(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】二重硬化保護ディスプレイフィルム
(51)【国際特許分類】
B32B 27/30 20060101AFI20220613BHJP
B32B 27/40 20060101ALI20220613BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20220613BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20220613BHJP
H01L 51/50 20060101ALI20220613BHJP
H01L 27/32 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B32B27/30 A
B32B27/40
G09F9/00 302
G09F9/00 313
G09F9/30 365
G09F9/30 308Z
H05B33/14 A
H01L27/32
(21)【出願番号】P 2019529521
(86)(22)【出願日】2017-11-30
(86)【国際出願番号】 US2017064061
(87)【国際公開番号】W WO2018102607
(87)【国際公開日】2018-06-07
【審査請求日】2020-11-27
(32)【優先日】2016-12-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505005049
【氏名又は名称】スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】100130339
【氏名又は名称】藤井 憲
(74)【代理人】
【識別番号】100110803
【氏名又は名称】赤澤 太朗
(74)【代理人】
【識別番号】100135909
【氏名又は名称】野村 和歌子
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【氏名又は名称】佃 誠玄
(74)【代理人】
【識別番号】100171701
【氏名又は名称】浅村 敬一
(72)【発明者】
【氏名】エッカート,カリッサ エル.
(72)【発明者】
【氏名】トンプソン,デイヴィッド スコット
(72)【発明者】
【氏名】ブラウン,ライアン エム.
(72)【発明者】
【氏名】レザーデール,キャサリン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,マイケル エー.
(72)【発明者】
【氏名】ソロモンソン,スティーブン ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ポコルニー,リチャード ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ストラディンガー,ジョン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】シャファー,ケビン アール.
(72)【発明者】
【氏名】ルール,ジョーゼフ ディー.
(72)【発明者】
【氏名】コンド,ピーター ディー.
(72)【発明者】
【氏名】パツマン,デレク ダブリュ.
【審査官】千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2013/161666(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B32B1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透明なポリマー基材層と、
前記透明なポリマー基材層上に配置された透明なエネルギー散逸層と、
を備え、前記透明なエネルギー散逸層が、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含み、前記透明なエネルギー散逸層が、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、ディスプレイフィルム
であって、
前記透明なエネルギー散逸層は、Tanδピーク値が0.5以上、又は0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有し、かつ前記架橋ポリウレタンが、0.1~1.0mol/kg、又は0.2~0.9mol/kg、又は0.37~0.74mol/kgの範囲内の架橋密度を有する、ディスプレイフィルム。
【請求項2】
前記透明なポリマー基材層が、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲の厚さと、90MPa超、又は100MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値と、を有する、請求項1に記載のディスプレイフィルム。
【請求項3】
架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含み、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された透明な保護層と、
を備えるディスプレイフィルム
であって、
前記透明なエネルギー散逸層は、Tanδピーク値が0.5以上、又は0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有し、かつ前記架橋ポリウレタンが、0.1~1.0mol/kg、又は0.2~0.9mol/kg、又は0.37~0.74mol/kgの範囲内の架橋密度を有する、ディスプレイフィルム。
【請求項4】
前記透明なエネルギー散逸層が、光開始剤及び触媒を更に含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項5】
前記透明なエネルギー散逸層が、1重量%~50重量%の前記ポリアクリレートポリマーを含み、前記透明なエネルギー散逸層が、50重量%~99重量%の前記架橋ポリウレタンポリマーを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項6】
前記ポリアクリレートポリマーが架橋されている、請求項1~5のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項7】
前記ポリアクリレートポリマーが、ポリアクリレートホモポリマーである、請求項1~6のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項8】
前記ポリアクリレートポリマーが、アクリレート及びウレタンセグメント、又はアクリレート及びウレタン相溶性セグメントを含む、請求項1~7のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項9】
前記透明なエネルギー散逸層が、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内のガラス転移温度を有する、請求項1~8のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項10】
前記保護層が、ナノ粒子を含み、かつ2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲の厚さを有するハードコート層である、請求項3~
9のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項11】
前記透明なエネルギー散逸層が、75~200マイクロメートル、又は100~200マイクロメートル、又は150~200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項1~
10のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項12】
前記ディスプレイフィルムが、85~350マイクロメートル、又は100~300マイクロメートル、又は150~250マイクロメートルの範囲の厚さを有する、請求項1~
11のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
【請求項13】
光学ディスプレイと、
請求項1~
12のいずれか一項に記載のディスプレイフィルムと、
前記ディスプレイフィルムを前記光学ディスプレイに固定する光学接着剤層と、
を備える物品。
【請求項14】
ポリウレタン前駆体材料をポリアクリレート前駆体材料と組み合わせて前駆体混合物を形成することと、
前記前駆体混合物内の前記ポリアクリレート前駆体材料を選択的に重合して、b段階材料を形成することと、
前記b段階材料内の前記ポリウレタン前駆体材料を選択的に架橋して、透明なエネルギー散逸層を形成することと、
を含み、前記透明なエネルギー散逸層は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含み、前記透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有
し、
前記透明なエネルギー散逸層は、Tanδピーク値が0.5以上、又は0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有し、かつ前記架橋ポリウレタンが、0.1~1.0mol/kg、又は0.2~0.9mol/kg、又は0.37~0.74mol/kgの範囲内の架橋密度を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ディスプレイ及び電子デバイスは進化し、湾曲される、曲げられる、又は折り畳まれるようになり、新たなユーザーエクスペリエンスをもたらしている。これらのデバイスアーキテクチャは、例えば、可撓性のある有機発光ダイオード(OLED)、プラスチック液晶ディスプレイ(LCD)などを含み得る。
【0002】
このような可撓性のあるディスプレイを実現するため、かつディスプレイの要素を保護するため、可撓性のあるカバーシート又は可撓性のあるウィンドウフィルムが、従来のガラスカバーシートに取って代わる。この可撓性のあるカバーシートは、高い可視光透過率、低いヘイズ、ディスプレイデバイスに含まれる要素を保護するための優れた耐擦傷性及び耐衝撃性などのいくつかの設計パラメータを有する。ある場合には、可撓性のあるカバーシートは、目に見える損傷を生じることなく、小さい曲げ半径(約5mm以下)での数千回もの折り畳み動作に耐えなくてはならないこともある。他の場合には、可撓性のあるカバーシートは、高温高湿で曲げられた後に、目に見える折り目を残すことなく広がることができなくてはならない。
【0003】
様々なハードコートプラスチック基材が検討されてきた。ハードコート無色透明ポリイミドフィルムのようなよりエキゾチック(exotic)な材料もまた、高い硬度及び良好な耐擦傷性を有することが示されている。しかしながら、多くのハードコートフィルムは、目に見える損傷を生じることなく小さい曲げ半径での折り畳み動作に耐えることができず、適切な耐衝撃性をもたらすことができない。
【発明の概要】
【0004】
本開示は、ディスプレイウィンドウを保護することができ、折り畳み試験を無傷で耐え抜くことができるディスプレイフィルムに関する。保護ディスプレイフィルムは、ディスプレイに耐擦傷性又は耐衝撃性をもたらす一方で、ディスプレイフィルムの光学特性を維持する。
【0005】
一態様において、ディスプレイフィルムは、透明なポリマー基材層と、透明なポリマー基材層上に配置された透明なエネルギー散逸層と、を含む。透明なエネルギー散逸層は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含む。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する。
【0006】
別の態様において、ディスプレイフィルムは、透明なエネルギー散逸層と、透明なエネルギー散逸層上に配置された透明な保護層と、を含む。透明なエネルギー散逸層は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含む。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する。
【0007】
別の態様では、方法は、ポリウレタン前駆体材料をポリアクリレート前駆体材料と組み合わせて前駆体混合物を形成することを含む。次いで、本方法は、ポリアクリレート前駆体材料を選択的に重合して、b段階材料を形成することを含む。次いで、この方法は、b段階材料内のポリウレタン前駆体材料を選択的に架橋して、透明なエネルギー散逸層を形成することを含む。透明なエネルギー散逸層は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含む。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する。
【0008】
