IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アルピナ・ラッジ・エスピーエーの特許一覧

特許7087008特にオートバイのためのスポークホイール用ニップル
<>
  • 特許-特にオートバイのためのスポークホイール用ニップル 図1
  • 特許-特にオートバイのためのスポークホイール用ニップル 図2
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-06-10
(45)【発行日】2022-06-20
(54)【発明の名称】特にオートバイのためのスポークホイール用ニップル
(51)【国際特許分類】
   B60B 1/04 20060101AFI20220613BHJP
   F16B 39/34 20060101ALI20220613BHJP
【FI】
B60B1/04 F
F16B39/34
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2019570071
(86)(22)【出願日】2018-06-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 IB2018054511
(87)【国際公開番号】W WO2018234997
(87)【国際公開日】2018-12-27
【審査請求日】2020-07-17
(31)【優先権主張番号】102017000067931
(32)【優先日】2017-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】507169141
【氏名又は名称】アルピナ・ラッジ・エスピーエー
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】特許業務法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カッペロット,グイド
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-212773(JP,A)
【文献】特開平10-244801(JP,A)
【文献】特表2012-515115(JP,A)
【文献】特表2007-501368(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60B 1/00-11/10
B60B 17/00-19/14
F16B 39/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ートバイに使用されるスポークホイール用ニップル(1)であって、
互いに同軸に形成され、貫通孔(4)が同軸に延在するように貫通するヘッド(2)およびロッド(3)と、
前記ヘッドに設けられる操作キー(5)と、
スポークのねじ付き端部に摩擦を伴って螺合するように前記孔(4)内に挿入されるプラスチック材料製のインサート(11)と、
を備え、
前記孔(4)には、前記ロッド内で延在するねじ付き部分(8)と、前記ねじ付き部分(8)と前記操作キーとの間のより大きい直径を有する部分(10)と、が設けられ、
前記より大きい直径を有する部分は、前記インサート(11)を受容する座部(10)を構成し、
前記インサート(11)は、前記ヘッド側の前記座部(10)内に挿入されて締り嵌めまたは接着結合によってそこに固定される管状スリーブを有するように形成され、
前記インサート(11)は、前記ヘッド(2)から前記ロッド(3)の方向を下方向として前記操作キー(5)よりも下の位置に配置され、
前記操作キー(5)は、前記操作キーに作用するよう構成されたツールが当接する基部(5’)を画定し、前記インサート(11)は、前記基部(5’)よりも前記下方向に離れた位置に配置される、
スポークホイール用ニップル(1)。
【請求項2】
前記操作キー(5)は、前記ヘッドにおいて、凹んだ皿穴()の形態を有するように形成される、
請求項1に記載のスポークホイール用ニップル(1)。
【請求項3】
前記皿穴(9)は、トルクスキーまたはクアドリックスキーに対応する形状を有する、
請求項2に記載のスポークホイール用ニップル(1)。
【請求項4】
前記座部(10)は、前記ヘッド(2)と前記ロッド(3)との間の接続コレット(7)の基部に対応するニップルの部分から構成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載のスポークホイール用ニップル(1)。
【請求項5】
前記座部(10)は、前記ニップル内で前記皿穴(9)の基部まで延在する、
請求項2~4のいずれか1項に記載のスポークホイール用ニップル(1)。
【請求項6】
前記ニップルは、6よりも大きい抵抗クラスを有する合金鋼から作製される、
請求項1~5のいずれか1項に記載のスポークホイール用ニップル(1)。
【請求項7】
前記ニップルは、8~10の範囲の抵抗クラスを有する合金鋼から作製される、
請求項6に記載のスポークホイール用ニップル(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スポークホイール用ニップルに関し、特にオートバイの分野に使用されるホイール用ニップルに関する。
【背景技術】
【0002】
スポークホイールの分野において、使用中に連続して振動および衝撃を受けることでニップルが意図せずに緩むという問題に直面することが多い。ニップルが緩むと、1つまたは複数のスポークの破損や少なくともスポークへの過負荷が生じてホイールを静的および動的に変形させ、車両の安定性および信頼性に関して危険な結果をもたらすため、上記は特に重要な問題である。
【0003】
ニップルの意図しない緩みの対策として、ニップルとそこにねじ込まれるスポークとの間に緩み止め液を提供する技術や、ニップルで受容され、自動的に緩むことを防ぐために所望の摩擦レベルを有するようにスポークのねじ部材の一部を受容することができるプラスチック材料製のインサートを提供する技術等、様々な技術が開発されてきた。本発明は、後者のタイプのニップルに含まれる。
【0004】
