 1)の女性31~50歳のデータに基づく栄養素スコア間の相関を示す相関プロットである。
図9から明らかなように、鉄とチアミンのスコアの間に比較的有意な相関関係があった。しかし、
図9の図から、合計栄養学的健康スコアは、いかなる個々の栄養素スコアとも有意に相関しているようには見えない。更に、ナトリウムの栄養素スコアは、全ての個々の栄養素スコアと負の相関がある。脂肪酸の得点もまた、全ての個々の栄養素スコアと負の相関がある。これらの負の相関は、ナトリウム及び飽和脂肪の摂取量が一般に最大推奨値を上回っているという事実を反映しており、これはこれらのスコアが一般に残りのスコアを低下させることを意味する。
【0143】
[0157]
図10は、NHANES調査からのデータに基づく、一日の全体を通しての合計スコア、ナトリウム栄養素スコア、及び繊維栄養素スコアの変化を表すチャートを示す。
図10に示される実施形態では、ナトリウム栄養素スコアは正午にその最大スコアに達し、次いで摂取量は最大推奨一日値を超え始め、スコアは減少する。繊維のスコアはエネルギー摂取量に依存するため、グラフには多くの極大値を有することができる。他の栄養素(過剰消費が有害ではない場合)のスコアは、概して1日を通してグラフが増加している。
【0144】
[0158]さまざまな実施形態において、開示されたシステムは、どの食品を生成される食事に構築するべきかを推奨するときに、食品の特定の「味」の側面を考慮に入れることができる。例えば、ユーザがディナーにメキシコ料理を食べたいと表明した場合、本システムは、ステーキタコス及びステーキタコスを補うための特定のスパイス入りの米を推奨することができる。さまざまな実施形態におけるシステムでは、ユーザが食事を楽しんだことを表明した、以前に推奨された食品を記憶し、食材又は味覚のプロファイルが同様な食品を推奨しようとする。いくつかの実施形態では、本システムは、まず、鶏の胸肉などの「メインコース」を選択しようとし、次に野菜及び米などの補完的なサイド品目を選択することによって、推奨を行う。一実施形態では、1つ以上の食品品目は、それらが通常一部をなしている食事の種類によって分類され、その分類に基づいて推奨が行われる。例えば、スクランブルエッグは「朝食」食品として分類され、食事を推奨するときに、本システムは、1つ以上の「朝食」食品を朝に食べることを推奨してもよい。
【0145】
[0159]一実施形態では、本システムは、ユーザが携帯する個人用モバイルデバイスである1つ以上の入力デバイス114と統合するように構成されている。例えば、歩数計又は活動量計を装着しているユーザは、これらのデバイスからのデータをシステムに提供することができ、それに応じてカロリー摂取範囲値を調節することができる。このように、ユーザの1日が特に活動的である場合、本システムでは、カロリー摂取量範囲を上方に調節してもよい。
【0146】
[0160]
図11は、個人によって摂取される複数の栄養素についての複数の栄養素健康スコアを示すスクリーン1100のスクリーンショットの一例を示す。
図11は、年齢範囲が31~50歳、正常なBMI、及び座りがちのライフスタイルを有する女性についての、1日食とみなされるメニューサンプルについてのスコア付けを示す。総合スコア39はかなり低い。ただし、これは、
図11のスコアが1日分の栄養素摂取量に対して算出されるものであり、更に入力値が1つの食事(昼食)に対するものだけであるため、予想されることである。
図11では、いくつかの栄養素(即ち、添加糖及びヨウ素)についてのデータが欠落していることを理解されたい。更に、当然のことながら、各栄養素について表示された範囲は、医学研究所によって定義されているように、推奨一日許容量及び許容上限に対応する。
【0147】
[0161]
図11の例示的実施形態では、領域1102は、ユーザによって摂取される食品品目中の各栄養素の名称を示す。この領域には、その栄養素のスコアを示すバーも表示される。特に、領域1102に含まれるバーは、領域1108に示されるスコアを反映する。更に、一実施形態では、バーの色は、スコアが最大スコア(100など)に近いかどうかを表している。例えば、
図11の例におけるナイアシンのスコアは、領域1108に示されるように100である。それに対応して、ナイアシンの領域1102のバーは緑色に着色され、またそれができる限り長くなっており、スコア100を示している。
【0148】
[0162]