別の態様において、物品は、光学ディスプレイと、本明細書に記載のディスプレイフィルムと、を含む。光学接着剤層は、ディスプレイフィルムを光学ディスプレイに固定する。
【0009】
これら及び様々な他の特徴及び利点は、以下の発明を実施するための形態を読むことにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示は、本開示の様々な実施形態についての下記の詳細な説明を添付の図面と併せて考察することにより、より完全に理解し得る。
【
図1A】例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図1B】例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図2A】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図2B】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図2C】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図3A】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図3B】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図3C】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図4A】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図4B】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図4C】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図5A】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図5B】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図5C】別の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図6A】物品を形成する光学ディスプレイ上の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図6B】物品を形成する光学ディスプレイ上の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図6C】物品を形成する光学ディスプレイ上の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図6D】物品を形成する光学ディスプレイ上の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図6E】物品を形成する光学ディスプレイ上の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図6F】物品を形成する光学ディスプレイ上の例示的なディスプレイフィルムの概略側面図である。
【
図7】例示的なディスプレイフィルムを含む例示的な折り畳み物品の概略斜視図である。
【
図8】二重硬化ディスプレイフィルムを形成する例示的な方法の概略フロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下の発明を実施するための形態において、本明細書の一部を構成する添付の図面を参照し、これらの図面には、いくつかの具体的な実施形態が例として示されている。本開示の範囲又は趣旨から逸脱することなく、他の実施形態が想定され、実施され得ることを理解されたい。したがって、以下の発明を実施するための形態は、限定的な意味で解釈されないものとする。
【0012】
本明細書で用いる全ての科学用語及び技術用語は、別途明記しない限り、当該技術分野で通常用いられる意味を有する。本明細書で与えられる定義は、本明細書で頻繁に用いる特定の用語の理解を助けるためのものであり、本開示の範囲の限定を意図するものではない。
【0013】
別途断りがない限り、本明細書及び特許請求の範囲で用いる加工寸法(feature size)、量、及び物理的特性を表す全ての数は、全ての場合において、用語「約」によって修飾されていると理解するものとする。したがって、そうではないと明記しない限り、上記の明細書及び添付の特許請求の範囲において示される数値パラメータは、本明細書に開示された教示を利用して当業者が得ようとする特性に応じて変わり得る近似値である。
【0014】
端点による数値範囲の記載には、その範囲内に包含される全ての数(例えば、1~5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、及び5を含む)及びその範囲内の任意の範囲が含まれる。
【0015】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、単数形「a」、「an」、及び「the」は、内容が別途明示しない限り、複数の指示対象を有する実施形態を包含する。
【0016】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で用いる場合、用語「又は」は、内容が別途明示しない限り、「及び/又は」を含む意味で通常用いられる。
【0017】
本明細書で用いる場合、「有する(have)」、「有する(having)」、「含む(include)」、「含む(including)」、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などは、オープンエンドの意味で用いられ、通常、「含むが、これらに限定されない」という意味である。「から本質的になる(consisting essentially of)」、「からなる(consisting of)」などは、「含む(comprising)」などに包含されることが理解されるであろう。
【0018】
用語「ディスプレイフィルム」、「保護フィルム」及び「保護ディスプレイフィルム」は、本明細書において互換的に使用される。
【0019】
「透明な基材」又は「透明な層」は、可視光スペクトル(約380~約750ナノメートルの波長)を含む約350~約1600ナノメートルの波長を有する光スペクトルの少なくとも一部分にわたり、基材の表面の少なくとも一部分にわたって高い光透過率(典型的には90%超)を有する、基材又は層を指す。
【0020】
「ポリウレタン」は、ヒドロキシル官能性材料(水酸基-OHを含有する材料)を、イソシアネート官能性材料(イソシアネート基-NCOを含有する材料)と逐次重合させることによって調製されるポリマーを指し、そのため、ウレタン結合(-O(CO)-NH-)[式中、(CO)はカルボニル基(C=O)を指す]を含有する。この用語は、ウレタン結合及び尿素結合の両方が存在する「ポリウレタン-ウレア」を含み得る。
【0021】
「ポリアクリレート」は、アクリレート末端基又は(メタ)アクリレート末端基内に反応性ビニル基又はビニリデン基を含有する前駆体のフリーラジカル重合によって調製されるポリアクリレート又はポリ(メタ)アクリレートポリマーを指す。ポリアクリレート前駆体としては、ポリマー鎖中のウレタンセグメント及びアクリレートセグメントの両方を含むウレタンアクリレートが挙げられる。
【0022】
「ガラス転移温度」という語句は、本明細書において、E”のピークの位置によって決定されるガラス転移の開始を指し、ここで、ポリウレタン試料は、0.2%ひずみの振動でDMAによって、毎分2℃の速度で、-50℃~200℃の温度勾配を通して1Hzで特徴付けられた。
【0023】
語句「Tanδピーク値」及びピーク温度は、実施例に記載のDMA分析に従って測定される。
【0024】
用語「b段階」は、分子量及び粘度を増加させるために重合及び又は架橋された材料を指す。
【0025】
用語「硬化」は、重合又は架橋、又は重合及び架橋の両方を指す。
【0026】
用語「触媒」は、ポリオールとのイソシアネート反応を触媒してポリウレタンを形成する材料を指す。触媒は、熱触媒であってもよい。
【0027】
本開示は、ディスプレイウィンドウを保護することができ、折り畳み試験を無傷で耐え抜くことができるディスプレイフィルム又は保護ディスプレイフィルムに関する。保護ディスプレイフィルムは、ディスプレイに耐擦傷性をもたらす一方で、光学特性を維持する。これらの保護ディスプレイフィルムは、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーの両方を含む透明なエネルギー散逸層を含む。透明なエネルギー散逸層は、二重硬化させてポリウレタン又はポリアクリレートのいずれかを最初に重合させ、次いで残りのポリウレタン又はポリアクリレートを重合させることができる。透明なエネルギー散逸層は、光開始剤(光硬化又は重合の光開始のため)及び触媒(熱硬化用)の両方を含んでもよい。保護ディスプレイフィルムは薄く、光学的に透明であってもよい。保護ディスプレイフィルムは、折り畳み可能な又は可撓性の電子機器(例えば、光学ディスプレイなど)と組み合わされてもよく、耐摩耗性外面、及び低いガラス転移温度を有する可撓性及び耐久性のある内層を提供することができる。保護ディスプレイフィルムは、透明である脂肪族架橋ポリウレタン材料、及び透明であり、架橋され得るポリアクリレート材料で形成されてもよい。保護ディスプレイフィルムは、5%以下、又は3%以下、又は2%以下、又は1%以下のヘイズ値を示す。保護ディスプレイフィルムは、85%以上、又は90%以上、又は93%以上の可視光透過率を示す。保護ディスプレイフィルムは、95%以上、又は97%以上、又は99%以上の透明度を示す。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下、又は15℃以下、又は10℃以下、又は5℃以下、又は0℃以下のガラス転移温度を有してもよい。透明なエネルギー散逸層は、0.5~2.5、又は1~2、又は1.2~2の範囲のTanδピーク値を有し得る。保護ディスプレイフィルムは、室温での耐擦傷性又は傷修復性(scratch recovery)を示し、損傷も目に見える欠陥もなく、少なくとも100,000回の折り畳みサイクルに耐えることができる。こうした保護ディスプレイフィルムは、損傷も、層間剥離、クラック若しくはヘイズなどの目に見える欠陥もなく、5mm以下、又は4mm以下、又は3mm以下、又は2mm以下、又は更には1mm以下の曲げ半径に耐えることができる。本開示は、配合物がb段階であってもよく、又はポリウレタンイソシアネート及びポリオール成分の第2の種類の重合の前に、ポリアクリル前駆体材料の第1の種類の重合を介して粘度を構築するように作製され得る、硬化エネルギー散逸層を与えるように設計された配合物を記載する。このb段階工程は、加工中の欠陥を低減し、保護ディスプレイフィルムの一般的な製造可能性を改善する粘度の有益な構築を提供することができる。本開示がそのように限定されるわけではないが、下記に示した実施例の説明により、本開示の様々な態様の理解が得られるであろう。
【0028】
図1Aは、例示的なディスプレイフィルム10の概略側面図である。用語「ディスプレイフィルム」、「カバーフィルム」、「保護フィルム」、「保護カバーフィルム」又は「保護ディスプレイフィルム」は、本明細書において互換的に用いられる。ディスプレイフィルム10は、透明なポリマー基材層12と、透明なポリマー基材層12上に配置された透明なエネルギー散逸層14と、を含む。透明なエネルギー散逸層14は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含む。透明なエネルギー散逸層14は、27℃以下のガラス転移温度を有してもよい。透明なエネルギー散逸14は、0.5以上、又は0.5~2.5、若しくは1~2.5若しくは1~2の範囲のTanδピーク値を有してもよい。
【0029】
図1Bは、エネルギー散逸層14がその上に配設された保護ライナー/プレマスク27を有する、1つの可能な送達フォーマットの例示的なディスプレイフィルム11の概略側面図を示す。
【0030】
図2Aは、保護層15を含む例示的なディスプレイフィルム20の概略側面図である。保護層15は、透明なポリマー基材層12上に配置されており、透明なポリマー基材層12は透明なエネルギー散逸層14を保護層15から分離している。保護層15はディスプレイフィルムに耐摩耗性をもたらし、耐摩耗層とも呼ばれ得る。保護層又は耐摩耗層は、ガラス層、ハードコート層、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層を含む。
【0031】
図2Bは、エネルギー散逸層14がその上に配置された保護ライナー/プレマスク27を有し、保護層15がその上に配置されたプレマスク22を有する、別の可能な送達フォーマットを示す例示的なディスプレイフィルム21の概略側面図である。
【0032】
図2Cは、場合により含まれる接着剤層24と、例示的なディスプレイフィルム25の外面を画定している剥離ライナー22、27と、を有する
