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特許7086996ロック可能なピボットジョイントを有する医療サポートアーム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】ロック可能なピボットジョイントを有する医療サポートアーム
(51)【国際特許分類】
   A61G 13/12 20060101AFI20220613BHJP
   F16C 11/04 20060101ALI20220613BHJP
   F16C 11/10 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
A61G13/12 B
F16C11/04 V
F16C11/10 A
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2019563564
(86)(22)【出願日】2018-05-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-07-09
(86)【国際出願番号】 EP2018061345
(87)【国際公開番号】W WO2018210576
(87)【国際公開日】2018-11-22
【審査請求日】2021-04-30
(31)【優先権主張番号】102017110718.5
(32)【優先日】2017-05-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】513242656
【氏名又は名称】マッケ・ゲゼルシャフトミットベシュレンクターハフトゥング
(74)【代理人】
【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128509
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 晴久
(72)【発明者】
【氏名】コッホ,グイド
【審査官】松江 雅人
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-504765(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0133979(US,A1)
【文献】特開昭57-190563(JP,A)
【文献】特開平06-341450(JP,A)
【文献】特開2000-192942(JP,A)
【文献】実開昭54-027591(JP,U)
【文献】実開昭54-074190(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61G 13/00-13/12
F16C 11/00-11/12
A61B 90/57
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療サポートアーム(10)であって、
前記医療サポートアーム(10)を握り操作する為の保持端部(13)と、
手術台(1)等の患者サポートに前記医療サポートアーム(10)を接続する為の連結端部(11)と、
前記医療サポートアーム(10)をピボット軸(A1)廻りに旋回させ、前記医療サポートアーム(10)をピボット軸(A1)と交差するチルト軸(A2)廻りにチルトさせる為の連結端部ピボットジョイント(16)と、
前記連結端部ピボットジョイント(16)を任意に(a)前記医療サポートアーム(10)の前記ピボット軸(A1)及び前記チルト軸(A2)廻りの回転が防がれる様にロックし、(b)前記医療サポートアーム(10)が前記ピボット軸(A1)及び前記チルト軸(A2)廻りに自由に回転する事が出来る様に解除するクランプ機構(28)と、
前記クランプ機構(28)を解除する為に前記保持端部(13)に位置された解除レバー(18)と、
前記保持端部(13)と前記連結端部(11)との間に延在するメディカルデバイス(14)をサポートする為のサポートバー(12)と、
前記解除レバー(18)から前記クランプ機構(28)に解除力を伝達する為に前記サポートバー(12)上及び/又は内に配置された力伝達デバイス(41、43及び45)と、
を含み、