図11は、図示された栄養素の各々について、それぞれ下側摂取量及び上側摂取量を示す領域1104a及び1104bを更に示す。図示の実施形態では、各栄養素のバーの長さは、最小量から最大量(即ち、1104aから1104b)の範囲内で実際に摂取される栄養素の量がどこに入るかを示している。更に、
図11は、摂取された各栄養素の量を示す領域1106を示し、領域1108は、摂取された各栄養素に対するスコアが何であるかの数値表現を含んでいる。更に、領域1114は、スクリーン1100に示されるスコアによってカバーされる時間量を示す。図示の実施形態では、図示のスコアの時間量は一日に及ぶことを理解されたい。ただし、摂取情報は単一の食事(昼食)に関するものである。したがって、領域1102に示されたスコアの多くは、ユーザが摂取した食品に含まれる複数の栄養素の各々についてスコアが記録されている理由は、利用者が単一の食事を摂取しただけであっても、スクリーン1100は、一日の食品を食べたと想定しているためである。
【0149】
[0163]
図11は領域1110も含み、これは全体的な栄養学的健康スコアを示している。例示された実施形態では、主に、ユーザが単一の食事から栄養素を摂取しただけという理由により、スコア(39)は比較的低い。更に、領域1112は、領域1114に示された時間量にわたって、個人について摂取すべき総カロリーの百分率としての摂取されたエネルギー量(即ち、カロリー)を示す。
【0150】
[0164]
図12は、
図11のスクリーンショット1100と同様のスクリーンショット1200を示し、
図11と同じ対象者についての栄養素スコアが示されている。領域1102、1104a、1104b、1106、1108、1110、1112、及び1114と、領域1202、1204a、1204b、1206、1208、1210、1212、及び1214との各々の対応関係にも関わらず、画面1200は、1日分の食品消費量についての栄養素健康スコア(及び領域1210の総合スコア)を示している。これは、対象者が推奨される1日のエネルギー摂取量の99%を摂取したという、領域1212の表示から明らかである。したがって、
図12から、対象者は、オメガ栄養素において負のスコアを有するが、その日の間に比較的高い総合スコア89を獲得したことが明らかである。これは、対象者がより多くのオメガ栄養素を摂取していたならば、より健康的な食事を摂取していたであろうことを示している。
【0151】
[0165]
図13は、ユーザが自分自身に関する特定の情報を入力することを可能にして、システムが所定の期間内にユーザが必要とするエネルギー量を決定することを可能にする、ユーザデータ入力画面のスクリーンショットを示す。図示の実施形態では、栄養素健康スコア及び総合健康スコアを算出するための基準としてシステムによって算出されたEER(推定エネルギー必要量)は、医学研究所の式によって公表された式に基づいて算出される。一実施形態では、開示されたシステムはまた、対象者個人のBMIを算出するために
図13の画面に入力された情報を使用する。
【0152】
[0166]
図14は、
図11及び
図12の画面と同様のダッシュボードスクリーンショットを示す。しかし、
図14の領域1414には、数字「4」が入力されており、これはスクリーンに示されるスコアによってカバーされる時間量が4日間であることを示している。図示の実施形態では、本システムによれば、ユーザが、数字4を領域1414に入力し、それによって
図14に示す全期間を調整することができることを理解されたい。スコア付けアルゴリズム(及び栄養素摂取量の最小量及び最大量)はそれに応じて調整される。
【0153】
[0167]
図15及び
図16は、入力された異なるライフスタイルを有するユーザによって同じ食品が摂取された場合の、本明細書に開示されるシステムの一実施形態のスクリーンショットを示す。特に、
図15では、ユーザは座りがちな生活様式であり、
図16では、ユーザは非常に活動的な生活様式である。
図15と
図16を比較することによって、いくつかの栄養素(大部分は微量栄養素)が同一の推奨摂取量(したがって同一の栄養素健康スコア)を有することが分かる。かかる栄養素の1つはカルシウムであり、これは栄養素を消費する対象者の生活様式に関わらず、推奨摂取量1000mgを有する。他方、推奨タンパク質摂取量は、49.05(座りがちな人)と69.55(非常に活発な生活様式の人)との間で変化する。これらの違いは、飽和脂肪や炭水化物を含むいくつかの多量栄養素で更に見られる。実際、これらの栄養素については、推奨範囲はエネルギー必要量に依存する。