図2Aの構造体を含む、例示的なディスプレイフィルム25の概略側面図である。接着剤層24は、透明なエネルギー散逸層14上に配置されている。透明なエネルギー散逸層14は、透明なポリマー基材層12を接着剤層24から分離している。
【0033】
接着剤層24は、光学接着剤であってもよい。接着剤層24は、感圧性接着剤であってもよい。接着剤層24は、本明細書に記載のディスプレイフィルム構造体のいずれに含まれてもよい。剥離ライナー22、27の1つ又は両方は、本明細書に記載のディスプレイフィルム構造体のいずれに含まれてもよい。剥離ライナーは「プレマスク」層と呼ばれる場合もあり、光学ディスプレイに適用するため、又はディスプレイフィルムを見えるようにするため、光学ディスプレイ上に配置する前又は後に、容易に取り外すことができる。光学的に透明な接着剤層は、アクリレート、シリコーン、シリコーンポリオキサミド、シリコーンポリウレア、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン、又はポリイソブチレンで形成され得る。
【0034】
取外し可能なライナー(又はプレマスク層)22、27は、下にあるディスプレイフィルム12、14、15及び場合により含まれる光学接着剤層24を、輸送中に保護することができる。取外し可能なライナー22、27は、ライナー22、27をディスプレイフィルム及び場合により含まれる光学接着剤層24からきれいに取り外すことが可能な低表面エネルギーを有する、層又は表面であり得る。取外し可能なライナー22、27は、例えば、シリコーンでコーティングされたポリエステルの層であり得る。取外し可能なライナー27は、場合により含まれる光学接着剤層24に、一時的な構造をもたらす場合がある。例えば、国際公開第2014/197194号及び国際公開第2014/197368号は、光学接着剤層をエンボス化する取外し可能なライナーを記載しており、この取外し可能なライナーが光学接着剤層から剥がされると、光学接着剤はその構造を失う。
【0035】
図3Aは、第2の透明な基材層13を有する
図2Aの構造体を含む、別の例示的なディスプレイフィルム30の概略側面図である。第2の透明なポリマー基材層13は、透明なエネルギー散逸層14上に配置されている。透明なエネルギー散逸層14は、透明なポリマー基材層12を第2の透明なポリマー基材層13から分離している。
【0036】
図3Bは、保護層15がその上に配置されたプレマスク22を有する、別の可能な送達フォーマットを示す例示的なディスプレイフィルム31の概略側面図である。
【0037】
図3Cは、場合により含まれる接着剤層24と、例示的なディスプレイフィルム30の外面を画定している剥離ライナー22、27と、を有する
図3Aの構造体を含む、例示的なディスプレイフィルム32の概略側面図である。接着剤層24は、第2の基材層13の上に配置される。第2の透明なポリマー基材層13は、エネルギー散逸層14を接着剤層24から分離する。
【0038】
図4Aは、別の例示的なディスプレイフィルム40の概略側面図である。透明な保護層15が、透明なエネルギー散逸層14上に配置されている。透明なエネルギー散逸層14は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含む。透明なエネルギー散逸層14は、27℃以下のガラス転移温度を有してもよい。透明ポリウレタン層14は、0.5以上、又は0.5~2.5若しくは1~2.5若しくは1~2の範囲のTanδピーク値を有してもよい。保護層15はディスプレイフィルムに耐摩耗性をもたらし、耐摩耗層とも呼ばれ得る。保護層又は耐摩耗層は、ガラス層、ハードコート層、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層を含む。
【0039】
図4Bは、例示的なディスプレイフィルム40の外面を画定している剥離ライナー/プレマスク層22、27、を有する
図4Aの構造体を含む、例示的なディスプレイフィルム41の概略側面図である。
【0040】
図4Cは、場合により含まれる接着剤層24と、例示的なディスプレイフィルム40の外面を画定している剥離ライナー22、27と、を有する
図4aの構造体を含む、例示的なディスプレイフィルム42の概略側面図である。保護層24は、エネルギー散逸層14上に配置されており、エネルギー散逸層14は保護層15を接着剤層24から分離している。
【0041】
図5Aは、第2の透明な基材層13を有する
図4Aの構造体を含む、別の例示的なディスプレイフィルム50の概略側面図である。第2の透明なポリマー基材層13は、透明なエネルギー散逸層14上に配置されている。透明なエネルギー散逸層14は、透明な保護層15を第2の透明なポリマー基材層13から分離している。
【0042】
図5Bは、例示的なディスプレイフィルム50の外面を画定している剥離ライナー/プレマスク層22、27、を有する
図5Aの構造体を含む、例示的なディスプレイフィルム51の概略側面図である。
【0043】
図5Cは、場合により含まれる接着剤層24と、例示的なディスプレイフィルム50の外面を画定している剥離ライナー22、27と、を有する
図5Aの構造体を含む、例示的なディスプレイフィルム52の概略側面図である。接着剤層24は、第2の基材層13の上に配置される。第2のポリマー基材層13は、エネルギー散逸層14を接着剤層24から分離する。
【0044】
上述の例示的なディスプレイフィルム構造体は、のぞき窓を画定する着色された境界を含む場合がある。この境界は、インクの使用によって製造されてもよく、又は装飾フィルムを含んでもよい。例えば境界は、例えば、透明なエネルギー散逸層又は基材層上に印刷された、連続的なフレーム要素であり得る。
【0045】
図6Aは、物品60を形成する光学素子26上の例示的なディスプレイフィルム10の概略側面図である。接着剤層24(光学接着剤など)は、ディスプレイフィルム10を光学素子26に接着させる。ある場合には、光学接着剤は、ディスプレイフィルムを光学素子26に永続的に固定する。他の場合には、ディスプレイフィルム及び光学接着剤は、消費者がディスプレイフィルムを交換できる又は再配置できるように、熱又は機械的な力をかけることにより、光学素子26から取り外す/剥離させる/光学素子26に対して再配置することができる。ディスプレイ物品60の外面は、透明なポリマー基材12である。
【0046】
図6Bは、物品61を形成する光学素子26上の例示的なディスプレイフィルム10の概略側面図である。接着剤層24(光学接着剤など)は、ディスプレイフィルム10を光学素子26に接着させる。ある場合には、光学接着剤は、ディスプレイフィルムを光学素子26に永続的に固定する。他の場合には、ディスプレイフィルム及び光学接着剤は、消費者がディスプレイフィルムを交換できる又は再配置できるように、熱又は機械的な力をかけることにより、光学素子26から取り外す/剥離させる/光学素子26に対して再配置することができる。ディスプレイ物品61の外面は、エネルギー散逸層14である。エネルギー散逸層14は、エネルギー散逸層14が例えば擦傷によって変形され、次いでその元の形状及び外観を復元することができるような形状記憶特性を有してもよい。
【0047】
図6Cは、物品62を形成する光学素子26上の例示的なディスプレイフィルム40の概略側面図である。接着剤層24(光学接着剤など)は、ディスプレイフィルム40を光学素子26に接着させる。ある場合には、光学接着剤は、ディスプレイフィルムを光学素子26に永続的に固定する。他の場合には、ディスプレイフィルム及び光学接着剤は、消費者がディスプレイフィルムを交換できる又は再配置できるように、熱又は機械的な力をかけることにより、光学素子26から取り外す/剥離させる/光学素子26に対して再配置することができる。ディスプレイ物品62の外面は、透明なエネルギー散逸層14上に直接配置された保護層である。
【0048】
図6Dは、物品63を形成する光学素子26上の例示的なディスプレイフィルム20の概略側面図である。接着剤層24(光学接着剤など)は、ディスプレイフィルム20を光学素子26に接着させる。ある場合には、光学接着剤は、ディスプレイフィルムを光学素子26に永続的に固定する。他の場合には、ディスプレイフィルム及び光学接着剤は、消費者がディスプレイフィルムを交換できる又は再配置できるように、熱又は機械的な力をかけることにより、光学素子26から取り外す/剥離させる/光学素子26に対して再配置することができる。ディスプレイ物品63の外面は、透明な基板12上に配置された保護層であり、透明な基板12が保護層15と透明なエネルギー散逸層14とを分離する。
【0049】
図6Eは、物品64を形成する光学素子26上の例示的なディスプレイフィルム30の概略側面図である。接着剤層24(光学接着剤など)は、ディスプレイフィルム30を光学素子26に接着させる。ある場合には、光学接着剤は、ディスプレイフィルムを光学素子26に永続的に固定する。他の場合には、ディスプレイフィルム及び光学接着剤は、消費者がディスプレイフィルムを交換できる又は再配置できるように、熱又は機械的な力をかけることにより、光学素子26から取り外す/剥離させる/光学素子26に対して再配置することができる。ディスプレイ物品64の外面は、透明な基板12上に配置された保護層15であり、透明な基板12が保護層15と透明なエネルギー散逸層14とを分離する。第2の透明な基板13は、透明なエネルギー散逸層14を接着剤層24から分離している。
【0050】
図6Fは、物品65を形成する光学素子26上の例示的なディスプレイフィルム50の概略側面図である。接着剤層24(光学接着剤など)は、ディスプレイフィルム50を光学素子26に接着させる。ある場合には、光学接着剤は、ディスプレイフィルムを光学素子26に永続的に固定する。他の場合には、ディスプレイフィルム及び光学接着剤は、消費者がディスプレイフィルムを交換できる又は再配置できるように、熱又は機械的な力をかけることにより、光学素子26から取り外す/剥離させる/光学素子26に対して再配置することができる。ディスプレイ物品65の外面は、透明なエネルギー散逸層14上に配置された保護層15であり、透明なエネルギー散逸層14は、第2の透明な基板13を保護層15から分離する。第2の透明な基板13は、透明なエネルギー散逸層14を接着剤層24から分離している。
【0051】
図7は、例示的なディスプレイフィルム10を含む例示的な折り畳み式ディスプレイデバイス70の概略斜視図である。ディスプレイフィルム10は、光学ディスプレイ74などの光学素子上に配置された、本明細書に記載のディスプレイフィルム構造体のいずれであってもよい。ディスプレイデバイスは、折り畳み物品ではない場合もあり、特定の範囲内でのみ屈曲する場合もあり、又は静止した湾曲のディスプレイデバイスの場合もある。
【0052】
光学ディスプレイ74は、ディスプレイデバイスの少なくとも一部分を形成し得る。ディスプレイデバイス70はディスプレイウィンドウ72を含み得る。ディスプレイデバイス70は、電話又はスマートフォン、電子タブレット、電子手帳、コンピュータ、及び同様のものなどの任意の有用な物品であり得る。光学ディスプレイは、有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイパネルを含んでもよい。光学ディスプレイは、液晶ディスプレイ(LCD)パネル又は反射型ディスプレイを含んでもよい。反射型ディスプレイの例としては、電気泳動ディスプレイ、電気流体ディスプレイ(エレクトロウェッティングディスプレイなど)、干渉ディスプレイ又は電子ペーパーディスプレイパネルが挙げられ、米国特許出願公開第2015/0330597号に記載されている。光学ディスプレイの更なる例としては、商業用のグラフィック表示及び広告板などの静止ディスプレイが挙げられる。
【0053】
ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74は、
図7に示すように、光学ディスプレイ74がそれ自体に向き合い、ディスプレイフィルム10の少なくとも一部分が保護フィルム10の別の部分に接触する、又は、直接向き合うように、折り畳むことができる。ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74は、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の一部分が、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の別の部分に対して接合できるように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能であり得る。ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74は、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の一部分が、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の別の部分に対して少なくとも90度又は少なくとも170度で接合できるように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能であり得る。