この分野において、例えば、ニップルの適切な座部に適用されてニップルの穿孔と同時に穿孔されるプラスチック材料製のインサートを提供することが、欧州特許第838352号から知られている。この作業の結果として、非常に効率的なニップルを得ることができる。しかしながら、それを得るための一連の加工作業には、部品ごとに異なるステップが含まれ、その結果として、生産コストが増加する。
【0005】
欧州特許第2678172号には、所与の機械加工作業を用いてニップルを作製し、次いでニップルをプラスチック材料の射出に供して、ニップル内にインサートを形成する方法が記載されている。この場合でも、多数の加工ステップが必要であり、その結果として、完成品の機械的精度が低下する可能性がある。
【0006】
欧州特許第2525985号および欧州特許第1559582号には、ニップルの別の例が記載されている。前者では、複数のプラスチック材料製の部材を有するインサートが使用される。後者は、自転車のためのホイールのみを対象としている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明が対処する問題は、上記先行技術を参照して上述したすべての欠点を克服するように構造的および機能的に構成された、特にオートバイで使用されることを意図しているがそれに限定されないニップルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、特にスポークホイール用ニップルに関する。該ニップルは、互いに同軸に形成され且つ貫通孔が同軸に延在するように貫通するヘッドおよびロッドと、ニップルのヘッドに設けられた操作キーと、ニップルの意図しない緩みを防ぐためにスポークのねじ付き端部に摩擦を伴って螺合するように孔内に挿入されるプラスチック材料製のインサートと、を備える。孔には、ロッド内で延在する第1のねじ付き部分と、第1の部分の直径に対してより大きい直径を有し且つねじ付き部分と皿穴との間で延在する第2の部分と、が設けられる。より大きい直径を有する部分は、インサートを受容する座部を構成する。インサートは、管状スリーブを有するように形成され、管状スリーブは、皿穴すなわち操作キーを有するヘッド側の座部内に挿入され、干渉または接着結合によってそこに固定される。
【0009】
このニップルの金属構造は、両側からニップルを加工することで作製することができるため、非常に正確な加工作業に適している。このようにして得られた低い公差によって、EN ISO898-1の規格に従って、6よりも大きい、好ましくは8~10の範囲の抵抗クラスを有する鋼のような、オートバイの分野において必要とされる性能レベルに特に適した高強度鋼を用いてニップルを作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明によるニップルの特徴および利点は、添付の図面を参照して非限定的に例示する好ましい且つ非限定的な実施形態の以下の詳細な説明によって、明らかになるであろう。
図1】本発明のニップルの断面図である。
図2】上記ニップルをヘッド側から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1には、好ましくは中型から大型のオートバイのためのホイールで使用されることを特に意図しているがそれに限定されないスポークホイール用ニップルが、全体として参照符号1によって示されている。該ニップルは、全体として円筒形であり且つ同軸に形成されたヘッド2およびロッド3を備える。貫通孔4が、ヘッドとロッドとを貫通するように軸方向に延在する。好ましくは、ヘッドおよびロッドは、操作キー5,6をそれぞれ有する。代替的に、ヘッドのみが操作キーを有してもよい。
【0012】
好ましくは、ロッド上の操作キーは、ヘッドに対して遠位側のロッド3の外側部分に形成され、多角形の輪郭から構成される。
【0013】
一実施形態において、ヘッド5上の操作キーは、ロッドに対して遠位側のヘッドの部分において凹んだ皿穴9から構成され、好ましくはトルクス(Torx)キーまたはクアドリックス(Quadrix)キーに対応する形状を有する。
【0014】
ヘッド2は、ロッドの直径に対して広がるように形成され、円錐台状のコレット7によってロッドと接続される。
【0015】
いくつかの実施形態において、ロッド3に形成された孔4の一部には、スポーク(図示せず)のねじ付き端部に螺合されるよう意図されたねじ部8が形成される。
【0016】
好ましくは、ねじ部8は、孔4の開口部と、コレット7の下側基部に対応する部分との間で延在する。コレット7の下側基部と皿穴9の基部との間には、孔4の直径よりも大きい直径を有する座部を画定する、より大きい直径を有する部分12が形成される。
【0017】
座部10において、インサート11が受容および回転可能に固定される。インサート11は、管状スリーブを有するように形成され、好ましくはプラスチック材料によって作製される。管状スリーブの外径部が座部10内で係合し、管状スリーブの内径部は、スポークがニップル1の孔内で係合するときに、スポークのねじ付き端部に摩擦を伴って螺合するよう構成されている。インサート11は、操作キー9の側から座部10内に挿入される。
【0018】
いくつかの実施形態において、インサート11は、わずかな干渉を伴って、また、任意選択で接着結合の助けを借りて、受容される。
【0019】
好ましくは、操作キー5は、例えば操作キー自体を軸方向に付勢することで操作キーに作用するように使用されるツールが当接する基部5’を画定する。
【0020】
好ましい実施形態によれば、インサート11は、操作キーの基部5’に対してスポークよりもヘッドの上部から軸方向に離れた位置に配置される。
【0021】
このようにして、インサートの存在によってツールの使用が妨げられることがない。
【0022】
より一般的には、これは、インサート11を、ニップルのヘッド2に対して操作キーの下の位置に配置することで得ることができる。
【0023】
ニップル1のロッドおよびヘッドは、EN ISO898-1の規格に従って、6よりも大きい、好ましくは8~10の範囲の抵抗クラスを有する合金鋼から作製される。
【0024】
したがって、本発明によって上述した問題が解決され、スポークから意図せずにニップルが緩むことをよりよく防止できること、および大型のオートバイで多く発生するような厳しい条件下であってもスポークホイールのより効果的な動作を保証する軽量且つ高強度のニップルを提供できること等、多くの利点が達成される。
図1
図2