前記連結端部ピボットジョイント(16)は、(a)前記医療サポートアーム(10)が専ら前記チルト軸(A2)及び前記ピボット軸(A1)廻りに回転する事を可能にし、(b)前記医療サポートアーム(10)を前記チルト軸(A2)廻りにチルトさせる為に、チルトエレメント(26)と、前記チルトエレメント(26)が着座された円筒状スライド面(22a及び24a)と、を含み、前記円筒状スライド面及び前記チルトエレメント(26)が前記チルト軸(A2)廻りに相互に対して回転する事が出来るチルトデバイスを含み、(c)前記医療サポートアーム(10)を前記ピボット軸(A1)廻りに旋回させる為に、ガイドリング(36)と、前記ガイドリング(36)を収容する少なくとも1つのリングガイド面(30及び32)と、を有し、前記ガイドリング(36)及び前記少なくとも1つのリングガイド面(30及び32)が前記ピボット軸(A1)廻りに相互に対して回転する事が出来るピボット機構を含み、(d)前記連結端部ピボットジョイント(16)の中央に位置され、その上に前記円筒状スライド面(22a及び24a)及び前記少なくとも1つのリングガイド面(30及び32)が形成された中央ボディ(22及び24)を含み、
前記チルトエレメント(26)は、前記クランプ機構(28)の一部として、それが前記中央ボディ(22及び24)をクランプする事によって回転に対抗して前記チルトデバイス及び前記ピボット機構の両方を固定する様な方法でグリッパクランプとしても作用する
事を特徴とする医療サポートアーム(10)。
【請求項2】
前記円筒状スライド面(22a及び24a)は、前記チルト軸(A2)の全周に一回り延在する
請求項1に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項3】
前記中央ボディは、2つの相互に鏡映反転されたガイドボディ(22及び24)を含み、前記ガイドリング(36)の為のリングガイド面(30及び32)は、前記ガイドボディ(22及び24)に夫々形成され、前記円筒状スライド面の部分(22a及び24a)は、2つの部品が相互に前記円筒状スライド面の全体を形成する様に、前記ガイドボディ(22及び24)の外側に夫々形成される
請求項1又は2に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項4】
前記中央ボディ(22及び24)は、前記ガイドリング(36)を収容する為に、その内部にキャビティ(33)を有する
請求項1乃至3の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項5】
前記連結端部(11)に接続ピース(20)を更に含み、前記接続ピース(20)は、前記ガイドリング(36)をサポートし、前記接続ピース(20)は、前記患者サポートに接続する為の連結部(21)を有する
請求項1乃至4の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項6】
前記ガイドリング(36)は、前記接続ピースの二叉端部(39)の叉(37)の間に収容される
請求項5に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項7】
前記クランプ機構(28)は、前記クランプ機構(28)をロック位置にバイアスするばねアセンブリ(42)を含む
請求項1乃至6の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項8】
前記クランプ機構(28)は、それを通じて前記ばねアセンブリ(42)が前記グリッパクランプに作用する偏心アセンブリ(46)を更に含む
請求項7に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項9】
前記ばねアセンブリ(42)は、少なくとも1つのディスクばねを含み、前記偏心アセンブリ(46)は、少なくとも1つの偏心レバーを含む
請求項8に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項10】
前記偏心レバー(46)は、偏心ディスク(47)及び操作端部(49)を形成する偏心端部を夫々有し、前記操作端部(49)は、前記ディスクばね(42)に接続され、前記偏心ディスク(47)は、前記グリッパクランプの末端に接続され、前記偏心レバー(46)の回転軸(Y-Y)がそれを通る
請求項9に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項11】
前記力伝達デバイスは、前記保持端部(13)に配置されたマスタシリンダ(41)と、前記連結端部(11)に配置されたスレーブシリンダ(45)と、前記サポートバー(12)の内部を通って延在し、前記マスタシリンダ(41)を前記スレーブシリンダ(45)に接続する液圧ライン(43)と、を含む
請求項1乃至10の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項12】