【0054】
ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74は、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の一部分が、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の別の部分に対して接合でき、ディスプレイフィルム10において、曲げ線又は折れ線で3mm以下の曲げ半径を形成するように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能であり得る。ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74は、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の一部が、ディスプレイフィルム10及び光学ディスプレイ74の別の部分に対して接合でき、ディスプレイフィルム10がそれ自体に重なり、互いに10mm以下、若しくは6mm以下、若しくは3mm以下の距離で離れる、又は、互いに接触するような曲げ半径を形成するように、可撓性又は曲げることが可能又は折り畳み可能であり得る。
図7は、ディスプレイデバイス74が内向きに折り曲げられているが、ディスプレイフィルム10の表面が互いに接近する場合、ディスプレイフィルム10がディスプレイデバイスの外面上にあるように、ディスプレイデバイスが反対方向又は外向きの方向(アウトフォールド)に折り重なる場合があることを示す。
【0055】
本明細書に記載される保護フィルムは、いくつかの方法で構築されてもよいが、低い温度であっても、動的折り畳みイベントの破損につながることのない、衝撃に有益な特性を提供するエネルギー散逸層を含む。
【0056】
ディスプレイフィルムは、5%以下、又は3%以下、又は2%以下、又は1%以下のヘイズ値を有し得る。ディスプレイフィルムは、95%以上、又は98%以上の透明度を有し得る。ディスプレイフィルムは、85%以上、又は90%以上、又は93%以上の可視光透過率を有し得る。
【0057】
ディスプレイフィルムは、5以下、又は4以下、又は3以下、又は2以下、又は1以下の黄色度又はb*値を有し得る。多くの実施形態において、ディスプレイフィルムは、1以下の黄色度又はb*値を有し得る。
【0058】
ディスプレイフィルムは、約3mmの半径での少なくとも100,000回の曲げ又は折り畳みサイクルの後に、5%以下、又は3%以下、又は2%以下、又は1%以下のヘイズ値を維持し得る。ディスプレイフィルムは、約5mm半径、又は約4mm半径、又は約3mm半径、又は約2mm半径、又は約1mm半径での少なくとも100,000回の曲げ又は折り畳みサイクルの後に、安定なヘイズ値を維持し得るか、又はクラックも層間剥離もなく無傷の状態であり得る。ディスプレイフィルムは、約3mm以下の半径での少なくとも100,000回の曲げ又は折り畳みサイクルの後に、無傷の状態であり得る。
【0059】
ディスプレイフィルムは、任意の有用な厚さを有し得る。多くの実施形態において、ディスプレイフィルムは、500マイクロメートル以下、又は400マイクロメートル以下、又は300マイクロメートル以下、又は200マイクロメートル以下の厚さを有する。ディスプレイフィルムの厚さは、所望のディスプレイ保護をもたらすのに十分な厚さであることと、折り畳み及び薄型化設計パラメータをもたらすのに十分な薄さであることと、の兼ね合いである。
【0060】
ディスプレイフィルムは、1つ以上の更なる層を含み得る。更なる層は、タッチ感知表示要素のための導電層、又はバリア層を含み得る。ディスプレイフィルムに所望の機械的特性(寸法安定性など)及び光学特性(光透過率及び透明度など)をもたらす、任意の有用なポリマー材料の1つ以上の更なる透明なポリマー基材層がディスプレイフィルム内に配置されていてもよい。ポリマー基材層において用いるのに好適な材料の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル(PET、PEN)、多環式オレフィンポリマー、及び熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。
【0061】
任意選択的な1つ以上のバリア層は透明なバリア層を含み得る。透明なバリア層は、基材又は保護層又はエネルギー散逸層上に配置されていてもよい。透明なバリア層は、ディスプレイフィルムを通過する酸素又は水分の侵入を軽減する又は遅らせることができる。透明なバリア層は、例えば、シリカ、アルミナ又はジルコニアと有機樹脂との薄い層を交互に含む場合がある。例示的な透明なバリア層は、米国特許第7,980,910号及び国際公開第2003/094256号に記載されている。
【0062】
任意選択的な更なる層としては、マイクロ構造層、アンチグレア層、反射防止層、又は耐指紋層を挙げることができる。更なる任意選択的な層が、ディスプレイフィルムの内部に配置されていてもよい。ディスプレイフィルム内に配置される1つの有用な更なる層は、国際公開第2015/191949号に記載されている通りのスパークル低減層である。スパークル低減層は、アンチグレアコーティングを含む高精細度ディスプレイにおいて特に有用になり得る。
【0063】
透明なポリマー基材層12は、任意の有用な厚さを有し得る。多くの実施形態において、透明なポリマー基材層12は、10~100マイクロメートル又は20~80マイクロメートルの範囲の厚さを有する。
【0064】
透明なポリマー基材層12は、ディスプレイフィルムに所望の機械的特性(寸法安定性など)及び光学的特性(光透過率及び透明度など)を与える、任意の有用なポリマー材料から形成され得る。ポリマー基材層12において使用するのに好適な材料の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル(PET、PEN)、多環式オレフィンポリマー、及び熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。
【0065】
透明なポリマー基材層12は、任意の有用な引張弾性率又はオフセット降伏応力値を有し得る。透明なポリマー基材層12は、50MPaを超える、又は75MPaを超えるオフセット降伏応力値を有し得る。語句「降伏応力」又は「オフセット降伏応力」は、本明細書において、ASTM D638-14で定義されている通りの「0.2%オフセット降伏強度」を指す。ASTM D638-14セクションA2.6は、「オフセット降伏強度」の試験方法を定義しており、ひずみが、応力-ひずみ曲線の最初の比例部分における延長を規定量(オフセット)だけ上回る応力と定義される。これは単位面積当たりの力、通常、メガパスカル(ポンド力/平方インチ)で表される。
【0066】
透明なポリマー基材層12をプライマー処理又は処理して、その表面の1つ以上に、何らかの所望の特性を付与してもよい。特に、透明なエネルギー散逸層14と透明なポリマー基材層12との接着を向上させるために、透明なポリマー基材層12をプライマー処理することができる。このような処理の例としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、及び、アクリレート又はシラン処理などの化学処理が挙げられる。
【0067】
透明なエネルギー散逸層14は、任意の有用な厚さを有し得る。多くの実施形態において、透明なエネルギー散逸層14は、100マイクロメートル以上、又は100~300マイクロメートル若しくは100~250マイクロメートルの範囲の厚さを有する。透明なエネルギー散逸層14の厚さは、ディスプレイ、特に透明なポリマー基材層12に所望の保護をもたらすのに十分な厚さであることと、折り畳み及び薄型化設計パラメータをもたらすのに十分な薄さであることと、の兼ね合いである。
【0068】
透明なエネルギー散逸層14は、ポリウレタン前駆体成分をポリアクリレート前駆体成分と混合することによって形成することができる。ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーは、別個の開始剤を介して形成される。これにより、ポリアクリレートポリマーを、ポリウレタンポリマーを形成することなく選択的に形成することができる。ポリウレタンポリマーは、例えば、触媒(熱硬化)を使用して形成されてもよく、ポリアクリレートは、例えば、光開始剤(UV又は光硬化)を使用して形成され得る。
【0069】
透明なエネルギー散逸層前駆体(光開始剤及び触媒の両方を有するポリアクリレート前駆体成分を有するポリウレタン前駆体成分の両方を含む)は、透明なポリマー基材層12(プライマー処理されていてもよい)上にコーティングされてもよく、次いで、ポリアクリレートポリマーは、b段階層を形成するために(UV硬化によって)選択的に重合又は架橋されてもよい。次いで、このb段階層を硬化又は架橋して熱硬化性又は架橋ポリウレタンポリマーを形成し、透明なエネルギー散逸層14の形成を完了することができる。
【0070】
透明なエネルギー散逸層14は、1~50重量%のポリアクリレートポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、50~99重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、1~20重量%のポリアクリレートポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、2~15重量%のポリアクリレートポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、3~10重量%のポリアクリレートポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、80~99重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、85~98重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、90~97重量%の架橋ポリウレタンポリマーを含んでもよい。透明なエネルギー散逸層14は、光開始剤及び触媒の両方を含んでもよい。
【0071】
透明なエネルギー散逸層14が約10重量%未満のポリアクリレート(前駆体混合物中のポリアクリレート前駆体材料の重量%に基づく)を含有する場合、ポリアクリレートは主に直鎖又は分枝鎖ポリマーを画定すると考えられる。透明なエネルギー散逸層14が約10重量%~約20重量%のポリアクリレート(前駆体混合物中のポリアクリレート前駆体材料の重量%に基づく)を含有する場合、ポリアクリレートは分枝状又は架橋ポリマーを画定すると考えられる。透明なエネルギー散逸層14が約20重量%~約50重量%のポリアクリレート(前駆体混合物中のポリアクリレート前駆体材料の重量%に基づく)を含有する場合、ポリアクリレートは主に架橋ポリマーを画定すると考えられる。架橋ポリアクリレートは、透明なエネルギー散逸層14内の架橋ポリウレタンを有する相互貫入ネットワークを画定してもよい。
【0072】
ポリウレタンは、カルバメート(ウレタン)結合によって連結された有機単位で構成されたポリマーである。本明細書に記載のポリウレタンは、加熱された際に溶融しない熱硬化性ポリマーである。ポリウレタンポリマーは、ジイソシアネート又はポリイソシアネートをポリオールと反応させることによって形成させることができる。ポリウレタンを製造するために用いられるイソシアネート及びポリオールは両方とも、1分子当たり平均して2つ以上の官能基を含有する。本明細書に記載されているポリウレタンは、2.4又は2.5を超える官能価を有し得る。
【0073】
幅広い種類のポリオールを使用して、透明なエネルギー散逸層の脂肪族架橋ポリウレタン成分を形成することができる。ポリオールという用語は、一般に、少なくとも2個の末端水酸基を含むヒドロキシル官能性材料を含む。ポリオールは、ジオール(2個の末端水酸基を有する材料)、並びにトリオール(3個の末端水酸基を有する材料)、及びテトラオール(4個の末端水酸基を有する材料)などのより多官能性のポリオールを含む。典型的には、反応混合物は、少なくともいくつかのジオールを含有し、より多官能性のポリオールもまた含有してもよい。より多官能性のポリオールは、架橋ポリウレタンポリマーの形成に特に有用である。ジオールは、一般に、構造HO-B-OH[式中、B基は脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基と脂肪族基との組み合わせを含有する基であり得、更なる末端水酸基を含む様々な結合又は官能基を含有してもよい]で記述することができる。
【0074】
