(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】作動デバイスおよび作動デバイスを動作させるための方法、ならびに作動デバイスおよび膜ポンプデバイスを有する膜ポンプ、ならびに膜ポンプを有する血液処理装置
(51)【国際特許分類】
F04B 43/06 20060101AFI20220613BHJP
A61M 1/36 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
F04B43/06 A
A61M1/36 153
(21)【出願番号】P 2019533617
(86)(22)【出願日】2017-12-18
(86)【国際出願番号】 EP2017083404
(87)【国際公開番号】W WO2018114862
(87)【国際公開日】2018-06-28
【審査請求日】2020-12-16
(31)【優先権主張番号】102016015207.9
(32)【優先日】2016-12-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】501276371
【氏名又は名称】フレセニウス・メディカル・ケア・ドイチュラント・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】アンダーレ、イェンス
(72)【発明者】
【氏名】ビルトル・ハンネス
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2009/0137940(US,A1)
【文献】特開2003-307178(JP,A)
【文献】特表2002-530573(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04B 43/06
A61M 1/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流
体を搬送するための膜ポンプデバイスを機械的に制御するための作動デバイスであって、
前記作動デバイスは、
膜ポンプデバイスのための取付け面を備え、制御流体口から前記取付け面において開口している制御流体開口部に延びる制御流体ラインが通る基体
と、ここにおいて、制御流体バルブが前記制御流体ラインに配置され、前記制御流体バルブは、前記制御流体ラインの断面に影響を与えるように設計され、
調整移動を提供するための、前記取付け面上に配置された流体アクチュエータを備える調整デバイスと、前記基体を通る作動流体ラインの断面に影響を与えるように設計された作動流体バルブ
と、
前記作動流体ラインに関連付けられた作動流体圧力センサと、ここにおいて、前記作動流体圧力センサが作動流体圧力を検出するように設計されている、
を備え、
ここにおいて、前記制御流体バルブ
、前記作動流体バルブ
および前記作動流体圧力センサは、前記制御流体バルブおよび前記作動流体バルブを電気的に制御するように設計された制御デバイスに電気的に接続されている、
作動デバイス。
【請求項2】
制御流体圧力センサが前記基体上に配置され、前記制御流体圧力センサが、前記制御デバイスに電気的に接続され、制御流体圧力を検出するように設計されていることを特徴とする、請求項1に記載の作動デバイス。
【請求項3】
前記制御デバイスがオブザーバアルゴリズムを含むことを特徴とし、前記制御デバイスは、前記オブザーバアルゴリズムに基づいて、膜ポンプデバイスの流体の質量流量が前記制御流体圧力センサの圧力信号に依存して決定されるように構成されている、請求項2に記載の作動デバイス。
【請求項4】
凹状の制御チャンバが、ポンプ膜のための移動チャンバとして前記取付け面に形成されること、および前記制御流体開口部が前記制御チャンバの表面において開口していることを特徴とする、請求項1~
3のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項5】
真空ラインが前記基体に形成され、前記真空ラインが、真空口から前記制御チャンバまたは前記制御流体ラインに延び、前記真空ラインの断面に影響を与えるように設計された真空バルブが配置されることを特徴とし、前記真空バルブは前記制御デバイスに電気的に接続されている、請求
項4に記載の作動デバイス。
【請求項6】
前記作動流体ラインが前記制御流体口に流体接続されることを特徴とする、請求項1~
5のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項7】
第1の作動流体バルブを有する第1の調整デバイスおよび第2の作動流体バルブを有する第2の調整デバイスが前記基体上に配置されることを特徴とし、前記第1の作動流体バルブがスイッチバルブの形態であり、前記第2の作動流体バルブが比例バルブの形
態である、請求項1~
6のいずれか一項に記載の作動デバイス。
【請求項8】
前記制御デバイスが、前記第2の作動流体バルブが前記制御デバイスによって制御されるように構成され、前記制御デバイスが、流体の一定の質量流量が前記膜ポンプデバイスの排出段階中に発生されるように、膜ポンプデバイスにおける流体の質量流量を決定し、流体の前記決定された質量流量に依存して前記第2の作動流体バルブのための目標圧力値を決定することを特徴とする、請求項
7に記載の作動デバイス。
【請求項9】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の膜ポンプデバイスを機械的に制御するための作動デバイスを動作させるための方法であって、前記作動流体バルブが前記制御デバイスによって制御され、前記制御デバイスが、オブザーバアルゴリズムに基づいて、制御流体圧力センサの圧力信号に依存して膜ポンプデバイスにおける流体の質量流量を決定し、流体の前記決定された質量流量に依存して前記作動流体バルブのための目標圧力値を決定し、それにより、前記膜ポンプデバイスの排出段階中の流体の一定の質量流量を確保することを特徴とする、方法。
【請求項10】
前記制御デバイスが、前記制御流体ラインおよび前記真空ラインが遮断されるように、前記膜ポンプデバイスの排出段階中、前記制御流体バルブおよび前記真空バルブを制御することを特徴とする、
請求項5または請求項5を直接的または間接的に引用する請求項6~8のいずれか一項に従属する、請求項
9に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~
8のいずれか一項に記載の作動デバイスおよび膜ポンプデバイスを有する、流
体を搬送するための膜ポンプ。
【請求項12】
前記膜ポンプデバイスが、
ポンプチャンバを形成するように弾性膜によって閉鎖された凹部が形成されるポンプチャンバ本体と、