前記スレーブシリンダ(45)は、前記解除レバー(18)の動作に際して前記ばねアセンブリ(42)のバイアスを液圧解除する
請求項7を引用する請求項11に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項13】
前記ピボット軸(A1)及び前記チルト軸(A2)は、前記医療サポートアーム(10)の長手軸(X-X)に垂直且つ相互に垂直に夫々位置調整される
請求項1乃至12の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項14】
前記医療サポートアームは、エクステンションバー(10)である
請求項1乃至13の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項15】
前記解除レバー(18)に隣接する様に配置された前記保持端部(13)にハンドグリップ(40)を更に含み、とりわけ前記クランプ機構(28)が解除された時に、前記医療サポートアーム(10)は、人によって前記解除レバー(18)上の一方の手及び前記ハンドグリップ(40)上の他方の手で保持する事が出来る
請求項1乃至14の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)。
【請求項16】
請求項1乃至15の何れか一項に記載の医療サポートアーム(10)を含む
事を特徴とする手術台(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1のプリアンブルに従った医療サポートアームに関する。
【背景技術】
【0002】
その様なサポートアームが知られている。それは手術台の一部としてミズホOSI社によって供給される。手術台は、商標ProFxの元に販売される。ProFx手術台の説明は、インターネットで発見する事が出来る。
【0003】
この既知のサポートアームは、ボール及びボールソケットを有するボールジョイントによって手術台に接続される。ボールジョイントは、サポートアームを異なる方向に回転させる事を可能にする。従って、外科医は、サポートアームに取り付けられた患者の脚部の位置を処置にとって最適な位置に導く事が出来る。患者の脚部が適切に位置調整された時に、サポートアームをクランプ機構によって適所にロックする事が出来る。この目的の為に、ボールソケットはボールに機械的にクランプされる。もっと正確に言えば、サポートアームの端部で回転レバーが折り畳まれ、それはバーの内部に配置されたトーションシャフトを通じてボールソケットに作用する。
【0004】
特に、この既知のサポートアームは以下の欠点を有する。
-使用者は、レバーによって大きな閉鎖力を印加しなければならない。更に、1つの固定調整経路のみがレバーの為に使用可能であり、使用者は、ボールソケットとボールとの間の調整経路に亘って生成されたバイアスが十分で、従って、サポートアームが確実に適所に固定される事を信頼しなければならない。
-ボール及びボールソケットが高摩擦係数によって相互に対して枯渇し、従って、摩擦相手の少なくとも1つがサポートアームの回転の結果としての使用中に摩耗する。
-摩擦相手の摩耗の為に、クランプ機構は回転レバーが常に同一範囲で移動する様に定期的に調整されなければならない。
-露出されたボール面が汚染され、汚染がジョイントに伝わり、最終的にボールジョイントの故障をもたらす。
【0005】
-サポートアームがアンロック状態の時に、使用者が一方の手でサポートアームの荷重を支えると共に、他方の手で相当な労力を有する閉鎖操作を実行するので、サポートアームのリスクが存在し、従って、サポートアームが確実にロックされる前に患者の脚部が誤って落下する。
【0006】
当業者に知られた別のサポートアームは、国際公開第2007/080454号明細書で説明される。この既知のサポートアームは、腰部位置調整システムの一部としてスミス・アンド・ネフューによって市場に出される。このシステムの説明は、インターネットで発見する事が出来る。
【0007】
このサポートアームもロック可能なボールジョイントを介して回転する事が出来る(国際公開第2007/080454号明細書の図5及び6を参照)。ボールジョイントは、サポートアームの端部に配置された回転ノブによってロック及び解放される。見たところでは、使用者が誤ってサポートアームを解放する時に、ボールジョイントは自動的にロックする。
【0008】
特に、この既知のサポートアームは以下の欠点を有する。