ポリエステルポリオールは特に有用である。有用なポリエステルポリオールのうち、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンスクシネート、ポリヘキサメチレンセバケート、ポリヘキサメチレンドデカンジオエート、ポリネオペンチルアジペート、ポリプロピレンアジペート、ポリシクロヘキサンジメチルアジペート、及びポリε-カプロラクトンを含む線状及び非線状ポリエステルポリオールが有用である。特に有用なものは、King Industries(Norwalk,Conn.)より商標名「K-FLEX」で入手可能な、K-FLEX 188又はK-FLEX A308などの脂肪族ポリエステルポリオールである。
【0075】
幅広い種類のポリイソシアネートを使用して、透明なエネルギー散逸層の脂肪族架橋ポリウレタン成分を形成することができる。ポリイソシアネートという用語は、一般に、少なくとも2個の末端イソシアネート基を含むイソシアネート官能性材料を含む。ポリイソシアネートは、ジイソシアネート(2個の末端イソシアネート基を有する材料)、並びにトリイソシアネート(3個の末端イソシアネート基を有する材料)、及びテトライソシアネート(4個の末端イソシアネート基を有する材料)などの、より多官能性のポリイソシアネートを含む。典型的には、二官能性ポリオールが用いられる場合、反応混合物は、少なくとも1つのより多官能性のイソシアネートを含有する。より多官能性のイソシアネートは、架橋ポリウレタンポリマーの形成に特に有用である。ジイソシアネートは、一般に、構造OCN-Z-NCO[式中、Z基は脂肪族基、芳香族基、又は芳香族基と脂肪族基との組み合わせを含有する基であり得る]によって記述することができる。
【0076】
トリイソシアネートなどのより多官能性のポリイソシアネートは、架橋ポリウレタンポリマーを形成するために特に有用である。トリイソシアネートとしては、ビウレット、イソシアヌレート、及び付加物などから生成されるものなどの多官能性イソシアネートが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの市販のポリイソシアネートとしては、Bayer Corporation(Pittsburgh,PA.)からのDESMODUR及びMONDURシリーズの部分、及びDow PlasticsからのPAPIシリーズ、Dow Chemical Company(Midland,Mich)のビジネスグループが挙げられる。特に有用なトリイソシアネートとしては、Bayer Corporationから商品名DESMODUR N3300A及びMONDUR 489で入手可能なものが挙げられる。特に好適な脂肪族ポリイソシアネートの1つは、DESMODUR N3300Aである。
【0077】
透明なエネルギー散逸層の透明な脂肪族架橋ポリウレタン成分を形成するために使用される反応混合物はまた、触媒も含有する。触媒は、ポリオールとポリイソシアネートとの間の逐次反応を促進する。ウレタンの重合での使用が一般に認識されている従来の触媒が、本開示での使用に好適であり得る。例えば、アルミニウム系、ビスマス系、スズ系、バナジウム系、亜鉛系、又はジルコニウム系触媒を用いることができる。スズ系触媒が特に有用である。スズ系触媒は、ポリウレタン中に存在するガス放出の量を有意に低減させることが分かっている。最も望ましいのは、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセチルアセトネート、ジブチルスズジメルカプチド、ジブチルスズジオクトエート、ジブチルスズジマレエート、ジブチルスズアセトニルアセトネート、及びジブチルスズオキシドなどのジブチルスズ化合物である。特に、Air Products and Chemicals,Inc.(Allentown,Pa.)より市販されているジブチルスズジラウレート触媒DABCO T-12が特に好適である。触媒は、概して、少なくとも200ppm又は300ppm以上の濃度で含まれる。触媒は、最終形成フィルム中に、少なくとも100ppm、又は100~500ppmの範囲の濃度で存在してもよい。
【0078】
エネルギー散逸層14の透明な架橋ポリウレタン画分は、0.1~1.0mol/kg又は0.2~0.9mol/kg又は0.37~0.74mol/kgの範囲内の架橋密度を有し得る。硬化したポリウレタンの架橋密度は、Macromolecules,Vol.9,No.2,pages 206~211(1976)に記載の方法を用いて算出される。このモデルの実施には、化学官能性について整数値が必要である。DESMODUR N3300は、3.5の平均官能性、及び193g/当量のイソシアネート当量重量を有することが報告されている。この材料は数学モデルにおいて、47.5重量%のHDIトリマー(168.2g/当量)と、25.0重量%のHDIテトラマー(210.2g/当量)と、27.5重量%のHDIペンタマー(235.5g/当量)と、の混合物として表された。この混合物の平均当量重量は193g/当量となり、平均官能性は3.5となる。Desmodur N3400は、平均官能性2.5及び193の当量重量を有することが報告され、HDIイソシアヌレートトリマーとHDIウレトジオンダイマーとのブレンドであることが報告されている。この材料は数学モデルにおいて、19重量%のHDIイソシアヌレートトリマーと、33重量%のHDIウレトジオンダイマーと、10重量%のHDIウレトジオントリマーと、38重量%の、1つのイソシアヌレート基及び1つのウレトジオン基を有する、HDIテトラマーと、の混合物として表された。数学モデルにおいて、イソシアネート基とウレトジオン基との合計に対して水酸基が過剰であった場合、官能性は、イソシアネート基とウレトジオン基との合計によって求めた。
【0079】
ポリアクリレートポリマーは、重合又は架橋される。ポリアクリレートポリマーは、アクリレートモノマー又はオリゴマーで形成されてもよい。いくつかの実施形態において、ポリアクリレートは、ポリアクリレートホモポリマーである。アクリレートモノマー又はオリゴマーは、ポリアクリレートポリマーの重合又は架橋を可能にするために多官能性である。ポリアクリレートポリマーは、例えば光開始剤などの開始剤の助けを借りて形成され得る。ポリアクリレートポリマーは、アクリレート及びウレタンセグメント、又はアクリレート及びウレタン相溶性セグメントを含むオリゴマーで形成され得る。ポリアクリレートポリマーは、脂肪族であってよい。
【0080】
ポリアクリレートポリマーは、多官能性(メタ)アクリルモノマー、オリゴマー、及びポリマーから形成されてもよく、個々の樹脂は、二官能性、三官能性、四官能性、又はより高い官能性であり得る。有用な多官能性(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーとしては、次のものが挙げられる。
(a)ジ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、1,3-ブチレングリコールジアクリレート、1,4-ブタンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノアクリレートモノメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、アルコキシル化脂肪族ジアクリレート、アルコキシル化シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、アルコキシル化ヘキサンジオールジアクリレート、アルコキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、カプロラクトン変性ネオペンチルグリコールヒドロキシピバレートジアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、ヒドロキシピバルアルデヒド変性トリメチロールプロパンジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、プロポキシル化ネオペンチルグリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレートなど、
(b)トリ(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、グリセロールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、エトキシル化トリアクリレート(例えば、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、プロポキシル化トリアクリレート(例えば、プロポキシル化グリセリルトリアクリレート、プロポキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレートなど、
(c)より多官能性の(メタ)アクリル含有モノマー、例えば、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート、及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレートなど。
【0081】
例えばウレタンアクリレートなどのオリゴマー(メタ)アクリルモノマーを使用してもよい。
【0082】
このような(メタ)アクリレートモノマーは、例えば、Sartomer Company(Exton,Pennsylvania)、Cytec Industries(Woodland Park,N)、及びAldrich Chemical Company(Milwaukee,Wisconsin)などのベンダから広く入手可能である。
【0083】
いくつかの実施形態では、ポリアクリレートポリマーは、少なくとも3つの(メタ)アクリレート官能基を含む(メタ)アクリレートモノマーを含む。いくつかの実施形態において、架橋性モノマーは、少なくとも4つ、5つ又は6つの(メタ)アクリレート官能基を含む。アクリレート官能基は、(メタ)アクリレート官能基よりも好まれる傾向にある。
【0084】
好ましい官能性アクリレートとしては、例えば、トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)より商標名「SR351」で市販されている)、エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート(Sartomer Company(Exton,PA)より商標名「SR454」で市販されている)、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート(Sartomerより商標名「SR444」で市販されている)、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(Sartomerより商標名「SR399」で市販されている)、エトキシル化ペンタエリスリトールテトラアクリレート(商標名「SR494」でSartomerより)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、及びトリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリアクリレート(商標名「SR368」でSartomerより)が挙げられる。
【0085】
脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーを使用して、ポリアクリレートポリマーと架橋ポリウレタンとの相溶性を向上させるために好ましいポリアクリレートポリマーを形成することができるが、他の脂肪族ポリアクリレートモノマーも有用であり得る。本明細書に記載のポリアクリレート又はポリウレタンアクリレートは、熱硬化性ポリマーである。
【0086】
ポリアクリレートポリマーは、多官能性ウレタンアクリレートオリゴマーのフリーラジカル重合によって形成され得る。ウレタンアクリレートオリゴマーは、処理の目的のために樹脂の硬化前の粘度を変更するべく、他の低分子量単官能性及び/又は多官能性アクリレートと混合され得る。概して、硬化前のエネルギー散逸層において用いられる多官能性アクリレートの平均官能性は、3(即ち1分子当たり3つの官能性アクリレート官能基)未満である、又は、2以下であり得る。硬化(又は架橋)材料は、適用時、ディスプレイフィルムの使用に対して安定な材料特性を呈し、即ち、エネルギー散逸層は感知できる流動を呈し得ない。
【0087】
ウレタンアクリレートオリゴマーは、アクリレート又はメタクリレート反応基を有する多種多様のウレタン材料で構成され得る。ウレタンアクリレートオリゴマーは、例えば、Exton,PennsylvaniaのSartomer(Arkemaの子会社)及びAllnex(Ebecrylのブランド名)などのベンダから市販されている。
【0088】
市販の脂肪族ウレタンオリゴマーの例としては、限定するものではないが、Sartomer Companyから入手可能なCN9002、CN9004、CN9893及びCN3211、並びにEbecrylのブランド名で販売されているものが挙げられる。
【0089】
エネルギー散逸層は、15℃以下、10℃以下、5℃以下、0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内などの、ガラス転移温度を有し得る。ポリアクリレートポリマー及び架橋ポリウレタンは、透明なエネルギー散逸層と同様のガラス転移温度を有し得る。ポリアクリレートポリマー及び架橋ポリウレタンは、異なるガラス転移温度を有し得る。