入力口を前記ポンプチャンバの吸込開口部に接続する流入通路と、
前記ポンプチャンバの吐出開口部を出力口に接続する流出通路と、
前記流入通路における液体の流量に影響を与えるために前記流入通路に設けられた吸込バルブ、および前記流出通路における液体の流量に影響を与えるために前記流出通路に設けられた吐出バルブと
を有することを特徴とする、請求項
11に記載の膜ポンプ。
【請求項13】
血液処理装
置であって、医療用液
体を供給するための容器と、医療用液
体を搬送するための請求項
11または
12に記載の膜ポンプとを有する血液処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、膜ポンプデバイスを機械的に制御するための作動デバイス、およびかかる作動デバイスを動作させるための方法に関する。本発明は追加的に、かかる作動デバイスおよびかかる膜ポンプデバイスを有する膜ポンプ、ならびにかかる膜ポンプを有する血液処理装置、特に透析装置にも関する。
【背景技術】
【0002】
膜ポンプは、医療用液体を搬送するための医療技術で使用される。膜ポンプの利点は、駆動ユニットが、搬送される流体から膜によって分離されるということである。
【0003】
医療技術では、膜ポンプの高い要求がなされる。ある特定の用途のために、膜ポンプは、低い流量でも高い搬送精度を有するべきである。例えば透析におけるクエン酸抗凝固(CiCa抗凝固)は、低い流量での特に正確な計量を必要とする。
【0004】
単回使用のみを意図した膜ポンプデバイスを有する膜ポンプが既知である。これらの膜ポンプから成る膜ポンプデバイスは、弾性膜によって閉鎖された凹部が形成される使い捨てカセットの形態であり得る。吸入段階中、ポンプチャンバからの流体の流れが遮られ、圧力段階中、ポンプチャンバへの流体の流れが遮られる。弾性膜は、単回使用を意図していない作動デバイスによって駆動され得る。
【0005】
一般的なタイプの作動デバイスは、膜ポンプデバイスの入力口(input port)から膜ポンプデバイスの出力口(output port)に、特に液体であり得る流体を搬送するように膜ポンプデバイスを機械的に制御するために使用される。膜ポンプデバイスは、例として、吸入流路が入力口からポンプチャンバに延び、圧力流路がポンプチャンバから出力口に延びている平面流路体を備える。ポンプチャンバが、流路体の表面に凹部の形態で差し込まれ、封止的に流路体に取り付けられた膜によって閉鎖されることが提供される。膜を移動させることによって、ポンプチャンバの容積が変更され、その結果、さらに吸入流路および圧力流路が循環的に遮断されたり開放されたりすることが提供されて、流体についての質量流量が発生され得る。
【発明の概要】
【0006】
本発明の目的は、膜ポンプデバイスの搬送動作が確実に実行されることを可能にする膜ポンプデバイスを制御するための作動デバイスを製造すること、および膜ポンプデバイスの搬送動作が確実に実行されることを可能にする作動デバイスを動作させるための方法を提供することである。
【0007】
本発明のさらなる目的は、医療用液体を搬送するための膜ポンプの搬送精度を改善すること、特に、非常に低い流量でも、例えばCiCa抗凝固のための溶液といった流体の特に正確な計量を可能にする膜ポンプを製造することであり、流体の一定の質量流量を確保することを意図する。
【0008】
さらに、本発明は、流体の一定の質量流量を有する非常に低い流量でも、例えばCiCa抗凝固のための溶液といった流体の特に正確な計量を可能にする膜ポンプを有する、血液処理装置、特に透析装置を提供することの課題に対処する。
【0009】
これら目的は、独立請求項に記載の特徴によって本発明にしたがって達成される。従属請求項は、本発明の有利な実施形態に関連する。
【0010】
本発明による作動デバイスは、膜ポンプデバイスのための取付け面を備え、制御流体口から、取付け面において開口している制御流体開口部に延びる制御流体ラインが通る基体を有し、制御流体バルブが、制御流体ラインに配置され、制御流体ラインの断面に影響を与えるように設計されている。作動デバイスはさらに、調整移動を提供するための、取付け面上に配置された流体アクチュエータを有する調整デバイスと、基体を通る作動流体ラインの断面に影響を与えるように設計された作動流体バルブとを備え、制御流体バルブおよび作動流体バルブは、制御流体バルブおよび作動流体バルブを電気的に制御するように設計された制御デバイスに電気的に接続されている。
【0011】
基体は、1ピースまたは複数部品の形態のいずれかであり得、膜ポンプデバイスの結合のための、取付け面と称される、少なくともインターフェースが装備されている。膜ポンプデバイスの設計に依存して、取付け面は、平面であり得るか、または特に平坦領域を有する3次元構造面の形態であり得る。特にそれ自体のアクチュエータシステムおよび/またはセンサシステムを有さない全体として受動的な構造要素の形態である膜ポンプデバイスの作動を可能にするために、制御流体ラインが、基体を通り、制御流体口から制御流体開口部に延びている。制御流体口は、基体上に直接配置され得るか、または基体から離隔され得、この場合、例えばホース接続が制御流体口と制御流体ラインとの間に提供されることが可能である。制御流体ラインは、制御流体口から開始して、取付け面において開口している制御流体開口部に延びている。例えば、制御流体ソース(control fluid source)、特に圧縮空気源、または制御流体シンク(control fluid sink)、特に真空発生器が、制御流体口に接続され得る。制御流体によって、膜ポンプデバイスのポンプ膜の移動が、循環または非循環の加圧および/または真空適用によって発生され、その結果、搬送される流体は、ポンプ膜によって、ポンプチャンバに引き込まれ得、および/またはポンプチャンバから押し出され/排出され得る。制御流体の流量に影響を及ぼすことができるようになるために、制御流体バルブが制御流体ラインに配置され、当該制御流体バルブは、特に制御流体ラインの完全な遮断のための閉位置と、制御流体ラインの断面の完全な開放のための開位置との間で、制御流体ラインの断面に影響を与えるように設計されている。
【0012】