-ミズホOSIのサポートアームの様に、ボール面の摩耗の為にクランプ機構の定期的な調整が必要である。
-同様に、ボール面の汚染に関する問題が存在する。
-手術台で使用された時に、ボールジョイント及びサポートアームが邪魔になると共にX線に対して透過可能でないので、それらがCアームの自由な位置調整及び患者のX線画像化を妨げる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従って、これらの既知のサポートアームを安全、低保守、並びにロック及びアンロックに対して容易な様に改良する事が望ましい。
【0010】
従って、本発明の目的は、ロック可能なピボットジョイントを有する医療サポートアームを提供する事であり、そのピボットジョイントは、確実、低保守、及び日常使用中にロック及びアンロックが容易である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、この目的は、請求項1の特徴によって最初に定義されたサポートアームで達成される。
【0012】
個別のチルト機構及びピボット機構を有する、チルト機構及びクランプ機構によって取り囲まれた中央ボディとしてのピボットジョイントの設計によって、ピボットジョイントに目標とされた方式で大きなクランプ力を印加する事が可能である。
【0013】
ボールジョイントを有する既知の解決策では、クランプは、専らボールとボールソケットとの間に生成された全方向の摩擦抵抗に基づき、その径に直接依存する。この摩擦抵抗は、ボール面の汚染及びボールの摩耗により段々と経時的に信頼性が低くなる。
【0014】
本発明では、対照的に、クランプは、以下の2つの別々の構成部品に基づく。一方は、中央ボディの表面のリングガイドとガイドリングとの間の摩擦抵抗であり、他方は、中央ボディの円筒状のスライド面とチルトエレメント/グリッパクランプとの間の摩擦抵抗である。本発明では、旋回移動での低トルクを予想する事が出来るので、ガイドリングを小さくする事が出来る。チルト方向での実質的な高トルクは、チルトエレメントとして作用すると共にとりわけ大きな径に対応して適合されたグリッパクランプによって吸収される。クランプされた状態の時に、グリッパクランプは、チルト方向でのトルクのみに耐える必要があり、前述の先行技術によって知られるボールソケットの事例の様に、サポートアームに作用する事が出来る全ての種類のトルクを吸収する必要はない。
【0015】
おまけに、ピボットジョイントの摩擦面は、本発明の請求された構造により少ない摩耗に曝される。また、環境から密閉されるので、それらを汚染する事は出来ない。従って、ピボットジョイントの故障のリスク及び関連付けられた保守コストが実質的に低減される。
【0016】
特に、大きな摩耗が生じない様に、摩擦面をオイルによって潤滑する事が出来る。更に、摩擦面を完全に囲む事が出来る結果として、汚物が中に入る事を防ぐか又は外に出る事を円滑にする。
【0017】
本発明の好ましい実施の形態は、下位請求項の主題を構成する。下位請求項で挙げられた全ての特徴は、技術的に可能な限り、任意の希望の方式で相互に組み合わせる事が出来る。
【0018】
本発明は、請求項で定義された様な医療サポートアームを有する手術台にも関する。
【0019】
本発明の典型的な実施の形態は、ここでは、同様の参照符号が同一又は類似のエレメントを夫々示す添付図面に関連して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明に従った手術台の代表図を示す。
図2】本発明の1つの実施の形態に従ったロック可能なピボットジョイントを有する医療サポートアームを示す。
図3図2に示されたサポートアームのピボットジョイントの詳細図を示す。
図4図2に示されたサポートアームで使用する事が出来る解除レバーを示す。
図5図2のサポートアームの接続ピースを示す。
図6】チルトエレメントとして作用する図3のピボットジョイントのグリッパクランプと共に中央ボディを示す。
図7図2のサポートアームのクランプ機構を図示する。
図8図2のサポートアームのクランプ機構を図示する。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下の説明では、本発明の典型的な実施の形態が図面に関連して説明される。図面は、必ずしも縮尺通りでなく、各特徴を概略的にのみ図示する様に意図される。
【0022】
単一の実施の形態に関連してそれらが説明されたか否かと無関係に、説明された特徴及び構成部品を相互に組み合わせる事が出来る点に注意すべきである。各実施の形態の特徴の組み合わせは、請求されたデバイスの基本的な構造及び機能の単なる例示である。