【0090】
ディスプレイフィルムは保護層を含み得る。保護層はディスプレイフィルムに耐摩耗性をもたらし、耐摩耗層とも呼ばれ得る。保護層又は耐摩耗層は、ハードコート層、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、弾性ナノコンポジットウレタン層、又はガラス層を含む。
【0091】
研磨は、摩擦によって材料を摩耗させる、又は、こすり落とす方法である。材料の耐摩耗性は、材料が機械的作用に耐えるのを助け、材料がその表面から除去されないよう保護しやすくする。これにより、材料はその完全性を保持し、その形態を保つことができる。耐摩耗性は、透明な保護層をスチールウール又は研磨パッドなどの粗い材料で規定のサイクル数にわたってこするか又は拭き取った後、微細な擦傷又はヘイズなどの目に見える変化について層を検査することにより、測定することができる。
【0092】
耐摩耗層は、ディスプレイフィルム層上に(例えば、基材又はエネルギー散逸層の上に)直接配置されたハードコート層を含み得るか、又はハードコート層は基材層上に配置されていてもよく、この複合層がディスプレイフィルム層上に配置されている。ハードコート層は、50マイクロメートル未満、又は40マイクロメートル未満の厚さ、あるいは2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有し得る。基材層は、10マイクロメートル超又は200マイクロメートル未満の厚さを有し得る。基材層は、好ましくは、透明なポリマー層である。
【0093】
基材層(保護層の一部分を形成する)は、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲内の厚さを有し得る。基材層は、70MPa超、又は90MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値を有し得る。語句「降伏応力」又は「オフセット降伏応力」は、本明細書において、ASTM D638-14で定義されている通りの「0.2%オフセット降伏強度」を指す。ASTM D638-14セクションA2.6は、「オフセット降伏強度」の試験方法を定義しており、ひずみが、応力-ひずみ曲線の最初の比例部分における延長を規定量(オフセット)だけ上回る応力と定義される。これは単位面積当たりの力、通常は、メガパスカル(ポンド力毎平方インチ)で表される。
【0094】
基材層は、ディスプレイフィルムに所望の機械的特性(寸法安定性など)及び光学特性(光透過率及び透明度など)をもたらす、任意の有用なポリマー材料で形成され得る。ポリマー基材層において用いるのに好適な材料の例としては、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリエステル(PET、PEN)、多環式オレフィンポリマー、及び熱可塑性ポリウレタンが挙げられる。透明なポリマー基材層を形成するのに有用なポリマー材料の1つは、ポリイミドである。多くの実施形態において、ポリイミド基材層は無色である。無色のポリイミドは、化学反応によって、又はナノ粒子の組み込みによって形成することができる。化学反応によって形成されるいくつかの例示的な無色のポリイミドは、国際公開第2014/092422号に記載されている。
【0095】
基材層をプライマー処理又は処理し、その表面のうちの1つ以上に、何らかの所望の特性を付与してもよい。具体的には、基材層をプライマー処理し、エネルギー散逸層又はガラス層又は光学的に透明な接着剤層の、基材層との接着を改善することができる。このような処理の例としては、コロナ処理、火炎処理、プラズマ処理、及び、アクリレート又はシラン処理などの化学処理が挙げられる。
【0096】
(基材上に配置された)ハードコート層は、50マイクロメートル未満又は40マイクロメートル未満の厚さを有する。ハードコート層は、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有する。ハードコート層は、ナノ粒子を含む。
【0097】
好適なハードコートは、無機ナノ粒子を有する様々な硬化ポリマー材料を含み得る。これらのハードコートとしては、(メタ)アクリル系ハードコート、シロキサンハードコート、ポリウレタンハードコート、などを含むことができるが、これらに限定されるものではない。好適なハードコートとしては、無機ナノ粒子を有する様々な硬化ポリマー材料を含むことができる。これらのハードコートは、(メタ)アクリル系ハードコート、シロキサンハードコート、ポリウレタンハードコートなどを含み得るが、これらに限定されるものではない。
【0098】
1つの好ましい種類のハードコートは、無機ナノ粒子を含むアクリルハードコートを含む。このようなハードコートは、多官能性(メタ)アクリルモノマー、オリゴマー、及びポリマーの混合物を含む重合性樹脂組成物を有することができ、個々の樹脂は、一官能性、二官能性、三官能性、四官能性であり得、又はより高い官能性を有し得る。好適な場合には、樹脂系の重合性(メタ)アクリレート成分は、重合する際に、ハードコートが遊離(メタ)アクリルモノマーをほとんどないし全く含まないように、選択される。
【0099】
有用なハードコート多官能性(メタ)アクリレートモノマー及びオリゴマーは、架橋ポリアクリレートポリマーに有用な材料として上述されている。
【0100】
ハードコート組成物は、得られるコーティングに機械的強度及び耐久性を付加する、表面改質された無機酸化物粒子を含み得る。粒子は、典型的には、実質的に球状の形状であり、比較的均一なサイズである。粒子は、実質的に単分散の粒度分布、又は、2種以上の実質的に単分散分布のものをブレンドすることによって得られる多モード分布を有し得る。無機酸化物粒子は、典型的には非凝集(実質的に分離している)であるが、これは、凝集が起きると、無機酸化物粒子の析出又はハードコートのゲル化を来す場合があるからである。無機酸化物粒子のサイズは、有意な可視光の散乱を回避するように選択される。
【0101】
ハードコート組成物は、少なくとも10、20、30、40又は50nm、かつ約200、175又は150nm以下の平均(例えば非会合)一次粒径又は会合粒径を有する、有意な量の表面改質された無機酸化物ナノ粒子を含み得る。ハードコート組成物が有意な量のこのようなサイズの無機ナノ粒子を含まない場合、硬化したハードコートは、鉛筆硬度試験を行った場合、ひび割れを起こすことがある。無機酸化物ナノ粒子の総濃度は、典型的には少なくとも30、35、又は40固形分重量%、かつ概して90固形分重量%、80固形分重量%、75固形分重量%以下であり、いくつかの実施形態において70固形分重量%、又は65固形分重量%、又は60固形分重量%以下である。
【0102】
ハードコート組成物は、より小さいナノ粒子を、最大約10固形分重量%含み得る。このような無機酸化物ナノ粒子は、典型的には、少なくとも1nm又は5nm、かつ50、40、又は30nm以下の平均(例えば非会合)一次粒径又は会合粒径を有する。
【0103】
無機酸化物粒子の平均粒径は、透過型電子顕微鏡を用い、所与の直径の無機酸化物粒子を計数して測定することができる。無機酸化物粒子は、シリカなどの単一の酸化物から実質的になる、若しくは、これからなる場合がある、又は、酸化物の組み合わせ、若しくは1種類の酸化物のコア(若しくは金属酸化物以外の材料のコア)の上に別の種類の酸化物が堆積されたものを含む場合がある。シリカは、ハードコート組成物中で利用される通常の無機粒子である。無機酸化物粒子は、液体媒質中に無機酸化物粒子のコロイド状分散体を含むゾルの形態で提供されることが多い。ゾルは、様々な手法を用い、ヒドロゾル(この場合は、水が液体媒質の役割を果たす)、オルガノゾル(この場合は、有機液体がその役割を果たす)、及び混合ゾル(この場合は、液体媒質が水及び有機液体の両方を含む)を含む様々な形態で調製することができる。
【0104】
水性コロイド状シリカ分散体は、Nalco Chemical Co.(Naperville,IL)より、製品1040、1042、1050、1060、2327、2329、及び2329Kなどの商標名「Nalco Collodial Silicas」で、又はNissan Chemical America Corporation(Houston,TX)より商標名Snowtex(商標)で市販されている。コロイド状シリカの有機分散体は、Nissan Chemicalより商標名Organosilicasol(商標)で市販されている。好適なヒュームドシリカとしては、例えば、Evonki DeGussa Corp.(Parsippany,NJ)より、商標名「AerosilシリーズOX-50」、並びに製品番号-130、-150、及び-200で市販されている製品が挙げられる。ヒュームドシリカはまた、Cabot Corp.(Tuscola,IL)より商標名「CAB-O-SPERSE 2095」、「CAB-O-SPERSE A105」、及び「CAB-O-SIL M5」で市販されている。
【0105】
光学特性、材料特性を最適化し、又は全組成物のコストを削減するため、無機酸化物粒子種の混合物を利用するのが望ましい場合もある。
【0106】
シリカの代わりに、又はシリカと組み合わせて、ハードコートは、様々な高屈折率無機ナノ粒子を含み得る。このようなナノ粒子は、少なくとも1.60、1.65、1.70、1.75、1.80、1.85、1.90、1.95、2.00、又は更に高い屈折率を有する。高屈折率無機ナノ粒子は、例えば、ジルコニア(「ZrO2」)、チタニア(「TiO2」)、酸化アンチモン、アルミナ、酸化スズを、単独又は組み合わせて含む。また、混合金属酸化物を用いてもよい。
【0107】
高屈折率層中に用いるためのジルコニアは、Nalco Chemical Co.より商標名「Nalco OOSS008」で、Buhler AG Uzwil(Switzerland)より商標名「Buhler zirconia Z-WO sol」で、Nissan Chemical America Corporationより商標名NanoUse ZR(商標)で入手可能である。ジルコニアナノ粒子は、米国特許公開第2006/0148950号及び米国特許第6,376,590号に記載のように調製することもできる。酸化アンチモンによって被覆された酸化スズ及びジルコニアの混合物を含むナノ粒子分散体(RI-1.9)が、Nissan Chemical America Corporationより商標名「HX-05M5」で市販されている。酸化スズナノ粒子分散体(RI-2.0)が、Nissan Chemicals Corp.より商標名「CX-S401M」で市販されている。ジルコニアナノ粒子は、米国特許第7,241,437号及び同第6,376,590号に記載のように調製することもできる。
【0108】
保護層は弾性ナノコンポジット層であってもよい。弾性ナノコンポジット層は、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層であり得る。ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層は、エネルギー散逸層又は光学的に透明な接着剤層上に直接コーティングされてもよい。代替的に、ナノ粒子ナノコンポジットイオンエラストマー層、又は弾性ナノコンポジットウレタン層は、上述されたように、透明な基材層上にコーティングされてもよく、透明な基材層がエネルギー散逸層又は光学的に透明な接着剤層に直接付着される。
【0109】
透明な保護層は弾性ナノコンポジット層であってもよい。この層は、30~125マイクロメートルの範囲内の厚さを有し得る。この弾性ナノコンポジット材料は、外層に対して耐久性のある表面特性をもたらす、任意の有用な材料から製造することができる。ある場合には、この弾性ナノコンポジット層は、シリカナノ粒子充填UV硬化性ポリウレタン樹脂などのポリウレタンナノコンポジット材料から製造される。他の実施形態において、弾性ナノコンポジット材料は、ナノ粒子充填イオン性エラストマー材料から製造することができる。この弾性ナノコンポジット層は、永久的変形が生じないように、弾性範囲内で延伸することができる。材料の比例限度は、応力がひずみに比例する最大応力と定義される(フックの法則)。弾性限度は、永久変形を測定することができる最小の応力である。弾性ナノコンポジット層は、比例限度におけるひずみよりも20%超大きい、比例限度におけるひずみよりも50%超大きい、又は比例限度におけるひずみよりも100%超大きい、弾性限度におけるひずみを有し得る。下記のグラフは、この概念を示している。
【0110】
【0111】