【0154】
[0168]一実施形態では、開示されたシステムによって、記憶されたデータベースに完全な栄養素含有量データを持たない食品を食べるかどうかをユーザが決定することができる。例えば、USDAデータベース中のシロップの特定の項目に、シロップ中にどれくらいの砂糖が存在するかを示す記憶されたデータが含まれていない場合、本システムは、そのシロップのデータベースにそのデータが存在しないことを示すアイコンを表示する。したがって、本システムによれば、本システムによって提供されているスコアがデータの明らかな欠如に基づいて不正確であるかどうかをユーザは一目で確認することができる。シロップの例では、ユーザの砂糖の栄養素健康スコアが低い場合、砂糖が豊富な食品であることをそのユーザが知っているものにデータがないために、スコアが人為的に低いように見えることをそのユーザが知っている可能性がある。
【0155】
[0169]本明細書で使用される場合、「摂取可能物」という用語は、例えば食材、食品、食事又は(一定期間の)食事などの、個人が摂取する任意の品目を包含することが意図されている。
【0156】
[0170]いくつかの実施形態では、本明細書で使用する「栄養素」という用語は、身体に対して、例えば、エネルギー、成長又は健康を提供する有益な効果を有する化合物を指す。この用語には、有機及び無機の化合物が含まれる。本明細書で使用する場合、栄養素という用語として、例えば、多量栄養素、微量栄養素、必須栄養素、条件的に必須の栄養素及び植物栄養素を挙げることができる。これらの用語は必ずしも相互に排他的ではない。例えば、特定の栄養素は、特定の分類システム又はリストに応じて、多量栄養素又は微量栄養素のいずれかとして定義することができる。「少なくとも1つの栄養素」又は「1つ以上の栄養素」という表現は、例えば、1、2、3、4、5、10、20又はそれを超える栄養素を意味する。
【0157】
[0171]さまざまな実施形態において、「多量栄養素」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して本明細書で使用され、生物の正常な成長及び発育のために大量に必要とされる栄養素を通常包含する。これらの実施形態における多量栄養素には、炭水化物、脂肪、タンパク質、アミノ酸及び水を挙げることができるが、これらには限定されない。カルシウム、塩化物、ナトリウム、又はカリウムなどの特定のミネラルもまた、多量栄養素に分類されることがある。
【0158】
[0172]さまざまな実施形態において、「微量栄養素」という用語は、本明細書では、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して使用され、身体に有益な効果を有する(例えばエネルギー、成長又は健康を提供する)が、軽微又は微量でしか必要とされない化合物を通常包含するものである。かかる実施形態におけるこの用語は、有機化合物及び無機化合物の双方を含むか又は包含してもよい。例えば、個々のアミノ酸、ヌクレオチド及び脂肪酸;ビタミン、抗酸化剤、ミネラル、微量元素(例えば、ヨウ素)、及び電解質(例えば、塩化ナトリウム、及びそれらの塩)、である。
【0159】
[0173]さまざまな実施形態において、「必須栄養素」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。必須栄養素は、内部で合成することも、十分な量で合成することもできないため、有機体によってその環境から摂取されなければならない。これらとしては、必須脂肪酸、必須アミノ酸、ビタミン、及び特定の食事性ミネラルが挙げられる。例えば、ヒトには2つの必須脂肪酸があり、アルファ-リノレン酸(オメガ-3脂肪酸)とリノール酸(オメガ-6脂肪酸)である。20個のアミノ酸のうち、ヒトによって内因的に合成され得ないものが9種(フェニルアラニン、バリン、トレオニン、トリプトファン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、リシン、及びヒスチジン)あり、これらは必須アミノ酸とみなされる。
【0160】
[0174]さまざまな実施形態において、「条件付き必須栄養素」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。条件付き必須栄養素は、通常有機体によって合成されることができる特定の有機分子であるが、特定の条件下で、かかる生合成は、脱落症候群を予防するのに十分ではない。例えば、コリン、イノシトール、タウリン、アルギニン、グルタミン及びヌクレオチドは、特に新生児の食事及び代謝にとって条件付きで必須であると分類されている。