また基体に関連付けられるものは、膜ポンプデバイス上に設けられた膜バルブを機械的に作動するように設計された調整デバイスである。この膜バルブは、例えば、膜ポンプデバイスに同様に形成されたポンプチャンバに流体接続され得、ポンプチャンバへの、またはポンプチャンバからの流体の流量を制御するように構成され得る。膜バルブの作動のために、調整デバイスは、取付け面上に配置された流体アクチュエータを有し、当該流体アクチュエータは、例として、小型構造の空気圧シリンダである。調整デバイスは、休止位置と機能位置との間で直線的におよび/または交替して(rotatory)移動され得、かつ特に機能位置では取付け面を越えて突き出る移動可能なアクチュエータ部材を備える。結果として、反対側に取り付けられ得る膜ポンプデバイスの膜バルブの膜は、例えば膜バルブの閉位置を引き起こすために局部的に変形され得る。さらに、アクチュエータ部材が、特に取付け面の表面と同一平面である休止位置をとるときに、膜バルブが開位置にあることが提供され得る。調整デバイスの流体アクチュエータの流体制御のために、基体を通る作動流体ラインに関連付けられた作動流体バルブが設けられる。それによって作動流体バルブは、例として、作動流体ラインの完全な遮断のための閉位置と、作動流体ラインの断面の完全な開放のための開位置との間で切り替えられ得るか調整され得る。流体アクチュエータを作動するための作動流体は、例として、加圧された作動流体または真空を供給するための流体ソースまたは流体シンクが接続され得る別個の作動流体口を介して供給され得る。代替的に、作動流体ラインは制御流体口に接続され得る。
【0013】
制御流体バルブおよび作動流体バルブの両方は、制御流体バルブおよび作動流体バルブを電気的に制御するように設計された制御デバイスに電気的に接続される。例として、制御デバイスは、制御流体バルブおよび作動流体バルブのための定義可能な制御プログラムを実行するように設計されたマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラであり得る。制御デバイスは次に、より高次の制御配置、特にプログラム可能な論理コントローラとの通信のために設けられ得、その目的のために、好適な通信インターフェース、特に多極インターフェースまたはバスインターフェースを備え得る。
【0014】
本発明の好ましい実施形態は、制御流体圧力センサが基体上に配置されることを提供し、当該制御流体圧力センサは、制御デバイスに電気的に接続され、制御流体圧力を検出するように設計されている。制御流体圧力センサは、流体ラインを介して制御流体ラインに流体接続され得るか、または制御流体ラインに配置もしくは制御流体開口部に隣接して配置され得、作動デバイスが膜ポンプデバイスに結合されたときに、ポンプ膜に加えられ得る制御流体圧力を検出する役割をする。測定された制御流体圧力および/または測定された制御流体圧力の時間導関数に基づいて、ポンプ膜が変形され、および流体が膜ポンプデバイスによって搬送されるための搬送動作が行われる様式に関して結論が制御デバイスにおいて引き出され得る。
【0015】
本発明のさらなる展開では、作動流体圧力センサが作動流体ラインに配置されることが提供され、当該作動流体圧力センサは、制御デバイスに電気的に接続され、作動流体圧力を検出するように設計されている。作動流体圧力センサは、センサラインを介して作動流体ラインに流体接続され得るか、または作動流体ラインに配置され得る。作動流体圧力センサのセンサ信号は、作動流体バルブおよび/または制御デバイスのいずれかにおいて処理され、特に流体アクチュエータに設けられた作動流体圧力を調節する役割をする。作動流体圧力センサのセンサ信号が制御デバイスに供給されると、例として膜ポンプデバイスの膜バルブを作動するように設計された流体アクチュエータは、制御流体圧力センサのセンサ信号を追加的に含むことによって特に厳密に制御され得る。
【0016】
本発明のさらなる実施形態では、凹状の制御チャンバが、ポンプ膜のための移動チャンバとして取付け面上に形成され、制御流体開口部が制御チャンバの表面において開口することが提供される。凹状の制御チャンバは、膜ポンプデバイス上に形成された膜ポンプのための有利なポンプストロークを可能にし、これは、いずれの場合でも制御流体ラインが加圧されたときに可能である凹状の変形状態に加えて、膜ポンプの膜はまた、真空が制御チャンバに適用されたときに生じ得る凸状の変形状態にもなり得るからである。制御チャンバでは、流体透過性の成形体が好ましくは設けられ、当該成形体は、制御チャンバの表面から離隔され、真空が膜ポンプの膜に適用されたときに、膜のための接触面としての役割をする。制御チャンバの表面と膜に面する成形体の接触面との間の空間容積は、制御流体のための作動チャンバとしての役割をし、当該制御流体は、制御流体開口部において利用可能にされ得、例えば真空が制御チャンバに適用され、その結果膜が接触面上に平らに置かれた後に、膜ポンプの排出動作のために使用されることになる。
【0017】
基体には、真空口から制御チャンバまたは制御流体ラインに延びる真空ラインが好ましくは形成され、当該真空ラインには、真空ラインの断面に影響を与えるように設計された真空バルブが配置され、この真空バルブは制御デバイスに電気的に接続されている。制御チャンバおよびそこに任意選択で収容された成形体の形態に依存して、真空ラインが、制御チャンバの表面において直接開口すること、または制御流体ラインに流体接続されることのいずれかが提供され得る。制御チャンバおよびそれに結合され得る膜ポンプデバイスの膜に対して循環的に交互に作用することによって、制御流体ラインが加圧されたときの凹状の変形状態と、凸状の変形状態との間での膜のためのポンプ移動、ひいては最大ポンプストロークが可能にされる。真空ラインは同様に制御流体ラインである。
【0018】
作動流体ラインが制御流体口に流体接続される場合に有利である。
【0019】
本発明のさらなる有利な展開では、制御デバイスが、制御流体圧力センサの圧力信号に基づいて膜ポンプデバイスにおける流体の質量流量を決定するように設計されたオブザーバアルゴリズム(observer algorithm)を含むことが提供される。オブザーバアルゴリズムの目的は、その目的のためのセンサデバイスが膜ポンプデバイスに直接一体化されることなく、膜ポンプデバイスにおける流体の質量流量を決定することである。オブザーバアルゴリズムは、連立方程式の形態または例えばニューラルネットワークの形態であり得る。オブザーバアルゴリズムは、好ましくは、作動デバイスおよびそれに取り付けられた膜ポンプデバイスを備える基準配置ならびに外部の正確な流量計によって、制御流体圧力センサおよび外部流量計の信号を比較することによって較正される。
【0020】