説明される構造体のうちのいずれかの保護層15は、ガラス層であってもよい。透明なガラス層は任意の有用なガラス材料で形成され得る。透明なガラス層は、有益な特性をもたらすように処理され得る。例えば、透明なガラス層は、イオン注入されたもの、化学的に増強若しくは強化されたもの、及び同様のものであり得る。透明なガラス層は、所与の曲げ半径又は曲率半径にふさわしい厚さを有し得る。透明なガラス層は、500マイクロメートル以下、又は300マイクロメートル以下~、又は10~200マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は25~50マイクロメートルの厚さを有し得る。薄い透明なガラスの供給業者としては、Corning、Nippon Electric Glass、Schott及びAsahi Glassが挙げられる。
【0112】
本明細書に記載のディスプレイフィルムの全厚は、用途に応じて任意の有用な値を有し得る。ディスプレイフィルムの厚さは、所望のディスプレイ保護をもたらすのに十分な厚さであることと、折り畳み及び薄型化設計パラメータをもたらすのに十分な薄さであることと、の兼ね合いである。ディスプレイフィルムがそれ自体の上に折り畳まれる場合、このフィルムは、85~350マイクロメートル又は100~300マイクロメートル又は150~250マイクロメートルの範囲の全厚を有し得る。ディスプレイフィルムが中程度に屈曲する場合、このフィルムは、300~500マイクロメートルの範囲の全厚を有し得る。ディスプレイフィルムが湾曲はするものの、顕著には屈曲しない場合、このフィルムは、500~1000マイクロメートルの範囲の全厚を有し得る。
【0113】
ディスプレイフィルムは、透明なポリマー基材層12と透明なエネルギー散逸層14との間、又はそれらの上に、1つ以上の更なる層を含むことができる。これらの、場合により含まれる層としては、透明なバリア層(厚さ3~200ナノメートル)、マイクロ構造層、アンチグレア(anti-glare)層、反射防止層、又は耐指紋層を挙げることができる。
【0114】
ディスプレイフィルムは、約3mmの半径での少なくとも10,000、25,000、50,000若しくは100,000回の曲げサイクル又は折り畳みサイクルの後に、2%以下、又は1.5%以下、又は1%以下のヘイズ値を維持することができる。ディスプレイフィルムは、約5mmの半径、又は約4mmの半径、又は約3mmの半径、又は約2mmの半径、又は約1mmの半径での少なくとも10,000、25,000、50,000若しくは100,000回の曲げサイクル又は折り畳みサイクルの後に、安定なヘイズ値を維持することができる、又は、クラックも層間剥離もなく完全な状態のままであり得る。ディスプレイフィルムは、約3mm以下の半径での少なくとも10,000、25,000、50,000若しくは100,000回の曲げサイクル又は折り畳みサイクルの後に、完全な状態のままであり得る。
【0115】
図8は二重硬化ディスプレイフィルムを形成する例示的な方法80の概略フロー図である。方法80は、ポリウレタン前駆体材料をポリアクリレート前駆体材料と組み合わせて前駆体混合物を形成することを含む(ブロック82)。次いで、この方法は、ポリアクリレート前駆体材料を選択的に重合して、前駆体混合物内にポリアクリレートポリマーを形成して、b段階材料を形成することを含む(ブロック84)。次いで、この方法は、b段階材料内のポリウレタン前駆体材料を選択的に架橋して、透明なエネルギー散逸層を形成することを含む(ブロック86)。透明なエネルギー散逸層は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含む。透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度、並びに0.5以上のTanδピーク値を有する(ブロック88)。
【0116】
ブロック82の組み合わせ工程は、触媒材料をポリウレタン前駆体材料と組み合わせ、光開始剤をポリアクリレート前駆体材料と組み合わせることを含み得る。
【0117】
ブロック82の組み合わせ工程は、多官能性アクリレートモノマー若しくはオリゴマー又は多官能性ウレタンアクリレートオリゴマーを含むポリアクリレート前駆体材料を組み合わせて、重合又は架橋ポリアクリレート又はポリウレタンアクリレートを形成することを含み得る。ブロック82の組み合わせ工程は、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーを含むポリアクリレート前駆体材料を組み合わせることを含み得る。
【0118】
ブロック84及びブロック86の選択的架橋工程は、ポリアクリレート前駆体材料を光硬化してポリアクリレートポリマーを形成すること(ブロック84)、及びポリウレタン前駆体材料を熱硬化させて架橋ポリウレタンポリマーを形成することを含んでもよい(ブロック86)。
【0119】
前駆体混合物は、硬化工程前に基材層上にコーティング又は配置されてもよい。この方法は、ロールツーロール連続プロセスで実行されてもよい。基材は、光硬化ステーションを通過して、次いで、熱硬化のためにオーブン内に移動してもよい。
【0120】
記載された前駆体混合物及び二重硬化方法を利用することにより、記載された保護ディスプレイフィルムを形成する際に、独特の利点がもたらされる。前駆体混合物は、ポリウレタンイソシアネート及びポリオール成分の熱開始重合の前に、微量アクリルモノマー/オリゴマー成分のUV開始重合によって粘度を構築するように作製されてもよい。このb段階工程は、加工中の欠陥の発生を低減し、記載された保護ディスプレイフィルムの一般的な製造可能性を改善する粘度の有益な構築を提供することができる。
【0121】
本開示の目的及び利点を以下の実施例によって更に例示するが、これらの実施例に記載の特定の材料及びこれらの量、並びに他の条件及び詳細は、本開示を不当に限定するものと解釈してはならない。
【実施例】
【0122】
実施例中の全ての部、百分率、比などは、別途断りのない限り、重量による。用いた溶媒及び他の試薬は、別途明記しない限り、Sigma-Aldrich Corp.(St.Louis,Missouri)より入手した。
【0123】
【0124】
プライマー処理したLmPENフィルム(実施例1~3用の基材)の調製
90/10PENコポリマーを、米国特許第8,263,731号の実施例対照Bに例示されているように調製した。水分除去のために真空をかけた二軸押出機を使用して、この材料を溶融押出した。溶融物を525°Fまで加熱し、押出ダイに送り、冷却されたドラム上で急冷した。この急冷したフィルムを、235~250°Fの温度で、縦方向(machine direction)に3.3-1に延伸し、冷却した。この縦方向に延伸したフィルムを横延伸機(tenter machine)に供給し、これがフィルム両端を把持し、再び255~300°Fまで加熱し、フィルムを横方向に3.7-1から4.1-1まで延伸した。次に同じ横延伸機においてフィルムを450°Fで8~30秒間アニーリングした。フィルム両端をトリミングして除去し、フィルムを巻いてロール状にする前に、ポリエチレンプレマスクを適用した。
【0125】
Vitel 2200B(Bostik Americas(Wauwatosa,WI))52.5グラムをメチルエチルケトン(Fisher Scientific)2447.5グラム中で混合して均質な溶液を調製し、プライマー溶液を調製した。スロットダイを通してプライマー溶液が移動ウェブ上に定量供給されるロールツーロールプロセスにおいて、プライマー溶液を延伸した50マイクロメートルのLmPENフィルムに適用した。厚さは、定量ポンプ及び質量流量計を用いて調節した。次いで、コーティングの揮発性成分を、3ゾーンエアフローテーションゾーンオーブン(air floatation zone oven)中で乾燥させた。次いで、乾燥したコーティングをロール状に巻き取り、プライマーコーティングは約81nmの厚さを有していた。
【0126】
触媒を用いたポリオール-1の調製:
93℃のエアミキサー中で、ポリオール-1を470グラム及び触媒4滴を混合した。次いで、得られた空気泡を減少させるため、混合物を真空オーブン中に60℃で終夜放置した。
【0127】
実施例1~4:
以下の表2、3、及び4に示すように、アクリレートを有する3つのエネルギー散逸層前駆体溶液を調製した。アクリレートを含まない1つの比較エネルギー散逸層前駆体溶液も調製し、表5に示した。
【0128】
アクリレートを含む全てのエネルギー散逸層前駆体溶液については、所望の量のアクリレート及び光開始剤をポリオール-1に触媒と共に添加した。これを均一な溶液が得られるまで混合した。次いで、ポリイソシアネート-1を添加し、溶液をスピードミキサーで混合し、直ちにコーティングした。
【0129】
比較溶液の場合、ポリオール-1及びポリイソシアネート-1をスピードミキサー中で混合し、直ちにコーティングした。
【0130】
アクリレート溶液を含む全てのエネルギー散逸層前駆体溶液及び比較溶液を、50マイクロメートルのシリコーン剥離(CP Films Inc.(Fieldale,VA)からのUV-30)と~81nm厚のVitel 2200 B層をプライマー層として有する50マイクロメートルのLmPENフィルム(上記のように)の間にコーティングした。各反応混合物を2つのフィルム間に入れ、フィルム間で5mil(125ミクロン)のコーティングを生じるように間隙を設定して、フィルムをノッチバーの下から引き出した。最終フィルムを、Clearstone UV LEDランプを使用して、385nmで30秒間、及び100%の電力を使用して、紫外線(UV)照射により第1段階硬化させた。次いで、フィルムを70℃のオーブン内に16時間置いて、第2段階(熱)硬化を実施した。試験前に、剥離ライナーフィルムを除去して、硬化エネルギー散逸層がLmPENのVitel 2200Bプライマー側と接触しているフィルム構造を作製した。
【0131】
DMA試験用の独立型エネルギー散逸フィルムを調製するために、溶液を上記のようにコーティングしたが、溶液をLmPENと剥離ライナーとの間に注ぎ、溶液を2つの剥離ライナーの間に注ぎ、ノッチバーの下で引っ張って硬化させた。次いで、両方の剥離ライナーをDMA試験のために除去した。
【0132】
【0133】
【0134】
【0135】
【0136】
試験方法:
得られた試料で、以下の試験を行った。
【0137】
静的折り畳み復元性
保護フィルムの2.125”×4.0”の試料を、1cmのポスト間の間隔を有する試験管ラック内に配置し、それによって、有効曲げ半径5mmを作成した。試料を、60℃の温度で93%の相対湿度制御チャンバ内に24時間置き、次いでラックから取り出し、垂直位置で24時間吊り下げた。その後、水平面に対して保護フィルム試料が開いた角度を記録した。180度は、試料が完全に折り畳まれた状態であったことを意味する。0度は、試料が完全に開いて水平なフィルムに戻ったことを意味する。
【0138】
透過/ヘイズ/透明度試験
光透過率(luminous transmission)、透明度、及びヘイズを、Byk-Gardner Haze-Guard Plusモデル4725(BYK-Gardner(Columbia,MD)より入手可能)を用い、ASTM D1003-00に従って測定した。各結果は、所与の試料についての3回の測定の平均である。
【0139】
動的機械的試験
TA InstrumentsのQ800 DMAを用い、エネルギー散逸コーティングのガラス転移温度の特性を評価した。試料を、幅6.35mm及び長さ約4cmのストリップにカットした。各フィルムの厚さを測定した。フィルムを、TA InstrumentsのQ800 DMAの引張グリップに、16mm~19mmの初期グリップ分離で固定した。次いで、試料を、-50℃から200℃までの毎分2℃の速度での温度勾配を通じ、0.2%のひずみ及び1Hzの振動で試験した。E”についてのピークの位置特定によって、ガラス転移の開始を決定した。Tanδシグナルが最大に達した温度を、ピークTanδ温度として記録した。
【0140】
結果及び考察
表6に見られるように、アクリレートを添加することは、これらのフィルムの%透過率、ヘイズ、又は透明度を著しく変化させなかった。アクリレートが添加された全ての場合において、フィルムのヘイズは実際に低下し、透明度は類似したままであるか又は増加したままであり、このカバーフィルムには低いヘイズが非常に望ましい。
【0141】
加えて、表6において、アクリレート中の添加は、静的折り畳み復元に悪影響を及ぼさなかったこと、全てのフィルムが完全に復元したことを見ることができる。最後に表6では、アクリレート中に添加することにより、熱硬化を全く伴わずに、部分ゲル化から完全にゲル化された(非流動性)溶液に及ぶ広範囲の粘度増加を得ることができることを見ることができる。
【0142】
表7では、アクリレートを添加することは、Tanδピーク又はこのTanδピークが生じる温度を著しく変化させなかったことを見ることができる。これは、アクリレート変性ポリウレタン形状記憶配合物を用いて、エネルギー散逸層から必要とされる緩衝特性を劣化させることなく、製造の改善に必要な粘度増加を達成することを意味する。
【0143】
【0144】
【0145】
このように、二重硬化保護ディスプレイフィルムの実施形態が開示される。
【0146】
