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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28D 7/16 20060101AFI20220613BHJP
   F28F 1/02 20060101ALI20220613BHJP
   F28F 9/22 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
F28D7/16 A
F28F1/02 A
F28F9/22
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2019525594
(86)(22)【出願日】2018-06-08
(86)【国際出願番号】 JP2018023048
(87)【国際公開番号】W WO2018230741
(87)【国際公開日】2018-12-20
【審査請求日】2021-05-31
(31)【優先権主張番号】P 2017114866
(32)【優先日】2017-06-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000222484
【氏名又は名称】株式会社ティラド
(74)【代理人】
【識別番号】100082843
【弁理士】
【氏名又は名称】窪田 卓美
(72)【発明者】
【氏名】山本 悦生
(72)【発明者】
【氏名】瀬戸丸 直哉
【審査官】岩瀬 昌治
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-196319(JP,A)
【文献】特開2014-194296(JP,A)
【文献】特開2014-52086(JP,A)
【文献】特開2004-177060(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28D 7/16
F28F 1/02
F28F 9/22
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の偏平チューブ(1)が並列されたコア(2)と、コア(2)の外周に被嵌されたケーシング(3)とを有し、ケーシング(3)に冷却水(12)の入口(4)と出口(5)とが互いに離間して配置され、各偏平チューブ(1)の外面側にバッフルプレート(6)を介して冷却水(12)が供給され、偏平チューブ(1)の内部に気体(13)が供給される熱交換器において、
前記バッフルプレート(6)は、板バネ材からなると共に、前記入口(4)と出口(5)との間に配置され、前記ケーシング(3)の内面に接続され、一端部に係止部(7)を有する基部(8)と、
その基部(8)の他端部から折返部(16)を介して一体に延長されて、偏平チューブ(1)間に挿入される架橋部(9)と、を具備し、その架橋部(9)が偏平チューブ(1)側に湾曲変形されて、その端部が前記係止部(7)に係合することを特徴とする熱交換器。
【請求項2】
前記バッフルプレート(6)の架橋部(9)は、板バネの平面内にスリット状の開口部(18)を有し、その開口部(18)の幅方向の両側に少なくとも一対形成され、その開口部(18)の両端に位置する端縁(20)で連結されて、その端部の係合部(17)が前記係止部(7)に係合することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
【請求項3】
前記偏平チューブ(1)の幅方向の一方側に、前記基部(8)が配置されると共に、その基部(8)がケーシング(3)の一方側の平面に接続され、各偏平チューブ(1)間の数だけ前記架橋部(9)が並列されて、その各架橋部(9)が各偏平チューブ(1)間に挿通された請求項1または請求項2に記載の熱交換器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏平チューブが並列され、その外面側に冷却水が流通すると共に、内面側に気体が導かれる熱交換器である。より詳しくは偏平チューブの外面側にバッフルプレートを介して、冷却水を円滑に導くものに関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1に記載されたEGRクーラ用熱交換器のチューブ支持構造は、偏平チューブを並列してコアを形成し、偏平チューブの外面側に冷却水を流通させると共に、チューブの内面側に高温の排気ガスを流通させる。そして、チューブの外面側にはバッフルプレートを適宜配置して、各偏平チューブ間に冷却水の流通に導くものである。
さらには、バッフルプレートを用いたEGRクーラとして、図8図9に示すものが提案されている。