特に好ましい実施形態では、第1の作動流体バルブを有する第1の調整デバイスおよび第2の作動流体バルブを有する第2の調整デバイスが基体上に配置され、第1の作動流体バルブはスイッチバルブの形態であり、第2の作動流体バルブは比例バルブの形態、特に圧力調節バルブの形態である。結果として、作動デバイスは、膜ポンプデバイスがそれに結合されたときに、ポンプチャンバへの流体流入に影響を与えること、およびポンプチャンバからの流体流出に影響を与えることの両方を行い得る。制御デバイスは好ましくは、制御チャンバへの制御流体の供給に依存して、2つの調整デバイスの循環的に繰り返す反対の制御を可能にするように設計されている。好ましくは、第1の調整デバイスが制御された動作で動作され、第2の調整デバイスが、特に第2の作動流体バルブに関連付けられた作動流体圧力センサのセンサ信号に依存して、調節された動作で動作されることが提供される。調節された動作において、第2の作動流体バルブは、圧力調節バルブとして動く。それによって、特に、ポンプストローク中に膜ポンプデバイスによって搬送される流体の質量流量のための狭い制限された流れ間隔が維持されることが確実にされ得る。
【0021】
作動デバイスを動作させるための、本発明による方法では、作動流体バルブは、制御デバイスによって制御され、当該制御デバイスは、オブザーバアルゴリズムを使用して、制御流体圧力センサの圧力信号に基づいて膜ポンプデバイスにおける流体の質量流量を決定し、決定された流体の質量流量に依存して作動流体バルブのための目標圧力値を決定し、それにより、膜ポンプデバイスの排出段階中の流体の一定の質量流量を確保する。
【0022】
本方法のさらなる展開では、制御デバイスが、制御流体ラインおよび真空ラインが遮断されるように、膜ポンプデバイスの排出段階中、制御流体バルブおよび真空バルブを制御することが提供される。したがって、膜ポンプのポンプチャンバからの流体の排出は、制御チャンバへの制御流体のさらなる流入なく、それよりも、膜ポンプの変形された膜における内部応力と共に、排出段階の初めに制御チャンバに存在する制御流体圧力に基づいて行われる。したがって制御流体圧力は、制御チャンバ内の容積の変化の尺度として、ひいては膜ポンプのポンプチャンバからの流体の質量流量の尺度として間接的に、使用され得る。
【0023】
本発明による作動デバイスによって機械的に制御され得る、本発明による膜ポンプデバイスは、好ましくは、ポンプチャンバを形成するように弾性膜によって閉鎖された凹部が形成されるポンプチャンバ本体を有する。さらに、膜ポンプデバイスは、ポンプチャンバの吸込開口部に入力口を接続する流入通路と、ポンプチャンバの吐出開口部を出力口に接続する流出通路とを備える。吸込バルブが流入通路に設けられ、吐出バルブが流出通路に設けられ、それにより流入通路または流出通路における液体の流量に影響を与えることができる。
【0024】
膜ポンプデバイスまたは膜ポンプデバイスの一部分は、膜ポンプの作動デバイスと使用されることを意図した、単回使用を意図したカセットの形態であり得る。膜ポンプデバイスは、作動デバイスの取付け面に結合され得るデバイスの形態であり得る。しかしながら、膜ポンプデバイスおよび作動デバイスはまた、使用中互いに分離可能でないデバイスでもあり得る。
【0025】
本発明による膜ポンプは、本発明による作動デバイスと、本発明によるポンプデバイスとを備える。
【0026】
膜ポンプは、医療技術で有利に使用され得る。しかしながら、他の技術分野で使用されるときも利点がある。特に好ましい使用は、比較的低い流量で特に高い搬送精度で搬送されるべき医療用液体、特に抗凝固液を供給するための容器を有する、血液処理装置、特に透析装置において膜ポンプを使用することである。
【0027】
ポンプデバイスおよび作動デバイスを備える膜ポンプの実施形態は、下記に詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】制御チャンバおよび調整デバイスを有する作動デバイスの一部分の断面図である。
【
図3】
図1による作動デバイスの概略的な回路図である。
【
図4】
図1による作動デバイスのための制御図である。
【詳細な説明】
【0029】
図1に示される作動デバイス1は、
図2に示される膜ポンプデバイス2を機械的に制御するために設けられ、作動デバイス1および膜ポンプデバイス2の機械的アセンブリ(図示せず)は、搬送される好ましくは液体流体が作動デバイス1から完全に分離されながら流体が搬送されることを可能にする。
【0030】
図1の図によれば、作動デバイス1は、単に例として、
図1の図の平面に対して垂直に向けられ中心軸3を備える対称平面に対して鏡面対称である。作動デバイス1は基体4を備え、これは、例として四角形の形態であり、特に射出成形されたプラスチック部品の形態で製造され得る。基体4の、例として平らである上側5に取り付けられるものは、
図3に関連して下記により詳細に説明される制御モジュール6である。例として少なくとも実質的に平らである基体4の下側は、
図2に示され、また同様に下記により詳細に説明される膜ポンプデバイス2のための取付け面7としての役割をする。
【0031】
図1の部分的な破断図から明らかなように、制御チャンバ8および調整デバイス9が基体4内に配置されている。膜ポンプデバイス2内に形成される膜ポンプ200の膜201を作動するために制御チャンバ8が設けられる。調整デバイス9は、膜ポンプデバイス2内に同様に形成された膜バルブ202、203を制御する役割をする。
【0032】
制御チャンバ8は、例として取付け面7における回転対称の凹部の形態であり、中心軸3は、制御チャンバ8の縦断面のための回転軸として提供されている。制御チャンバ8は、実質的に、カップ形状の断面が設けられ、円形下部領域10、先細りした壁領域11、環状接触面12、およびそれに隣接して先細りした排出領域15を有する。下部領域10は、例として環状封止要素16の表面によって形成され、当該環状封止要素16は、制御チャンバ8に隣接する凹部17に挿入され、中心軸3に対してL字形状の縦断面を有する。封止要素16は、凹部17の反対側の内面(参照番号設けず)に円形円筒外面18と平らに置かれ、半径方向内向きに面する環状鍔部19を短い方のL字アーム(L-limb)上に有し、当該環状鍔部19は、中心軸3に対して回転対称に形成された流路部分20の外面上の接触部を封止するために設けられている。封止要素16および流路部分20が厳密に配設されることを確実にするために、凹部17は半径方向内向きに突出した環状鍔部21を有し、ここに封止要素16の軸方向の環状端面22が連結して置かれている。次に端面22上に段差23を伴い流路部分20が置かれている。中央凹部24、25は、封止要素16および流路部分20の各々を通り、当該中央凹部は、制御流体ライン33の一部としてみなされるべきである。
【0033】
制御チャンバ8には成形体26が収容され、これは、単に例として、中心軸3に対して回転対称であり、実質的にボールソケット部分の形態である本体27、そこから半径方向外向きに突き出る環状鍔部28、および中心軸3と同軸に向けられた支持リング29を備える。本体27は、そこを通る中央に配置された凹部30を有し、支持リング29から離れた表面上に球面キャップの形状の接触面31を形成する。