本明細書で言及した全ての参考文献及び刊行物は、これらが本開示に直接矛盾し得る場合を除き、これらの全体が参照により本開示に明示的に組み込まれる。具体的な実施形態を本明細書において例示し記述したが、様々な代替及び/又は同等の実施により、図示及び記載した具体的な実施形態を、本開示の範囲を逸脱することなく置き換え可能であることが、当業者には理解されるであろう。本出願は、本明細書において説明した具体的な実施形態のあらゆる適合例又は変形例を包含することを意図する。したがって、本開示は、特許請求の範囲及びその同等物によってのみ限定されるものとする。開示された実施形態は例示目的で提示されており、限定を目的とするものではない。以下、例示的実施形態について述べる。
[1]
透明なポリマー基材層と、
前記透明なポリマー基材層上に配置された透明なエネルギー散逸層と、
を備え、前記透明なエネルギー散逸層が、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含み、前記透明なエネルギー散逸層が、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、ディスプレイフィルム。
[2]
前記透明なエネルギー散逸層が、光開始剤及び触媒を更に含む、[1]に記載のディスプレイフィルム。
[3]
前記透明なエネルギー散逸層が、1重量%~50重量%の前記ポリアクリレートポリマーを含み、前記透明なエネルギー散逸層が、50重量%~99重量%の前記架橋ポリウレタンポリマーを含む、[1]又は[2]に記載のディスプレイフィルム。
[4]
前記ポリアクリレートポリマーが、1重量%~20重量%の量、又は2重量%~15重量%の量、又は3重量%~10重量%の量で前記透明なエネルギー散逸層内に存在し、前記透明なエネルギー散逸層が、80重量%~99重量%、又は85重量%~98重量%、又は90重量%~97重量%の前記架橋ポリウレタンポリマーを含む、[1]~[3]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[5]
前記ポリアクリレートポリマーが架橋されている、[1]~[4]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[6]
前記ポリアクリレートポリマーが、ポリアクリレートホモポリマーである、[1]~[5]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[7]
前記ポリアクリレートポリマーが、アクリレート及びウレタンセグメント、又はアクリレート及びウレタン相溶性セグメントを含む、[1]~[5]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[8]
前記ディスプレイフィルムは、5%未満、又は3%未満、又は1%未満、又は1%未満のヘイズ値を有し、前記ディスプレイフィルムが、85%超又は90%超の可視光透過率を有し、前記ディスプレイフィルムが、90%超又は95%超又は97.5%超の透明度値を有する、[1]~[7]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[9]
前記透明なエネルギー散逸層が、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内のガラス転移温度を有する、[1]~[8]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[10]
前記透明なエネルギー散逸層が、0.5以上、又は0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有し、前記架橋ポリウレタンが、0.1~1.0mol/kg、又は0.2~0.9mol/kg、又は0.37~0.74mol/kgの範囲内の架橋密度を有する、[1]~[9]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[11]
前記透明なポリマー基材層に配置された保護層を更に含み、前記透明なポリマー基材層が前記透明なエネルギー散逸層を前記保護層から分離している、[1]~[10]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[12]
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された接着剤層を更に含み、前記透明なエネルギー散逸層が、前記透明なポリマー基材層を前記接着剤層から分離している、[1]~[11]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[13]
前記保護層が、ナノ粒子を含み、2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲内の厚さを有する、[10]に記載のディスプレイフィルム。
[14]
前記透明なポリマー基材層が、10~125マイクロメートル、又は25~100マイクロメートル、又は30~85マイクロメートルの範囲の厚さと、90MPa超、又は100MPa超、又は120MPa超、又は160MPa超の降伏応力値と、を有する、[1]~[13]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[15]
前記ディスプレイフィルムが、85~350マイクロメートル、又は100~300マイクロメートル、又は150~250マイクロメートルの範囲の厚さを有する、[1]~[14]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[16]
架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含み、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、透明なエネルギー散逸層と、
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された透明な保護層と、
を備えるディスプレイフィルム。
[17]
前記透明なエネルギー散逸層が、光開始剤及び触媒を更に含む、[16]に記載のディスプレイフィルム。
[18]
前記透明なエネルギー散逸層が、1重量%~50重量%の前記ポリアクリレートポリマーを含み、前記透明なエネルギー散逸層が、50重量%~99重量%の前記架橋ポリウレタンポリマーを含む、[16]又は[17]に記載のディスプレイフィルム。
[19]
前記ポリアクリレートポリマーが、前記透明なエネルギー散逸層中に、1重量%~20重量%の量、又は2重量%~15重量%の量、又は3重量%~10重量%の量で存在する、[16]又は[17]に記載のディスプレイフィルム。
[20]
前記ポリアクリレートポリマーが架橋されている、[16]~[19]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[21]
前記ポリアクリレートポリマーが、ポリアクリレートホモポリマーである、[16]~[20]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[22]
前記ポリアクリレートポリマーが、アクリレート及びウレタンセグメント、又はアクリレート及びウレタン相溶性セグメントを含む、[16]~[20]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[23]
前記ディスプレイフィルムが、5%未満、又は3%未満、又は2%未満、又は1%未満のヘイズ値、及び85%超又は90%超の可視光透過率、90%超又は95%超又は97.5%超の透明度値を有する、[16]~[22]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[24]
前記透明なエネルギー散逸層が、15℃以下、10℃以下、5℃以下、又は0℃以下、又は-5℃以下、又は-40~15℃の範囲内、又は-30~15℃の範囲内、又は-30~10℃の範囲内、又は-30~5℃の範囲内、又は-30~0℃の範囲内、又は-20~0℃の範囲内のガラス転移温度を有する、[16]~[23]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[25]
前記透明なエネルギー散逸層が、0.5以上、又は0.8以上、又は1.0以上、又は1.2以上、又は0.5~2.5の範囲内、又は1~2.5の範囲内のTanδピーク値を有し、前記架橋ポリウレタンが、0.1~1.0mol/kg、又は0.2~0.9mol/kg、又は0.37~0.74mol/kgの範囲内の架橋密度を有する、[16]~[24]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[26]
前記保護層が、ナノ粒子を含み、かつ2~30マイクロメートル、又は2~15マイクロメートル、又は3~10マイクロメートルの範囲の厚さを有するハードコート層である、[16]~[25]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[27]
前記保護層が、25~250マイクロメートル、又は25~150マイクロメートル、又は25~100マイクロメートルの範囲の厚さを有するガラス層である、[16]~[26]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[28]
前記透明なエネルギー散逸層上に配置された接着剤層を更に含み、前記透明なエネルギー散逸層が、前記保護層を前記接着剤層から分離している、[16]~[27]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[29]
前記接着剤層上に配置された剥離ライナー又は取外し可能なライナーを更に含む、[28]に記載のディスプレイフィルム。
[30]
前記保護層上に配置された剥離ライナー又は取外し可能なライナーを更に含む、[29]に記載のディスプレイフィルム。
[31]
前記透明なエネルギー散逸層が、75~200マイクロメートル、又は100~200マイクロメートル、又は150~200マイクロメートルの範囲の厚さを有する、[16]~[30]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[32]
前記ディスプレイフィルムが、85~350マイクロメートル、又は100~300マイクロメートル、又は150~250マイクロメートルの範囲の厚さを有する、[16]~[31]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルム。
[33]
光学ディスプレイと、
[1]~[32]のいずれか一項に記載のディスプレイフィルムと、
前記ディスプレイフィルムを前記光学ディスプレイに固定する光学接着剤層と、
を備える物品。
[34]
前記光学ディスプレイが、有機発光ダイオードを含む、[33]に記載の物品。
[35]
前記光学ディスプレイ及びディスプレイフィルムが、前記光学ディスプレイがそれ自体に向き合い、前記ディスプレイフィルムの少なくとも一部分が前記ディスプレイフィルムの別の部分と重なり合うように、折り畳み可能である、[33]又は[34]に記載の物品。
[36]
ポリウレタン前駆体材料をポリアクリレート前駆体材料と組み合わせて前駆体混合物を形成することと、
前記前駆体混合物内の前記ポリアクリレート前駆体材料を選択的に重合して、b段階材料を形成することと、
前記b段階材料内の前記ポリウレタン前駆体材料を選択的に架橋して、透明なエネルギー散逸層を形成することと、
を含み、前記透明なエネルギー散逸層は、架橋ポリウレタン及びポリアクリレートポリマーを含み、前記透明なエネルギー散逸層は、27℃以下のガラス転移温度及び0.5以上のTanδピーク値を有する、方法。
[37]
前記組み合わせる工程が、触媒材料を前記ポリウレタン前駆体材料と組み合わせることと、光開始剤を前記ポリアクリレート前駆体材料と組み合わせることを含む、[36]に記載の方法。
[38]
前記ポリアクリレート前駆体材料が、多官能性アクリレートモノマー又はオリゴマーを含み、架橋ポリアクリレートを形成する、[36]又は[37]に記載の方法。
[39]
前記ポリアクリレート前駆体材料が、脂肪族ウレタンアクリレートオリゴマーを含む、[36]又は[37]に記載の方法。
[40]
前記ポリアクリレート前駆体材料工程を選択的に重合する工程が、前記ポリアクリレート前駆体材料を光硬化させて、前記b段階材料を形成することを含み、前記ポリウレタン前駆体材料を選択的に架橋する工程が、前記ポリウレタン前駆体材料を熱硬化させて架橋ポリウレタンポリマーを形成することを含む、[36]~[39]のいずれか一項に記載の方法。
[41]
前記ポリアクリレートポリマーが、1重量%~20重量%の量、又は2重量%~15重量%の量、又は3重量%~10重量%の量で前記透明なエネルギー散逸層内に存在し、前記透明なエネルギー散逸層が、80重量%~99重量%、又は85重量%~98重量%、又は90重量%~97重量%の前記架橋ポリウレタンポリマーを含む、[36]~[40]のいずれか一項に記載の方法。
[42]
前記前駆体混合物の層を基材上に配置することを更に含む、[36]~[41]のいずれか一項に記載の方法。