即ち、複数の偏平チューブ1aが並列されると共に、その両端部がチューブプレート14aに挿通されてコア2aを構成する。そして、そのコア2aの外周にケーシング3cを被嵌し、ケーシング3cに互いに離間して一対の入口4aと出口5aを配置し、その入口4aと出口5aとの間にバッフルプレート6aを配置する。そして、冷却水12aを入口4aから出口5aに流通させるものである。このとき、バッフルプレート6aは冷却水12aが入口4aから出口5aにバイパスするのを防止する(図7図9参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-196319号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、実験によればバッフルプレート6aを各コア2aの偏平チューブ1a間に挿入するとき、バッフルプレート6aが変形し易い欠点がある。
さらには、図8に示す如く、バッフルプレート6aの下流側において冷却水12aが滞留する滞留部19aが形成され、偏平チューブ1aの全面に渡って均一に流れ難い欠点がある。
そこで、本発明は各種実験の結果、取付け易く且つ装着時に変形し難いバッフルプレートであって、冷却水の流通を円滑に行い得るものを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の本発明は、複数の偏平チューブ1が並列されたコア2と、コア2の外周に被嵌されたケーシング3とを有し、ケーシング3に冷却水12の入口4と出口5とが互いに離間して配置され、各偏平チューブ1の外面側にバッフルプレート6を介して冷却水12が供給され、偏平チューブ1の内部に気体13が供給される熱交換器において、
前記バッフルプレート6は、板バネ材からなると共に、前記入口4と出口5との間に配置され、前記ケーシング3の内面に接続され、一端部に係止部7を有する基部8と、
その基部8の他端部から折返部16を介して一体に延長されて、偏平チューブ1間に挿入される架橋部9と、を具備し、その架橋部9が偏平チューブ1側に湾曲変形されて、その端部が前記係止部7に係合することを特徴とする熱交換器である。
請求項2に記載の本発明は、前記バッフルプレート6の架橋部9は、板バネの平面内にスリット状の開口部18を有し、その開口部18の幅方向の両側に少なくとも一対形成され、その開口部18の両端に位置する端縁20で連結されて、その端部の係合部17が前記係止部7に係合することを特徴とする請求項1に記載の熱交換器である。
請求項3に記載の本発明は、前記偏平チューブ1の幅方向の一方側に、前記基部8が配置されると共に、その基部8がケーシング3の一方側の平面に接続され、各偏平チューブ1間の数だけ前記架橋部9が並列されて、その各架橋部9が各偏平チューブ1間に挿通された請求項1または請求項2に記載の熱交換器である。
【発明の効果】
【0006】
本発明の熱交換器は、板バネ材からなるバッフルプレート6の基部8が、入口4と出口5との間に位置して、ケーシング3の内面に接続され、その架橋部9が偏平チューブ1側に湾曲変形されて、偏平チューブ1間に挿入され、その端部が係止部7に係合するものである。そのため、バッフルプレート6の装着が容易で、冷却水12を入口4から出口5に架橋部9の回りに案内して、熱交換を円滑に行うことができる。即ち、架橋部9を変形して、その端部を係止部7に係合することにより、冷却水12を円滑に導き、熱交換が促進される。また、その変形状態を保持して、安定的に熱交換が行われる。
請求項2に記載の発明は、板バネの平面内にスリット状の開口部18が形成され、その幅方向の両側に少なくとも一対の架橋部9が形成され、その開口部18の両端に位置する端縁(20)で連結されて、その端部の係合部(17)が前記係止部7に係合するものである。そのため、架橋部9の剛性が強くなり、バッフルプレートの変形を防止して安定的に冷却水を案内することができる。
請求項3に記載の発明は、上記構成において、各偏平チューブ1間の数だけ架橋部9が並列されて、その各架橋部9が各偏平チューブ1間に挿通されものである。そのため、各偏平チューブ間の冷却水12の流れを円滑に導き、熱交換を促進できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1は本発明の熱交換器に用いられるバッフルプレート6の斜視図であって、取付け前の状態を示す。
図2は同バッフルプレート6であって、偏平チューブ1間に取付ける状態を示す略図。
図3は同バッフルプレート6と偏平チューブ1との相互関係を示す略図であって、(A)はケーシング3にコア2を嵌着する前の状態を示し、(B)はその嵌着後の状態を示す。