【0034】
環状鍔部28は、制御チャンバ8の接触面12に置かれているが、支持リング29は、制御チャンバ8の下部領域10上の前端部に支持されている。接触面31は、膜作動領域32と称される空間の境界を定める役割をし、膜ポンプデバイス2が作動デバイス1に取り付けられたときに膜ポンプ200の膜201の変形を制限する。成形体26の凹部30は、制御流体開口部34としての役割をする。
【0035】
例として流体的に動作可能なリニアアクチュエータである調整デバイス9は、制御チャンバ8に隣接して基体4内に配置される。例として、調整デバイス9は、凹部37に直線的に移動可能に受容され、かつ膜ポンプデバイス2の膜バルブ202、203を作動するために設けられた調整部材38を備える。調整部材38は、例として、ばね(図示せず)の作用によって、加圧された流体の供給なく、休止位置(図示せず)に変位される。
図1の図によれば、調整部材38は、加圧された流体の供給によって機能位置に位置している。調整部材38は、円筒プランジャ39を備え、その縦軸40は、取付け面7に対して横方向に向けられている。プランジャ39は、接続プレート41に後端部領域のそばで取り付けられ、プレート形態の封止膜43に前端部領域42のそばで固定される。接続プレート41は、単に例として円板の形態であり、プランジャ39が中央に取り付けられる前側44上に、半径方向外側の領域に環状支持リング45を有し、これはプランジャ39と同じ方向に突き出る。
図1の図から明らかなように、支持リング45は、中央に配置された周溝46を有するU字形状の断面を有し、前側44から離れた凸状に湾曲した支持面47を有する封止リング48上に置かれている。
【0036】
封止リング48は、プランジャ39と同軸かつ縦軸40に対して回転対称であり、半径方向内側および半径方向外側の環状封止ビード49、50を有する。内側封止ビード49は、基体4内の溝のような周方向の窪み51に収容され、単に例としてねじ付きリング52によって基体4に固定され、当該ねじ付きリング52は、縦軸40と同軸に形成され、かつプランジャ39のための凹部53が設けられた、基体4のねじ継手54にねじ止めされている。同じように、外側封止ビード50は、ねじ付きリング55によって基体4に同様に固定され、当該ねじ付きリング55は、基体4上に形成された雌ねじ57に雄ねじ56でねじ止めされている。
【0037】
内側封止ビード49と外側封止ビード50との間の領域において、環状凹部60が、支持リング45と反対側の基体4に形成され、当該環状凹部は、
図1の図による、縦軸40に沿いかつ下方への調整部材38の直線移動を可能にする。基体4に封止的に固定された封止リング48は、環状凹部60とともに、作動流体流路58の端部領域を表し、かつ加圧された流体が供給され得る作動チャンバを決定する。このように作動チャンバが供給されると、調整部材は、封止リング48の弾性変形により、休止位置(図示せず)から
図1による機能位置に変位される。これによって封止膜43も変形され、取付け面7から突き出る位置から、表面と少なくとも実質的に同一平面である
図1による位置にもってこられ得る。封止膜43が休止位置では膜ポンプデバイス2の関連付けられた膜バルブ202、203上に置かれ、それにより膜バルブ202、203を開位置から閉位置にもってくることが提供される。加圧された流体が作動チャンバに加えられると、
図3にも概略的に示されるように、
図1による機能位置への調整部材38の関連付けられた変位は、膜ポンプデバイス2の関連付けられた膜バルブ202、203のための開口部移動30を実施する。
【0038】
封止膜43は、プランジャ39に面する上側61に環状鍔部62を有し、当該環状鍔部62には、前端部領域42上に形成された環状溝64に連結して係合する、半径方向内向きに面する突出部63が設けられている。プランジャ39と封止膜43との間のこの連結接続により、プランジャ39から封止膜43へまたその逆の双方向の力伝達が可能となる。封止膜43の半径方向外側の周辺領域で、封止膜には同軸に突き出る一体的に形成された保持リング65が設けられ、これは縦軸40と同軸に基体4の溝の様式で形成された環状溝66に摩擦係合によって固定され、その結果、封止膜43は、移動チャンバ59と作動デバイス周囲の環境との間の流体分離を確実にする。
【0039】
図2は、単に膜ポンプデバイス2の概略的な断面図であり、当該膜ポンプデバイス2は作動デバイス1に結合されるように設計され、入力口204において供給された流体を出力口205に搬送するために使用され得る。例として、膜ポンプデバイス2は、凹部208を有する下側207に設けられる四角形ベースプレート206を備える。凹部208は、下側207から取り付けられ、かつ下側207から離れた中央領域に支持突出部211を有する閉鎖プレート210で少なくとも大部分充填され、当該支持突出部211は、上側209に向かって延び、下側207から離れた端面212上に凹状部、特に球面キャップ形状を有する。それによって、ポンプデバイス2のハウジング本体254の一部であるポンプチャンバ本体253内にポンプチャンバ252が形成される。ベースプレート206の凹部208は、閉鎖プレート210をベースプレート206に取り付けた後に、溝形状の流入流路213および溝形状の流出流路214が形成されるように形成され、その各々は、支持突出部211に隣接する開口部215、216において上側209に向かって開口する。支持突出部211から離れた端部領域において、流入流路213は、第1の膜バルブ202の、例として円筒状であるバルブチャンバ217に通じており、同じように、流出流路214は、支持突出部211から離れた端部領域において、第2の膜バルブ203の、例として円筒状であるバルブチャンバ218に通じている。
【0040】
第1の膜バルブ202は、入力口204、バルブチャンバ217、および流入流路213を含む、流入通路219に影響を与えるための吸込バルブとして設けられる。このために、環状バルブシート220がバルブチャンバ217内に配置され、当該環状バルブシートの端面221は、ベースプレート206の上側209から離隔され、当該環状バルブシートの中央をバルブ流路222が通る。対照的に、バルブチャンバ217と流入流路213との間の流体接続が、バルブチャンバ217の半径方向外側の領域で実現される。
【0041】