【0161】
[0175]さまざまな実施形態において、「非必須栄養素」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。非必須栄養素は、体によって作られることができるそれらの栄養素である。それらは度々摂取された食品から吸収することができる。非必須栄養素は、食品内の物質であり、有益であるか毒性であるかに関わらず、なお健康に重大な影響を及ぼす可能性がある。例えば、ほとんどの食物繊維は人間の消化管によって吸収されないが、便秘を避けるために腸の動きの大部分を持続するのに重要である。
【0162】
[0176]さまざまな実施形態において、「欠乏症」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。欠乏症は、栄養失調と呼ばれる栄養摂取の不足、又は生体内での栄養素の利用を妨げる条件を含む、多くの原因に起因する可能性がある。栄養素の利用を妨げる可能性がある条件としては、栄養素の吸着の問題、通常の必要を超えて栄養素を必要とする物質、栄養素の破壊を引き起こす条件、そしてより大きな栄養素の排出を引き起こす条件が挙げられる。
【0163】
[0177]さまざまな実施形態において、「毒性」という用語は、当該分野でよく理解されている使用方法に合致して、本明細書で使用される。栄養素の毒性は、過剰な栄養素が生物に害を及ぼすときに起こる。
【0164】
[0178]さまざまな実施形態において、本開示は、データベース又はデータストアのいずれかをデータの集まりであるとして参照したものである。所望の実装に応じて、データベース(コンテンツのプロバイダによって操作される記憶デバイスに記憶されたデータベースなど)、データストア(クラウドコンピューティングのデータ記憶リソースなど)、又は他の適切な記憶の仕組みを使用して、本明細書に記載のさまざまなデータを記憶することができることを理解されたい。
【0165】
[0179]いくつかの実施形態では、摂取される食品の量は、所定の期間にわたって必然的に決定されることを更に理解されたい。例えば、ユーザが1週間にわたって1ポンドの鶏肉を摂取する場合に、栄養学的健康スコアは1つの数値となり、そのユーザが1日に1ポンドの鶏肉を摂取する場合には、全く別の数値となる可能性がある。したがって、さまざまな実施形態で摂取される食品の量に対する本明細書の言及は、所定の時間に消費される食品の量に対するものであるという考えを織り込んでいる。同様に、「食事」及び「(一定期間の)食事」への言及は、本質的にそれらに時間的制約を伴うものである。例えば、食事は1日のうちの3分の1で摂取され、(一定期間の)食事は1週間又は1ヶ月の時間にわたることがある。
【0166】
[0180]上述したように、開示されたシステムは、いくつかの実施形態では、上述したさまざまな機能を実行するために、1つ以上のモジュール(ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの組み合わせ)に依存する。
【0167】
[0181]一実施形態では、開示されたシステムを用いれば、異なる組織又は異なる国から提供される下側及び上側の健康限界値のデータベースを選択することなどにより、ユーザは、下側及び上側の健康限界値の複数のデータベースの中から選択することができる。例えば、一実施形態において、開示されたシステムを用いれば、一方でUSDAにより、他方でニュージーランドの政府機関により、提供される健康範囲情報のデータベースから、ユーザは選択することができる。
【0168】
[0182]上記の説明は、本明細書に開示されたシステムの特徴を例示するものである。上述のように、開示されたシステム及び方法は、摂取可能物の任意の適切な測定可能な特性に基づく、個人又は環境要因に対する摂取可能物の摂取の影響を示すスコアを算出するために使用することができ、栄養値スコアの決定に限定されない。更に、上述のシステムの機能は、本明細書に示す機能に限定されない。現在開示した実施形態に対しては、さまざまな変更及び修正が当業者には明らかであることを理解されたい。かかる変更及び修正は、本発明の主題の趣旨及び範囲から逸脱することなく、かつ意図される利点を損なわずに、行うことができる。したがって、かかる変更及び修正は、添付の特許請求の範囲に包含されることが意図されている。