【0023】
図1に示された様に、手術台1は、患者サポート面2と、ポスト3と、ベース4と、を含む。整形外科手術を実行する為に、それによって患者Pの脚部を希望の位置に固定する事が出来る医療サポートアーム10(この場合には、エクステンションバー)を使用する事が可能であり、それは脚部に引っ張り力を及ぼすと共に脚部をその長手軸廻りに回転させる事の両方を行う事が可能である。ピボットジョイント16によって、エクステンションバー10を手術台1に対して、又は一般にエクステンションバー10の端部が取り付けられた構造に対して適所に位置調整すると共に固定する事が出来る。本発明によれば、ピボットジョイント16が手術台1(図1を参照)に搭載された状態の時に、それが可能な限り患者Pの頭部に向けて配置される事が強調されるべきである。特に、ピボットジョイント16は、少なくとも腰部レベル又は頭部の方向に見られる様な患者の腰部の上方にさえ設置される。結果的に、Cアームを使用して患者の腰部をX線検査する必要がある時に、ピボットジョイントがX線撮影にとって技術的に関係する領域の外側に設置される。エクステンションバー10は、好ましくは、画像化の為に使用される放射線に対して透明な材料で形成される。国際公開第2007/080454号明細書によって知られた解決策では、ピボットジョイントが、Cアームによって画像化する事を難しくする患者の股下に設置される。
【0024】
図2に示されたサポートアーム10は、キャリッジ14が搭載されたサポートバー12を含む。キャリッジ14は、サポートバー12の長手軸X-Xに沿って移動させる事が出来る。例えば、患者の足を固定する為に、保持固定具をキャリッジ14に取り付ける事が出来る(図1を参照)。好ましくは、サポートバー12は、X線照射に対して透明な材料で形成される。結果的に、それが続くX線画像で見えないので、患者PのX線検査中にサポートビーム12をX線検査される領域から取り除く必要はない。例えば、サポートバー12は、カーボンファイバコンポジットで形成する事が出来る。
【0025】
ピボットジョイント16は、サポートアーム10の第1の連結端部11に取り付けられ、それによってサポートアーム10を手術台1に関連する2つの軸廻りに回転させる事が出来る。ピボットジョイント16は、従って、サポートアーム10を水平に旋回させる事が出来るピボット軸A1と、サポートアーム10を垂直にチルトする事が出来るチルト軸A2と、を定義するカーダンジョイントである。
【0026】
解除レバー18は、サポートアーム10の第2の保持端部13に取り付けられ、それによってピボットジョイント16をロック又は解放する事が出来る。解除レバー18に加えてハンドグリップ40が提供される。使用者は、従って、彼が患者の脚部を空間の希望の位置に配置する事が出来る様に、ピボットジョイント16を解除する為に、患者の足端部に立ち、一方の手でハンドグリップ40を握り、他方の手で解除レバー18を引っ張り、それをそこに保持する事が出来る。一旦、希望の位置に到達されたならば、使用者は、以下に説明される様に、再び解除レバー18を解除する事によってピボットジョイント16を解除する事が出来る。
【0027】
解除レバー18は、それが引き上げられた時に、チルト軸A2廻りに上向きに回転される。
【0028】
図3、5及び6は、ピボットジョイント16と、例えば、プラグ接続又は同様なものによって手術台1に接続する事が出来る接続ピース20と、を示す。接続ピース20は、この目的の為に連結部21を有する。
【0029】
ピボットジョイント16は、ガイドリング36と、中央ボディ22と、グリッパクランプ26と、を含む。中央ボディは、2つの相互に鏡映反転されたガイドボディ22及び24で構成される。ガイドボディ22及び24は、ガイドリング36を収容する為に、それらとの間にキャビティ33を定義する。
【0030】
ガイドリング36は、ピボット軸A1廻りに回転可能な様に、2つのガイドボディ22及び24の間に収容される。それは対応するリングガイド面30及び32に対抗してその2つの平面に留まる。ガイドリング36は、接続ピース20の二叉端部39の叉37の間に収容される。
【0031】
サポートバー12に確実に接続されたグリッパクランプ26は、チルト軸A2廻りに回転可能な様に、中央ボディ22の円筒状のスライド面22a及び24aに搭載される。グリッパクランプ26と円筒状のスライド面22a及び24aは、チルト軸A2廻りのサポートアーム10のチルトの為のチルトデバイスを相互に形成する。グリッパクランプ26は、従って、チルトエレメントを構成する。クランプ機構28の一部として、グリッパクランプ26は、ガイドボディ22及び24に対するグリッパクランプ26の回転及びガイドボディ22及び24に対するガイドリング36の回転の両方が防がれる様な方法でガイドボディ22及び24の周囲を締め付ける事が出来る。