第2の膜バルブ203は、出力口205、バルブチャンバ218、および流出流路214を含む、流出通路223に影響を与えるための吐出バルブとして設けられる。この目的のために、環状バルブシート224がバルブチャンバ218内に配置され、当該環状バルブシートの中央をバルブ流路240が通る。バルブシート224の端面は、ベースプレート206の上側209から離隔される。バルブシート224は、バルブチャンバによって同心円状に取り囲まれ、流出流路214は、膜ポンプ200の開口部216、すなわちその吐出開口部を、バルブチャンバ218に接続する。バルブチャンバ218と出力口205との間の流体接続が、バルブチャンバ218の半径方向外側の領域で実現される。流出通路223は、吐出バルブ203に通じる第1の流出流路214に加えて、吐出バルブ203から分岐し、かつバルブ流路240に接続される第2の流出流路214Aを含む。第2の流出流路214Aは、バルブ流路240を出力口205に接続する。
【0042】
流出通路が、ポンプチャンバの吐出開口部を吐出バルブのバルブチャンバの吸込開口部に接続する第1の流出流路を含み、吐出バルブ流路を出力口に接続する第2の流出流路を含むとき、吐出バルブシートの断面積は、吐出バルブシートを取り囲む吐出バルブチャンバの領域の断面積よりも小さく、液体流量の調節の挙動は、さらに改善され得る。かかる配置における調節が振動に影響されやすくないことが示された。しかしながら、原理上、第1の流出流路がポンプチャンバの吐出開口部を吐出バルブ流路に接続すること、および第2の流出流路が吐出バルブのバルブチャンバの吐出開口部を出力口に接続することもまた可能である。
【0043】
単に例として、ベースプレート206の上側209全体は、例えば、一体的に接合されることによって上側209に固定されたゴム製の弾性膜201で被覆され、よってバルブチャンバ217、218と膜ポンプデバイス2周囲の環境との間の流体分離を確実にする。さらに膜201は、凹部208および支持突出部211ならびに膜201が境界となっているポンプチャンバ227を、膜ポンプデバイス2周囲の環境から分離する役割もする。
【0044】
膜ポンプデバイス2が作動デバイス1に取り付けられると、例えば、
図1に示される第1の調整デバイス9によってバルブシート220にわたる膜201の変形を実施することが可能であり、それにより局部封止的にバルブシート220の端面221に膜201を押圧し、よって入力口204と流入流路213との間の流体接続を遮る。さらに、
図1に示される調整デバイスの鏡面図であるが明確さのため
図1には示されていない第2の調整デバイス9(14)によって、バルブシート224にわたる膜201の変形が実施され得、それにより局部封止的にバルブシート224の端面225に膜201を押圧し、よって第1の流出流路214と出力口205との間の流体接続を遮る。
【0045】
加えて、支持突出部211の上部のポンプチャンバ227の領域にある膜201は、好適に凹部30に制御流体または真空を適用することによって、
図2に示されるニュートラル位置(neutral position)から、
図3に単に概略的に示される凸状の吸入構成に、または
図3に単に概略的に示される凹状の排出構成にもってこられ得る。
【0046】
既に上述されたように、
図3に示される作動デバイス1は、単に例として、基体4および制御モジュール6に分けられ、基体4に含まれる構成部品は、
図1に関連して既に詳しく上述されている。
【0047】
制御モジュール6は、例えばマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラの形態であり得、かつ定義可能なシーケンスプログラムを実行するように設計された制御デバイス70を含む。例として、制御デバイス70がインターフェース71を介して、例えばプログラム可能な論理コントローラであり得るより高次の制御デバイス(図示せず)と電気的に接続するようにされることが提供され、その結果、より高次の制御デバイスが、制御コマンドを制御デバイス70に与えることができる。代替的に、制御デバイス70が外部コマンドを用いずに独立して機能し、下記により詳細に説明される構成部品を好適に制御できることが提供される。これらの構成部品は、一方では制御チャンバ8に制御流体を供給するための制御流体配置72であり、他方では、吸込調整デバイス9および吐出調整デバイス14と称され得る、概略的に示される2つの調整デバイス9、14に作動流体を供給するための作動流体配置73である。
【0048】
制御流体配置72は、第1の制御流体バルブ74および第2の制御流体バルブ75を備え、それらは各々、例として、ソレノイドバルブ(solenoid valve)の形態であり得、制御ライン76、77を介して制御デバイス70に電気的に接続される。第1の制御流体バルブ74は、第1の制御流体開口部34を有する制御チャンバ8に開口する第1の制御流体ライン33を介して流体接続される。さらに、第1の制御流体バルブ74は、第1の制御流体口78に流体接続され、第1の制御流体口78と第1の制御流体開口部34との間の流体接続が開放または遮断のいずれかをされることを可能にする。
【0049】
第2の制御流体バルブ75は、第2の制御流体開口部36を有する制御チャンバ8に開口する第2の制御流体ライン35を介して流体接続される。さらに、第2の制御流体バルブ75は、第2の制御流体口79に流体接続され、第2の制御流体口79と第2の制御流体開口部36との間の流体接続が開放または遮断のいずれかをされることを可能にする。
【0050】
好ましくは、圧縮空気源(図示せず)が第1の制御流体口78に接続されて、真空源(図示せず)が第2の制御流体口79に接続されることが提供される。
図2に示される膜ポンプデバイス2は、
図3に示される作動デバイス1に取り付けられると、これに応じて、好適に、好ましくは交互して、特に循環的に繰り返して、2つの流体制御バルブ74および75を制御することによって、制御チャンバ8への一連の加圧および真空の適用を実行することが可能であり、その結果、膜ポンプ200の膜201は、ニュートラル位置180から、最初に凸状に湾曲した吸入位置181に、次いで凹状に湾曲した排出位置182にもってこられ得る。膜ポンプ200の膜201のこの交互する変形は、膜ポンプ200に収容された流体のための搬送ストロークを実施し、その結果、膜バルブ202および203の好適な制御で、流体は入力口204から出力口200に搬送され得る。2つの膜バルブ202および203のこの制御を実施することができるようになるために、吸込調整デバイスおよび吐出調整デバイス9および14が設けられ、これら各々は、膜201の反対部分にある関連付けられた吸込および吐出調整部材38と共に動くことができ、それにより膜201がそれぞれのバルブシート220、224上に封止的に置かれることを可能にするか、またはそれぞれのバルブシート220、224が開放されることを可能にする。
【0051】