図4は同バッフルプレート6の取付け手順を示し、(A)はバッフルプレート6の架橋部9をコア2の隙間に配置した状態を示し、(B)はその架橋部9をバッフルプレート6の係止部7に係止して、架橋部9を各偏平チューブ間に挿入した状態を示し、(C)はその斜視図。
図5は同バッフルプレート6の作用を示す平面図。
図6は同縦断面図。
図7はバッフルプレート6を使用しない場合の冷却水12aの流れを示す説明図。
図8は従来型バッフルプレート6aを用いた場合の冷却水12aの流れ及び滞留部19aを示す説明図。
図9は従来型バッフルプレート6aの取付け説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面に基づいて本発明の実施の形態につき説明する。
図1及び図2は本発明の熱交換器に取付けられるバッフルプレート6であって、その取付けの前の斜視図である。図1はその自由状態を示し、図2はバッフルプレート6を湾曲形成して各偏平チューブ1間に装着する説明図である。
このバッフルプレート6は平板状の板バネ材からなり、基部8と架橋部9とを有する。基部8は一端に係止部7を有し、他端に折返部16を介して延長される一対の架橋部9を一体に有する。そして、自由状態で架橋部9が係止部7を越えて延長され、その先端に係合部17を形成する。一対の架橋部9の間には、偏平なスリット状の開口部18が形成されている。即ち、開口部18の幅方向の両側に一対の架橋部9が配置されている。また、開口部18の両端に位置する端縁20で、一対の各架橋部9が連結されている。
次に、このバッフルプレート6は一対の架橋部9が図2の如く、その弾性を利用して湾曲され、その係合部17が係止部7に係止される。
次に、この熱交換器は図3図6に示す如く偏平チューブ間に配置される。
この例の熱交換器は、複数の偏平チューブ1が並列され、夫々の両端部がチューブプレート14のチューブ挿通孔に挿通される。そして、コア2の外周にはケーシング3が被嵌される。
そのケーシング3は、図5図6に示す如く、ケーシング本体3aとその上端部を被嵌する蓋材3bとからなる。各偏平チューブ1の平面には、多数のディンプル15が突出し、この例ではそのディンプル15どうしが図6の如く接する。
〔バッフルプレート6の取付け手順〕
次に、本発明のバッフルプレート6を熱交換器に取付ける手順について述べる。
先ず、図3(A)(B),図4(A)に示す如く、バッフルプレート6の基部8を入口4と出口5との間に位置する。このとき、架橋部9は平面状態を維持して、それがコア2の側面に対向する。
次いで、図4(B)に示す如く、係合部17を折返部16側に移動して、一対の架橋部9を湾曲させ、その係合部17を基部8の係止部7に係止する。このとき、一対の架橋部9は図5及び図6に示す如く、弾性変形により湾曲して各偏平チューブ1間に挿入される。
また、図1において開口部18の両端の端縁20は、各偏平チューブ1の外周に接触又は隣接する。そして、ケーシング3のケーシング本体3aの上方には、図6において蓋材3bが被嵌され、全体が組み立てられる。
係る状態で全体が高温の炉内に挿入され、各部材表面に被覆又は塗布されたろう材が溶融され、熱交換器を完成する。
〔作用〕
このようにしてなる熱交換器は、図5において、入口4から冷却水12が各偏平チューブ1間に流入し、バッフルプレート6の外周の架橋部9に案内されて、それが各偏平チューブ1の平面上に広がり出口5に導かれる。
また、この例では高温の排気ガスからなる気体13が各偏平チューブ1内を左方から右方に導かれる。そして、冷却水12と気体13との間に熱交換が行われるものである。
このとき、バッフルプレート6の架橋部9は偏平チューブ1の幅方向の一端部に挿入される。それにより、偏平チューブ1の平面上の全域に渡り滞留域が生じるのを防止している。即ち、図8に示す、従来における滞留部19aがバッフルプレート6aの下流側に生じることを防止し、結果として熱交換を促進する。
【符号の説明】
【0009】
1 偏平チューブ
1a 偏平チューブ
2 コア
2a コア
3 ケーシング
3a ケーシング本体
3b 蓋材
3c ケーシング
4 入口
4a 入口
5 出口
5a 出口
6 バッフルプレート
6a バッフルプレート
7 係止部
8 基部
9 架橋部
10 一側隙間
10a 一側隙間
11 他側隙間
11a 他側隙間
12 冷却水
12a 冷却水
13 気体
13a 気体
14 チューブプレート
14a チューブプレート
15 ディンプル
16 折返部
17 係合部
18 開口部
19a 滞留部
20 端縁
21 端縁
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9