【0032】
グリッパクランプ26によって2つのガイドボディ22及び24に及ぼされる圧力は、ガイドボディ22及び24によって同様の方式でガイドリング36の平面に及ぼされる。
【0033】
とりわけ図6によって理解する事が出来る様に、ピボットジョイント16が回転軸A1及びA2の両方で固定される様に、2つのガイドボディ22及び24は、グリッパクランプ26によって相互に対抗して押され、ガイドボディ22及び24の間のリングガイド面30及び32を形成する各接触面によってガイドリング36(図6に示されない)に押される。
【0034】
リングガイド面30及び32は、ピボット軸A1廻りにサポートアーム10を旋回させる為に、ガイドリング36と共にピボット機構を形成する。
【0035】
更に、ガイドボディ22及び24の間のピボット軸A1廻りのガイドリング36の回転移動をガイドする為に、ガイドボディ22及び24のリングガイド面30及び32を1つ以上の円弧状のガイド突起34で構成する事が出来る点が図6によって理解する事が出来る。図6は、単一の環状のガイド突起34を示すが、円弧部分に夫々対応する複数のガイド突起34が提供される事が考えられる。
【0036】
図5に示された様に、接続ピース20は、各端面38がコネクタ20とガイドボディ22及び24との間の接触面としての役割を果たすと共にガイドボディ22及び24のガイド突起34の内縁に係合するガイドリング36を含む。
【0037】
代わりに、ガイド突起又は別のガイド手段をガイドリング36の接触面38に提供する事も出来る。別の実施の形態では、接触面38は円錐状又は球状である。それらは軸力がピボット軸に印加された時に張力効果を有すべきである。
【0038】
解除レバー18は図4に示される。本実施の形態では、1組のレバー又はハンドルが提供され、使用者が移動可能な解除レバー18をリジッドなハンドグリップ40に引っ張る事が出来る。これは、例えば、リジッドなハンドグリップ40によってクランプ機構28を解除レバー18と同時に開いている間に、使用者がバー12の重さ及びそれに取り付けられた患者の脚部をサポートすると共に移動させる事を可能にする。移動可能な解除レバー18がストッパまで引き上げられた時に、患者の脚部の荷重は使用者の両手によって支持され、望まれない落下のリスクを最小化する。これは安全な使用に寄与する。その様な操作では、クランプ機構28がそのロックされた定位置から解除位置に移動される様に、作動液が、バー12に延在する液圧ライン43を通じて、解除レバー18のすぐ近くに搭載されたマスタシリンダ41からスレーブシリンダ45(図7を参照)に導かれる。2つの液圧シリンダ41及び45は、液圧ライン43と共に力伝達デバイスを形成する。
【0039】
図7に示されたロックされた定位置では、ディスクばねアセンブリ42は、関連付けられた偏心レバー46を、プッシュロッド44によって、それらが接線方向でグリッパクランプ26の末端を引っ張る位置に押す結果として、ピボットジョイント16の移動が回転軸A1及びA2廻りの両方でロックされる様に、ガイドボディ22及び24の円筒状のスライド面上にグリッパクランプ26を押す。
【0040】
クランプ機構28は、従って、クランプ26と、ディスクばねアセンブリ42と、プッシュロッド44と、偏心レバー46と、を含む。2つの偏心レバー46は、グリッパクランプ26の何れかに配置される。本件では、同一の移動を共に実行しなければならないので、それらがウェブによって接続される。2つの偏心レバー46は、接続ウェブによって単一の構成部品を形成する。
【0041】
各偏心レバー46は、偏心ディスク及び操作端部49を形成する偏心端部47を有する。偏心レバー46の回転軸Y-Yは、グリッパクランプ26の末端を通じて延在する。偏心回転軸Y-Yは、チルト軸A2に平行である。
【0042】
旋回偏心レバー46は、従って、グリッパクランプ26の方向での力伝達を達成する為に、グリッパクランプ26を動かす。偏心46の長いレバーでは、ディスクばねアセンブリ42が関連付けられたプッシュロッド44を通じて圧縮力を及ぼし、従って、アイドル状態で必要な閉鎖力を生成する。
【0043】