この目的のために、単に例として流入流路213に関連付けられた膜バルブ202に影響を与えるために設けられた吸込調整デバイス9は、制御デバイス70に制御ライン83を介して接続された第1の作動流体バルブ81を備え、それにより作動流体バルブ81が電気的に制御されることを可能にする。さらに、作動流体バルブ81は、第1の制御流体口78に流体接続され、第1の作動流体ライン85を介して第1の調整デバイス9に流体結合される。したがって、特に2/2方向のソレノイドバルブであり得る作動流体バルブ81は、加圧された作動流体を吸込調整デバイス9に供給すること、または調整デバイス9から空気を除去することのいずれかを実施し得、空気の除去は、第1の空気除去流路87を介して第1の消音器89へ行われる。
図1の図から明らかなように、加圧された流体を第1の調整デバイス9に加えることは、プランジャ39の調整移動につながり、その結果、
図1のニュートラル位置にある封止膜43は、下向きに撓み、その下面に取り付けられ得る膜ポンプデバイス2の膜201は、バルブシート220に押圧され得、それにより、流入流路213のための所望の遮断活動を発生させる。
【0052】
単に例として流出流路214に関連付けられた膜バルブ203に影響を与えるために設けられた吐出調整デバイス14は、制御デバイス70に制御ライン84を介して接続された第2の作動流体バルブ82を備え、それにより作動流体バルブ82が電気的に制御されることを可能にする。さらに、作動流体バルブ82は、第1の制御流体口78に流体接続され、第2の作動流体ライン86を介して吐出調整デバイス14に流体結合される。したがって、特に3/3方向のピエゾ圧力調節バルブであり得る作動流体バルブ82は、加圧された作動流体を第2の調整デバイス14に供給すること、または第2の調整デバイス14から空気を除去することのいずれかを実施し得、空気の除去は、第2の空気除去流路88を介して第2の消音器90へ行われる。
【0053】
図1の図から明らかなように、加圧された流体を吐出調整デバイス14に加えることは、プランジャ39の調整移動につながり、その結果、その下面に取り付けられ得る膜ポンプデバイス2の膜201を流出流路214のための遮断活動が発生されるようにバルブシート224に押圧する、
図1のニュートラル位置にある下向きに撓んだ封止膜43は、
図1に示されるように封止膜43が少なくともほぼ平らである機能位置にもってこられ得、それにより、その下面に取り付けられ得る膜ポンプデバイス2の膜201は、その弾性特性によりバルブシート224から持ち上げられ、流出流路214を開放する。
【0054】
制御チャンバ8における圧力調節のために、圧力センサ91が設けられ、これは、センサライン92を介して制御デバイス70に電気的に接続され、単に例として、流体ライン94によって第1の制御流体ライン33に流体接続される。これによって圧力センサ91は、制御チャンバ8に存在する流体圧力を決定し、それを電気信号として、センサライン92を介して制御デバイス70に送信することができる。
【0055】
例として、圧力センサ93は第2の作動流体バルブ82に追加的に関連付けられ、単に例として第2の作動流体バルブ82に一体化され、関連付けられた第2の制御ライン84を介して制御デバイス70に電気的に接続される。
【0056】
図4は、厳密には概略的な、制御信号101~104についての例示的なシーケンスを示し、これら信号は、作動デバイス1の個々の構成部品を制御するために制御デバイス70によって供給される。信号レベルも時間区分も縮尺通りに選択されていない。
【0057】
時間t0では、制御デバイス70によっていずれの制御信号も送信されていない。したがって2つの調整デバイス9、14は各々、関連付けられた調整部材38によりそれぞれの封止膜43が取付け面7から突き出ることが可能となる休止位置にあり、したがってそれぞれの反対の膜バルブ202、203の膜の変形が確実にされる。これは、膜バルブ202、203の一点短鎖線によって示される膜に基づいて
図3から明らかである。したがって、流入流路213および流出流路214の両方は、この時間では遮断される。
【0058】
時間t1において、制御デバイス70は、第1の作動流体バルブ81のための制御信号100を送信し、その結果、作動流体バルブは、空気除去位置から空気導入位置に切り替えられ、吸込調整デバイス9の加圧が行われる。この加圧の結果、吸込調整デバイス9のプランジャ39は、封止膜43が取付け面7から突き出る、
図3によるニュートラル位置から出て、関連付けられた膜バルブ202の、
図3に一点短鎖線によって示される膜は、
図3の破線によって示される機能位置に変形される。それによって、
図3の破線によって示されるように、反対側に取り付けられ得る膜ポンプデバイス2の膜バルブ202は開き、少なくとも原理上、入力口204から膜ポンプ200への流体の流入を可能にする。
【0059】
時間t2において、制御回路70は、第2の制御流体バルブ75に制御信号101を送信し、その結果、制御流体バルブは遮断位置から開放位置に切り替えられ、制御チャンバ8に真空が適用される。この真空適用の結果、膜ポンプ200の膜201は、制御チャンバ8に引き込まれ、成形体26の接触面31上に置かれ、その結果、それは凸状に湾曲した吸入位置181をとる。この時間において、膜ポンプ200のポンプチャンバ227は最大容積を有し、搬送される流体は、膜201が変形されるにつれて、入力口204からポンプチャンバ227に引き込まれる。
【0060】
時間t3において、制御回路70は、第1の作動流体バルブ81のための制御信号100をスイッチオフし、その結果、作動流体バルブは空気導入位置から空気除去位置に切り替えられ、吸込調整デバイス9の加圧は終了する。結果として、吸込調整デバイス9のプランジャ39は、特に戻しばね(図示せず)のばね作用により、
図1に示される機能位置から、
図3の一点短鎖線によって示されるような、取付け面7から突き出るニュートラル位置に移動し、その結果、反対側に取り付けられ得る膜ポンプデバイス2の膜バルブ202は閉じる。この時間t3において、膜ポンプデバイス2における流入流路213が遮断され、流体は膜ポンプ200のポンプチャンバ227から漏れるのが防止される。
【0061】
時間t4において、制御信号101は制御回路70によってスイッチオフされ、その結果、第2の制御流体バルブ76は再度遮断位置をとり、制御チャンバ8は最初にこの時間t4から開始する一定の真空を有する。
【0062】
時間t5において、制御回路70は、第1の制御流体バルブ74に制御信号102を送信し、その結果、第1の制御流体バルブは遮断位置から開放位置に切り替えられ、制御チャンバ8の加圧が行われる。この加圧の結果、膜ポンプ200に収容された流体は追加的に圧力下に置かれる。制御チャンバ8内の圧力は、好ましくは、この後の排出動作で、膜ポンプ200の膜201が凸状の湾曲した吸入位置181から凹状の湾曲した排出位置に完全に変形されるようにするものであり、その結果、最大量の流体が膜ポンプ200によって搬送され得る。
【0063】
時間t6において、制御信号102は制御回路70によってスイッチオフされ、その結果、第1の制御流体バルブ74は再度遮断位置をとる。
【0064】
時間t7において、制御回路70は、第2の作動流体バルブ82に制御信号103を供給し、その結果、第2の作動流体バルブは、吐出調整デバイス14に関連付けられたプランジャ39の調節された調整運動を行うことができる。制御信号103は、圧力センサ91の圧力信号に依存してオブザーバアルゴリズムによって制御回路70において計算され、それにより、例えば、膜ポンプ200から出力口205への流体の可能な限り一定の質量流量をもたらす。
【0065】
したがってプランジャ39の位置は、流体搬送動作中、動的に変化し、膜バルブ203は、比例バルブの様式で動作される。制御チャンバ8内の過度の圧力により、膜ポンプ200のポンプチャンバ227内の流体は出力口205に変位され、この動作は好ましくは、膜201が支持突出部211の端面212上に平らに置かれるまで続き、よってポンプチャンバ227は少なくともほぼ完全に空である。
【0066】
時間t8において、制御回路70は制御信号103をスイッチオフし、その結果、この時間において、膜ポンプ200のための搬送動作は終了し、新たな搬送動作が始まり得る。
以下に、本願出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[C1]
流体、特に血液処理のための医療用液体を搬送するための膜ポンプデバイスを機械的に制御するための作動デバイスであって、
膜ポンプデバイスのための取付け面を備え、制御流体口から前記取付け面において開口している制御流体開口部に延びる制御流体ラインが通る基体を有し、ここにおいて、制御流体バルブが前記制御流体ラインに配置され、前記制御流体バルブは、前記制御流体ラインの断面に影響を与えるように設計され、
調整移動を提供するための、前記取付け面上に配置された流体アクチュエータを備える調整デバイスと、前記基体を通る作動流体ラインの断面に影響を与えるように設計された作動流体バルブとを有し、ここにおいて、前記制御流体バルブおよび前記作動流体バルブは、前記制御流体バルブおよび前記作動流体バルブを電気的に制御するように設計された制御デバイスに電気的に接続されている、
作動デバイス。
[C2]
制御流体圧力センサが前記基体上に配置され、前記制御流体圧力センサが、前記制御デバイスに電気的に接続され、制御流体圧力を検出するように設計されていることを特徴とする、C1に記載の作動デバイス。
[C3]
前記制御デバイスがオブザーバアルゴリズムを含むことを特徴とし、前記制御デバイスは、前記オブザーバアルゴリズムに基づいて、膜ポンプデバイスの流体の質量流量が前記制御流体圧力センサの圧力信号に依存して決定されるように構成されている、C2に記載の作動デバイス。
[C4]
作動流体圧力センサが前記作動流体ラインに関連付けられ、前記作動流体圧力センサが、前記制御デバイスに電気的に接続され、作動流体圧力を検出するように設計されていることを特徴とする、C1~C3のいずれか一項に記載の作動デバイス。
[C5]
凹状の制御チャンバが、ポンプ膜のための移動チャンバとして前記取付け面に形成されること、および前記制御流体開口部が前記制御チャンバの表面において開口していることを特徴とする、C1~C4のいずれか一項に記載の作動デバイス。
[C6]
真空ラインが前記基体に形成され、前記真空ラインが、真空口から前記制御チャンバまたは前記制御流体ラインに延び、前記真空ラインの断面に影響を与えるように設計された真空バルブが配置されることを特徴とし、前記真空バルブは前記制御デバイスに電気的に接続されている、C1~C5のいずれか一項に記載の作動デバイス。
[C7]
前記作動流体ラインが前記制御流体口に流体接続されることを特徴とする、C1~C6のいずれか一項に記載の作動デバイス。
[C8]
第1の作動流体バルブを有する第1の調整デバイスおよび第2の作動流体バルブを有する第2の調整デバイスが前記基体上に配置されることを特徴とし、前記第1の作動流体バルブがスイッチバルブの形態であり、前記第2の作動流体バルブが比例バルブの形態、特に圧力調節バルブの形態である、C1~C7のいずれか一項に記載の作動デバイス。
[C9]
前記制御デバイスが、前記第2の作動流体バルブが前記制御デバイスによって制御されるように構成され、前記制御デバイスが、流体の一定の質量流量が前記膜ポンプデバイスの排出段階中に発生されるように、膜ポンプデバイスにおける流体の質量流量を決定し、流体の前記決定された質量流量に依存して前記第2の作動流体バルブのための目標圧力値を決定することを特徴とする、C8に記載の作動デバイス。
[C10]
C1~C9のいずれか一項に記載の膜ポンプデバイスを機械的に制御するための作動デバイスを動作させるための方法であって、前記作動流体バルブが前記制御デバイスによって制御され、前記制御デバイスが、オブザーバアルゴリズムに基づいて、制御流体圧力センサの圧力信号に依存して膜ポンプデバイスにおける流体の質量流量を決定し、流体の前記決定された質量流量に依存して前記作動流体バルブのための目標圧力値を決定し、それにより、前記膜ポンプデバイスの排出段階中の流体の一定の質量流量を確保することを特徴とする、方法。
[C11]
前記制御デバイスが、前記制御流体ラインおよび前記真空ラインが遮断されるように、前記膜ポンプデバイスの排出段階中、前記制御流体バルブおよび前記真空バルブを制御することを特徴とする、C10に記載の方法。
[C12]
C1~C11のいずれか一項に記載の作動デバイスおよび膜ポンプデバイスを有する、流体、特に血液処理のための医療用液体を搬送するための膜ポンプ。
[C13]
前記膜ポンプデバイスが、
ポンプチャンバを形成するように弾性膜によって閉鎖された凹部が形成されるポンプチャンバ本体と、
入力口を前記ポンプチャンバの吸込開口部に接続する流入通路と、
前記ポンプチャンバの吐出開口部を出力口に接続する流出通路と、
前記流入通路における液体の流量に影響を与えるために前記流入通路に設けられた吸込バルブ、および前記流出通路における液体の流量に影響を与えるために前記流出通路に設けられた吐出バルブと
を有することを特徴とする、C12に記載の膜ポンプ。
[C14]
血液処理装置、特に透析装置であって、医療用液体、特に抗凝固液を供給するための容器と、医療用液体、特に抗凝固液を搬送するためのC12または13に記載の膜ポンプとを有する血液処理装置。