解除レバー18の動作に際して、クランプ機構28は、グリッパクランプ26及び接続ピース20をガイドボディ22及び24に対して移動させる事が出来るという効果によって、グリッパクランプ26の圧力がガイドボディ22及び24の側面に分散される様に、図7及び8に示されたロックされた定位置から、ガイドボディ22及び24(図3を参照)に対するピボット軸A1廻りの接続ピース20の移動とチルト軸A2廻りのグリッパクランプ26の移動とがディスクばねアセンブリ42のばね力に対抗して偏心レバー46が移動されるという事実によって可能になる解除位置に移動される。
【0044】
ばね力と反対の動作の方向の液圧スレーブシリンダ45は、バー12を伝わる液圧ライン43によって、使用者が解除レバー18によってバー12の他端部で動かす事が出来るマスタシリンダ41に接続される。
【0045】
使用者が解除レバー18を動かす時に、液体がマスタシリンダで排出され、スレーブシリンダに輸送される。後者は、ディスクばねアセンブリ42に対抗して働き、グリッパクランプを解放する。グリッパクランプ26が開き、2つの回転軸A1及びA2廻りの移動が可能になる。操作者が解除レバー18を解除するならば、システムがロックされる様に、ばねアセンブリ42はスレーブシリンダを押し戻し、再びグリッパクランプ26上にそれらの力が作用する。
【0046】
本発明は、従って、クランプ機構28によって同時にクランプされる、2つの相互に垂直な軸A1及びA2廻りの回転メカニズムと、ばねアセンブリの閉鎖力が印加され、解除する為の力のみを操作者が印加しなければならないロック原理と、を提供する。操作者が解除レバー18を解除する時に、ピボットジョイント16は自動的に確実なロック位置に下がる。従って、操作者が故意でなくエクステンションバーを手放す時に、患者の脚部が制御されない方式でエクステンションバーが落下する事を防ぐ事が可能である。
【0047】
ここで示された実施の形態では、ガイドリング36の水平平面38に留まると共に垂直軸廻りに旋回する事が出来る2つのガイドボディがピボットジョイントの為に使用される。2つのガイドボディの外面は、その軸A2が水平に、及び、定位置では、患者の長手軸に垂直に位置調整される共通の円筒状の側面を形成する。共通の円筒状の側面は、バー12に接続されたグリッパクランプ26によって覆われ、引っ張られていない状態の時に、バーが円筒状の側面の周囲で回転移動する事を可能にする。このグリッパクランプ26が閉じているならば、ガイドボディ22及び24の円筒状の外面22a及び24aとグリッパクランプ26との間の垂直抗力だけでなく、ガイドボディ22及び24とガイドリング36との間の平面の間の垂直抗力も増加される。この様に、両方の移動を1つの操作によってロック及び解除する事が出来る。然し乍ら、ガイドボディの代わりに使用される別々に形成された関節エレメントの為に、少なくとも2つの回転軸廻りに回転する事が出来るジョイントが提供され、両方の軸のジョイントの移動を同時にロックする事が出来るクランプ機構が提供される事も考えられる。
【0048】
本発明に従った医療サポートアームは、使用者がサポートアームをそれに取り付けられた患者の脚部を伴い又は伴わずに誤って落下させるならば、サポートアームが手術台に対して移動する事を可能にするピボットジョイントが自動的にロックされるので、安全な操作を保証する事が出来るという利点を有する。
【0049】
従って、サポートアームが制御されない方式で地面に落下する事は出来ない。サポートアーム10の位置の安全且つ人間工学的な調整が可能な様に、使用者は、調整中に患者の足端部に搭載された解除レバー18及びハンドグリップ40によって両手でサポートアームをガイド及びサポートする事が出来る。
【0050】
サポートアーム10のピボットジョイント16及び保持端部13の選択された構成に関連する、説明されたクランプ機構28は、サポートアーム10の大きな長さにより、ピボットジョイントに作用する強い力及びトルクにも拘わらず、ピボットジョイント16が確実にロックされる事を可能にする。国際公開第2007/080454号明細書によって知られたロック機構では、単純なハンドル118及びボールジョイントが使用され、ここで説明された長いサポートアーム10が患者の腰部を越えて手術台1に接続されるという事実により生じる高トルクを確実に吸収する事が出来ない。ここで説明された創造性のある解決策では、必要な大きなクランプ力は、とりわけ液圧システム及び偏心レバー46の大きな速度伝達比(例えば、1:10)によって可能になる。解除レバー18の大きなレバーアームによって、使用者は、小さな労力によって大きなクランプ力に打ち勝つ事が出来る。
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